【朗報】文豪、暇空茜先生の軽妙な筆致が話題に🥸 [359965264]

>>618
ゲームの舞台であるブリテインに降り立ち、以前LOGINで学んだ経験を生かしてトレーニングダミーを殴り続ける。
この作業を行うことでゲーム内でのスキルが上がるのだ。
私は操作キャラクターがやがて他プレイヤーを圧倒することを夢見ながら、この人形を限界まで殴り続けた。

一通り訓練を終えて体制を整えたので、次にジョブ選択だ。
今回はフェンサーを選択した。理由らしい理由はない。強いてあげるのであれば「初期装備がダガーだった」から。

当初は動物を狩ってその皮を剥いで売り、また動物を狩るというスローライフを楽しんでいたのだが…。
ひょんなことからPAFというギルドへ参加することになった。
(注 PAFはAsukaというサーバーの中でもっとも人数が多い仲良しギルドだった)

そこは参加人数こそ多いもののほとんどがエンジョイ勢の為、烏合の衆のギルドとして知られていた。
初心者でも必ず受け入れるありがたい場所ではあったが、参加者が中級者の仲間入りをすることになると皆物足りなさを抜けていくのだ。
当時でもPAF村という一種の集落まで形成していたし、PAFデパート城という厳しい建築物まで建てているほどなのでいわゆる「頑張ってるギルド」ではあるのだが。

とはいえ後にガチ勢最先端の私がこのお気楽なPAFに入っていたことなど誰も信じてくれないかもしれない。

当時はスローライフをしつつ、少しずつ強くなっていった。
やがて私は一張羅であるリングメイルー式を着る程度には強くなり、オーク器へ狩りをするようになった。
集団を相手にするとボコボコにされてしまうので丁寧に1匹ずつ誘導して始末する。
オーク1匹とは言え油断するとすぐ体力も消耗してしまうので、都度包帯を巻きながら倒していった。
ただマウスをクリックするだけではあるが、後のクッキークラッカーのような楽しみがそこにあった。

そこへ突然プレイヤーキラー(プレイヤーを攻撃するが害悪プレイヤー)が現れて、私にEBをぶちかましてきやがった。
何が起きたのかを理解したのは自分の一張羅もオーク狩りの素材も全部むしり取られた後だった。
私は殺されたのだ。

何も悪いことをしたつもりはないのに…。
悲しくて悔しくてふりかかった理不尽に震え、ゲーム内の出来事とはいえ泣きそうになってしまった。
プレイヤーキラーはこんな所業をきっと他の人たちにもしているのかもしれない。
そう思うとこんな存在を許してはいけないという気持ちがムクムクと膨れ上がってくる。

この私はPKK(プレイヤーキラーのキラー)になろうと誓った。
あの時私を蹂躙したあの害悪クソ野郎をいつかこの手で屠ってやる。必ずだ。見かけ次第に。必ず。
これは今までなんとなくゆったりゲームをしていた自分がゲーム内で初めて明確な目的を持ったキッカケと言ってもいいかもしれない。
強さを追い求めるガチ勢の私はこの時に生まれたのだ。

怒りに突き動かされてPKKについて調べるとAWCというギルドが見つかった。
ここなら自分の本願を果たせるかもしれない…。
暗い感情を秘めながらIRCチャットへお邪魔したのであった。