【新ジャンル】「台詞系SS総合スレ」( ^ω^)
- 1 :創る名無しに見る名無し:2010/08/03(火) 11:42:40 ID:US9tVtIP.net
- ここは新ジャンル系、ブーン系、台詞系の総合スレです
単発スレを立てる前に、まずはこのスレの利用を検討してみて下さい
また、単発スレを立てたい方は↓の≪単発スレについて≫をお読み下さい
≪過去スレ≫
台詞系SS総合スレ
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1250934033/
≪注意点≫
このスレは常時age推奨です
≪単発スレについて≫
創作発表板はVIPと違い、放っておいてもスレが落ちません
新ジャンルなど台詞系の単発スレを立てるときは、
そのスレを>>1000か容量いっぱいまで投下する心づもりで
- 420 :創る名無しに見る名無し:2011/07/23(土) 22:10:28.72 ID:C2EA5PdT.net
- そりゃ内容によりけりですがな
- 421 :創る名無しに見る名無し:2011/07/23(土) 22:21:36.16 ID:uj/pbzVn.net
- ですよねえ
20〜30レスくらいで終わる予定だしスレ立てるのはもったいないし、と思って
ここもまだ完結してないのかな
- 422 :創る名無しに見る名無し:2011/07/23(土) 22:25:32.40 ID:C2EA5PdT.net
- もし二次創作なら、二次創作総合スレが便利
ただし、過疎ってて誰も見てない可能性も
- 423 :創る名無しに見る名無し:2011/07/23(土) 22:29:04.41 ID:uj/pbzVn.net
- 二次創作ってつまりハルヒとか唯とかまどかとか既存のキャラのやつ??
だったら違うなあ
姉スレでもないしバトルものでもないし
他に行き場所のない〜とかに行ってみます
- 424 :創る名無しに見る名無し:2011/07/30(土) 00:13:44.08 ID:80xkBoJ5.net
- SS速報VIPとか
- 425 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 20:11:02.79 ID:3f/LQVrL.net
- 行き場所もあまりなかったので、やっぱりここお借りします
・地の文あり
・新ジャンルではなく普通のSS
・エロなし過剰な萌えなし
よろしくお願いします
- 426 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 20:14:10.93 ID:3f/LQVrL.net
- 男「恋のABC」
- 427 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 20:17:48.55 ID:3f/LQVrL.net
-
ABC欠乏症という病気をご存じだろうか。
最近世界を騒がせている厄介な病気だ。
その病気にかかった者は「ABC」が発音できなくなる。
まあ言うなれば失語症の一種だ。
人間が勝手に決めたアルファベットの通りに病状が進むなんて、ふざけた話だ。
おおかたどこかのマッドサイエンティストが作り出したウイルスかなにかが原因だろう。
女「…」モグモグ
僕の彼女もABC欠乏症にかかってしまった。
女「…おいしい」モグモグ
ちなみに今は食事中だ。
- 428 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 20:24:25.58 ID:3f/LQVrL.net
-
この病気はカップルを中心に広がっているらしい。
僕たちにも災難が降りかかったが、もし付き合っていなければ逃れられたのだろうか。
何にせよ、理不尽な病気であることは間違いない。
この病気にかかると、始めはABCが発音できなくなる。
日本語で言うと、Aはつまり「あかさたなはまやらわ」だ。
いきなりハードルが高すぎやしないか??
「愛してる」も「会いたい」も「からあげ」も「刀」も言えないんだ。
女『あんっ…あ…あん…んっ』
みたいな喘ぎ声は、もう永久に聞けないわけだ。
まあそんなに激しく喘いでくれたことなんて、一度もないが。
女「…ニヨニヨしてる」ギロ
ほら、「ニヤニヤ」が言えない。
待て、僕はニヤニヤなんかしてない。
女「…エロス」
誰がエロスだ。
- 429 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 20:33:14.28 ID:3f/LQVrL.net
-
わざわざ言うことでもないが僕は彼女に手を出していない。
Bまでだ。
Bって…言い方が古いな。でもまあ、そういう感じだ。
入れてしまうと、彼女を汚してしまうようで、なにかを失ってしまいそうで。
だから僕は彼女に手を出さない。
だけど、好きだ。大切だ。愛している。
女「…エロス」
顔赤くしちゃって。そんなにニヤニヤしてたかな??
エロスなことはしていない。
草食系紳士だ。自分で言ってりゃ世話ないな。
- 430 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 20:37:41.32 ID:3f/LQVrL.net
-
Bは「ばびぶべぼ」だ。
「馬鹿」とか「ボケ」とかも言えない。
「バスガス爆発」なんて言おうとしたらえらいことになる。
ちなみに「ラブ」は言えないが「ラヴ」なら言えるんじゃないかと思ったんだが…
女「…」パクパク
「ら」も駄目だったんだな。忘れていた。
女「好き」
これだけは言ってくれる。可愛い奴め。
- 431 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 20:45:30.59 ID:3f/LQVrL.net
-
Cは「ち」だ。
「地球」や「畜生」や「チュウ」も言えない。
女『おチ○ポください…』
も言ってくれない。
まあ言ってくれたことなんて一度もないが。
女「もう、エロス」ギロ
おっと、また睨まれた。
エロい妄想もほどほどにしないとすぐ見抜かれてしまう。困ったもんだ。
- 432 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 20:52:05.39 ID:3f/LQVrL.net
-
女「…」カチャリ
食べ終わったみたいだ。
彼女は僕よりも食べるのが遅い。
だけど、食べている最中の彼女を見ているのが好きだから、僕はいつも待っている。
女「…」ペコリ
「ごちそうさま」が言えないもんだから、彼女はいつも手を合わせてお辞儀をする。
「いただきます」も言えないから、食べる前も同じようにする。
女「行こう」
会計はいつも僕がする。
彼女に払わせるわけにはいかない。男として。
でも、いつも払おうとしてくれるのが、たまらなく嬉しい。
いや、違うな。「僕が払うから」って制して会計をするのが、たまらなく嬉しいんだ。
- 433 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 20:57:54.71 ID:3f/LQVrL.net
-
初めてこの病気を知ったとき、僕は信じられなかった。
誰だってそうだろう。
でも実際に言葉が消えていくのを知ったとき、文字通り「言葉を失った」ね。
今、うまいこと言った??
どうしても伝えたいことが言葉で伝えられないときは、文字を書く。
僕たちはそうしてきた。
でもよく顔を見ていれば、言いたいことは結構わかるもんだ。
女「…」
ほら、ガラスケースの向こうの服がほしいって、顔に書いてある。
女「…」
でも、お金に余裕がないのもわかってる。
だから彼女は無理に欲しがらない。
そんな彼女を喜ばしたくなるってのが、男の性だ。
…いや、高い、やっぱり無理だ。
女「…行こ」
ゴメン。
- 434 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 21:09:17.20 ID:3f/LQVrL.net
-
彼女の症状はどんどんと進む。
周りの都合などお構いなしだ。
Dは「だぢづでど」だ。
正直「ぢ」と「じ」の違いはよくわからない。
「地震」は言えるのに「鼻血」や「耳血」が言えない。
ちなみに「痔」って「ぢ」だと思ってたんだけど「じ」なんだね。
言ってみてって催促したら嫌々ながら言ってくれたよ。
女「…痔」モジモジ
なに言わせてんだって怒られたけどね。
でも言えなくなる前にたくさんの声を、言葉を聞きたい。
それは普通のことだと思う。
- 435 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 21:19:28.22 ID:3f/LQVrL.net
-
Eは「えけせてねへめえれえ」だ。
言いにくい…
母音が二つ言えなくなっちまった。
「エロス」も、もう言ってくれない。
あ段とえ段が言えないってことはあとは「い・う・お」の3つの段だけだ。
女「…好き」
まだ言ってくれてる。嬉しい。
僕も、愛してるよ。
だけど、君の言葉はもうすぐ消えてなくなる。
それが悲しい。
女「君は、いつも、ここに、いる」
ああ、いるよ。
女「…いいの??」
なにが??
- 436 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 21:35:10.48 ID:3f/LQVrL.net
-
女「横にいてくれる??」
いるよ。
僕はこれでもかってくらい頷いた。
女「いいの??」
いいよ。それでいいよ。
一生君のそばにいる。
彼女はこの病気にかかってから、一人称が言えなくなった。
「私」と言えなくなったから。
少し違和感はあるけれど、仕方ない。
女「ふふふ」ニコニコ
彼女に内緒で進めている計画があるんだけど。
早く実現させたいもんだ。
おっと、こんなこと考えてると顔に出る。
僕はそっぽを向いた。
- 437 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 21:42:35.24 ID:3f/LQVrL.net
-
女「押忍!!」
あいさつは「よう」か「押忍」かだ。
色気もクソもないな。
女「…」
はっは。
機嫌を悪くしないでくれよ。
女「コーヒー飲む」
ん、行こうか。
ほんとは彼女は紅茶が好きなのに。
でも僕に合わせているうちにコーヒーが好きになってしまったらしい。
僕もコーヒー派になって日は浅いんだけどね。
- 438 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 21:50:22.53 ID:3f/LQVrL.net
-
僕は喫茶店で、借りたマンションの見取り図を見せた。
女「!!」
一緒に住みたい。そう言うと、彼女は戸惑って、でも嬉しそうに笑った。
女「どう…」
「同棲」って言いたいんだけど、言えないみたい。
でも伝わった。
女「…」ゴソゴソ
財布を出そうとする。
家賃を出すってことかな。
僕はそれを制した。家賃くらい僕が出すさ。
自分で出せる範囲の家を借りたんだから。
そのかわり、料理とか、してくれないかな。
女「料理…する!!」
家事とか洗濯とかも…
女「する!!」
- 439 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 21:58:18.86 ID:3f/LQVrL.net
-
なんだかすごく嬉しそうだ。
言葉を失いつつある彼女は、一人で生きていくには大変だろう。
嬉しそうな彼女を見ていると、僕も嬉しくなった。
僕がずっとそばにいようと、誓った。
そうこうしているうちにFを失った。
もう「ふふふ」って笑ってくれない。
Fを失っただけで、彼女はほとんど笑わなくなった。
- 440 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 22:04:00.31 ID:3f/LQVrL.net
-
そしてGを失った。
「がぎぐげご」だ。
「ゲルググ」も「グレゴリー」も「午後の紅茶」も言えない。
だけどこの頃にはもう、彼女はあまり話さなくなった。
女「…」
ボーっとしている彼女を見ていると切なくなる。
今、なにを考えているんだろう。
女「…」
彼女がこっちを見たが、その表情からはあまり読み取れなかった。
- 441 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 22:09:53.17 ID:3f/LQVrL.net
-
沈んでいる彼女をピクニックに連れて行った。
風の気持ちいい日だった。
医者が言うには、この病気を止める手立てはないが、部屋で閉じこもっているとよくないそうだ。
だから少しでも気分が晴れるように外に連れていくことが多くなった。
女「…いい気持ち」
少しご機嫌になったみたいだ。
あれ、「ち」は言えないはずじゃ…
女「…」ニコ
「TI」ってことかな??
相変わらずこの病気の基準はよくわからない。
- 442 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 22:17:51.09 ID:3f/LQVrL.net
-
女「いい気分♪」
これもなんだか発音があやしい。
「キヴン」みたいな発音だ。
「ヘヴン」とか、言わないかな。「ヘ」はもう言えないのか。
女「…」ニコ
今のは「ありがとう」かな??
だいぶ表情から彼女の考えていることがわかるようになってきた。
- 443 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 22:24:11.89 ID:3f/LQVrL.net
-
部屋で発音の練習をした。
女「煮物、作る」
いいね、煮物は大好きだ。
女「ヒモ」
僕が??君が??
養っているとは言い難いが、僕はヒモじゃない。やめてくれ。
女「…」
今のは「ゴメン」かな。
まあ怒ってるわけじゃないけど。許す。
- 444 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 22:30:16.84 ID:3f/LQVrL.net
-
女「ポリス」
頼むから警官の前でそんな言い方するなよ。
怒られるから。
女「プロポリス」
ん??警官はみんなプロだろ。
アマポリスなんているんだろうか。
女「…」ニヤニヤ
ニヤニヤしている。彼女のこういうところが時々よくわからない。
- 445 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 22:38:14.27 ID:3f/LQVrL.net
-
女「ロリ」
…
なんだって??
女「ロリ!!」
誰だ、そんな言葉を教えたのは。
僕か。
女「スク水!!」
ああもう、やめてくれ。
好きだけどさあ。
女「クスコ!!」
もう黙りなさい。
僕は疲れた。
- 446 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 22:47:18.76 ID:3f/LQVrL.net
-
女「男好き」
ああもう、ろくな言葉がないじゃないか。
それに僕は男好きじゃない!!
女「ホモ」
ええい!!うるさい!!
女「…許す」
君はそういう趣味があったのですか、そうですか。BL好きですか。
悪いけど男には興味持てないし、許してもらうこともないからね。
女「…」ニヤニヤ
楽しんでる。くそ。
- 447 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 22:52:17.41 ID:3f/LQVrL.net
-
女「…」スッ
ん??どこに行くんだ。
台所??
女「…水」コトッ
うん、水だね。
で、これをどうしろと。
女「!!」バシャッ
うおお!!こぼすな!!
ズボンが濡れちゃったじゃないか。
女「雑巾!!」
雑巾、雑巾、どこやったっけ。
ていうかそれ言いたかっただけじゃないか。
女「雑巾♪雑巾♪」
なんでご機嫌なんだ。
女「布♪布♪」クイクイ
服を引っ張るな!!
それ雑巾じゃないから。
- 448 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 23:07:10.00 ID:3f/LQVrL.net
-
なんてバカなことをやっていたのも束の間。
HとIを立て続けに失った。
彼女はもうほとんど喋らなくなった。
「好き」も言ってくれなくなった。
女「…」シュン
そのかわり僕は毎日彼女に好きだということを伝え続けた。
少しだけ彼女の顔は晴れるが、すぐに寂しそうな顔になる。
僕にできることはないのかな…
- 449 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 23:15:46.98 ID:3f/LQVrL.net
-
JやLはいつ失ったかよくわからない。
特に変化はなかった。
僕がブタの絵のプリントTシャツを着ていると嬉しそうに
女「トントン♪」
なんて言っていた。
でも、それも言わなくなった。
NとOも失ったのだろう。
定期的に医者に通ったが、もう治る見込みがないどころか症状が加速する一方だそうだ。
- 450 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 23:21:16.46 ID:3f/LQVrL.net
-
ついにUまで失った。
母音のすべてとNが発音できない以上、彼女はもう喋ることができない。
女「…」ボー
僕が顔を覗き込んでも上の空だ。
声を失う実感が湧きあがっているのか。
もう諦めきってしまっているのか。
女「…」スッ
ベッドを指さす。
寝たいの??
女「…」コクン
生活感がなくなっていく。
僕は明日の朝食の準備だけ済ませ、ベッドに戻った。
- 451 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 23:25:21.86 ID:3f/LQVrL.net
-
女「zzz」
はっは。Zはまだ発音できるんだ。
なんだかよくわからないけれど、笑ってしまった。
もう最後かな。君の声を聞くのは。
たった一つのアルファベットだけれど。君の声には違いない。
可愛いいびきを聞きながら、僕もベッドにもぐりこんだ。
君はどんな気持ちだった??
頭をなでながら、寝顔を見つめる。
女「zzz」
僕は今、名残惜しい気持ちと愛しい気持ちが入り混じっている。
君もこんな気持ちだったのかな。
最後の君の声を聞きながら、僕も眠りに引き込まれていった。
- 452 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 23:35:52.79 ID:3f/LQVrL.net
-
目が覚めた。
なんだか頭がぼーっとしている。
彼女は隣で笑っている。
笑っている??
女『おはよう』
!!
なぜ、声が出せるんだ。
女『やっと、私も追いつけたね』
何を言ってるのかよくわからない。
追いつけたって、なにに。
- 453 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 23:40:37.96 ID:3f/LQVrL.net
-
女『君が声を出せなくなってから、ずいぶん待たせちゃったね』
そうだ…
この声は、彼女の口からではなく、頭の奥から聞こえる。
女『君の声も、私にはちゃんと聞こえていたのよ』
本当に!?
女『うん、本当だよ』
僕の声も、同じように彼女には伝わっていたのか。
君の頭の中に、僕の声はあったのか。
女『うん、君は声を失ってしまっていたけど、私の頭の中にはあったよ』
女『でも、うまく説明ができなくて…』
女『でもこれで、やっと話せるね』
- 454 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/04(木) 23:46:20.69 ID:3f/LQVrL.net
-
言葉は失っても、会話はできる。
男『じゃあ、ずっと言えなかった言葉を言いたい』
女『なあに??』
男『愛してる』
女『ふふふ。ずっと聞こえてたけどね!!』
女『でも、ありがとう』
★おしまい★
- 455 :創る名無しに見る名無し:2011/08/05(金) 00:26:03.03 ID:xyrGV8jv.net
- 乙
いいアイディアだなw
面白かった!
- 456 :創る名無しに見る名無し:2011/08/05(金) 01:04:31.80 ID:p+9WdaFK.net
- 乙!楽しかったよ。
GJです
- 457 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/08/05(金) 17:33:26.09 ID:+gwUOYdX.net
- 読んでいただきありがとうございました
もし発音できないはずの言葉を喋っているとか、
ここわかりにくいとか、指摘があれば遠慮なく言ってくださいね
- 458 :創る名無しに見る名無し:2011/08/26(金) 14:07:47.13 ID:UIquROW1.net
- いいなこれ
- 459 :創る名無しに見る名無し:2011/09/24(土) 13:18:51.92 ID:U+7MIjxq.net
- .
- 460 :創る名無しに見る名無し:2011/09/25(日) 17:34:54.32 ID:0YTBEfSv.net
- >>457
素敵なお話でした。GJ!!
- 461 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/09/26(月) 22:51:52.08 ID:WLqvjZzW.net
- ブログの方で忠告いただいたのですが
「E」を発音できなくなった直後に「れ」を発音してました
すみませんwww
- 462 :創る名無しに見る名無し:2011/10/18(火) 22:18:41.81 ID:LWbHm5QW.net
- 久しぶりに来たら良い話が投下されてた
- 463 :創る名無しに見る名無し:2011/11/17(木) 08:07:22.99 ID:9muQbZSE.net
- _ ―- ‐- 、 「 ageてみるか 」
(r/ -─二:.:.:ヽ
7''´ ̄ヽ-─<:.:.', __
. 〈t< く=r‐、\:く _ ...-::‐::¬::::: ̄:::::::::::::::::::::::::::::::
∠j ` / ,j={_/ヽヽr' >:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
. っ Y _/ ヽ了 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
. し イ --─¬ /::::::/:/|:::/::∧:::∧:::::::::::::::::::::::::::::::::::
f: :_: : :_:_:_└ 、 |/f|/|/ .|/ |/ ∨ ヽ|\:::::::::::::::::::::::::
/-ー/: : : : : : :\ { ヘ:::::::::::::::::::::
/7: : : :r: : : : : : : : : } ', .j / } .}::::::::::::::::::::
/: : : : : :.|: :j: : : :\: : j } /_ ミ ヘ::::::::::::::::::
/: : : : : : : j: ヘ、: : : : \| /く<l´::<ニ二 ̄`> ミ:::::::::/
./: : : : : : : \::::ヘ: : : : : : :ヽ {::ア{:::::::}厂¨,`_______j:::::://
{: : : : : : : : : : ヘ:::ヘ: : : : : : :', V ヘ::::ノ` ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ .{::::|ヽ
',: : : : : : : : : : : :\ヘ: : : : : :ヘ. / ヘ¨ //:}::::|/
',: : : : : : : :::::::::::::::::::〉: :_:_.r--―く >ヽ / _ノ::::{ _/
'; : : : :.::::::::::::::::::::::r</ :.:.. `ー¬\__ /::::/
〈: : : : :ー---‐‐r―'´ :.:.:. ヘ: . ヽ . . }ー、 ./::::< 「 ああ 」
〈: : : : : : : : : : 〈r-‐、:.:.:.:ヘ.:.:.:.:. ', : : ',: . .|: : 〉 /:::::::/
- 464 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/03(土) 17:32:12.82 ID:1Cj7bgUJ.net
- 一本投下します
前の話とよく似てますが…
・地の文あり
・新ジャンルではなく普通のSS
・エロなし過剰な萌えなし
男「あの頃の僕らにはもう戻れない」
- 465 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/03(土) 17:37:14.99 ID:1Cj7bgUJ.net
- 「おはよう」
彼女が起きだしてきた。
「おはよう」
僕は笑顔で彼女を迎えるが、口の端が不自然になってしまった。
「お腹すいた」
よし、気付かれなかったようだ。
テーブルに向かう彼女を横目に、焦げついたフライパンをこっそり洗う。
また目玉焼きに失敗した。
何がサニーサイドアップだ。黒点しかないじゃないか。
部屋の中は焦げくさいにおいでいっぱいだが、彼女は気づかない。
そういう病気なんだ。
- 466 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/03(土) 17:42:40.91 ID:1Cj7bgUJ.net
- ソラニンという名前の病気が流行り出したのは、年号が変わって間もなくの頃だった。
僕は当時、彼女との同棲生活をスタートさせたばかりだったこともあり
TVをつける余裕もなく自分のことで精いっぱいだった。
初めは珍しい症例として時々取り上げられるだけだったが、僕がその病気を知る頃には
国民の5%近くが感染していた。
今ではもう20%の国民が感染しているらしく、大きく取り上げられることも減った。
そのかわり、社会は大混乱で、日本はもうどうしようもないところまで来た。
海外のニュースでは大騒ぎらしいが、日本もそれどころではない。
国民の20%だ。5人に一人は感染者だ。
僕も、彼女も、それに感染しないなんて、誰が断言できるだろう。
- 467 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/03(土) 17:47:35.85 ID:1Cj7bgUJ.net
- ソラニンは脳の病気だ。
脳の中から芽を出し、脳を侵す。
脳をスキャンすれば、まるでジャガイモのように芽を出した影がくっきり映るそうだ。
人から人へはうつらないらしい。
原因不明の治癒不能。
医学の発達でかろうじて進行は遅らせられるものの、今のところ治る手立てはないそうだ。
人から人へうつらないのになぜ感染者が膨れ上がったのか。
最初の感染者は誰なのか。
治す手立ては発見されるのか。
神も仏もいないのか。
なにもかもわかっていない。
僕も、国も。
- 468 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/03(土) 17:52:56.51 ID:1Cj7bgUJ.net
- ソラニンに感染すると、なにかを失う。
それは、聴覚だったり、視覚だったり、言語だったり。
記憶だったり、運動能力だったり。
人によってさまざまだそうだ。
ある一定期間の記憶だけを失った人もいれば、昨日の記憶もない人もいる。
下半身だけが動かなくなった人もいるし、右目だけ見えない人もいる。
日本語だけを忘れ、カタコトの英語で話すようになった人もいるらしい。
病気が進行すれば、さらに失うものが増える。
生ける屍になる。いつかは。
恐ろしい。
- 469 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/03(土) 18:01:11.86 ID:1Cj7bgUJ.net
- 彼女の異変に気付いたのは、1カ月ほど前だった。
仕事から家に帰ると、どうも家の中が焦げくさい。
カレーを焦がしたようだ。
「ただいま」
「おかえり」
「どうしたん、焦げてるよ」
「え??」
彼女はニコニコ笑いながら、なべの底をお玉でかき混ぜていた。
笑いながら、何を言ってるのかわからない、といった顔をした。
ぐるぐる、ぐるぐる、鍋をかき混ぜる。
- 470 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/03(土) 18:06:26.41 ID:1Cj7bgUJ.net
- 「焦げてるって」
僕は慌ててガスを止めたが、彼女はまだ理解できないようだった。
換気扇を回し、鍋の中身を別の鍋に移している僕を、奇妙な目で見ていた。
鍋の底で黒く固まるコゲを見てようやく、彼女も変だと気づいたらしい。
「鼻、詰まったのかな」
グスグスと鼻を鳴らし、呟く。
でも僕は、そんな、風邪とかそんなもので片付く話じゃないと予感していた。
やはり彼女は感染していた。
嗅覚を、失っていた。
- 471 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/03(土) 18:35:26.65 ID:1Cj7bgUJ.net
- 病院で見せられた、脳のスキャン。
見事に芽が、咲いていた。
その晩、彼女は僕の胸に顔をうずめて泣いた。
涙が出なくなるまで泣いた。
「においが、しない…」
「あなたのにおいが、わからない…」
そう言って、何度も泣いた。
僕はどうすることもできず、ただ抱きしめて頭を撫でた。
ごめん。なにもできない僕で、ごめん。
- 472 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/03(土) 18:40:23.61 ID:1Cj7bgUJ.net
- それからというもの、彼女は嗅覚のない生活を送ることになった。
僕は、最初は鼻づまりの延長のようなものとして考えていた。
だけど、そんな程度ではないようだ。
「これ、シチューみたいな味がする」
カレーを食べながら、彼女が言った。
「辛くないの??カレーだよ、これ」
「舌がピリってするけど、辛さが、わからないの」
だそうだ。それから彼女はカレーを作ってくれなくなった。
- 473 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/03(土) 19:04:11.00 ID:1Cj7bgUJ.net
- というか、辛いもの全般が食卓に出なくなった。
舌がピリピリするだけで美味しくないのだそうだ。
明太子とかワサビとか、好きなんだけどなあ。
彼女のためだ。仕方ない。
どうしても食べたいときは、自分で買ってきて食べることにする。
そうしているうちに、いつの間にか夏になっていた。
外に出るのは億劫だけど、この部屋も蒸し暑い。
遠くでセミが鳴く声がする。
室外機が唸りをあげて夏に対抗しようとしている。
静かなのに、うるさい。
- 474 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/04(日) 17:39:51.34 ID:4WiWrzXq.net
- ベランダから外を見ると、真っ青な空が広がっていた。
雲が並んで、千切れて、広がって、飛んでいる。
ベランダの下では向日葵が花を広げようとしている。
一階は大家さんの敷地だ。
花の綺麗さを話題にしようと思ったが、彼女は花の匂いも嗅げないんだ。
少し考えて、その話題を振るのはやめにした。
「ねえ、去年の冬のこと、覚えてる??」
突然話題を振られた。
「ん…覚えてるよ、いろいろと」
そう、いろいろあった。
- 475 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/04(日) 17:50:37.92 ID:4WiWrzXq.net
- 「あのとき、別れないで、本当によかった」
「…」
そう、僕たちは一度だけ、一週間だけ、他人になった。
よくある話だ。
いわゆる倦怠期。
僕たちもそれにかかった。
「ねえ、あなたは??」
「うん、僕も、別れないでよかったと、本当に思う」
元に戻れて、本当によかった。
そう思う。
あのときの一人寂しい夜とか、君が最後に編んでくれたマフラーとか、一人の年越しとか。
思い出して寂しくなってきた。
「本当に??」
「本当」
「嘘」
- 476 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/04(日) 18:22:56.01 ID:4WiWrzXq.net
- 嘘じゃない、と言おうとした僕よりも先に、彼女は堰を切ったように喋り出した。
「私が、ソラニンにかかって、私のこと、重荷になってる」
「あのとき別れてれば、あなたはそれを知らず、きっと幸せだったわ」
「辛いもの好きだったのにね」
「お香も焚かなくなったもんね」
「花も飾らなくなったよね」
「それもこれも、私が…」
あとは、言葉にならなかった。
また彼女は泣いた。
僕はどうすることもできず、ただ抱きしめて頭を撫でた。
- 477 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/04(日) 19:40:00.45 ID:4WiWrzXq.net
- 「失うものは、人によって違うんだってさ」
僕は、頭の中で整理する前に言葉にした。
「ソラニンで失うものは、自分自身が決めるんだってさ」
「それ、誰が言ってたの」
「テレビに出てた、偉い学者さん」
「…」
言葉は続く。
それが彼女を慰めるのか、傷つけるのか、判断できないまま。
「君は、嗅覚を失うことを、望んだ??」
- 478 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/04(日) 19:53:28.32 ID:4WiWrzXq.net
- 「…」
長い沈黙。
こんな言い方でよかったのか。
いや、そもそもこんな不確定な話を聞かせて、僕はなにがしたいんだろう。
「望んでない」
彼女はきっぱり言い切った。
「ほんの少しの、心の声で、失うこともあるんだって」
「…覚えてない」
においを拒絶するとしたら、僕の体臭がきつかった、とか、そんな理由だろうか。
そうだとしたら、少々ショックだ。
いやかなりショックです。
- 479 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/04(日) 20:01:31.45 ID:4WiWrzXq.net
- もし、そうだとしたら、絶対に喧嘩はしたくない。
僕のことを忘れられたら、と思うと、怖くて。
「僕のこと、忘れないでくれよ」
「…うん」
届いたかな。
真夏だって言うのに、少し寒さを感じた。
悪寒でないことを祈ろう。
「さ、夕食の食材でも買いに行こうか」
「うん」
「今はなにが旬かな」
「…夏野菜のカレー、食べたい??」
「…うん」
「じゃあ、それ、作ろ」
- 480 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/04(日) 20:09:20.21 ID:4WiWrzXq.net
- 「カレーは嫌じゃないの」
「いいの」
「辛くなくてもいいからね」
「…うん」
甘口と中辛の間に決めて、僕らは近所のスーパーにでかけた。
なんだか少しだけ距離が近づいた、気がした。
遠くなかったはずなのに。
不思議だ。
手をつないでスーパーまで歩いて行った。
影が伸びる伸びる。なんてことない光景だけど、笑えてきた。
- 481 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/04(日) 20:15:50.62 ID:4WiWrzXq.net
- 「ね、ナスは入れようね」
彼女はポイポイとナスをかごに投入する。
「オクラは??」
「サラダも作ろうね」
彼女はポイポイとジャガイモやトマトをかごに投入する。
却下されたようだ。なんでだ。
「お、牛肉が安い」
「夏野菜カレーなら鶏肉だよね」
彼女はポイポイと鶏肉をかごに投入する。
僕の意見はどこに行った。
- 482 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/05(月) 22:13:18.15 ID:z8pEIGOt.net
- 「パプリカもいいよね」
彼女はポイポイとパプリカをかごに…
「いや、これ嫌いなんだ」
投入する前に、僕が止めた。
「なんで??」
「色が嫌い」
「きれいじゃん」
「でも形はピーマンじゃん」
緑色じゃないピーマンは変だ。
ピーマンは食べられる。小学生じゃないんだから。
でもパプリカは無理。生理的に無理。
- 483 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/05(月) 22:19:52.37 ID:z8pEIGOt.net
- 「むう」
彼女はちょっと不機嫌になったけど、なんとかパプリカは阻止した。
そのかわりピーマンで手を打った。
…ピーマンって夏野菜じゃないよな。
まあいいや。
「お腹すいた」
袋の中のジャガイモは、ソラニンを思い出すからあんまり好きじゃないけれど。
でもカレーにもサラダにも必要だ。
そう、ジャガイモに罪はない。
- 484 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/05(月) 22:26:37.71 ID:z8pEIGOt.net
- 結果から言うと、カレーは旨かった。
久しぶりの味だ。
彼女も嬉しそうだった。
それが僕を安心させた。
そして、一緒に皿を洗って、一緒にドラマを見て、シャワーを浴びて、寝た。
「おやすみ」
「おやすみ」
どこかで「さよなら」と聞こえた気がした。
- 485 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/05(月) 22:33:41.76 ID:z8pEIGOt.net
- 次の日、僕は目をこすりながら、白い天井を見上げていた。
なんだか変だ。
でも、知っている天井だった。
なんだろう、この違和感は。
窓の外を見ると、今日は天気が悪いのか、空は一面曇っていた。
こういう朝は気分が悪い。
スカッとした青空が見たいのに。
なんだかのどの調子が少し悪い。
そういえば昨日は冷房をかけっぱなしにしてしまった気がする。
- 486 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/05(月) 22:41:15.92 ID:z8pEIGOt.net
- 「おはよう」
彼女が先に起きていた。
声に元気がない。
顔色も悪いようだ。
「夏風邪、引いちゃったかも」
鼻をすする音がする。
「熱は??」
僕は彼女のおでこに手をあてる。
「…手、冷たい」
彼女が笑う。
違う、君が熱いんだ。
- 487 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/05(月) 22:50:12.98 ID:z8pEIGOt.net
- 「熱あるよ。もうちょっと寝てな」
薬を探そうと棚を漁りながら、また違和感を感じた。
顔色が悪いだって??
もう一度彼女に近づいて頬を手で挟む。
「冷たいよ」
違う、君が熱いんだ。
君の頬は熱いんだ。
なのになぜ、君の顔色はそんなに悪いんだ。
なぜそんなに青白いんだ。
…白い。白すぎる。
まるで人形のように。
死人のように。
- 488 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/05(月) 22:59:03.26 ID:z8pEIGOt.net
- 急に気分が悪くなり、流し台に吐いた。
口からは胃液しか出ない。
昨日、なにを食べたっけ。
横を見ると昨日の鍋があった。
ああそうか、カレーを食べたんだ。
蓋を取って中を覗くと、真っ黒な液体が入っていた。
「なんだ、これ…」
彼女が心配そうに、僕の背中を撫でてくれる。
「これ、なに…」
「昨日のカレーじゃん」
「焦げてる…」
「焦げてないよ」
- 489 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/05(月) 23:06:35.88 ID:z8pEIGOt.net
- 脳が鈍く回転を始める。
昨日のカレー。
昨日は焦げていなかったのに今日は真っ黒だ。
訳がわからない。
僕は頭を振る。
ひじがガラスのコップにあたり、床でガラスの割れる音がした。
「あらあら、危ないから、ほらどいて」
彼女が片付けようとしゃがみこむ。
僕もしゃがみこんで、ガラスを拾おうと…
「痛っ」
「あらあら、大丈夫??」
指先を切ってしまった。
指先から墨汁が流れ出す。
- 490 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 :2011/12/05(月) 23:15:27.35 ID:z8pEIGOt.net
- 遠くでテレビの音がする。
「今日は全国的に快晴です」
アナウンサーが天気予報を告げる。
フラフラとベランダへ向かう。
「ねえ、どうしたの??本当に大丈夫??」
彼女の声が後ろで聞こえる。
君こそ、熱があるんだから早く寝なさい。
そう言おうとしたが声にならない。
空を見上げると真っ白な曇り空だった。
下を見下ろすと真っ白な向日葵が僕を見上げていた。
僕はようやく理解し、声をあげて泣いた。
★おしまい★
- 491 :創る名無しに見る名無し:2011/12/06(火) 11:34:04.34 ID:RiiAW2SD.net
- おつ
- 492 :創る名無しに見る名無し:2011/12/06(火) 18:48:01.10 ID:iP1lgJLr.net
- オチが理解できない
誰か説明よろ
- 493 :創る名無しに見る名無し:2011/12/06(火) 21:53:19.02 ID:mZ/l2Vbf.net
- 投下乙です。胸のあたりが重苦しくなるような怖さが印象的でした
>>492
色覚を失ったって事かと。
理由は…前日パプリカの色が嫌いとかやってたあたり?
- 494 :創る名無しに見る名無し:2011/12/13(火) 02:46:10.79 ID:zrKW3E2Q.net
- .
- 495 :創る名無しに見る名無し:2011/12/24(土) 07:52:03.36 ID:gZlpaSDq.net
- 乙です
純愛と少しの不気味さがたまらないな
- 496 :創る名無しに見る名無し:2012/01/08(日) 07:03:49.10 ID:YEkMYmKs.net
- age
- 497 :創る名無しに見る名無し:2012/02/01(水) 04:37:34.03 ID:kiXA1REa.net
-
- 498 :創る名無しに見る名無し:2012/02/06(月) 21:25:32.39 ID:2baFQ1FB.net
- age
vipは今書ける環境じゃないねえ
- 499 :創る名無しに見る名無し:2012/02/19(日) 22:18:41.26 ID:Nk34kw9y.net
- 兄「ただいま」
妹「おかえりー。卒業式なのに帰ってくるの早いね」
兄「クラスの奴らにカラオケ行誘われたけど、断って帰ってきた」
妹「そっか。制服のボタンが全て無事な事と関係があるのかと思った」
兄「はいはい俺はモテねぇよ。後期試験対策で明日も学校行くからな。遅くまで付き合いたくなかっただけだ」
妹「あれ、それじゃ明日も普通に制服で行くの? お母さんが制服クリーニングに出すって」
兄「小論文書いたの見せに行くだけだし、先生にも私服でいいって言われた」
妹「なんだ。んじゃ着替えたらちょうだい。渡しておくから」
兄「おう、悪いな」
妹「はい、お兄ちゃんの制服持ってきたよ」
母「ありがとう。あら、第二ボタンなくなってる。まだこんな習慣続いてるのね」
妹「……物好きもいるんだね」
母「そう? 美男子だけがモテるって訳でもないのよ……何、にやにやして」
妹「し、してないし!」
- 500 :創る名無しに見る名無し:2012/02/19(日) 22:22:17.21 ID:Nk34kw9y.net
- 兄妹物の場合、直接的なエロじゃなくてこういうのが良いと思うんだ
- 501 :創る名無しに見る名無し:2012/02/19(日) 23:25:42.22 ID:j5VY8i6X.net
- うむ、いいかもしんない
- 502 :創る名無しに見る名無し:2012/02/21(火) 21:28:15.51 ID:Rv42F5S3.net
-
ワイが聞いた情報によると、もうじき中国はバブルがはじけて昔の貧乏な中国に戻るらしいで
もう経済は破綻してて、取り戻すのは無理なんだそうや
その世界ではごっつい有名な政府関係者筋から聞いた確かな情報やで
まあお前ら頭の良い連中には、今さらなくらいのネタやな、
お前らからすればもう常識的なくらいの知識やろ?
2ちゃんねるやってるやつならこの情報でもう大儲けしてるしな♪
- 503 :創る名無しに見る名無し:2012/02/22(水) 03:56:32.60 ID:f0i3wAY4.net
- 【友】
1「おー、元気そうじゃん」
2「そっちもな」
1「今何してんの」
2「呼吸」
1「そういうのいらねーから」
- 504 :創る名無しに見る名無し:2012/02/22(水) 03:57:15.49 ID:f0i3wAY4.net
- 2「お前は?」
1「えー適当に。バイトしてる」
2「相変わらずだな。定職つかねーの?」
1「まあそれは後々。やりてーことあるし」
2「やりたいことって何よ」
1「なんでもいいじゃん」
2「そう言われると尚更気になる」
- 505 :創る名無しに見る名無し:2012/02/22(水) 03:57:52.06 ID:f0i3wAY4.net
- 1「ん、あれだよあれ。世界一周」
2「は?」
1「だから、世界一周」
2「なんで?」
1「いや、色々見ときたいじゃん」
2「ほー」
1「なんだよ」
2「いや、なんかお前らしいけどな」
1「そうか?」
2「んー、衝動的というか奔放な感じが」
1「それ誉めてんの?」
2「まあ羨ましくはあるけど、真似したくはない」
1「まあそうだよな(笑)」
- 506 :創る名無しに見る名無し:2012/02/22(水) 03:58:17.51 ID:f0i3wAY4.net
- 2「お前いつもそうだな」
1「なにが?」
2「今いるところに執着心がない」
1「そうか?そんなことないぞ」
2「すぐふらっとどっか行くし」
1「んー」
2「ひとつのところに留まった試しがない」
1「まあ、そうかもだけど」
2「部活もころころ変えてたし今は仕事も」
1「あー。すまん」
2「なんで謝る」
1「なんとなく」
- 507 :創る名無しに見る名無し:2012/02/22(水) 03:58:41.27 ID:f0i3wAY4.net
- 2「責任感とかないのか」
1「それなりにはあるつもりだけどな」
2「そういうとこ本当嫌いだわ」
1「知ってる」
2「そういうところもな」
1「ごめん(笑)」
2「まあ良いけど」
- 508 :創る名無しに見る名無し:2012/02/22(水) 03:59:23.22 ID:f0i3wAY4.net
- 1「俺だって執着心無い訳じゃないぞ」
2「へぇ」
1「変わらない物があるから俺は自由にやれる」
2「変わらないもの?」
1「うまく言えないけど、友達とか?」
2「人は変わるもんだぞ」
1「お前は何年経ってもお前だ」
2「俺だって変わった」
1「ちょっと老けたな(笑)」
2「そういうのいらねーから」
1「(笑)」
- 509 :創る名無しに見る名無し:2012/02/22(水) 03:59:50.78 ID:f0i3wAY4.net
- 2「お前は本当変わらないよな」
1「ちょっとだけカッコよくなったろ」
2「気のせいだ」
1「お前は」
2「は?」
1「お前はなにしてんの」
2「ああ。普通に社畜」
1「社畜か」
2「社畜だ。お前と違って堅実派なんでな」
- 510 :創る名無しに見る名無し:2012/02/22(水) 04:00:23.13 ID:f0i3wAY4.net
- 1「お前らしいな」
2「どうも」
1「お前の夢、まだ覚えてるぞ」
2「忘れろ」
1「でっかい男になってでっかい事をする」
2「忘れろって(笑)」
1「あんまり大きくはなってないな。身長的な意味で」
2「身長の事は言うな。お前は無駄にでっかくなりやがって」
1「牛乳飲んでたからな」
2「俺だって飲んでたわ」
- 511 :創る名無しに見る名無し:2012/02/22(水) 04:00:57.19 ID:f0i3wAY4.net
- 1「将来は一流企業の社長か(笑)」
2「まあ、後々な」
1「お前ならなれる気がする」
2「どーも。俺も覚えてるぞお前の夢」
1「へ?」
2「おっきくなる」
1「ああ。おっきくなれたな(笑)」
2「分けろバカ」
1「牛乳が足んねーんだよ」
- 512 :創る名無しに見る名無し:2012/02/22(水) 04:03:49.75 ID:f0i3wAY4.net
- 2「アホか」
1「じゃあ気合いが足らん」
2「うるさい。で?」
1「ん?」
2「次の夢は?」
1「次の夢?んー世界各国に愛人を作るとか」
2「アホ」
1「夢はでっかく。だろ」
2「本当にやりかねないから怖いな」
1「やるんだよ」
2「ハーレムでも作る気か」
1「それも良いな」
- 513 :創る名無しに見る名無し:2012/02/22(水) 04:04:46.80 ID:f0i3wAY4.net
- 2「他にはなんか無いのか」
1「他?何だろうな」
2「色々あるだろ」
1「んー例えば?」
2「えー家を建てるとか有名になるとか金持ちになるとか」
1「それも良いかもなー」
2「適当だな」
- 514 :創る名無しに見る名無し:2012/02/22(水) 04:05:17.85 ID:f0i3wAY4.net
- 1「そうか?」
2「お前って欲があるんだか無いんだかわからん」
1「普通にあると思うけど」
2「実はあまり興味無いだろ」
1「なんで?」
2「なんとなく」
1「そうか」
- 515 :創る名無しに見る名無し:2012/02/22(水) 06:49:56.59 ID:f0i3wAY4.net
- 2「見つかると良いな」
1「ん?」
2「生きがい」
1「生きがいか」
2「俺は変わらないで待ってるから」
1「そうだな」
2「ああ」
1「ハゲてたら笑うからな」
2「ハゲねーよ」
1「ハゲましてくれてありがとう(笑)」
2「うるせーバカ」
- 516 :創る名無しに見る名無し:2012/02/27(月) 02:39:50.40 ID:YloicEog.net
- 女「男よ、今日の配給だ」
男「またおにぎり一つか…これいつまで続くんだろな」
女「おにぎりがあれば幸せじゃないか」
男「食えるだけ有り難いとは思うが…」
女「おにぎりがあって君がいる、私には何の不満もないぞ」
男「///」
女「おにぎりがあって良かった」
男「…」
被災してた時に書いたSS
- 517 :創る名無しに見る名無し:2012/02/27(月) 23:46:23.05 ID:L922xphC.net
- 男「もう陽が落ちるな」
女「また、夜が来るんだね」
男「怖い??」
女「怖いよ…でも…」
男「でも??」
女「君といれば、少しは平気」
男「そっか」
男「おれもだ」
女「夜怖いんだ」
男「そっちじゃねえよ」
女「私といると、怖くないんだ」
男「そうだよ、わかってるなら言うなよ」
女「えへへ」
- 518 :創る名無しに見る名無し:2012/02/28(火) 22:50:11.37 ID:i6owpL/Y.net
- 兄「おい、くりぃむレモンのビデオ見ようぜ」
妹「いやだよ」
兄「いいじゃん。お前、特等席で見ろよ。俺の膝の上」
妹「おい、触るなよ」
兄「いいだろ。兄妹なんだしぃ」
妹「イヤだって言ってるだろ。ハゲ!」
兄「なんだと? お前だって無毛じゃないか!」
妹「無毛のどこが悪いんだよ。ハゲよりは需要があるぜ」
兄「ねーよ」
妹「あるって言ってるだろ包茎!」
母「まあまあ仲がよろしいこと。もう少し盗み聞きしましょ。新たなる展開を期待して……」
- 519 :創る名無しに見る名無し:2012/03/08(木) 04:09:04.88 ID:/pZi7U5/.net
- a
- 520 :創る名無しに見る名無し:2012/03/11(日) 17:49:05.43 ID:rcUeQBeu.net
- 流れ切って申し訳ないんだけど、地の文が多いタイプのブーン系なんかは何処でやればいいんだ?
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