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二次創作総合スレ

57 :創る名無しに見る名無し:2012/02/07(火) 16:42:37.19 ID:AXo6ukeu.net
遥か昔、平氏と源氏の戦いがあった。
その戦いは後に壇ノ浦の戦いと呼ばれるものであり、平家の者は船の上にいた。
源氏との戦いは劣勢を極め、幼き帝は従者と共にある決断を迫られた。
敵への軍門へ下るかそれとも入水を図るか。
右も左もわからぬ幼き者にはそれが何を意味するかわからずじまいだった。
だが、既に従者達は決断を決め、帝を抱きかかえると海へと飛び込む者に続き、次々に死を選んでいく。
水の中、死が近づいてきていると悟った帝は手にしていた剣から何かの声がきているのがわかった。
「そなたの命、ここで絶やすわけにはゆかぬ。我が力を持って救おう」
柄に嵌め込まれた蛇眼の形をした宝石から、赤い光が出ているのが見えると、気づいた時には陸の上にいた。
周りには誰もおらず、辺りには波の音が聞こえるだけだ。
手にしていた剣もなく、砂浜のみがあるだけであった。
程なくして、三種の神器である天叢雲だけが行方知れずとなり、
八咫鏡、八尺瓊勾玉のみが京へと返されることになった。
また、その幼き帝も行方知れずとなっていた。


時は流れ、歴史の一部として語られている壇ノ浦の戦い。
人々が戦争の惨劇の事も過去として忘れ去ろうとしていた中、東京で一人の人間によって事態が動きはじめていた。

梅雨の降る時期の深夜。
吉祥寺の商店街近くにあるゲームセンターから少年が友人二人と出て行く。
笑顔で出てくるところ、機嫌がいいようだ。
「それじゃ、また明日な」
少年は手を振って別れの挨拶をすると、二人と離れて反対方向の道に進んでいった。
先ほどのゲームの音楽を自分の頭の中で流し始めると遊んでいた記憶が刻一刻と思い出させる。
次第に商店街から少し離れて路地に入り、歩いているとなにやら妙な感じがして振り向くが何も無い。
一歩一歩が自然と重くなっていき、空気が重い。
夜遅くには変質者や通り魔などが出てもおかしくはないが明らかにそれらとは空気が違う。
急に後ろの方で大きな音がして驚いて振り向く。
「・・・・・・」
少し待ったが何か来るわけでもないことを確認すると歩いて行く。
何かがおかしい。少し急ぎ足で本屋へと向かった。

小さな書店に入ると見慣れた店員がいた。
少年は真っ先にカウンターに向かって在庫があるかどうか聞く。
「いらっしゃい。君か」
「おじさん、アルカディア入ってる?」
店員が少年に言われると手馴れた手つきで差し出す。
左のポケットに入れていた財布から小銭を出すと少年はバラっと台の上に乗せた。
「580円だ。毎度あり!」
少年は店を出て流し読みをしながら歩く。
街頭の薄光で読み、自分の名前が載っているのを確認すると本を閉じ、家に向かって走り出した。
辺りが暗くなっていてその少年にはわからなかったのだろうが、先程の近くの石壁には無数の弾痕があった。

家に帰ると母と父が出迎えた。
母が夜遅くまで遊ぶ息子を心配する。
だが息子は心配ないといった表情で答えた。
「どうせ常連客と対戦でもやってたんだろう?それでついつい熱くなってこんな時間までかかった」
父は的確に言って息子は笑う。
「ばれてたか。それじゃ風呂はいるわ」
「パジャマなら洗面所に掛かってるから。明日は実技の筆記テストでしょうけど、あまり遅くならないようにね」
母親から忠告を受けると風呂場へと向かう。

ザパーっと湯が溢れる音を流して湯船に入ると、先ほど起こった事を少し考える。
先程の大きな音はゲームの中で鳴る音。
外でゲームの音が聞こえることはまずありえない。
少年は考えようとしたが明日は少し忙しいのであとから調べることにしようと思った。
顔をお湯の中に入れてジャバジャバと洗い、顔の油脂分を少し取っていく。
湯船から上がり、風呂場から出るとドライヤーで黒髪を乾かしていく。
「こんなもんかな。あとは歯磨いてと」

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