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https://digital.asahi.com/articles/DA3S14486312.html

多胎家庭のピンチ、支えたい　コロナ禍で孤立の懸念／ＮＰＯ、寄付募り日用品配送

新型コロナウイルスの感染拡大で、双子や三つ子などを育てる家庭が悲鳴をあげています。日頃から手が足りないなか、手伝う人手も望めず、孤立の懸念もあります。支援団体が、困っている多胎家庭を寄付などで支えるアイデアを打ち出しました。

　「コロナの影響で外出を控えているので、三つ子も親もストレスがたまる」

　「他県から毎週手伝いに来てくれた母がしばらくこられない」

　多胎家庭を支援するＮＰＯ法人「つなげる」（兵庫県尼崎市）が３月末～４月初めに実施したアンケートには多くの人が苦しい現状を寄せた。

　双子を育てているシングルマザーは、おむつが買えず、やっと見つけたお店で双子分を購入したところ、「あんたみたいなのがいるから必要な人の手元に届かなくなるのよ！」と罵声を浴びせられたという。女性は体験に加え、不安もつづっていた。「もしぜんそく持ちの自分が感染したら、子どもたちは誰が保護してくれるのか」

　法人の代表を務める中原美智子さん（４８）は「悲惨な状況に、見ていてつらくなった」と話す。自身も高校２年の長男と小学４年の双子の息子がいる。「長男を育てた時にできたことが、双子になるとできなかった」。無力感と孤独感に襲われた経験から、オンラインで悩みをはき出せる場をつくった。

　先月から、インターネットを通じた買い物支援を始めた。支援できる人にネット通販「Ａｍａｚｏｎ」でおむつや離乳食を購入してもらい、法人宛てに送れば、法人が希望する家庭に配送する仕組みだ。申し込みフォームを設置し、随時募集。毎回、２０分程度で品切れになるという。中原さんは「どんな時でも一人じゃない。一人で乗り越えなければと思わなくて大丈夫」と呼びかける。

　多胎家庭の訪問支援などを続けるＮＰＯ法人「ぎふ多胎ネット」（岐阜県多治見市）理事長の糸井川誠子さん（６０）は、新型コロナウイルスの感染拡大で訪問希望がほぼなくなり、訪問が大きく減ったと明かす。

　４月中旬、これまでに関わりのある７２世帯からアンケートの回答を得ると、父親が在宅勤務をしている例は少なく、母親が一人で育児をしている姿が浮かび上がった。育児に関わる時間が増え「双子を交互に抱っこして腱鞘（けんしょう）炎が再発した」など、体力的にも精神的にも厳しい状況に置かれているという。

　糸井川さんはメールや電話で話を聞きつつ、ＨＰで各家庭の自宅で過ごす工夫などのアンケート結果を紹介。オンラインのおしゃべり会も開いた。「同じ思いをもっている人がいると知り、少しでもストレスを減らしてほしい」（高絢実、山下奈緒子、大野晴香）

　■ＮＰＯ法人「つなげる」のアンケートに寄せられた声（抜粋）

　・ネットスーパーを利用しているが欠品があるため買いに行く方が確実だが、双子を連れてスーパーに行くのは大変すぎる

　・おむつの購入制限で何度も買い物に行かなくてはならない。単胎児の倍速でおむつを消費するので購入制限は子どもの人数を考慮してほしい

　・公園で遊ばせるには大人が２人以上いないと危険なので自分以外に見てくれる人を確保するのが大変

　・両親に子育てを助けてもらっていたがコロナの影響で簡単に手伝いをお願いできなくなってきた