御嶽山 噴火警戒レベル１に引き下げ 地元は規制継続
8月21日 17時35分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170821/k10011106371000.html
３年前に噴火した長野と岐阜の県境にある御嶽山について、気象庁は２１日午後、火口周辺警報を解除し噴火警戒レベルを「１」に引き下げました。引き続き噴気活動が活発な噴気孔からおおむね５００メートルの範囲で火山灰などの極小規模な噴出に注意するよう呼びかけています。
３年前の平成２６年９月、長野と岐阜の県境にある御嶽山で水蒸気噴火が発生し、５８人が死亡、５人が行方不明になりました。
御嶽山の噴火警戒レベルについて、気象庁はおととし６月、入山規制を示す「３」から火口周辺規制を示す「２」に引き下げ、警戒が必要な範囲を火口から１キロ程度に縮小していました。
気象庁によりますと、御嶽山ではその後も噴火は起きておらず、噴煙活動や地震活動も緩やかな低下が続いているということです。
このため「火口からおおむね１キロの範囲に影響を及ぼす噴火の可能性は低くなった」として２１日午後３時、火口周辺警報を解除し、噴火警戒レベルを「活火山であることに留意」を示す「１」に引き下げました。
一方、３年前に噴火した火口列の一部では現在も勢いよく噴気が出ていて、噴気活動が活発な噴気孔からおおむね５００メートルの範囲では、引き続き火山灰などのごく小規模な噴出に注意が必要だとしています。
気象庁は、地元の自治体による立ち入り規制などに従いヘルメットを持参するなどの安全対策を呼びかけています。
地元は立ち入り規制継続
噴火警戒レベルが引き下げられた御嶽山のふもとの自治体などは長野県木曽町で臨時の会議を開き、今後も火口からおおむね１キロの範囲で立ち入り規制を継続することを確認し、山小屋の整備など安全対策が整った段階で規制の見直しを協議することで合意しました。
２１日開かれた「御嶽山火山防災協議会」には、ふもとの長野県木曽町と王滝村、岐阜県下呂市などの自治体や気象庁の担当者などおよそ５０人が出席しました。
この中で噴火警戒レベルが引き下げられたあとの立ち入り規制について議論され、自治体の担当者からは「噴火で荒廃した山小屋や登山道などの現状を把握できておらず、その整備や情報伝達の手段など、安全対策を講じる必要がある」といった意見が相次ぎました。
そして今後も火口からおおむね１キロの範囲で立ち入り規制を継続することを確認しました。
さらに来週から現地調査を行い、必要な安全対策を検討することや、山小屋の整備など安全対策が整った段階で規制の見直しについて協議することで合意しました。
遺族らの会「規制継続で捜索できず残念」
御嶽山の噴火災害の遺族や行方不明者の家族などでつくる会の代表を務めるシャーロック英子さんは「噴火警戒レベルの引き下げで規制されている区域内で自主的な捜索ができるようになることに期待していたが、規制は継続され、正直、残念な気持ちだ。引き続きふもとの自治体と協議を重ねていきたい」と話していました。
周辺自治体 安全対策進める考え
御嶽山の噴火警戒レベルの引き下げについて、ふもとにある長野県王滝村の瀬戸普村長は「御嶽山の周辺地域の観光の復興につながると考えている。まずは山頂付近の登山道がどうなっているのかしっかりと調査しなければいけない。そして、山小屋や避難小屋の整備、シェルターの設置など安全対策を進め、立ち入り規制の解除に向け検討していきたい」と話していました。
また、長野県木曽町の原久仁男町長は「この３年、手つかずだった安全対策を進められるので大きな前進だ。木曽町がもつ山荘の整備やシェルターの設置など、登山者の安全を確保できるよう今後１年ほどをかけて具体的に協議していきたい」と話していました。
岐阜県下呂市の桂川国男市長公室長は「レベル引き下げは観光という面では非常に大きな出来事だが、観光客を受け入れる以上、木曽町・王滝村と足並みをそろえて安全対策を進めていきたい」と話していました。
※地元規制には法的拘束力があるかどうかは不明