ルビオ氏に撤退圧力 共和、クルーズ氏が健闘
【ワシントン＝吉野直也】米共和党の５日の予備選・党員集会は首位を走る不動産王ドナルド・トランプ氏（69）と保守強硬派のテッド・クルーズ上院議員（45）が互角の戦いを演じた。
トランプ氏への対抗馬としてクルーズ氏が一歩抜け出しつつある。今回、１勝もできなかった主流派のマルコ・ルビオ上院議員（44）には撤退の圧力が増してきた。
トランプ氏は５日夜のフロリダ州での記者会見で、ルビオ氏に「選挙戦から撤退する時期だ」と求めた。15日以降の予備選・党員集会は勝者が代議員を総取りする方式が増える。
ルビオ氏の地元であるフロリダ州は大票田。ルビオ氏を揺さぶって、自らに有利な流れをつくろうとする思惑が見え隠れする。
トランプ氏は2012年の共和党大統領候補、ミット・ロムニー氏らが「反トランプ」の立場を表明したことが選挙戦に響いたかの質問には「彼は冗談みたいな存在だ」と述べ、まともに答えなかった。
党内の反トランプの動きが今回の結果に影響したかどうかは、まだ見極める必要があるが、トランプ氏が神経をとがらせている様子がうかがえる。
クルーズ氏が東部メーン州で勝ったことについても「カナダと隣接しているからだ」と述べ、「トランプ大統領」の際に移住を呼びかけるカナダの一部の島を想起させ、笑いを誘った。
クルーズ氏は５日夜の西部アイダホ州での記者会見で「トランプ氏を倒すには団結しなければならない。必要なのは候補を絞ることだ」と語り、ルビオ氏に撤退決断を促した。
共和党の候補者選びはこれまで12勝したトランプ氏に対し、クルーズ氏が６勝、ルビオ氏は１勝にとどまる。クルーズ氏は「私だけが繰り返しトランプ氏に勝ち続けてきた」と訴えた。
トランプ氏らの撤退要求についてルビオ氏は同日、選挙戦の続行を明言した。政治的には穏健な主流派はルビオ氏が対抗馬として望ましいが、同氏が伸び悩んでいる点を踏まえ、保守強硬派のクルーズ氏を一致して推せるかどうかに焦点が移る。
民主党ではバーニー・サンダース上院議員（74）がこの日も粘りをみせたが、候補指名争いでヒラリー・クリントン前米国務長官（68）を脅かすまでには至っていない。
クリントン氏は負け越したものの、代議員の獲得数ではサンダース氏を上回っており、なお優勢だ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM06H29_W6A300C1FF8000/