2ちゃんねる ■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50    

あなたの文章真面目に酷評します Part108

523 :創る名無しに見る名無し:2020/05/21(木) 10:07:51.02 ID:58WBHhjN.net
『白髪はそこで待て』

 彼らはみな白髪だった。そして私も白髪だった。中には死
んでいる人もいたし、まだ青年のような人もいた。毛量に富
む人もいたし、頭に島ができている人もいた。太っちょもガリ
ガリも、皆そろって判っているのは白髪であるということだけ
だった。

 或る女が言った。私一本しかないのよ、白髪、と。それに
共鳴するかのようなざわめきが私のところまで伝わってきた
が、私にその言葉に乗りたいという気持ちはなかった。私の
髪はもう、半分以上が白髪で所謂おじいさん、であったから
だ。見渡す限りに詰まっている人々は、少なくとも千人はい
そうだ。それにしてもここはどこだろう。

 私は孫と一緒に大きなスーパーに来ていたはずだった。孫
はもう二十を超えていて、名前で呼ばれるのを嫌っていた。
だから優しく、おい?とか、なぁ?とか呼ばなければならない。
だから私は孫に従っていて、心の中でも孫、と呼んでいる。ま
るで名前を思うのが気持ち悪いことであるかのように。

 犬のくわえていたボールは消えてしまったがいずれ見つか
るだろう。それを見つけるのが私とは限らないが。

 それにしてもこの群衆は何を待っているのだろう。私は知ら
ぬし周りも知らなそうだ。明かりもなければ影もない。服はな
ぜか潔い緑色に変わっていた。
 
 「自然に溶け込めよ!鳴かずして飛べ!暗い心に灯すべし!」

 誰かがそう叫ぶのを私は聞いた。崖が見える。次々に飛び
込む飛び込む飛び込む。自分の番だ。同じように飛ぶ。

 えいやっと!

 飛び込んだ人たちはあの言葉を発した者を知らない。

 その声の主も飛び込んだ人を知らない。

批評(酷評も)たくさんお願いします。
前(ミケの話)より読みやすいレイアウトにしたつもりです。段落ごとに一行開けました。

317 KB
新着レスの表示

掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50
名前: E-mail (省略可) :

read.cgi ver.24052200