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あなたの文章真面目に酷評します Part108

55 :道化師:2018/06/19(火) 21:09:13.55 ID:5a0rzPUy.net
お世話になったこのスレも、そろそろ移転しそうな雰囲気なので記念カキコ。ネタ的には、かなり古いですがwwこの物語のオチは、先輩の皆様のご意見を伺ってからにしたいと思います。
ではでは、酷評よろしくお願いします。



「この事件には、いくつかの疑問がある」
ぶらりと入ったラーメン屋のテレビを観ながら、彼は唐突に報道されている中東における日本人拘束事件について語り出した。
カウンターに頬杖を突いて、俺の隣りでテレビを見上げているこの男の名は主神(すがみ)と言う。以前勤めていた会社の同僚であり、現在はたまに飲み歩くだけの仲となっていた。
偶然顔を合わせた今夜も何件か飲み歩いた末の、締めのラーメンだった。
「湯川氏がイスラム国に拘束されたのは去年の八月。彼のガイド的な存在だった後藤氏は十月に同じく拘束されている。その間、政府は何をしていたのだろう」
この主神と言う男は、他の人間が気にも止めないようなところに拘って自論を展開する癖があった。それは政治から、どうでも良いような都市伝説に至るまで、とにかく気になった事案をことごとく解説したがる厄介な癖である。
「政府も忙しかったんじゃないの? 」
いちいち真面目に考えても埒のあかない事がほとんどだったので、適当に相槌を打って聞き流すのが俺の役目の様になっていた。
「確かにそれもある。解散総選挙を企てていた時期だからな。余計なゴタゴタは増やしたくは無かっただろう。勿論、水面下では何かしらの交渉はしていたと思うが」
そこで彼はコップの水を半分ほど一気に飲み干した後、再び語り始めた。
「一番の疑問は、湯川って男は何で三回もシリアへ行ったんだ? 大金叩いてわざわざ危険地帯へと踏み込むなんて。どこにそんな度胸と金があったんだろう? 」
「きっと金持ちだったんだよ」
「それがそうでもないらしい。湯川氏は自分で経営していた店を潰した上に借金もあったそうだ。その彼がリスクを背負ってまで向かうほどのビジネスチャンスが、あのシリアに普通あると思えるか? 」
「紛争地帯って事を考えれば、武器で商売するつもりだったとか」
「その可能性も捨てきれない。だが、後藤氏の行動といい、政府の対応といい、どうにも納得出来ない点が多すぎる」
「俺らが考えたって、どうにもならないさ」
お前が納得しようとしまいと、世界はこれっぽっちも変わらない。酔いも手伝って、思わず本音を漏らしそうになったのを何とかこらえながら、俺は何とかそう返していた。
「それはそうなんだが、もし……もしもの話しだが、湯川って男が政府機関の特命を受けたスパイだったとしたらどうだろう? 」
その彼の言葉に、俺は思わず口に含んだ麺を吹き出しそうになっていた。

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