カジノ ネオンの裏に
韓国ソウルから東に約２２０キロ、江原道カンウォンド旌善チョンソン郡にあるリゾート施設「江原ランド」は、
旧炭鉱町の経済再生と、地元雇用の創出を目指し、２０００年に開業した。その中のカジノは唯一、自国民が
利用できるものとして知られている。
「勝てるわけがない」。１８日午前６時、営業時間が終わり、大勢の不機嫌なカジノ客が出てきた。
大邱テグから車で３時間かけてやってきたという男性（４３）が話しかけてきた。「今日で１０日目だ。
寝ないでやったが、今日は７００万ウォン（約７０万円）負けた。２０００万ウォン（約２００万円）負けた
時もあった。明日もあさっても来てやる」。その目はうつろで宙を泳いでいた。
施設周辺では、カジノによるギャンブル依存で破産したり、自殺したりする人が後を絶たず、客目当ての
風俗店や質屋も乱立する。一方、オープン当初約５万人いた郡の人口は、約３万８０００人に減った。
韓国では２０日、仁川インチョン国際空港に隣接する地区に同国初となる統合型リゾート（ＩＲ）施設
「パラダイスシティ」が開業した。敷地面積約３３万平方メートル。外国人専用カジノを含む同施設の
運営には、日本のゲーム機大手「セガサミーホールディングス」が韓国カジノ大手と設立した合弁会社があたる。
アジア各地で、外国人客などを目当てにしたカジノを含むＩＲ施設の開業が相次ぐ。日本も昨年１２月、
カジノ解禁法が成立した。ただ、厚生労働省などの調査では、今でも日本国内の成人の約２・７％（約２８０万人）が
パチンコや競馬などによるギャンブル依存症患者か、その疑いがあると推計される。
「依存症なのは自分でもわかるが、やめられない」。江原ランドで出会った男性には３人の娘と孫もいる。
その手には、４時間後に営業開始となるカジノの入場整理券と紙幣が握りしめられていた。
http://www.yomiuri.co.jp/photograph/zoomup/20170424-OYT8T50017.html
鉱山労働者の銅像が繁華街の明かりに照らされる旧炭鉱の町。「江原ランド」が開業し、
教育環境も悪化したため子供を別の地域に進学させる親も多い（１７日）
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