名字が「比嘉」の人のイメージ [633827841]

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仕事も寝る場所も…　ステイホームの痛み、回復への道は

東京100days新型コロナウイルスの記録?
緊急事態宣言に伴う店舗や施設の休業要請を受けて、都心から人々の姿は大きく減った。ただ、ゴールデンウィークに向けて人の移動を減らすには、幾多もの課題が待ち受けていた。
東京都による休業や短縮営業要請初日の4月11日。土曜日にもかかわらず、都内の繁華街は人がまばらだった。
居酒屋が集まるJR赤羽駅前（北区）では、シャッターの下りた店が目立った。休業を伝える貼り紙には「生きていれば、色々あります」。それでもいくつかの居酒屋は営業していた。
ハイヤー運転手の男性（59）は午前中の勤務を終え、ビールを進めていた。「堂々と飲める日が早く来てほしい」
「スーパーは大変密」
小池百合子知事は休業要請を出した後も、再三にわたって外出自粛を呼びかけた。緊急事態宣言が全国に拡大した翌日の17日の記者会見では、「自粛疲れというのはまだ早いというのが現実」と言いきった。
都の関係者は「知事には都民の危機意識が薄いという思いがあったのでは」とみる。
ただ、休業要請が出ていないスーパーや商店街に買い物客が多く訪れた。
「スーパーは大変密な状態に結果としてなっている。入店を何人までにするとか、お待ちになる方々との間とか、早急に検討しているところです」
小池氏は22日、報道陣にそう語った。対策として都庁内では翌23日午前、ある案が話し合われた。
「お買い物時間割」案。利用客を、名字の頭文字で「あ行、ま行、わ行」「か行、は行、や行」「さ行、た行、な行、ら行」と三つのグループに分け、入店時間を4時間ごとに割り振る案だった。
ただ、この案は会見直前で見送られた。都関係者によると、スーパーの業界団体から「イニシャルはどう確認すればいいんだ」「佐藤や鈴木が多い『さ行』は不公平」との反発が上がったためだという。
午後の会見で、小池氏は「スーパーでの買い物をぜひ、3日に1回ぐらいに控えていただきたい」と呼びかけた。
小池氏はこの日の会見で「残念ながら今年はゴールデンと言うわけにはいかない。家にいてください」と訴えた。
「解除の基準示しただけで、人々は緩む」
小池氏が「STAYHOME週間」と名づけた初日の25日朝。例年は帰省客や旅行客でにぎわうJR東京駅は閑散としていた。東海道新幹線のホームでは、新幹線を待つ人はまばらで、乗客は数人という車両も珍しくなかった。
「都としての出口戦略を検討していきたい」
5月2日午後にあった西村康稔経済再生相とのテレビ会議で、小池氏はそう明らかにした。会議に参加した大阪府の吉村洋文知事が「大阪モデル」と銘打ち、休業要請や外出自粛の段階的な解除に言及していたからだ。
ただ、小池氏はこうも言った。「都についてはまだ（感染者数が）落ち着いていない」
都内ではこの日、157人の感染が新たに確認された。全国的な感染確認数が減少傾向にある中、都内の数字は突出していた。「（休業要請や自粛の）段階的な解除をできる状況にはなっていない。
その基準を示しただけで、人々は緩んでしまう」。都関係者はそう懸念した。2日後の4日、国は緊急事態宣言の延長を表明した。都内での感染拡大防止は、いまだ道半ばにある。
課題は生活困窮者の支援
いま、コロナ禍による景気悪化は、小池氏の足元まで、目に見える形で広がっている。
9日午後、新宿・都庁舎前の歩道には、長い行列ができていた。民間の支援団体による食料配布と相談を待つ人たちだ。大半が中高年の男性。女性や若者の姿もあった。
主催する認定NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」によると、1日あたりの参加者は以前が70～80人だったが、4月には140人を超えた。
「休業要請でネットカフェが閉まり、今夜寝る場所がない」「日雇いの仕事がなくなり、所持金も底をついた」
支援を求める人が増えるにつれ、列の場所取りをめぐるいさかいも起き始めた。新型コロナの終息が見込めなければ、雇用の回復もない。
「安定して住居や仕事を確保できるよう、行政は支援のあり方の『出口戦略』を描けているのか」。もやいの大西連理事長は懸念する。
都は新型コロナの対策費として1兆円超を見積もっている。感染拡大が続けば、さらなる対策費も発生しかねない。一方で、五輪延期に伴う数千億円ともされる費用の大半を負わされるのは必至だ。
「明日の生活に困っている人たちが多い中、五輪延期のために多額の税金を使うと言えるのか」
都庁内からは最近、そんな声が聞こえるようになってきた。