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千葉）エコな大学、主役は学生　千葉大で活動１５年

大学生や教職員らが使わなくなった教科書などを集めて販売したり、中古自転車の修理・販売を進めて大学構内の放置自転車を減らすのに一役買ったり――。千葉大学の学生らが「環境ＩＳＯ学生委員会」の活動を始めて１５年になる。学生が主体となった環境活動が長く続くのは珍しく、活動内容も広げているという。キャンパスを訪ねた。

古本市開催
　４月の平日、千葉大の西千葉キャンパス（千葉市稲毛区）。中庭に設けられたテーブルに、約９００冊の本がずらりと並べられた。教科書、小説、論文……。委員会が約１０年前から開いている「古本市」だ。

　気になる本を手に取り、ページをめくる学生たち。この日は約３５０人が来場した。法政経学部１年の佐久間未来さん（１８）は、経済学の授業で使う参考書２冊を定価の約２割で購入。「学内だけで、これだけの本が不要になっているなんて驚いた。一人暮らしを始めたので、出費は少しでも抑えたい。助かります」

　本を捨てずに、もう一度使う「リユース」。古本市を担当する委員会の学生スタッフ約１０人は、卒業する学生や退職する教職員らに使わなくなった本の寄贈や委託販売をチラシなどで呼びかける。寄贈された本は５０～１千円で販売し、委託販売のものは委託した人に値段をつけてもらう。

　今年は約４０人から計約９００冊を回収。２日間の古本市で約３００冊、計約７万３千円分が売れたという。残った本は業者に買い取ってもらい、委託販売分を除いた金額は今後の委員会の活動費に充てる。

　古本市のスタッフリーダーで法政経学部２年の加藤雅大さん（２０）は「論文集も大学だと売れる。本が捨てられずに買われていくのを見ると、やりがいを実感できます」と言う。

　委員会は、２００３年秋に千葉大が環境対策の国際規格「ＩＳＯ１４００１」の認証取得を目指した際、学生がマニュアルや目標づくりなどの実務を担ったのが始まりだ。

　０９年にＮＰＯ法人となり、現在の会員は約１５０人。学内でエアコンのフィルター掃除をしたり、小学校でごみ問題についての出前授業をしたり。企業と協定を結び、川崎汽船とは里山整備活動、京葉銀行とは「ｅｃｏプロジェクト」などを進めている。

　学生委員長で３年の上田幸秋さん（２１）は「学内だけでなく、企業など学外との活動にも力を入れ、委員会の活動範囲を広げていきたい」と話す。

自転車回収・販売　放置は減少
　４月の別の日。西千葉キャンパスの庭で、学生たちが１９台の自転車を見比べていた。「えっ、それにするの」「小さくない？」

　委員会が催した中古自転車の販売。２年の女子学生（１９）は「一人暮らしを始めたばかり。店で買ったら１万～２万円する。アルバイトでためたお金なので、できるだけ安く」と念入りにチェックしていた。

　委員会の昨年度のスタッフリーダーで園芸学部３年の菱田朋佳さん（２０）によると、もともとは留学生向けに１４年に始めた。自転車を買った際の防犯登録などに戸惑う留学生の役に立てればと考えたのがきっかけで、日本の学生からも「ほしい」という声があり、対象を広げたという。

　当時、構内では放置自転車が問題になっていた。西千葉キャンパスの学生の定員は約１万人だが、１４年は持ち主が分からない自転車が約５千台放置されていたという。粗大ごみとして処分すれば料金がかかる。そこで委員会は、卒業や退職する人から使わなくなった自転車を無料で回収し、３千円程度までで修理できるものは業者に依頼。１台３千円程度で販売している。

　これまでに計３８７台を回収し、このうち４割にあたる１５９台を修理・販売した。今年は８０台を回収し、西千葉と亥鼻の両キャンパスで計３７台を販売。大学側も自転車の登録制やシェアサイクルの導入を進めた。こうした取り組みの結果、昨年の西千葉キャンパスの放置自転車は約２９００台に減ったという。