女ってなんで化粧するの？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？ [244516989]

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ミャンマーの自然が育む「タナカ」　美肌守って2千年

「タナカ」――。ミャンマーで日常的に耳にするこの言葉。日本の「田中さん」のことではない。2千年の歴史を持ち、子どもから大人まで現在も広く使われているあるものを指す名前だ。そんなミャンマーの「タナカ」に今、改めて光が当たっている。（ヤンゴン=染田屋竜太）
「これが私のモーニング・ルーティン。タナカで一日が始まります」
ミャンマーの最大都市ヤンゴンに住む大学生のキンウータンダーさん（22）はそう話しながら、長さ20センチほどの木片を両手で板状の石にこすりつけた。木片はタナカの木から取ったもの。樹皮が削れてできた粉に時折スプレーで水をふきかけ、また木片をこする。
できあがった白っぽい液をまず顔全体につけ、少し乾かしてからほおのあたりに円く塗り重ねる。「子どもの頃からの習慣。5分もあれば終わります」
ミャンマーでは、子どもは男女関係なく、大人は主に女性がタナカで顔を彩る。キンウータンダーさんは友人と出かける時などにはいつもタナカで化粧をするという。以前、外国産の化粧水を使って肌が荒れてしまったことがあったが、「タナカをつけるといつも肌の調子がいい」と話す。
ミャンマーのタナカ研究者ターフラ氏の著書によると、ミャンマーでは日焼け止めや美肌に効果があるとされ、約2千年前から顔や体に塗る習慣があった。タナカの木は乾燥を好み、ミャンマー中部の乾燥地帯が中心的な生産地。タイやインドの一部にも生育する。
木片は直径10～20センチ。露店などで数十センチほどの長さに切って売られ、質によって値段は1千チャット（約80円）～1万チャットほど。ミャンマーでは今でも多くの家庭にタナカの木片と、それをこするための石板があり、子どもたちは「顔を洗ったらすぐにタナカをつけないと悪いことが起こる」と親から教えられるという。
最近では、科学的な効果も実証されている。タイ・チュラロンコーン大の研究では、タナカの樹皮から抽出した成分に酸化や炎症を抑える効能があるとの結果がでた。
「昔は群生する木を切って使っていました。タナカの栽培が始まったのは50年ほど前からです」。一大産地の中部バガン近くで、東京ドームよりやや広い約15エーカーのタナカ園を営むエーナインさん（66）は話す。父の代まで米などをつくる農家だったが、乾燥地で収入が安定せず、22年前にタナカ栽培を始めた。
タナカの木は水気を嫌うため、大雨の後に土中に水がたまらないようにする必要があるが、雨の少ない乾燥地では「それほど手はかかりません」とエーナインさんは言う。苗を植えてから7年間は成長を待ち、その後、出荷を始める。
農園には2～3メートルおきに高さ数メートルのタナカの木が整然と並んでいた。1エーカーごとに約1500本の木が植えられているという。近づいて触れると、ひょろっと細長い幹の表面は堅く、枝には小さな緑の葉が生い茂っていた
エーナインさんによると、まっすぐで堅い木が好まれ、「樹皮に少し茶色が混じっているとさらにいい」という。切ったときにかすかにさわやかな香りがするものは質がよく、高値で取引される。化学肥料を使えば成長は早まるが、木の質は落ちる。エーナインさんはこれまでの経験から、有機肥料と化学肥料の組み合わせを決めているという。
1カ月単位で注文を受けてその分を切り、出荷。買い手は地元の店が多いが、質のいいものは都市部のヤンゴンやマンダレーに運ばれる。
「実は、タナカの業界は外国からの化粧品に押され、だんだん衰えているのです」。エーナインさんが気になることを口にした。
2011年に民政移管し、外国の化粧品が一気に流入したミャンマーでは、若い女性を中心にタナカの消費量が落ちているという。「タナカの町」として知られる中部のアヤドーでは、2018年からの1年間でタナカの栽培面積が45%も減った。2千年の歴史が困難に直面している。
そんなタナカを新しい形で残そうという動きがある。国内最大のタナカ製造・販売会社「シュエピーナン」は、タナカから抽出した成分を、若い女性が好む化粧水や洗顔クリームに入れ、伝統と流行を融合した商品を売り出した。同社のウィンナイン社長は「タナカの良さは知っているけれど、昔ながらの化粧はちょっと……という女性に人気が出ています」と話す。
同社は年間売り上げ2百億チャット（約16億円）の大企業だ。バガン郊外の150エーカーのタナカ園で4万本の木を育て、ヤンゴンの4工場で商品化している。「タナカを将来に残すためのチャレンジを続けています」とウィンナイン氏は言う。