「東京五輪の間、通勤ラッシュの乗車率は300%を超えるがそれ以外の時間はそうでもない」東京都は楽観視 [533895477]

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東京五輪は通勤混雑緩和の好機　田口東氏中央大学教授

2020年東京五輪・パラリンピック大会では、外国人を含む多くの観戦客が首都圏の鉄道を利用する。課題は大きく２つある。
朝の通勤ラッシュと重なった時の主要路線・駅における混雑と、競技会場につながる路線・駅での利用者の一時的な急増である。

問題が大きいのは、通勤ラッシュ時の混雑への対応だ。通勤移動の総量削減と平準化によるソフト面の対策が必要になる。
東京大会は時差出勤による分散化やテレワークなどの働き方改革を進め、後々の混雑緩和につなげるチャンスと位置づけてほしい。
首都圏では通勤・通学で800万人が鉄道を使う。公共交通機関の利用調査から計算すると通勤ラッシュは短時間に集中し、午前８時前後の１時間は15分ごとの利用者が最大250万人台に上る。
一方で日中は10万人程度で余裕があり、夕方以降の帰宅ラッシュは午後６時台に最大90万人台とやや平たんとなる。

大会招致時の試算で、観戦客は多い日で65万人。時間軸を使った数理モデルで推計すると、通勤ラッシュに重なる午前６～９時は「乗車率200％」が普段の1.5倍に増える。
200％は「体が触れ合い、相当な圧迫感があるが、週刊誌なら何とか読める」というひどい混雑状況だ。
通勤客は郊外から都心に集中し、路線の交わる駅は乗り換えで混雑が激しい。加えて東京大会の会場は都心部や臨海部、首都圏各県に分散し、主要な乗換駅を観戦客も使う。
10路線以上が乗り入れる新宿駅や会場へのアクセスがいい地下鉄永田町駅などは、乗客のピーク値が10～30％程度増える試算結果が出た。

会場につながる「東京臨海高速鉄道りんかい線」や東京臨海新交通臨海線「ゆりかもめ」は普段の２倍を超す乗客を運ぶことになる。
通勤ラッシュだけでなく競技の前後に乗降客をさばききれないことも懸念され、到着・退出時刻の分散を進める必要がある。
観戦客には首都圏の複雑な鉄道網やラッシュに不慣れな訪日外国人も含まれる。日本語が分からず、大きな荷物を抱えた人が集まる影響は相当大きい。
混雑で歩く速度が遅くなって渋滞が起き、駅構内の大きな滞留で鉄道がストップする事態も生じかねない。
ラッシュに慣れた通勤客が利用する今でも首都圏の鉄道はぎりぎりの状況だ。自分たちが暮らしやすくなる対策がベストであり、東京大会を通勤客の日常生活を変える理由付けとしてほしい。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32956140T10C18A7SHE000/

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