安倍ちゃん「４０代以下の皆さんが一生涯働ける社会と、老後年金だけでは生活できない社会。どちらがいいですか」 [533895477]

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安倍政権からのメッセージ、一生涯働いてください
40代から真剣な検討を迫られる人生後半のキャリアプラン

政府は6月15日、経済財政運営の基本方針（いわゆる「骨太の方針」）を閣議決定した。
メディアでは消費税10％の明記や外国人労働者の受け入れ拡大策が話題となっているが、これ以外にも基本方針には重要な項目が盛り込まれている。それは「定年の延長」である。

消費増税と外国人労働者の受け入れ拡大、そして定年延長は単独の政策ではなく、すべてセットになっていると考えるべきである。
日本は今後、本格的な人口減少時代を迎えるが、今回の基本方針には、生涯労働社会へのシフトというメッセージが隠されている。

政府は一般会計の予算で約30兆円の社会保障費を支出している。これは一般会計としては最大項目だが、実はこの金額は社会保障に関する予算のごく一部でしかない。
あまり報道されないので多くの人は認識していないかもしれないが、年金や医療の支出については、政府もしくは地方自治体の特別会計で処理されており、全体の規模はもっと大きいのだ。
公的年金については、高齢者が受け取る年金給付の額が、現役世代から徴収する保険料を上回っており、慢性的な赤字が続いている。
現在、政府は一般会計から年間約10兆円を補助しているが、それでも数兆円は足りない状況だ。安倍政権が年金積立金の運用を安全第一の国債から株式というリスク資産へシフトさせたのは、運用益でこの赤字を補填するためでもある。

日本の総人口はすでに減少に転じつつあるが、総人口が減っても高齢化はしばらく継続する可能性が高い。
全体に占める現役世代の比率は今後も低下していくので、年金財政はさらに悪化することが予想されている。
公的年金制度を維持するためには、給付を減らすか、現役世代からの徴収額を増やすか、あるいは国庫負担を増やすしか方法はない。　

◆一生涯働くことが大前提に

医療についても同様である。2015年度の国民医療費は43兆円に迫る状況となっており、このうち国民から徴収する保険料でカバーできているのは半分しかない。
残りは政府もしくは地方自治体からの補助と患者の自己負担である。ちなみに地方自治体の財政も、政府による地方交付税交付金や国庫支出金で成り立っているので、結局は政府の支出頼みである。

こうした状況を整理すると、ルートはさまざまだが、国民から徴収するお金の多くは、最終的には医療もしくは年金に投じられていることが分かる。現在の年金や医療の水準維持を前提にした場合、消費増税は必須という結論にならざるを得ない。
つまり消費税10％増税の背後にあるのは、社会保障の水準維持についての是非であることが分かる。そう考えると、今回の方針に定年の延長が盛り込まれたことは必然といってよいだろう。

今年（2018年）4月に行われた財政制度審議会では、年金支給開始年齢の68歳引き上げが議論された。政府は定年を70歳程度まで延長し、同時に年金の支給開始年齢も引き上げるという青写真を描いている可能性が高い。
今後、日本人の平均余命が劇的に伸びる可能性は低いので、年金の年間給付水準を変えないまま支給開始年齢を引き上げれば、年金支出を大幅に抑制することができる。
筆者がざっと試算したところでは、支給開始年齢を68歳に引き上げて給付を据え置けば、2040年頃には年金財政をある程度、均衡させることが可能だ。
骨太の方針が示しているのは、人生100年時代を見据え、富裕層を除いては生涯労働を原則とし、給与では足りない部分について公的年金でカバーするという社会である。
これまでは、リタイヤ後は年金で生活することが常識となっていたが、この基本原則が覆る。今後は生涯労働が大前提となり、公的年金はその補助でしかなくなるという現実について理解しておいた方がよいだろう。

続き
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53448?page=3