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【2019/5/19速報】 元貴乃花親方が「道場」設立を発表

2 :待った名無しさん:2019/05/20(月) 01:15:33.95 ID:4br6W8jp0.net
 中野区本町の光司は不惜身命、平成の六年、若くして名を横綱に連ね、ついで二十二回の優勝を果たしたが、
性、狷介、自ら恃むところすこぶる厚く、年功序列に甘んずるを潔しとしなかった。
いくばくもなく一門を退いたのちは、江東区東砂に帰臥し、人と交を絶って、ひたすら改革案作りに耽った。
年功序列で理事となって長く膝を先輩の尾車の前に屈するよりは、改革者としての名を死後百年に遣そうとしたのである。
 しかし、名声は容易に揚がらず、生活は日を逐うて苦しくなる。光司はようやく焦燥に駆られてきた。
このころからその容貌も峭刻となり、肉落ち骨秀で、眼光のみいたずらに炯々として、
かつて横綱に昇進したころの豊頬の美少年の俤は、どこに求めようもない。
数年ののち、付き人不足に堪えず暴行事件を起こした弟子のためについに節を屈して、
ふたたび理事会へ赴き、一兵卒の職を奉ずることになった。一方、これは、己の改革に半ば絶望したためでもある。
 かつての同輩はすでに遥か高位に進み、彼が昔、僅か八回の優勝として歯牙にもかけなかった八角の
下命を拝さねばならぬことが、往年の儁才光司の自尊心をいかに傷つけたかは、想像に難くない。
彼は怏々として楽しまず、狂悖の性はいよいよ抑えがたくなった。
半年ののち、巡業で旅に出、秋田のほとりに宿ったとき、ついに発狂した。
ある夜半、急に顔色を変えて寝床から起上がると、「あーす!」と叫びつつそのまま下にとび下りて、闇の中へ駈出した。
彼は二度と戻って来なかった。付近の山野を捜索しても、なんの手がかりもない。
その後光司がどうなったかを知る者は、誰もなかった。

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