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あなたの文章真面目に酷評します Part108

1 :創る名無しに見る名無し:2018/06/07(木) 21:54:07.83 ID:Gkz/KO/p.net
あなたが書いた小説・論説文・エッセイなどの文章を真面目に読み、感想・添削・批評を行います。

■過去ログ
前スレ
あなたの文章真面目に酷評します Part107
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もしも文章を無視されてしまったら、もう一度批評をもらえるように頼んでみましょう。目についたものから批評していくので、見落としもあります。
辛辣なことを言われても落ち込みすぎないように。批評をした人とあなたの相性が悪かったのかもしれません。ただ、あなたの作品をそういうふうに受け取る人もいるということを心にとめておいてください。

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163 :創る名無しに見る名無し:2018/07/11(水) 03:52:32.10 ID:BkCdWyRQ.net
批評してください
1/3

雪国の夏はカラッとして涼しい。雪国と一口にいっても、私の生まれた岐阜県の高山市も雪国だし東北や北海道、晶子と大学生の一時期を過ごした蓼科高原も雪国だ。
雪国で一番いい季節は夏だろう。私が今暮らしている遠州地方は、夏はジメジメしてとても暑く、冬は北風が強く過ごしにくい。東京と同じ、この地方で凌ぎやすい季節は、春と秋である。
春といっても四月も中頃までは風の強い日も多く、一番気持ちの良い季節は五月を跨いだ辺りの頃であり、秋は十月中盤から十一月がいい。
晶子はちょうど頃合いの良い春先から五月に掛けて静岡に滞在していた。
私は病院を退院して直ぐに退職届けを書いて提出した。およそ五年近く勤めた事務用品メーカーを退職するに当たって、引き継ぎに三週間を要した。
今の時点で抱えている案件があった。ある静岡の自動車メーカーの事務移転に関するものであり、この案件に一週間ほど取られた。
オフィス用品やデスクとチェアーを納品して物流会社と後任に今後の事務移転があった場合のノウハウを伝え、それが済んだ後に事務作業に付随するシステムの引き継ぎ、
そして私物をまとめ、万事が終わった時には退職届けを上司に提出してから十九日が経過していた。
辞めるときようやく肩の荷が降りた心持ちになった。どこか頭の片隅に晶子の財産のことがあって否応なく私はそれに安堵していた。
晶子とは退職する前の十九日のあいだに二回食事をした。どうやら晶子は掛川の駅前のシティーホテルにいるらしかった。
「毎日、何してるの?」と私が尋ねると、友達が次から次へと静岡に来て会っているのだという。
「みんな心配して来てくれるの」
晶子が云うには、一ヶ月で六十人くらいの人間がこの土地を訪れたとのことだ。
「なんか普段会わないような人とも会えて、横浜にいる時よか人間関係が好転している感じ」と晶子は言っていた。
正直言って私の人生に残された友達は十人に満たない。それも今何気なく連絡を取れる人間が数人という意味だ。頻繁に連絡を取り合っている人間は晶子を含めると四人。それ以外の人間は疎遠になりつつある。

164 :創る名無しに見る名無し:2018/07/11(水) 03:55:04.29 ID:BkCdWyRQ.net
2/3

どうして晶子にはそんなに人脈があるのか尋ねると「友達の友達とかいるし、なんか自然に大勢いる感じだけど、私だって本当に親友と呼べる人間は少ないのよ」と彼女は言った。
晶子の人間関係はまさに都会の人間関係だった。地元の繋がりもある。そしてそれ以外の繋がりもある。もちろん晶子の前の会社の人たちとも繋がっていた。
晶子のフェイスブックを一度開いたことがあるが、あまりに人間関係が多過ぎて、一体この繋がりを日常どう解消しているのだろう、と疑問に思ったくらいだ。
彼女は多くなり過ぎた人間関係をなるべく切らないようにしているようだった。私にも多少経験があるけど、ある時期、雪が降り積もるように人間関係が込み入ってくると誰もが雪かきをして自分の生活に適した関係性を保とうとする。
雪も積もればそれを除雪しないと生活に支障をきたす。しかし彼女は縁切りをしないらしい。
一度晶子に「人間関係って疲れない?」と訊いてみたことがある。彼女は人間関係をなるべくなら保とうとする。
「縁があった人とは連絡は取れるようにしてる……だってもったいないじゃん。後からその人と連絡取りたくなったらどうするの?」
なんでも彼女は、一度縁があった人とはマメにSNSで近況報告をしているという。晶子曰く、今の世の中じゃなければこんなに人間関係が膨らむことなかっただろうけど、とも言っていた。
恐らくは彼女はSNSが無かった時代でもマメに手紙のやり取りをして縁を大切にしていくんだろうと私は漠然と思った。

165 :創る名無しに見る名無し:2018/07/11(水) 03:56:31.82 ID:BkCdWyRQ.net
3/3

「ここにいると運気上がるのかなあ? いろいろな人が来て口を揃えてみんな私に言うの『ここいいところだね』って」
ここはいいところではない。夏はジメジメ暑くて冬は風が強くて寒い。今の季節がいいのだ。
「雪の降る季節まで待って雪国にいくの。それまで待ってるの」私がいつまでここにいるのか尋ねた時に晶子は言った。
「雪の降る季節に雪国に行くってどうして? 冬は南国にでもいた方がよくないか? 雪なんて始めは情緒的な感情を抱くかもしれないけど百害あって一利なしだよ」
「今年に限った話よ。雪国のしんしんと降る雪の中でお酒が飲みたいの」
私は雪国の生まれではあるけど、二歳で静岡に越して物事ついた時から雪のない町で生きてきたので、横浜生まれ横浜育ちの晶子の気持ちもわからんではなかった。
確かに人生のなかの冬の一時期、雪国にいるのも悪くはない。たぶん雪国に生まれた人からすれば、雪なんか無いならずっと雪のない町に暮らせばいいのに、と思うかもしれない。
私の岐阜の祖父母は雪国から静岡に来て我々の両親と私たちに「雪がなくて本当に良いところやな」と冬になると口癖のように言っていたのを覚えている。
「じゃあ、今年の冬は東北か北陸でも行ってみようか」私がノリで晶子に云うと「行ってみたい行ってみたい」と彼女はしゃいだ。
私は晶子を見て腹の底から雪国に連れて行ってやりたいという気持ちになって、雪の降る町に晶子といる自分を想像した。

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