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星新一風のショートショート書いた

1 :創る名無しに見る名無し:2016/01/24(日) 08:43:59.22 ID:F1ihCLB8.net
二周目

「今日の食事もこれだけか。」
エヌ氏は妻に愚痴をこぼした。

人類は厳しい食料困難に陥っていた。
全ての国は爆発的な人口の増加に食物の生産が追いつかなくなっていたのだ。

妻が研究者であるエヌ氏に成果を聞くと
「昨晩ついに完成した。あとはこれをどう人間に組み込むかだ。待っていろ、もうすぐ豪華な食事を用意できるようにしてやる。」
食事を終えた彼はそう言い研究室へ戻った。

エヌ氏が発明したのは小さな機械である。
今まで食料とされていなかったものからエネルギーを取り込み、動くことができるというものだ。

食糧難の対策に焦っている国はこの研究に目をつけ、多額の補助金を出した。おかげで研究はどんどん発展し、過酷な環境に適応したり、自己修復、自己複製までできるようになった。
しかし一向に人間に組み込む方法は見つからなかった。

焦る気持ちとは裏腹に残酷にも時間は過ぎていった。
それ以降も研究は進まず、食糧難は更に進み幾つかの国が滅んだ。
そこまで来ている世界の終わりに、人々はもっと早く対策をしていればと口を揃えて嘆いた。

「ついに間に合わなかったか。」
エヌ氏は錆び付いた金属の体でその大量の失敗作を海に投げ捨て、動かなくなった。

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