2ちゃんねる ■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50    

創作系 煽り合戦 口論 議論専用スレ

213 :無名兵士 ◆O7UREK3bSQ :2011/02/18(金) 13:54:10 ID:Wr3qKzbr.net
お題:疑心

部屋に戻った地獄丸は、ギョッとした。
なぜなら、白装束になぎなたといういでだちで、恋人が彼を待っていたのだから。
「お、おいどうした?カチューシャ。電気もつけないで」
カチューシャは答えない。その目からは感情が消えていた。
「やっと見つけたの。あなたの裏切りの証拠を」
淡々と、ひとりごとのように彼女はつぶやいた。
「俺の裏切り?」心当たりのない彼はおもわず問いかける。
「とぼけないで」地獄丸の問いかけをカチューシャは拒絶する。
彼女の視線は虚空をさまよい…そしてゆっくりと、台所の蛇口を見すえた。
蛇口からはポタ…ポタ…と水滴がおちていた。

「まさか蛇口の水滴の音であの女と交信していたとはね…」
カチューシャの口の端が醜くゆがむ。感情のない笑い。
「は?」と地獄丸

「弁解はいらないわ。それが事実かどうかだってどうだっていい」
「・・・」地獄丸は何も言わない。何もいえなかった。
「ただ、あなたは私に裏切りを疑われている。それだけで充分なの。
もしもあなたが浮気をしているのなら許せない。生かしておくわけにいかない。
浮気をしていないのなら、あなたを疑う私の心は、私を…」
カチューシャのコトバが止まる。

「ごめんなさい。私どうかしていたわ。おどかしてごめんなさい」
「・・・」
「あなか空いてる?晩御飯作るわね」
「・・・」
カチューシャは胸をおさえ、目を伏せた。その瞳から、ひとすじの涙が流れた。

(END)

169 KB
新着レスの表示

掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50
名前: E-mail (省略可) :

read.cgi ver.24052200