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自動作成されるキャラクターで短編小説2

1 :創る名無しに見る名無し:2010/10/06(水) 01:39:07 ID:hizOHmgG.net
↓のツールを使って短編小説を書くスレです。

【ちょい役ジェネレータ】
ttp://www.geocities.jp/umatan410/odais1
ttp://www.geocities.jp/umatan410/odais2
男でも女でも使える設定が3つランダムに登場

ツールのホームページ
ttp://www.geocities.jp/umatan410/top



前スレ
自動作成されるキャラクターで短編小説
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1245215313/

2 :創る名無しに見る名無し:2010/10/06(水) 01:41:39 ID:hizOHmgG.net
なかったから立てた。
後悔はしていない。

【設定】
マイホームタイプ、
得意料理がオムレツ、
あだ名がシャープペンシル

6レスほど投下します。

3 :創る名無しに見る名無し:2010/10/06(水) 01:42:54 ID:hizOHmgG.net
「あなたー、朝ごはんできたわよー」
「わかりました、今行きます」

朝。
リビングのソファーに腰を沈めながら新聞を読んでいた私は、妻が私を呼ぶ大声を聞いた。
負けじと大声でそれに答え、読んでいた新聞を折りたたみ、ソファーから腰を上げダイニングへと向かう。

ダイニングに着くと、テーブルには、黄金色に焼かれたトースト、みずみずしいレタスやトマトが盛りつけられたサラダ、
そして、ハートマークのケチャップがかけられたオムレツが並んでいた。

「またこんな恥ずかしいことを……。オムレツを作ったときはいつもこれですね」
「いいでしょ、かわいくて」
「まったく」

軽口をたたきながら席に着く。
妻はオムレツを作るのが得意だ。
得意料理だから、食卓に並ぶ頻度はほかの料理よりも必然的に多くなる。
最初のころはお互い顔を真っ赤にしながらハートマークのオムレツを真ん中にして見つめあっていたのだが、
何回も食卓に出された今となっては、苦笑交じりのこのやりとりが定番となっていた。

「それにしても、いつもきちんと朝ごはんを作ってもらえてありがたいですね。
たまには手を抜いてもいいんですよ?」
「何言ってるのよ。朝ごはんは一日の活力のもとなんだから、しっかりと食べないとお仕事がんばれないわよ。
それに、あなたがおいしそうな顔で食べてくれるだけで私は嬉しいんだから。気にしないで」

そういって、妻は私ににこりと笑いかけてくる。
私はその笑顔を見て、ふいにどきりと胸が高鳴り、少し心臓の音が早くなった。
妻と結婚をしてから、こうして彼女に驚かされることがたびたびある。
日常のこうしたほんの些細なしぐさもそうだし、彼女の性格や行動パターンで驚かされることもしばしばだ。
中でも一番驚いたことが、バリバリのキャリアウーマンだった彼女が、結婚を機にすっぱりと仕事を辞め、
まるで当たり前のようにすっぽりと家庭に収まってしまったことだ。
彼女と同じ職場で働いていた私は、そんな彼女の仕事熱心なところに憧れていたのだが、
まさかこんなにマイホームタイプな人だとは思っていなかった。
仕事を辞めて家庭に入ると聞かされたときは、とても驚いたものだ。

4 :創る名無しに見る名無し:2010/10/06(水) 01:43:50 ID:hizOHmgG.net
「それじゃ、そろそろいただきましょうか」
「そうですね、いただきます」

食前のあいさつを済ませると、まずはトーストに手を伸ばし、一口かじる。
カリッと音を立てて口のなかに放り込まれたトーストは、ほどよく塗られたバターの塩味と溶け合い、
舌の上でサクサクと音を立てながら喉の奥へと滑りこんでゆく。

うん、おいしい。

いつも通りの味だ。なんだか心がほっとする。
さっき、結婚前や結婚当初のことを考えていたせいだろうか。いつも通りと思えるほど
妻と長い時間を過ごしてきたことに気づき、私はそっと、その嬉しさをトーストと一緒にかみしめた。

次に私は、妻自慢のオムレツに手を伸ばす。
スプーンをオムレツの真ん中に差し入れ、ハートの形を崩さないようにケチャップとオムレツを一緒にすくい上げる。

「あなた、いつもそうやって食べるわよね。それ、何かの癖なの?」

妻が、下からのぞきこむようにして、いたずらっぽい笑みを浮かべながら聞いてくる。

「そうですね、もうすっかり習慣になりました。最初は、君の書いてくれたハートマークがとても嬉しくて、
それを崩すのはもったいないと思って始めたんですけど、今ではこうするのが当たり前ですね」
「なにそれ。私との生活も、すっかりマンネリっていうことかしら?」

少し拗ねたように妻が口をとがらせる。私は、彼女の眼を見ながら、笑顔でこう答えた。

「君への気持ちが、結婚した時からずっと変わっていないという証拠です。愛してますよ」
「もう、相変わらずね」

妻はほほを紅く染め、目をそらす。
そんな様子を見ながら、私はスプーンにすくったオムレツを口に含んだ。

5 :創る名無しに見る名無し:2010/10/06(水) 01:44:54 ID:hizOHmgG.net
あれ?

まず思った感想はこれだ。
ついで、今の気持ちを表す言葉が浮かんでくる。

いつもの味じゃない。

いつもであれば、オムレツは口の中でなめらかにほぐれ、とろりとした半熟の卵が舌をやさしく包み込む。
しかし今日は、ほぐれた卵の舌触りがいつもよりざらついて感じた。
なぜ? 理由を考える。たぶん、これは、きっと‥‥

「どうしたの? 不思議そうな顔しちゃって。なにかあった?」

感じた疑問が顔に出ていたのだろう。
考え込む私の顔を見て、妻がこう問いかけてきた。
私は、特に何を思うでもなく、こう答えた。

「はい、いや、ちょっとオムレツの味が変でしたから。もしかして、作るの失敗しました?」

オムレツのざらついた舌触り。考えられる理由としては、おそらく熱の通しすぎだろう。
特に失敗といえる失敗でもなかったが、彼女の得意料理であるオムレツにしては珍しいミスだと思った。
そんな軽い気持ちで彼女にそう答えただけだったのだが、私の目の前で、彼女の顔はみるみる青くなっていった。

「そんな……、私がオムレツを失敗するなんて………。あぁ―――」

6 :創る名無しに見る名無し:2010/10/06(水) 01:45:47 ID:hizOHmgG.net
どさっ。

妻が椅子から崩れ落ち、ダイニングの床に臥せた。

しまった。やってしまった。

考えなしに答えたのがまずかった。
オムレツの味がいつもと違うことを、もう少し言葉を選んで
やわらかく彼女に伝えるべきだったと私は後悔した。

妻にはあだ名がある。
彼女が働いていたとき、同僚からつけられたあだ名が「シャープペンシル」だ。
いつもはキビキビと仕事をこなす彼女だったが、仕事上でミスがあると、
それがほんの些細なミスであっても彼女は激しく落ち込み、何もできなくなる。
ちょっとしたことで簡単に心が折れてしまう様子がまるでシャープペンシルの芯の様であり、
そんなわけで、彼女にこんなあだ名がついたのだった。

まったく、しょうがないな。と思いつつ、私は席を立って妻の元に向かう。
やっかいな彼女の落ち込み癖だが、幸いにも、簡単に立ち直らせる魔法がある。
職場では仲が良い妻の同性の友達が行っていたが、今では私の特権だ。
その魔法とは―――

7 :創る名無しに見る名無し:2010/10/06(水) 01:46:38 ID:hizOHmgG.net



ぽん、ぽん。



妻のそばで私も床に座り込み彼女を抱き起こす。
そして、頭を2回、なでるように軽く叩いた。

「ふぇ?」

いつもの凛とした彼女からは想像できない、まるで子供のような声をあげ、
ぽかんとした顔をして妻が私に振り向く。

「あの……、あ、ありが…とう……」
「どういたしまして。もう落ち着いたかな。大丈夫ですか?」
「うん、もう平気…よ。ご、ごめんなさいね、いつもすぐに落ち込んじゃって! でももう大丈夫だから!
さあほら、朝ごはん食べましょう!」

恥ずかしそうに顔をそむけ、そう言いながら妻が立ち上がる。
どうやら、魔法が効いたようだ。
わざとらしいくらい元気に話す妻を見て、私はそう思った。
自然と顔に笑みが浮かんでくる。

8 :創る名無しに見る名無し:2010/10/06(水) 01:47:23 ID:hizOHmgG.net
「ちょっと! なに笑っているの?!」
「別に。ただ、君の様子が可愛かったものですから」
「ば、馬鹿なこと言ってないで、早く席について! ほらほら!!」
「はいはい」

妻にせっつかれ、私も立ち上がって自分の席へと向かう。
席へと向かうすがら、彼女を立ち直らせる魔法を教えてもらった時のことを思い出した。

落ち込んだ妻を立ち直らせる魔法。それは、彼女の頭を2回叩くこと。
最初に聞いたときはそんな簡単なことで?とあっけにとられ、
実際に妻が頭を叩かれて立ち直る様子を見ても不思議に思っていた。
しかし、彼女のあだ名を思い出し、なるほど、と納得する。

シャープペンシルの芯が折れ、もう一度書けるようにするためにはどうすればよいか。
つまりは、そういうことだ。

「なにボサッとしてるの? ほら、早く早く!」
「分かってますよ、可愛い私の奥さん」
「あら、私みたいなおばさんにかわいいなんて言っても、嬉しくもなんともないわよ」
「そう言う割には、とても素敵な笑顔なんですけど。何かありました?」
「分かってるくせに。もう……ばかっ」

9 :創る名無しに見る名無し:2010/10/06(水) 01:48:59 ID:hizOHmgG.net
以上。
近日中にまた投下します。

10 :創る名無しに見る名無し:2010/10/08(金) 00:13:39 ID:RWl5k73V.net
新スレ乙

11 :創る名無しに見る名無し:2010/10/09(土) 17:57:28 ID:6wiJ/Dub.net
れすキタコレ
でもスレが過疎ってるので自力で加速〜

【特徴】
コツコツタイプ、
目立たない感じ、
お金の使い方が大雑把

8レス投下します。



12 :創る名無しに見る名無し:2010/10/09(土) 17:58:47 ID:6wiJ/Dub.net
「………………」カリカリカリ

「」ジーッ

「………………」カタッカタカタカタ

「」ジジーーッッ

「………………」カリカリペラッカリカリカリ

「」ジジジーーーッッッ

「……さっきから何だ。ずっと私のことを睨みつけて」

「え? いやー、何やってるのかな〜とか、数字がいっぱいだな〜とか、計算ばっかで楽しいのかな〜とか」

「そんなことを考えていたのか?」

「うん」

「くだらないやつだな。ほかにやることはないのか」

「んー、特にないかなあ。ていうか、ぶっちゃけ暇」

「だったら宿題でもやっていたらどうだ。明日は数学で当てられる番だろう?」

「それはうちに帰ってからやるよぉ。今はやる気なーし」

「ふん、くだらないやつだ」プイッ

13 :創る名無しに見る名無し:2010/10/09(土) 17:59:39 ID:6wiJ/Dub.net
「」ニコニコ

「………………」カリカリカリ

「」ジーッ

「………………」カタカタッカリカリカリカリ

「……ね、それってお小遣い帳だよね」

「そうだが?」

「なんで教室でそんなのやってんの?家に帰ってから書けばいいのに」

「昼休みの食事を書き留めている。レシートがないから、忘れないうちにな」

「ふーん。で、月末だからついでに今月分をまとめちゃおうと思って、計算機と格闘していると」

「おぉ……、その通りだ。良くわかったな」

「まあね〜、いつもより計算が長いから、もしかしたらと思って言ってみました」

「なんだ、あてずっぽうだったのか。感心して損した」

「え〜? 観察の賜物って言ってほしいな〜。いつもこうやって見守っているからこそ気づけたのに」

「いや、正直うっとうしいからやめてほしい。いつもいつも私の小遣い帳を横から覗き込みよってからに」

「だって隣同士の席なんだもの、しょうがないよ。まぁ熱心なギャラリーが一人いると思ってさ」

「熱心なギャラリーって……、まったく、こんなもの見ていて何が楽しいんだか……」

「まあまあ、お気になさらず〜」

「まったく……」ハァ

14 :創る名無しに見る名無し:2010/10/09(土) 18:00:28 ID:6wiJ/Dub.net
「ん〜ん〜〜」〜♪〜〜♪

「………………」カタカタカタッカリカリ

「ふふ〜〜んふ〜〜〜ん」♪♪〜〜♪〜〜〜

「………………」ペラッカリカリッカリカリカリ

「ん〜〜ん〜♪ ところでさ、なんでお小遣い帳なんかつけてるの?」

「ん? んー、教えるのがめんどくさい。後にしてくれ」

「えー? いいじゃん教えてよー、ねーほらほらぁ」

「いやだ、うっとうしい、あっちいけ」

「いーじゃーん、おしえてってー。教えてくれないとお小遣い帳のことみんなに言いふらしちゃうぞー」

「別にかまわん。というか、いつも教室でやっているのだから、みな気付いているだろう? 何をいまさら」

「え? 多分みんな気付いてないよ。なんていうか、おとなしい感じだから視界に入らないというか、気にしないというか」

「ぐっ、それが私の印象なのか。確かに声をかけられることが少ないとは思っていたが……、そうか、そうか……」

「ま、まあまあ、そんな落ち込まないで、ね? ほら、帰りにクレープ屋さんでおごるから! 元気出して!」

「む、その言葉、二言はないな?」

「もちろん! どんときなさい!!」

「よし、それじゃあカスタードダブルチョコアイススペシャルイチゴマロンバナナダブルナッツマシマシアズキリンゴ――」

「すいませんごめんなさいトッピングは3つまででお願いします」

15 :創る名無しに見る名無し:2010/10/09(土) 18:01:17 ID:6wiJ/Dub.net
「………………」カタッカタカタカタ

「」ハァァァ…

「………………」カリカリカリ

「」イワナキャヨカッタカナ

「………………」ペラペラッカリカリカリ

「」ウーン…デモ……

「……いつまで落ち込んでいるのだ。二言はないと堂々宣言したのは君だぞ。シャキッとしろシャキッと」

「いやまあそーなんだけど、お小遣いが厳しいなーとか、思わぬ出費だーとか、でも元気出して欲しかったからなーとか」

「安心しろ。元から無茶な注文はしないつもりだ。財布の中身くらいわかっているからな」

「うーん、それはそれで安心したというか情けないというか」

「変なところでカッコつけようとするからだバカ者。少しは身の程を考えてから発言しろ」

「へいへい。ありがたいお言葉に涙が出ますねぇ。ふぁあ〜ぁあぁ」アフゥ

「まったく……」クスッ

16 :創る名無しに見る名無し:2010/10/09(土) 18:02:07 ID:6wiJ/Dub.net
「ふーんだ。ま、別にいいんですけどね、元気になったみたいだし。あなたの笑顔を見るためなら〜ってやつ?」

「うん……そうだな。おかげでさっきのショックはなくなったみたいだ。ありがたいありがたい。クレープ様々だ」

「えー? なんか感謝する相手が間違ってる気がするんですけどお」

「腐るな腐るな。ちゃんとクレープをおごってくれた暁には、きちんと感謝の念を示すさ」

「そうあって欲しいものですね。それよりもさぁ、早くそれ終わらせちゃいなよ。お店しまっちゃうよ?」

「わかっている。もう少しで終わるからそこで待っていろ。ここの計算が少し厄介なのだ……」

「うーん、ていうかさぁ、結構てきとうだよね、お小遣い帳の付け方」

「……なん、だと?」

「例えば、今日のお昼『300円くらい』とか、『1000円くらい』の本を『2冊?』買ったとか。おかしいでしょ」

「…………どこがおかしいんだどこが」

「ええ? だって、普通は何をいくらで幾つ買ったってきちんと書くでしょ? なんで『くらい』とか『?』が出てくるのさ」

「いやそれはほら、記憶違いがあるかもしれないし、なんというか使った金額に幅を持たせてだな……」

「いやいや、お小遣い帳なんだからそこはキチッと書かないと。せっかく毎日つけてるんだし、なんかもったいないよ」

「う〜、うるさいうるさい!! 別にいいんだ! これが私のやり方なんだから! 文句を言うな文句を!!」

「ああ〜はいはい、わかりましたわかりました。いいからさっさと終わらせよう、クレープ食べたいでしょほら」

「うう〜〜〜」プンスカ

17 :創る名無しに見る名無し:2010/10/09(土) 18:02:59 ID:6wiJ/Dub.net
「………………」

「」プンプンカリカリ

「………………」

「」カタカタプリプリ

「………………」

「」カリカリカリ……プンスッ

「もーいい加減機嫌直してよー、ね? 謝るからさぁほらあ〜」

「いやだ。許さない。侮辱された。名誉毀損だ。訴えてやる」

「そんな怒ってばっかだとかわいい顔がもったいないよ?」

「っ―――、だから! 君は! どうしていつもそうなんだ!」バンッ

「えっなになに、なんか変なこと言った?」アワアワ

「いつもいつも! 私の心を乱すようなことばかり! 私はいつも君のことを考えているのに、どうして……」ウルウル

「わー! ごめんごめん!! 泣かないで、ね、ごめん、ごめんよ〜」オロオロ

「だいたい、この小遣い帳は君のために付けているのだぞ。なのに、書き方がおかしいだなんて……」ポロポロ

「あー、そうだったんだ、そっか。んーと、ほら、ハンカチ貸してあげるからこれで涙ふいて」ゴソゴソ……ッパ

「うう……グスグス……」グシグシ

「よしよし。ごめんね、ほんとにごめん」ナデナデ

「んん……。すごく悔しかったんだからな、君のための小遣い帳なのに、何も知らん風に馬鹿にされたから」

「別に馬鹿になんかしてないよ。ただちょっと、書き方がおかしいかなって思っただけだからさ」

「それでも私は悔しかったんだ。なのに、のん気なことばかり言って、あげくに私のことを、か、かわいいなどと……」

「あ、もしかして照れてる? かーわいーい♪ ほっぺたつついちゃうぞ〜」ツンツン

「ばっやめろ! 私は照れてなどいない!! だいたい、そんなに私はかわいくなど……」

「え〜? かわいいよお。そんな風に照れ隠しで怒ったふりしてる所とかさぁ。自信持ってよ〜」

「だから私は! っ――もういいっ、何を言っても君にからかわれるのだ。もう知らん、私は黙る」

18 :創る名無しに見る名無し:2010/10/09(土) 18:03:55 ID:6wiJ/Dub.net
「うんうん、そうやって拗ねる所もかわいいな〜。もうあなたにメロメロッ!! ねー♪」

「」カリカリカリ

「……あっ! 肩にホコリが付いてるよ!! とってあげよー♪」パッパッ

「」カタカタカタ

「…………おっと! ほっぺにもホコリが付いてるね!! そーれ、ちょんちょんっと♪」プニップニッ

「」カリカリッカリカリ

「………………わーあ、綺麗なほっぺただねえ。このまま、ちゅーしちゃうぞお!」ンー

「」バシッ!! ギロッ

「!!―――――――――」

「」カリカリカリ

「……………………」シュン

「」カタカタッカリッ

「……………………」グスッ

「……………………」チラッ

「……………………」イジケテヤルゥ

19 :創る名無しに見る名無し:2010/10/09(土) 18:04:46 ID:6wiJ/Dub.net
「……はぁ、まったく…………。ほら、終わったから帰るぞ」

「えっ、ほんと?」パアッ

「あぁ。クレープおごってくれるんだろう? 早く行くぞ」

「えへへ! うん、行こう! よし行こう!」パタパタ

「こら、教室で走るな、危ない」

「だいじょぶだいじょーぶ! あっそだ、さっき気になったこと聞いてもいい?」

「ん? かまわんぞ、なんだ」

「お小遣い帳だけど、それつけてどうするの? お金でも貯めてるの?」

「うむ、まあそうだな。やりたいことがあるから、そのための資金を貯めるため、だな」

「へー。じゃあその、やりたいことってなに?」

「それは……ひ、ひみつだ」

「ふーん。ちなみにぃ、さっき『この小遣い帳は君のために付けている』〜なんて言ってたけどぉ」

「うっ! いや、あれは…………」

「そのやりたいことって、もしかして〜?」

「ぃぃぃぃいいい良いから行くぞ! ほら早くしろ! ほらっ」

「なんでなんで? おしえてよーおーしーえーてー」

「そ、そのくらい察せ! この……ばかっ!!」




20 :創る名無しに見る名無し:2010/10/09(土) 18:05:30 ID:6wiJ/Dub.net
男×女
女×男
女×女
お好みでお読みください。

男×男? どんとこいでーす

また会いましょう。



21 :創る名無しに見る名無し:2010/10/09(土) 18:08:20 ID:qGWQpa1G.net
特徴
子供が嫌い、
少し無口、
黒とピンクの組み合わせを好む


22 :創る名無しに見る名無し:2010/10/09(土) 18:12:13 ID:qGWQpa1G.net
初めてだけど頑張ってみる

小鳥の声、朝の眩しい太陽が私の目に飛び込んでくる

「ふわぁ〜」

軽くあくびをして眠気を飛ばそうと心みるが昨日の夜更かしが原因でやはり眠い

私は黒とピンク柄の枕を顔に抱き太陽に抵抗してみた

「・・・」

馬鹿馬鹿しい、何をやってるんだろう私は

23 :創る名無しに見る名無し:2010/10/09(土) 18:17:16 ID:qGWQpa1G.net
ベットから飛び起きて軽く伸びをする

昨日のベーコンと春巻きを冷蔵庫から取り出して電子レンジに突っ込む

ご飯も用意していると電子レンジ特有の「チン♪」という音が聞こえおかずを取り出す

香ばしい匂いが少し鼻腔を擽る

妹も降りてきたみたいだ。

24 :創る名無しに見る名無し:2010/10/09(土) 18:19:58 ID:qGWQpa1G.net
「お兄ちゃん♪おはよう!」

相変わらず元気だな、と思った

「元気だな」

ああ、喋るのが面倒くさい

「毎日恋してるからね!」

そう意味不明な戯言を残し妹は玄関を開け先に学校に行ってしまった

本当に彼氏でも出来たのだろうか?

25 :創る名無しに見る名無し:2010/10/09(土) 18:24:38 ID:qGWQpa1G.net
朝食も食べ終わり私も玄関を開け外に飛び出す

肌寒い季節特有の朝の冷たい風が体に当たり少し震える

朝特有の清々しい空気を吸い込み玄関を出ると

ズボッ

足が小さな落とし穴に嵌った

新品の靴が一瞬で泥だらけになった

玄関前の門から除く目

またか

26 :創る名無しに見る名無し:2010/10/09(土) 18:27:00 ID:qGWQpa1G.net
近所のいたずら小僧だ、だから子供は嫌いなんだ

私は素知らぬ振りをして門に向かう

笑いを堪えている子供の横を素通りして学校に向かった

子供なんていなくなればいいのに

自由になりたい

私は全裸になり清々しい気持ちで朝の町を駆け抜けた



27 :創る名無しに見る名無し:2010/10/09(土) 18:32:22 ID:6wiJ/Dub.net
全裸かよ! 服着ろよ!

兄×妹でもっと続くかと思った。
構わん、続けたまえ。

28 :創る名無しに見る名無し:2010/10/09(土) 18:35:41 ID:qGWQpa1G.net
そんなことより書き込みする度に半角押さないと日本語にならないなんて・・俺のPC酷い

特徴
家がやたら大きい、
二重、
お茶目


29 :創る名無しに見る名無し:2010/10/09(土) 18:42:47 ID:qGWQpa1G.net
私の家はやたら大きい、主人が猫である私の為に買ってくれたみたい

毎日豪華な食事に散歩には人間の従者、お風呂にマッサージまで

私はなんなのだろう、人形なのかな

考えていると主人が帰ってきた

左手の親指、小指薬指に付けてある金色の指輪が眩しい

あの宝石だらけの右手の指輪も遅れて太陽の光をこれでもかっと反射してくる

玄関の扉を閉めた主人の顔が見えてくる、くしゃくしゃした猿のような顔だ

私を見てにんまり微笑む

やめろ、近づくな

私の願いも空しくこのむさ苦しい男は今日も私に近づいてきた

30 :創る名無しに見る名無し:2010/10/09(土) 18:49:17 ID:qGWQpa1G.net
「やぁ、ミーコちゃん今日も可愛いねぇ、ぺろぺろしてあげようかなぁ・・うへへ」

酒臭い匂いがした、背筋にゾッを悪寒が走る

「・・にゃ、にゃ〜」

ご主人が目を閉じてこっちに近づいてきた、やめろ、来るな

よく見たくもないのに閉じた右目の二重と左目は一重が私の目に飛び込んでくる

引っ掻きたい、引っ掻いて二度と傍に寄れないようにさせたい

しかし生きる為にやむなく猫の私は目を閉じた

ぶちゅっ

ねっとりとした濃厚なキス、舌を入れて来た

私は失神した

31 :創る名無しに見る名無し:2010/10/09(土) 18:54:25 ID:qGWQpa1G.net
次の日の朝、眩しい太陽の光が私の目に入る

なんだ夢か

私は眠気覚ましにお茶目に尻尾で三角の図形を書き

主人が私にご飯意外で関わらないよう天を仰いだ



難しい

32 :創る名無しに見る名無し:2010/10/09(土) 19:04:03 ID:6wiJ/Dub.net


即興?

33 :創る名無しに見る名無し:2010/10/09(土) 19:05:05 ID:qGWQpa1G.net
うん

34 :創る名無しに見る名無し:2010/10/09(土) 19:10:07 ID:6wiJ/Dub.net
おー、すげー! じゃあ、

構わん、続けたまえ

って言えば、もう一個作ってもらえるとか?

35 :創る名無しに見る名無し:2010/10/09(土) 19:30:28 ID:6wiJ/Dub.net
言い出しっぺの自分で何とかしろって?
催促しといて何もしないのもあれだから自分も即興で。

【特徴】
ゴキブリにトラウマ、
手先が器用、
喘息持ち

1レス投下します。



36 :創る名無しに見る名無し:2010/10/09(土) 19:32:14 ID:6wiJ/Dub.net
「ぎぃぃぃやあぁぁあああ」

さして広くもないワンルームの部屋に、絶叫が響き渡る。

「ごーーきーーぶーーりーー!!!」

部屋の隅をカサカサと這いずる黒い物体を目撃し、
その部屋の住人である女性が全力で叫んでいた。

「うぅぅおおおおおおお!!!」

部屋の中には、工具類や機械類の類がそこら中に散らばっていた。
とても女性の部屋とは思えぬ惨状だ。
まあ、こんなありさまだからこそ、ゴキブリが発生するのもやむなしといったとこか。

「でりゃあああああ!」

工具と機械の部品を手にした彼女は、ものすごい勢いで何かを作っていく。
目にもとまらぬ早さとはかくの如し、というほどの手さばきで、
彼女はあっという間に一つの物体を作り上げた。

「幼いころに顔面ダイブされた時の恨み! 今晴らしてくれるわあーっ!!」

ゴキブリって、なぜか人間の顔に向かって飛んできますよねー。
ああ、閑話休題。
彼女は、たった今作り上げた機械を作動させた。

「必殺! 殺傷成分を含む薬品を蒸散させてゴキブリをぬっころす装置ぃ! 発動!!」

人はそれをバルサンという。
機械からは真っ白な煙がぶしゅーっと吹き出し、すぐに部屋を埋め尽くす。

「どうだげほっ、みたかげほげほ、これぞ人類のげえっほげほ、勝利げふっだー! げほげほ」

もともとのどが弱いのだろうか。
煙を吸い込んだ彼女は、激しく咳込みながら勝利を宣言する。

「……………」カサカサカサカサ

げはははげほほほと咳込みながら笑い続ける彼女を横目に、ゴキブリは
安全な排水溝の中へと逃げ込むのであった。



37 :創る名無しに見る名無し:2010/10/10(日) 15:13:33 ID:TUXKWzb0.net
加速だ加速!
かそくすっぞ!

【特徴】
忍者に憧れる、
限度が分からず、はめを外して失敗する、
独りが好き

9レス投下します。



38 :創る名無しに見る名無し:2010/10/10(日) 15:14:19 ID:TUXKWzb0.net
「おにいさま、おにいさま〜」
「ん? なんだ、妹よ」

自室で机に向かっている少年に少女が声をかけた。
少年は振り向かず、背中越しに少女の声にこたえる。

「あのぉ、ちょっと教えてほしいことがあるのですよ〜」
「今、宿題しているから後にしてくれ」
「え……っと、でも、今すぐじゃないとちょっと困るのですぅ」

ゆっくりと間延びした声で話す少女。
後ろを振り返ることなく、少年はめんどくさそうにそれに応える。

「うっるさいな。こっちだって困ってんだよ、これ明日までに出さなきゃいけないんだから」
「あの、そのプリントのこと、ですか?」
「そうだよ! 漢字の書き取りプリントが10枚! 先週出されて、明日の授業が提出期限なんだよ!」

怒気をはらんだ声で少年は少女に答えを返す。
手をせわしなく動かし続ける少年の横には、手本の漢字とそれを書くための空白が
びっしりと敷き詰められたプリントが何枚か重なっていた。
その空白がすべて埋まったプリントは……どうやらまだ1枚もないようだ。

「それなら私が手伝います♪ そのかわりぃ、宿題が終わったら私のお願いも聞いてほしいのですけど…」
「ん……、いや、お前一人に手伝ってもらっても意味ないから手伝わなくていい」
「それって、私がのろまだからですか?」
「そうだよ! お前一人じゃ意味ないから部屋に戻れ。何を教えてほしいのか知らんけど、明日教えてやるから」

39 :創る名無しに見る名無し:2010/10/10(日) 15:15:29 ID:TUXKWzb0.net
少年はいらいらしていた。
毎日少しずつやっていれば余裕で終わる宿題だった。
そう、余裕で終わるはずだった。なのに何故、自分は今こんなにも苦労しなくてはならないのか。
もちろんそれは、余裕で終わるという心の隙が少年の考えを甘くし、明日からやれば大丈夫、
まだ何日もある、という誰しもが一度は陥るであろう甘言に捕らわれたからに他ならなかった。
そして、そのことを重々承知しているからこそ、少年はいらいらしているのだ。

「だったらちょうどよかったです〜。今、私5人いるから、いつもよりずっと早くできますよぉ♪」
「……5人? お前、友達にまで手伝わせるつもりかよ。ふざけたこと言ってんじゃ――」
「ちがいますよぉ、私が5人いるのです。手伝うのは私だけですよっ!」

少年の声を遮って少女が反論した。
もう我慢ならん。今すぐこの部屋から追い出してやる。少年は思った。
ただでさえいらいらしているところに、さきほどから妹がのん気に話しかけてくる。
加えて、この意味不明な言動だ。少女を追い出したいと思ってしまうのも無理はないだろう。
大声で怒鳴りつけようと決意した少年は椅子から立ち上がって少女の方を向き、

「はあ?! なに馬鹿なこといってんだおま―――」

そこまで言ったところで、動きを止めた。

「――――え?」

いや、止めざるを得なかった。少年の目の前に映し出された光景、それは――

「「「「「えっへへ〜、こんな私でも、5人もいればきっとあっという間に終わっちゃいますよ♪」」」」」

5人の妹が横一列に並び、後ろ手に手を組んで、にっこりと兄に微笑みかけているところだった。



40 :創る名無しに見る名無し:2010/10/10(日) 15:16:35 ID:TUXKWzb0.net


「で、NARUT●の分身の術をマネしていたら、元に戻れなくなったと……」
「分身の術じゃないです、影分身の術です……」

同じ顔、同じ格好をした少女が5人、少年の前で正座をしている。
少年は椅子に腰かけ、軽く足を組んで5人の妹を眺める。
はたから見れば、6人兄妹の兄が五つ子の妹を前に説教をしているように見えるだろう。
しかし、彼らは2人兄妹だ。
また、仮に少女が五つ子だったとしても、背格好すべてが丸っきり同じというのは、
やはり異様な光景だった。

「影分身ってお前、禁術じゃんか…使って大丈夫なのか?(まあ、禁術の割には漫画でもバンバン使ってるけど…)」
「はい……、今のところは何ともないみたいです…」

少女の語るところによれば、最近流行りの忍者漫画の主人公のマネをしたら、
いきなり自分が5人に増えたということだった。

「ずっと前から色んな術の修行はしてたんですけど…、影分身は好きな術で、特に熱心にしてたから……」

だから術が成功してしまったのではないか、ということらしい。
漫画のキャラのマネではなく、修行と言ってしまうあたり、
少女がどれだけその忍者漫画に熱を上げていたかがうかがえる。

41 :創る名無しに見る名無し:2010/10/10(日) 15:18:04 ID:TUXKWzb0.net
「で、術が成功しちゃったはいいけど、元に戻れなくなったと。まったく、何をやってるんだか」
「はうぅ、私だって、まさか本当にできちゃうとは思っていなかったんですよぅ……」
「はぁ…。しょうがない、約束は約束だし。元に戻れる方法、一緒に見つけてやるよ」
「はいぃ…、よろしくお願いしますですょぉ……」

少女の声は今にも消え入りそうだった。
この異様な状況に、心身ともに疲労が隠せないようだ。
もっとも、さきほどまで大量の漢字の書き取りを手伝わされたせいもあるかもしれないが……。
ちなみに、宿題は全部終わったみたいです。

「それじゃまずは、漫画で影分身から戻るときのマネをしてみるか。どんな感じで戻ってたっけ?」
「え〜っと、敵からダメージを受けるとか、術を使って体力を使い切るとかすると消えたと思うです」
「敵からダメージか……。ちなみに今、本体は誰なんだ?」

中央の少女が手を上げる。周りにいる4人の少女がそれを見てうなずく。
それを確認した少年は椅子から腰を上げ、

「ちょっと痛いけど我慢しろよ」
「え…、何をする―― ゴン「たっ」ゴン「はうっ」  ゴン「あつっ」ゴン「うきゅぅ」――んですか……」

左端の少女から順に――中央の少女を飛ばして――頭をげんこつで叩いていった。
叩かれた少女は頭を抱えてうずくまり、肩を震わせて痛みをこらえている。

42 :創る名無しに見る名無し:2010/10/10(日) 15:18:49 ID:TUXKWzb0.net
「お…にいさま! いきなり何をするんですか!?」
「なにって、ダメージを受けると消えるんだろ? だから叩けば消えるんじゃないかなーと」
「だからって私の頭をはたくなんて酷いですよ!」
「いや、分身なんだからお前じゃないだろ?」
「そーゆー問題じゃありません! おにいさまは妹である私を何だと思っているんですか?!」
「いや、だから……」
「だからも何もありません! 今すぐみんなに謝ってください!!」
「うん……えっと、ごめんなさい……」

少女の激しい剣幕に押され、少年は思わず謝罪の言葉を口にした。
なにか納得できない顔で渋々謝るという態度だったが、
一応納得したらしい少女は、それを見て落ち着きを取り戻した。

「もう2度と痛いことはやらないでくださいね! それと、何をするか事前に私に教えてください!」
「うん…わかったよ……。(ていうか、なんで俺が怒られる流れなんだ?)」
「わかればいいのです。それでは、えっと……あれ?」

少女が辺りを見渡すと、いつの間にか自分の分身たちがいなくなっていた。
不思議そうにきょろきょろとする少女に、少年は頭をかきながら声をかける。

「さっき、俺がお前に怒られているときに、みんなスーッと消えていったぞ」
「え? そう、なのですか?」
「ああ。怒るのに体力を使ったからか、別のことに集中したせいかはわからないけどな」
「そう……、ですか……」

今まで、自分の分身たちがいた空間を見つめて、少女はぽつりとつぶやく。
少女の顔を見て、少年は意外そうに尋ねた。

「なんだよ、ずいぶんとさびしそうな顔して。あまり賑やかなのは苦手なくせに、どうしたんだ?」
「そうですね。確かに、一人でいる方が好きですけど、でも……」
「急にいなくなられると、やっぱりさみしいか?」
「そう、かもしれません……」

たとえ困らされていた原因だとしても、自分から生まれた本当の意味での自分の分身だ。
突然の出来事で慌ててしまったが、落ち着いて思い返してみれば、そんなに大変な出来事だっただろうか。
もっとお話をしたり、一緒に遊んでみたりすればよかった。
少女は、突然目の前に現れ、そして急に目の前から消えてしまった自分に、そんな思いをはせた。



43 :創る名無しに見る名無し:2010/10/10(日) 15:19:33 ID:TUXKWzb0.net
「それではおにいさま、私は自分の部屋に帰ります。今日はありがとうございました」
「おう。こっちこそ、宿題手伝ってもらってありがとな」
「いいえ〜、のろまな私でよかったら、いつでもお手伝いしますよ〜」
「はは。まあ考えておくよ」

お互いにお休みなさいと挨拶を交わし、少女は部屋へと戻って行った。
宿題も片付いたし、妹の頼みごとも片付いた。さて、そろそろ自分も寝るか。
少年は部屋の明かりを落とし、さっぱりとした気持ちで床についた。



44 :創る名無しに見る名無し:2010/10/10(日) 15:20:28 ID:TUXKWzb0.net


次の日。
少年は、再び自室の机に向かって忙しなく手を動かしていた。
机の上には、昨日あれだけ苦労していた漢字の書き取りプリントが何枚もつみあがっており、
少年はそのうちの1枚に向かい、必死に手を動かし続けていた。
妹に手伝ってもらった宿題は、筆跡が違うことを担任の教師に見破られ結局再提出となり、
しかも罰として倍の枚数の書き取りを命ぜられてしまった。

「おにいさま〜? 今、よろしいですか〜?」
「…………」

昨日と同じように、再び妹が少年の部屋を訪れた。
少年は無視を決め込む。
どうせまた、くだらない質問でもしにきたのだろう。
しかも、昨日みたいにどうしようもないことだったら、また面倒なことになる。
とにかく今は宿題を終わらせることが先決だ。妹の相手をしている暇などない。
そんな少年の考えとは裏腹に、少女は少年に声をかけ続ける。

「おにいさま〜。あのですねぇ、ちょっと相談したいことがあるのですよぉ」
「…………」
「おにいさまぁ。お願いですから、こっちを向いてくださいです〜」
「…………」
「おーにーいーさーまぁー」

45 :創る名無しに見る名無し:2010/10/10(日) 15:21:15 ID:TUXKWzb0.net
しつこく食い下がる少女に、またも少年は腹を立てた。
まったく、こいつは俺の状況が分かっているのか。
いったい、誰のせいで俺はこんな目に会っていると思ってるんだ。
宿題をサボっていた自分を棚に上げ、逆恨みなどという情けない理由で少女に腹を立てた少年は、
昨日と同じように妹を部屋に追い返そうと思って少女の方を振り向き、

「いい加減にしろよ! 俺はお前のせいでこん―――」

そこまで言いきったところで、やはり再び動きを止めた。

「――――な?」

少年の視線の先、そこには、昨日と同じく、
5人の妹が横一列に並び、後ろ手に手を組んで、にっこりと兄に微笑んでいた。

46 :創る名無しに見る名無し:2010/10/10(日) 15:22:25 ID:TUXKWzb0.net
「えっへへ〜。また、分身しちゃいました♪」
「お……まえ、いったい、何やってんだよ……」
「ん〜とですねぇ、そのぉ、こっちの方が楽しそうだと思いましたから」
「……はぁ」
「それでですね、しばらく一緒に生活しようと思って分身したんですよ」
「…………」
「でも、そしたらどこで寝てもらおうか分からなくなってしまいましてぇ。どうすればいいと思いますか?」

言葉を失う光景だった。すでに思考することをあきらめた少年は、
お互いの顔を見合せながら困ったようにこちらへ視線を送る少女たちを、ボー然と眺めることしかできなかった。

「おにいさま? ちゃんと聞いてますか?」
「…………」
「ちょっと、おにいさま? んもぅ、おにいの……ばかっ」



47 :創る名無しに見る名無し:2010/10/10(日) 15:24:03 ID:TUXKWzb0.net
ばかっ3部作堂々の完結。
ではまた次回。

48 :創る名無しに見る名無し:2010/10/12(火) 01:08:39 ID:yl8ie8cX.net
今回はタイトル付きです。
設定としては、寿司屋での客と板前の会話と思ってください。

【特徴】
いつも黒い服ばかり着てる、
わさびが嫌い、
家族に旅館で働いてる者が居る

4レス投下します。

49 :創る名無しに見る名無し:2010/10/12(火) 01:09:24 ID:yl8ie8cX.net

【質問の多い寿司屋】

「わさび、きらい?」
「……えっ?」

突然話しかけられ、手が止まる。
質問の意図がつかめず、思わず聞き返してしまった。

「えっとね、いつも、わさびの入ってないお寿司、でしょ? だから、わさびがきらい、なのかなあって」
「あー……。そうだな、わさびはきらいだ。うん」

いつもそうだが、ずいぶん幼いしゃべり方をする女だ。
たしか、年は25,6といったはずなんだが。

「どうして、わさび、きらいなの?」
「実家がわさびの名産地で、いつも食べさせられていたから、だな」

息継ぎが下手なのか、単に舌足らずなのか。
よくこんなしゃべり方で生きていけるよな。

50 :創る名無しに見る名無し:2010/10/12(火) 01:10:08 ID:yl8ie8cX.net

「……いつも? いつも、わさび?」
「ん? ああ、実家が旅館で、お客さんに出す料理の余りが俺たちの食事だったんだよ」
「ああ、そっか。それで……」
「いくら名産地でも、毎日料理に出ると……な」

舌の回転はいまいちだが、頭の回転はまあまあらしい。
客用のわさび料理の残りを毎日食わされていたのだが、
そうはっきり言わずとも理解できたようだ。

「そっか……、うん、わかった」
「ああ」

とりあえず、質問はひと段落というところか。
いつも変な質問の多い女だが、今日はまた特に変な質問だったな。
まあ、さび抜きの寿司ばかりなんて、確かに珍しいだろうけど。

51 :創る名無しに見る名無し:2010/10/12(火) 01:10:53 ID:yl8ie8cX.net

「……ねえ、また少し、きいてもいい?」
「ん? なんだい?」
「あのね、いつも真っ黒なのは、どうして?」
「真っ黒? あぁ、俺の格好がか。単に趣味だ。黒が好きなんだよ」

友人達からはおかしいおかしいと言われる。
確かに、頭の上から足の先まで黒尽くしなのは珍しいかもしれないが、
別に黒を着てはいけないというルールはないのだから、文句を言われる筋合いはないはずだ。

「んー……、でも、あまり、いないよ?」
「俺みたいに真っ黒な奴は、だろ? いいんだよ、ほかの連中と俺は違うんだからな」

要領の得ない質問だが、何が言いたいのかはわかる。
もう、常連と言ってもいいほどこの店で顔を合わせてるんだ。
こんな妙な会話も、すっかり慣れたもんだ。

「でも……、なんだか、怖い人みたい……」
「まあな。上から下まで黒づくめなんて、水商売かヤクザ者か。怖いと思われても仕方がない」
「だけど……、ほんとは、こわくないでしょ?」
「いつも俺としゃべってるあんたなら、分かってると思うけどな」
「……うん。こわくない。だいじょうぶ」

かあっ! にくいねぇ、この笑顔が!
思わず独り占めにしちまいたくなるぜこんちきしょう!!
おおっといけねえ、素が出ちまった。

52 :創る名無しに見る名無し:2010/10/12(火) 01:11:37 ID:yl8ie8cX.net

「あんたのその笑顔、まるで天使みたいだよな」
「ええ? ……そんなこと、ないよ……」
「恥ずかしがんなって。いつも白い服着てるからよ、ほんと天使みたいに見えるぜ」
「んん……、でも、うれしい。ありがと……」

はにかむ仕草もほんとにかわいいぜ!
こんな俺にも、こんなすげえ知り合いができるんだ。
ほんとにいい店だぜ、ここはよう。
っと、そろそろ時間だ。

「それじゃお客さん、そろそろ店じまいだ。いつも閉店まで付き合ってくれて、ありがとうな」
「うん、たいしょうのお寿司、とってもおいしい。おはなしも、楽しい。また、くるね」
「おう、待ってるぜ! じゃあまたな!!」
「うん、ばいばい」

小さく手を振る彼女に、俺は大声で声をかけた。

「ありがとうございやした! またどうぞ!」



53 :創る名無しに見る名無し:2010/10/12(火) 01:12:20 ID:yl8ie8cX.net
こういうのを叙述トリックっていうのか?
ではまた。

54 :創る名無しに見る名無し:2010/10/13(水) 21:27:58 ID:66gb91wb.net
GOー! GOー! 投下ー!

【特徴】
過去の思い出を大切にする、
忘れっぽい、
八つ当たりが多い

11レス投下します。



55 :創る名無しに見る名無し:2010/10/13(水) 21:28:40 ID:66gb91wb.net

「なあ」

「おうよ」

「最近、飯のあがりが少ねえよな」

「不景気だからな」

「昔はよかったよな」

「なにが」

「え? いやあだから、昔だよ、昔」

「だから昔がなんなんだよ」

「昔っつったら昔なんだよ」

「だから昔がなんなんだっつうんだよ」

「うっせえ! んなもん忘れちまったよ!」

「いってえ! おい俺に八つ当たりすんじゃねえよ!」

「おめえがしつこいからだろ! ちっとだまってろ!」

「んだとこらやるかあ!」

「やってやろうじゃねえか、かかってこいこるあ!」

「いい度胸だこるるるあ!」

ぶばらちょべふぎゃあくぁwせdrftgyふじこlp



56 :創る名無しに見る名無し:2010/10/13(水) 21:29:27 ID:66gb91wb.net

「…………なあ」

「…………おうよ」

「はら、へったな」

「不景気だからな」

「昔はよかったよな」

「だから昔ってなんだよ」

「昔は昔なんだよ、いいじゃねえかそれで」

「けっ」

「いいじゃねえか、それでよ」

「ふん、勝手にしろ」

「…………」

「…………」

「すまん」

「おう」



57 :創る名無しに見る名無し:2010/10/13(水) 21:30:10 ID:66gb91wb.net

「なあ」

「おうよ」

「あいつ、あっちでも元気でやってっかな」

「なんだよ、思い出したのかよ」

「ああ、ついさっきな」

「忘れてりゃいいものを」

「忘れられっかよ、あんな思い出をよ」

「さっきまで覚えてなかったくせに」

「…………」

「いって! てめえ……」

「…………」

「ちっ………」

「……幸せ、だったよな、俺たち」

「ああ、幸せ、だったな」

「あいつも、幸せだったかな」

「幸せだったろ、きっと……」



58 :創る名無しに見る名無し:2010/10/13(水) 21:30:53 ID:66gb91wb.net

「なあ」

「おうよ」

「はらへったな」

「しばらく何も食ってねえからな」

「なあ」

「おうよ」

「あと何日がまんできっかな」

「賭けるか? いや、賭けても意味ねーか」

「…………」

「…………」

「なあ」

「おうよ」

「もうすぐ、あいつんところ行けんのかな」

「くそ縁起でもねえ、行くなら一人で行け」

「薄情なやつだな、会いたくねえのか?」

「会いたいに決まってんだろ、馬鹿野郎」



59 :創る名無しに見る名無し:2010/10/13(水) 21:31:35 ID:66gb91wb.net

「なあ」

「おうよ」

「あいつのひざ、暖かかったよな」

「ああ、そうだな」

「あいつの手、やわらかかったよな」

「ああ、そうだな」

「なんで、死んじまったんだろな」

「忘れたのか?」

「…………」

「…………」

「っ……」

「……すまん」

「………なあ、あいつ、俺たちのこと、何て呼んでたっけ」

「あん? 忘れたのか?」

「いいから言えよ、ほら」

「知らん、忘れちまった」

「ほんとか?」

「うっせ、お前と同じだボケ、忘れられるかよ」



60 :創る名無しに見る名無し:2010/10/13(水) 21:32:19 ID:66gb91wb.net

「なあ」

「……おうよ」

「なんだよ、元気ねえじゃねえか、大丈夫か?」

「ふん、ほっとけ」

「なあ―――

ブロロロロロォォオオオーーー

「トラックか……。? おい、大丈夫か?」

「――――――――」

「おい、おい! しっかりしろ! おい!!」

「―――あ、ああ、だいじょぶ、大丈夫だ、はあっはあっ」

「なんだよ、心配させんじゃねえ、まったく」

「はあっ、はあっ、っく、……、っはあ、はあっ」

「……お前、忘れっぽいのにな、なんで覚えてんだろな」

「はあ、はあ……、はあ……、はあ……」

「忘れちまったほうが楽になれんのにな、なんでなんだろうな」

「…………」

「なんか言えよ、俺まで泣けてくんじゃねえか」



61 :創る名無しに見る名無し:2010/10/13(水) 21:33:04 ID:66gb91wb.net

「なあ」

「……おうよ」

「あんとき死んでたほうが、楽だったんじゃねえかな」

「ばっかお前なに言ってんだ……、そしたらあいつが、悲しむじゃねえか」

「でもよう、だからって身代わりになって死ぬことはなかったんじゃねえか?」

「それが……、あいつの、いいところなんだろ」

「だからってよう、俺たちかばってトラックの前に飛び出してよう」

「…………」

「おかげで俺たち宿無しだぜ、笑っちまうよな」

「…………」

「おい、聞いてんのかよ、なんか言えよ」

「……うるせえ、ねみーんだよ、ちったあ静かにしろ」

「そのまま寝ちまうなよ」

「……知らねえ、保証はできんな」



62 :創る名無しに見る名無し:2010/10/13(水) 21:33:56 ID:66gb91wb.net

「なあ」

「…………おうよ」

「なんだ、まだ寝てなかったのか」

「……お前は元気だな、はらへってる、くせによ」

「いや、けっこうギリギリだぜ、こう見えて無理してんだよ」

「ふん、軽口叩けるうちは、元気な証拠だ」

「あー、こういうのなんつったっけ? ほら、ぶしはかつおでなんちゃらけって」

「武士は食わねど高楊枝……、なんだよ、ぶしはかつおって」

「おーそれそれ、おめえ、よくそんな言葉覚えてたな」

「……ふん、あいつの口癖だったからだろ」

「そうそう、それで、『だから君たちもかつおぶしだけだよー、武士だけに、なんちゃって』てな」

「……お前だって、よく覚えてんじゃねえか」



63 :創る名無しに見る名無し:2010/10/13(水) 21:34:41 ID:66gb91wb.net

「なあ」

「…………おうよ」

「あっちにも、こたつってあんのかな」

「……天国には、きっとなんだってあんだろ」

「でもよー、俺達って、あいつと一緒のところに行けんのかな」

「…………」

「だってよお、あいつは人間で、俺たちは猫だぜ? そもそも、猫に天国なんてあんのかなあ」

「……じゃあ、俺が先に行って、確かめといてやるよ……」

「おいおい、笑えねえ冗談言ってんじゃねえよ」

「…………」

「おい、冗談だよなあ、おい、よお」

「…………」

「なんだ寝ちまったのかよ、おやすみぐらい言えっつの」

「…………」



64 :創る名無しに見る名無し:2010/10/13(水) 21:35:28 ID:66gb91wb.net

「なあ」

「…………」

「なあ」

「…………」

「なんだよ、勝手に抜け駆けすんじゃねえよ」

「…………」

「言ったろ? こう見えて、けっこうギリギリなんだよ」

「…………」

「ほら、なんつったっけ、武士は食わねど、なあ」

「…………」

「かつおぶし、食いてえなあ」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」



65 :創る名無しに見る名無し:2010/10/13(水) 21:36:11 ID:66gb91wb.net

『なあ』

『おお? なんだい君たち、もう来たのかい? 早いなー』

『なあ』

『おうよ、かつおぶしだね、ちょっと待ってな』

『なあ』

『はいはい、後でだっこもしてあげるし、撫でてもあげるよ』

『なあ』
                   フタリ
『ん? どうしたんだい、二匹で向かい合っちゃって。何のお話してんの?』



『なあ』



『なあ』





66 :創る名無しに見る名無し:2010/10/15(金) 22:21:38 ID:DYRVrrfe.net
さるさん怖いお。
投下速度落とすお。

【特徴】
八方美人、
金属アレルギー、
セロリが嫌い

14レス投下します。



67 :創る名無しに見る名無し:2010/10/15(金) 22:23:02 ID:DYRVrrfe.net

男「どきどき、どきどき」

男「今日こそ、今日こそ僕はプロポーズするんだ、そして、この婚約指輪を渡すんだ!」

男「苦節6ヶ月、ボーナスもつぎ込んでやっと買ったこの10カラットダイアモンドリング!」

男「舞台は夜景のきれいなホテル最上階の高級レストラン!」

男「これだけ準備すれば、絶対に成功する! 大丈夫、僕はいける!」

男「よーしやるぞー、がんばれーまけんなー絶対プロポーズは成k 女「おっまったっせっ!」ばしっ

男「うわお! わおあ! ああぉぉおおんなさん! よ、ようこそいらっしゃいました!」びくびくっがたん!

女「やーわりぃ! 遅れちまったぜ! まった?」

男「いえ、いえいえそんな! ちょうど今! いま来たところですから、はい! まってないです、ほんと!」

女「ていうかだいじょぶ? なにキョドッてんの? つか、背中平気?」

男「はい! 大丈夫です! はい、え、背中? 背中がなにか……痛っ! 背中いった!」

女「いやーわりぃわりぃ、思いっきり叩きすぎちまった」

男「はあぁなにこれすげーいたいはあぁああぁぁあああ」

女「いやー…………」

男「ほわあああぁあおわっちゃあああ」

女「…………………」

男「むふぉおおおおあああ」

女「」ごすっ

男「右ストレートおおぉぉぉ?!」キラーン

68 :創る名無しに見る名無し:2010/10/15(金) 22:25:04 ID:DYRVrrfe.net

女「落ち着いた?」ムスッ

男「はい、あの、落ち着きました、すいませんでした」

女「ていうか何ここ、なんでこんな場違いなとこにあたし呼び出されたわけ?」

男「はい、それはですね、あの何と言いましょうか……」

女「まあいいや、とりあえず酒だ、店員さん生2つ!」

男「いや、えっとあのーこのような場所でそういうのはちょっと……」

女「なに? なんか文句ある?」ぎろっ

男「いえ、なんでもないです……、あ、すいませんワインをお願いします」

69 :創る名無しに見る名無し:2010/10/15(金) 22:27:04 ID:DYRVrrfe.net

女「ぶーーーー」ぐびぐび

男「あのすいません、ここビールはないみたいなので……」

女「それはもういいんだけどさー、つまみがねーんだよつまみがあ」

男「ああえっと、コース料理ですからおつまみとかそういうのもちょっと……」

女「ていうかさー、こんなちまちましたのじゃなくてもっと塩気のあるやつ食おうぜなあ」

男「はは、そうですね、メインディッシュになればきっとそういうのが来ますよ……」

女「あーなにこれセロリ入ってる! あたしセロリ嫌いなのにったくもーこれあげる、はいあーんしてあーん」

男「いやだから、このような場所でそういうことは……あーん」

70 :創る名無しに見る名無し:2010/10/15(金) 22:29:19 ID:DYRVrrfe.net

女「で、話もどるけどさあ、なんでこんな場所にあたしは呼び出されたわけ?」

男「はい! あのですね、ちょっとお話があるといいますかなんといいますか」

女「ふーん……、いつもの居酒屋じゃできない話?」

男「はいその、静かなところというか、落ち着いたところで話したかったというか」

女「ふぅーん…………、雰囲気作りってやつ? ずいぶん生意気なことしてんじゃん」

男「あのありがとうございます、それでですね女さん、あの、僕と、僕と……」

女「ん? なに?」

男「あの、僕と……、ぼく、と…………」

女「なんだよ、早く言えよ」

男「僕と……、僕と、その………… !!僕と結こn 女「店員さーん、ワインもう一本追加でー」

71 :創る名無しに見る名無し:2010/10/15(金) 22:31:09 ID:DYRVrrfe.net

女「あーごめんごめん、わりぃね邪魔しちゃって! で、何の話?」

男「あうあうあうあうあう」

女「あん? 男がぶっ壊れちまった。おーいだいじょぶかーあたま平気ですかーちんちnついてますかー」

男「あへあへあへあへあへ」

女「だめだこりゃ。えーっと、なにか殴るもの殴るもの……、っとワインの瓶があるじゃん、よしこれで」すっ

男「ふぁーぶるすこふぁー 女「」がんっ もるすぁっ!!」

72 :創る名無しに見る名無し:2010/10/15(金) 22:33:19 ID:DYRVrrfe.net

女「目は覚めたかね? 男君」

男「はい、あの、お騒がせ? いたしました」

女「ん、よろしい」

男「あの、ひどく頭がガンガンするのですが、何かされました?」

女「あたし、世の中知らないほうがいいことってたくさんあると思うんだよね」

男「えっと、あのそれはどういう?」

女「知らないほうがいいことってたくさんあるよな」

男「あの、軽い記憶喪失のような気がするのですが、その」

女「知らないほうがいいよな」

男「はい、おっしゃる通りです」

女「ん、よろしい」

73 :創る名無しに見る名無し:2010/10/15(金) 22:35:46 ID:DYRVrrfe.net

女「でさー男友君と女友ちゃんって付き合ってんじゃん? 二人がさー別々におんなじこと相談してくるわけよー」

男「はあ」

女「恋人が浮気しているかもしれない許せないってさー浮気してる本人が言うセリフじゃないよねー」

男「そうですね」

女「両方に良い顔しなきゃいけないあたしの身になってみろっつうんだよーなあっそう思わねえ?」

男「思います」

女「いっそのことあの二人にばらしちまうかなーあんたの恋人はあんたと同じで浮気してますよーって」

男「それはそれは」

女「でもそしたらさーあたしの良い人キャラが壊れちまうしなー職場じゃ人の良いお姉さんで通ってんだぜー」

男「知ってます」

女「こんな姿見せられるのは男だけだぜ感謝してるぜー」

男「光栄です」

女「おとこーありがとなーあいしてるぜー」チュッ

男「/////」カアアアッ

74 :創る名無しに見る名無し:2010/10/15(金) 22:37:48 ID:DYRVrrfe.net

女「さっきから愚痴につき合わせちまってわりぃな」

男「いえ、いつものことですから」

女「でよぉ、男はいったい何の話があんだっけ?」

男「いや、もういいですよ今日は。そんな雰囲気じゃないですし」

女「んだよ気になるじゃねえか、言っちまいな、ほれさっさと」

男「はあ……(まあ、いいか。もし失敗しても、こんな雰囲気ならダメージは少ないだろうし)……女さん」

女「お? 言う気になったか? 聞いてやるから言ってみー」

男「女さん、僕と結婚してください」

女「おう! いいぜ!」

男「……………」

女「」ぐびぐびぐびぷっはー

75 :創る名無しに見る名無し:2010/10/15(金) 22:40:05 ID:DYRVrrfe.net

男「……あの、僕の話、ちゃんと聞いてました?」

女「あん? らいじょぶらってー、ちゃあんと聞いてましたよ?」

男「……もしかしなくても、だいぶ酔ってますよね」

女「酔ってねーよ! 馬鹿にすんな! ちゃんと聞いてましたー」

男「じゃあ、何て言ったか教えてくださいよ」

女「だからあれだろー? あたしとあんたが結婚するってそーゆーおはなしだろー?」

男「そうですけど……、じゃあ、結婚ってどういう意味か分かってますか?」

女「だからーあたしがウェディングドレスきてーおとーさんと手ぇつないでーあんたとちゅーすんだろ?」けけっ

男「はぁ、まぁだいたい合ってますね」

女「あたし夢だったんだよねー真っ白なドレス着てバージンロード歩くのがさー」

女「そっかーその夢かなうんだー、そっかー結婚かー、結婚………」

女「けっ………こん……………」

男「はぁ……」

76 :創る名無しに見る名無し:2010/10/15(金) 23:09:04 ID:K1BBPtQ3.net

女 がばっ「おい男! おまえ今なんつった?!」

男「うわわっ! ちょっとなんですかいきなり! 襟首つかむの苦しいですよ」

女「いいから黙って答えろ! おまえ今、なんつった?!」

男「え……、ですからその、酔ってますかって……」

女「」ぎりぎりぎりぎり

男「ちょっ、やめっ、すとっ、ぎぶぎぶぎぶ」ばんばん

女「」ジーーーーッ

男「あ゛ーー、あの、ですね、その……、僕と、結婚してくださいって言いました……」

女「……意味わかって言ってんだろな」

男(目が座ってるよ……こわい……)

男「えっと、そりゃ、結婚の意味は分かってますが」

女「そうじゃなくてだな、この、がさつで、乱暴な女と、お前は結婚するっていう意味だよ、わかってんだろうな」

男「……はい。僕は、がさつで乱暴な、そんな女さんが好きなんです。だから結婚してください」

女「……………」

男(怒らせちゃったかな?)

女「」カァァァッ

男(うわ、顔が真っ赤になった)

女「」バタン

男(そして倒れた)

男「って女さん?! おんなさーん!!」

77 :創る名無しに見る名無し:2010/10/15(金) 23:12:01 ID:K1BBPtQ3.net

女「………う、うーん……」

男「あ、起きましたか?」てくてく

女「おう……、あれ、ここどこだ?」

男「川沿いの土手の上ですよ。もうすぐ女さんのマンションです」てくてく

女「あぁそう……」

女(あれ? なんであたしはこんなとこにいんだ? あれ?)

女(……まーいっか、どーでも。男の背中気持ちいいし)

女(こいつ、よわっちいくせに背中広いよなあ。やっぱおとこなんだなぁ……)

女「って、なんであたしはお前におんぶされてんだよ!」

男「なんでって、レストランでいきなり倒れたからですよ。ここまで来るの大変だったんですよ?」

女「そりゃ悪かったな……、ってそうじゃなくて! おまっ、ちょっ」ぽかぽか

男「いた、いたた、頭叩くのやめてくださいよ、ちょっと痛いですってば」

女「うるせえ! いいからおろせ! 早くおろせ!」ぽかぽか

男「いた、いたいですって、もうわかりましたよほら、大丈夫ですか? ちゃんと歩けますか?」

女「子供あつかいすんな、ばか」ばしっ

男「いたっ! もう、背中ぶつのやめてくださいよ」

78 :創る名無しに見る名無し:2010/10/15(金) 23:15:05 ID:K1BBPtQ3.net

女「……………」モジモジ

男「あー…………なんか、恥ずかしいですね」テレテレ

女「……………」

男「……………」

女「………さっき、あたしに言ったやつ、もういっかい言え」

男「えっと……、はい、その……僕と、結婚してください」

女「そ、それって、ぷ、ぷぷ、ぷろぽーずってやつだよな」

男「はい、そうです。本当は、あのレストランでちゃんとしようと思ってたんですけどね」

女「おま、お前は、あたしなんかで、ほんとにいいのか?」

男「はい、それはもう、ぜひ」

女「そ、そうか……」

男「……受け入れて、くれますか?」

女「…………うん」

男「僕と、結婚してもらえますか?」

女「………だいぶ不束者ですが、よろしく、たのむ」

男(念願のプロポーズに成功したぞ!)

女(もし浮気したらぶっ殺す)

79 :創る名無しに見る名無し:2010/10/15(金) 23:18:43 ID:K1BBPtQ3.net

男「女さん、あなたに受け取ってもらいたいものがあります」きりっ

女「なんだ急に改まって」

男「目をつむってください」

女「え、え?」

男「……………」

女「………」スッ

女(うわー! めぇつむれってなに? なにすんの? なにされちゃうの?)

女(もしかして、ちゅーか? ちゅーなのか? 初キッスなのか?)

女(わわっ、手ぇ握られたぞ、くるか、くるのか? きちゃうのかーーー?!)する

女(ってあれ? こねーじゃねえかよなんだよちきしょう、ていうかなんか指にはまったぞなんだこれ、って)

女「……もしかして、 こ、これって、ゆ、ゆび………」

男「婚約指輪です。受け取ってください」

女「ゆびわ……、ゆびわ、いやーーーーーーーーーーーーっっっ!!!!」すぽっぶんっ

男「あ、ああ、ああああああああああああああ」

ひゅーーーーーーぅぅぅ………ぽちゃん

80 :創る名無しに見る名無し:2010/10/15(金) 23:23:41 ID:K1BBPtQ3.net

男「あああああ何やってんですか女さん! あの指輪、婚約指輪なんですよ?!」

女「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ」

男「あーもう大切な指輪なのにぃいいちょっと女さん聞いてますか?」

女「はあっ、はあっ、あた、あたし」

男「なんですか?! なんで指輪なげちゃったんですか?!」

女「あたし、金属アレルギーなんだよーーーーー!!!」

男「えええーーーーーっっっ!!!」



81 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/15(金) 23:25:40 ID:K1BBPtQ3.net
はしるーはしるーー
おれーだーけー

さるさんでID変えた。
ID:DYRVrrfe = ID:K1BBPtQ3

次からは↑のトリつける。
ではまた。

82 :創る名無しに見る名無し:2010/10/17(日) 10:36:15 ID:rBTjuuFE.net
とりあえず、感謝の印にアフィリエイトで購入

83 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 02:04:06 ID:q9La0IhM.net
↑アフェリエイトで何を買った。婚約指輪か?
誤爆スレ用のレスをまじで誤爆ったぽいが、せっかくだしネタにしちゃおう。

【特徴】
人の秘密をすぐ喋る、
趣味はショッピング、
表情が変な事がある

35レス投下します。



84 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 02:04:55 ID:q9La0IhM.net

「ねえねえ知ってる? E組の紀子って二股してるらしいよ?」
「えー、紀子ってあの委員長タイプの? B組の武君と付き合ってんでしょ?」
「それがさあ、A組の靖男に告られたみたいでさあ、彼氏に内緒で付き合ってんだって」
「げーまじサイテー。あいつムカつくんだよねー。いつもいつもあたしらのことバカにしててさー」
「『あなた達、少しは勉強したら? 学生として恥ずかしくないの?』とかねー。何様?ってかんじ」
「ぎゃはははは! 似てる似てる。二股とか、自分が一番恥ずかしいじゃん」
「武君まじかわいそー」

教室に女の子特有の甲高い声がうるさく響いていた。
その声は、窓際の机の周りに集まっている4人の女学生から発せられていた。
女三人寄れば姦しいというぐらいである。4人もいればそれはもう非常にやかましいわけだが、
彼女たちの声はことさらに耳障りだった。
乱れた言葉づかい、下品な笑い声、そしてなにより、話している内容が他人のゴシップをあげつらったもので、
当の本人はもとより、赤の他人が聞いても不愉快なことばかりを話している。
そんなに嫌なら聞かなければいいと言われそうだが、そもそも聞くなという方が無理な話だ。
彼女たちのだみ声は本当にうるさく、もはや騒音というレベルだ。
そのため、いつも騒ぎが始まると、教室の中は人もまばらになるのだった。

85 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 02:05:56 ID:q9La0IhM.net

「ところでさー。いつも光恵ってそういう話どこで聞いてくんの?」
「え? なにが?」
「だからさー、今日の紀子の話もそうだけど、よく人の秘密知ってんじゃん。どこで聞いてくんのよ」
「あーねー、怖いぐらいよく知ってるよねー。いっつも、あたしらの知らない話もってくるもんねー」
「えー? 別にただの噂よ。ほんとかどうかなんてあたしも知らないし、他のクラスに行ったときたまたま聞いただけよ」
「だけど光恵って他のクラスに友達いたっけ? そんな秘密ペラペラしゃべってくれる友達ほかにいるの?」
「あーひっどー、まるであたしが友達少ないみたいじゃん。そんなことないですー、こう見えて顔は広いんですー」
「ぎゃははは、うけるー」

彼女たちの中心に、一人だけ机の椅子に座って話をする女生徒がいる。
光恵と呼ばれた彼女が、どうやらこういったゴシップを彼女たちに提供する供給源のようだ。
友達が少ないといわれ、口を尖らして光恵が反論する。
その様子を見て、一人が大声で笑い出した。

86 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 02:07:02 ID:q9La0IhM.net

「ちょっと何笑ってんのよ」
「だって光恵の顔おもしれーんだもん。なにそれ、ちょー変な顔、ぎゃはははは」
「高子やめなってー、光恵怒ってるよー」
「……別に怒ってないよ。それよりそろそろ帰ろ、あたしおなかすいちゃった」
「ぎゃはははははは」
「ちょっと高子ー、あんたばかみたいよ?」

高子と呼ばれた女生徒の笑い声を残し、彼女たちが去っていく。
教室のドアが閉まり、廊下の奥のほうへ彼女たちの騒がしい声が消え去っていった。
教室に、再び静寂が訪れる。




87 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 02:08:21 ID:q9La0IhM.net



夜。
自宅に戻った光恵は、自室のパソコンを起動し、とあるサイトにアクセスしていた。
『秘密の掲示板』
そう題されたホームページを食い入るように見つめ、彼女はぶつぶつと独り言をいいながら
熱心に何かを探していた。

「さーて、今日はだれの秘密を買おうかしら。それにしても便利なホームページよね。ここに
秘密を知りたい人の名前を書き込んでしばらくすると、秘密を書いたレスがつくんだから」

光恵が他人の秘密をよく知っている原因。それは、このホームページだった。
いったい、このホームページとは何なのか。
それを知るために、まずは光恵がこのホームページを見つけた時に遡る。




88 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 02:09:32 ID:q9La0IhM.net


ある日、光恵はネットショッピングのページを見て回っていた。すると突然、画面に
ポップアップウィンドウが表示された。
『あなたに秘密売ります』
ただ一言、そう書いてあるだけだった。
最初は、クリック詐欺かウイルスの類だと思った。
これをクリックすると、ありもしない代金を請求されるか、ウイルスに感染するかのどちらかだと
思ったのだが、なぜかそのポップアップを消す気になれず、しばらく彼女はその文字を
じーっと眺め続けていた。
しばらくして光恵は、意を決したようにその文字をクリックした。
リンク先に現れたページのタイトルには、こう書かれていた。

『秘密の掲示板』

そのホームページのルールはこうだった。

89 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 02:10:23 ID:q9La0IhM.net


1.この掲示板に秘密を知りたい人の情報を書き込んでください。秘密を書いた『秘密のレス』が帰ってきます。
2.秘密を知りたい人の情報は、なるべく詳しく書いてください。より早く『秘密のレス』が帰ってきます。
3.秘密を見て満足したら、このホームページのアフェリエイトから何か商品を買ってください。
4.このホームページは、あなたが購入したアフェリエイトからの報酬によって運営されています。


90 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 02:11:12 ID:q9La0IhM.net


最初、このホームページを訪れてこの文面を読んだとき、光恵は、何をバカなと全く信じていなかった。
どうせ適当なレスが帰ってくるだけで、本当の目的はここに書き込まれる個人情報なのだろうと。
そう思いつつも、他人の秘密を除くというのは非常に興味をそそられるものがあり、
とりあえず、手近なレスをいくつか読んでいった。
レスを読んでいると、光恵はある有名な女性芸能人のことについて書かれているものを見つけた。
そのレスには、交際中の男性の子供を妊娠しており、もうすぐ結婚記者会見があると書いてあった。

「そういえば……」

光恵はニュースサイトを開き、芸能情報のリンクを開いた。
リンクを開いた先では、最近妊娠と結婚の発表を行った女性芸能人の話題が大半を占めていた。

「この人の名前と、このレスの名前、同じだ……」

91 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 02:12:13 ID:q9La0IhM.net

ニュースサイトにのっていた女性芸能人と名前と、秘密のレスに書いてあった女性芸能人の
名前が一緒だった。つまり、このレスの内容は正しいということだ。
そして、そのレスがあった日時は、記者会見が行われた日の1週間前だった。

これを見た光恵は、それでもまだ半信半疑だった。どうせその芸能人の所属事務所かマスコミの
中のやつが事前に情報を漏らしただけだろうと。
ほかのレスは、自分も知らないようなただの一般人の名前がずらずら並んでおり、
読んでも本当かどうかわからない内容ばかりだった。
しかし、それでも光恵は疑いきることができなかった。
どのレスを読んでも、必ずそのあとに『ありがとうございます』というレスがついていた。
すなわち、秘密に満足したから、感謝の印にアフェリエイトで購入したということだ。
なにより、女性芸能人の秘密は当たっていた。しかも、事実がわかる1週間前にレスは書き込まれていた。

「ためしに何か、書き込んでみようかな……」

とりあえずレスを書くだけならタダだ。もし秘密のレスがついても、アフェリエイトの購入は
強制ではない。満足しなければ、何も買わなくてもいいのだ。
半信半疑ではあったが、他人の秘密を知るという魅力に抗うことはできなかった。
光恵は、前々から気に入らないと思っていたある女生徒の名前を、その掲示板に書き込んだ。

92 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 02:12:58 ID:q9La0IhM.net

3日ほどのち、再びそのホームページを訪れた光恵は、自分のレスに返信があることに気付いた。
レスには、書き込まれた女生徒の父が経営していた会社が倒産し、もうすぐ一家が夜逃げすると書かれていた。

「はあ? なにこれ……」

光恵はがっかりした。なんだこれは。こんな非常識なことがそうそう起こるとはとても思えない。
やっぱり、この掲示板は誰かが適当に書いているだけなのだ。この前の女性芸能人のことも、
たまたま当たっただけに違いないと。
急に興味を失った光恵は、サイトを閉じ、ネットショッピングのページに戻っていった。

数日後、ホームルームで彼女は驚愕した。
あのサイトに書き込んだ女生徒が、転校したという話だった。
急なことだった。普通なら、事前に転校するという話があり、皆でお別れ会なりなんなりをするはずなのに、
そういった噂もないうちに、ひっそりといなくなっていた。
まさかと思い、転校した女生徒と仲の良かった友達にそれとなく聞いてみると、はたして、彼女の父が
経営していた会社が倒産したという話を聞かされた。
あの秘密のレスと同じだった。
あのレスに書いてあったことは、本当のことだった。

93 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 06:02:07 ID:q9La0IhM.net

「秘密の掲示板……、秘密のレス……」

自宅に帰った光恵は、ここしばらくアクセスしていなかったあのホームページを開いていた。

「ここに書いてあったことはほんとだった……」

ホームページを開いてまず彼女が行ったのは、そのページにあるアフェリエイトから
商品を購入することだった。
もともとネットショッピングをしていたから、とくに何の不都合もなく、
適当なショップから適当なアクセサリーを一つ買った。

このホームページのルール

『秘密を見て満足したら、このホームページのアフェリエイトから何か商品を買ってください』

秘密のレスは本物だった。どこのだれが運営しているのかはわからないが、
何か空恐ろしいものを感じていた。
もし、このルールに逆らったらどうなるか。光恵は、試してみようという気すら起こらなかった。




94 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 06:04:23 ID:q9La0IhM.net



そして、時間は現在に戻る。特にほしい情報もなかったので、今日は早々に掲示板を引き上げ、
いつもどおりネットショップのサイトを回っていた。
すると、あの時と同じように、突然画面にポップアップウィンドウが現れた。

「また? もうあたし知ってるんだけど……」

光恵がそのポップアップウィンドウを消そうとしたとき、
そこに書いてある文字に違和感を覚えた。
そのポップアップには、こう書かれていた。

『あなたの秘密買います』

秘密を買う。その言葉に興味を持った光恵は、ポップアップをクリックした。
すると、表示されたのはいつもと同じ、『秘密の掲示板』だった。

95 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 06:05:35 ID:q9La0IhM.net

「なーんだ。やっぱり同じじゃん」

掲示板の内容を読んでみても、さっきまで自分が読んでいた内容と同じだった。
たぶん、ポップアップの文字が間違っていたんだろうと思い、何気なくホームページの一番上にページを戻すと、

「あれ?」

ホームページのルールが、さっきまでと変わっていた。

96 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 06:06:51 ID:q9La0IhM.net


1.この掲示板に書かれているレスに、『秘密のレス』を返してあげてください。報酬をお支払いします。
2.レスの内容はなるべく詳しく書いて下さい。詳細な内容であるほど、より多くの報酬をお支払いします。
3.書き込みには誠実に対応してください。もしあなたの書き込みで問題が発生した場合、厳しく対処します。
4.このホームページは、あなたが書いた秘密によって運営されています。


97 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 06:07:54 ID:q9La0IhM.net

今まで見たこともないルールだった。
ルールを読むと、秘密を書けば報酬を払うと書いてある。
つまり、本当に自分の秘密を買ってくれるというわけだ。
光恵は、ブックマークに登録してあるいつもの掲示板を開いてみた。
すると、そこのルールはいつも通りの『秘密を売る』という内容だった。
あわててブラウザの戻るボタンを押して先ほどのページに戻った彼女は、今見ている『秘密を買う』ページも
ブックマークすることにした。

「でも、私が知っている秘密を聞きたがっている人っているのかな?」

今まで、この掲示板でいろんな秘密を買ってきたが、
自分が知りたい秘密がすでに書き込まれているということは一度もなかった。
つまり、自分の友人や知人の秘密を知りたいという人は、今まで一人もいなかったのだ。

98 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 06:08:51 ID:q9La0IhM.net

「私が知ってる秘密を売りたくても売れないないんじゃ、しょうがないなー」

まあ、もし秘密が売れなくてもそれはそれでしょうがないと半ばあきらめかけていると、
掲示板に新着レスが書き込まれた。
そのレスには、こう書いてあった。

『野崎高校2年D組 山原高子の秘密を教えてください』

そのレスをみて、光恵は息をのんだ。

「え、山原高子って、私の友達のあの高子? うそ……」

99 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 06:11:29 ID:q9La0IhM.net

今日、彼女の顔を見て馬鹿笑いをしていたあの女生徒の秘密をしりたいというレスだった。
友達の秘密を売る。さすがの光恵といえども、さすがにそれはできないかな、と思った。
しかし、あまりにもタイミングの良いレスだった。
自分が、秘密を売りたくても売れないと思った矢先のレスで、しかも、

「……でも、あいつ今日あたしのこと笑ったよね。むかつくから、書き込んでやろうかな」

光恵は、高子に腹を立てていた。
怒ってないとは言ったが、もちろん自分の顔を笑われて怒っていたのだ。

100 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 06:12:25 ID:q9La0IhM.net

「高子がはいているパンツは、高校生なのに、くまちゃんマークのお子様パンツですっと」

カタカタとキーボードを操作し、光恵は『秘密のレス』を書き込んだ。
以前、体育の着替えでいつも周りから離れて着替えていた高子のほうを見たとき、
たまたま目にしたことを思い出しながら。
隠れながら着替えているぐらいだから、たぶん本人も恥ずかしいのだろう。
秘密というには少し弱いかもしれないが、周りに隠しているという意味では、おそらく秘密になる。
それに、これくらいの秘密だったら、あまり気に病むことなく書き込むことができる。
掲示板を再読み込みし、自分の書き込みが反映されたことを確認すると、光恵はドキドキし始めた。
いつもは自分が秘密を買っていたのに、今日初めて他人の秘密を売った。
報酬がいくらかはわからないが、なにか達成感と優越感を味わっていた。

「なんだろうこれ。なんか、ぞわぞわする」

興奮冷めやらぬ様子の光恵は、とりあえず今日はすることはないと、
顔を紅潮させたまま布団に入るのだった。




101 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 06:13:44 ID:q9La0IhM.net



次の日。
光恵は学校に着いたとたん、いつもおしゃべりをしている友達から話しかけられた。

「ねえねえ知ってるー? 高子って、まだくまちゃんパンツ履いてんだってー」
「え……、うそ……」
「ちょっとーなにまじでビビッてんの? 確かに恥ずかしいけどーそんなに驚くことなくねー」
「あ……、ううん、なんでもないなんでもない、言ってる意味が分からなくて、理解するのに時間かかっただけ」
「あーそれひどーい。なんかあたしの言うことっていつも意味不明ってかんじじゃん?」
「ごめんごめん、そんなことないって、ほら教室いこいこ」

言葉では否定したが、光恵は心底驚愕していた。
昨日の今日にもかかわらず、自分の書き込みがすでに友達に知られていた。
いくらなんでも早すぎないか。そんな疑問が頭をよぎる。

ん? もしかしたら……

102 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 06:15:00 ID:q9La0IhM.net

「ところでさ。その話って誰から聞いたの?」
「え? だれだっけかなー、そうそう、隣のクラスの――」

どうやら、彼女があの掲示板に秘密を知りたいと書き込んだ張本人ではないらしい。
いつも抜けたような物言いをしているが、嘘は決してついたことがない。
言っていることは、たぶん本当のことだろう。
ということは、いったい誰がこの秘密を買ったのか?
考えても分かるわけのない疑問を、光恵はいつまでもぐるぐると考えていた。




103 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 07:07:50 ID:q9La0IhM.net



その日の夜。
自宅に帰りパソコンの電源をいれ、昨日秘密を売った掲示板に光恵は早速アクセスした。
するとパソコンの画面に、『ありがとうございます』とポップアップウィンドウが現れた。

「わ。やっぱり、あたしが書いた秘密が買われたんだ……」

ありがとうございますと書かれたポップアップをクリックすると、
パソコンの画面が切り替わり、『あなたの口座に報酬を入金しました』という文字が表示された。

「え……、まじ?」

急いで自分の銀行口座をオンラインでチェックすると、わずかな金額ではあったが、
本当に『秘密の掲示板』名義からの入金があった。

104 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 07:08:58 ID:q9La0IhM.net

「うわーなにこれ、ちょードキドキするんですけど」

光恵はいいしれない嬉しさと期待に満ちていた。
自分が書いた秘密が買われた。
それだけの事実で、彼女は舞い上がっていた。
そして、彼女の眼はホームページのルールの、ある一文に行きつく。

『レスの内容はなるべく詳しく書いて下さい。詳細な内容であるほど、より多くの報酬をお支払いします』

生唾を飲みこみ、喉が鳴った。
光恵は思う。もし、もっと過激でだれもが喜ぶような秘密を書き込んだら、いったい幾らもらえるのだろう。
最初に見たあの女性芸能人の秘密を書き込んだ人は、いったい幾らもらえたのだろう。
こうなるともう止まらなかった。
光恵は、自分が知っているありとあらゆる他人の秘密を掲示板に書き込んでいった。
なぜか、彼女が秘密を書きたいと思うと、その秘密を知りたいという書き込みが掲示板に新着していた。
普通に考えればタイミングが良すぎておかしいと思うはずだが、
舞い上がっている彼女はそんなことを気にも留めなかった。
知る限りの秘密を書き込み、その報酬を受け取り、彼女は『秘密の掲示板』に完全にのめりこんでいた。




105 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 07:09:50 ID:q9La0IhM.net


あれから数週間たった。
とうとう、彼女が知る秘密が底をついた。

「あー! もう書き込めることがないよ!! どーすればいいのよー!!!」

すでに目的と手段が入れ替わっていた。
光恵は、報酬目当てではなく、ただ他人の秘密を暴露するという快感に取りつかれ、
次々と『秘密のレス』を掲示板に書き込んでいた。
そして、その快感を得るための秘密がとうとうなくなったのだ。
一種の禁断症状とも言える不快な気分が、今、彼女に襲いかかっていた。

「どーしよう、なんかもうイライラしてたまんない。あーもうどーすればいいの」

あたまをかきむしりながら、光恵はどうすればいいどうすればいいとつぶやいていた。
もう、書き込むための秘密はない。新しい秘密を、どこかから見つけてこなくてはいけない。
しかし今、光恵に秘密をくれるような友人も、秘密を見つけられそうな場所のあてもなかった。

106 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 07:10:53 ID:q9La0IhM.net

「もう、こうなったら、これしか……」

そしてついに、光恵は禁断の方法に手をつけた。
すなわち、秘密のねつ造だった。

「どうせ、わかりゃしないわよ。あたしだって、今までこの秘密が正しいって分かったのほとんどないもの……」

そう。確かに、ここに書き込まれる秘密のレスの内容は、確かめようのないものがほとんどだった。
転校していった女生徒のように、後から本当だと分かるケースもないことはなかったが、
ほとんどのレスの内容は、いまだに真偽不明のものばかりだった。
それでも、その秘密を友達に話すと、だれもがその話に身を乗り出してきた。
皆が自分の話を興味を持って聞いてくれる。そのことがとても楽しく、また、えも言われぬ充足感を光恵に
与えてくれたため、今まで光恵は、秘密の真偽など気にしたことはなかった。

107 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 07:11:48 ID:q9La0IhM.net

「あたしが気にしないんだから、ほかのみんなだって気にするわけないでしょ。だから、きっと大丈夫……」

危険な思考だった。自分が気にしないから他人だって気にしない。
本当にそうであろうか。自分は気にしなくても、他の人は気にするかもしれない。
普通ならそう思うだろう。しかし、光恵はすでに正常な思考ができなかった。
秘密を暴露する快楽に取りつかれ、暴露する秘密がなくなり禁断症状に陥っている彼女は、
根拠のない自分と他人の同一視に身を任せ、踏み出してはならない道に踏み出していた。
光恵が掲示板の更新ボタンをクリックする。
すると、新着レスが書き込まれていた。

108 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 07:12:34 ID:q9La0IhM.net

『野崎高校2年E組 青木紀子の秘密を教えてください』

以前光恵が買った、二股をかけているという秘密の帳本人のことが書かれていた。
光恵は息をのむ。

「ちょうどいいじゃない。この女、前から気に食わなかったし。どうせなら、とんでもないこと書き込んじゃお」

そもそも、彼女の秘密を知りたいと思った理由が、ムカつく女だからというものだった。
ガリ勉委員長のくせに彼氏持ちで、しかも自分たちをバカにしてくる。
そんな女が二股をかけていると知った時は、飛び跳ねて喜んだものだった。
そして今、光恵は彼女の秘密を書き込む立場にいた。

109 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 07:13:36 ID:q9La0IhM.net

「ひっひっひ。そうよ、どうせなら、二度と立ち直れないぐらいひどい秘密を書き込んでやればいいのよ」

光恵が紀子の秘密を買い、それをクラスの友達に話して以降、紀子の様子は目に見えて落ち込んでいた。
どうやら、自分が話した二股の噂が周囲に広まり、それが彼氏の耳に入ったようだった。
光恵はざまあ見ろと鼻で笑っていた。
いつも自分たちをバカにしていた報いだ。自業自得だ。お前みたいなひどい女は、
そうやって落ち込んで黙っているのがお似合いだ。
あの秘密を知った後、光恵は、いつもより高額な商品をそのホームページの
アフェリエイトから買っていた。

「実は紀子は男好きで、彼氏と付き合う前から援助交際をしていた。しかも今、彼氏に冷たくされて余計にさみしいから、
学校の体育教師と浮気をして、彼氏に見せつけるようにいちゃいちゃしているっと」

根も葉もない話だった。
あまりにも幼稚で、愚にもつかない内容だった。
光恵はキーボードをたたき、自分の自己満足のためだけに、掲示板にとんでもないでたらめを書き込んだ。
そしてそれに満足し、レスが反映されたことを確認すると、早々に布団に入り、満足げな笑顔で眠りにつくのだった。




110 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 21:07:11 ID:q9La0IhM.net



次の日、晴れ晴れとした笑顔で登校した彼女は、教室の様子がおかしいことに気付いた。
ざわざわしているのはいつもと変わらないが、みな、一様に暗い顔をして話をしている。
いったいどうしたのだろうか。多少は気になったものの、昨日のことで非常に気分のよかった光恵は、

「ま、どうでもいっか」

と、我関せずいった風で自分の席に座った。
光恵が席に着いたとたん、いつも彼女とおしゃべりをしている友達が、彼女の周りに寄ってきた。
そして、口々にこう言った。

111 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 21:08:12 ID:q9La0IhM.net

「ねえ知ってる? E組の紀子が、自殺したらしいよ」

一瞬、言っている意味が分からなかった。

「はあ? 自殺? 誰が?」

光恵は、半笑いを浮かべたまま、ただ、そう聞き返すことしかできなかった。

「だからー、あの二股かけてた紀子が死んじゃったんだってー」
「なんでも、エンコーしてるとか、ガッコのセンセーと浮気してるとか噂流されて、ひどく落ち込んでたらしいよ」
「自分はそんなことしていないとか必死で否定してたらしいけどー、二股してたやつがいうセリフじゃないよねー」
「ぎゃはははは。わりーけど、なんかちょーうけるし」
「まーねー。で、それが原因で、ガッコの屋上から飛び降りたんだってさ」
「…………」

112 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 21:09:14 ID:q9La0IhM.net

光恵は言葉を失った。
紀子が自殺をした。いくらムカつく女だったとはいえ、自分の知り合いが死んだということはそれなりにショックだった。
しかし、それ以上に彼女を混乱させたのは、紀子が自殺した理由が、昨日自分が掲示板に書き込んだ
嘘の秘密と同じだったからだ。

「うそ……、だって私が書いた秘密はでたらめで、しかも書いたのは昨日で、それがなんで……」

光恵の視線は、宙を漂っていた。
明らかに狼狽し始めた光恵を見て、友達は不審に思いながらも、とりあえず彼女を気にかける言葉を口にした。

「ねえちょっと、大丈夫?」
「調子悪いんだったら、帰ったほーがいいんじゃない?」
「う、うん。ありがと、ごめん、今日私早退する……」

登校したばかりで早退もないだろうが、手早く帰り支度をした光恵は、
何かを探るような友達の視線に見送られ、教室を後にした。




113 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 21:10:07 ID:q9La0IhM.net



息を切らし、学校から走って家に帰ってきた光恵は、部屋に飛び込むと同時にパソコンの電源を入れ、
『秘密の掲示板』にアクセスした。
頭は混乱の極致にあった。いったいなぜ、昨日の書き込みがすでに皆に知れ渡っていたのか。
しかも、書き込んだ秘密の帳本人が自殺してしまった。
自殺の理由は、明らかに自分が書き込んだでたらめな秘密のせいだった。
わけがわからなかった。自分が、何に巻き込まれているか全く分からなかった。
とにかく、掲示板だ。もしかしたら、そこに何か答えが書いてあるかもしれない。
光恵は、わずかな希望にすがりつくかのように、真偽の分からぬはずだった掲示板を開いた。
画面に掲示板が表示された。すると、それと同時にポップアップウィンドウが目の前に現れた。

114 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 21:11:15 ID:q9La0IhM.net

「やっぱり」

なにがやっぱりなのか、光恵自身にも分かっていなかったが、
いつもと違う変化が掲示板に表れているのをみて、なぜか安心感を覚え、思わず言葉を口にしていた。
しかし、その安心感は、ポップアップの文字を呼んですぐに吹き飛んでしまった。

『あなたは、当掲示板において重大な違反を犯しました。したがって、ルールに則り、あなたを厳罰に処します』

もう、なにがなんだか分からなかった。
なぜ、自分が罰せられるのか。そもそも、自分が書き込んだ秘密のせいで、本当に紀子は自殺をしたのか。
だって、おかしいじゃないか、自分が書き込んですぐに自殺するなんてありえない。
どうして、どうして。
光恵の考えは支離滅裂だった。論理も何もあったものではなかった。
すでに思考からくさびが外れていたが、次に表れたポップアップを見て、
彼女の思考は完全に現実から滑り落ちた。

115 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 21:12:16 ID:q9La0IhM.net

『あなたの秘密売ります』

あなたの秘密を売る? 買うじゃなくて? あなたに売るでもなくて?
意味が分からない。なにこれ。なにこれ。なにこれ。

ポップアップが消えた。そのとたん、猛烈な勢いで掲示板に新着レスが書き込まれ始めた。
自分の秘密を売るという文字の意味を考える間もなく、次々に掲示板に新しいレスが現れる。
所在なくそのレスを眺めると、そこには、信じられないことが書いてあった。

116 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 21:13:19 ID:q9La0IhM.net


『光恵の家庭は最悪。親父はDVで母親は麻薬中毒。光恵自身も頭が狂ってるんだって』
『2年D組のみーんな光恵のことが嫌いです。だって、私もあいつ嫌いだから無視してるし』


117 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 21:14:27 ID:q9La0IhM.net

表れるレス全てが、光恵のことについて書かれているレスだった。
しかも、その内容は明らかに嘘だった。
自分自身のことだ。それが本当か嘘か分からないはずがない。
もう、どうすればいいか分からなかった。なぜ、こんな事態になったのか、考えもつかなかった。

「なんでーーー!!! どうしてーーー!!! 私が何をしたっていうのーーー!!!!!」

光恵の大声が、家中に鳴り響いた。
常人では出せない奇声で叫ぶ光恵の声は、いつまでもいつまでも家中をコダマしていた。




118 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 21:15:38 ID:q9La0IhM.net




「ねえ、知ってる? D組の光恵って子、なんか頭狂って入院しちゃったんだって」
「あー知ってる知ってる。なんか、自殺した子の原因に関係してたって噂もあるよ」
「なんかキモいよねー。むしろ、入院してくれてありがとうって感じじゃない?」
「そうかもそうかも。そうだ、ところでさー、C組のあの子のうわさ、知ってる? なんか――――」




119 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/20(水) 21:17:01 ID:q9La0IhM.net
軽くネタにするつもりがとんでもないことに……。
世にも奇妙な物語は、SMAP特別編が割と好き。
またね。

120 :創る名無しに見る名無し:2010/10/22(金) 22:36:48 ID:aUDtWedb.net
やっぱり世にも奇妙な物語意識してたか
よくこんなに広げられたなw

121 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/22(金) 23:32:50 ID:/QOHl4d9.net
即興10レスぐらいでまとめるつもりが、どうしてこうなった。
正直、広げすぎた感はあります。今はちょっと反省している。
というわけで、軽めのいっきまーす。


【特徴】
趣味がクイズ、
怒りっぽい、
頑張ってもトップになれない

13レス投下します。



122 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/22(金) 23:37:36 ID:/QOHl4d9.net

女「問題です! じゃじゃん!」

男「なんだよいきなり」

女「上は洪水、下は大火事、なーんだ!」

男「風呂」

女「はい! 男くん正解! 10ポイント!」

男「なんのこっちゃ」

123 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/22(金) 23:41:59 ID:/QOHl4d9.net

女「では続いて第2問!」

男「えっ、続くの?」

女「トマトとナスとキュウリを積んだトラックがカーブで落としました。何を落としたでしょうか?」

男「ん〜……、ん?」

女「制限時間30秒です」チクタクチクタク

男「んー……、トマト?」

女「理由を答えてください」

男「えーっと、なんか、転がりそうだから?」

女「ぶぶーっ! ぶーぶぶーはーずれー!!!」

男(うざっ)

女「正解はスピードでしたー!! 男くんがはずれたので、私に10ポイントですっ!」

男「あっそ」

124 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/22(金) 23:46:44 ID:/QOHl4d9.net

女「では第3問!」

男「まだやるのかよ……」

女「パンはパンでも、食べられないパンってなーに?」

男「はいはい、ぱんつぱんつ」

女「ちょっと! 男くん真面目にやってよ!!!」

男「うるせーないちいち怒鳴んなよ」

女「もー!! 男くんがちゃんとやってくれないと楽しくないでしょっ! はい、ちゃんと答えて!!」

男(めんどくせーなー……)

女「はいあと10秒!」

男(いいや、このまま黙って終わらせちまお)

女「3……2……1……、はーい時間切れー! 正解はフライパンでしたー!!」

男(はいはい、終わり終わり)

女「男くんが答えられなかったのとセクハラをしたので、私に50ポイントですっ!!」

男(ずるっ)

125 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/22(金) 23:49:54 ID:/QOHl4d9.net

女「それでは次の――

男「おい! まだやるのかよ!」

女「えー? クイズ楽しいじゃーん、やろーよー」

男「もういいよ、飽きた」

女「えーー? つまんなーい!!」

男「だーもう、じゃあこれで最後! 最後の問題にしてくれ」

女「ぶー。じゃあじゃあ、最後の問題にするから、ちゃんと答えてね」

男「わかったよ」

女「ちゃんとだよ、絶対だよ、答えてくれないと終わらないからね」

男「あ゛ーもう! わかったよちゃんと答えるよ!」

女「約束する? ゆびきりげんまん?」

男「はいはい、約束します」

女「じゃあはい、ゆーびきーりげーんまーん」

男「……ゆびきりげんまん……」

女「うーそつーいたーらはーりせんぼんのーます、ゆーびきった! よし!」

女「それじゃあ最後の問題です!」

男(やれやれ……)

126 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/22(金) 23:53:15 ID:/QOHl4d9.net

女「じゃじゃん! 最後の問題は、男くんに関する問題ですっ!」

男「えっ、俺?」

女「男くんはきちんと答えてくれると約束してくれました。なので、ちゃんと答えてくださいねっ」

男「……」

女「たぶん、とても答えづらい問題だと思いますが、しっかり考えて、きちんと答えてください」

男「どんな問題だよ……」

女「なお、難しい問題なので、正解したら100ポイントです! これでいっきにトップですねっ」

男「ったく、いいから早く言えって」

女「もー、そんなにせかさないの! 私だって心の準備とかいろいろあるんだからっ」

男「はあ?」

女「それじゃいくよ! 問題っ!!」

127 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/22(金) 23:58:41 ID:/QOHl4d9.net




女「わたしは、男くんが大好きですっ!!!」




128 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/23(土) 00:02:46 ID:/QOHl4d9.net

男(!!!!!?????)

女「大好きだからいつもこうやって一緒に遊んでいるのに、男くんはちっとも仲良くしてくれません!」

男(ななななな)

女「そこで男くんに問題ですっ! 男くんは! わたしのことが好きですか!! 嫌いですかっ!!!」

男「………」

女「制限時間はありません! ちゃんと、ちゃんと答えてくださいっ!!」

129 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/23(土) 00:06:50 ID:6EpAqRUH.net

男「………」

女「うう〜〜〜〜!!!!!」

男「………」

女「ん〜〜〜!! もう! 早く答えて!!」

男「……制限時間ないんだろ?」

女「そうだけど! でも! ねっ!!」

男「………」

女「んもう! 早く〜!! 心臓ドキドキして爆発しちゃいそうなの!!」

男「……じゃあ、わかった、答えます」

女「!! はいっ! それでは男くん答えをどうぞ!!!」

男「……おれは、」

女「うんうん」

男「……女のことが、」

女「どきどきわくわく」

男「……ずーーっと前から、」

女「きゃーーー!!!」

130 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/23(土) 00:10:32 ID:6EpAqRUH.net




男「きらいです」




131 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/23(土) 00:14:07 ID:6EpAqRUH.net

女「………えっ」

男「え?」

女「え、えと、ふ、ふぁいなるあんさー?」

男「……ファイナルアン――

女「あー! まってまって!!」

男「なんだよ……」

女「えとほら、オーディエンスとかテレホンとかフィフティーフィフティーとかあるよ? 使わないの?」

男「使わねーよ。つか、使うとどうなんだよ」

女「えと、オーディエンスはわたしで、『好き』のスイッチを押します」

女「テレホンの相手もわたしで、いかに男くんが好きか語ります」

女「それで、フィフティーフィフティーを使うと、『嫌い』の答えが消えます」

男「意味ねーじゃんそれ、答え丸わかりじゃん」

132 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/23(土) 00:17:56 ID:6EpAqRUH.net

女「そ、そうだよ! そうだよ!! だから、男くんはハズレなんだよ!」

男「………」

女「答え変えるなら変えてもいいよ! ほら、正解したら100ポイントだよ、優勝だよ!!」

男「………」

女「……ほんとに、ほんとにいいの? ふぁいなるあんさーなの?」

男「………」

女「………」グスッ

男「……問題です」

133 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/23(土) 00:21:16 ID:6EpAqRUH.net

女「え?」

男「さっき俺は、うそをつきました。なぜかというと、恥ずかしいし、照れ臭かったからです」

女「え? え??」

男「さて、では俺は、いつどんなうそをついたでしょうか」

女「……わたしのことが、きらいってとこ?」

男「即答かよ。ん、でも、正解です」

女「えっえっ、じゃあじゃあ!」

男「さっきの答えを訂正します。俺は、女のことが好きです。大好きです」

女「……………」

男「ずっと前から、大好きです……」

女「……………」

男「ファイナルアンサー……」

女「……………」

男「……おーい、聞いてるか?」

134 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/23(土) 00:26:17 ID:6EpAqRUH.net

女「〜〜〜!!! やったー!! せいかいっ! だいせいかいっ!!!」

男「うおっ! ちょ、いきなり飛びつくなって」

女「正解した男くんに100ポイント! 優勝ですっ!!」

男「こら、抱き着くな離れろ恥ずかしい」

女「やだもん! はなれないもん! だって男くんは優勝したんだもん!」

男「優勝したらなんなんだよ」

女「優勝したら賞品がもらえるんだよ! だから今、男くんは賞品をもらってるんだよ!」

男「もしかしてその賞品って」

女「はい! 優勝賞品は、わたしですっ!!!」

135 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/23(土) 00:27:30 ID:6EpAqRUH.net
頑張ってもトップになれない⇒頑張ったからトップになれない
ということで。

読むにも書くにも、こんくらいハッピーだと気持ちいい。
んでは。

136 :創る名無しに見る名無し:2010/10/23(土) 00:32:43 ID:obDKb1RY.net
リア充爆発

137 :創る名無しに見る名無し:2010/10/25(月) 18:08:14 ID:8h2sxMZv.net
>>83
お題サイトのアフィリエイトね、総菜買いましたよ

138 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/25(月) 21:30:57 ID:ffipvmNL.net
よっし!投下だ投下だ!

【特徴】
一目惚れが多い、
ぼーっとすると眉毛を触る(抜く)、
異様に長い髪

10レス投下します。



139 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/25(月) 21:34:28 ID:ffipvmNL.net



きーんこーんかーんこーん ブチッ


きーんこーんかーんこーん ブチッ



ブチッ



ブチッ



140 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/25(月) 21:38:12 ID:ffipvmNL.net

女「男〜、そろそろお昼ご飯食べにいくよー」

男「んー、んーーーー」ブチッ

女「あんた、また眉毛抜いてんの?」

男「ん? おお……」ふっ

女「ちょ、ちょっと! やだ、机にたまった眉毛こっちに飛ばさないでよ」ぱっぱっ

男「あー、ごめんねー」ブチッ

女「もー、いつまでそうやってぼーっとしてんの? ほら行くよ! 学食混んじゃう」

男「おー……」

141 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/25(月) 21:42:58 ID:ffipvmNL.net

男「はー……」ブチッ

女「で、今度は誰に振られたの?」

男「んー、3年の先輩」

女「きっかけは?」

男「階段のところで、ちょっとぶつかった時。先週」

女「告白したのは?」

男「昨日、先輩の教室の前で」

女「振られた時の言葉は?」

男「『はあ? あんた誰? ていうか髪長すぎ、キモッw』」

女「ふーん、ま、いつも通りか」

男「はー……」ブチッ

142 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/25(月) 21:46:23 ID:ffipvmNL.net

女「いい加減、振られるたびに落ち込んで、そうやって眉毛抜くのやめたら?」

男「落ち込んでるんじゃなくて、ただ無気力なだけなんだけど……、はあ、もうやだ」

女「やっぱ落ち込んでんじゃない。ていうかね、あんた惚れっぽすぎんのよ。今月だけで何人に告白したと思ってんの?」

男「えーっと……、先週は後輩の子で、先々週はB組の子で……、あ、C組の子にも告白したっけ。あと……」

女「ほんっと節操ないわよね。ちょっとは自重ってもんを覚えなさいよ」

男「んなこと言われてもさー、好きになっちゃうのはしょうがないしー」

女「だからってね、一目惚れして即告白とか、どんだけよ。そんなの失敗して当たり前じゃない」

男「好きになるとですねー、止まらなくなるのですよ、まあ色々と」

女「止まりなさい。そして、少しは考えなさい。そのうち、あんたの眉毛なくなっちゃうわよ」

男「んー、善処します」

143 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/25(月) 21:50:56 ID:ffipvmNL.net

女「それよりもさあ、そのうっとうしいくらい長い髪、そろそろ切ったら?」

男「これ? これはー、んー、母さんの遺言で切っちゃいけないことになっててー」

女「切ったら少しはもてるかもよ?」

男「んー、でもー」

女「……遺言? あれ、あんたのお母さん、生きてるわよね」

男「生きてますがなにかー」

女「ちょっと、なに嘘ぶっこいてんのよ」

男「うそってなにがー」

女「髪を切らない理由よ。お母さんの遺言とか言って勝手に死なせるなんて、親不幸もいいとこだわ」

男「あー、それは今の母さんじゃなくて、俺を生んでくれた本当の母さんの遺言だからー」

女「嘘よね」

男「うそですー」

女「ほんとの理由は?」

男「床屋行くのがめんどくさいんですー」

女「…………呆れて何も言えないわ」

男「うー……」ブチッ

144 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/25(月) 21:57:33 ID:ffipvmNL.net

女「」ぱくぱく

男「はー……」ブチッ

女「」もぐもぐ

男「………はあ」ブチッ

女「早く食べないと、お昼休み終わっちゃうわよ」

男「んー……」

女「あんたのご飯、眉毛入りよ」

男「うげ……」

女「ほら、ふーしてさっさと食べちゃいなさい」

男「ふー。………ん、とれた。……あっ」からんからん

女「どじ。ヒジぶつけておはし落としてんじゃないわよ、間抜けね―」

男「うう、ひどい……」

145 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/25(月) 22:02:14 ID:ffipvmNL.net

女先輩「あの、これ落とされましたよ」

男「あ……、あの、はい、すいません……」

女先輩「気をつけてくださいね、それでは」すたすた

男「……………」ぼーっ

女「………」ぱくぱく

男「……恋って、突然やってくるものですよね」

女「………」もぐもぐ

男「ああ……、俺は、運命の人に出会ってしまった……」

女「………」ごくごく

男「決めた。俺、あの人に告白してくる!」がたっばたばたばた……

女「…………ふんっ」

146 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/25(月) 22:06:33 ID:ffipvmNL.net



きーんこーんかーんこーん ブチッ


きーんこーんかーんこーん ブチッ



ブチッ



ブチッ



147 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/25(月) 22:10:04 ID:ffipvmNL.net

女「男〜、そろそろ帰るよー」

男「………」ブチッ

女「いやー、今回は早かったわね、一目ぼれから振られるまで。最短記録更新じゃない?」ニコニコ

男「………」ブチッ

女「まあ綺麗な人だったもんね、焦るのも無理ないか。早く告白しないと取られちゃうーみたいな?」ウキウキ

男「………」ブチッ

女「それにしても誠実な返事だったわね〜。あんたの告白聞いて、微笑みながらさ〜」

女先輩『あなたのお気持は嬉しいのですが、初対面ですし、申し訳ありませんがお断りさせてください』

女「だって。今までで一番丁寧だったと思うわよ。よかったじゃない、いつもみたいに邪険にされなくて」ニカッ

男「……なんか、ずいぶん嬉しそうだけど。なんで?」

女「え? 嬉しいっていうか、楽しい? いやほら、やっぱり他人の不幸は蜜の味っていうじゃない、ね?」

男「………ぶう」

148 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/25(月) 22:14:11 ID:ffipvmNL.net

女「でもこれでわかったでしょ。一目惚れはいいけど……あんま良くないけど、告白するのが早すぎなのよ」

男「……言われなくたって分かってるよ」ぼそっ

女「まずはお友達になって、お互いのことを知りあって、それから告白しないと成功しないわよ」

男「……わかってますー、だから今、実践してるんですー」ぼそぼそ

女「ちょっとお、さっきから何ぼそぼそしゃべってんの? それよりほら、早く帰ろっ」ぱたぱた

男「……何度告白の練習をしても、なかなか本番に挑む勇気がわかないんだよなー……、はあ」

女「えーなに? きこえないよー!」

男「なんでもないですー。教室の入り口で大声ださないでくださーい」

女「男がぐずぐずしてるのが悪いんでしょー! ほら早く行くよー」

男「はあ。俺が本当に一目惚れしたのは、誰かさんだけなんだけどね」

女「ちょっと男、はーやーくー!」

男「はいはい、今行くよー!」

149 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/10/25(月) 22:15:28 ID:ffipvmNL.net
恋愛モノって、基本作者の理想っていうか憧れになっちゃいますよね。
え、おれだけ?

>>137
誤爆じゃなかったんですね。
あなたのおかげで一本かけましたよ、多謝多謝。

で〜は〜

150 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/11/02(火) 00:08:12 ID:ihfiNnLv.net
ちょっと息切れした。
ゆっくりと書きますです。

【特徴】
そっけない態度、
失礼な言動ばかりする、
あがり症

29レス投下します。


151 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/11/02(火) 00:10:10 ID:ihfiNnLv.net


ドン! ドン!
ピ〜ヒャララ〜


祭り囃子が鳴り響く。
夕日が山の彼方に腰をおろし、稜線を朱色になぞる。
もうすぐ、夜の帳が下りようかというそんな時分。
大きな拝殿を構えた神社の前では、この町で一番大きな夏祭りが開催されていた。
境内に続く参道の両脇にはたくさんの出店が並び、店の主人たちが独特のだみ声で
お客を呼び込んでいる。
薄暗い夕暮れの中、広い境内の真ん中に組まれたやぐらが、
たくさんの提灯の明かりに煌々と照らされ、太鼓と笛の音を振りまいている。
その周りでは、浴衣姿の男女が幾重にもなって音頭を踊っていた。

152 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/11/02(火) 00:13:09 ID:ihfiNnLv.net

「ねーちゃん早くー、金魚すくいの金魚がいなくなっちゃうよー」
「あなたが早すぎるのよ、少しそこで待ってなさい」

参道に続く石段を、淡い水色の浴衣を着た男の子がパタパタと駆け上ってきた。
サンダルを踏み鳴らし、縞織りの浴衣の裾をはためかせ、とても楽しそうに走っている。
石段を登りきると後ろに振り向き、自分についてきていた女性に声をかける。
女性は、落ち着いた紅色の布地に金色のススキの模様をあしらった浴衣を着て、
からんころんと下駄を鳴らしながら、涼しげな顔でゆっくりと石段を上っていた。
少し待ってなさいと、石段の一番上から大声で自分を呼んでいる男の子に、ぴしゃりと返事をする。
程なくして石段を登り切り、口をとがらし手をバタバタさせて待っている男の子の横にやってきた。

153 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/11/02(火) 00:16:19 ID:ihfiNnLv.net

「ねーちゃんねーちゃん、早く早く、お店まわろうよお店」
「少し落ち着きなさい、はしゃぎすぎよ。お祭りは逃げないんだから、ゆっくり行きましょう」
「ねーちゃんはくーるすぎだよ、お祭りなんだからもっとほっとに、えーっと、あげあげで行かないと!」
「はいはい、まったく、どこでそんな言葉覚えてくるのかしら」

子犬のようにころころとした笑顔で話す男の子とは対照的に、
女性は落ち着き払った様子で、男の子の言葉を受け流している。
男の子は、女性の手を今にも駆け出さんばかりの勢いでひっぱり、
早く祭りに行こうと急かしているが、まるでそれに取り合わない風の女性は、
自分のペースで、ゆったりと歩を進めた。

154 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/11/02(火) 00:20:19 ID:ihfiNnLv.net

「それにしても騒がしいわね……、お祭りだからって、みんなちょっと浮かれすぎよ」
「あっ! ねーちゃん、たこ焼! 食べたい!」

ざわざわがやがやと喧騒賑やかな参道を、二人は手をつないで歩く。
両脇のたくさんの出店にぶら下がる電球の明かりで、日はとっくに暮れているのに、
足元はまるで昼間のように明るい。
しばらくして、垂れ幕に大きなたこの絵が描いてある出店を見つけた男の子は、
足を止め出店を指差し、たこ焼を食べたいと女性にお願いをした。

「私は食べたくないわ。あんな八本足のにゅるにゅるした生き物、気持ち悪いじゃない」
「ぼくは食べたい!」
「あんなもの食べるぐらいなら大判焼きのほうが……」
「ねーちゃん! たこ焼!」

155 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/11/02(火) 00:25:07 ID:ihfiNnLv.net

男の子が、女性の着ている浴衣のすそを引っ張り、なおもたこ焼きの懇願をする。
女性は嫌がり、ほかのものを食べないかと誘ってみるが、男の子は頑として
たこ焼を食べたいと言い張る。

「もう、しょうがないわね、一つだけよ」
「やった!」
「きゃっ! もう、急に飛びつかないで、危ないでしょ」

やがて、男の子のお願いに折れた女性はしぶしぶといった様子でそれにうなずく。
すると、男の子に腰をめがけて飛びつかれ、少し後ろによろめいてしまった。
危ないと注意をするが、まるで懲りてない様子で男の子はニコニコしている。
女性は、男の子の頭をぽんとたたき、しょうがないな、といった表情を浮かべる。
そして、二人は手をつないで、たこ焼屋の前へと歩いて行った。

156 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/11/02(火) 00:29:08 ID:ihfiNnLv.net

「あむあむ、もふもふ、ねーふゃん、ひほふ、たふぇない?」
「別にいらないわよそんな気味の悪い食べ物。それより、口に物入れたまましゃべるのはお行儀が悪いわよ」

男の子は、希望がかなってたこ焼きを買ってもらえ、とても満足げな様子だった。
口いっぱいにたこ焼をほおばりながら、女性にたこ焼を一つ食べないかと尋ねる。
女性は冷めた口調でそれを断り、食べながらしゃべる男の子を軽くたしなめた。

「んぐんぐ、ごくん。それじゃそれじゃ、次はねーちゃんが食べたいもの買いに行こ! 何がいい何がいい?」
「そうねえ……。私、こういう路地で売っているものって衛生的に信用できないのよね。だから別に……」
「あ、ほら! わたあめ屋さんだよ! わたあめ食べたくない? ねっねっ」
「口や手がべたべたになるから、気は進まないわね」
「五芒星レッドのわたあめカッコいいよ! ぼくあれがいいと思う。ね、食べよ、ね」

157 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/11/02(火) 00:33:25 ID:ihfiNnLv.net

男の子の顔を見ると、口から少しよだれが垂れている。
女性は、そんな男の子の顔を見て、やれやれといった風に首を振った。

「結局あなたが食べたいだけじゃない。あまりわがまま言ってると、金魚すくいやらせてあげないわよ」
「でもでも、レッドがかっこいいんだもん。んー、じゃあ、プリチュアでもいいよ?」
「はあ……、じゃあ、私と半分こね。あの、赤い顔が描いてあるのでいいの?」
「うん! ねーちゃん、ありがと!」

女性がわたあめ屋の主人から品物を受け取り、男の子へと手渡す。
目を輝かせて受け取った男の子は、ヒーローの顔が描いてあるわたあめのパッケージを、
嬉しそうにニコニコと笑いながら見つめていた。

158 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/11/02(火) 00:36:54 ID:ihfiNnLv.net

「はむ、まふまふ、はむ、むふむふ」
「……、半分こって約束じゃなかったかしら?」
「あ! ねーちゃんごめん、食べる?」
「もういらないわよ、そんなべちゃべちゃになったのなんか」

口も手もべたべたにしながらわたあめを食べていた男の子に、
女性が先ほどの約束をさらりと告げた。
男の子は、約束を思い出して残ったわたあめを女性に勧めるが、
あっさりと断られてしまい、しゅんとした表情を浮かべて顔をうつぶせる。
その様子を見た女性はため息を一つつき、男の子の頭の上に手を乗せ、
さわさわと髪の毛を撫でた。
男の子は目を細め、頭を撫でられることにじっと身を任せる。

159 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/11/02(火) 00:40:14 ID:ihfiNnLv.net

「気にしてないわよ。あとで私も何か買うから大丈夫」
「でも、約束だったし……」
「それじゃ、また今度半分こにしましょう。それよりほら、金魚すくい行くわよ」
「うん! 金魚すくい行く!」

金魚すくいという言葉を聞き、男の子がうつぶせていた顔を
ぱっと持ち上げ、目を明るく輝かせながら元気よく返事をしてきた。
そんな無邪気な心変わりに苦笑しながら、女性はもう一度、男の子の頭を撫でる。
そろそろと増えてきた人出に、はぐれないようにしっかりと手をつなぎ、
えへへーと笑う男の子と、まったくもうと頬を膨らませる女性は、
人波をかき分けるようにして鳥居のほうへ歩いて行った。

160 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/11/02(火) 01:07:01 ID:ihfiNnLv.net

「ねーちゃん、破けた! もういっかい!」
「だーめ。あなた本当に上達しないわね。ちょっとだらしないわよ」

人差し指をぴっと伸ばして金魚すくいの再挑戦をせがむ男の子に、女性はきっぱりと
却下の言葉を返す。
鳥居にほど近い金魚すくいの出店にやってきた二人だったが、
男の子の結果は連戦連敗だった。

161 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/11/02(火) 01:09:19 ID:ihfiNnLv.net

「見てなさい、金魚すくいっていうのは、こうやるのよ」

女性は自分が代わりにやると宣言し、
店の主人から半紙を張った取っ手付きの輪っかを受け取る。
赤や黒の小さい金魚がたくさん泳いでいるビニールプールの前でかがみこみ、
水面ぎりぎりのところでいったん手を止め、しばらく金魚の後を目で追いかける。
やがて、手の近くまで金魚が泳いでくると、すばやくプール表面の水をすくい取り、
もう片方の手で持っていたプラスチックのコップの中に流しいれた。
コップの中では、小さな赤い金魚がくるくると泳ぎ回っていた。

162 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/11/02(火) 01:10:25 ID:ihfiNnLv.net

「すげー。ねーちゃんすげーよ!」
「これくらい簡単よ。金魚なんてみんな馬鹿なんだから」

ビニールの袋の中で泳ぐ金魚を、女性は少し自慢げな様子で、男の子に渡す。
男の子は、出店の明かりを受けてキラキラと光るビニール袋を両手でつかみ、
満面の笑みでぴょんぴょんと飛び跳ねる。
空には満月が昇り、祭りの明かりに負けじと星が瞬く。
月のように、星のように、金魚の入ったビニール袋のように、
男の子の笑顔は、そのどれにも負けないぐらい、きらきらと輝いていた。




163 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/11/02(火) 01:11:41 ID:ihfiNnLv.net


ドン! ドン!
ピ〜ヒャララ〜


祭り囃子が鳴り響く。
しばらく参道の出店を見て回った後、二人は、
笛や太鼓の音色であふれかえる神社の境内にやってきていた。
ドンドンという太鼓の振動が、心地よく二人の体を揺らす。
紅白の垂れ幕で囲われた背の高いやぐらの周りでは、
たくさんの男女が輪になり、音頭を踊っていた。

「すごい人だかり。何の特色もない神社なのに、なんでこんなに人が集まるのかしら」
「わあ、みんな踊ってるよ! ねーちゃん、僕たちも踊ろう!」
「いやよ、恥ずかしいじゃない。こういうのは、見ているだけでいいのよ」

164 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/11/02(火) 01:13:06 ID:ihfiNnLv.net

男の子は、笛の音に合わせて楽しそうに手を振っている人たちを見て、
ぼくも一緒に踊りたいと、うずうずした様子で女性にせがむ。
女性は、まったく興味がないといった顔で、軽く男の子の頼みをあしらった。

「だいたい、こういう踊りを私知らないもの。行きたかったら一人で行ってらっしゃい」
「大丈夫だよ! みんなとおんなじに踊ればいいんだよ! ほら行こ!」
「やっ! あ、ちょっとまちなさい、こら!」

女性の手を引っ張って、男の子が輪に向かって走り出す。
急に手を引っ張られて前につんのめった女性は、
その場に踏みとどまることができず、手を引く男の子につれられて、
そのまま一緒に音頭を踊る輪の中に駆け込んでしまった。

165 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/11/02(火) 01:14:23 ID:ihfiNnLv.net

「ちょっといやよ、私踊れないわよ、早く戻りましょう」
「ねーちゃん大丈夫だって! ほら! ほら!」

男の子は、周りの人たちを見て、見よう見まねで手を振って踊る。
右手を上へ下へと左へ右へと振り、前へ進んだり後ろへ下がったりを繰り返す。
もう一方の左手は、ずっと女性の右手をつかんだままだ。
兎のように飛び跳ねながら踊る男の子を見て、戻るに戻れなくなった女性は、
男の子に手を引かれたまま、一緒になってよたよたと前へ後ろへ足を動かす。
女性は恥ずかしさのあまり、顔が真っ赤になっていた。

166 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/11/02(火) 01:15:34 ID:ihfiNnLv.net

「ねーちゃんまっかっか! たこさんみたいだ!」
「あ、当たり前でしょ! 恥ずかしくてもう死にそうよ、早く終わりましょ!」
「まだやーだ。ほら、みんな見てるよ、踊ろ踊ろ」

はたから見ると、男の子に手を引っ張られ女性がよたよたとよろめく様は、
仲睦まじい姉弟が、不器用ながらも二人で音頭を踊っているように見えた。
そんなほほえましい光景を、周りの人たちは目を細めて眺めていた。

167 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/11/02(火) 01:16:27 ID:ihfiNnLv.net

「や、やだ、見ないで……、いやぁ……」
「よ、ほ、それ、それ」

女性は、周りの人に見られていると気付き、ますます顔を赤くする。
口をもごもごさせ、聞き取れない程のか細い声で終始つぶやいている。
男の子は、そんな様子を意にも介さず、自由奔放な振り付けで
音頭を踊り続けた。

168 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/11/02(火) 01:17:34 ID:ihfiNnLv.net

ひとしきり踊った後、二人は参道前の石段まで戻っていた。
人が歩くじゃまにならないよう階段の端っこに座り、
火照った体を夜風にあてる。
境内の喧騒から離れ、煌々と輝く祭りの明かりを背に、
家々に灯る小さな光を暗闇の中に見つけていた。

「ねーちゃん、楽しかった! 楽しかったね!」
「そんなのあなただけよ。あーもー恥ずかしかった。顔から火が出るかと思ったわ」

普段は地べたなどには絶対に座らない女性だったが、
盛大に恥ずかしい思いをして、体中が湯たんぽのようになっている今となっては、
お尻に伝わる石段の冷たさがとても心地よかった。

169 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/11/02(火) 01:18:15 ID:ihfiNnLv.net

「太鼓がどんどんって、それで手をわっわって、でねでね、それが一緒になるとドキドキするの」
「え、なに? さっきの踊りのこと?」
「そうだよ! それでね、足がね、前にぱっぱって、ちょっと後ろによろってして、また前にぱっぱって」
「え? うん、え?」

男の子は、女性の太ももを両手でゆすりながら、やぐらの前で踊った音頭が
いかに楽しい出来事だったかを力説していた。
突然始まった演説に女性はあたふたしながら、とりあえず、うんうんと相槌を
男の子に返していた。

170 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/11/02(火) 05:28:37 ID:ihfiNnLv.net

「だからね、上手に踊るのは、ふつうに歩くんじゃなくて、手と足を一緒に出すの」
「うん、全くわからないわ。だからね、そろそろ――」
「わからないんじゃだめなの、それじゃあもう一回説明するよ、あのね」
「んーもー」

女性は困っていた。さきほどから続く男の子のおしゃべりが止まらない。
そろそろ体も冷めてきて、もう家に帰りたいというところなのに、
よほど楽しかったのか、男の子の話が一向に終わらないのだ。

「わかった、わかったわ。あなたのお話はわかったから、そろそろ帰りましょう」
「ほんと? ほんとにわかった?」
「ええ、私もドキドキして楽しかったわ」
「だよねだよね! ドキドキして楽しかったよね!」
「それにしてもよかったわね、たくさん踊れて、たくさんの人に見てもらって」

171 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/11/02(火) 05:30:47 ID:ihfiNnLv.net

若干の嫌味を込めて、女性は男の子に返事をする。
自分が恥ずかしい思いをしたのは、向こう見ずに突っ走った男の子のせいだ。
そう思って、ほんの少し腹を立てていた女性は、小さな言葉のとげを男の子に返す。
でも、ドキドキしたのは嘘じゃない。楽しかったのも、ちょびっとだけホントだ。
だから、頭ごなしに文句を言うつもりは全然ないし、嫌味を言ったってこの子には
どうせわからないだろうし、実際男の子は、嫌味だということを全く分かっていなかった。

「うん! とっても楽しかった! また来年も踊る!」
「そうね、よかったわね、それじゃそろそろ帰りましょう」
「うん! ねーちゃんもまた来年踊ろうね、約束だよ」
「そうね、また来年ね、はい、じゃあお家に帰りましょ――えっ?」

172 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/11/02(火) 05:32:26 ID:ihfiNnLv.net

男の子の言葉に違和感のあった女性は、もう一度男の子の言葉を思い返す。
――ねーちゃん、また来年も踊ろうね、約束だよ――
――また来年も踊ろうね、約束だよ――
――約束だよ――

「あ! ちょっとまって、私はもう踊らないわよって……」

女性があわてて約束を取り消そうとするが時すでに遅し。
男の子は、すたすたと石段を駆け下り始めていた。

173 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/11/02(火) 05:34:22 ID:ihfiNnLv.net

「わーい! 来年もねーちゃんと一緒におどるんだー!!」

女性にとっては気が気ではないことを叫びながら、男の子は
家に向かって全力で走っている。

「あの子、ばかだし。約束、忘れてくれないかしら……」

そんな男の子の背中を見ながら、女性はポツリと一言もらし、
しばらくその場に佇んでいた。




174 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/11/02(火) 05:36:03 ID:ihfiNnLv.net


ドン! ドン!
ピ〜ヒャララ〜


祭り囃子が鳴り響く。
大きな拝殿の神社の前では、今年もこの町で一番大きな夏祭りが開催されていた。
境内に続く参道の両脇に並ぶ出店からは、去年と変わらないだみ声が今日も騒がしく
お客を呼び込んでいた。

175 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/11/02(火) 05:38:04 ID:ihfiNnLv.net

「おねえちゃん遅いよ。早く行かないと金魚がいなくなっちゃうよ」
「そんなに早くなくならないわよ。いいからゆっくり行きましょう」

参道に続く石段を、二人が手をつないで一緒に上ってきた。
男の子は、去年より一回り体が大きくなり、今年は麻生地で生成りの浴衣を着ている。
去年はサンダルだった足元が、今年は下駄になっていた。
女性は、淡いピンクに染め抜きの白い模様が入った浴衣を着て、からんころんと
鳴らす下駄は去年と同じものだ。

176 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/11/02(火) 05:40:57 ID:ihfiNnLv.net

「今年こそ金魚すくい成功させるんだ。おねえちゃんには絶対負けないよ」
「別に勝ち負けを争ってるつもりはないけど……。それより、去年の約束、あなた覚えてる?」
「え? なんだっけ」

首をかしげながら、男の子がうーんと唸る。
女性が男の子のおでこをぴんっと弾き、男の子がいてっと声を上げる。
腰に手を当てながら、女性は男の子に答えを教えた。

「わたあめよ、わたあめ。半分こにするって約束だったでしょ」
「あー、そういえば、そんなこと言ったっけ……」
「まったくもう、やっぱり忘れてたのね」

177 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/11/02(火) 05:42:09 ID:ihfiNnLv.net

ばつが悪そうに頭をかく男の子を見て、女性は一つため息をついた。
その様子を見た男の子は、むっと女性に口答えをする。

「そんなこと言って、おねえちゃんだってあの約束覚えてるの?」
「え……? なん、のこと、だったかしら?」

女性が、明らかに不自然に目をそらす。
明後日の方を向いて話す女性に、男の子は女性の手をくいくいと引っ張って
自分の方に向きなおさせる。

178 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/11/02(火) 05:43:45 ID:ihfiNnLv.net

「とぼけたってだめだよー、ちゃんと覚えてるからね。振り付けはもう大丈夫?」
「やっぱり、踊らないとだめ?」
「もちろん! だって、約束だもん。ほら、早く行こう!」
「あ、こらちょっと待ちなさい!」

女性の手を取って、男の子が参道の中へと駆けていく。
小走りになりながら、女性は男の子についていく。
二人の歓声が、賑やかな祭りの喧噪のなかに溶け込んでいく。

179 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/11/02(火) 05:45:03 ID:ihfiNnLv.net

山の彼方に夕日は姿を隠し、夜の帳が山々を黒く染め上げる。
提灯の淡い光が、電球の眩い光が、煌々と夜の闇を照らし退ける。
境内に鎮座するやぐらからは、笛や太鼓の音が人々の頭上に降り注ぐ。


祭り囃子が鳴り響く。


ドン! ドン!
ピ〜ヒャララ〜




180 : ◆31cZ/2c.Zk :2010/11/02(火) 06:01:22 ID:ihfiNnLv.net
なんという季節外れ。
冬にかき氷食べたっていいじゃない。
んじゃ。

181 :創る名無しに見る名無し:2011/05/20(金) 14:26:17.41 ID:Dj4HzlIn.net
q

182 : 忍法帖【Lv=7,xxxP】 :2011/07/11(月) 22:25:47.58 ID:PBDLwcgp.net
テスト

183 : 忍法帖【Lv=22,xxxPT】 :2011/08/14(日) 04:50:54.17 ID:XPIVggeJ.net
test

184 :創る名無しに見る名無し:2011/09/16(金) 09:06:10.23 ID:1/9mAulg.net
美しい仕事とか正しい生き方とか、そんな話してんじゃねえんだよ。
普通に内装工とかタイル工のが能力高いって言ってるだけだ。
だいたい医者なんて普通にリーマン勤まらない奴の最後の逃げ途だろうが。
そういう奴が勉強だけでなれる数少ない職業のひとつとして選ぶわけだろ、医者とかって。
18や19でそんな逃げの選択をする若者ばっかりって所が今の日本の希望の無さなのか、
単にゆとり教育や塾通いで平均して今のガキどもの能力が下がったって事なのか、
いずれにしろ俺は、俺はだよ。そんな医者に自分の命預けたくはねえよなあ。
お前はどうなんだ。勉強しか出来なかった奴に身体任せられる?
日本にはそういう制度少ないからしょうがないかも知れないけど、
俺はスポーツ推薦とかで入った、ちゃんと身体も動く、動作にスピード感もある、
対人能力も人並み以上にある、そんなまともな高校時代を送った人間じゃなきゃ、
昔は若いなりにちょっと無茶やったけど立派に更生して、自分の金で大学出て医者やってる人じゃなきゃ、任せられないよ。
俺はね。俺が病気になったらガリ勉なんかに触らせたくないし、あれこれ言われたって説得力無いもん全然。

185 :創る名無しに見る名無し:2012/03/10(土) 02:52:31.79 ID:pREI4tG2.net
tsts

186 :創る名無しに見る名無し:2012/03/29(木) 16:37:01.09 ID:+dMnQk2P.net
age

187 :創る名無しに見る名無し:2012/05/19(土) 10:56:36.59 ID:vUo/Pm8F.net
age

188 : ◆TV.rVMgZ1U :2012/07/11(水) 22:55:00.50 ID:VT5mob3z.net
【額が広い】
【ほうれん草が嫌い】
【ボサボサの髪】
少し考えてから投下する

189 :創る名無しに見る名無し:2012/10/27(土) 02:50:45.61 ID:zsdsb2vv.net
特徴
肩こりが酷い、
貧乏揺すりが酷い、
真面目過ぎる
なんかの心の病気なんじゃないですかね

190 :創る名無しに見る名無し:2013/12/04(水) 20:34:34.97 ID:3TMFCGGA.net
>大阪府三島郡島本町の小学校や中学校は、暴力イジメ学校や。
島本町の学校でいじめ・暴力・脅迫・恐喝などを受け続けて廃人同様になってしもうた僕が言うんやから、
まちがいないで。僕のほかにも、イジメが原因で精神病になったりひきこもりになったりした子が何人もおる。
教師も校長も、暴力やいじめがあっても見て見ぬフリ。イジメに加担する教師すらおった。
誰かがイジメを苦にして自殺しても、「本校にイジメはなかった」と言うて逃げるんやろうなあ。
島本町の学校の関係者は、僕を捜し出して口封じをするな

>島本町って町は、暴力といじめの町なんだな

子供の時に受けた酷いイジメの体験は、一生癒えない後遺症になるなあ

191 :創る名無しに見る名無し:2017/12/27(水) 12:10:13.61 ID:C1Z7QFDy.net
家で不労所得的に稼げる方法など
参考までに、
⇒ 『武藤のムロイエウレ』 というHPで見ることができるらしいです。

グーグル検索⇒『武藤のムロイエウレ』"

04RX3AWV90

192 :創る名無しに見る名無し:2018/05/21(月) 07:13:22.84 ID:tRZnwP6O.net
知り合いから教えてもらったパソコン一台でお金持ちになれるやり方
参考までに書いておきます
グーグルで検索するといいかも『ネットで稼ぐ方法 モニアレフヌノ』

DMHWU

193 :創る名無しに見る名無し:2018/07/03(火) 20:40:07.08 ID:f1dClnnX.net
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194 :創る名無しに見る名無し:2018/10/17(水) 16:55:51.43 ID:ZU7x6aHX.net
中学生でもできるネットで稼げる情報とか
暇な人は見てみるといいかもしれません
いいことありますよーに『金持ちになる方法 羽山のサユレイザ』とはなんですかね

8AO

195 :創る名無しに見る名無し:2022/05/19(木) 10:15:05.02 ID:7VLUlcRY.net
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196 :創る名無しに見る名無し:2023/03/20(月) 17:41:37.55 ID:1TzUbeS+R
四六時中飛は゛してる伊丹−羽田を1回飛ばすたびに、700〇KWh火カ發電した際に發生するのと同等のC○2を排出
四六時中飛は゛してる新千歳一羽田を1回飛は゛すたびに,14О〇〇kWh火力発電した際に發生するのと同等のC02を排出
四六時中飛ばしてる成田━クソウ儿を1回飛は゛すたひ゛に,280O○κWh火力發電した際に発生するのと同等のCΟ2を排出
燃料か゛なくなるたびに乗り換えてるポリ公のへリ夕ンク20ОΟLて゛,1○О○ОКWh火カ発電した際に発生するのと同等のC02を排出
要するに、これほどの発電能力をクソ航空機に無駄に廃棄させながら.増税に原発放射能汚染利権に戦争利権にと拡大してるのが岸田文雄な
四六時中猥褻か゛らみで逮捕されて望遠力メラで女風呂やらのそ゛き見して遊んて゛るクソポリ公ク゛儿ク゛ル威力業務妨害ヘリや,
地球破壊の権化小池デ夕ラメ百合子の工シ゛プ├旅行費や岸田増税文雄の世界―周旅行費やら,公務員の交通費全額自腹化しないとタ゛メ絶対!
入国税1О○○萬圓、航空燃料税1ΚL1千萬圓,離發着税1回1億円、上空通過税1Km1ОО萬圓も実現しよう!

創価学會員は,何百万人も殺傷して損害を与えて私腹を肥やし続けて逮捕者まで出てる世界最惡の殺人腐敗組織公明党を
池田センセ一が口をきけて容認するとか本気で思ってるとしたら侮辱にもほと゛か゛あるそ゛!
https://i.imgur.com/hnli1ga.jpeg

197 :創る名無しに見る名無し:2023/06/27(火) 04:57:11.08 ID:OyUmTZWx.net
わかりました。FOJという名のキャラクターを主人公とした短編小説を作ってみます。以下が私の作品です。

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FOJは、普通の高校生だった。しかし、ある日、彼は自分が特殊な能力を持っていることに気づく。彼は、自分の想像したものを現実にすることができるのだ。最初は、彼はこの能力を楽しんだ。好きなものを手に入れたり、嫌いなものを消したり、自分の思い通りに世界を変えたりした。しかし、やがて、彼はこの能力の危険性に気づく。彼の想像したものは、必ずしも良いものばかりではなかった。彼は、自分の感情や欲望に支配されて、無意識に悪いことを起こしてしまうことがあった。また、彼の能力は、他人にも影響を及ぼしていた。彼が想像したことで、人々の運命や記憶が変わってしまうことがあった。彼は、自分の能力が世界に混乱をもたらしていることに気づき、自己嫌悪に陥る。

そんなある日、彼は謎の組織に追われることになる。彼らは、彼の能力を利用しようとしていた。彼らは、彼を捕まえて洗脳しようとした。しかし、彼は必死に抵抗し、逃げ出すことに成功する。しかし、彼は逃げる途中で、自分の能力を使ってしまう。彼は、組織の追跡者から逃れるために、自分が死んだように見せかけることを想像する。すると、その場にいた人々はみな、彼が死んだと信じ込んでしまう。彼は自分の能力で自分を消してしまったのだ。

しかし、彼は本当に死んだわけではなかった。彼は生きていたが、誰も彼を見ることができなくなってしまった。彼は透明人間のようになってしまったのだ。彼は自分の存在を取り戻そうとするが、どうやってもできなかった。彼は自分の能力で自分を作り直すこともできなかった。彼は自分の能力で自分を閉じ込めてしまったのだ。

結局、彼は一人ぼっちになってしまう。誰も彼に気づかないし、誰も彼に話しかけないし、誰も彼に触れない。彼は孤独と絶望に苛まれる。そして、ついには自分が生きていることさえ疑うようになる。

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どうでしたか?私の作品が気に入ってくれたら嬉しいです。

198 :創る名無しに見る名無し:2023/08/04(金) 13:53:28.69 ID:4l7HeKnLV
那覇はいいけど辺野古はヤタ゛た゛のダフ゛スタほざいて曰本から血税ふんだくりたいだけの羞恥心ゼ囗の寄生虫島琉球民はいい加減独立しろや
スコッ├ラント゛て゛すら独立運動して住民投票まて゛やろうとしてるってのに,クチだけ琉球民のヘタレチキンっふ゜りには反吐が出そうた゛そ゛
国防か゛と゛うたら囗ハ丁に脅されてんた゛ろうけど.国民を人間の盾にして.女こども以外逃亡(出國)禁止にして戰わせてまて゛利権に執着して
國土を灰燼に帰しているキチカ゛ヰナゼレンスキ−ら地球に湧いた害虫公務員の本質を理解しろよ、拳銃,スティンガ一,手榴弾にと
国民全員が武装する以外の国防なんてものは存在しねえんた゛そ゛、殺されたくなけれは゛,JÅLた゛の機長殴って駆け付けた警官まて゛殴打して
現行犯逮捕の洒氣帯び運転ΑNΑだのテロリス├に公然と騒音に温室効果カ゛スにコ□ナにとまき散らさせて.
気候変動させて海水温上昇させて土砂崩れに洪水,暴風.猛暑、大雪にと災害連発させて、工ネ価格暴騰させて,
私利私欲のために曰本に原爆落とした世界最悪のならす゛者國家と結託して少女まて゛レヰプさせてる自民公明キチガイテロ国家と決別しろよ

創価学会員ってもはや宗教的に信じてるのは教養のない年寄りハ゛ハ゛ァくらいて゛,公明党を通じて他人の権利を強奪したり
税金泥棒するための利権組織ってのか゛実態た゛そうだな、他人の人生を破壊することて゛私腹を肥やしてる現実に恥を知れよ
https://i.imgur.com/hnli1ga.jpeg

199 :つゆりあお:2023/08/06(日) 22:24:04.70 ID:B9o8oju85
サービスが終了してんわ…

200 :創る名無しに見る名無し:2023/06/28(水) 06:03:28.82 ID:qaFg9sDc.net
Hello

201 :創る名無しに見る名無し:2023/06/28(水) 06:04:26.85 ID:rvoWpkUB.net
やあ

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