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リリスについて

1 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2014/08/22(金) 22:47:20.73 ID:U6wisFqT.net
初めてエヴァ見たんですけど
使徒はリリスを求めて?ネルフに攻撃しに来てるんですよね?
それでさっきミサトさんがいざとなったら一緒に自爆するわ
みたいなことを言ってました

最初からリリスを破壊すれば使徒は来ないのでないでしょうか
それともリリスがいないと何か不都合があるのですか?

スレ違いでしたらすいません

2 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2014/08/23(土) 12:57:18.50 ID:???.net
不都合があります
なぜかはまだ明かされていません

終了

3 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2014/08/23(土) 13:42:20.28 ID:???.net
人類補完計画にリリスが必要だからじゃなかったっけか

4 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2014/10/05(日) 08:50:51.41 ID:???.net
破でゼーレが
「我らの望む真のエヴァンゲリオン」の完成+リリスの復活 で契約の時だって言ってたね
そもそも使徒殲滅もリリスとの契約の一環みたいだし、何かあるんだよきっと


えーと、規制で新スレ立てられなかったので
突然ですがこのスレ乗っ取ります
以降「もしもシンジとレイが双子だったら」スレの続きになります
元の>>1さんごめんなさい

 冬月「十年ぶりの対面か…」
 シンジ「!」
  .レイ「……」
 シンジ「レイ…? 君があの…? どうしたんだよ、そのケガ!」
  .レイ「……(すごく痛そう)」

 シンジ「………」

 シンジ「やります。僕が乗ります!」


前スレ
http://maguro.2ch.net/test/read.cgi/eva/1282838725/115-

5 :前スレの概略・1:2014/10/05(日) 08:55:30.86 ID:???.net
 ..ミサト「一人で…ですか?」
 黒服「そうだ。彼の住居は、このさきの第六ブロックになる」
 ..ミサト「…それでいいの、シンジ君?」
 シンジ「よくないです」
 ..ミサト「ほら、やっぱたった一人でなんて…」
 シンジ「レイを引き取ります」
 ..ミサト「は?!」
 シンジ「あんな父親失格の人のそばになんか置いておけません。 妹は僕が面倒みます」
 ..ミサト「ええ?!」


    ミサト「ぷっはぁあ〜っ! くぅうう〜! 朝一番はやっぱコレよねぇ〜」
   .シンジ「…コーヒーじゃ」
    レイ「ないんですか」
    ミサト「…?
       おっ、二人ともおんなじ顔して睨んじゃってー。やっぱり双子なのねん」
シンジ+レイ「「えっ」」

両者、お互いをじーっ

   .シンジ「…、えっと、その…」
     レイ「……」
シンジ+レイ「「…、ごめん」なさい」
シンジ+レイ「「…あっ」」

笑いこけるミサト

6 :前スレ概略・2:2014/10/05(日) 08:56:25.46 ID:???.net
 .アスカ「ヘロゥ? あなたがイカリ・レイね。プロトタイプのパイロ…
     …ッて、なんで同姓?!
     まさか出来てんの?! 何たる非常識、14歳なのにフケツにもほどがあるわッ!」
  .レイ「……」
 シンジ「待ってよ。違うって」
 .アスカ「何よ、弁解できるものならしてみなさいよ!」
 シンジ「あの…妹なんだ。双子の」
 .アスカ「……ふたご…」
  .レイ「そうよ」
 .アスカ「……」
 トウジ「黙ってもうたな」
.ケンスケ「そりゃ、あれだけ大上段で行ったんだし」
 .アスカ「………
     何よ、それこそ非常識! 碇司令の子供だからって、二人揃ってパイロットなんて
     エコヒイキにもほどがあるわ! この、親の七光りコンビがぁっ!!」
 シンジ「ええっ?!」
.ケンスケ「…引っ込みがつかなくなった、と」
 トウジ「ほんま、エヴァのパイロットって、変わり者が選ばれるんちゃうか」

7 :前スレ概略・3:2014/10/05(日) 08:58:22.16 ID:???.net
 加持『へぇ、二人とも、外に遊びに出るタイプじゃないのか』
  .ミサト「そ。だから、休日っても静かなもんよー。ま、当人たちはそれで充分寛いでるようだし、
     他人が口出すような問題でもないしね」
 加持『おいおい。他人ってお前、一応、二人の保護監督者だろ?
     いいのか、そんなんで』
  .ミサト「だからこそ、よ。あの子たち、二人でいるだけで満足みたいだもの。
     いつまでもそれじゃ困るけど、今はまだ、そっとしときたいのよ。実際、割って入れる
     ような雰囲気じゃないし」
 加持『そうか。
     にしても、そんなに双子の結束が堅いんじゃ、家族三人の共同生活にならないんじゃ
     ないのか? シンジ君はイヤフォンで音楽、レイは本、お前だって長電話。…まったく、
     一つ屋根の下だってのに』
  .ミサト「ああ、それなら大丈夫。あの子たち、いくら集中してても…」

 シンジ「…ん」
  .レイ「…あ」
 シンジ「もうこんな時間か。ミサトさん、そろそろご飯の支度始めますけどー?」
  .レイ「私、お風呂入れてくる」

  .ミサト「我に返るのも、二人同時だから」
 加持『…どこまでも双子だなぁ、そういうところは』

8 :前スレ概略・4:2014/10/05(日) 08:59:33.88 ID:???.net
 シンジ「ありがとう、カヲル君。
     …じゃなくて、ごめん。また遅くまで付き合わせちゃって」
 .カヲル「かまわないよ。どうせこの後も再エントリーの予定なんだ」
 シンジ「そうなんだ…大変だね」
 .カヲル「大したことはないよ。さっきの訓練プログラムと似たようなものさ」
 シンジ「でも、すごいよ、カヲル君は。こうやってシミュレータで教わってる僕なんかより、ずっと
     エヴァのことわかってるって感じがする。…だから、あんなに操縦も上手いんだよね?」
 .カヲル「…どうだろうね。所詮、僕のは仮象訓練だから」
 シンジ「そっか…でも、僕も、君みたいになれたらいいのに」
 .カヲル「いや。それは違うよ。僕はまだ、本物のエヴァに乗ったこともないから。既に何度も
     実戦を経験し、使徒に勝っている君とは、比較にならないよ」
 シンジ「そう…かな」
 .カヲル「早く、君の力になれたらいいのだけどね。
     …そうだ、だからという訳じゃないけど、明日は、夕方には全てのテストが終わるんだ。
     その後なら時間が取れると思う。久しぶりに、器楽室にでも行こうか」
 シンジ「! うん。…あの、ありがとう、いつも」
 .カヲル「ううん、僕も楽しみだよ。じゃ、また明日」
 シンジ「うん。明日」

9 :前スレ概略・5:2014/10/05(日) 09:08:22.73 ID:???.net
   碇「私には責務がある。お前の父親でだけいることはできない。…その時間がない。
     お前もそうだ。エヴァに乗り、使徒を倒す。それがお前の責務だ。
     互いの立場を自覚しろ」
 シンジ「…、僕は、いいよ。
     だけどレイは…レイがかわいそうだって思わないの、父さんは?!」
   碇「いや。彼女に同情や憐憫を感じることはない。そう決めている。
     お前はそんなことでレイに関わったのか」
 シンジ「そんなこと、って…!」
   碇「レイを引き取ると決めたのはお前自身だろう。ならばお前がレイに伝えろ。
     お前の責任だ」
 シンジ「…責任って、僕はそんなふうに、…そんなつもりで一緒にいるんじゃ」
   碇「甘えるな。人と関わることは、それ自体が責任と同義だ。その自覚がないなら
     お前がしているのはただの逃避だ」
 シンジ「……」
   碇「背負いきれないなら最初から手を出すんじゃない」


 シンジ「…ッ、お願いがあります!」
   碇「……」
 シンジ「僕に…僕なんかに、構ってるような時間はないって、わかってます。
     …それでも、お願いします。一分で構いません。一度だけ、電話に出てください。
     何も答えてくれなくたっていい。ただ、切らないで、少しの間だけ、聞いていてください。
     それだけです。…どうか、お願いします」
   碇「…一分だな」
 シンジ「!」
 シンジ「……ありがとう、ございます」

10 :前スレ概略・6:2014/10/05(日) 09:10:37.38 ID:???.net
 アスカ「…この前。悪かった、わね」
  レイ「何が?」
 アスカ「頬っぺたよ。思いっきり叩いちゃって」
  レイ「…別に、もう平気」
 アスカ「そ。なら、いいけど。
    …察しついてると思うけど、3号機のこと。
    あんた、命令じゃなくて、自分からテストパイロットを志願したって聞いたけど…
    わかってんの? 歌の発表できなくなるのよ。練習、してたでしょ。
    伴奏弾くはずの馬鹿シンジが残念がるのだって、目に見えてるでしょうが」
  レイ「…わかってる。でも」
 アスカ「最新鋭の3号機に乗って、何もない自分を、せめてエヴァで、変えたいから?」
  レイ「!」
 アスカ「…やっぱりそんなとこか。でも、駄目よ。まるで話が逆だもの。
    あんた言ったわよね。エヴァは、自分の心の鏡なんでしょ。だったらエヴァで自分を
    変えるなんてできっこない。あんたの方がエヴァの鏡になって、よけい空っぽに
    なるだけよ。そんなのお澄まし人形より始末が悪いわ」
  レイ「……」
 アスカ「3号機には、私が乗る。
    これもあんたの言葉を借りるなら、私には、もうちゃんと自分があるんでしょ。
    だったらもう他のエヴァにだって乗れるわ。平気よ、どんな機体だろうが、乗るのは
    この私だもの」
  レイ「…でも、あなたも、お兄ちゃんと」
 アスカ「わかってる、っつーの。
    ま、一応練習もしたし、それなりに楽しかったし…だけど結局、私にはエヴァが最優先。
    それが私。…それに、あんたこそもう、エヴァに頼らなくてもいい頃よ」

11 :前スレ概略・7:2014/10/05(日) 09:17:10.70 ID:???.net
 シンジ「みんな…」
  .レイ「…どうして?」
.ケンスケ「式波の奴、あんな言い方したけどさ。
     要するに『後は頼む』って、言いたかったんだろ。似合わない憎まれ役まで買って出て、
     カッコつけて。そのぐらい、皆もう気がついてるよ」
 トウジ「そら面と向かって言われたときはムカッと来たやろけど、根は素直な連中やし。
     委員長が『一人でも聴きに行く』て言い出したら、みーんなこうやってついて来よったで」

 .ミサト「そうだ、今日のこと。改めて礼を言うわ、アスカ。…ありがとう」
 アスカ『やめてよ。それじゃまるで、私が馬鹿シンジと妹に譲ってあげたみたいじゃない。
    いいの、そーゆうのは。私は私、エヴァに乗りたいから乗るだけ。妹は、馬鹿シンジと
    歌いたいから残る。単純な話よ』
 .ミサト「そうかしら。ちゃーんと皆のことを思いやった上で、自分の身の処しかたを決める。
    アスカは立派だわ」
 アスカ『…何よ、また子供扱いして』
 .ミサト「そうよー。もうちょっとくらい、私たち大人のことも頼りなさい。
    みんなあなたを支えたいんだから」
 アスカ『…そうね、今なら、少しわかる気がする。…ありがと、ミサト』

 シンジ「…松代のミサトさんたちは無理だけど、もう一人、レイの歌を聞いてもらいたい人が
     いるんだ。実は昨日、頼んできた。…ごめん、内緒にしてて」
  .レイ「…! もしかして」
 シンジ「(携帯に)もしもし、…父さん。今から、始めます」

 アスカ「…そっか。私、人を頼っても、いいんだ」

 シンジ「…あれが…目標、ですか」
   碇『そうだ。お前が倒せ』

12 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2014/10/05(日) 09:19:31.59 ID:???.net
前スレまでのまとめ
 落下使徒戦までだいたい旧作仕様
  ↓
 レリエルっぽい使徒が襲来、機体相互換実験で初号機に乗っていたレイが取り込まれる
 アスカ、シンジ、カヲル、他スタッフ総動員で一大救出作戦、いちど大団円
  ↓
 カヲルがタブハベースに戻される(この辺から新劇寄りにシフト)
  ↓
 北米の4号機消滅、3号機事件へ
 初号機が野辺山で交戦中(零号機は後方援護)


というわけで引っ越し終わり、次レスから続き投下します
連投規制あるので少しだけ

13 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2014/10/05(日) 09:20:37.20 ID:???.net
 アスカ(……)

青い影に汚染しつくされた3号機エントリープラグ内
うっすらと意識を取り戻すアスカ
自分の肉体の感覚はほとんどない
ザッと外側から割り込むエヴァの知覚
異様な夕景
初号機と零号機の存在がなぜかわかる

 アスカ(…バカ、シンジ…?)

急に視野が鮮明になる
甦る衝撃と大音響
目の前で押さえ込まれた初号機
その首を絞めている、自分のと同じ形象をした両手

  (明瞭な認識:シンジの目の前で使徒にエヴァを乗っ取られている不様な自分)

アスカの意識が空白になり歪められていく

 アスカ「………ああああ」

14 :1/5:2014/10/06(月) 15:50:07.45 ID:???.net
.3号機『……アアアアアアアア』

総身を激しく震わせている3号機
咆哮し、さらに荒々しく初号機に覆いかぶさる
山腹にめり込む機体

 シンジ「!! うッ」
.3号機『アアアアアアアウウウ』
  .レイ『…!』

猛射する零号機
周囲の山肌にも外れた数発が降り注ぐ
屈みこんだままぐるりと振り返る3号機
初号機の手首を押さえつけていた右手が弾け飛ぶように離れ、視界から消える

 シンジ「…?!」

15 :2/5:2014/10/06(月) 15:51:07.51 ID:???.net
3号機『ウゥゥイイイイイイイイイ』

後方で断続的に地面が鳴り、土砂が一直線上に次々と噴き上がる
零号機の側面で弾ける地面
土煙の中から掴みかかる黒い手
いつのまにか長く伸びていた3号機の片腕が零号機のすぐ傍まで達している

  レイ「!! あっ」

唯一動かせる右腕を掴まれ、その場に引き倒される零号機
接触面から青い亀裂が食い入っていく
汚染警報
苦鳴を洩らすレイ

16 :3/5:2014/10/06(月) 15:51:55.31 ID:???.net
 シンジ「レイ…ッ!!」

シンジの意識が沸騰する
解放された片手を無理やり伸ばす初号機
3号機の剥がれかけた胸部装甲を掴み、それを手がかりに3号機の首筋を捉え、引き戻す
ガンッと初号機の上に引き倒される3号機本体
周囲に飛び散る両機の装甲片
死力を振り絞る初号機
痙攣しながら3号機を引き寄せ、零号機を襲っている腕を握り潰す勢いで力を込めていく
鬼の形相のシンジ
青く染まった3号機のエントリープラグがすぐそこに見えている

17 :4/5:2014/10/06(月) 15:52:54.76 ID:???.net
LCLに溶ける涙の熱さ
食いしばった歯の間から凄絶な声を洩らすシンジ

.3号機『…イイイイイイイイイァアアアア』

3号機の声がヒトに近づく
泣き声に聞こえる

.3号機『ンンンンンムムムィイイイイイイナァアアアアア、イイイィ、デエエエエ』
 シンジ「…?!」

はっとなるシンジ
直感的に、その声を理解してしまう
張りつめていた気迫が崩れる

    (イ・ヤ)
    (ミ・ナ・イ・デ)

無惨な表情になるシンジ

 シンジ「…アスカ…!」

18 :5/5:2014/10/06(月) 15:54:13.51 ID:???.net
力を失う初号機
のしかかる3号機
もはや耐えることしかできないシンジ
零号機を襲う腕だけをかろうじて片手で掴み止めている初号機
その手のひらからも青い侵食
苦痛がシンジの意識を蚕食する
視界が暗くなる
突然、ガクンと全ての負荷が消える

 シンジ「…!」

咳き込んで必死に息をするシンジ
暗転したプラグ内
その薄闇の中で、勝手にシステムが再起動していく
かすむ目をみはるシンジ

 シンジ「…なんだ、これ…?!」

19 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2014/10/09(木) 07:38:42.92 ID:???.net


20 :1/6:2014/10/09(木) 09:11:13.46 ID:???.net
 シンジ『…! 父さん?!
     何だよこれ、何やってるんだよ…?!』

発令所
主モニター横に大きく図示された初号機のシステム模式図
正規システムに重なった“OPPERATION DUMMY SYSTEM”の表示
両手を組み見つめている碇

.オペレータ「ダミープラグ、全システム起動確認」
.オペレータ「初号機の全神経をダミーに直結完了」
  青葉「強制行動修正プロトコルの全種起動を確認。作動正常」
  伊吹「ダミー、プロトコルの一部を拒絶しています。修正範囲内…ですが、強制認識
      コードによる上書きも不安定です」
  日向「ダミーシステムによる予想活動限界まで、およそ208秒」
    碇「構わん。システム開放、攻撃開始」

主モニターの中で初号機が咆哮する

21 :2/6:2014/10/09(木) 09:12:21.87 ID:???.net
咆哮する初号機
先に倍する力で3号機に抗い、敵の重みに逆らって上体を起こしていく
日没の赤い光の中で立ち上がっていく二機の影
苦痛に耐えながら見つめるレイ

  レイ「?! あ…!」

突然、激しい衝撃が右肩を灼く
悲鳴をあげるレイ
強制パージされた右腕が3号機の手もろとも地面に落下する
が、既に3号機に侵食を続ける余力は残っていない
3号機の腕が黒蛇のようにうごめいて本体へ跳ね戻り、初号機を迎え撃とうとする
そのまま倒れ伏す零号機
警告表示に埋めつくされたプラグ
痛む肩を押さえ、必死に初号機の方を見ようとするレイ
影絵になった戦闘

  レイ「…お兄、ちゃん」

22 :3/6:2014/10/09(木) 09:14:39.47 ID:???.net
  伊吹「…零号機、中破! パイロットが危険な状態です」
  日向「目標、零号機への侵食を停止。右腕を回収」
.オペレータ「零号機へ救護班向かいます」

発令所
主モニターいっぱいに映し出された初号機の映像
襲いかかる3号機を最小の機動でかわし、機械の精確さで行動の自由を奪っていく
人体にはおよそ不可能な急制動、急転回、瞬間的に切り替わる格闘動作
その挙動はまるで精巧な巨大ロボットに見える
圧倒されているスタッフたち

.オペレータ「ダミーシステム、活性上昇。さらにゲインが上がります!」
.オペレータ「監視システムの一部が動作を停止。再起動受け付けません」
.オペレータ「制御リミッターが外されていきます!」
  青葉「ダミー、動作プロトコルを逸脱し始めています。既に8%がモニター不能」
.オペレータ「補助抑制システム、一部が反応なし。予備も作動しません」
    碇「構わん。このまま続けろ」

見守るほかない人々

  伊吹「これが、ダミーシステムの力なの。
     だけどこれじゃ…これじゃまるで、…人が、人がいないわ」

23 :4/6:2014/10/09(木) 09:16:08.76 ID:???.net
見ているほかないシンジ
コントロールは奪われているが、かすかに機体からのフィードバックが伝わってくる
揺さぶられるプラグの感じと合わせて懸命に状況を知ろうとするシンジ

 シンジ(ダミー…システム…?
     何だよそれ、何でそんなものエヴァに、…いや、そんなことじゃない。そうじゃない、
     …この動き方、まるで)

3号機を手負いの動物のように扱う初号機
一動作でプログナイフを抜き、突進する3号機をかわしざま一閃させ、えぐる
ろくに組み合う間もなく3号機の腕が血を噴いて宙に舞う
返り血も浴びずに次の攻撃に移る初号機
速く圧倒的な機動だがどこかぎこちない
本来は滑らかだっただろう動作が、途中から分断されて不自然に継ぎ合わされている
それでも元の端正な動きは窺える
震え出しているシンジ

   カヲル(…ね。わかるだろう、機体との協調なんだ)

24 :5/6:2014/10/09(木) 09:17:54.68 ID:???.net
   シンジ(すごい…! エヴァって、こんな風に動けるんだ)
   カヲル(だけど所詮、僕のは仮象訓練。システム上のシミュレーションだから)
   カヲル(君の訓練プログラムと似たようなものだよ)

強い嫌悪に顔を歪めるシンジ

 シンジ(そうか…
     データ、なんだ。生の操作じゃない。だから違和感があるんだ)
 シンジ(でも、カヲル君の動かし方だ。操縦の記録、…機械に蓄積した操縦データを、
     切り刻んで、勝手につぎはぎして、操縦用のプログラムに作り変えてあるんだ。
     エヴァを外からでも動かせるように。パイロットがいなくても)
 シンジ(言うことを聞かない僕が、いなくても)
 シンジ(…?)
 シンジ(…違う、それだけじゃない)
 シンジ(何か…おかしい、…機械の動きだけじゃない)

本能的に周囲を見回すシンジ
システム出力の異常がしだいに加速されていく
ノイズの混じり始めるプラグ内モニタ

 シンジ「…なんだ…? なんだよこれ…?!」

25 :6/6:2014/10/09(木) 09:24:52.97 ID:???.net
しだいに緊迫する発令所

.オペレータ「ダミー、さらに修正プロトコル拒絶。緊急抑制システム、応答しません!」
  冬月「直結回路を開け。強制的に割り込みをかけろ!」
.オペレータ「…制御信号、拒否されました!」
.オペレータ「全監視システムの八割が動作停止。ダミーに妨害されています」
  青葉「まずいな。今のところは、強制認識コードで無理やり上書きできてるけど…」
  日向「…こりゃ、手に負えないぞ」
  冬月「いかんな…予想より早すぎる。碇、いいのか。このままでは暴走しかねんぞ」
    碇「……」
  冬月「碇…?!」

両手を組んだまま、画面の初号機だけを見つめている碇


>>19 ありがとうございます、精々がんばります

ということで
前スレのカヲルのネルフ本部滞在の理由は
ダミー補助システム構築のためのエヴァの仮想データ取得でした、としておきます
これでシミュレータ漬けだった理由にも学校行ってなかった理由にもなるかなーと(あとづけ)

26 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2014/10/09(木) 13:57:11.14 ID:???.net
分かりやすい設定だね

27 :1/7:2014/10/10(金) 09:00:05.46 ID:???.net
>>26 ありがとうございます



  しんじあうよろこびを たいせつにしよう
  きょうのひは さようなら
  また あう ひまで

赤い光に覆われていくプラグ
ノイズの増殖するモニター内で加速度的に残虐さを増していく戦闘
行動プロトコルを大幅に逸脱しだしている初号機
移植された動作と内部からの力の衝動がせめぎあい、機体が脈打つように震える
プラグ深部で何かが砕け散る音
引き裂かれるプロトコル
カヲルの残していった操縦動作が獣の凶暴さに塗り潰されていく
真っ赤なノイズが次々とプラグの奥の闇から流出し、焦るシンジの視界を奪う
必死に外を見ようとするシンジ
理性なく屠殺し合う二つのエヴァ
アスカとカヲルの二人ともが目の前で解体される恐怖に襲われるシンジ
逃げ場を求めるようにせわしなく視線が飛ぶ
赤いノイズの隙間から覗く血の光景
めちゃくちゃにかぶりを振って叫ぶシンジ

 シンジ「父さん、やめてよ! もうやめてよ…、嫌だ、こんなのは嫌だ…!!」

28 :2/7:2014/10/10(金) 09:02:34.57 ID:???.net
落日の光
血の帯を曳いてばらばらに地面に横たわっている3号機の三本の腕
次の交錯で膝を断たれ、脚を折られ、土砂をあげて山裾に突っ込む3号機
追い込まれた獣のように頭をもたげる
ヒトの形を模した最後の腕が震えながら身体を支えている
正面によろめき立つ初号機
既にナイフも捨て、挙動からは機械らしさ、そしてヒトらしさがほぼ失われつつある
一瞬身を沈め、生々しい獰猛さで3号機に襲いかかる
激しい衝撃と飛散する赤い破片
山腹に沈む両機
長く血しぶきを撒いて山麓の町に落下する3号機の最後の腕
頸部を砕かれ、血だまりの海で活動停止する3号機
止まらない初号機
全ての抑制を振り払うように両手を、歯を突き立て、装甲もろとも引きちぎり始める

29 :3/7:2014/10/10(金) 09:05:28.02 ID:???.net
恐慌寸前の緊張に覆われた発令所
主モニターから背けた顔を両手で覆っている伊吹

.オペレータ「ダミー、なおも自律状態を維持」
.オペレータ「目標、四肢全てを喪失。胴部中断。腰部破砕。脊椎露出。ほぼ活動不能」
.オペレータ「目標コアの位置を確認。反応は未だ健在」
.オペレータ「初号機は攻撃を続行中。ダミー、さらにシステム活性上昇」
  日向「ダミー、活動限界まで42秒…、しかし」
  青葉「まずいです、直接コマンドも緊急コードも認識しなくなってきています」
  冬月「…いかん、中止だ。システムを強制停止しろ」
  日向「はい!」
    碇「やめろ。必要ない」
  日向「えっ…?!」
  冬月「しかし碇、目標はもう」
    碇「止める必要はない。まだ目標のコアを破壊していない」
  冬月「碇…」
    碇「聞こえなかったのか。システムに問題はない。このまま続けろ」

30 :4/7:2014/10/10(金) 09:07:36.83 ID:???.net
高速で噴き出す真っ赤なノイズに塞がれたエントリープラグ
もはや外の様子は見えない
打ち続くプラグの振動と微細なフィードバックのみが、今行われている暴虐を伝える
顔を伏せているシンジ
動かない両手

 シンジ「…やめてよ」

食いしばった歯の隙間から声が洩れる

 シンジ「父さん、やめてよ。お願いだから…お願いだからもう、やめてよ」

さらに密度を増すノイズ
両こぶしを握りしめるシンジ

 シンジ「もうやめてよ! こんなのッ、こんなのやめてよ!!」

涙声

 シンジ「なんだよ…何なんだよこれ…
     …止まれよ…止まれ、止まれ、止まれ止まれ、止まれ、止まれぇっ!!」

反応しない機体
プラグの上方で、何か硬いものが両側から挟まれて軋む音
はっと顔を上げるシンジ
瞬間、理解する

 シンジ「…!! やめろぉおおおおおおッ!!」

31 :5/7:2014/10/10(金) 09:08:54.30 ID:???.net
空一面の残照
骨まで解体された3号機
湯気をあげる血と肉骸のただなかで、えぐり出したエントリープラグを噛み砕く初号機
ダミーシステムが活動限界に達し停止する

32 :6/7:2014/10/10(金) 09:12:17.30 ID:???.net
  レイ「……」

全てを目撃したレイ
強く自分の身体を抱きしめている
震えが止まらない

  レイ「……」

どれだけ強く両腕を掴んでもわななき続ける両手
シンジの受けた衝撃の全てをじかに体感しているレイ
涙も流せずきつく目を閉じる
無力な操縦席で小さく背筋を丸め、うなだれる

  レイ「……」

静止した戦場
山々に宵闇が降りていく

33 :7/7:2014/10/10(金) 09:17:21.62 ID:???.net
 ..ミサト(……生きてる)

松代
真っ暗なクレーターと化した実験場跡
周囲で続く生存者捜索と救助活動の気配
目を開けるミサト
傍らに加持

 加持「…良かったな、葛城」
  .ミサト「私…、! リツコは…?」
 加持「心配ない。君より軽傷だ」
  .ミサト「そう…、…!」

力なく両目を見開くミサト

  .ミサト「アスカ…は、…エヴァ、3号機は」
 加持「…使徒、として処理された。エヴァ初号機に。
     制圧には、ダミーシステムが使われたそうだ」

言葉を失うミサト
加持から目を逸らす

  .ミサト「…私」

黙っている加持

  .ミサト「私、シンジ君に、何も…、何も、話してあげられ、なかった…」

34 :1/4:2014/10/13(月) 10:10:13.78 ID:???.net
ネルフ本部ケイジ
あわただしく人々が行きかう
修復棟に移されるまで仮に運び込まれている零号機
排出されたプラグから助け出されたレイ
医療チームの移動ベッドに横になって応急処置を受けている
顔を上げる
同じくケイジ内に仮固定されている初号機
ひとまず機体の洗浄にかかる整備スタッフたち
看護師に制されながらも、半身を起こして懸命に初号機を見つめるレイ
洗い流されてかえって鼻をつく3号機の血の臭い
ふいに別の臭いが立つ
厳重に封装された細長い物体が搬入されてくる
中身を察して声を抑えるレイ
沈黙していた初号機外部スピーカーからシンジの声

 シンジ『…待ってください!
     それ、…エントリープラグなんじゃないですか、3号機の』

35 :2/4:2014/10/13(月) 10:11:21.89 ID:???.net
不安げに見送る整備員たちをよそに、無言でどこかへ運搬されていく荷物
必死に言いつのるシンジ

 シンジ『待ってください、アスカは、アスカは無事なんですか?!
     …待ってよ、せめて、…生きてるかどうかくらい、…ッそうだ、父さん、父さんなら
     もうわかるんでしょう?! ねえ、教えてよ、アスカは?! …』

涙まじりのシンジの叫び
応答はない
隔離防護施設の方向へ速やかに運び去られる荷物

 シンジ『待ってよっ! 待って、…アスカ、アスカッ!! アスカ…』

見えなくなる荷物
シンジの嗚咽
無意識に乗り出していたレイの上体から力が抜ける

36 :3/4:2014/10/13(月) 10:12:50.45 ID:???.net
看護師の手でベッドに横たえられ、医療棟へ運ばれていくレイ
何もできずに目を閉じる

  レイ(…身体…違う、心が、痛い)
  レイ(痛くて、つらくて、…そう、私のだけじゃ、ない。これは)
  レイ(…お兄ちゃん)
  レイ(…?)
  レイ(お兄ちゃん…? …待って、…)
  レイ(…だめ)

両目を見開くレイ

  レイ「だめ…!」

驚いて立ち止まる看護師たち
ケイジの方向からにわかにざわめきが消える

37 :4/4:2014/10/13(月) 10:13:54.70 ID:???.net
投光機に照らされたネルフ本部施設の夜景
ピラミッド形の側壁に陥没した登攀痕を残し頂上に足をかけている初号機
付近に火災の煙

 シンジ『…父さん、答えてよ』
 シンジ『どうして、こんなひどいことできるんだよ…
     レイのこと、…少しは気にしてくれたと思ったのに、…なんでなんだよ!
     父さんは、僕らのことなんかどうでもいいの?!』
 シンジ『母さんの墓参りに来てくれたじゃないか。僕からの電話に、出てくれたじゃないか!
     なのに…なのに、どうして!!』
 シンジ『レイも、アスカも、カヲル君も僕も、父さんにはただの道具なの?!』
 シンジ『言う通りにエヴァに乗ってればそれでいい、怪我してもつらくても、嫌な思いばかりでも、
     …死んだって、どうでもいいの…?』

初号機に映る火災の照り返し

 シンジ『…それでも、…、いいさ。
     だけど、僕はエヴァに、この初号機に乗れる。
     父さんがそうしたんだ。捨てた僕をここに呼んでまで。
     だからこんな真似だってできる。してやるさ。僕にはできるんだ』

同じ炎の明滅に浮かび上がる本部施設

 シンジ『…父さんッ!』
 シンジ『黙ってないで何か言ってよ。…答えてよ!!』

ふいに初号機の全身から力が抜け、活動停止してピラミッドを滑落する
下方で水柱
機体回収と消火活動が引き続く

38 :1/8:2014/10/14(火) 09:46:04.65 ID:???.net
近づいて遠ざかる踏切の遮断音
夕陽にかすむ車窓
低い振動をたてて揺れる旧型の列車内
一人腰かけているシンジ
向かい側の座席にレイの姿

  .レイ「…お兄ちゃん」
 シンジ「ん?」
  .レイ「いつもそれ、聴いてるのね」
 シンジ「…うん」

イヤフォンを外してSDATを眺めるシンジ

 シンジ「…これ、父さんが昔使っていたものだったんだ。先生のところに残ってたのを
     僕がもらった。父さんにはもう要らなくなったものだっていうから。
     レイが持ってる、父さんの古い眼鏡と同じだよ」
  .レイ「…私と、同じ?」
 シンジ「ううん」

凍えたような笑みを浮かべるシンジ

39 :2/8:2014/10/14(火) 09:46:45.67 ID:???.net
 シンジ「僕と、同じだよ。
     僕はエヴァに乗るからここにいられたんだ。でも、ダミーがあればもう僕は要らない。
     命令を聞かない僕なんか父さんには要らない。捨てたって構わないものなんだ」
  .レイ「…私だって、何もできなかった。エヴァに乗っていたのに」
 シンジ「そんなことないさ」
  .レイ「お兄ちゃんの声が聞こえてたのに、何もしなかった」
 シンジ「違うよ。レイは父さんの命令に従っただけだ」

レイの前に立つシンジ
夕陽に照らされた表情
片手に、丁寧にイヤフォンのコードをまとめたSDAT

 シンジ「これで耳をふさいでると、父さんが僕を守ってくれる気がしてた。…使徒が襲ってきて、
     エヴァに乗らなきゃいけなくて、他人の目が気になってばかりで…そういう不安なこと
     全部から。これがあるから、僕はここでもやっていける気がしてた。
     …でも、最初からそんな訳なかったんだ。僕の勝手な思い込みだった」

影になったレイの顔

40 :3/8:2014/10/14(火) 09:47:42.33 ID:???.net
 シンジ「これ、良かったら、レイに持っててほしいんだ」

SDATを差し出すシンジの手

 シンジ「レイはこれからも父さんの傍にいて、父さんの言うことを聞いて生きてく。
     だったらこれは、レイが持ってる方が、いいからね」

かすかに顔を上げたらしいレイの動き

  .レイ「…お兄ちゃんは?」
 シンジ「僕…?」
  .レイ「これを捨てて、…それからお兄ちゃんは、どうするの」
 シンジ「…捨てるわけじゃない。僕は」

もう一度力なく笑うシンジ

 シンジ「僕はもう、何も欲しくないんだ。
     僕自身からも。外の世界からも。もう、何も、願いたくない」

膝に置かれたレイの手のひらの上のSDAT
激しく窓外を通過する橋梁の鉄骨群

41 :4/8:2014/10/14(火) 09:49:47.48 ID:???.net
  レイ(……お兄ちゃん…?)

目を開くレイ
本部医療棟の病室
身動きして痛みに顔をしかめるレイ
そのまま力を抜く
白い天井

   シンジ(レイ)
   シンジ(助けなきゃ、アスカを)
   シンジ(約束したろ、アスカは僕たちで助けるって)

    アスカ(…あーあ、ほんっとにウルワシイ兄妹仲でいらっしゃることでー。
       何よ、それじゃあ私のことは誰も守ってくれないわけ。わかってるわよ、
       せいぜい自力で生き残ればーってことでしょ。ばか)

42 :5/8:2014/10/14(火) 09:50:33.24 ID:???.net
   シンジ(…、違うよ)
    アスカ(ん?)
   シンジ(アスカは僕たちで守る。どこまでやれるかわからないけど、でも、絶対守るから)
     レイ(うん。私も)
    アスカ(何言ってんのよ、…やっぱり二人揃って、馬ぁー鹿なんだから)

天井を見つめているレイ
点滴の管の中を薬液が滴る音

  レイ(…約束)
  レイ(…私、守れなかった。…あの子のことも。…お兄ちゃんとした約束も)

   シンジ(レイ、こんなの駄目だ、助けなきゃ…アスカを、見殺しになんてできないよ)
     レイ(わかってる、だけど私も、お兄ちゃんを見殺しにはできない)

  レイ(……私、何を、守ってたつもりだったの)

力なくまぶたを閉じるレイ

43 :6/8:2014/10/14(火) 09:54:12.93 ID:???.net
病室の扉が開き、包帯姿のミサトが入室してくる
既に全て知っている表情
見つめるレイ
どこか無理をしている顔で、優しく微笑むミサト

 .ミサト「…怪我の具合、どう? レイ」
  レイ「…平気、です」
 .ミサト「そう。…良かった。でも、入院、初めてじゃないからって、無理しちゃ駄目よ」
  レイ「…はい」

視線を動かすレイ
包帯されて肩から吊られたミサトの右腕

  レイ「…ミサトさん、も。…怪我、無理、しないで」

息を洩らすように少しだけ笑うミサト

 .ミサト「ん。ありがと」

点滴の音

 .ミサト「…そうだ」

何かを取り出すミサト
小さく目をみはるレイ

44 :7/8:2014/10/14(火) 09:55:37.57 ID:???.net
ミサトの手のひらの上に載せられたシンジのSDAT

 .ミサト「これを預かってきたの。レイに渡してくれ、って」

見上げるレイ
既に痛みを負った目をしたミサト

 .ミサト「今日、シンジ君はこの街を離れるわ。
    …もうエヴァには乗らない。ここにも留まりたくない。碇司令に直接、そう言ったそうよ」

目を伏せるレイ
見守るミサトの息遣いがしずまり、再び揺らぐ

 .ミサト「引き止めるつもり、ないのね…レイ」

45 :8/8:2014/10/14(火) 09:57:25.58 ID:???.net
 .ミサト「どうして…?
    今…シンジ君に何か伝えられるとしたら、あなただけなのよ。
    そう思うの…あなただってつらい思いをしてることはわかってる、だけど」
  レイ「…いいえ」

傷ついたように身を引くミサト
目を伏せるレイ

  レイ「ごめん、なさい。…だけど、…もう、できません。私」
 .ミサト「レイ…」
  レイ「……
    エヴァに乗ることの、ほかには、…何も」
  レイ(…そう、…何も)
  レイ(…なくなって、しまったのね)
  レイ(……)

ただ宙を見つめているレイ
何もかも漂白されて透きとおってしまいそうな眼差
上掛けの上に置かれたSDAT
ほんのわずかだけ添えられているレイの手
何も言えないミサト
沈黙に覆われる病室

46 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2014/10/14(火) 22:42:13.50 ID:???.net
シンジにとってレイ>>>>>>>越えられない壁>>>>>>>赤猿
レイにとってシンジ>>>>>>越えられない壁>>>>>>>赤猿
結局のところ赤猿はギャーギャーうるさい当て馬ピエロ以外役割無い必要なしの邪魔者なんだし
めんどくさいからはやく二人で殺っちゃう展開の方が良かったのに

47 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2014/10/14(火) 23:48:01.88 ID:???.net
ここにも頭のおかしい人が来たか

>>46
前も注意したけどそんなこと言ってるとカヲルとくっつく展開にされても知らんぞ

48 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2014/10/14(火) 23:50:11.40 ID:???.net
基地外に構うなよ

49 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2014/10/15(水) 01:37:46.52 ID:???.net
>>45
乙です

50 :1/3:2014/10/15(水) 09:58:21.33 ID:???.net
壱中 昼休み
浮かない顔で携帯を切るケンスケ

 トウジ「駄目やったか」
.ケンスケ「ああ」

自席で脱力しているトウジとケンスケ
視線の先には空席のままのシンジの机

.ケンスケ「…野辺山の戦闘で、何が起きたのかもわからない。
     式波と碇妹はずっと休み。シンジは連絡もつかないうちに、いきなり今日付けで転校」

腕組みして天井を仰いでいるトウジ

.ケンスケ「…結局、俺たちにはなーんにも知らされないまま、か。これで全部、終わりなんだ」
 トウジ「終わってへんやろ」

目をやるケンスケ

51 :2/3:2014/10/15(水) 09:59:42.82 ID:???.net
教室の向こう側に級友と一緒にいるヒカリの姿
痛々しいほど表情に力がない

.ケンスケ「…俺たちには終わってなくてもさ。大人たちはもう、終わらせた気になってるんだろ
     ってことだよ。
     何も教えちゃくれない。聞いてもくれない。俺たちにも言いたいことがあるなんて、
     最初っから思っちゃいないんだ」
 トウジ「だからってワシらが素直に従わなあかんて話やないやろ」
.ケンスケ「わかってるよ。けどさ」

一瞬ひどく暗い表情をするケンスケ

.ケンスケ「肝心のシンジがいないんじゃ、もう俺たちにできることはないだろ」

席を蹴って立ち上がるトウジ
びくりとするケンスケ

52 :3/3:2014/10/15(水) 10:00:56.90 ID:???.net
思いがけないほど強いトウジの視線

.ケンスケ「あっ…」

顔じゅうに憤りをあらわにしているトウジ
が、睨んでも仕方ないことも初めから承知している
目を逸らすトウジ
再び椅子に腰を落とす

.ケンスケ「…悪い」
 トウジ「…お前が悪いんやない。けど…くそッ!」

机にこぶしを落とすトウジ
鈍い痛みの音
水を打ったようになる教室
注意しないヒカリ
他の皆も嫌な顔をしない
それぞれに喪失を抱えたまま、これまで通りの日常に戻ろうとする生徒たち

53 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2014/10/15(水) 18:14:12.99 ID:???.net
ああ・・・

54 :1/3:2014/10/15(水) 20:06:41.49 ID:???.net
本部発令所
いつもの席にいる青葉と日向
沈痛な面持ちで近づいてくる伊吹

 日向「あ、マヤちゃん」
 青葉「どうだった? …その」
 伊吹「うん…」

自席に座る伊吹
椅子ごと傍に寄る青葉と日向
顔を合わせて溜息をつく三人

 伊吹「細胞の侵食痕は、きれいに消えてるんだけど…やっぱり精神汚染の
     恐れは否定できないって、先輩が」
 青葉「そうか…」

55 :2/3:2014/10/15(水) 20:07:33.66 ID:???.net
 日向「じゃ、現状のまま、意識も回復させず、隔離施設内からも動かさず…
     ってことか?」
 伊吹「そうなるでしょうね…
     むしろ、今のままの方が、まだ救いがあるかもしれない…」
 青葉「ああ。…検体に回されたり、『処置』されないだけ、マシかもな」
 日向「おい…! …あ、いや」
 青葉「いいさ。すまん。…わかってるんだけどな」
 伊吹「…、ねえ、シンジ君のことは?
     本当に、行かせちゃうのかしら」
 青葉「本人の意思だからな。けど、レイも引き止めなかったっていうのは…」
 日向「ホントだよ。…葛城さん、参ってる。表には出さないけど」
 伊吹「そうよね…」
 日向「あの二人、結局顔も合わせてないんだ。作戦以来、一度もさ」
 青葉「そうなる…か」
 伊吹「え…じゃあ、そのまま…?」

56 :3/3:2014/10/15(水) 20:09:35.19 ID:???.net
 日向「ああ。
     葛城さん、別々には面会したんだが、レイもシンジ君も、お互いのことは
     自分からは一切口にしないそうだ。訊かれれば答えはするけど」
 伊吹「そんな…だって、あんなに仲がよかったのに」
 青葉「今まで通り、言わなくても通じ合ってるんならいいが…」
 伊吹「! そうよ、…双子、だもの」
 日向「そう信じたいよ。でもさ…あのシンジ君が、黙って出ていくんだ。
     もう、誰かと繋がってる余裕もないんだろう。レイがまた何もしない、言わなく
     なったっていうのは、恐らくそういうことだ。…残念だよ。すごく」
 伊吹「……」
 青葉「とにかく、これでまた、パイロットはレイ一人きりだ」
 日向「振り出しに戻る…かな」
 伊吹「…振り出しより、悪いわ、…ずっと」

黙り込む三人

57 :追加:2014/10/15(水) 20:10:32.97 ID:???.net
足し忘れ

>>53 すみません

58 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2014/10/15(水) 20:15:15.48 ID:???.net
幸福の科学の声優

子安武人 小清水亜美 吉野裕行 白石涼子 三石琴乃 置鮎龍太郎
掛川裕彦 伊藤美紀 安元洋貴 銀河万丈 千葉繁 三木眞一郎
真山亜子 西村知道 島本須美 柳井久代 青山桐子 大本眞基子
雪野五月

原作・原案:大川隆法『仏陀再誕』
企画・脚本:大川宏洋
監督:石山タカ明
音楽:水澤有一
キャラクターデザイン:佐藤陵、須田正己
美術監督:佐藤勝
編集:古川雅士
音響監督:宇井孝司
VFXクリエイティブ・ディレィター:粟屋友美子
VFXスーパーバイザー:オリバー・ホッツ
アニメーション・プロデューサー:藤田健
アニメーション制作:グループ・タック
配給:東映
制作:幸福の科学出版

59 :1/4:2014/10/15(水) 22:40:33.58 ID:???.net
葛城家
薄暗い無人の室内
玄関で荷物を手に靴をはくシンジ
背後に佇むミサト
差し出した手にシンジの携帯

  ミサト「これ…鈴原君と相田君から、何度も連絡が入ってたわ。心配してるのよ」
 シンジ「…もう置いていったものです。処分してください」
  ミサト「……」

立ち上がるシンジ

  ミサト「レイの容態も、…保護されたアスカがどうなってるのかも、訊かないのね」

答えないシンジ
廊下の奥から小さく呼びかけるペンペン
何度もためらってから再び口を開くミサト

60 :2/4:2014/10/15(水) 22:41:50.37 ID:???.net
  ミサト「シンジ君、私たちは…
     エヴァに乗るあなたに、自分たちの夢、希望、願いを重ねていたわ。それがあなたの
     重荷になってたことも知ってる。あなたが今、エヴァに乗る理由に失望してしまったことも。
     だけど、それでも私たちは、…私は、あなたに未来を見ていたの」
 シンジ「…勝手な言い分ですよね」

初めて振り返るシンジ
自己嫌悪と憤りの軋むような笑顔

 シンジ「でも、僕はもっと勝手だ。
     前はミサトさんたちのことずるいって思ってました。僕らパイロットだけ危ない目に
     遭わせて、自分たちは、地下の安全なところから命令してるだけだって。
     だけど、違ったんですよ。
     僕は、エヴァに乗ってる自分だけが、怖い思いをしてると思ってた。それが一番
     思い上がったことだって、少しも気づかずに」

見つめ返すミサト

61 :3/4:2014/10/15(水) 22:43:46.18 ID:???.net
 シンジ「エヴァの中は、どこよりも安全だったのに。
     自分一人は、武器や、装甲や、街の支援設備や、エヴァのATフィールドで
     何重にも守られてたくせに…戦ってる自分だけがつらいんだって、思い込んで。
     戦いに巻き込まれて怪我した人や、住むところを失った人たちのことも考えずに。
     考えたって深く知ろうとはしなかった。それだって自分が怖いからだ。…だからトウジに
     だって殴られた。あれで当たり前だったんだ。
     …何も見ない、何も知らないふりしたまま、取り返しのつかないことだってやってしまう。
     この前、僕が壊した本部施設の中にだって、人がいたんだ」

悲しい目をしているミサト

 シンジ「今だって…こんな時になってまで、自分のことしか考えてない。
     嫌なことから逃げ出すことしか頭にないんだ。それだって自分でわかってるのに…
     …もう、嫌なんですよ」

足元を睨んでいるシンジ

62 :4/4:2014/10/15(水) 22:50:09.50 ID:???.net
 シンジ「…僕はここにいられません。いたくありません。これ以上守られるなんてできません。
     僕にそんな価値なんてなかった。最初から、ここに来ない方がよかったんだ…!」

精一杯押し殺した声で吐き捨てるシンジ
目を伏せるミサト
沈黙
ふいに顔を上げる
毅然とした表情のミサト

  ミサト「シンジ君。…最後に少しだけ、付き合って」

黙っているシンジの手を、ミサトの手が強く掴む

63 :1/9:2014/10/18(土) 12:23:11.13 ID:???.net
ネルフ本部施設大深度地下
闇の中をどこまでも下降していくエレベータ
階数表示が『EEE』に変わる

  ミサト「私たちが、ターミナルドグマ最深部、レベルEEEへの使徒侵入を許すと…
     ここは自動的に自爆するようになっているわ。たとえ使徒と刺し違えてでも、
     サードインパクトだけは未然に防がねばならない。
     ここにいる人たちは皆、常にその覚悟をもって働いているわ」
 シンジ「…それは何度も聞いてます。もう、僕には関係ない話じゃないですか…
     それより、いいんですか。部外者の僕をこんなところに入れて」
  ミサト「この行動は私が自分の責任でしていることです。構わないわ。
     それに、あなたは部外者なんかじゃない。たとえこの先、ネルフを離れても」
 シンジ「…エヴァに乗った責任は、一生消えない、ってことですか」

悲しい眼差でシンジを見るミサト
エレベータの扉が開く

64 :2/9:2014/10/18(土) 12:24:23.85 ID:???.net
一変する景観
有機物か生体組織を思わせる異相の巨大構造物群が遥か頭上まで林立している
体内のような赤っぽい空間を貫く通路を歩いていく二人
通路の終端で扉の封印を解くミサト
幾重にも頑丈に閉ざされた扉がゆっくりと開いていく
息を呑むシンジ
赤い闇にそびえる磔刑の白い巨人の半身
真っ白な肉に突き立つ長い槍

 シンジ「あれは…、エヴァ…?!」
  ミサト「違うわ。この星の生命の源であり、その終息の要でもある、第二の使徒。
     …リリス」
 シンジ「生命の…源、…神様、なんですか。…使徒が」
  ミサト「そうね。そうとも言えるかもしれない」
 シンジ「そんな…」

無防備に見上げているシンジ
はっとする
素を見せた自分に眉をしかめ、頑なにうつむく

65 :3/9:2014/10/18(土) 12:25:49.64 ID:???.net
 シンジ「…そんな凄いものがあるなら、早く使えばいいじゃないですか。何もエヴァに
     人を乗せなくったって」
  ミサト「いいえ。リリスはね、サードインパクトのトリガーとも言われているの。
     使徒の接触を許す、いえ、それ以前に、下手に私たちが扱うならば世界を
     滅ぼしてしまうかもしれない。
     そういう恐ろしい存在でもあるのよ」
 シンジ「…そんなものがここに、…みんなの足元に、ずっと」
  ミサト「そうよ」

シンジの手を堅く握りしめているミサトの手

  ミサト「私もね、ネルフに入って、ここで、このリリスを見て…
     自ら足を踏み入れてしまったこの現実に、圧倒されたわ。絶望したと言っても
     いいかもしれない。…使徒、エヴァ、そしてリリス。私は、自分が巻き込まれた
     セカンドインパクトの真相と、失った父の面影を求めて、ここに来ただけだった。
     …こんな答えを得たかったわけじゃなかった。
     私たち人類も、しょせん、使徒から生まれた生命の一つに過ぎないなんてね」

未知の粒子が二人の周りを浮遊する
LCLの反映

66 :4/9:2014/10/18(土) 12:26:48.62 ID:???.net
  ミサト「…それから…
     やがてそのことにも慣れて、いつのまにか、自分の目的、使徒殲滅のための
     道具として見るようになっていたわ。…あなたのことも」

自分の痛みを覗かせているミサト

  ミサト「…私だって、自分のことだけなのかもしれない。自分の思い通りに世界を見たい
     だけなのかもしれない。無慈悲な世界で、自分のためにあがいてるだけかもしれない。
     だけどね」

まっすぐにリリスを見上げるミサトの横顔

  ミサト「それでもね…
     それでも、このリリスを守り、エヴァで戦う、…それが私たち、ネルフの使命なの。
     …奇跡が起きて、セカンドインパクトの惨事が全て元通りになる、そんな都合の
     いい夢は今さら見られないけど、…このリリスさえ守り抜くことができれば、いつか、
     人はその生命の謎を解き明かし、この星を癒せるかもしれない。かつてのような
     命溢れる世界に戻していけるかもしれない。
     そのゼロに近いわずかな可能性が、今もまだ、私をここに立たせているわ」

見つめるシンジ
振り払うように目を逸らす

67 :5/9:2014/10/18(土) 12:27:41.65 ID:???.net
 シンジ「…ミサトさんの話はわかりました。
     でも、僕は…今さらこんな大事なもの僕に見せて、結局、ここに残れって
     言いたいんですか」

優しく見下ろすミサト

  ミサト「いいえ。
     ただあなたには、真実を知る権利があると思っただけよ。ここで、本当は何が
     起こっていたのか。あなたがこれまで何を、守っていたのか」

唇を結んでいるシンジ

  ミサト「私たちだって、…他の人たちだって、何の痛みも感じてないわけじゃない。
     私たちネルフは、やっとのことでセカンドインパクトの被害を乗り越えたこの世界、
     そこで生きようと苦しんでる全ての人と生き物に、多大な犠牲を強いている。
     15年前以来ずっとね。みんなそれを知っているわ。知っていてなお、私たちに
     世界の命運を託してくれているの。賭けてくれているのよ。
     そしてあなたも、ずっと逃げずに戦ってくれた。忘れないで。あなたはここで、一生、
     心から誇りに思っていいだけのことを、していたのよ」

再び苦く微笑するシンジ
痛みそのものでしかない笑み
 シンジ「…そういうことは、アスカが目を覚ました時に、彼女に言ってあげてください。
     レイにだっていい。僕はもうそんなことには関係ないんです」

68 :6/9:2014/10/18(土) 12:28:51.01 ID:???.net
  ミサト「違うわ」
 シンジ「…違いませんよ!」

なおも握りしめるミサトの手を突き放すシンジ
うなだれた両肩
きつく結んだこぶしが大きく震えている

 シンジ「あのとき…
     レイが襲われたとき、僕は3号機を、敵だって思ってたんです。
     今までの使徒と同じに見てた。本気で攻撃してた。…アスカが乗ってることなんか、
     全然考えてなかった。…あのままでいたら、ダミーが使われなくたって、僕がアスカを
     殺してたかもしれない。自分の手で。…自分の意志で」

吐き捨てるシンジ
両目に揺れて光るLCLの照り返し
涙になって伝い落ちる

 シンジ「あのとき僕はアスカのこと、忘れてた。忘れてたんですよ…!
     だったら僕も父さんと同じだ。父さんのこと悪いってなじる資格なんかなかったんだ。
     ひどい目に遭わせたアスカに、何て言えばいい。…カヲル君にだって、もう会えない」

幼いような泣き声になるシンジ

69 :7/9:2014/10/18(土) 12:30:08.75 ID:???.net
 シンジ「彼がしてくれたことを、父さんは、僕は、あんなふうに…駄目にした。もう何も言えない、
     言い訳もできない…待ってるからなんて、もう、言う権利、ない。
     …どんな顔して、二人の前に出ればいいって言うんですか。
     僕は…自分の手で、二人を傷つけたのに」

目を閉じるミサト
振り払い、強い表情をする

  ミサト「…そうじゃないわ。
     あなたはエヴァに乗った。それがここであなたを迎えた運命だったから。
     だけど、たとえ望まずにいたことでも、どんな痛みが待っていたとしても、…それでも、
     この街に、いえ、世界中に住む多くの人たちが、今日ある命を、自分たちの
     それぞれの暮らしを、続いていけるかもしれない明日を…かけがえのない生きる
     ことの多くを、あなたに負っている。
     何もできなかったなんてことはないわ。もう関係ないなんてこともない。
     みんなずっと、あなたに守られてきた。あなたを頼りにしてきた。それは、本当なのよ」

見つめるミサト
顔を上げないシンジ
影になった面差

 シンジ「…僕はもう、誰も、頼れません」

70 :8/9:2014/10/18(土) 12:33:07.49 ID:???.net
駅のホームで政府専用列車を待つシンジ
別れ際のミサトの面影が甦る

  ミサト(シンジ君)
  ミサト(さっき、運命って言葉を使ったけど…)
  ミサト(私はね、運命ってものは、他の誰でもない自分自身の意志で選び取ってはじめて、
     真にその人の生きる道になるんだと思うの。だから誰も、運命を強要はできないわ)
  ミサト(今のあなたには酷な言い方になるかもしれないけれど、あなたが自分で選ばない限り、
     他の人には何もできないのよ)
  ミサト(…今さら、こんな保護者ぶったこと言う資格、私にはないわね)
  ミサト(ごめんなさい。
     あなたをずっと、都合よく子供扱いしてきたこと。それでいて人一人が耐えうる以上の
     痛みを、あなたに押しつけてきたこと。何一つ助けてあげられなかったこと)
  ミサト(だけど…それでも、私は、…)

一瞬天を振り仰ぐようにして昂ぶる感情を殺していたミサト

  ミサト(…シンジ君)

71 :9/9:2014/10/18(土) 12:36:15.33 ID:???.net
  ミサト(……
     ありがとう。今まで、本当に。
     ここからは私たちの仕事です。レイのことも、心配いらないわ。…元気でね)

きつく唇を噛んでうなだれるシンジ
誰にもぶつけることができない自己嫌悪の鋭い渦
バッグを掴む両手に力がこもる
黙って送還の電車を待つ以外、何もできない
警報
はっと振り返るシンジ
ホーム中に鳴り響くサイレン
列車の運行表示が一斉にシェルターへの避難指示に変わる
立ちつくすシンジ

 シンジ「…使徒だ」



前スレ読み返してたら流れ的にリリスを見る機会がなさそうだったので追加
以上で書き溜めてた分終了…さあどうするこの先、いや、どうにかします

72 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2014/10/21(火) 11:44:02.83 ID:???.net
保守しとこうか

73 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2014/10/21(火) 12:28:53.47 ID:???.net
がんば

74 :1/2:2014/10/22(水) 11:46:17.82 ID:???.net
>>73 ありがとうございます


喧騒のネルフ本部
繰り返される『総員、第一種戦闘配置』のアナウンス
殺気立ったケイジ
右腕切断痕を処置し、左腕の神経を緊急調整中の零号機
挿入準備済みのエントリープラグ内で待機するレイ
プラグの天井方向を仰ぐ
暗闇
小さく呼気の泡を吐き出すレイ
LCLの圧迫感

  レイ(…お兄ちゃんの匂い)
  レイ(まだ、残ってた。少ししか乗ってないのに)
  レイ(…あの人の匂いは、…しない。一緒に乗ったお兄ちゃんの匂いだけが、残ってる)
  レイ(私、もう何もないと思っていたのに)
  レイ(だけど…LCLが浄化されていくうちに、これも、きっと消えてしまうけど)
  レイ(…今は、まだ)

ほんの少し目を閉じるレイ

   シンジ(違うよ、謝らなくたっていいんだ。僕は…レイが、帰ってきてくれただけで、
       それだけでいい。…もう、こんなに身体、冷えちゃって。つらかったろ…)
     レイ(私、それまで自分がどんなに寒かったのか知らなかった。使徒の中で、寒くて、
       一人で、空っぽで、…何も、できなくて)

75 :2/2:2014/10/22(水) 11:47:12.24 ID:???.net
     レイ(寒いことがつらいって、初めて知った。この身体が生きたがってること、初めてわかった。
       ただ、それはみんな、お兄ちゃんがぎゅってしてくれたときに、一度に来たの。…だから、
       一緒にいて、あたたかかったけど、とても怖かった)
    アスカ(追伸。がんばりなさいよ)

揺らぎのない目を開くレイ
プラグ機器が発するかすかな電子背景音

  レイ(私は、こことつながっていたい)
  レイ(大切な何もかもを、この手に持ち続けていくことは、できない。…失うものの方が、きっと多い。
     何をしても。どれだけ願っても。…どんなに、慕わしくても)
  レイ(それでも、ここにいられる限り、まだ、つながっていたい)
  レイ(…だから、私は)
  レイ(自分で望んで、エヴァに乗っている)
  レイ(…お兄ちゃん。心配、しないで。しなくて、いい)

  レイ「…私が、守るもの」

まっすぐ前を見据えるレイ

76 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2014/10/27(月) 10:47:20.10 ID:???.net
念のため保守ね

77 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2014/10/27(月) 21:23:49.91 ID:???.net


78 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2014/10/29(水) 10:04:41.13 ID:???.net
とうとう前スレがdat落ち
お疲れさん

79 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2014/11/02(日) 08:00:48.95 ID:???.net
ho

80 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2014/11/06(木) 09:18:40.58 ID:???.net
ho <ニャー

81 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2014/11/06(木) 22:25:42.34 ID:???.net
リリムについて

82 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2014/11/07(金) 08:58:30.63 ID:???.net
リリム?
真3のロングヘアでか羽バージョンが好きかな

83 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2014/11/11(火) 08:59:55.84 ID:???.net
no <ミャー

84 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2014/11/17(月) 09:00:40.03 ID:???.net
ねこスレになったの?

85 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2014/11/18(火) 09:40:52.93 ID:???.net
EOE実写シーンに猫が映ってたな

86 :1/4:2014/11/20(木) 12:45:58.76 ID:???.net
>>76-85 ありがとうございます


鳴り渡るサイレン
シェルターへ急ぐ第三新東京市民たち
列を乱し固まって走る壱中生徒たち
砲弾の音がじかに身体に響く
地響きのたびに悲鳴があがり、教師の叱責も近づく爆発音にかき消される
座り込んで泣きじゃくる女子を励ますヒカリ
遅れた生徒を見つけては先へ行かせるトウジ
さすがにカメラを構える余裕もないケンスケ
せめて何ひとつ見逃すまいと視線だけは周囲に走らせている
山稜のすぐ向こうで続いているらしい戦闘
爆発と何かが次々にひしゃげる音
砲撃音の層が段階的に薄くなっていくのがわかる

 ケンスケ(…警報の発令から、強羅絶対防衛線が突破されるのが早すぎる。
      マジに手に負えない敵なんだ。今回は)

ついに市内の迎撃設備の一角が異様な閃光に打たれ、崩落する
一斉にあがる悲鳴
足元が大きく揺れる
固く目をつぶるケンスケ

 ケンスケ(…死ぬかもしれない、これで)

目を開く

87 :2/4:2014/11/20(木) 12:47:47.24 ID:???.net
ヒカリをかばうトウジが視界に入る
怒鳴っているトウジの顔
手が伸びてきてケンスケを引っぱり、指定も区分も関係なく近くの避難経路へ走る
それでも振り返るケンスケ
端から崩れて燃えあがっていく要塞都市
人が扱うものではない異質で美しい光が建造物を撃ち、脆く輝く熱の十字架に変えていく
空の裾を異様な輝きが染めている

 ケンスケ(…ネルフは)
 ケンスケ(ネルフは何やってるんだよ。何で、何でエヴァが出ないんだよ)
 ケンスケ(…違うんだ)
 ケンスケ(出ないんじゃない。出られないんだ、この間の戦闘のせいで)

防護扉が閉まる瞬間、焼けた空が覗く
天の一角、湖上遥かな辺りに黒々と巨大な影
周辺に群がるちっぽけなVTOL隊を光が消し飛ばす
使徒
直後、光景が遮断される

88 :3/4:2014/11/20(木) 12:48:58.80 ID:???.net
めちゃくちゃに混雑した地下への直通列車
窓の外を真っ暗なトンネルの壁が疾過していく
人ごみの中で必死に息を整えるケンスケ
近くにトウジの後頭部
急に振り返る

  トウジ「アホ! 敵に見とれてどないするんや!」
 .ケンスケ「…悪い。あれで、終わりかなって…思ってさ」
  トウジ「どアホ」

押し合いへし合いする人々の間から飛んでくるトウジのゲンコツ
頭を押さえるケンスケ
安堵で少し笑う
普段の倍近い速度で闇へ滑降していく列車
突然、衝撃
ゆるみかけていた車内の空気が再び緊張する
子供の泣き声
なだめる大人たちも浮き足立つ

  大人「…こんな深くまで衝撃が届くなんて、ただごとじゃないぞ」

89 :4/4:2014/11/20(木) 12:50:26.53 ID:???.net
  大人「ここだって危ないんじゃないのか。もっと急げないのか」
  大人「ああ、やっぱり、主人の言う通り疎開してれば良かった。こんな街」

人の隙間で泣きそうになっているヒカリの姿
一瞬迷い、声を張り上げるケンスケ

 ケンスケ「心配ないって、委員長」

周囲の人々が振り返る気配
ちょっと臆するケンスケ
ままよと大声で続ける

 ケンスケ「みんな、このままジオフロントのシェルターなんだからさ。
     パパのデータこっそり見たんだ。街の下に敷設された特殊装甲24層に守られたジオフロント、
     そのさらに地下深くにある特殊シェルター。セカンドインパクトの時の南極のデータを元に、
     それに耐えるように建造されてるんだ。この世で一番、安全だってさ」

広がっていく不信と疑いのひそひそ声
引っ込みもならず胸を張るケンスケの耳がどんどん熱くなる
が、ヒカリはがんばって微笑み、頷く
今度は軽く落ちてくるゲンコツ
振り返ると歯を見せて笑っているトウジ
初めてちゃんと笑うケンスケ
後方、遠い上層部でまた地殻が震動する

90 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2014/11/24(月) 10:27:15.36 ID:???.net
ho <ニャーン!

91 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2014/11/28(金) 20:23:01.10 ID:???.net
いちおう保守ね

92 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2014/12/03(水) 13:39:47.83 ID:???.net
@ <zzz...

93 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2014/12/03(水) 14:15:46.31 ID:???.net
次がたのしみ

94 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2014/12/08(月) 22:49:03.42 ID:???.net
保守

95 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2014/12/11(木) 21:20:53.27 ID:???.net
>>90-94 ありがとうございます、ちょっとですみません


エントリープラグの闇
各補助システムが起動する
徐々に浮かび上がってくるマリの姿
新型プラグスーツに包まれた腕を伸ばしたり引いたりしてみる

 マリ「ふふん、いい感じ。軽いし引っぱられないし、キモチイイ!
   …出撃位置は、っとと、これか」

ジオフロントのマップを電光表示させ、スクローリングするマリ
出撃準備と併行して、各種携行武器が迎撃座標直近に移送されていく様子が次々に追加されていく
輝線で伸びるエヴァ輸送軌条の表示
そのライン上を動く2号機の表示
指を動かすとさらに地表迎撃の状況表示がオーバーレイしてくる

 マリ「いいなぁ…すっごくイイ。この物量規模、この態勢。さっすが本部ぅ、まさに総力戦だね。
   あああ、もう、ゾクゾクするなぁ」

まだ完全に起動していないため暗いままの2号機プラグ内
胸を反らして大きく呼吸するマリ
高速移送される2号機の振動が続いている



月面
長い槍を手に、光輪を頭上に、微光に包まれて音もなく離昇するEVANGELION merk.6
仰ぎ見る先には青い気圏と赤い水圏に潤む地球
エントリープラグ内、顔を上げるカヲル
無音のまま増速してタブハベースの視界から消えるMk.6
一面の星空

96 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2014/12/14(日) 11:09:32.10 ID:???.net
ho !

97 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2014/12/16(火) 23:24:11.39 ID:???.net


98 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2014/12/21(日) 09:49:28.13 ID:???.net
@ <…zzz

99 :1/5:2014/12/23(火) 15:52:06.24 ID:???.net
>>98 ねこさんまた寝ちゃった、ごめんなさい
ちょっとだけ行きます


強弱の微震を繰り返すジオフロント地下シェルター
暗めの照明の下で身を寄せ合う第三新東京市民たち
避難当初の混乱は静まり、一応の落ち着きが降りている
一人、シェルターの隅の薄闇に紛れてうずくまったシンジ
固く両膝を抱えている
きつい眼差
またも遠い衝撃が天井を渡り、厚い防護壁を震動させる
人々の抑えた不安げなざわめき
耳をふさいで膝に突っ伏すシンジ


激震に打たれるジオフロント
発令所に交錯する警報

 日向「24層もの特殊装甲を…一撃で…」
 冬月「最強の拒絶タイプか。予想以上の破壊力だな」
 青葉「…いいから、市民の避難を最優先だ。足りなければ特別シェルターの一部を開放しろ!」
 日向「くっ…阻止部隊、N2誘導弾の第三波攻撃も許可する! 直援に回せ!」

駆け込んでくるサト
吊った片腕の包帯が痛々しい

100 :2/5:2014/12/23(火) 16:08:09.94 ID:???.net
  ミサト「エヴァの地上迎撃は間に合わないわ。
    ただちにユーロに協力を要請、2号機を直接ジオフロントに配備して! 零号機は?」
 伊吹「右腕を緊急接合中。かろうじて出せます!」
  ミサト「…こりゃ、厳しいわね。
    処置が完了し次第、2号機の援護に回して。単独先行は危険すぎるわ」
 日向「了解!」
 青葉「ユーロからの、応答を受信。ネルフへの協力を受諾。ですが…2号機の指揮権委譲に
    ついては拒否してきています」
  ミサト「…こんな時なのに! では、2号機パイロットとの通信は」
 伊吹「相互リンクがカットされています。こちらからは…」
  ミサト「そう…、一人で、やりたいわけね」
  ミサト(…アスカと同じか)
  ミサト「もうエゴも体面も構っていられないのに。引き続き、ユーロと平行して呼びかけを続けて」
 伊吹「はい!」
  ミサト「初号機は?」

伊吹を遮るようにして前に出るリツコ
ミサトと同じく、額の包帯がまだ取れない姿

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