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じぶん銀行21
- 439 :名無しさん:2015/08/23(日) 13:25:53.29 0.net
- 今日、ちょうど定年退職をむかえた初老の男がひとり、駅前の立ち食いそば屋で一杯のそばを食べている。 
エビの天ぷらが一尾のっかった一杯500円のそばだ。
男は30年も前からほぼ毎日昼休みこの店に通っているが、一度も店員とは話したことがない。
当然、話す理由なども特にないのだが、今日、男は自然に自分と同年齢であろう店主に話しかけていた。 
「おやじ、今日俺退職するんだ。」 
「へぇ・・・。そうかい。」 
会話はそれで途切れた。ほかに特に話題があるわけでもない。
男の退職は、今日が店を訪れる最後の日であることを表していた。 
すると突然、男のどんぶりの上にエビの天ぷらがもう一尾乗せられた。 
「おやじ、いいのか。」 
「なーに、気にすんなって」 
男は泣きながらそばをたいらげた。些細な人の暖かみにふれただけだが涙が止まらなくなった。
男は退職してからもこの店に通おうと決めた。
そして財布から500円玉を取り出す、 「おやじ、お勘定!」 
「700円。」 
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