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【スローライフ】南国の楽園バハラマルラTRPG

1 :創る名無しに見る名無し:2016/10/05(水) 16:19:33.11 ID:bxmG8TCb.net
ここは南国、バハラ列島……

その中で最大の都市、バハラマルラから、物語は始まる。

70 :山猫人の茶商ラスードディク@NPC:2017/03/12(日) 00:09:03.71 ID:+8ymd4OB.net
(白板の品書きに視線を移し、ラスードディクは小さな拍手を鳴らす)

これは中々に興味深い試み。
石芙蓉に新たな姿と価値を与えようとは。
ならば、その霊感を工具として確かなものをお作りなさい。
地神の芸術が再現され、人々と世間を変化させることを、私も期待しております。

(帰り支度を整えつつ、茶商は猫撫で声でアクアに囁きかける)

お互いに良い取引となりましょう、姐さん。
もしご入用でしたら、いくばくかの融資をしても構いませんよ。
今すぐとは申しませんが、その気になりましたら、ぜひとも声をおかけください。

(戸口まで歩くと、ラスードディクは首だけで振り向く)

この店のことも方々で宣伝しておきましょう。
……それでは、またいずれ。

71 :シャトーブリアン@NPC:2017/03/13(月) 19:44:29.48 ID:QmErZMIo.net
(・∀・)もっと宣伝しよう! 押し売り! オシャレ公告! 握手会! 官民癒着!

【どこかで聞き覚えたらしいマーケティングプランを得意げに言い放つ】

72 : ◆/4VhtBS0xQ :2017/03/16(木) 18:16:48.61 ID:J1rRBrbh.net
【短期間ではあるが規制対象になっていてな。
 有事の際の待ち合わせ場所の指定を失念していた事に気付いた。
 今回は後手に回ったが、これは本来であれば予め確認しておくべき事項だった。
 以降、長期間に渡って規制を受ける様な場合には、可能である限り以下の外部避難所に伝言を置く。
 
 創作発表板 避難所
 ttp://jbbs.shitaraba.net/internet/3274/
 なんでも投下スレin避難所2
 ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/3274/1334145425/

 幾つかの場を調査に訪ねて個人的に考える所もあった。
 避難所とは、止むを得ない環境を除いて新規に"作成"する物では無く、
 充分に用を為す既存の場が存在する限りに於いては、"指定"を行う努力をすべきだ。
 そうでなければ、本来の機能である緊急時の保険の意味合いを半ば形骸化させ、逸脱したままに、
 避難所の名を免罪符に掲げた、事実上特定数人の専有的集会所の数だけが際限なく増加していく危険がある。

 事が起こってからの対応では、音信途絶した側も探す側も余計な手間が掛かる。
 それが、今回の教訓だ。主に俺が同じ轍を踏まない為に、以上を周知しておこう】

73 : ◆jefjPrfwTs :2017/03/17(金) 02:16:02.97 ID:XzEfyrSJ.net
【(取り急ぎ返信だけ、本編は追って投下する)
それは大変だったな……。最近規制が少ないからすっかり油断していたよ。有事の際の打ち合せ場所の件了解した!】

74 :アクア ◆jefjPrfwTs :2017/03/20(月) 23:57:07.96 ID:cK9ni5ea.net
>お互いに良い取引となりましょう、姐さん。
>もしご入用でしたら、いくばくかの融資をしても構いませんよ。
>今すぐとは申しませんが、その気になりましたら、ぜひとも声をおかけください。

「しかし融資を受けるには湯たんぽとかいうものが必要と聞いたことがある……はっ」

シャトーブリアンと目が合う。

「抱いたら暖かいという点では似てるな。しかし国王はもはや重要な広告宣伝フレンズ。
借金のカタに持っていかれるわけにはいかない」

>もっと宣伝しよう! 押し売り! オシャレ公告! 握手会! 官民癒着!

「オシャレ広告は名案だが握手会しようにも国王には手が無いだろう。まあ代わりにモフり会をすればいいか。
そうだ、国王のイラストをパッケージに使ったりマスコットをオマケに付けたりしてみよう」

こうしてヴァグラント考案の新商品の魅力と国王の広告宣伝効果も相まって、石芙蓉は瞬く間に評判となっていった。

「あぁああ!心がぴょんぴょんするんじゃぁあああ!」

街人の中のフレンズの割合がかなり増えてきた頃――
【通りで錯乱する人の急増! 最近流行りの合法茶の影響か!?】などという見出しが町内情報誌の紙面におどるようになった。

「我々の石芙蓉茶は幸せな気分にはなれど錯乱などしない……! 真犯人をつきとめるぞ!」

と、意気込むアクア。すると――

「びっくりするほどユートピア! びっくりするほどユートピア!」

と叫びながら自らの尻をバンバン叩きながら公園のベンチに飛び乗ったり飛び降りたりしている
平たく言えば錯乱している人を都合よく発見した。
こっそり後を付けてみると、赤を基調とした派手な看板の見るからに怪しげな店へと入っていく。

「頼む、石烏龍をくれ……!」
「へい、まいどありがとアルねー」

「ウーロン……!? 俗に言う類似品というやつではないか!」

名前の響き以外全く似ていないような気がするが気にしてはいけない。

「とにかくあの茶はヤバイ。なんたってドラゴン、名前からしてヤバイ。
あの店をのさばらせては我々まで風評被害を受けてしまう!」

こうしてRoast&Milk Cafe"Chateaubriand"に強力なライバルが出現したのであった。

75 :シャトーブリアン@NPC:2017/03/21(火) 18:50:45.84 ID:JKaiImig.net
(・∀・)攻撃は最大の防御。競合店は潰そう!

【アクアの頭上を定位置としつつ、司令塔として経営戦略を示す】

76 :常連客@NPC:2017/03/22(水) 13:46:47.99 ID:3dnFag/d.net
日差しの強さが収まり、空に物憂げな色の混じり始める時刻。
仕事や学業を終えたものたちは、それぞれの憩いの場に集い始める。
川縁の木陰、馴染みの酒場、港が見える高台、あるいは人気のカフェテリア。

Chateaubriandでも十数人の客が席を占めていた。
バハラマルラの特色として、獣人や半獣人の姿が多い。
今日の彼らが興じる噂話は、経営者たちの素性のようだ――――。


「皆さん聞いたっスか? ここの主人たちが不帰の島から来たって噂!」

「不帰の島? 今日のは楽しげなホラ話だねえ。一昨日のアレと違って」

「まったく、テメェは嘘ばっかり吐きやがるなァ」

「ええ〜っ☆ お二人とも最初からデマって決めつけちゃ可哀想ですよー♪」

「でも、列島の外の出身なのは間違いなさそう。なんか雰囲気が違うもん」

「……詮索好きな事だ」

「不帰の島って、ごく稀に沖の方で見えるとかって噂の島ですよね?」

「確か、私の聞いた昔話だと異界に通じる島……らしいですけど……」

「異世界なんぞあるものか」

「あら、あった方がロマンチックじゃなぁい?」

「そんなことより、この店は税金を支払ってるんですかね」

「払ってる方に300マルラ!」

――――――――――――――――――――

◆不帰の島(かえらずのしま)

ごく稀に海上で目撃されるらしいが、位置も出現条件も一定せず、形状すら定かではない幻の島。
水平線に不帰の島が見えた数日後、付近の砂浜に稀人が打ち上げられるという伝承は列島各地に数多い。
この島を目指した者の行方不明が相次いだせいで、いつからか異界や幽世に通じるとされ、不帰の名を冠された。

ありえざるもの、不可解なもの、異界的なものが存在する際の説明として、合理的な(都合の良い)伝承。
不自然な失踪者も、不帰の島に向かったことにすれば全て解決。

77 :ヴァグラント ◆/4VhtBS0xQ :2017/03/25(土) 14:42:56.56 ID:nbe3ykHL.net
>>70 再現あるいは錬成

「―――『霊感を工具として』、か。
 山猫の眼というのは厄介なモノだな、ラスードディク。
 どうやら貴様には、その人間の備えている本質的な何かを見通す力が有るらしい」

 少なくとも、このような姿は石芙蓉の望む所では無かった筈だ。
 神ならざる人の手が、その業を超えた"美しい何か"を新たに生み出す事は出来ない。
 おそらく、俺も例外では無いのだろう……幾千の創造を越えて、確かなモノなど何一つ残せはしなかった。

「時に、人材の"融資"は請け負っているか? 無論、手数料は支払おう。
 具体的には――――知り合いに弁護士が居るならば紹介して欲しい」

『しかし融資を受けるには湯たんぽとかいうものが必要と聞いたことがある……はっ』

「お前にしては良い着眼点だ、アクア。いざとなれば国王の皮を剥ぎ取り鞣して袋を作り、湯を注ぐまでだ」

『しかし国王はもはや重要な広告宣伝フレンズ――…』

『(・∀・)もっと宣伝しよう! 押し売り! オシャレ公告! 握手会! 官民癒着!』

「押し売りには、現行法に抵触する危険性が常に付き纏う。
 入れ食い状態の維持が困難な局面である以上、誘引要素の強化を積極的に図るべきだ。
 今後、運良く行政機関との人脈および金脈を確保する事が出来れば、法的な問題も大した障害ではなくなる」

『オシャレ広告は名案だが握手会しようにも国王には手が無いだろう。まあ代わりにモフり会をすればいいか。
 そうだ、国王のイラストをパッケージに使ったりマスコットをオマケに付けたりしてみよう』

「国王に手が無いのもそうだが、大規模なイベントを打って集まった客達に応対し、捌くには頭数が足りない。
 安直だが、地域密着型アイドルグループの様なモノをプロデュースし、広告塔に仕立て上げるか。
 アルバイトのウェイトレスの中に、ダンスや歌を得意とする者が居ないか調べてみよう。
 活動が軌道に乗った頃合いを見て、握手会自体も有料イベントにシフトする。
 物販コーナーでは次回イベントの抽選券を付けた関連商品を展開だ」

78 :ヴァグラント ◆/4VhtBS0xQ :2017/03/25(土) 14:43:38.35 ID:nbe3ykHL.net
『我々の石芙蓉茶は幸せな気分にはなれど錯乱などしない……!』

――――その日、新ユニットの宣材撮影現場から一時帰店すると、アクアが荒れていた。
原因は、最近になって地域情報誌に頻出し始めた、限りなく事実に近い特集記事らしい。

『真犯人をつきとめるぞ!』

「その意気込みは買うが、アクア――」

『あぁああ!心がぴょんぴょんするんじゃぁあああ!』

「――あの有様を見て錯乱だと思わなくなったお前も、やはり錯乱している。
 そして、我らが国王に到っては初対面からすでに錯乱している様なモノだ」

世の中には"良い錯乱"と"悪い錯乱"と"普通の錯乱"が存在する。
幸せな気分になる程度の範疇に収まっているのであれば、それは"良い錯乱"だ。
情報誌で取り沙汰される程の社会問題として認知されるレベルで、初めて"普通の錯乱"となる。

「ソレが"悪い錯乱"であるならば対応せざるを得ないが、
 翻って"悪い錯乱"の定義とは何であるのか、その解答は単純だ。
 類似商品を取り扱う我々の経済的利益を害し得るモノ、それこそが"悪い錯乱"だ。
 制止はしない――――征け、アクア。この世全ての悪を、お前自身の目で確かめて来るがいい」



……

『(・∀・)攻撃は最大の防御。競合店は潰そう!』

「実に国王らしい短絡的な防衛戦略だが……アクアの調査報告を聞いた後では、検討せざるを得ないか」

赤を基調とした派手な看板の見るからに怪しげな店とやらの内に在って、
健全たる経済活動は実現され得るのか――――否、びっくりするほど断じて否。
そもそも『アルね』などと言う巫山戯た語尾の使い手が、善良な商売人である筈が無い。

「そろそろ夜も更けて来たな……特に他意は無いが、"散策"には絶好の新月だ。
 陽が昇ってしまわない内に、その店主と話(ツブ)し合いの場を設けるとしよう」

事業が拡大してからは疎遠になっていたココの実採集用のハチェットを、数本ベルトに差し込む。
グリップに巻き付いた荒縄は、堅果の破砕時、果汁を浴びた際に滑り止めの役割を担う。
もし仮に、この果汁が血潮であったとしても結果的には同様の機能を果たすだろう。

「散策中に起こり得る不測の事態よっては今晩、その店主が何らかの不幸な事故ないし不慮の天災で蒸発する。
 災(さいわ)いな事に今、このタイミングならば"不帰の島に引っ越した"と解釈される公算が大きい。
 凶(こう)か不幸か、噂好きな常連客には事欠かない。全く……恐ろしい島だな、此処は」

79 :シャトーブリアン@NPC:2017/03/25(土) 19:24:09.20 ID:xTU35LrC.net
(・∀・)ふるふる、バハラマルラでは何が起きてもおかしくないよ

【常連客の一人、虎人族の猟師の視線を思い返して身震い】
【そのままアクアの頭からズリ落ちると、夜の街路を軽やかに跳ね進む】

80 :アクア ◆jefjPrfwTs :2017/04/01(土) 10:13:57.11 ID:tH87Kw6i.net
『(・∀・)攻撃は最大の防御。競合店は潰そう!』
『実に国王らしい短絡的な防衛戦略だが……アクアの調査報告を聞いた後では、検討せざるを得ないか』

『そろそろ夜も更けて来たな……特に他意は無いが、"散策"には絶好の新月だ。
 陽が昇ってしまわない内に、その店主と話(ツブ)し合いの場を設けるとしよう』

「おう――!」

アクアも久々に高圧水流(時々水以外のもの)を噴射することによって敵を制圧する二丁一組の武器
――通称二丁水鉄砲を装備し、話(ツブ)し合いに出かける気合十分である。
念のために言っておくと飽くまでも夜道の護身のためである。飽くまでも。

『散策中に起こり得る不測の事態よっては今晩、その店主が何らかの不幸な事故ないし不慮の天災で蒸発する。
 災(さいわ)いな事に今、このタイミングならば"不帰の島に引っ越した"と解釈される公算が大きい。
 凶(こう)か不幸か、噂好きな常連客には事欠かない。全く……恐ろしい島だな、此処は』

そう、たとえ今宵ライバル店の店主が何等かの理由で蒸発したとしても、それは不幸な事故なのだ。

『ふるふる、バハラマルラでは何が起きてもおかしくないよ』

二人を先導するように夜の街を軽やかに跳ね進むシャトーブリアン。
夜道をかける二人と一匹は、ついに敵の牙城へ辿り着く。
あろうことか、こんな夜更けだというのにライバル店は明々と灯りが付いて
看板が光ったりしており、昼間にも増して禍々しさを放っていた。

「夜は良い子は寝るものだ、つまり奴らはよからぬ事をしているに違いない! 突入ッ!!」

そこでは、布一枚で必要最小限の面積を覆う機能的な衣服――通称褌を身に着けた筋骨隆々の男達が客の隣に座って烏龍茶で接待しているという
びっくりするほどユートピア!な光景が繰り広げられていた。

「へいらっしゃいアルねー、うちの店は豚肉&ウーロンバーアルねー。夜の営業がメインアルねー」

出てきたのは豚型の獣人――
自分達の店は失踪中の本来の持ち主は牛の獣人だと聞いたのを思い出し、奇妙な巡り合わせを感じる。

「やはり悪徳業者か、バーで店員が客の隣に座って接客するのは法律違反のはずだ……!」

「細かいことは言いっこ無しアルねー!アナタたちは最近台頭してきたライバル店の経営者アルか!?
ちょっと待ってアル、ワタシ戦争嫌いアル、落ち着いて話(ツブ)し合うアルねー!」

豚型獣人が指を鳴らすポーズを取る(本人的には鳴らしたつもりなのだろう)と、
筋骨隆々の男達が一斉に立ち上がり、異様な威圧感をもってこちらに向かってくる。
バハラマルラの経済制圧権を賭けた話(ツブ)し合いが始まる――!

81 :シャトーブリアン@NPC:2017/04/01(土) 15:04:05.29 ID:CxwCiDx7.net
(・∀・)ふるふる、ここは斟酌しよう

【接近する巨漢達に忖度して、シャトーブリアンは同行者に折衝を付託する】

82 :ヴァグラント ◆/4VhtBS0xQ :2017/04/08(土) 21:37:37.70 ID:MSV5ahNB.net
『(・∀・)ふるふる、バハラマルラでは何が起きてもおかしくないよ』

「武者震い、などという殊勝なモノでは無さそうだな。夜風の冷たさに当てられでもしたか。
 何れにせよ、この程度の事で肉質を委縮させている様では、その毛皮に存在意義は無いな」

実際の所、この震え方には心当たりがあった。端的に言えば、捕食者と相対した被食者のソレだ。
テインダクトゥスの狩人が来店した際に、同様の反応を目の当たりにしている。
業腹だが、その様な機微を察する程度には長い付き合いだ。

「……月が綺麗に消え去った夜空の下だ。確かに何が起きてもおかしくはない。
 だが貴様には、この夜を無事に生き延びる義務がある。己の時価を忘れるな」

国王の身体を目当てに来店する常連客が落として行くマルラは軽視できない。
少なく見積もっても週に50マルラは固い。月に200マルラ、同様の客が10人で2000マルラだ。
最早、一鍋で終わるモララン肉とチーズのミルク・キャセロール程度で稼ぎ出せる金額では無くなっている。

「明日の"モラランふれあいコーナー"が休業とあっては、来店した常連客に無駄足を踏ませる事になる」

思えば、無一文の漂流者だった己とアクアが国王と遭遇してからの日々は、無駄足の連続だった。
苛立たしい事や腹立たしい事、忌々しい事や苦々しい事など、様々な事案が頭痛を伴って想起される。
この国王と時に罵り合い、時に誹り合い、それでも互いに互いの喜びを掠め取りながら共に歩んで来た道だ。
留守番の体裁で不法占拠した牛乳屋が常連客を抱える人気店となった現状も、未だに悪質な冗談に思えてならない。

総じて長く、実に奇妙な旅路だった事は確かだ。
そして今、二人が歩き一体が跳ねる夜の街路も――――


「……金蔓(こくおう)は、俺が護り抜く。何が起きてもだ」


――――おそらくは始まりの街道、あの陽だまりの石畳の延長上に在るのだろう。

83 :ヴァグラント ◆/4VhtBS0xQ :2017/04/08(土) 21:39:28.32 ID:MSV5ahNB.net
『夜は良い子は寝るものだ、つまり奴らはよからぬ事をしているに違いない! ―――』

「ああ……よからぬ深夜徘徊者自身から発せられる言は、実に壁に響くモノだな、アクア」

『―――突入ッ!!』

招かれざる客が龍の顎門を左右に蹴り開け、決戦の舞台に立った。
様式美としてのセンチメンタルな死亡フラグの構築ならば、予め抜かりなく済ませてある。
今回の討ち入りの結果、敵味方を問わず何人かが不帰の島送りになったとしても、ソレは不可抗力に違いない。

『へいらっしゃいアルねー、うちの店は豚肉&ウーロンバーアルねー。夜の営業がメインアルねー』

「……邪魔をするぞ主人。早速だが、幾つか注文をしたい。先ずは――――全員、其処を動くな!

 一つ、貴様達に黙秘権は無い。
 一つ、貴様達の供述内容は法廷で不利な証拠になり得る。
 一つ、貴様達は弁護士ないし公選弁護人の立会いを要求する権利も認められない。
 以上を理解できた者と理解できなかった者は、速やかに頭の後ろで両手を組んだ状態で着席(スクワット)だ」

『やはり悪徳業者か、バーで店員が客の隣に座って接客するのは法律違反のはずだ……!』

「同法の規定する"歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客を持て成す"接待に該当するか否かが争点か。
 先日の判断ミスが悔やまれるところだな。俺は一手、進め損じていた事になる。
 我々の側だけは、法律屋の手配を急いでおくべきだった」

『細かいことは言いっこ無しアルねー!アナタたちは最近台頭してきたライバル店の経営者アルか!?』

「その細かい言いがかりを付けに来た。オーク語では経営者と山師の区別が曖昧らしいな。
 先に断って置くが、当方に正義は無い。しばらく悪党同士の話(ツブ)し合いに付き合ってもらうぞ。
 就いては何本かの刃物を持参した。コレは豚肉を切る用途に使えるが、豚野郎も問題無く斬れる優れ物だ」

84 :ヴァグラント ◆/4VhtBS0xQ :2017/04/08(土) 21:42:15.90 ID:MSV5ahNB.net
『(・∀・)ふるふる、ここは斟酌しよう』

「――――臆したか、国王。
 いや……貴様にとって、この手の巨漢は全て恐怖の対象か。
 厄介な伏線もあったモノだ。常連客とは言え、遺憾の意を表明するぞ、テインダクトゥス……!!」

『ちょっと待ってアル、ワタシ戦争嫌いアル、落ち着いて話(ツブ)し合うアルねー!』

「国王がこの調子では、交戦許可など望むべくも無い。事の発端に返り、解決すべき問題点を整理しよう。
 何らかの理由で錯乱者が生み出され、その風評被害が当方にまで及ぼうとしている現状だ。
 我々のカフェの客を良い意味で錯乱させているのは、紛れもなく石芙蓉だが、
 この店の場合は、明らかに事情が異なる……石烏龍は、無害だ」

人を生かす糧それ自体に罪は無い。
有史以前の原初から、罪悪とは人間独自の"発明品"であり、
楽園と引き換えにしてでも、人間は原罪の保有者で在り続ける事を選んだ。
その一方で、捨てきれぬ楽園への回帰願望が、歪んだカタチを得て現界した結果が此処に在った。

「到底、理解も共感も不可能な趣向だが、この店の接客サービスこそが来客の錯乱……いや、"堕落"の誘因だった。
 斯様な接客形態は抑圧された紳士淑女の抱く夢を叶えるに足るモノであり、事実相当数の集客を成した。
 しかし、ソレが悪夢であるとするならば、話は別だ。朝を迎える前には幕を引く必要がある。
 俺が最期の観客として見届けよう……楽園の終焉に立ち会うのには慣れている」

……今回の凄惨な事件を総括し、敢えて教訓を見出さんと試みる事が許されるのであれば、以下の様になるだろう。
楽園に魂を縛られた者が暗闇の中で幻視する夢は、時として現実の白昼をも容易く侵食し得る。
それは神ならざる人が地上に創造した、許されざる禁忌の理想郷――――

「羞恥を解する理性は、法治国家の市民たる要件の一つだ。
 それは知恵の実を食した者が獲得した他己の比較・識別作用に起因する。
 貴様達は、その血に行き渡った罪ゆえに、自身の不完全性を認識する事が可能な筈だ。
 この市井で商売を続けようとするのであれば、今後は営業時間中の紳士服着用義務を提案させてもらう」

――――半裸の漢達が咲き乱れる南国の夜のユートピアに今、文明開化の荒波が押し寄せた。

85 :シャトーブリアン@NPC:2017/04/08(土) 23:53:46.88 ID:ig13wdv7.net
(・∀・)毛皮も生やせないバーバリアンたちよ、おとなしく服を着るのだ

【シャトーブリアンは文明的な一言を放ちつつ、ヴァグラントの後ろにスッと隠れた】
【この提案の欠点は、熱帯の夜に紳士服を着るのは熱いという点かもしれない】
【それには店内の気温なり、体感温度を下げるなりの工夫が必要だが……】

後はアクアに任せて、オイラたちは帰ろう(・∀・)

86 :アクア ◆jefjPrfwTs :2017/04/15(土) 17:25:12.76 ID:UeVPvVGf.net
『(・∀・)ふるふる、ここは斟酌しよう』

『――――臆したか、国王。
 いや……貴様にとって、この手の巨漢は全て恐怖の対象か。
 厄介な伏線もあったモノだ。常連客とは言え、遺憾の意を表明するぞ、テインダクトゥス……!!』

寛大にして慈悲深い国王が、怪しからん歓楽的雰囲気を醸し出す悪徳経営者に更生の機会を与えようとの決断を下す。

『国王がこの調子では、交戦許可など望むべくも無い。事の発端に返り、解決すべき問題点を整理しよう。
 何らかの理由で錯乱者が生み出され、その風評被害が当方にまで及ぼうとしている現状だ。
 我々のカフェの客を良い意味で錯乱させているのは、紛れもなく石芙蓉だが、
 この店の場合は、明らかに事情が異なる……石烏龍は、無害だ』

「な、なんだってー!?」

石烏龍は無害という衝撃の事実にナチュラルに驚くアクア。

「ならば人々を狂わせているのは……」

『到底、理解も共感も不可能な趣向だが、この店の接客サービスこそが来客の錯乱……いや、"堕落"の誘因だった。
 斯様な接客形態は抑圧された紳士淑女の抱く夢を叶えるに足るモノであり、事実相当数の集客を成した。
 しかし、ソレが悪夢であるとするならば、話は別だ。朝を迎える前には幕を引く必要がある。
 俺が最期の観客として見届けよう……楽園の終焉に立ち会うのには慣れている』

「そうか、我々の社会は無意識のうちに皆が常識という枷に捕らわれることによって成立している……。
この店の常軌を逸したサービスは普段封印されている人々の抑圧された禁断の欲求を顕在化させてしまったのか……!」

とある伝説によると、ヒトは元来楽園の住人だった。
禁断の知恵の実を食し羞恥を覚え衣服を身に着けた瞬間、ヒトは楽園から追放されこの世の全ての苦しみが始まったという。
そう、彼らは決して叶うはずがない楽園への回帰を遂行しようとしていたのだ――!

「……危ないところだった。
もう少し放置していたら彼らは最後の布すらも脱ぎ捨て楽園という名の冥府を顕現させていたに違いない……!」

『羞恥を解する理性は、法治国家の市民たる要件の一つだ。
 それは知恵の実を食した者が獲得した他己の比較・識別作用に起因する。
 貴様達は、その血に行き渡った罪ゆえに、自身の不完全性を認識する事が可能な筈だ。
 この市井で商売を続けようとするのであれば、今後は営業時間中の紳士服着用義務を提案させてもらう』

『毛皮も生やせないバーバリアンたちよ、おとなしく服を着るのだ 』

ヴァグラントの哲学的知性溢れる口上を、国王が一言でまとめた。

「紳士服――それは絶大な魔力によりどんな野蛮人も品行方正な社会人に作り変えてしまう呪法の衣――
これだけの人数分調達するとなると……」

87 :アクア ◆jefjPrfwTs :2017/04/15(土) 17:27:13.93 ID:UeVPvVGf.net
『し、しかしアルね……、熱帯の南国の島に紳士服はそぐわないアルよ』

そう、豚型獣人も指摘する通り、紳士服には熱いという重大な欠点がある。

『後はアクアに任せて、オイラたちは帰ろう』

「どういうことだ!?」

広告塔にして経営戦略の司令塔である国王がそう言うのだから、この問題を解決するにはアクアが適任という深淵な意図があるに違いない。
さて、アクアのテンプレをよく見ると"半分人間"と書いてある。
そうなると必然的に残りの半分は人間以外の何かということになり、青いイメージカラー、水鉄砲を使いこなす能力などを考えあわせると……

「そうか、我は……」

失った記憶の一端が戻……るかと思われたその時。招かれざる客が乱入してきた。
この街の服飾小売業の覇権を握る店舗、「洋服のブルーマウンテン」の営業担当である。

『今日こそはうちの服を着てもらいますよー! 紳士服は暑いなんてもう言わせない! 新製品の清涼紳士服、今なら半額!』

「――――よし、帰るか」

――――こうしてこの夜、虚構の楽園が人知れず終焉を迎えたのであった。禁断の楽園編、多分一件落着。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

こうしてしばらく平和な日々が続いたが、世の中上手く出来ているものでまた新たな社会問題が情報誌の紙面に踊る。

「最近楽しくボールを蹴っている間にいつの間にか所持金が無くなっているという怪現象が流行っているそうだな……
恐ろしい世の中だ」

参照ttp://hayabusa6.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1479560761/14

また、紀行誌を見てみると、この国には個性豊かな地域がたくさんあるようだ。

「大型のモラランか……いつか乗ってみたいものだな」

参照ttp://hayabusa6.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1479560761/4

ここに留まり街の治安を守るのもいいし(日常編)、店の更なる飛躍を求めて仕入の旅に踏み出す(探検編)のもいいだろう。

88 :シャトーブリアン@NPC:2017/04/16(日) 00:07:28.44 ID:hoYOvjpQ.net
(・∀・)ふるふる、オイラは美味しいものを食べたい

【シャトーブリアンは何も考えていない顔。もしくは何も考えてないフリをしている顔だ】

89 :ヴァグラント ◆/4VhtBS0xQ :2017/04/22(土) 19:29:57.32 ID:ZpMXlcbM.net
『(・∀・)毛皮も生やせないバーバリアンたちよ、おとなしく服を着るのだ』

「紳士服着用規定によって暑苦しい労働環境へと移行すれば、店主にも利点が生じる。
 勤務開放時間には、少なくない従業員が自ら当店のアイスウーロンを買い求めることだろう。
 看板を塗り替えておけ。世間は往々にして、その様な企業のイメージ・カラーをブラックに指定する」

『後はアクアに任せて、オイラたちは帰ろう(・∀・)』

「……戦いとは数だ、国王。友軍を捨て置くが如き撤退判断には慎重を期すべきだ」

『今日こそはうちの服を着てもらいますよー! 紳士服は暑いなんてもう言わせない! 新製品の清涼紳士服、今なら半額!』

『――――よし、帰るか』

「その前に……見せてもらおうか、ブルーマウンテンの新製品の性能とやらを。
 捨て置かれるのが俺であれば、特に問題は見当たらない。
 シャツとタイは半額か? ベルトもだ」

90 :ヴァグラント ◆/4VhtBS0xQ :2017/04/22(土) 19:31:52.53 ID:ZpMXlcbM.net
『最近楽しくボールを蹴っている間にいつの間にか所持金が無くなっているという怪現象が流行っているそうだな……
恐ろしい世の中だ』

「ああ……ソレは由々しき事態だな、事と次第によっては調査と対処が必要になる。
 どうやら見た所、いつの間にかリビングの雑誌が増えている怪現象も起こっている様だ。
 言い訳を聞かせてもらおうか、アクア。そこに散乱している駄菓子の包装は、国王の仕業か?」

『大型のモラランか……いつか乗ってみたいものだな』

『(・∀・)ふるふる、オイラは美味しいものを食べたい』

「やれやれだ……衣食住が充足された者の生活とは、こうも堕落するモノか」

弛緩しきった空気が蔓延するリビングのドアを後ろ手に閉じ、絨毯に寝転ぶ同居人を跨ぐ。
自身の生活意識を棚上げしてネクタイを緩め、定期的に厚みを増しつつあるソファーに身を沈ませた。
溜息と共にアームレストに肘をつくと、清涼紳士服の袖口にポップな色彩の何かが付着する―――バブルガムだ。

「先日、メルルが書棚の整理に手間取っていた。彼女の時給は決して低くないが、身長は低い。
 床面積が埋まって行くのは構わないが、仮眠場所が腐海に侵蝕される事態は避けたい所だ」

共有スペースの快適さは、自主的な整理整頓によって維持される。
だが、快適さと居心地の良さが必ずしも一致しない事も確かだった。

「少し、眠る……余暇の過ごし方は、それから検討しよう」

91 :シャトーブリアン@NPC:2017/04/23(日) 13:09:02.86 ID:+EzYoub2.net
(・∀・)毎日もふもふされるから、オイラも時給150マルラ欲しい

【ヴァグラントの口から時給という単語が出た瞬間、シャトーブリアンは即座に便乗する】
【カフェで客の会話を聞く内に学習し、自らの労働対価を時給150マルラに設定したようだ】

くれなきゃ、店の前でデモするよ(・∀・)

92 :老人@NPC:2017/04/27(木) 22:53:17.81 ID:XQ4hQWW7.net
わしはてっきり、ここは「最大の街でバハラ連邦の政府があるバハラマルラ」かと思っておったのじゃが、
よく見れば「農業が盛んな田舎」じゃった……。

(長い間、思い違いをしていたらしい老人が呆然とした表情で呟く)

93 :アクア ◆jefjPrfwTs :2017/04/30(日) 18:59:31.50 ID:w6K+S2v3.net
『ああ……ソレは由々しき事態だな、事と次第によっては調査と対処が必要になる。
 どうやら見た所、いつの間にかリビングの雑誌が増えている怪現象も起こっている様だ。
 言い訳を聞かせてもらおうか、アクア』

「大丈夫だ心配ない。あの雑誌達はローテーションで適宜店舗に出している――つまり必要経費だ」

ちなみにこの手の言い訳は決算において家計のお金を事業経費にねじ込む常套手段である。
ただしあまり調子に乗ってやり過ぎるとアウトになるので気を付けよう。

『そこに散乱している駄菓子の包装は、国王の仕業か?』

国王と顔を見合わせ、お互いに「お前じゃね?」的な視線を交わす。

『先日、メルルが書棚の整理に手間取っていた。彼女の時給は決して低くないが、身長は低い。
 床面積が埋まって行くのは構わないが、仮眠場所が腐海に侵蝕される事態は避けたい所だ』

「腐ってやがる、速すぎたんだ――」

これは、改めて見てみると雑誌の増殖ペースが思ったよりも速かった
という意味であってそれ以上の腐海、じゃなかった深い意味は無い。多分。

『少し、眠る……余暇の過ごし方は、それから検討しよう』

ヴァグラントが眠ると、シャトーブリアンがすかさず時給の値上げを要求してきた。

『毎日もふもふされるから、オイラも時給150マルラ欲しい』
『くれなきゃ、店の前でデモするよ』

「――よし、前向きに検討しよう」

国王の賃上げ要求に対し、ビジネスマンが覚えておくべき必須イディオムの一つでもって答えるアクアであった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

そんなある日、客の老人のこんな呟きが聞こえてきた。

『わしはてっきり、ここは「最大の街でバハラ連邦の政府があるバハラマルラ」かと思っておったのじゃが、
よく見れば「農業が盛んな田舎」じゃった……』

「いや、間違っては無いぞ。
ここはきっと最大の街でバハラ連邦の政府があるバハラマルラという都市の中の農業が盛んな田舎の地域なのだ」

数式で表現すると、農業が盛んな田舎⊂最大の街でバハラ連邦の政府があるバハラマルラ
地の文特権でメタな表現をすると、東京の中にも田舎があるのと同じである。

「そうだ国王、美味しい物が食べたいと言っていたな!
都心にグルメ観光……もとい更なる店の発展のためにリサーチに行こうではないか!」

日常編と本格的紀行の間を取ってひとまず都心への行軍を提案する。

94 :シャトーブリアン@NPC:2017/04/30(日) 23:58:33.65 ID:XBjjEcC1.net
(・∀・)留守番はオイラの知り合いに任せよう

【アクアからの提案を聞くや否や、このカフェのマスコット役は飛び跳ねながら店を出た】
【田園の広がる風景とはいえ、街道の通行量は多く、積み荷を満載した馬車や荷車が行き交っている】
【シャトーブリアンはその人通りの多い街道を横切って野菜畑に近付くと、丈の高い緑の茂みに向かって呼び掛けた】

店長求む、今なら無料、課金無し(・∀・)

95 :レッドモララン@NPC:2017/05/01(月) 00:09:53.73 ID:7VnCeDSl.net
(・∀・)ふるふる、わっちは、わるいレッドモララン、ですわさ

【シャトーブリアンの行った募集の呼び掛けに応じ、野菜畑で盗み食いをしていた一匹のモラランが飛び出す】
【赤い毛皮のそれは、茶色い近縁種に比べて言語能力が若干怪しそうなものの、動きだけならかなり素早い】
【畑から飛び出ると、ぴょんぴょんと猛進し、まずは視界に入ったヴァグラントに向かって体当たりを敢行する】

ほろびよ、しろにもくろにも、そまれぬ、はいいろのさつりくしゃ、めらっ(・∀・)

96 :Interlude ◆/4VhtBS0xQ :2017/05/28(日) 18:03:30.95 ID:ZekqVhWo.net
『お待ちなさい』


深い闇に鎖された睡の国は、死の国と隣り合わせだった。
微睡と昏睡の狭間の部屋で、彷徨者は彼の者と遭き遇う。


『少し目を離すと、これだもの。相変わらず心身素行……全てが不良だわ、貴方』

「退いてもらおうか。先を急いでいる」

『入国記録の無い者を許可なく出国させる事は出来ないというのが、この国の約定なの』

「此処が何処かは知らないが、入国とやらをした覚えは無い……お前に会った記憶もだ」

『そうでしょうね。だって記録されていないもの。
 だから貴方は思い出せないし、出国も出来ない』

「……お前は出国審査官か? あるいは医療従事者か」

『いいえ。私は、ただの記録官よ。審査官は他に居るわ。
 貴方の出国審査官ではなく、私の記録審査官だけれど』

「ならば、一名が無許可で出国したと記けておけ」

『行先は何処へ? いいえ……貴方は、何処を選ぶのかしら』


記録者の導きで、三つの扉と対応する遠景が彷徨者に示された。
一つは見知らぬ光景、一つは忘れた光景、一つは失った光景だ。


「……おそらくは、いずれ全てに行き着く。順番が前後するだけだ」

『そう。貴方は"有限"という言葉の意味を忘れてしまっているのね』

「成程な……漸く、お前の役割の一端を理解出来た。
 無限の事象を記録し続けるなど、元より不可能だ」

『約定に従うというのは、そういう事であり、そういう事でしかないわ』

「だが、俺にとっては無意味だ」

『本当にそうかしら。まだ今なら意味があると思うのだけれど。
 扉が最後の一枚になった時、貴方に選択権は無いのだから』

「それも約定か」

『そうよ。だから、もう一つだけ記録させてもらうわ……貴方の出国目的は?』

「――――観光だ」


開け放たれた扉の向こう側から、昏瞑に光と風が吹き込まれる。
彷徨者は右腕を水平に振り、現れた外套を身に纏う。
記録者のノートが、音も無く閉じられた。

97 :ヴァグラント ◆/4VhtBS0xQ :2017/05/28(日) 18:04:33.76 ID:ZekqVhWo.net
『毎日もふもふされるから、オイラも時給150マルラ欲しい』

「彼女達の場合は、未成年者のアルバイトであるが故の時給制だ。
 国王たる者が、それと同等の待遇を所望するなど理不尽の極みであると考えるが。
 ここは労働報酬などに気付きもせず、馬車馬の如く爽やかにマスコット業に従事してみてはどうか」

『くれなきゃ、店の前でデモするよ』

「気付かれてしまった以上は、手遅れか。コレでも当店の稼ぎ頭だ、仕方あるまい。
 実績と相応の月給制……いや、年俸制が妥当だろう。それで構わないか、アクア」

『――よし、前向きに検討しよう』

「それでは、そのまま国王の提示額を飲む―――"150マルラ"だったな。年俸150マルラを支払おう」

支出額の微増が確定した分は、何らかの形で補う必要があった。
清涼紳士服に牛革のエプロンを身に着けて暫しキッチンに立った後、フロアに打って出る。
こうして自らが調理や接客といった業務を行う事は随分と久しい様にも思えるが、おそらく気のせいだろう。

『わしはてっきり、ここは「最大の街でバハラ連邦の政府があるバハラマルラ」かと思っておったのじゃが、
よく見れば「農業が盛んな田舎」じゃった……』

『いや、間違っては無いぞ。
ここはきっと最大の街でバハラ連邦の政府があるバハラマルラという都市の中の農業が盛んな田舎の地域なのだ』

「カット・ダックルとクール・ルイカのカルパッチョだ。
 老人や子供でも嚙み切り易い様な調理上の配慮などは皆無の一皿ではあるが、
 素材特有の食感を堪能してもらう事を目的とした調理法であり、決してカットが雑な訳ではない。
 一部の常連フレンズの間では、同時注文したフーロン・ティーで味も分からず流し込むが如き食し方も流行中だ」

田舎の立地であるが故に、海が近い有利を最大限に活用出来るか否かが利益の分かれ目だ。
港を窓口として流入する食材と食文化、そして観光客をマルラに変換する手腕が問われる。
だが、常連客の比重はさらに高い。彼らが島に永住している限り、需要は永続するからだ。

「デザートには、アジャーリ餅を用意した。
 こちらは充分な水分と共に摂らないと、喉を詰まらせる恐れがある一品だ。
 フーロン・ティーを追加注文して、当店の売り上げとバハラマルラの平均寿命伸展に貢献してもらいたい」

98 :ヴァグラント ◆/4VhtBS0xQ :2017/05/28(日) 18:05:03.41 ID:ZekqVhWo.net
『そうだ国王、美味しい物が食べたいと言っていたな!
都心にグルメ観光……もとい更なる店の発展のためにリサーチに行こうではないか!』

「無条件で賛成は出来ない。留守中の店舗はどうする?
 以前から散発していた野菜盗難の被害が、最近では拡大傾向にある。
 現時点での調査結果は、通常の三倍ほどの機動性を持つ野菜泥棒の存在を示唆している」

『(・∀・)留守番はオイラの知り合いに任せよう』

「さて、国王。薄々は覚悟していたが――――やはり貴様の関係者だったか、アレは」

『店長求む、今なら無料、課金無し(・∀・)』

「あの赤いのが貪り喰らっている菜園の収穫物は、紛うことなき課金アイテムだが」

『(・∀・)ふるふる、わっちは、わるいレッドモララン、ですわさ』

「貴様の類縁には、良い個体ないし普通の個体が存在しないという理解で構わないか、国王?
 ……ああ、名乗りが遅れたな。こちらは素行の悪い探索(けいえい)者だ―――で、ありんす」

『ほろびよ、しろにもくろにも、そまれぬ、はいいろのさつりくしゃ、めらっ(・∀・)』

「……否定はしない。白と差し遇おうとも黒に狎れようとも畢竟、燼滅の後に残されるのは灰のみだ。
 だが、"悪い店長"に留守を任せて取材旅行に繰り出す程、危機管理意識の低い素人ではない。
 発生の蓋然性が高く想定される損害の大きいリスクに対しては回避を選択するのが玄人だ。
 故に、コレは強制的に同行させるとしよう。旅先で我々が監視していれば問題あるまい」

右手で受け止めた赤毬を粗雑にドリブルしながら歩き始める。
旅支度の類は一切、無い。旅行者は紳士清涼服のポケットに左手を入れた。
マネークリップに挟んである、この1000м紙幣の束だけで行ける所まで行く心算だった。

99 :シャトーブリアン@NPC:2017/05/29(月) 23:53:09.96 ID:U2AeaQld.net
(・∀・)人間がオイラたちを悪いって言うから、オイラたちは悪いモラランなんだよ

【シャトーブリアンは、テラス席に座る半兎獣人が投げたアジャーリ餅に飛びつき、パクリと呑み込む】
【その表情は常と変わらないものの、球形の茶色い体はいつもより少しだけ強く震えていた】
【まるで、人間たちから掛けられた数々の罵声を思い返して、悲しく憤るかのように】
【実際のところは、水無しで餅を嚥下した影響が気道に現れているだったが】

ふるふる……もっと塩味を利かせれば……どんどん喉が渇いてゆくよ(・∀・)

100 :レッドモララン@NPC:2017/05/30(火) 00:01:03.29 ID:wQpOFSH0.net
(・∀・)かんし、しゃかいっ、はんたいで、ありんすっ!

【ココの実や野菜の運搬車が行き交う道中】
【日差しは温かく、ほんのり潮気を含む南風が吹き渡っている】
【街道では覚えたての言葉を使っての抗議と、生魔物の弾む音が響いていた】
【いかに赤い個体が素早くとも形状ゆえの悲しき性。ドリブル連打には手も足も出ない】
【農村地帯を過ぎ、市街地が見える頃には、だいぶ体力と気力を削られたようで、ぐったりしている】

はわわっ、あわわっ、ですわさ……ぬふっ(・∀・)

101 :アクア ◆jefjPrfwTs :2017/06/04(日) 00:17:41.39 ID:+hNsxJS3.net
『無条件で賛成は出来ない。留守中の店舗はどうする?
 以前から散発していた野菜盗難の被害が、最近では拡大傾向にある。
 現時点での調査結果は、通常の三倍ほどの機動性を持つ野菜泥棒の存在を示唆している』

「通常の三倍――赤い彗星、か!?」

『(・∀・)ふるふる、わっちは、わるいレッドモララン、ですわさ』

当たらずとも遠からず――彗星ほどの機動性は無いにしても、「赤い」という部分は当たっていたようだ。
一方その頃国王は、水無しで餅を飲み込んだ影響で、喉を詰まらせていた。
ちなみに餅は一部地域ではサイレントキラーと呼ばれ、恐れられているという。

『ふるふる……もっと塩味を利かせれば……どんどん喉が渇いてゆくよ(・∀・)』

「大丈夫だ問題ない――幸い我々には水より遥かに優れた状態異常解除アイテムがある」

国王に青い飲料水を与えて餅を飲み込ませ、定位置の頭の上に乗せる。

『発生の蓋然性が高く想定される損害の大きいリスクに対しては回避を選択するのが玄人だ。
 故に、コレは強制的に同行させるとしよう。旅先で我々が監視していれば問題あるまい』

なんだかんだで国王の友人も強制的に連れて行ってもらえる事になり、都心への行軍は始まった。

『(・∀・)かんし、しゃかいっ、はんたいで、ありんすっ!』

「しかし治安の維持とプライバシーの保護というのはある面においてトレードオフの関係にあって……」

『はわわっ、あわわっ、ですわさ……ぬふっ(・∀・)』

先程まで元気に喋っていたレッドモラランが次第にぐったりしてきたかと思うと、ついに跳ねなくなってしまった。

「南国の日差しに熱中症を発症したか!? 否、我々の対熱中症抵抗値はとび抜けているはずだ――」

その時、突然胡散臭い口調の何者かが一同の目の前に立ちはだかった。

『生魔物虐待許さないアルよー!』

「何者だ!? 噂に聞いた事があるぞ、さては貴様、生魔物愛護団体なる者か……!」

都心というフィールドは、のどかな田舎では出現しない多彩な者が出現する模様である。

102 :シャトーブリアン@NPC:2017/06/04(日) 04:09:18.34 ID:zb5P8NCh.net
(・∀・)ふるふる、バハラマルラに動物を持ち込む時は関税が掛かるんだって

【検問所を通過する際、我関せずとばかりに呟く丸っこい動物】
【しかし、シャトーブリアンも道を塞がれた時ばかりは座視していられなかった】
【邪魔者のすぐ後ろでは、道の脇に蛸樹の茣蓙が敷かれ、色鮮やかな百果が並んでいたからだ】
【意識の99%くらいを露天商の方に奪われつつも、アクアの頭に乗る毬のような獣は、王様のように華麗な仲裁を試みる】

大金持ちのオイラが年俸150マルラで何でもおごってあげるから、みんな仲良くしなよ(・∀・)

103 :フレイムモララン@NPC:2017/07/03(月) 22:16:04.18 ID:RbScqEO+.net
(・∀・)もがもが……きゅぅぅ……ぅっ

【今まで目を回していた赤モラランの様子が、唐突に変わった】
【ふと気づけば毛皮の赤は濃さを増し、まるで柘榴のような赤さ】
【丸い体も熱を帯びていて、体表には炎のように揺れる奇妙な光を纏う】
【雑踏に悲鳴が響き渡り、混乱の坩堝と化すのは次の瞬間のことだった】
【真っ赤に輝くモラランが不意に口を窄めると、そこから勢いよく炎の塊を噴いたのだ】
【荷車を曳く牛の尾が燃え、屋台に火飛沫が散り、その余波で人々の服にも黒い焦げ】
【今や真紅色となった珍獣は近縁種の仲裁などどこ吹く風とばかり、辺り構わず炎を吐き始める】

ぼわっ、ぼわっ、ぼわわんわんっ!(・∀・)

――――――――――――――――――――
MaTEC analyze data

★種族:フレイムモララン
性別:♀ 状態:怒り
LV:10 HP:56/56 MP:18/18 攻撃:30 防御:32 敏捷:28 魔力:18

★スキル
【炎の息吹:LV5】【跳ねる:LV3】【体当たり:LV3】【自己燃焼:LV1】

★説明
体高33cm。体重5kg。体毛/真紅色。
特殊なガスを体内で生成し、炎を発するモララン。
過度のストレスを与えることによって、レッドモラランから進化するケースが多い。
堅い毛皮に覆われているが、無数の亜種たちと同じように手足を持たず、跳ねて移動する。
真紅の体表は常に赤く燃えているように見えるが、これはガスによる発光で温度にして40度ほど。

炎のブレスを吐く為、モラランにしてはかなり強く、炎を苦手とする獣たちでは相手にならない。
葉や枯木や種を食べるので森林を生息地とするが、沼の沼気や山地の硫黄を吸うことも好む。
糞は燃料となるものの、森林の多い地域ならば利用価値も薄いだろう。
肉は油臭さがあって不味く、食用には適さない。

104 :創る名無しに見る名無し:2017/07/10(月) 04:03:23.48 ID:ugHrL6M5.net
☆ 日本人の婚姻数と出生数を増やしましょう。そのためには、☆
@ 公的年金と生活保護を段階的に廃止して、満18歳以上の日本人に、
ベーシックインカムの導入は必須です。月額約60000円位ならば、廃止すれば
財源的には可能です。ベーシックインカム、でぜひググってみてください。
A 人工子宮は、既に完成しています。独身でも自分の赤ちゃんが欲しい方々へ。
人工子宮、でぜひググってみてください。日本のために、お願い致します。☆☆

105 :ギルム@蜥蜴人の私兵:2017/08/02(水) 00:02:00.21 ID:5JYkgWtW.net
【炎毬兎の駆除・1/9】

 「なんだなんだ、何を暴れておる!」

フレイムモラランの暴走から程なくして、バハラマルラの街路に怒声が響く。
声の主は、大型走鳥に騎乗する二人組の蜥蜴人たち。
いずれも堂々たる体躯に堅い樹皮を編んだ茶色い甲を纏い、下半身は布の腰巻きと硬革の脛当て。
手には短槍を握り、緑鱗に覆われた長い腕は陽に照って鮮やかに輝く。
彼らはバハラマルラの豪商、マティルイ家の私兵たちで、市場の警邏が役目である。

 「あれは……モララン(毬兎)か?
  何やら体が燃えているようだが……」

蜥蜴兵士の一人、ギルムは争乱の源に怪訝な瞳を向けた。
街路で燃え盛るモラランが跳ね回っており、辺り構わず火を噴き出している。
このような有様では、群衆が逃げ惑うのも当然というものだろう。

106 :アドゥ@蜥蜴人の私兵:2017/08/02(水) 00:03:27.06 ID:5JYkgWtW.net
 「いや、あの燃えてるような感じは発光してるだけだ。
  亜種のモラランに、そういう種類がいると聞いたことがある。
  火蟻のように炎を噴くことから見て、フレイムモララン(火毬兎)に間違いなかろう。
  あれが迷い込んで来た奴なのか、誰かが持ち込んだ奴が変異したのかは知らんがのぅ」

ギルムの同僚、年上のアドゥが物知り顔で応える。

107 :ギルム@蜥蜴人の私兵:2017/08/02(水) 00:04:43.22 ID:5JYkgWtW.net
 「ともあれ、アレを放ってはおけないな」

ギルムは槍を握り直すと瞳に微かな殺気を宿す。

 「畜生風情とはいえ、火を操るのは厄介だ。
  市街地で火など撒き散らされれば、大惨事になりかねん。
  招かれざる闖入者は排除せねば……リァハーッ!」

掛け声を上げて騎鳥の脇腹を蹴ると、走れの合図を受けた走鳥が即座に突進する。

108 :フレイムモララン@珍獣:2017/08/02(水) 00:05:23.97 ID:5JYkgWtW.net
(・∀・)暗いと不平を嘆くより、進んで明かりを灯すわさ

【街路を跳ねながら、そこかしこで紅蓮の飛沫を噴くフレイムモララン】
  【恍けた台詞は、人間から適当に聞き覚えたものである】
    【意味を理解しているかどうかすら不明な……】
  【この迷惑者は走鳥の接近に気付くと、素早く大通りを外れた】
【相変わらず炎は吐き止めず、先々で悲鳴と怒号を量産しながらである】

我は火なり。世界の破壊者なり(・∀・)

109 :アクア@水鉄砲使い:2017/08/02(水) 20:41:35.12 ID:RujTmGRH.net
モラランがフレイムモラランに進化した! 辺りは俄かに騒然となり、群衆が逃げ惑う。

「なんだなんだ!? 怒りのあまり燃え上がったのか!? ヴァグラント――早く謝るのだ!」

ヴァグラントを揺さぶってみるも反応は無い。瞑想にふけっているか立ったまま寝てしまったようだ。

『あれは……モララン(毬兎)か?
  何やら体が燃えているようだが……』
『畜生風情とはいえ、火を操るのは厄介だ。
  市街地で火など撒き散らされれば、大惨事になりかねん。
  招かれざる闖入者は排除せねば……リァハーッ!」

居合わせた腕に覚えがありそうな者が騎鳥で突進してくるのに気付くと、フレイムモラランは脇道に飛び込んだ。
滑空するキックスクーターに飛び乗り、定位置に乗ったシャトーブリアンの同族センサーを頼りに後を追う。

「ジェットストリーム!!」

フレイムモララン目がけて激流を発射する。
何気に初めて水鉄砲からまともに水を発射した気がする。

110 :フレイムモララン@珍獣:2017/08/16(水) 20:50:35.17 ID:k7V6D207.net
(・∀・)ぼへえぇぇっ……!

【迸る水流を浴びたフレイムモラランは吹き飛ばされ、跳ねながら地面を転がってゆく】
【そのまま民家の壁にぶち当たると、再び目をグルグル回しながら放心した】
【高威力の放水のせいか、全身を包む炎のような光も消えている】

111 :アドゥ@蜥蜴人の私兵:2017/08/16(水) 20:51:59.94 ID:k7V6D207.net
駆除対象の昏倒を見て、騎鳥に乗る二人組も槍を収めた。

 「水を飛ばすとは変わった仕掛けじゃのぅ。
  おかげで害獣を素早く鎮圧できたが」

当面の危機は去ったとなれば、彼らの目が向かうのは害獣を容易く制した女だ。
蜥蜴人の男、アドゥはアクアに好奇と不審の目を向ける。

 「わしは市場の治安を守っているもので、アドゥ。
  そっちは同僚のギルムだ。
  で、あんたは見かけん顔と恰好だが何者かね」

この事情聴取の結果は、アクア次第(PCの裁量)となるだろう――。

112 :ギルム@蜥蜴人の私兵:2017/08/16(水) 20:53:21.32 ID:k7V6D207.net
 「おい、この厄介者はどう片付ける」

ギルムが腕を伸ばしてフレイムモララン(炎毬兎)を鷲掴みとし、同僚のアドゥに声を掛けた。
彼ら蜥蜴人たちは他の種族だと見分けがつき難く、二人の容姿もそっくりに見える。

 「見た所、証明札の類はない。
  戦獣や騎獣なら、しっかり調教されてるはずだ。
  愛玩用でもないとすれば、食料として輸入したものか?
  まさか、こいつが水路を泳いだり、柵を飛び越えて来るわけもあるまい」

市街地を囲む幅広の水路は街側に木柵が聳えていて、野生の獣では越えにくい構造だ。
各所の橋にも番兵がいるので、モラランのような獣が突発的に入り込む可能性は低いとギルムは考えた。

 「そういえば、最近は関税逃れの為か、愛玩獣を食用と偽って街に入れる密輸業者も現れたらしい。
  モラランみたいな畜生を愛でるべきだのと何だのと、馬鹿げたことを言っているとか……。
  そいつらが持ち込んだのかも知れんし、この害獣は尋問のために屋敷へ連れ帰ろう。
  騒動に元凶がいるなら、ツケを払わせなきゃならんしな」

ギルムがチラリと振り返ると、背後では商人や住民たちが慌てて消火を始めていた。
バハラマルラの市街地は、ロガロ河から引かれた水路が取り囲む。
街中で女たちが頭に水瓶を乗せて運ぶ姿も珍しくない。
豪商の私兵たちが指揮せずとも、消火活動に不自由はないだろう。
実際、市場の住人たちが忙しく水瓶を運び、瞬く間に火も鎮まってゆく。
その外側では、小火と見て様子を窺っている野次馬も少なくなかったが……。

かくして、害獣騒動は収まり、しばしの混乱が生まれた街区も無事に平穏を取り戻す――。

【炎毬兎の駆除・了】

113 :アクア@水鉄砲使い:2017/08/30(水) 20:53:12.04 ID:U0+KbWzh.net
『水を飛ばすとは変わった仕掛けじゃのぅ。
  おかげで害獣を素早く鎮圧できたが』
『わしは市場の治安を守っているもので、アドゥ。
 そっちは同僚のギルムだ。
 で、あんたは見かけん顔と恰好だが何者かね』

「農村部で焼肉と牛乳の店を経営している者だが都会の店から経営のヒントを見出すべくリサーチにやってきた」

暫しの事情聴取の後、「そうか、都会は物騒なところもあるから気を付けろよ」という感じになった。
それはいいのだが、フレイムモラランは屋敷に連れ去られてしまった。
「連れてきました」と言える雰囲気でもなくなんとなく見送るアクア。

「達者でな――」

そこに国王の抗議の目線が注がれる。

「……冗談に決まっているではないか! 隙を見て救出するぞ!
えっ、どう見ても普通に見送ろうとしてた!? それは気のせいだHAHAHA。
まずは夜が来るのを待つぞ!」

こうしてフレイムモララン救出作戦が始まる――のか!?

【相方も姿を見せないしこちらもNPC化しておくので死なない程度に自由に通りすがりの方が自由に動かしても構いません
この板はスレが落ちないのでNPC使い達がゆるーく気が向いた時にレスするようなスレもいいかなって】

114 :創る名無しに見る名無し:2017/12/27(水) 09:58:43.62 ID:C1Z7QFDy.net
家で不労所得的に稼げる方法など
参考までに、
⇒ 『武藤のムロイエウレ』 というHPで見ることができるらしいです。

グーグル検索⇒『武藤のムロイエウレ』"

SWEK9DCPSV

115 :創る名無しに見る名無し:2018/04/24(火) 22:17:18.61 ID:gX9i4lkv.net
福島県田村郡三春町の中距離走大会

1位 竹野内桜麻 タケノウチサクラオ
2位 鉢峰秋桜帆 ハチミネアキホ
3位 安石秀吾 ヤスイシシュウゴ
4位 武塚絵里菜 タケツカエリナ
5位 立前恵礼奈 タテマエエレナ
6位 陣野苺愛 ジンノイチカ
7位 白取皐久斗 シラトリサクト
8位 安居和貴茂太 ヤスイワキモタ
9位 田尻谷明香理 タジリヤアカリ
10位 竹熊快都 タケグマハヤト
11位 舘巖喜人 タテイワハルト
12位 辰井輝 タツイカガヤキ
13位 組崎薫世 クミサキクルヨ
14位 館沢華菜美 タテサワカナミ
15位 長田聖康 ナガタセイヤ
16位 矢毛早刀 ヤケハヤト
17位 柳浜夏空 ヤナギハマナツカ
18位 田門梨々桜 タドナナオ
19位 簗嶋希彩 ヤナジマキイロ
20位 場夏波音 バカナネ
21位 羽儀珠央 ハギタマオ
22位 田土育歩 タツチイクホ
23位 夜陣壱花 ヤジンイチカ
24位 田地川誇々空 タヂカワココロ
25位 弥頭衣世 ヤトウイヨ
26位 白相樽代 シラソウタルヨ
27位 矢武絹衣 ヤタケキヌエ
28位 武屋英晃 タケヤヒデアキ
29位 舘原開 タチハラハルキ
30位 保富晴孝 ヤストミハルタカ

以上です、ご参加ありがとうございました。

116 :創る名無しに見る名無し:2018/05/21(月) 09:03:27.99 ID:tRZnwP6O.net
知り合いから教えてもらったパソコン一台でお金持ちになれるやり方
参考までに書いておきます
グーグルで検索するといいかも『ネットで稼ぐ方法 モニアレフヌノ』

MD42W

117 :創る名無しに見る名無し:2018/07/03(火) 18:56:07.08 ID:f1dClnnX.net
OYC

118 :創る名無しに見る名無し:2018/09/18(火) 10:04:37.29 ID:sOea7gqk.net
思い切れないってのはやがて退屈するって事だと思うんだよねー
>>1も思いつきじゃなく、面白くやれる確信があってワクワクするジャンルにしてたら
こんなすぐにやる気なくさなかったかもねー

119 :創る名無しに見る名無し:2018/10/17(水) 15:02:43.62 ID:ZU7x6aHX.net
中学生でもできるネットで稼げる情報とか
暇な人は見てみるといいかもしれません
いいことありますよーに『金持ちになる方法 羽山のサユレイザ』とはなんですかね

MI6

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