なんで自然災害って田舎ばっかで、新宿や渋谷とかの都会では起きないんだよ？？？？ [434383468]

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とろとろのタマネギ、パンにのせて追われた故郷思うパレスチナの味

鶏肉や羊肉を煮込み、スパイスで炊いたご飯と一緒にいただく。パレスチナには、食欲をそそるおいしい料理がたくさんある。ただ、煮たり揚げたり、作るのに数時間かかることも。主に家庭で食事作りを担う女性たちはどれほど大変なのだろうと思っていた。そんな中でも、いつでも手に入る材料で、比較的簡単にできるパレスチナ料理があると聞いた。鶏肉とタマネギを薄い生地のパンに載せてオーブンで焼き上げる、「ムサッハン」だ。
ヨルダン川西岸地区のラマラ郊外にある、有名な料理店「アルファッラーハ」に向かった。主なメニューはムサッハンだという。
キッチンで調理の様子を見せてもらった。
まずはタマネギを刻み、たっぷりのオリーブオイルで煮る。次は、オーブンの呼び名と同じ「タブーン」と呼ばれるパンの準備だ。オーブンの中の小石の上に直接、パン生地を並べていく。石の形に添って、でこぼこと表面がふくれ、焦げ目がついたパンが焼き上がった。表面に形を付けることで、やわらかく焼き上がるのだという。
ムサッハンに欠かせないのが、中東で広く用いられる赤紫色の香辛料「スマック」。木の実を砕いたもので、酸味が特徴だ。鶏肉はレモン汁につけた後、塩やスマックなどのスパイスをかけてオーブンで焼き上げた。
最後は、オリーブオイルに浸したパンに、くたくたになったタマネギをたっぷり広げ、またしてもスマックをかけてから、焼いた鶏肉を載せる。さらに鶏肉の上にもタマネギとスマックを重ね、彩りにナッツを添え、オーブンに入れること数分で完成した。
ムサッハンを初めて食べる前、パレスチナ人の知人らからは「ムサッハンの主役はタマネギだ」と聞いていた。ただ、肉好きの私。「いやいや、主役は鶏肉でしょう」と内心思っていた。
だが、食べるとその意味がわかった。
とろとろに炒められたタマネギの甘みが、スマックの酸っぱさとよくなじむ。香ばしいパンと合わせて食べる手が止まらない。ムサッハンの主役はタマネギ、あるいはスマックと言っていいだろう。
あらゆるパレスチナ料理のなかでも、この店ではなぜムサッハンを専門にしたのだろうか。店を経営するザフリー・ムバエドさん（45）によると、「農民」を意味する店名は、母親が名付けたのだという。
9年前に65歳で亡くなった父親は、飲食店で働いていた。だが1987年に始まったイスラエルに対する民衆蜂起（第1次インティファーダ）の時期は、社会の混乱で仕事がなかった。母は自宅に小さなオーブンを設け、近所の女性たちとともに家族のためのパン作りを始めた。なかでもムサッハンが好評だった。店を開くよう周囲に勧められ、第1次インティファーダの後、97年に家族で開業したのだという。ザフリーさんは、「田舎に住んでいれば、タブーン（パン）を焼くのが日常。ムサッハンは、主にパレスチナ北部で作られてきた伝統的な料理だ」と話す。「店での調理は、家で作る方法とほとんど同じ。お客さんには、ここを自宅のように感じてもらいたい」のだという。
ノルウェー出身の知人とともに店を訪れていたラマラ在住のラニア・フレージさん（48）は、「ムサッハンはパレスチナの特別な、私の大好きな料理。家でも作るけれど、海外からのお客さんはこの店に招待している」と話した。
たしかにムサッハンを作る工程はシンプルだ。料理が苦手な私にも作れるかもしれない。ヨルダン川西岸地区のベツレヘム近郊にあるアイダ難民キャンプで料理教室があると聞き、参加することにした。
ムサッハンの作り方を教えてくれたのは、イスラム・アブオダさん（42）。6人の子どもを持つ母親で、長男（21）は身体や精神の障害がある。イスラムさんは、障害児を持つ母親たちが集い、自立するための場を作ろうと、2010年に難民キャンプ内で料理教室を始めた。ほかの母親たちとともに、海外からの観光客らにパレスチナ料理の作り方を教えている。料理教室の収益は、難民キャンプの障害児を支援する活動費にもあてている。
イスラムさんのレシピでは、鶏肉にコリアンダーやターメリックを加えて鍋で煮込んだ後、スマックをかけ、オーブンで焼く。タマネギは少量のオリーブオイルで炒め、こちらにもスマックを足した。それだけで、食欲をそそる甘酸っぱい香りが広がった。最近ではタブーンを店で購入する人も増えているという。タブーン数枚の上にタマネギ、鶏肉を重ね、再びオーブンで火を通す。仕上げの過程は、店とほぼ同じだ。料理開始から1時間ほどで完成した。こちらのムサッハンは油っ気が少なく、あっさりと食べやすかった。