TOKIOリーダー・城島茂、上京しホームシックにかかった時のことをしみじみと語る [311660226]

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http://mainichi.jp/articles/20170320/ddm/014/070/060000c

いよいよ東京都内でも桜の花が見られる季節となりました。
春の陽気に包まれ気の合う仲間や同僚と昼間から頬を赤らめ、お父さん世代が飲む花見酒。
いつもテレビのニュースをうらやましく思いながら見ている城島です。

　花見といえば、バブル景気がはじけた後の１９９１年、奈良県から上京し、何年たっても都会の空気に
なじめない自分がいました。
ある日、ホームシックも手伝い、どこかで下町の風に吹かれたいと、当時のジャニーズ合宿所の最寄り駅
地下鉄千代田線「明治神宮前」から乗車し、なんとなく「千駄木」で下車。全く知らない土地を散策することに。
気の向くまま足の向くままに出合った谷中銀座という商店街。若者だらけの竹下通りとはまた違う昭和を感じさせる
昔ながらのたたずまいと、我関せずと鎮座する野良猫たちを眺めながらの茂散歩。次第に心は晴れやかに。

　そのまま歩くこと数分、霊園に出くわし、その先には思いがけない桜並木が。のちに調べて、十五代将軍徳川慶喜を
はじめ数々の著名人が眠る谷中霊園とわかりました。当時はただ単に広い墓地だなあとしか感じませんでしたが
さすがの桜に包まれながらそぞろ歩く気分はもちろん上々。単身知らない町に来て偶然の出合いに癒やされました。

　近くから「兄ちゃん、こっち来なよ！」と声が。宴会のにぎやかな一団に、手招きする白髪のおじいさん。
楽しげな輪に、なぜかまるで地元民よろしく弱冠２０歳の私がうたげの中に。あれから時は過ぎ、今ではその霊園では
宴会や敷物を持参しての花見は禁止だとか。冬去りて春来たりなば。

　たとえ何度季節が巡っても、私の中では下町に暮らす方々のあの温かい笑顔は今も大切な思い出の一つなのです。

＝次回は４月３日掲載