ちょっと待ってほしい

名無しさん＠お腹いっぱい。

珍論、沈黙、正論

明らかにおかしいし、危うくもある。かねて引っかかっていた問題を追って国会会議録を調べ
るうちに疑問が次々と浮かんだ。
震災後、捜査の継続が難しいことなどを理由に、福島地検が容疑者31人を釈放した。うち１人
が商店の事務室に忍び込み再逮捕されたのを機に、一部メディアが批判を強める。
江田五月法相も国会で「結果から見ると再犯のおそれの大いにある者だった」と述べ、慎重な
物言いながら地検の措置に疑問を呈した。
ちょっと待ってほしい。
勾留の要件は法で決まっている。住所不定、証拠隠滅のおそれ、逃亡のおそれのいずれかで、
「再犯のおそれ」はない。戦前の予防検束に通じる考えがいつ復活したのだろう。
野党系議員が応じる。「検察官を信頼するのは大事だが、政治主導で大臣が適切な判断をして
ほしい」
これにもびっくりした。釈放の判断に政治家が介入するよう公然と求めるとは。本人は被災者
の思いをくんだつもりかもしれないが、どこまで考えたうえでの発言なのか。
長期の身柄拘東を「人質司法」と批判する弁護士から、釈放批判への反批判が出るかと思った
が、聞こえてこない。これも不思議だ。「そもそも勾留の必要がなかったのではないか」。そ
んな追及をしたのは、警察出身の議員だった。〈渡辺雅昭〉

（2011年６月４日　朝日新聞）