昭和の大学生の飲み会がキチガイ。こんな連中が現代の若者のモラル(笑)を語ってるの？ [299092815]

　コンパが始まって一時間も経つと、一年生の中でトイレに駆け込む者が増えてくる。目が据わり、しゃがみこんだまま動かない者や、
畳の上で大の字に伸びてしまう奴も出てくる。もちろんそんなことで許してくれるような先輩たちではない。
「なんや、えらいおとなしいやないか。もう酔いが覚めたんかいな。よっしゃ、もっと酔わしたろ」
というやいなや、一年生の口の中に一升瓶を突っ込むのである。飲ませられた一年生はそのままトイレに駆け込み、げえげえ吐く。
トイレは新入生と思われる連中で常に満員だった。大便用の個室からは、呻き声が聞こえ続けていた。
小便器で吐いている奴もいる。洗面台も、いつの間にかゲロで詰まっていた。

(中略)

　僕が面倒みたのは、「酒は飲まれへんということで突っ張る」といっていたK島だった。
彼は下手に小細工しようとしたことが先輩たちの逆鱗に触れ、結局誰よりも飲まされるという羽目に陥ったのだ。

　店を出た後も、K島は立っていることさえ辛そうだった。もう胃袋は空っぽで、吐くことさえできないのだ。
するとコーチがそばに来て、「水を飲ませろ。そうしたら楽になる」といった。しかし水なんてどこにもない。
そう思っているとコーチがどこからかホースを引っ張ってきた。道路に水を撒くためのホースだった。
ホースの先からは水がじゃあじゃあと出ている。コーチはそれをK島の口に突っ込んだ。「さあ、飲め」
K島は顔を歪めながら水をごくごく飲んだ。「喉に指を突っ込んで、飲んだ水を吐いてみい」とコーチはいった。
K島は言われたとおりにした。彼が吐き出した水は、赤く染まっていた。
「ちちち、血が、血が、血が、混じってます」僕はびっくりしていった。
「ううむ」コーチはそれを見てから、K島の背中をぽんと叩いた。「まあ、ちょっと飲み過ぎたみたいやな。これからは気いつけろよ」
そして「後は任せた」といってコーチは去って行ってしまったのだった。

結局K島は、この後三日間大学を休んだ。またこのほかに二人が急性アルコール中毒で病院に担ぎ込まれた。
これについて幹部の一人は、「まあ新歓コンパの成果としては、ちょっと物足らんかったね」とコメントした。

あの頃ぼくらはアホでした/芸のない奴、ゲロを出せ/東野圭吾
http://healthpress.jp/2015/03/post-1676.html