その技巧は変態と紙一重！？ 第17回えんため大賞特別賞『くすぐり闘士の無魔術乱舞』の大ボリューム試し読みが公開中
第17回えんため大賞受賞作品の3ヶ月連続刊行第2弾として、2月29日に「特別賞」受賞作『くすぐり闘士の無魔術乱舞-ゼロ・
ランブル-』が発売となる。プレ特集サイトでは本作の200ページを超える大ボリュームの試し読みが公開中となっている。
変態と紙一重のくすぐり技巧を繰る、ちょっと変わった爆笑（主に登場キャラクターたちが）バトルファンタジーをぜひ
チェックしてもらいたい。
【あらすじ】
“ゼットー流”――超絶くすぐり技巧によって魔術師の詠唱を妨害し、相手の戦意が喪失するまで情け容赦なくまさぐる―
変態と紙一重の指技をつく流派である。ゼットー流使いの少年ソーヤ――“魔力なし”として生まれ、差別を受けてきた彼は、
とある理由から魔力をたないにもかかわらず魔術学院へと入学する。入学早々にソーヤはたちを炎魔法の使い手ルルファと
対決することになるのだが!?美少女たちをアノ手コノ手でくすぐり倒す限界ギリギリバトルファンタジー！
http://ln-news.com/archives/29003/
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試し読みから抜粋
http://fbonline.jp/browsing2016/kusuguri/01.html
少女──ルルファが手を翳し、唱える。
「紅きよ。地の底より滾る焦熱よ。業火となりて、我が敵の咎を焼き払え──」の唄を、紡ぐ。
「地裂炎」
ルルファが唱えると同時、ソーヤの足元がちりちりと熱を帯びた。
「くっ！」
ソーヤは地を蹴って飛び退く──と、ほぼ同時に、ソーヤが一瞬前に立っていた足下から、大気を灼いて猛火が噴き上げた。
「この……ちょこまかと！」
ルルファが悔しさを隠そうともせず歯噛みする。
「なら、これは避けられる……紅き力の奔流よ。全てを飲み込む久遠の輝きよ──」
来た！大技だ。
認識すると同時、ソーヤは駆け出していた。防戦から一転、風を切ってルルファとの距離を詰める。
「……っ！」
ルルファはこちらの狙いが接近戦にあると気づいたようだった。とっさに胸の前で両腕を交差させ、防御の構えに移る。
一直線に突進しながら、ソーヤは反撃の右腕を引き絞り、突きを放つ──。
と見せかけて、ガラ空きの腋に手を差し込み、こちょこちょこちょっとくすぐった。
「ぶふっはひゃっ、ひひふっ、く、ふっ、何っ、ひゃぁあふぅっ」
ルルファが奇妙な悲鳴をあげて崩れ落ちる。
挑むようだった目つきが驚きに見開かれ、何が起こっているのかわからないと言いたげに瞬きを繰り返す。
組み合うような姿勢のまま、ソーヤは脇腹へと手を滑らせる。
すべすべの制服越しにルルファの体温を感じる。その熱が最も高まっているポイントを探り当て、指先を蠢かせ、こしょこしょと
ひっかくように爪を擦らせる。
「ひゃふっ、あ、はぁっ、あはははっ……あ、あんたっ、ふざけんゃらいっ……！」
笑いながら必死で怒ろうとしている様子で、ルルファが震える手をこちらにかざす。
「ぐ、紅蓮に燃ゆる六条の──あひゃひゃひゃっ」
魔術の詠唱にかぶせるように両手で脇腹をくすぐると、収束しかけた魔力が霧散した。