3DOの想い出 [824213117]

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http://digital.asahi.com/articles/ASK595CXXK59TIPE027.html

３Ｄの「神さま」も飛び出す　御朱印にデジタル化の波

社寺参拝の証しに授かる御朱印にデジタル化の波が寄せている。御朱印にかざしたスマホの画面から３Ｄの「神さま」が飛びだしたり、
スマホが御朱印帳代わりになったり。御朱印集めがブームになるなか、より深く知ってもらおうという社寺の工夫だ。一方、ネットオークションでの御朱印の転売も相次ぎ、神職や僧侶は胸を痛める。

　福岡市早良区の紅葉八幡宮は昨秋、無料アプリ「紅葉八幡宮　御朱印ＡＲ」をウェブサイトで公表した。アプリをスマホやタブレット端末にダウンロードし、内蔵カメラを御朱印にかざすと、画面上で御朱印が金色に輝きだし、３Ｄアニメの宮司が飛びだす。

　次に安産の神・神功（じんぐう）皇后が現れ、やりを回すポーズを決める。「おはなし」をタップすれば説明が読める。「次の神さま」をタップすれば応神（おうじん）天皇、その次に菟道稚郎子命（うぢのわきのいらつこのみこと）が登場。いずれもこの神社の祭神だ。

　「古事記や日本書紀の記述、肖像画などをもとに、できるだけ史実に忠実なキャラクターにしました」と権禰宜（ごんねぎ）の前原喜孝さん（４５）。スマホを動かして様々な角度から「神さま」を見ることもできる。「日本初、世界初の試みです」

紅葉八幡宮は転勤族の多い住宅街にある。まずは神社の存在を知ってもらおうと、前原さんは４年前からウェブサイトの制作に力を入れる。その中で昨年、制作委託業者との間でＡＲ（拡張現実）による御朱印の活用が話題になった。

　ここ数年は御朱印集めがブームだが、「神社の由緒や御祭神も知ってほしい」と、平山晶生宮司（５９）も交えて構想を練った。公表したアプリはネットで話題に。「
神様のことがよく分かる」「神社に興味をもつ良いきっかけ」といった声が届き、「これを機に御朱印を集めたい」と御朱印帳を求める人も増えたという。「神社に足を運んでもらうことで地域活性化にも貢献したい」と前原さん。

■ＱＲコードを印刷した「御朱Ｉｎ」も

　スマホを御朱印帳代わりにした「デジタル護縁珠（ごえんじゅ）」もある。出雲大社など島根、鳥取両県の２０社寺でつくる「出雲國神仏霊場」が提供。
スマホや携帯電話で各社寺に掲示されたＱＲコードを読み取ったり位置情報を取得したりすると、専用サイトに「医」「浄」など各社寺の「教えの文字」が浮かぶ。２０文字集めると「満願の証」が現れる。無料だが、１５００円で巡拝絵馬を求めて説明書の裏の数字を入力するとカラー版になる。

　一畑寺（島根県出雲市）の飯塚大幸住職（５６）は「御朱印に興味のなかった人にも目を向けてもらえる。お寺や神社に足を運び、手を合わせることで、穏やかな心を見つめ直してほしい」と話す。

　長野県塩尻市の浄土宗善立寺は昨年から、御朱印にＱＲコードを印刷した「御朱Ｉｎ」を寺で配ったり、メール（ｚｅｎｒｙｕｊｉ．ｔｅｍｐｌｅ＠ｇｍａｉｌ．ｃｏｍ）で申し込んだ人に無料で郵送したりしている。
ＱＲコードをスマホで読み取ると、寺のフェイスブックにつながる。「どんな寺か思い出せて便利」と好評という。副住職の小路竜嗣さん（３１）は「寺や仏教に触れる良いきっかけ」と話す。

■相次ぐ御朱印のネット転売

　一方、御朱印のネット転売も相次ぐ。５月初めにオークションサイトで「御朱印」を検索すると１００件以上ヒットした。「超貴重！」「期間限定」。そんな売り文句が並ぶ。

　山口県萩市の松陰神社の御朱印は千円で出品されていた。神社は３００円で授けている。宮司の青田國男さんは「売る人も、買う人も問題。巡拝もせず、お参りの証しをただ集めるのは本末転倒」とあきれる。

　「熊本復興」と書かれた御朱印も千円で出品。地震で被災した神社に寄付するため、東京都品川区の下神明天祖（しもしんめいてんそ）
神社が昨秋から正月まで３００円で授けたものだ。女性職員は「復興の願いを込めて一枚一枚手書きしました。受け取る方も同じ気持ちだと思っていたのに、とても残念」と嘆く。

　三社祭で知られる東京都台東区の浅草神社は１月から、転売を防ぐために一枚紙の御朱印の授与を中止。参拝者が持参した御朱印帳に直接押すだけにした。

　神社本庁によると、期間限定ものや不便な場所にある社寺の御朱印がネットでよく取引されている。「一律に規制できず、心のこもった行動を呼びかけるしかない」と担当者は話す。