お前ら、車なに乗ってるの？　僕は２０００年ぐらいに買ったフィアット・ムルティプラ [964511168]

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益子修さん　前三菱自動車会長

　■再生へ、トライを続けた情の人

　８月２７日死去（心不全）　７１歳

　ラグビーを愛した。母校早稲田大の試合に足しげく通い、ボールを持っていない選手の動きを見た。「試合後はトライをサポートした選手の名前を挙げて褒めた」。早大ラグビー部監督の相良南海夫（なみお）さん（５１）は語る。

　三菱自動車社内では現場で努力する社員のために食事会を開いた。「思った以上にすごいことをしてくれた」と手放しでたたえ、じっくり話を聞いた。「普段は厳しいが、しっかりと仕事を見てくれた」（社員）。目配りと気遣いで広がった社内外の人のつながりを介し、情報が自然と集まった。「強権より情でリーダーシップを発揮するタイプだった」（業界関係者）

　リコール隠し問題（２０００年、０４年）で揺れた三菱自に三菱商事から送り込まれ、０５年１月に社長に就任した。「決断、成果、スピード感」がモットーで、２年で黒字化を達成。「不祥事を担当する最後のトップでありたい」と語り、リコール隠しや燃費不正など安全や品質に関する問題と向き合い続けた。

　燃費不正問題でブランドが傷ついた１６年には、日産自動車との資本提携を、カルロス・ゴーン元会長（当時社長）と電撃的にまとめた。

　長くトップを務め、社内では「天皇」と揶揄（やゆ）されることもあったが、日産の傘下入り後の退任を決意していた。だが、ゴーン元会長から「あなたがいないと駄目だ」と引き留められた。元会長逮捕後、３社連合内でぎくしゃくする仏ルノーと日産の両首脳の間で緩衝役も務めた。

　日産傘下で進めた拡大路線の後始末にコロナ禍が重なり、三菱自は再び厳しい経営状態にある。病魔と闘いながら再建計画をまとめた直後に取締役会長を退任。「自分が立て直しをやるつもりだった。申し訳ない」。ボールを託した加藤隆雄ＣＥＯ（最高経営責任者）にかけた最後の言葉にも、気遣いがこもっていた。

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