大相撲夏場所、混沌とした優勝争い [158879285]

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混沌の「夏」Ｖライン急降下…４敗勢ら含め９力士に可能性／夏場所
2019.5.24

大相撲夏場所１２日目（２３日、両国国技館、観衆＝１万９３６）一人横綱の鶴竜（３３）は平幕竜電（２８）を寄り切り、連敗を回避して２敗を守った。
単独トップだった平幕朝乃山（２５）は玉鷲（３４）に押し出され、鶴竜と並ぶ２敗に後退。
規定により大関復帰まであと１勝の関脇栃ノ心（３１）は明生に寄り切られ、２連敗で９勝３敗に。
２敗の鶴竜、朝乃山を３敗で栃ノ心が追い、４敗は大関豪栄道（３３）ら６人。賜杯争いが混沌（こんとん）とする。

　どこへ向けられた怒りなのか。西の支度部屋。取組を終えて風呂へ入った栃ノ心が、母国ジョージア語で絶叫した直後、「ドーン！」。
何かが当たるけたたましい衝突音が響き渡った。風呂から上がった栃ノ心は目を閉じたまま、問い掛けには応じない。
ようやく最後に「何もいえない…」。

　大関から関脇へ転落した今場所。１０勝以上挙げれば規定により大関復帰となる中、初顔合わせの明生に立ち合いから一気に寄り切られた。
王手をかける９勝目を挙げてから、痛恨の２連敗だ。

　きょう１３日目にはその栃ノ心と、この日玉鷲に押し出されて２敗目を喫した西前頭８枚目、朝乃山の対戦が組まれた。
残り３日間。それにより、栃ノ心は横綱鶴竜、豪栄道、高安の両大関とのいずれか一番が無くなった。
取組を編成する審判部が番付上対戦するはずの取組を外し、優勝争いを優先させて上位と当てる「割（わり）崩し」を行ったのだ。

　藤島審判部副部長（元大関武双山）は割崩しについて
「（優勝争いは）なるべく平等が望ましい。朝乃山の星次第でこれからも大関と当てるかもしれない。（優勝ラインは）４敗まで下がる可能性もある」。
１２日目を終えてその４敗には大関豪栄道、平幕玉鷲、阿炎、正代、明生、琴恵光の６人もひしめく。

　富山県出身の朝乃山が優勝すれば、伝説の横綱太刀山以来１０３年ぶり。
埼玉県出身の阿炎、熊本県出身の正代ならば優勝制度が確立された明治４２年以降、県勢初に。
大横綱双葉山も所属した名門立浪部屋の明生が賜杯を抱けば、昭和４３年春場所で若浪が平幕優勝を果たして以来５１年ぶりだ。
「令和」初の本場所がカオス（混沌）へ誘い１世紀、半世紀前の歴史を掘り返す。　（奥村展也）

　◆連敗を免れて勝ち越しを決めた豪栄道　「残り３日に集中していく。気合を入れてやるだけ」

　◆栃ノ心を破り、十両だった昨年秋場所から５場所連続の勝ち越しを決めた明生　「土俵で向き合ったときのオーラがすごい。のまれないように気合を入れた」

　◆大関高安に勝利した阿炎　「体が勝手に何も意識せず動いた。びっくりした」

　◆栃煌山を押し出して３場所ぶりに勝ち越した正代　「初日から９連敗した先場所の最初の相手だったので、嫌なイメージを消したかった」

　◆尾車事業部長（元大関琴風）　「白鵬という本命が休むとこうなるのか。混戦の令和だ」

https://www.iza.ne.jp/kiji/sports/news/190524/spo19052408440020-n1.html