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【シェアード】学園を創りませんか? 5時限目

1 :創る名無しに見る名無し:2012/12/29(土) 02:18:33.42 ID:8gP7kGRq.net
創作発表板に生まれた少し変わった学校、私立仁科学園。
このスレは、そんな仁科学園の世界観をSSや設定だけに留まらず、様々な表現で盛り上げ、また創っていくスレです。
貴方が創った生徒が学校の一員として誰かのSSに登場したり、気に入った生徒を自分のSSに参加させる事が出来ます。
部活動や委員会を設置するのもいいでしょう。細かい設定として校則を考えてみたり、制服を描いてみたりなどはいかがでしょうか。

また、体育祭や文化祭などの年間行事及び、生徒達の絆を深めるイベントや
仁科学園以外の学校や、生徒たちのバイト生活等世界観は仁科学園の外にまで広がります!
皆さんの想像力で、仁科学園の世界観を幅ひろーく構築していきましょう!

このスレはシェアードスレ(世界観を共有する)です。
ちょっとでも興味をもったらまとめWlikiをみて下さい。きっと幸せになれるはずです!

まとめWiki
http://www15.atwiki.jp/nisina/

避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/12930/




過去スレ

【シェアード】学園を創りませんか? 4時限目
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1281230460/

学園を創りませんか? 3時限目
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1267344255/

学校を創りませんか?part2
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1248533055/

学校を創りませんか 
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1248087645/

2 :>>1:2012/12/29(土) 02:22:19.93 ID:ENFVF53D.net
※避難所スレ
【シェアード】仁科学園校舎裏【スクールライフ】
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/3274/1297603322/


申し訳ない、避難所変わったの気づかずそのままコピペしてしまいました……

3 :創る名無しに見る名無し:2012/12/29(土) 13:14:18.29 ID:tdIng8kh.net
>>1
乙です
いつの間にか落ちてたんだ、そんなに容量いってたんだねえ

4 :創る名無しに見る名無し:2012/12/29(土) 14:38:41.38 ID:SDp35eJl.net
>>1マジ乙
わんこ氏頑張ってたからなwそら容量いっぱいにもなるわなw

5 :s・t:2012/12/29(土) 21:53:35.17 ID:ilepKdhj.net
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=32454637

6 :創る名無しに見る名無し:2012/12/30(日) 00:06:00.03 ID:/PFYsyBi.net
>>1
新スレオメ

7 :創る名無しに見る名無し:2012/12/31(月) 04:59:20.21 ID:tCoUGWK4.net
さぁーてネタがないぞーw

8 :創る名無しに見る名無し:2012/12/31(月) 16:51:57.25 ID:jYZ35rOn.net
ネタもないが、人も片手で足りるくらいしかいないんだよな……
限界集落かよっ

9 : ◆wHsYL8cZCc :2013/01/01(火) 00:27:40.08 ID:jNJItY1n.net
 耳当てが落ちて、拾ったら雪が付いていた。
 黒鉄亜子はまたそれを耳に当てたら、すぐに溶けて冷たさは気にならなくなったけど、溶けて垂れた滴が頬を伝った。
 それのほうが冷たかった。
 缶コーヒーを開けようとしたら、手袋が邪魔でなかなか開けられない。意固地になって開けようとしてたら、横から手が伸びて缶コーヒーを奪われた。

「あっ!」

 パキッと音が鳴る。
 帰ってきた缶コーヒーは開けられていた。

「……ありがと」
「なんでもっと厚着しないの?」
「そっちこそ」

 そっぽを向いて一人先に歩いたけど、連れ合いはのんびり歩いて寒そうに手をポケットに突っ込んで、時折思い切りくしゃみをした。
 襟のファーが鼻をくすぐるらしい。
 まだのんびり歩いていて、急ぐ様子はなく、亜子は急かした。

「お兄ちゃん!」
「急がなくても蕎麦は逃げないってばー」

 また、黒鉄懐はだらだら歩いた。
 仕方ないと、亜子は数歩戻って、兄の手を掴んで急げ急げと引っ張った。脚をもつらせて転びそうになりながら懐は付いていく。やがて二人とも走り出して、寒い夜の街を二人で急いだ。
 亜子の首に巻いて肩にかけただけのマフラーがはためいた。

「走らないのー!」
「急がないと!」
「だーかーらー蕎麦は逃げないってばー!」
「逃げちゃうんだから! 鈴江先輩のとこの年越し蕎麦!」
「喰いそびれてもいいじゃないのー!」
「食べたいっていいだしたのそっちでしょ!」
「テンション上がってついて来るって言ったのそっちでしょー!」
「だってせっかく大晦日だし!」
「毎年くるでしょー」
「あっ!」

10 : ◆wHsYL8cZCc :2013/01/01(火) 00:27:56.85 ID:jNJItY1n.net
 亜子が立ちどまって、つられて走っていた懐は止まれずに、雪に脚を滑らせて派手に転んだ。
 小さくジャンプして足元を滑って行く懐をスルーして、亜子は天を見上げた。

「お兄ちゃん雪!」

 電信柱に激突して停止した懐が涙目で天を見上げた。
 雪だ。

「あーほんとだー」
「お兄ちゃんなんでそんなテンション低いのよ!」
「えー寒いしー」

 立ち上がって体に付いた雪を払う。
 亜子が寄ってきて、また手を掴んだ。

「急ごう?」
「あー。うん」

 歩き出す。

「あっ」
「今度は何?」
「あけましておめでとう」
「え?」
「日付かわったよ」
「ほんと?」
「うん」
「あけましておめでとう。お年玉はあげないぞ」
「いらないもん」
「ほら急ぐよ。神社のタダ蕎麦が売り切れる」
「うん」

 兄の手に抱き着いた。
 急ごう。

「離しなさいよー」
「やだ」

 また兄の手を強くつかんだ。
 初詣だ。


 

11 : ◆wHsYL8cZCc :2013/01/01(火) 00:28:21.97 ID:jNJItY1n.net
こんな感じしか用意できんくてごめんち!

12 :創る名無しに見る名無し:2013/01/01(火) 23:25:50.48 ID:n7ib5gm1.net
仲良しだなあ。おつおつー

13 :創る名無しに見る名無し:2013/01/02(水) 10:21:53.82 ID:OdD4kRaB.net
この兄妹ラブラブのラブじゃないですか!(下衆の勘繰り)
最初の耳当ての下りが良いなと思ったけど、実体験からかな? なんかそんな感じがした。
これ見ると懐もなかなか複雑なやつだなと思う。

14 :創る名無しに見る名無し:2013/01/22(火) 17:37:21.59 ID:qcizBndH.net
シェア系が息してない

15 :創る名無しに見る名無し:2013/01/24(木) 01:51:22.95 ID:dqWGvBg/.net
創発板全体が虫の息

16 :創る名無しに見る名無し:2013/01/24(木) 16:45:24.21 ID:npgZMgwM.net
ここ動いてるほうよw

17 :創る名無しに見る名無し:2013/02/07(木) 00:47:19.44 ID:KAj0HsK+.net
もうすぐバレンタインだね……

18 :仁科ライオン ◆wHsYL8cZCc :2013/02/14(木) 15:53:54.22 ID:q3rkdKM9.net
投下すっぺ

19 :仁科ライオン ◆wHsYL8cZCc :2013/02/14(木) 15:54:29.42 ID:q3rkdKM9.net
 その日の事を思い出していた。
 霧崎は読んでいた本を閉じて、誰も座っていない机の席を見た。













「なんだ貴様は騒がしい。今すぐ口を紡ぐか部屋から出るか、さもなくば死ね」
「うわひっで。このお姉ちゃんひっで。年端も行かぬ少年になんて事言うの」
「貴様は人の神経を逆なでする事にかけては天才なのは理解した」

 霧崎は自分より頭一つ小さな中等部の少年が目障りで仕方なかった。幼さを残した顏で、図書室は静かにすべし、そんな常識クソ喰らえとばかりに机に乗ってぎゃんぎゃんうるさい子供相手にイラついていた。
 その金髪の髪にも無性に腹が立った。
 まだ子供だろうが。

「お姉ちゃん何読んでんの?」
「貴様には関係ないだろう」
「えーいいじゃん」
「だいたい先輩相手にタメ口とはいかんともしがたい。武力による解決も辞さない」
「なんだとー。やるならやってや……ああごめんなさいアイアンクローはやめて痛いです」

 思いっきり爪を立ててこめかみに指を食い込ませた。
 暴力に頼るなんて事は好まなかったし、腕力は至って普通程度の霧崎だ。本気で喧嘩になれば相手が中等部であろうとも相手は男で勝ち目はないが、この少年相手ならなんとなく多少は許されそうな気がした。
 初めて見る顏だったが、なんとなくそう思った。
 今の所、第一印象から評価は最低ランクを某白衣男と競っている状態だ。

「痛いよ! 痛いよ!」
「騒ぐな童っぱよ。ここをどこと心得るか」
「……!」
「畏れ多くも静謐たるべき図書館で喚く愚行を見逃す私ではないのだぞ」
「……! ……!」
「なんで血管ぴくつかせて耐えている」
「だって騒ぐなって言うから……」
「はー……」

 ぱっと手を離すと、額に爪の跡が合って、薄く皮がめくれていた。もう少しで出血したかもしれない。やり過ぎた、とその場で反省はしたが、肝心の相手を見てすぐにまぁいいか、と思ってしまった。
 けれど、一応は。

「大丈夫か?」
「痛い」
「すまないやり過ぎた」
「いいのです妹のほうが怖いから」
「ん?」
「なんでもないです」

 よほど我慢していたのか、顔面を紅潮させて息を荒くしていた。
 霧崎は手に取っていた本を机に置いて、少年にもちゃんと椅子に座るように指示した。意外にもおとなしく従ったので、拍子抜けした。

20 :仁科ライオン ◆wHsYL8cZCc :2013/02/14(木) 15:55:30.79 ID:q3rkdKM9.net
「なんなのだお前は。本を読むような顔にもみえない。名を名乗れ」
「はい。中等部三年の黒鉄懐です。騒いだのは誤りますだから先生には言わないでこれ以上ヘイトを重ねたらヤバいの」
「普段の素行が悪そうなのは見て取れる」
「お姉ちゃん怖い」
「いきなり中々の暴言を吐くものだ」
「だって隅っこで近寄りがたいオーラ出してるし。魔女みたい。近寄ったら喰われそう」
「ふむ。多少なりとも今の発言は腹が立つ」
「綺麗な顔して損でっせ。もっとこうフランクな感じで」
「それは性に合わんな。まぁいくらか機嫌は良くなったが」
「なんで?」
「褒められて気分が悪い訳がない」
「あら綺麗と言われて機嫌が良くなるとはちょろい……すみません冗談ですハードカバーでぐりぐりしないで」
「お前は扱い辛いな」
「よく言われます」
「自覚していたか」
「改善する気もないけど」
「これは素晴らしく性質が悪い」
「てへへ」
「褒めていないぞ」


 霧崎はまた本を開いた。
 目を落とし、文字を追った。

「あ、そうだ」

 少年が両手を差し出した。

「なんだ?」
「今日は何の日?」
「ああ言いたい事は分かった」
「よし来た話が早い。チョコおくれ」
「うぬぼれるな。お前にはまだ早いしくれてやる義理もない」
「義理じゃなくてもいいよー。余り物でも」
「うん。余ってもあげたくない」
「えっ、ひでぇ」
「欲しいのなら私が義理でもいいからあげてもよい、と思える人物になる事だな」
「うん頑張る」
「お前、今なにも考えずに頑張るとか言っただろう」
「口に思考が追いつかないの」
「それはバカと呼ばれる人種だな」
「お姉ちゃんお名前は?」
「なぜ聞く?」
「だめ?」
「構わんがなんとなく言いたくない気がする」
「なにそれ」

21 :仁科ライオン ◆wHsYL8cZCc :2013/02/14(木) 15:55:56.90 ID:q3rkdKM9.net
 先ほどまで読んでいた文章の続きを見つけ、行の頭からもう一度読み直した。
 そのまま、頭一つ小さな少年に名乗った。

「霧崎だ。お前は黒鉄だったか」
「はいそうです」
「静かに本が読みたい。用がないならもう帰れ」
「そうします」
「じゃ、さようなら少年よ」
「さようなら霧崎様」
「様はどこから出てきたんだ、おい」

 またハードカバーで頭頂部をぐりぐりしてやった。










 本を机に置いた。
 誰も座っていない席の前に立って、思い出していた。
 二年も前だ。

「あの時から様を付けていたな」

 ふふ、と小さく笑って、あの時の自分より頭一つ小さな、幼い顔の少年を思い出した。
 
「世の中不思議だな。あの時の残念な子供がそのまま大きくなってもっと残念になった」
「えっ酷い」
「当たり前だバレンタインの義理チョコの余りを回収して回るバカなんて残念以外の何者でもない。せめて義理でもいいから普通に貰えばいい物を」
「普通に貰いますぅ〜。でも余り物でもありがたく貰うもったいない精神を持っているだけですぅ〜」
「やっぱり残念だ」

 そういって、机に腰かけた。
 椅子を引くのが面倒だった。
 普通に座るより座高が高くなる。あの時は自分より頭一つ小さかった少年は、今は自分より頭一つ大きい。机に座って目線の位置を高くしても、まだ少し届かなかった。
 目立つ金髪はそのままに、本当に中身は同じでそのまま大きくなったような印象だ。
 手にしたゴミ袋には市販のチョコが入っていて、義理以下の余り物が溢れていた。

「霧崎様ったら余り物すらないんだもの。俺の胃袋にはまだ若干の余裕がありますよ?」
「知った事か。余りが出るような計画性の無い人間に見えるか?」
「んー。全く」
「だろう?」
「そもそも面倒でだいたい用意しないしな」
「えっなにそれ」
「私がチョコ配って回るような人間に見えるか?」
「全く見えません」
「だろう」

 脚を組んで、少し前かがみになって、ゴミ袋を持って立つ黒鉄懐のがっかりした表情を見た。

22 :仁科ライオン ◆wHsYL8cZCc :2013/02/14(木) 15:56:56.18 ID:q3rkdKM9.net
「本当に不思議なモノだな。どうすればそんなにデカくなる? 昔はあんなに小さかったのに」
「ご飯いっぱい食べた」
「まぁそうだろうな。落ちてる物も食べそうだ」
「さすがにそれは……」
「冗談だよ。それよりもう下校の時間だ。さっさと帰れ」
「えー」
「いいから帰れ。もう図書館の鍵を閉めないと」
「ちぇっ」

 懐がゴミ袋の口を閉じて、丁寧に縛っている。それを肩に担いだが、これでは見た目はチョコ泥棒だ。
 はー、とため息をついて、ポケットからチ○ルチョコのきな粉を一個取り出して頬張った。
 部屋を出ていく懐に続いて、霧崎も部屋を出て、明かりを消すと鍵を閉めた。

「じゃーお先しますー」
「うむ」
「まだ寒いなー」
「私は鍵を返しに暖かい暖房のある職員室に行かねばならん。お前は寄り道せずに帰るように。先輩からの忠告だ」
「わかりりました霧崎様」
「様はやめろとあれほど」

 少し睨むと、懐は明らかに怯えて、逃げるように距離を取った。

「もー冗談だし―! だいたいずっと前から言ってるんだから慣れてよー!」
「ずっと前からやめろと言ってるだろ」

 歩を進めて、懐の前に立った。
 両腕を組んで、睨みつけた。

「なんですか……」
「お前はほんとに変わらないな。いや、第一印象が最悪だったのがよくここまで持ち直したというべきか……」
「てへへ」
「褒めていない」
「はい」
「あ、そうだ」
「なんです」
「これ」

23 :仁科ライオン ◆wHsYL8cZCc :2013/02/14(木) 15:57:20.82 ID:q3rkdKM9.net
 霧崎は鞄から小さな包みを取り出した。
 赤いチェック柄の包みに、リボンが付いた小さな箱。チョコの包みに見えた。

「え? くれんの?」
「そうだ」
「あ、ありがとうございます……」
「なにかしこまっているんだ」
「だってなんかくれるとは予想だにしていなかったというかなんというか」
「私は義理は果たすんだ」
「やっぱ義理なのね」
「当たり前だ。さぁそれ持ってさっさと帰れ」
「はい。じゃ、さようなら霧崎様」
「さようなら。……って様はやめろ」

 その場で別れて、廊下を反対の方向へと歩いて行った。
 少し振り返って見てみると、懐は先ほどの包みを持っていたゴミ袋ではなく鞄に入れていた。
 ふふ、と笑って、霧崎は職員室へと向かっていった。
 ちなみに渡した包みの中は、バレンタインチョコの形をしたレンガ、である。

「お前にはまだ早い、かな?」







【Witch & Littlelion】







おわり。

24 :創る名無しに見る名無し:2013/02/14(木) 18:53:33.10 ID:/RbOlzVa.net
「仁科学園マルクス主義革命同盟による犯行声明が発表されました……」
ニュースはそのまま爆破現場の様子を映し出す。
駅前のロータリーと広場には、大量のがれきが積みあがっていた。
被害に遭った駅と駅ビルはその原型をとどめておらず、今もなお黙々と黒煙を巻き上げている。
道路は吹き飛ばされた車がそこらかしこに横転しており、消防車の侵入を阻んでいる。
おそらくそこには多数の死傷者がいるのは間違いない。

アナウンサーは淡々とした様子で、犯行グループの犯行声明を読み上げた。
憲法9条の堅持、北朝鮮主導の社会革命の実施、過去に逮捕された仲間の釈放……。
極左グループによるいつもの犯行声明となんら変わることのない、いつもの共産主義礼賛の美辞麗句。

高木和也はその様子をアジトのテレビで眺めていた。
私立仁科学園高等部二年四組の生徒である。
普段はとても真面目な、かなりの優等生の部類に属する。
バスケットボール部のフォワードのレギュラーであり、また社会科学同好会の会員。
おそらくここまでなら、誰もが高木を優れた生徒だと思うであろう。
だが一方で、高木は私立仁科学園マルクス主義革命同盟の幹部に顔が利いた。
というより、彼らの革命思想に理論的根拠を吹聴し、過激化を煽った張本人でもある。
もっとも高木自身は同盟のメンバーではない。
社会科学同好会は弁論部とともに政治思想や社会問題などを討論する定期会を持っているのだが、
高木はそこで知り合ったメンバーに、巧みに、かつ効果的に彼らを洗脳したのだ。

今回のこの爆破事件は、もちろん高木の手によるものではない。
まさしく先鋭化した同盟のメンバーたちによる、渾身の仕事である。
計画実施のために半年以上の時間をかけ、そして今日、ようやくこのテロが結構されたのだ。
ここまでの計画をやってのけたメンバーたちを、高木も大したものだと感心した。
だが、高木はこの爆破事件には何の感慨も持っていなかった。
高木の仕事はこれから始まるのだ。

高木の傍らには安田芳江が寝息を立てている。つい先ごろまで、二人は交わっていた。
安田は私立仁科学園の英語科の教員。独身で、まだ二十代半ばの若い美人女教師だ。
高木はベッドの脇のテーブルから、タバコの箱を取り合げた。
一本、タバコを取り出すと、それを口にくわえ、マッチで火を点ける。

テレビの画面に映し出された爆破テロの凄惨な現場に比べ、ここは異様なくらいに静まり返っている。
遠くの国道から、わずかにトラックの走るエンジン音が聞こえてくる。
高木はタバコの煙を思い切り吸い込み、ゆっくりと吐き出した。
ブラインド越しに差し込む午後の陽ざしの中で、その白煙はゆっくりと部屋の中に広がってゆく。
そのたばこの煙を通して、高木は再びテレビの画面を眺めた。
どうやら現場に警察の関係車両が到着したようで、無数の赤い回転灯が画面の中で閃いている。
アナウンサーの話では、間もなく国防軍の特殊処理隊が到着するとの話だ。

25 :創る名無しに見る名無し:2013/02/14(木) 18:54:49.27 ID:/RbOlzVa.net
「ねえ、私にもタバコ、ちょうだい」
芳江が甘えた声で高木に声を掛けた。どうやら芳江も起きたようだ。
高木は無言で自分の加えていたタバコを芳江に渡す。その間も高木の目線は画面を見続けていた。
横で芳江がタバコを吸い、煙を吐き出した。芳江は体を起こし、テーブルの上のミネラルウオーターに手を伸ばす。
柔らかな乳房が、高木の目の前で揺れた。ブラインド越しの陽ざしが、芳江の生白い肌を眩しく照らす。
「俺にも、飲ませてくれる?」
高木は言った。その間も目線はテレビの画面に向けられたままだ。
芳江は自分で一口飲むと、ペットボトルの口を高木の口元に差し出した。
「いや、先生から口移しで飲ませてくれないかな?」と高木は言った。
芳江はふふっ、と笑った。「だったら和也、横になってくれない?」
高木は芳江からタバコを取り戻し、それを大きく吸った。
タバコをビールの空き缶の中に放り込むと、煙を吐きながら仰向けに横たわる。

仰向けになった高木の上に、芳江は跨った。
まだ休眠中の高木のペニスのちょうど上に、芳江の陰部があてがわれる。
芳江の陰部の毛がチクリと高木を刺激する。また芳江の陰部はことのほか暖かい。
芳江は笑いながら長い黒髪を掻き揚げ、ペットボトルの水をぐいっ、と口に含んだ。
そのまま高木にキスをし、口の中の水を高木の中に注ぎ込む。

唇と唇の間から、水が漏れる。それは枕とシーツを濡らした。
僅かにタバコのにおいが混じった、女の濃厚な香りが、高木の口の中を満たす。
それと同時に高木は激しく欲情を感じ、自分の股間が熱く反応した。おそらく芳江も気づいただろう。
芳江はことのほか長い間キスを続け、高木の口の中に舌を挿入し、舌と舌を絡め合った。
水と唾液が入り混じり、くちゅくちゅという音を立てる。それが高木をさらに高ぶらせた。
それは芳江にとっても同じだったらしく、芳江の陰部が明らかに熱を帯び、潤ってくるのがわかった。

突然、芳江はキスをやめ、体を起こした。そしてそのまま体をずらし、高木のモノを口に含んだ。
幾分固くなりかけた高木のそれは、芳江の生暖かい口の中でもてあそばれる。
瞬く間に高木のそれは、完全に回復した。芳江はそれを口から吐き出し、頬ずりしながら笑った。
「和也って、若いのね」その声はどこか嬉しそうだった。
我慢しきれなくなった高木は、勢いよく体を起こすと芳江を抱きしめ、そのまま押し倒した。
既に芳江は充分に潤っており、高木はそのまま芳江の中に強引に侵入した……。

26 :創る名無しに見る名無し:2013/02/14(木) 18:55:38.57 ID:/RbOlzVa.net
……携帯電話が鳴った。高木は寝転がったままそれを取り合げる。
「和也、用意はいいか?」
電話をかけてきたのは金正薫だった。私立仁科学園高等部二年八組。
父親は在日系組織の幹部であり、私立仁科学園の生徒の実に30パーセントは在日韓国人、朝鮮人だ。
この地域は土地柄、在日韓国、朝鮮系の人口が比較的多い。また、パチンコ業などの有力者も在日の者が多い。
そのためその子弟が、こぞってこの私立仁科学園に通うようになったのだ。
一方、高木はこの私立仁科学園に通う、通常の日本人学生である。中学受験で中等部から、ここに通っている。

「正薫か?大丈夫、すべては順調だよ。」
高木は冷静な声で答えた。仰向けに寝ている高木の上では、芳江が激しく悶えていた。
時折高木が下から突き上げると、芳江は痙攣しながら喘ぎ声を上げる。
芳江は正薫が懸想している美人女教師でもある。電話の向こうの正薫が、今のこの芳江の淫らな姿をみたらどう思うだろうか?
そう思うと、高木はおかしくてたまらなかった。日頃威張り散らす正薫に、一矢報いた気分だった。
「ん?和也、おまえ、女でも連れ込んでいるのか?」
どうやら正薫が芳江の喘ぎ声が漏れていたらしい。だが声の主がまさか芳江だとは正薫も思うまい。
「いや、別のテレビでAV見てたんだ。ニュースももうこれ以上の情報はでそうもないだろ?」
高木がそう答えると、電話の向こうで正薫が苦笑いした。そして「あんましヌキすぎるなよ」と一言言った。

「とりあえず、メンバーは全員、東亜運送の第七倉庫に集まってくれ。いいよな?」
高木は正薫にそう言った。
そこは爆破現場から学園と真逆の場所、海側に抜ける産業道路を経由してゆく脱出ルートの途上にある。
今高木がいるここから車でわずか数分。そして同時に、彼らの墓場になるだろう。
「ああ、逃走資金として200万ドル、親父が用意した。すべて現ナマだぜ、凄いだろ?」
正薫はそういうと、電話の向こうで高らかに笑った。
正薫の父親は、東亜グループという在日系の財団の幹部だ。金は唸るほどある。
釣られるように高木も笑う。もちろんその200万ドルも頂くつもりだ。
「それとお前らは全員武器を捨てろ。検問に引っかかったらお前ら全員終わりだからな」
高木は釘を刺す。念には念を入れなければならない。
「ああ、わかった。だが、本当に大丈夫だろうか?和也」
「任せろ。今こっちにはアサルトライフルや手りゅう弾まであるから、一晩そこで身を潜めとけば、検問も解けるさ」
そんな時間を食わせるつもりはない。悪いが今夜にはお前はひき肉になっているさ、と高木は思った。
一方、高木の上で芳江が幾度目かの絶頂を迎え、痙攣しながら崩れ落ちた。芳江は快楽で息も絶え絶えだった。
「いいか、正薫。しばらくプサンやマカオで遊んでいろ。半年もしたらほとぼり覚めて戻ってこれるさ」
「お前はそれでいいのか?和也」
「俺か?別にかまわんよ。俺は特にマークされてるわけじゃない。こっちの情報は逐次お前に送るから安心しろ」
そう、安心しろ正薫。まもなくお前の家族も全部そっちに送ってやるからさ、と高木はほくそ笑んだ。
「では、今夜八時にそっちに行く。それまで全員そこにいろ」
「わかった。ありがとう高木」
「いいってことよ。正薫。革命成就、王道楽土のためには、こんなの屁でもないさ」
そういって電話を切った。

電話を切った高木は、自分に圧し掛かっている芳江を抱きかかえると、そのまま押し倒した。
そして激しく芳江の中に突き入れる。芳江は悲鳴に近い喘ぎ声をあげ、高木が果てるまでに二度も達した。
間もなく高木も絶頂を迎え、芳江の中に大量のしずくを解き放った……・。

27 :創る名無しに見る名無し:2013/02/14(木) 18:57:32.81 ID:/RbOlzVa.net
「ねえ、和也くんってさ、最初から革命とかそんなの、全然信じてなかったでしょ?」
芳江が物憂げにそう聞く。激しい情事で体力を消耗しきった芳江は、和也の腕の中に力なく横たわっている。
高木はしばらく無言のままだった。時折タバコを吸い、テレビの画面を見続けている。
「和也くんって、本当に怖い子ね」
芳江続ける。怖い子、と言いながらも芳江の声はどこか嬉しそうだ。
芳江は教師、すなわち仁科学園の正規の職員だ。
学園の内情のかなりの部分を和也は芳江から知った。
芳江はもう和也の言うことならなんでも聞くだろう。
今回のこの一件を終えたら、とりあえず芳江に庇ってもらうのだ。
自分は今回の件に、何も無関係。それは芳江が全て処理してくれる。

「大丈夫ですよ先生。俺はごみ掃除してるだけなんだから」
高木はそういった。テレビのニュース番組は爆破テロ事件の特番で持ち切りだった。
死傷者がすでに100名を超えていること、駅ビルは完全に崩壊し、鉄道が完全にマヒしていること。
交通機能が完全にマヒし、市内は戒厳令が敷かれていること。
それらのことをニュースは伝えた。
そして同盟の犯行声明……こんな同盟なんて、適当にでっち上げたものに過ぎないのだが。

それにしても軍用爆弾の破壊力の凄まじさに、高木は改めて驚いた。
時限式の起爆剤を装着させ、駅ビルの搬入口の駐車場に止めた搬入用トラック、
そして業者用のエレベーターで運び上げ、駅ビル七階の催事場に設置した二つの軍用爆弾。
それで都市機能が完全にマヒしたのだ。
その爆弾は、今夜もう一度爆発する。

「んじゃ、先生、俺これから行ってくるわ」
高木はそう言うと、ベッドから降りた。芳江はその高木の手首を握り、尋ねる。
「本当に大丈夫なの?危なくない?」
「大丈夫だよ先生。俺は死なないよ。」
そう言って高木は芳江に思い切りキスをした。同時に芳江の股間に手を潜り込ませ、秘所を指先で弄る。
芳江は高木の指の動きに、「うんっ」と唸り、股間に力が籠った。
一分近く高木はキスをしながら芳江の秘所を弄る。芳江の秘芽は充血し、その奥は再び潤んできた。
唇を離し、高木は芳江に微笑みかける。
「もう引き返せないんだよ先生。どうせ堕ちるなら、先生と一緒にどこまでも堕ちたいな」
高木は芳江の目を見つめながら、言った。そんな気など毛頭もないのだが。
心にもないような嘘を、ここまで真顔で平然と言える自分に、高木は少し驚く。
目の前の芳江は目に涙を浮かべ、可愛らしく頷いた。
自分よりも十歳ちかく年上の女だが、もはや芳江の心は完全に高木が掌握している。
「じゃあ、この続きは帰ってきてからするよ先生。朝まで寝かせないからそのつもりで」
そう言った高木はもう一度芳江にキスをし、今度は素早く立ち上がった。
立ち上がり、歩き出した高木の表情には、先ほどまでの笑顔など微塵もなかった。
ただひたすら冷たい、氷のような表情がそこにあった……。

28 :創る名無しに見る名無し:2013/02/14(木) 18:59:26.09 ID:/RbOlzVa.net
……第七埠頭で爆発が起きたのは、午後八時過ぎだった。
だが、その爆発が起きたとき、そこに集っていた同盟のメンバーは全員死んでいた。
メンバー総数13名は全員、サブマシンガンで蜂の巣にされていたのだ。
そして爆破によって彼らの死体は全てバラバラになり、その原型などとどめることなくこの世から消滅した。

そして高木は、活動資金、逃亡資金その他、計450万ドルを手に入れ、再び芳江のマンションに戻った。
運搬には芳江の軽自動車を用いた。もちろん高木は無免許であり、実は今回の計画の一番のリスクはここだと高木は踏んでいた。
だが、警察も軍も駅ビル爆破事件に追われていて、警戒網は手薄だ、と高木は踏んでいた。
実際その通りだった。国道や県道ならいざ知らず、わずか五分の距離の移動なのだ。
検問ひとつなく高木は全てを済ませることができた。
また正薫殺しや情報捜査など、高木は何も心配していなかった。そもそも高木は同盟のメンバーではない。
学園は今、学園紛争で学校施設の半分近くが不逞学生たちに占拠されている状態なのだ。
この中で特に目立った活動をしていない高木に疑いの目が向くわけがない。

現金はそのまま芳江のマンションに置いておくことにした。
芳江によると、埠頭の爆破の音はここまで響いてきたという。凄い爆発力なのね、と芳江は感心していた。
自分の教え子が十三人死んでいるのだが、そんなこと意に介していない様子だった。
実は芳江は正薫のことを嫌っていた。自分に明らかに欲情を抱いているこのドラ息子の生徒に嫌悪感を抱いていた。
それが木端微塵に砕けたのだ。しかも芳江が愛する男の手によって。むしろ嬉しかったのだろう。

一方、これだけの活動資金を現ナマで、番号綴りでない形で用意できるなんて、さすがパチンコ屋だなと高木は思った。
武器その他は、とりあえず次の作戦のためにとっておくことにした。
そして芳江名義で借りたコンテナ倉庫に運び込んだ。
これには芳江も同行し、二人してちょいとした中隊をフル武装できるほどの武器を運び込んだのである。

全ての作業を終えたのは午前二時過ぎだった。
すっかり疲弊した高木はそのまま芳江のベッドの中に横たわり、芳江ともどもセックスすることなく眠りこけた。
明日からまた、新しい戦いが始まるのだ。

29 :創る名無しに見る名無し:2013/02/15(金) 16:20:23.85 ID:2yeEbz8P.net
(*´∀`)つ凵・゚☆・゚凵ヾ(´∀`*)ノ゙ミ

30 :創る名無しに見る名無し:2013/02/22(金) 05:59:13.78 ID:ZgCNd2St.net
仁科学園は昨今の少子化の煽りを受け、入学志望者数が激減、ここ数年、定員割れが続いている状況でした。
また、学園の運営母体である仁科財団が、長らく続く金融不況により、破産状態に陥りました。
その結果、当学園は昨日、破産宣告をすることになりました。

つきましては以下の事項をご連絡させていただきます。


 1、当学園は、今後の経営は困難と認め、解散することとする。

 2、現在の学園の運営については、管財人の管理の下で、とりあえず今年度末まで継続する。
   これにより現在の最高学年の生徒の卒業は可能となる。

 3、最高学年以外の学年については、逐次、他校への編入を検討。
   なお、詳細は、後日あらためて説明会を開催する予定であり、追って通知する。

 4、来年度の入学試験は取りやめ、以降、生徒募集は行わない。


                                            以上

31 :創る名無しに見る名無し:2013/02/22(金) 22:08:37.93 ID:9qRiobM5.net
ネコの日、おめでとうございます。
ttp://dl1.getuploader.com/g/sousaku_2/249/%E3%83%8D%E3%82%B3%E3%81%AE%E6%97%A5.jpg

32 :創る名無しに見る名無し:2013/02/23(土) 17:13:47.96 ID:jEJ4Gspn.net
おかしい。荵のわんわん度なら一緒に消えていても不思議は(ry

33 :創る名無しに見る名無し:2013/02/23(土) 18:38:13.66 ID:Sha8KV6C.net
これはいい少し不思議

34 :創る名無しに見る名無し:2013/02/23(土) 23:02:42.99 ID:H0H+1UkK.net
結局演劇はやるんだろうかw

35 :創る名無しに見る名無し:2013/02/23(土) 23:03:22.72 ID:H0H+1UkK.net
というわけで某スレの企画に乗って『霧崎』で

36 :創る名無しに見る名無し:2013/03/01(金) 21:00:49.62 ID:va9xGYZM.net
わおーん!
ttp://dl1.getuploader.com/g/sousaku_2/259/download

37 :創る名無しに見る名無し:2013/03/02(土) 04:10:19.45 ID:i22Qf+cG.net
犬相手に野球するとはさすが。

38 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2013/03/13(水) 22:52:48.66 ID:CHjAPuDx.net
先輩!ホワイトデーですって!
ttp://dl1.getuploader.com/g/sousaku_2/268/anokoha_o-kami.jpg

39 :創る名無しに見る名無し:2013/03/14(木) 03:02:03.10 ID:5d0pb0ND.net
狼とか後輩が変な勘違いしそうなフレーズをw

40 :創る名無しに見る名無し:2013/03/14(木) 20:28:56.78 ID:qx9G+NwT.net
マンガも描けるのか!
多才だなぁ。

>>31
公園の名前がwさりげに背景うまい。
ルドルフとイッパイアッテナのあとがきをちょっと思い出した。

>>36
亜子ちゃんマジ今時のおしゃれJC。
亜子だけ耳尻尾がないんだな。

>>38
何そのウサギ棒マジウケル
ととろの冷めきった目www一言も喋らない何とも言えない空気がやばい
狼こええ。「食べちゃいます」の台詞がすごい後輩らしいと思った。

なんか俺自身は後輩を動物には喩えづらいんだけどwさすがにスッポンはあんまりだし。

41 :創る名無しに見る名無し:2013/03/23(土) 23:26:48.86 ID:L3dXhYOL.net
これは俺もまた絵を描かねばならないのだろうか

42 :創る名無しに見る名無し:2013/03/23(土) 23:32:25.39 ID:7a8vn7Ni.net
期待がうなぎのぼり

43 :創る名無しに見る名無し:2013/05/10(金) 20:35:15.54 ID:bQQCWEtT.net
演劇部・黒咲あかね。
わおーん!に隠れておされぎみ。CVは…

ttp://dl1.getuploader.com/g/sousaku_2/413/akane+kurosaki.jpg

44 :創る名無しに見る名無し:2013/06/21(金) 00:28:53.35 ID:a7zVrgLU.net
あれ、サンプルボイスのボタン壊れてるぞ

45 :創る名無しに見る名無し:2013/08/01(木) NY:AN:NY.AN ID:6zEEKsKA.net
仁科も夏休みですか?
水着だ!水着だ!

46 :創る名無しに見る名無し:2013/08/01(木) NY:AN:NY.AN ID:JKDrm3ho.net
水着とかおまえなんてすばらしい発想を!

47 :先輩!わたし、妬いてますから!:2013/08/17(土) NY:AN:NY.AN ID:fRzUBDQW.net
 「先輩!水着です!夏です!え?夏なんて残すところもあと二週間?まだ二週間もあるんですよ!
  ほら!見て下さい!わたし、閑花ちゃんの華麗なるビキニ姿を!黄色いフリルが胸元をキュートに演出してます!」

 先輩こと先崎俊輔は困惑した。後輩こと後鬼閑花のビキニ姿が見えないのだ。
 それもそのはず、閑花はきっちりと制服を身につけていたからだ。ただ、ブラウスの隙間からちらほらと見える
黄色い布切れが先崎を大いに不安の泥海へと陥れた。なのにも関わらず閑花は紺碧の海の輝きで先崎の腕に絡み付く。
 ただでさえ暑い夏、目に入るものがゆらゆらと見える。それに加えて閑花の元気だ。むしろ……いらない。

 「先輩!見えないんですか?おかしいですねー。はっ!分かりました!わたし、制服着てました!
  だからですね!なるほどなるほど!じゃあ、おいそれと制服を脱ぐような閑花ちゃんではありません!
  ここは勝負です!日本の夏は日本の伝統文化に触れましょう!野球拳です!ベースボール★パンチ!」
 「俺に脱げとでも?」
 「無問題!先輩に優しいルールです!買っても負けても閑花ちゃんが脱衣……、いわせんな!ばか!わたしの召し物を……」

48 :先輩!わたし妬いてますから!:2013/08/17(土) NY:AN:NY.AN ID:fRzUBDQW.net
 「野球拳の意味無いな、それ。俺はしないけど!」
 「先輩!お肉は腐りかけ、閑花ちゃんは脱ぎかけが美味しいんですよ!白いブラウスだけの閑花ちゃん、
脚の付け根からちらちらと見え隠れする黄色い水着。恥じらう閑花ちゃんに堪えられない先輩はぎゅっと閑花ち……」

 きっと灼熱で頭がおかしくなってしまったのだろう。そう考えるしかない先崎は
閑花を置いて一人涼しい図書館へと消えた。閑花は仔犬のように先崎のあとをちこまかと追った。

 「閑花ちゃんの水着は閑花ちゃんしか似合わないと……思うんです」
 「わおー?意外にも似合ますねっ」

 聞き覚えのある鳴き声。尻尾ぶんぶん、耳ぱたぱた。演劇部の久遠荵だ。しかし、似合うと評したのは
残念ながらも閑花の水着姿ではなかった。荵の前で恥じらう演劇部・迫文彦だった。
 何故に後悔?荵の先輩である迫は後悔の念にかられながら学園の女子制服を着ていたのだ。 俯きがちに両手を握り締める眼鏡っ娘は太ももに涼しいものを感じた。冷や汗ではなく、無防備なるスカートからの空気だった。
 教えられなければ男子だとはぱっと見で分からないクオリティ。間違っても演劇部を敵にまわしてはならない。

49 :先輩!わたし妬いてますから!:2013/08/17(土) NY:AN:NY.AN ID:fRzUBDQW.net
 「迫先輩、男らしいですっ!シェパードみたいなハートですっ」
 「スカート姿な俺にそんなことを言ってもな、久遠。確かに罰ゲームだからしかたないが」

 軽い気持ちで迫と荵は勝負した。どんなことでも引き受けると。

 「『女装』するって言ったから、男らしく女装したっ!迫先輩、かっちぶー!」
 「俺は『除草』って言ったんだけどな……」

 ふわりと風がすり抜けると荵と迫が身に纏うチェックのスカートが同時に揺れる。慣れないリボンを
ちらちらと触る迫に荵は人差し指でちょっかいを出した。迫が付けるセミロングのウィッグからは
ほんのりと無機質な香りがしていた。元々、小柄で細い方の迫にとってはある意味、女装して正解だったのかもしれない。

 「あかねちゃんにも見せたかったなっ」

 迫は眼鏡を曇らせて大いに断った。だが、自らを捨てる神あれば拾う愚民あり。閑花がじっと迫を見ていたのだ。
 ゆらゆらと揺れるカゲロウサンシャワー。閑花の目にはきっととびっきりの美少女に見えたかどうかはさておき。

 「し、閑花ちゃんの方がぜったいかわいいです!」

 時折見せる男子の仕種に荵は人差し指で突き、時折見せる女装の香りに閑花は妬いた。

50 :先輩!わたし妬いてますから!:2013/08/17(土) NY:AN:NY.AN ID:fRzUBDQW.net
 「男子になんか負けたくないです!ぜったい、ぜったい閑花ちゃんの方がかわいいです!」 「がんばれ!女の子!わおー!」

 他人事のように吠える荵はさておき、後輩女子二人に見つめられる健全なる男子高校生。
 恥ずかしいってレベルじゃない。これは恥だ!せめて卒業する際に
「わが高校生活に一片の悔い無し!」だなんて叫びたかったのに、そんな夢も潰えた。
 それが本当に迫の夢かどうかはさておき、迫の理性もエンプティ。ほっとけば走り出しそうな勢いだ。

 「久遠!そろそろ満足しただろ?」
 「わたし、イヌだから分かりません!」

 荵は尻尾をぶんぶんと振るので、迫は隣の少女に問い掛けた。

 「久遠の友人だろ?久遠をなんとかしてくれ」
 「わたし、あなたに妬いてますから。わたしの水着姿の方がぜったい……」

 いや、今や敵は迫だ。迫に閑花ちゃんのはじける肢体を見せ付けてやれ!閑花は叫んだ。

 「ベースボール★パンチやりましょう!」
 「俺に脱げとでも?ってか、着替えさせてくれないか」
 「無問題!先輩に優しいルールです!勝っても負けても閑花ちゃんが脱衣……、いわせんな!ばか!」

51 :創る名無しに見る名無し:2013/08/17(土) NY:AN:NY.AN ID:fRzUBDQW.net
以上。
さすが迫先輩、「さすさこ」です!

52 :創る名無しに見る名無し:2013/09/12(木) 18:02:56.67 ID:iVRGOVVD.net
先輩!今日は12日の木曜日ですね!ワクワクしますね!

53 :創る名無しに見る名無し:2013/09/13(金) 13:38:44.21 ID:L+9nngWP.net
なんかあったっけ?

54 :創る名無しに見る名無し:2013/09/13(金) 19:00:04.48 ID:PK9BT59a.net
ホッケーマスクの後輩がとうとう実力行使に出るのか……!

55 :創る名無しに見る名無し:2013/09/13(金) 22:10:07.47 ID:h5ER5B+P.net
「わおーん!13人の金曜日!13匹の怒れる仔犬だよっ」
「12人じゃないの?」

56 :創る名無しに見る名無し:2013/09/13(金) 22:15:17.77 ID:PK9BT59a.net
「マスカーレイ! マスカーレイ!」
「それハロウィン}

57 :創る名無しに見る名無し:2013/09/14(土) 20:36:33.22 ID:sjqckk46.net
ふと、まとめWiki見てて思ったけど。
上原梢ちゃん、部活入ってるみたいだけど部活は何だろう。
個人的にはバレー部とかやってそうに思う。ちっこい体でコートを跳ね回る姿想像したら堪らん。

58 :創る名無しに見る名無し:2013/09/15(日) 02:09:42.07 ID:JHnLfDaq.net
何故か梢ちゃんが球と化してレシーブトスアタックされる姿が見えた
疲れているようだ。

59 :創る名無しに見る名無し:2013/09/15(日) 04:12:47.58 ID:sYHbdMG3.net
放課後は援交やってるから、部活に出てないんだよ

60 :創る名無しに見る名無し:2013/09/15(日) 11:51:28.41 ID:eHb501O0.net
梢&葱&亜子&千鶴&和穂&迫(男の娘化)

VS

黒鉄懐

変則6人制バレー。試合開始!

61 :創る名無しに見る名無し:2013/09/15(日) 13:40:26.40 ID:9VE0utLq.net
なんかけっこう粘りそうだぞ懐www

62 :創る名無しに見る名無し:2013/09/15(日) 17:07:51.65 ID:FOG+ku0r.net
亜子がいるんじゃ勝てるイメージがまったく浮かばないw
葱あたりが拾いまくりそうだし

63 :創る名無しに見る名無し:2013/09/23(月) 19:15:55.48 ID:prJp4vMa.net
>>60-62
ttp://dl1.getuploader.com/g/sousaku_2/587/volley.jpg

扉絵は真田アリスだよ。

64 :創る名無しに見る名無し:2013/09/23(月) 19:37:47.58 ID:NEvqqiMW.net
何を嗅いでるwww

65 :創る名無しに見る名無し:2013/09/29(日) 16:12:25.10 ID:IkeMz2A4.net
土佐っ娘・浅野士乃ちゃんは一人暮らしなのかな。
いや、一人暮らしであって欲しい

66 :創る名無しに見る名無し:2013/10/02(水) 21:38:53.87 ID:99fWC/ph.net
士乃「葎ちゃん!物凄いものを作ったがよね!」

ttp://dl6.getuploader.com/g/sousaku_2/597/riccyan.jpg

67 :創る名無しに見る名無し:2013/10/02(水) 21:55:01.86 ID:/LRVa8nH.net
かわいいw乙です

68 :創る名無しに見る名無し:2013/10/03(木) 03:53:49.39 ID:wzs4p9f1.net
どこをアップにしておるwww

69 :創る名無しに見る名無し:2013/10/03(木) 09:29:48.97 ID:YpiGrEqn.net
まてそのペットボトルどこで手に入れたwww

70 :創る名無しに見る名無し:2013/10/21(月) 21:30:29.56 ID:MXrwNJN9.net
わおーん!お題下さい!

71 :創る名無しに見る名無し:2013/10/21(月) 21:35:01.11 ID:4aGSFTPy.net
お姉さん軍団

72 :創る名無しに見る名無し:2013/10/21(月) 22:43:22.55 ID:MXrwNJN9.net
高等部3年
•神柚鈴絵
•真田アリス.ウェルチ姉妹
•霧崎

高等部2年
•秋月京
•天月音菜
•近森ととろ

「お姉さん」っぽい上級生あげてみた。
粒揃いですやん。

73 :創る名無しに見る名無し:2013/10/21(月) 22:50:56.49 ID:wd+/oXLY.net
あやめ先生を忘れるな

あとととろは違うだろw

74 :創る名無しに見る名無し:2013/10/22(火) 23:35:22.26 ID:cOxl00dL.net
水玉パンツ先輩!
水玉パンツ先輩じゃないか!

75 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2013/11/06(水) 18:21:11.31 ID:isn+oUF8.net
鈴絵先輩と亜子ちゃんお借りします。

おまけ
ttp://dl6.getuploader.com/g/sousaku_2/627/ako02.jpg

76 :水玉ぱんつ先輩 ◆TC02kfS2Q2 :2013/11/06(水) 18:21:55.89 ID:isn+oUF8.net
 テンポよく神社の石段駆け登る足音に、リズムよく息切れする少女の胸。
 小さな体に似合わずたゆらたゆらと弾む豊かな胸。後ろで縛った金色の髪が上下に揺れる。
 一段一段登るたびに自分の力になってゆくと、黒鉄亜子はスニーカーでぎゅっと石段を踏み付けた。

 制服姿の亜子はひらりとスカートひらめかせ、両腕をぶんと振って、トレーニングに身を費やしていた。この神社の石段を
何度も何度も往復。前時代的な鍛練だが、基本のキは侮れない。金色の髪が青空にくっきりと浮かぶ、空気の澄んだ夕暮れ前。
 学校の近くの丘に鎮座する神にこの姿を見て欲しい……って、わけではないが、この柚鈴天神社に来ると何故か心が落ち着くのだ。
 振り返れば遠くに校舎がぽつんと見える爽快感。それもまた、走り込みの途中の清涼剤か。

 ふらふらになりながらも、亜子の脚はまだまだ力強く、表情も崩れることはなかった。
 空手で培われた亜子の精神力で脚に溜まった乳酸など蹴散らしてやる。巧みな技で、抜きん出た実力で。

 そう。亜子は空手の有段者だ。齢中三にして、この実力者だ。だが、それにあぐらをかいては真の有段者ではないと亜子は言う。
こうして日々鍛練を重ね、煩悩を払いのけた者だけに許される称号なのだ。迷いなど亜子にはいらぬ。

 石段の頂上が見えてきた。灰色の石に苔の視界から、空の色が広がる瞬間が亜子を迎えていた。

 周りの木々は緑鮮やか。
 胸一杯に吸い込む空気。
 足元すり抜ける風。

 そして、真正面に飛び込む水玉模様。

 「!!」

 真っ白で柔らかな膨らみに散りばめられた水色の玉。亜子の目は同化するように水玉のように丸くなった。
 見てはいけない物を見た。
 いや、認めてはならない物を見た。
 転んでいるのは年上の女性。
 高等部のお姉さんの……おパンツなと。

 「あっ。ごめんなさいね」

 水玉模様の持ち主は石畳に伏した格好からお姉さん座りに切り替わり、柔らかなる物腰で水玉模様をスカートで隠した。

 「急いでたら、石段で躓きましてね」

 お姉さんは澄ました顔に戻って、カーディガンの砂埃を払っていた。立ち上がって初めて気付くグラマラスな体つきが亜子の目を奪う。
それにあわせておっとり感。年上に向かって失礼かもしれないが、亜子の感じた印象は『かわいい』だ。恥ずかしそうな顔を僅かに残して
制服姿のお姉さんは石畳の奥の社殿の方へと姿を消した。
 さて、こちらはまだまだ思春期の扉を潜ったばかりの亜子だ。対応しきれずに心臓は激しく鳴る。石段を駆け登ったことに合わせ、
自分とは違う世界の住人と鉢合わせをしたことに……。

 「みずたま?」

 瞬きしても無駄無駄。
 目を擦っても無意味。
 いくら『水玉ぱんつ』が焼き付いた瞼を振り払おうとも、のれんに釘、豆腐に腕押し。つまり、糠にかすがいだ。

 静かだった木々にカラスの声がこだまする。

77 :水玉ぱんつ先輩 ◆TC02kfS2Q2 :2013/11/06(水) 18:22:33.50 ID:isn+oUF8.net
     #

 石段の頂に置いておいた亜子のスポーツバッグから、ドリンクを取り出して一口飲む。
 喉を潤すドリンクがいつも以上に甘い。

 亜子はトレーニングをおしまいにして鳥居を潜る。日が傾き始め、茜色に鎮守の森が染まっていた。赤と青のグラデーションが
一目で味わえる逢魔ヶ時。人の少ないこの時間が亜子は気に入っていた。やけにスポーツバッグが重く感じる。トレーニングの後だから。
しかし、いつも以上に重い。バッグからぶら下げたボクシンググローブが亜子のスカートをぶらぶらとなぞる。

 (そうだ。絵馬だ)

 今日、ここに来た目的は絵馬を奉納するためでもあった。
 亜子の書いた絵馬は一目、まさか空手の実力者とは想像できないような彩りで、よく読めば、なるほど流石空手の実力者だと容易に
想像できる内容だった。バッグから絵馬をこっそりと出し、絵馬掛の前に立ち、人目を気にしながら絵馬を結ぶ。ウチの冷蔵庫から
独り占めしていたプリンをこっそり抜き出すような緊張感だ。ただ、お願い事を叶える事はカルメラほど甘くない。
 こうしてみるといろんな人が柚鈴天神社にお願い事をしているもんだと、亜子は絵馬をがらりと手でなぞってみた。

 奉納を終えた亜子に声が掛かる。
 ついさっき、聞いたような声だ。

 振り向いて目にした人物は……さっきまで石畳で転んでいた年上のお姉さんが白い装束、紅の袴に身を包んでいるではないか。
 そうだ。水玉ぱんつのお姉さんは制服姿から巫女装束に変身していた。お姉さんは、この柚鈴天神社の巫女だ。

 「あっ。さっきの……石段を駆け上ってた子だよね?」
 「さっきはごめんなさい!お姉さん!わたし……見ちゃダメですよね!見てません!見てません!」
 「え?何、何?」

 他人の絵馬をまじまじと見つめてるようでごめんなさい。
 そんなことはしていないんです!
 涙目になった亜子は顔を夕焼けのように赤くした。
 慌てて亜子はバッグをぐるりと廻して、ぶら下げたボクシンググローブを背後に隠した。何故だかは上手く説明できない。
声をかけてきたのが『水玉ぱんつ』のお姉さんだったからなのか。お姉さんから見れば、色恋に浮足立つような娘に見えるんだろうな。
でも、そんな娘が格闘技なんかやっちゃって……。わたし、強くなりたいです。なんてお願いしたら、お姉さん笑いますよね?

 「気にしちゃう?」

 はい。
 水玉ぱんつ!を。

 「大丈夫。あなたのお願いを見たりしないから」

 わなわなと震える足が存在する。
 込みあがる熱。
 亜子に秘められた感情。

 「ありがとうございますっ」

 スポーツバッグからグローブをぶんぶんと揺らしながら、亜子はすっかり日の落ちた街へと駆けていった。
 その姿、蜂のように舞い、蝶のように刺す。

 お姉さん……神柚鈴絵は、明日もきっと晴れると思いつつ、夜の帳に溶け込んだ。


   おしまい。

78 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2013/11/06(水) 18:23:31.63 ID:isn+oUF8.net
お姉さま軍団(のうちの一人だけど)でした。
わおー!おしまい!

79 :創る名無しに見る名無し:2013/11/06(水) 23:52:13.52 ID:6RUDT1ug.net
乙です

80 :創る名無しに見る名無し:2013/11/07(木) 01:05:00.38 ID:Kti/2O8Q.net
そもそも空手はボクシンググローブ使わない。新空手なの?

81 :創る名無しに見る名無し:2013/11/07(木) 06:39:13.85 ID:gaCTX3WS.net
グローブ空手ってのがある

82 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2013/12/29(日) 10:58:12.03 ID:zmnu3WsY.net
亜子ちゃんがかわいすぎる。
投下します。

83 :『あまおう』 ◆TC02kfS2Q2 :2013/12/29(日) 11:02:56.61 ID:zmnu3WsY.net
 兄とボロクソなケンカをした亜子は、家にいるのが窮屈になり町の喫茶店に逃げ込んだ。
 些細すぎて覚えていない原因に亜子は苛立ちを隠せず、お冷やの氷を人差し指でぐるぐると掻き回す。
 ケンカの結果は1ラウンド13秒右ストレートで亜子のKO勝ち。僅かな時間で完膚なきまでにたたきのめされた兄は、
大きな体を妹のベッドに沈めていた。

 亜子は空手を習っている。
 中学生とは言え、かなりの実力者だ。
 ただ、空手が強くなればなるほど、女子としての力、すなわちパワーへの反発も否定すればウソとなる。

 「強いね」よりも「かわいいね」が欲しい。

 兄といるだけで、知らず知らずに自分の思い通りに物事が進まない苛立ち。
 そんな気分さえも忘れさせてくれる喫茶店が気に入っていた。
 なにより、店員がかわいい。と、亜子は自分の物のように愛でる。

 亜子は喫茶店の店員をちらと見た。大正浪漫溢れる袴姿に白いエプロン。編み上げブーツが足元を引き締めて、
黒髪のツインテールが若々しさを印象付ける。歳は二十歳ぐらいか、ネコ目で明かりを追いながら給仕は暇を持て余していた。
 この喫茶店はマスターの趣味に彩られている。明かりに、窓に、椅子、テーブル、食器、そして給仕に至るまでタイムスリップに
惑わされる。そんな喫茶店に亜子は心を落ち着かせながら、そして給仕に憧れを抱きながら注文の品を待つ。

 「お待たせ致しました。シロノ・ワールです」

 温かいデニッシュパンに冷たいアイスを乗せた『シロノ・ワール』。
 マスターがどこぞの喫茶店に感化されて真似た一品だ。わざと区切りをずらしている所など憎らしい。
 白と黒との対比が見た目を楽しませる。亜子は手を合わせるとゆっくりとシロップをシロノ・ワールにかけようと……。

 「あっ」

 アイスの上にイチゴが鎮座。赤白黒の3連単。オッズ三桁の万馬券。

 「『あまおう』です。今朝、九州から届きました」

 亜子には予期せぬ贈り物だった。給仕の娘は目を合わせることを拒んでいた。
 あまくて、まるくて、おおきてく。

 イチゴの概念を振り払う大振りなイチゴが存在感をアピールする。

 「黒鉄くんの妹さんですよね?この間はありがとうございました」
 「は、はい?わたしを知っているんですか?兄が何かを」
 「この間、ここにいらしたときにしきりに妹さんのことを話してました。テーブルに乗りきれないほどの
  ケーキやお菓子を並べているお客さんなんて、忘れようと思っても忘れられませんし」

 俺の胃袋は宇宙だ?何、言ってるんだ。俺が宇宙だ。それに加え、金髪ロン毛の天突くほどの身の丈だ。
 世界中の茗荷を食べ尽くしても、兄のことだけは記憶に残るはずだ。

 「お冷やの氷を人差し指でぐるぐる掻き回してたんです。『妹がよくやるから俺にも染み付いたんだ』と、
  スマホで動画を見せてくれました」

 亜子は兄をまた右ストレートで打ちのめしたくなった。
 いや、右ストレートだけじゃ足りない。畳を返すぐらいに再起不能に……。

 「『あまおう』はお兄さんから教えて頂いたんです」
 「マジで?」
 「妹さんが初めてですね、このお店で頂くのは」

 黒鉄の城に真っ赤なイチゴ。アンバランスさに亜子は頬を赤らめた。イチゴの味に記憶が逃げる。
 第2ラウンドのゴングは、しばらく鳴らさないでおこう。

    おしまい。

84 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2013/12/29(日) 11:20:40.44 ID:zmnu3WsY.net
また食べたい、シロ・ノワール。

ささもり堂のあまもっちゃん。

ttp://dl1.getuploader.com/g/sousaku_2/672/amamoto_shiro_noir.jpg

投下おわり。

85 :創る名無しに見る名無し:2013/12/29(日) 11:59:37.51 ID:0qnmqcOx.net
コナミ新長田店のレイプ魔暴行歴あり中井貴之店長だけは、やめておいたほうがいい。

6年以上も居座っている。地元の住民からも、嫌われまわっている。 店長がかわれば、必ず行く。

86 :創る名無しに見る名無し:2013/12/29(日) 19:18:57.55 ID:p6+QhQ0t.net
開始13秒かw

87 :創る名無しに見る名無し:2014/01/02(木) 20:43:20.22 ID:nZoJxtEI.net
遅ればせながら、あけおめですっ。
右から…久遠荵、近森ととろ、黒咲あかね、後輩ちゃん、黒鉄亜子。ん…天月音菜?

http://s-up.info/view/201201/142796.jpg

88 :創る名無しに見る名無し:2014/01/02(木) 22:12:32.21 ID:2Hf6axgz.net
いっぱいいる!
おつです

89 :創る名無しに見る名無し:2014/01/09(木) 17:51:44.18 ID:9O2irJ11.net
お題下さい

90 :創る名無しに見る名無し:2014/01/09(木) 19:27:45.09 ID:8Cwkv2iU.net
では早速お題です↓

学校に突如出現した魔壁によって世界と隔絶されてしまう生徒達が魔壁を破壊し生還するまでの物語。

さて

91 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2014/01/22(水) 19:57:46.35 ID:0KUKYqBz.net
.>>90 
書きました。

       『wall』


 「どうあがいても、無駄だよ」

 無駄だと分かると、嫌でも意地を張りたくなる。

 薄い手で金剛石にも似た壁を叩いている黒咲あかねは、手を止めようとする声も気にしていなかった。
 部活を終えて家路を急ぐ逢魔ヶ時、誰にもすれ違わずに廊下を駆ける一日の帳が降りる頃。黒咲あかねの行くてを阻む
一枚の壁がずんとそびえいた。見様には咎人を隔離するかの要塞にも見える。ただ、この地上に存在しえない物質で
この壁は固められているような感触だった。
 見上げれば見上げるほど空が高く感じる。左右を振り向けば振り向くほど先が霞んで見える。
 例えようのない世界にあかねはすんのあいだ思考を止めた。

 この壁に出会う前に親友と別れた。
 名は久遠荵。同じ部活、仔犬のような娘だ。

 「あかねちゃんはもっと大胆になった方がいいよっ」

 ころころした声があかねの中で響く。あどけなさと、イヌを掛け合わせたような娘だと、あかねは荵を評する。
 だが、忘れ物を取りに校舎に戻った荵がいつまでたっても戻ってこない。どこへいったのだろう。
 あかねは荵を探しに歩き始めた途端、これだ。

 壁。
 壁。

 ちっぽけな自分を思い知らされる、硬い壁に阻まれた。

 「……あがいてもって……。あがかせてくださいっ」

 壁伝いに歩けば、出入り出来る場所はあるはず。あかねは壁の根本を注意深く眺めつつ、再び状況を捉らえようと試みていた。
歩き慣れた校庭が、見慣れた立木が、今や異質に見える。

 「誰もいない……」

 そうだ。

 一番疑うべきは、自分以外の者を見かけないこと。荵と別れて、今まで誰とも会っていない。
 あかねは巨大なる壁に気を取られて、気付くべきことを見事なまでにスルーをしていたことに呆れた。
 さっきまで部室で共にいた先輩の迫ですら見かけないこと。あかねは迫をほんの僅かでも忘れかけた事実に後悔をしていた。

 あかねと迫は演劇部だ。
 ちょっと前まで部室で演劇論について意見を交わしていた。
 ちょっと前まで迫の理屈にあかねは閉口していた。
 ちょっと前まであかねは夢を語っていた。

 「迫先輩。ロミオとジュリエットは女の子の夢ですっ」
 「いろんな解釈も出来ると思うんだ。ロミオは二十歳過ぎた青年、ジュリエットはあどけなさ残る6歳児。
  歳の差離れてるといえども、乗り越えられる障害が大きいほど胸打つと思わないか。いや、これは問題提起だ」
 「そんなジュリエットいやですっ。こんな舞台、出ませんっ」
 「勝手にしろ」

 そんな頃が懐かしい。ほんのちょっと前のことなのに。長針が360度も廻らないうちなのに。
 あかねの中で駆け巡る記憶とともに壁の間際を歩き続けていると、久方振りに人の声がした。

 違う。
 あかねには届かなかった、希望の絶望の声。

92 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2014/01/22(水) 19:58:17.10 ID:0KUKYqBz.net
「どうあがいても無駄だよ」

 あかねにその声が聞こえたのは、声だけでなく、ギターの弦の音と共にだから。
 校庭を横切る渡り廊下の屋根の上、波打つ鉄板に腰掛けてギターを鳴らす一人の少女があかねを見下ろしていた。
 高校一年生のあかねよりかは年上、落ち着いたたたずまい、白いシュシュで束ねた黒髪、そして涼しげな目元と片側を隠す前髪。
彼女は旅する吟遊詩人だと称しても疑われようはないだろう。ただし、彼女はあかねと同じ制服に身を包んでいるのが残念だ。

 「ぼくも『魔壁』に阻まれた。見下ろそうとも、それさえ許されない」
 「『魔壁』ですか?」
 「校舎の屋上からさえも見上げる『魔壁』だ。まるで何かを恐れているように」

 ギターの少女は脚を組み替えた。ちらと白い太ももがあかねの目を奪う。

 「ぼくの名前は天月音菜。また、君に出会うかもしれない」
 「分かるんですか?」
 「なぜなら、この学園は鎖されているからね。チョココロネが食べたいんだけど、学園には売っていないからね」
 「出口がないなんて、にわかに信じられませんっ」
 「ぼくも君を追って、気付かれないことに信じられないけどね」
 「え……」
 「面白い、実に。この状況を楽しめればだけど」

 口惜しいから、甘い洋菓子を。
 残念そうに音菜は前髪をかき上げた。
 ちらりと見える音菜の涼しげな瞳にあかねは吸い込まれそうになり、背筋を凍らせていた。

 音菜のセリフの後に『魔壁』を一瞥したことで、あかねは信じられないことを許されない状況の破片を握った。
 見れば見るほど『魔壁』が得体のしれない魔獣に見える。自分が演劇の台本を書くならば、そんな演技をさせる……
あかねの鼓膜に迫の言葉が蘇っていた。再び渡り廊下の屋根に目を向けたあかねには、天月音菜の姿もギターも捉えることはできなかった。

 孤独。
 孤独という言葉を繰り返せば繰り返すほど身震いをする。

 荵は?
 迫は?

 誰も教えてくれない恐怖、そして『魔壁』。

 「どうしようなか」

 天月音菜に気を取られている間に周りもすっかり暗くなり、光を求めてあかねは校舎に戻った。
 同じ境遇に合っているはずの迫に会うために。そして、屋上から学園を見渡すためだ。
 まだ、教員たちや部活生たちもいるはずであろうのに、誰ひとりとも出会わない。よその次元に吸い取られたかのように、
あかね一人だけが廊下に足音響かせる。

 「何がおこったのか、さっぱり」

 案の定……いや、またしても目当ての演劇部部室には、迫の姿はなかった。
 裏切りの後には救いあり。あかねの目の前に人影が再び現れたのだから、堪らず声をかけたくなる。
 あかねから話し掛けようと近寄った瞬間。

93 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2014/01/22(水) 19:58:48.47 ID:0KUKYqBz.net
 ……求めていたのはあかねの方ではないのか。
 そうだ。話を仕掛けられたのだ。

 「ここにもいたね」
 「こ、ここに?」
 「『ケモノツキ』たち。ようこそ、宇宙の楽園へ」

 初めて耳にするフレーズであかねを迎え撃つのは、キツネ耳を生やし、秋の穂にも勝る尻尾を揺らしていた少女だった。
 コスプレでもなく、どうやら本物のよう。脳内がなんだか理解することを拒否し始めるから、ぐるぐると目が廻る。

 「戦いの準備は徐々に整い始めてますね。神がお気に召す戦果となれば……」

 服の上からも分かるナイスバディ、黒髪が良質な墨のごとく艶やかで、落ち着いた物腰がキツネの威厳を引き立ている。

 「間もなく戦いが始まります。愚かなる人間どもよ、裁きは終わったのだから。ですの」
 「え?え?」

 夢か、現か。

 キツネ耳の少女がはたと姿を消した。
 キツネにつままれるとは、まさにこのこと。何かにすがることも出来ず、ただただなすすべく。
 キツネ耳の少女でもいい、天月音菜でもいいから、あかねは人影を探しに校内を走った。
 廊下の窓からは依然としてそびえ立つ『魔獣』。普段は気にもしなかった街が急に恋しくなる。
 じりじりとタイマーが回る時限爆弾を抱えている気分だ。今にもあかねの不安が破片を散らして火を噴きそうなのだ。
 保健室、職員室、科学準備室、体育館、図書館。人が集うのに考えうる場所は探し尽くした。

 「久遠っ。迫先輩っ」

 部室で意見が違い、経験差を見せつけられたことさえも懐かしい。
 パソコンルームの液晶モニタは沈黙を保って知らん顔。
 迫を思い出すからと、あかねは迫と荵の名を呼ぶことを諦めた。
 しかし、諦めきれないからもう一度。

 「先輩っ」
 「せ・ん・ぱ・い?先輩はどこですか!閑花ちゃんはここです!がおっ」

 扉の開く音以上に喧しい声を張り上げてやって来た一人の少女。おかっぱ黒髪はロリっぽく、薄暗いモノクロームな部屋を
パステルカラーに染め上げた。

 「あっ!?あかねちゃんがいる?先輩!先輩!先崎先輩がいないんです!尻尾ががびょん!」

 あかねと同級生がいてくれた幸せ。後鬼閑花が救った、あかねの孤独。
 いつもは学園を先輩、先輩ととある男子を追い回している、恋に恋する恋する少女。後鬼閑花という少女だ。
 先輩のことを話さない日がないぐらい、閑花は先輩、先輩と色めき立っていることは、この学園に通うものなら皆知っている。
 オオカミの尻尾を得ようとも、オオカミの耳を持とうとも、閑花の恋心は変わっていなかった。
 閑花はオオカミの大きな尻尾でミニスカートを跳ね上げて、オオカミ耳をくるりと回した。

 「後鬼も……ケモノツキ?」

 あかねは一歩退いて、閑花の姿を目に焼き付けた。

 突然。

 意思を持ったのごとく一斉にパソコンのモニタに光が灯る。電撃を受けたのごとくHDが起動する。
チカチカとLEDが瞬き、物理的にディスクが削れる音にあかねと閑花は戦慄を覚えると、一歩足りとも身動き出来なくなった。
 電脳が全てを支配した仮想現実の世界。だと、解釈しても間違わないだろう。

 それは、一人の声で打ち破られた。

 「戦いの時間です」

94 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2014/01/22(水) 19:59:19.13 ID:0KUKYqBz.net
 あかねには聞き覚えのある声。
 そして、見覚えのあるキツネ耳の少女。
 全てのモニタが操られているのか、同じ顔が寸分違わずに映し出され、二人に語りかけてきた。

 「わたしは『神乃狐(かみのこ)』ですの」

 あかねはもう一度、モニターの中の少女の名を繰り返した。

 「神は人間を見放しました。天地開闢以来、愚かなる生業の繰り返しだと。大地の支配者に人間を選んだことを悔やみました」

 無機質に淡々とした、灰色がかった言葉。
 あかねは息を飲み、閑花は目を見開いた。

 「『このまま人間どものほしいままにしておくにはならない』。神は人間に太刀打ちすべく、動物たちに魔力を与えようとしました。
  しかし、動物たちとはいえ、彼らは獣。魔力を持てど操るすべはありません。そこで、人間たちに憑依させることで意思を持たせ、
  優性なる獣をえり抜き、新たなる支配者として大地に君臨させることにしました」
 
 キツネ耳の少女・神乃狐は機械的な話を淀みなく続けた。

 「神はこの学園に『魔壁』を築くことで結界を張り、『ケモノツキ』としての能力を保持する者だけを『魔壁』の内側に残したのです。
  後は自然の摂理……闘争本能と理性知性を兼ね備えた『ネオ・サピエンス』が生き残るだけ。さあ。倒しなさい、生き残りなさい。
  戦いの始まりです。獣の底からみなぎる魔法の叫びが聞こえませんか。覚醒するときですのよ」

 薄暗い部屋に閑花を囲んで浮かぶ魔法陣。発光した幾何学模様が意味するものを理解は出来なかったが、
閑花は獣の尻尾から得たい知れぬ力を手に入れた感触を掴んだ。ただ、それは……戦うためのものだ。

 ガシャンとけたたましいガラスの悲鳴が静けさを裂き、共に部屋の扉を薙ぎ倒して来襲した一人の……獣。

 「久遠っ」
 「わおっ」

 あかねが校内を血の滲む思いで探していた久遠荵とこんな形で再会するなんて。
 イヌの耳と尻尾を携えた荵がもんどり打ってパソコンルームに飛び込んできたのだから。

 「荵!」

 目の色が緋色に変わった閑花は荵から『ケモノツキ』の臭いを感じた。あかねには荵の周りに閑花と同じ
幾何学模様が浮かんでいることで、荵はもはや久遠荵ではないことを動物的に察知した。

 「イヌはイヌ。オオカミなんぞには……。オオカミの血を絶つときだっ」
 「何もできやしない人間に擦り寄る裏切りの獣に断種の裁きを!」

 荵の口上を受けて、閑花が手を振りかざすと青白い炎が現れる。蛍が纏わり付く幻想を見ているようだ。
 対して荵は尻尾を巨大なる鎌に見立て、ぶんと振りかざすと菜の花にも似た黄色い炎を尻尾の先から放った。

 「わおっ」

 荵が操る炎はやがて弧を描き、弓矢を形作る。きらきらと黄色い輝きを増しつつ、一つの武器に成り代わった。ぴんと張った
弦が冷酷なる武器としての指命を物語り、矢を携えた荵を一人のアーチャーとして成長させていた。それほどの霊力を弓矢は持っていた。
 一方、閑花も同じく炎は一振の剣へと姿を変えていた。制服姿で刃を片手に構えるオオカミ耳の少女。息の音すら聞こえない。
どこで剣の心得を知ったのかなど、疑問に感じることすら愚かしい。二人が武器を持つ空気が全てを支配していた。

 じりじりと間合いを計り、お互いに攻撃を仕掛けるタイミングを伺う。緊張と、そして、あかねにとってはクラスメイトたちが
なぜ武器を手に取らなければならないのかという、声にもならない疑問で部屋は糸が張り巡らされていた。
 とにかく、あかねとしては二人の手を止めたい気持ちだが、人間の言葉を受け入れることなど出来ない二人の状況になすすべなどない。

95 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2014/01/22(水) 19:59:49.97 ID:0KUKYqBz.net
 「がおっ」

 攻撃を仕掛けたのは閑花だった。
 返り討ちを恐れぬ一撃は、まさにオオカミの威厳そのもの。光の筋さえ、冷厳なる畏怖をあかねに与える。
 幸か不幸か刃は荵の手を掠めた。ただ、荵は弦を掴む手を緩めることさえ拒んだ。閑花が体勢を整えるまでに一矢報いたい。
 荵は閑花の尻尾に向かい矢を放った。

 「久遠っ」
 「わうっ」

 閑花の目の前に飛び出したあかねは無我夢中だ。荵は弓矢を一度下ろし、あかねの動きを冷静に緋色の目で見つめていた。
 この空間を匂いに例えると、焦げ臭く、錆の匂いが立ち込めると言えようか。

 「演劇のことだけどっ」

 油断させようとあかねは荵に近づいてゆく。しかし、あかねの声などものとせず、位置を変えた荵はまた一つ矢を携えて閑花の脚を狙う。
動きを封じるつもりだ。しかし、二人とも、今やケモノツキ。ケモノの勘に揺すぶられ、閑花の剣で矢はたたき落とされてしまった。

 「はっ!?」
 「こっち。こっちだよ」

 あかねの眼球に見覚えのある姿。
 黒髪を束ねた、涼しげな目元の少女。
 天月音菜が閑花の肩越しに手招きをしているのだ。どうやって、ここに?そんな疑問など後回し。あかねは天月音菜に駆け寄った。
そんなあかねの行動に怯んだのは閑花だった。ぐらりと足をふらつかせ、隙という隙を荵に見せたミステイク。
 荵がそれを射ない理由などない。

 「とにかく、見せたいものがある」

 あかねを呼ぶ天月音菜は校庭の見える廊下の窓辺に走った。

 窓からは今だにそびえ立つ『魔壁』が不気味さを夜空に描く。ただ、一つ変化が。不気味さも不変でないという希望か、
はたまた気まぐれという不気味さか。不気味さを打ち消すのは、音菜の手に収まるチョココロネ。甘ったるそうで、香ばしい。

 「見てくれ。『魔壁』に揺らぎが」

 確かに音菜が指差す先はゆらゆらと白く光るもやが『魔壁』に掛かる部分が見える。あかねの記憶が確かならば、
閑花と荵の戦いまでには確認出来なかった事象だ。

 「神が全知全能だと信じているのかい?」
 「わかりませんっ」
 「ぼくは見つけたんだ。ケモノツキたちの戦いが始まると、一時的に神の魔力の影響が薄くなることを」

 確かに『魔壁』は神の力でそびえ立っているのだろう。だからか、ケモノツキたちが魔力を発動するにあたって質量保存の法則が
当て嵌まる……と、音菜は言う。

 「神の目を盗め……か。そう思わないか」

 あかねは音菜が髪をかきあげる姿に心奪われていた。そして、ちょっとの隙に荵と閑花のことを忘れかけていたことが恥ずかしくなった。
音菜は落ち着いた物腰で、チョココロネを一口かじる。

 「わかるかい。あのもやは……外界と通じているのさ」

 裏づけはチョココロネ。
 学内では売っていない物だ。だとすれば、外界に出ることが可能だとする一筋の光とも言える。

96 :創る名無しに見る名無し:2014/01/22(水) 19:59:54.45 ID:8FVKwzB1.net
紫煙

97 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2014/01/22(水) 20:00:20.16 ID:0KUKYqBz.net
 「もしかしてっ」
 「今しかない。神の目を盗め!」

 閑花。
 荵。
 そして、今だに出会わぬ迫。
 ケモノツキに選ばれね運命を持とうとも、選ばれる宿命を持とうとも、あかねにとっては大切な人。
 彼らを見捨てて自分だけが甘い蜜を吸えというのか。あかねの頬は赤らんだ。

 「もやが薄らいできた。戦いが終結しているんだ。あと、ながくて5分……」

 天月音菜が窓を背に俯くと、あかねはその姿を見ていることが辛くなってきた。

 「あと4分」

 体の奥が熱い。何も出来ない悲劇の王女を演じているつもりか。
 なんの為の感情だ。哀れんでもらう為のちっぽけなプライドか。

 「あと3分」
 「行きますっ」

 あかねは走る。首輪を外されたイヌのようだ。
 廊下を駆け、階段をすっ飛ばし、パソコンルームに馳せ参じる。
 扉を開けると消えかけた魔法陣の中、苦悶の表情でうずくまる荵の姿があった。

 「久遠っ。今、外界に連れ出してあげるからっ」

 夢中になると重さなど関係ない。荵をお姫様抱っこで部屋から連れ出し、消えかけるもやへ走る。
 見慣れた校内がラビリンスにも似ている魔を誘う。今、あかねが抱えているのは少女だ。ケモノでもない、血の通った少女だ。
外界に連れ出し助かる保障はないが、このまま神に弄ばれるよりかはマシだ。

98 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2014/01/22(水) 20:00:51.00 ID:0KUKYqBz.net
 あと2分。

 校庭の土が見える。
 玄関のコンクリートなど冷たくはない。

 あと1分。

 ざっざっと砂埃が闇に舞う。
 だんだんとあかねの腕が荵の体重で痺れてきた。血が薄らぐ。

 あと30秒。

 「わおっ……」

 荵が目を覚まして跳ね起きる。
 あかねの腕が悲鳴を上げて、荵を大地に落としてしまった。二人共に外界へのもや目前で地面に倒れ込む。
 大地の冷たさは神への反逆の罰か。

 あと15秒。

 音菜はチョココロネをもう一口。

 「また、外界で会おう」

 と、言葉を残した。

 あと10秒。

 「久遠っ。許してっ」
 「わ、わおーっ」

 あかねは両手で荵を脇から抱え上げ、もやへと放り投げた。

 あと5秒。

 もやに吸い込まれたかのごとく、荵はそのまま姿を消し、同じくもやも消えて、再び『魔壁』が厳めしくそびえ立っていた。

 いいんだ。
 これでいいんだ。

 もう、神など信じない。
 だけど、ちょっとは神を信じていいかも。だって、奇跡が起きたんだから。
 あかねは息を切らせながら冷たい大地に両膝を付いていた。


     #


 『魔壁』が現れて二日目。
 依然として校内は閑散としていた。
 あかねは誰かの姿を求め、敬虔な信者に負けないぐらい再び校内を巡礼するように歩く。

 閑花も。
 音菜も。
 そしてキツネ耳の少女・神乃狐も。

 どこに失せた。

 そしてわかっていることは、ケモノツキたちはお互いに戦うこと。ケモノツキにはならない体質もあること。

99 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2014/01/22(水) 20:01:21.50 ID:0KUKYqBz.net
 「すごいですね〜。烏丸も憧れちゃいます〜」

 無い物ねだりは幸せの証。
 昨夜の出来事をあかねから聞いた烏丸アリサは、のほほんとさた返事で事態を甘い綿菓子のようにぱくつく。
 あかねが烏丸アリサと出会ったのは生徒会室でのことだ。立ち寄った生徒会室が紙屑で埋まっていた。黒い墨が滲んだ半紙が
辺り一面に転がって、今までの魔法の世界と違い、一種異様な背景だったからあかねも肝を潰した。

 「上手く書けないんです〜」

 烏丸アリサは書道の筆を摘んだまま、自分の鼻を擦っていた。まるでケモノツキたちの戦いなどなかったのような、
烏丸だけの時間が流れていた。
 制服姿で床に正座しているアリサには、獣の耳や尻尾がない所からあかねはケモノツキではないと判断し、軽く彼女の肩を叩いてみた。
 あまりにも緊張感のないアリサは百年の眠りから覚めたぐらいに驚いて筆を真っ白な半紙に落とした。書きかけの文字が台なしに伏す。

 「ご、ごめんなさいっ。せっかく書き上げていたのに」
 「あうー。……いいんです〜。ゴミにしようか迷っていた所なので、むしろ諦めがつきました〜」

 アリサは惜しそうにただの紙屑と化した半紙を丸め、後ろ手でぽんと塵芥の海に葬った。
 黒髪を束ねた後ろ姿は純和風、前にまわればハーフのような顔立ちがエキゾチック。というスペックを持つ烏丸アリサは、
自覚しているのか、否か、書道の世界に再びふける。

 「烏丸。外界に出られるチャンスがあれば出てみたい?」
 「どうかなあ〜」
 「ケモノツキの姿のまま倒れると、消えてしまうんだけど」
 「それは嫌ですね〜」

 いまいちはっきりしないアリサに半ばあかねは呆れつつ、迷い多いアリサの筆を見守った。
 息遣いすら手に取れる気迫のなか、あかねはアリサの異変に気付いた。筆を動かす間と休める間、明らかにアリサの体がおかしい。
 アリサが息を吐いて筆を止める刹那、微かにイヌの耳や尻尾が生えているように目に映るのだ。

 「もしかしてっ」
 「はい?烏丸、おかしいですか〜?」

 あかねの言葉の続きを想像するのは容易だ。

 ケモノツキになりかけている。


     #


 「まだまだ。地球の新たな担い手はまだね」

 キツネ耳の少女は、校舎の屋上の柵に腰掛けて、学園をぐるりと囲む『魔壁』を眺めていた。
戦いの終焉まで待ちきれない様子で流れゆく雲を数えた。
 数えれば数えるほど、自分が過ごした年数がバカになってくる。ぴょんとスカートを翻し、柵から飛び降りた神乃狐は、
自分の尻尾を膨らませた。同時に胸の大きな二つのものがやゆんよゆんと揺らいでいた。

 「黒咲あかねは……保険ですの。あれほどのケモノツキになり易い子はいないし。お楽しみは取っておかなければね」


     #

100 :創る名無しに見る名無し:2014/01/22(水) 20:02:22.45 ID:8FVKwzB1.net
 

101 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2014/01/22(水) 20:06:21.55 ID:iic2ox91.net
おお。さるさんですっ。
次に投下出来るようになるのは、何時ぐらいかなあ?

102 :創る名無しに見る名無し:2014/01/22(水) 20:09:00.41 ID:kvFAsMWC.net
支援

103 :創る名無しに見る名無し:2014/01/22(水) 20:09:21.91 ID:8FVKwzB1.net
 

104 :創る名無しに見る名無し:2014/01/22(水) 20:23:34.17 ID:mussY5Vy.net
しぇん

105 :創る名無しに見る名無し:2014/01/22(水) 20:23:35.83 ID:GUG0zfGW.net
しぇん

106 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2014/01/22(水) 20:27:27.56 ID:iic2ox91.net
 鏡を前に自分のイヌ耳に違和感を覚える。
 反してか尻尾はぶんぶんと揺れ動く。

 「烏丸っ」

 完全完璧ではないが、烏丸アリサはケモノツキになった。可能性は非常に高い。
 さっきまで羨望の目で見ていたケモノツキ、いざ自分の身に降り懸かると動揺を隠すことなんかできやしない。
それに対してあかねは一つの希望を見出だした。

 「完全なるケモノツキでないとしたら、神を倒すことが出来るかもっ」
 「ふぇっ?烏丸、そんなことできませんよ〜」
 「神はケモノツキ同士を戦わせている。神もまたケモノツキだ。ケモノツキの戦いに倒れたケモノツキは姿を失せる。
  ただ、ケモノツキを倒す為だけに」

 アリサの書き損じを拾い上げ、アリサの前で広げると、お世辞にも上手いと言えない『ほむら』という文字が現れた。
ただでさえ紅顔したアリサが更に赤らめる。

 「ひらがなは難しいんです〜」
 「上手く書けるときもあるんでしょ?」
 「勘ですよ〜、大抵は。烏丸、勘だけはいいんです〜」

 それだけでも凄いのに、あっけらかんとしている烏丸にあかねはちょっとだけ興味を抱いた。

 「そうだっ。外界に出れたなら……一緒に演劇を見に行こうっ。楽しいですっ。それにウチの部……演劇部の公演もあるし、
  迫先輩の演技は凄いですっ。公演は……」
 「どうしようかな〜」

 迫先輩。
 再び、演劇論を交わすことを誓う為に敢えてこの場で名前を出したあかねはつばきを飲んだ。
 その為には……外界に出る方法を考えること。正攻法はダメだった。物理的に『魔壁』を破壊することは不可能。
重機はおろか、自分は魔力を扱うことなど出来ないからだ。せめてケモノツキにでもなれれば……と、弱気がよぎる。
 もし、自分が荵だったら、どれだけ楽になれたか。

 荵?

 「わおっ」

 荵の真似をしてもただ、やるせないだけ。
 恋することと似た感情があかねの胸をちくちくと突き刺す。
 痛くて、痛くて、何かに縋りたくなるし。目の前にある物なんでもいいから、藁でもいいから掴んでみる。
 藁はないけれど、再びアリサの書き損じを摘み上げたあかねは頭上に電球を灯した。


 「荵との戦いで気付いたんだけど、ケモノツキ同士の戦いは人間に決して危害を加えないのっ」

 アリサの書き損じをみくじを結ぶように折りたたみ、一つの結び目をあかねは作った。無意識的に手を動かしていたのだ。

107 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2014/01/22(水) 20:41:35.46 ID:iic2ox91.net
 お節料理のこぶまきみたいな結び目をひょいとアリサに投げ渡した。

 「もしかして神を倒せるのは人間かもっ。でも人間は非力、ケモノツキの力をわたしにっ」

 ぼんっ。
 アリサの手に結び目が乗ると黒い炎が湧いて出た。一瞬の出来事にみな息を飲む。

 「火?」

 部屋の壁にまですっ飛んだアリサは身を縮ませて、黄色く輝く弓矢を手に震えていた。

 それは荵が武器として携えていたものと同じもの。アリサからイヌ耳と尻尾が消えると、弓矢も後を追うように消えた。

 「そうかっ」

 あかねは確信した。神のきまぐれか、荵に憑依させていたケモノをアリサに託したことを。そして、火を操れるのは人間と、
ケモノツキと人間のはざまで揺れ動く烏丸アリサだけ。という希望のすき間風。賭けだ。百パー確実なことなどない。ましてや、
神でもない人間が考えること。それに神もまたドジを踏む。あの『魔壁』のもやがそうだ。魔力がひるんだことを人間に見せたことで
神が何者でもないということを露にしたに等しいのだ、とあかねは言う。

 「この紙屑、みんな折るよっ。日が落ちる前にっ」


     #


 「先輩!先輩!先輩がいないから寂しくって!オオカミは寂しいと死んでしまいます!」

 再び夜がやって来たから、オオカミの遠吠えは止まらない。
 がおーっと天高く雄叫びを上げても、返事は返らず、ただただ力を消耗するだけ。一人ぼっちの閑花は先輩の姿を校舎の上の
神乃狐に重ねた。その背後にはあまりにも大きな満月が重なっていた。

 「まだまだ人間を捨てきれないようね。閑花にオオカミを託したのは失敗立ったかしら」

 上からの眺めは気分がよい。何もかも神が思し召すものなら、血を流すことさえも構わないから。
 キツネ耳の少女……神乃狐の次の一手は決まったようなもの。

 「オオカミに罰を」

 ケモノに成りきれなかったから、恋心を抱いているから、そして荵を仕留められなかったから。
 理由は掘り返せばいくらでもある。地上の閑花が気を許した隙を突いて、神乃狐は尻尾を大きく薙ぎ払った。稲妻が走り、
曇天に包まれる。火花散る校舎はまさに修羅の門。月の明かりが冷ややかに学園を照らしていた。

 「うきゃあっ!」

108 :創る名無しに見る名無し:2014/01/22(水) 20:43:54.61 ID:8FVKwzB1.net
 

109 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2014/01/22(水) 20:50:44.17 ID:iic2ox91.net
 頭を抱えて閑花がしゃがみ込んだ後、真っ白な世界に陥り、聴覚が侵された。キツネの魔力、極まり。
 そして、閑花が正気を戻すと、自分がたくさんのオオカミに囲まれていたことに絶望を感じた。

 「うそ……。たすけて!せ、せんぱーい!」

 じりじりと忍び寄るオオカミたちは四つの足で閑花を追い詰め、恐怖に陥れ、そして『魔壁』を背に逃げ場を奪っていった。

 「やだやだ!オオカミさんたち!しっし!しっし!ハウス!ハウス!先輩が、お前らを倒しちゃうんだから!
  やだやだ!やだ!失せろ!消えろ!バカバカ!わおおおおおお!せんぱーーーーーーい!」


 オオカミが憑依しているはずなのに、オオカミに仕留められるなんて。後悔するものはあるのかと閑花に尋ねても答はなし。
背中から脊髄に渡って冷気が駆け登るのは、まだ人間の世に未練があるからなのか。聞いたこともない脈を打つ音が、喉の奥から
聞こえてくる。頸動脈がこれでもかと異常なまでに氾濫していた。

 「裁きの時間は過ぎた。オオカミたち、処刑人の剣を振り下ろせ!」

 一匹のオオカミが弧を描いて閑花に飛び掛かるとき、閃光のように烈火が走った。オオカミは怯み地上にたたき付けられる。
 そして、目を疑うべきか……あれだけ強固な『魔壁』に炎が燃え移り始めていたのだ。


 「神の目を盗んで、人間の英知で刃を突き立てる。だよねっ、烏丸」
 「烏丸の矢が当たりました〜」

 遥か遠く、弓矢を従えたイヌ耳尻尾の烏丸アリサが、夜中に太陽のような笑顔を見せていた。
 側にはアリサの書き損じを結んだ矢を多数携えた、黒咲あかねの姿があった。

 ケモノには扱えず、人間だけが扱える、長年の知恵。
 火、そして、文字。
 ケモノの魔力を僅かながら持つアリサが書いた文字に、火の魔力が宿ったのだ。
 アリサは矢を片手に弓に装着する。荵のものと同じ弓だが、アリサのものには新たな魔力が加わっている。

 「神様、人間なめちゃダメです〜」

 ぼうっと鏃に結ばれた書き損じに黒炎が点る。それを見たオオカミたちは怯み、後退り、中には逃げ出したものも。
 炎の矢を放つと『魔壁』に垂直に当たり、今まで以上に火勢を増していった。オオカミたちを蹴散らしたアリサは次々と
『魔壁』に炎の矢を打ち込み続ける。黒炎がぼうぼうと、煙を立てて灼熱とともに焼き尽くす。

110 :創る名無しに見る名無し:2014/01/22(水) 20:50:44.82 ID:mussY5Vy.net
しえん

111 :創る名無しに見る名無し:2014/01/22(水) 20:50:45.28 ID:GUG0zfGW.net
しえん

112 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2014/01/22(水) 20:57:15.98 ID:iic2ox91.net
 「なんですって……。神としたことが」

 屋上で立ちすくむ神乃狐の茫然自失加減に、地上の閑花は牙を剥きはじめた。
 何が神だ。
 名ばかりの神は木でこしらえとけばいい。
 存在もしない神は踏みつけられればいい。
 周りは炎で顔が熱い。もう、なにもかも振り乱して、言葉の刃を首に突きつける。

 「ちょ、ちょっと!所詮、あんたは神の使いっぱしりじゃない!」
 「黙せ!ケモノの存在で意見すると言うのか」
 「先輩が黙ってません!」

 炎は止まるすべを知らず、学園を炎の輪が包んでいた。陽炎のように閑花がゆらゆらと炎を背にして立つ。
その姿は見た者誰も忘れられないだろう。そして、あかねが閑花の異常を察知して校舎の屋上を指差した。
余りにもとっさの行動だ。思考が脳に伝わる前に、つられてアリサが指先の先へと矢を放ったのだ。
 雷電を間近で見るがごとくの瞬間、炎の矢は神乃狐の尻尾に当たった。

 「烏丸。凄いよ……」
 「あかねちゃんの方がもっと凄いです〜。あんな大胆なこと、烏丸は出来ません〜」


 ぼうと身を焼き尽くす炎が神乃狐を包み、神の無力さを表す火の柱が屋上に立つ。
 同時に神の魔力が全て失われて『魔壁』の存在も地上から否定されたこととなった。

 つまり、神の力など赤子同然。

 「……面白いですわ。オオカミもイヌもキツネも何もかも、神を信じぬなんてね。よろしい。
  わたしの姿を最後まで焼き付けなさい。愚獣たちよ。それに黒咲あかね……もっと殻を打ち破れ……」

 あかねもよいケモノツキになれたかもしれない。
 神乃狐の夢は潰えた。
 業火の中、神乃狐の炎は何故か、神々しく、そして気高く見えた。
 遠い異国で死者が土に返る儀式を行うのならば、それよりも神秘に満ちた煌きが闇夜を切り裂いていた。
 あかねたちが聞いた、最後のお告げ。
 神乃狐が消えし頃、炎のほしいままにされた『魔壁』が音を立てて崩れ落ちた。
 アリサと閑花のケモノもすっと息を吐くように消えた。

 「勘だけはいいんですよ〜」

 弓矢の腕前を勘のせいにしたアリサはあかねの背後に隠れた。

113 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2014/01/22(水) 21:01:02.94 ID:iic2ox91.net
    #


 学園に現れた『魔壁』の存在が記憶から薄らいで、誰もかもが日常を取り戻した頃。それを象徴するかのように、
講堂の中では演劇部による公演で静まり返っていた。演目は『ロミオとジュリエット』。迫が書き上げた内容だった。
劇は恙無く進行し、一つの見せ場に入る頃、舞台袖であかねはカーテンに隠れて迫と荵の演技を覗いていた。

 「こんな内容なら、わたし出ません」

 迫の台本に不満を持ったあかねのせめてもの抵抗。
 あかねは不名誉を浴びるぐらいなら、役を捨てた方がマシだと言い放ったのだ。

 「勝手にしろ」

 させて頂きます。
 後悔はなかった。

 「ジュリエットはいちどでいいから、ぶとうかいにでてみたいなっ」
 「ほう。随分とませたことを言うではないか」
 「もう6さいだよっ。ロミオはジュリエットのことをずっとこどもあつかいするんだからっ」

 ただでさえ幼く見える荵が演じるジュリエットに違和感を覚える者はいなかった。それはあかねでさえもだ。だから、悔しくて。
 わざわざ繕ったドレスも荵の為に、劇の為に、と精一杯に場を盛り上げる。

 「ロミオっ。イヌになれっ。イヌになってわたしをうばいされっ」
 「よし。わんっ」

 ロミオ役の迫が荵を両腕で抱え上げた。……お姫様だっこ。女子の憧れを台本を理由に迫はためらいなく掻っ攫った。
荵も劇を忘れて頬赤らめるほど。舞台袖からの眺めはさぞかし辛いだろうと、あかねはそのシーンを観劇することは見送って
舞台奥からの階段を降りた。背中越しに聞こえる舞台の声に未練はなかった。

 「黒咲さーん。烏丸からの差し入れです〜」

 黒髪ポニーテールの少女が階段の下でチョココロネの山を抱えて息巻いていた。
 寸志・烏丸アリサ。お世辞にも上手いとは言えない毛筆の手紙がチョココロネを一級上にランクアップさせる。
 あかねは遠慮なく一つ頂くと、『魔壁』で出会った少女の事をふと思い出した。

 「えっと、天月さんってお姉さんがよろしくねって〜。天月さんに教えてもらったんですよ〜」
 「はっ」

 彼女だ。天月音菜だ。

114 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2014/01/22(水) 21:02:29.88 ID:iic2ox91.net
 そばにいるようで姿を見せず、姿が見えないと思いきやそばにいたりする。なんとも天月音菜らしいな、とあかねはチョコの糖分で
平常心に戻る。あかねからは舞台が高く見える。いつもそばにいるはずの荵でさえ、手に届かないもどかしさ。
 ドレスに身を包んだ荵をお姫様だっこをしたまま、ロミオ役の迫が舞台袖にやって来た。
舞台では暗転に入る。シーンのひとくぎりだった。

 「……」
 「どうしましたか〜」
 「なんでもないですっ」

 『魔壁』に囲まれた校内で魔力に操られた荵を抱き抱え、疾走したことがふと蘇る。

 迫よりも早く荵をお姫様だっこしたのは黒咲あかねですっ。ただ、荵さえも覚えていないだろう記憶を抱えたままなど、
あかねにはちょっと悔しい。

 「もうひとつっ」

 食べてわすれてしまえ。
 チョココロネを手に入れることさえ阻む『魔壁』は、すでにないんだから遠慮はいらない。


     おしまい。

意地で投下したじぇ!紫煙ありがどうごさいますっ。


天月音菜
ttp://www15.atwiki.jp/nisina/pages/74.html
烏丸アリサ
ttp://www15.atwiki.jp/nisina/pages/240.html

今年の書き初め、投下おしまいっ

115 :創る名無しに見る名無し:2014/01/22(水) 22:09:10.85 ID:8FVKwzB1.net
おつ

116 :創る名無しに見る名無し:2014/01/30(木) 13:31:34.58 ID:FI0LjDNc.net
いぬわんわん

117 :創る名無しに見る名無し:2014/02/04(火) 22:43:57.32 ID:TreNwgXb.net
先輩!

118 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2014/02/14(金) 19:40:02.81 ID:iWM8hYzW.net
ttp://dl1.getuploader.com/g/sousaku_2/757/sinobu+valentine.jpg

バレンタインでわんわんお!

あかねと後輩ちゃんでSS投下します。
どぞ。

119 :『先輩!長崎は雨ではありません!』 ◆TC02kfS2Q2 :2014/02/14(金) 19:41:08.77 ID:iWM8hYzW.net
 「先輩!長崎です!坂の街は雨模様なんかじゃありません!手を伸ばせば届きそうな海、見渡せばちゃんぽん!先輩ー」

 ステンドグラスが色とりどりな教会の窓を飾る丘。
 『後輩』こと後鬼閑花は真っ青な冬空を突き抜ける声で、遠い『先輩』に声を届けた。
 連休を利用しての家族旅行だ。はるばる九州・長崎にやって来た後鬼家。お目当ての名所も巡り、名物も胃の腑に収めたから、
閑花はこの幸せを遠い空の下の先輩に伝えたくなった。教会までの石畳の坂道は街の表情だ。みな、足で街のご機嫌を伺って日々を過ごす。
 初めてこの地に来た閑花にはまだまだ分からない、地元民だけの伺い方だ。

 「おみやげ、何がいいですか!?やっぱり閑花ちゃんですよね!ずっとお会い出来てないし、
  お正月からためてるんじゃないですか!?閑花ちゃんではぁはぁして下さい!わたしもはぁはぁします!」

 新調した白いダウンジャケットが少し暑いくらいだ。なぜなら先輩の声が聞けたからだ。
 麓の通りに路面電車が行き交うさまが見下ろせる。上り下りの車両が電停に留まり、乗客たちが細い安全地帯でひしめき合っていた。

 「アレですよ!ためてるぐらいなら、閑花ちゃんに下さい!アレです!お!と!し!だ!ま!」

 乗降を終えた路面電車が発進すると同時に先輩との通話は一方的に切れた。閑花の目は少し淋しげに見えた。

 「先輩の声が聞けない日があるなんて。明日からホームシックにかかります!」
 「後鬼っ。旅行?」

 聞けない声が聞こえた。
 聞くとは思っていなかった声だ。

 みどりの黒髪にちょっと高い背丈、黒タイツに包まれた脚。閑花の目の前に現れたのは同じ学年の黒咲あかねだった。

 「こ、こんな所で出会うなんてねー。今日はわんわんおは?」
 「おばあちゃんちが長崎なんですっ。わんわんおはいませんっ」

 すらりとしたあかねは街に溶け込むのが得意だった。足元を飾るショートブーツも文明の町で自然に映える。

 「後鬼は長崎は初めてっ?」
 「初めてです!っか、その名前で呼ばないで!」

 ロリっぽさ残る閑花は街から浮くのが得意だった。足元を飾るくしゅくしゅブーツも履かされている感が否めない。
 閑花はあかねの後を追うが、他人からすればでこぼこな姉妹に見えて仕方がなかった。それでも構わずと言ったところか、
あかねは閑花に見せたい場所があると、賑やかな電車通りから閑静な住宅街の路地に入っていった。閑花の目の前に現れたのは、
石畳敷き詰められた坂道だ。ただの坂道なら、この街には掃いて捨てるほどある。ただ、閑花を圧倒しているのは勾配だ。

120 :『先輩!長崎は雨ではありません!』 ◆TC02kfS2Q2 :2014/02/14(金) 19:43:54.73 ID:iWM8hYzW.net
 「ひょえぇ」

 麓から見上げると、天に昇る竜の様相。閑花の側を駆け登るカブも敬意を払ってか、いや、角度が急過ぎて極端に速度が落ちる。
 地元の人たちは慣れ親しんだもので、気性の荒い聖獣も手の上で遊ばせていた。

 「オランダ坂っ。後鬼が駆け登る動画を撮ってあげますっ」

 あかねは閑花が文句を言っているのも聞かず、閑花のスマホを持って坂道を登った。
 かつかつと踵の音がリズムよく鳴り響き、おさまりつかない閑花を丸め込む。
 坂の中腹であかねは麓の閑花へと振り返り、カメラを起動させて手を振ってみせた。

 「後鬼、オランダ坂を駆け登るまで……さん!に!いち!」
 「ちょっと!だから、その名前で……」

 ぶんと、あかねが手を振り下ろす。動画の撮影ボタンを押す。小さな画面の奥から、小さな体を走らせる姿がだんだんと迫ってきた。
息も絶え絶え、必死に竜の背中を渡る。両手をぱたぱたと、髪を振り乱し、全力で急な坂道を走る。

 「え?電話?」

 スマホは空気を読まない。
 着信をけたたましく主張するから。
 発信主は、先崎だった。

 坂道に格闘して、白い息を吐きまくる閑花ははいつくばりながら、あかねからスマホを奪った。
 先崎の声だ。いきなり電話を切った負い目からか、再び閑花へと発信したのだ。

 「要件なら手短に言えよ」
 「せ、先輩ぃ……はぁはぁ……、先輩は……はぁ。声を聞けて……しあわ……」

 はぁはぁしている閑花の便りに、先崎は迷わず電話を切った。


    おしまい。


最後にバレンタインねた。
「あかねのもうそうにっき」

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投下おしまいです。黒髪ロングにイヌ耳わおー!

121 :創る名無しに見る名無し:2014/02/18(火) 13:12:33.80 ID:pFOlbd8s.net
ごほうびおあずけ。
ttp://dl6.getuploader.com/g/sousaku_2/762/shinobu_inu.jpg

122 :創る名無しに見る名無し:2014/02/18(火) 17:08:38.73 ID:cjlMyHCb.net
ヒドスw

123 :創る名無しに見る名無し:2014/02/20(木) 23:42:13.56 ID:YTEPu8cT.net
参加は自由ですか?

124 :創る名無しに見る名無し:2014/02/21(金) 01:03:58.25 ID:KLgMJHh2.net
もちのろんよ

125 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2014/02/22(土) 23:24:23.97 ID:b9+CtjqO.net
『午前二時の黒鉄亜子』


 空腹に耐え兼ねて、むくりとふとんから跳ね起きる。
 二月も下旬、そろそろ暖かくなっても良い頃なのに、ふとんの外は真っ白な空気で薄ら寒い。
 すべて兄のせいにしておけば腹の虫は収まるものの、やはり腹は空くものは空く。

 午前2時15分、闇が街を覆い尽くし、よい子たちが寝静まる深夜、黒鉄亜子は着る毛布を羽織りひんやりと冷たい廊下を踏み締める。

 一番小さなサイズだが、亜子が羽織ると袖が見事に隠れてしまう。裾を引きずりながら慎重に階段を降りる。ひとりきりだと寂しいので、
手にしたスマホを行灯がわりに歩き慣れたキッチンへの道を進む。うっすらと着る毛布の袖から明かりが漏れるだけで、亜子は安心感を
手にしたつもりだ。ぎしっぎしっと軋む音が墨のような夜に相まって不安を煽ることに亜子は思わずぐずる。
 そんなときはにっくき兄の顔を思い浮かべよう。高笑いする兄の顎目掛けて遠慮なく拳で突き上げる。
 想像の世界とはいえ、亜子は胸の空くような思いでしばし空腹と恐怖を忘れることができるのだ。

 忘れもしない、午後8時49分。冷蔵庫の中のプリンが兄の手によって消滅した。
 たった一個残されたプリンが兄の胃の腑に収められ、亜子の楽しみが叩き潰された。
 9時以降は甘いものを控えよう。女子中学生らしい悩みに、亜子は悩みに悩んで明日に取っておくつもりだった。
 それが兄の胃袋に消えた。

 「己の身は己で守るんだな、亜子。犠牲なくして成長はないぞ」

 戦国武将の高笑いで亜子を愚弄する兄・黒鉄懐は空になったプリンのカップをごみ箱に投げた。
 たったそれだけの行為さえも亜子には屈辱的に映った。
 たどり着くはキッチン。誘惑多き食材の魔窟。スナック菓子に柿ピー、はてはラスク。空腹で理性の制御が不能の亜子がお腹を抑える。
 この間、学校近くの喫茶店で買ったラスクだ。お店で作っている出来立てほやほやのラスクがひとりっきりで相手を待っている。
喫茶店のウエイトレスがぼそりと勧めてきたからつい財布の紐が緩んだ。ウエイトレス……と言うより、大正浪漫の給仕を思わせる袴に
編み上げブーツ、そしてふりふりなエプロンを身につけた娘が「美味しいですよ」とやる気なさそうに呟いた。
 ネコみたいな目で、ネコみたいにマイペース。亜子は給仕に自分の姿を重ねていた。何となく、自分に似ていると。
 妙に沸き立つ親近感を抑えるのはナンセンス。

 「下さい」

 そのまま誰にも食べられることなく残ってくれている事実に感謝。あのバカ兄からでもさえ。
 ただ、今はじっと堪えなければ体重計の神から罰を受けるのだ。

 「……」

 ラスクを包むビニルの音が耳を裂く。

126 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2014/02/22(土) 23:26:01.77 ID:b9+CtjqO.net
 「はっ」

 黒鉄亜子は女子中学生だ。
 花も恥じらう乙女だ。
 ここで誘惑に負けるなら、体重計がきっと兄のように高笑いするだろう。
 魔女の微笑みでりんごの誘い。亜子は短剣の代わりにスマホを目の前に突き出した。
 時間は午前2時18分。この数字を呪文にして、魔女のりんごを払いのけようと亜子は瞬きを繰り返した。
 とにかくお腹が空く。その事実が亜子を苦しめる。空腹さえ紛らわせれば……、亜子は冷蔵庫から牛乳を取り出した。
何も口にしないよりかはましだという亜子なりの打算だ。
 すきっ腹の牛乳は胃を活発にさせた。口一杯に広がる白濁の宴、そして喉を潤す優しい甘味。右手にコップ、左手にスマホ。
親指でぐりぐりと画面を操作して、ひとりっきりの回廊の不安を拭う。

 「……かわいい」

 こんなときにはネコ動画だ。
 くったんくったんと戯れる子ネコたち、イヌとネコの種族差を越えた友情。亜子は子ネコの気持ちで牛乳を口にしていた。
 美味しい。
 牛乳が美味しい。
 もしかして深夜にこっそりと飲むからかもしれない。
 一人酒を嗜む恋に敗れたOLの気持ちが今は分かる。

 生まれ変わったらネコになりたい。いつも甘えて好きなときに寝て食べて。
 スマホの画面に閉じ込められた子ネコたちが、今、とてつもなく羨ましい。ウチの愚兄と引き換えにいかがですか、ネコの神様。
 夢中になって牛乳をまた一口、桜色の唇が白く濡れるという罰を甘んじることなく受け入れて、口寂しくなった舌を癒す為に
ラスクを一つ口にし……。

 「あーっ!」

 にゃー!

 誓いはたやすく破れた。
 夜の誘惑に騙されて、決して食べまいと、兄を打つ拳に誓ったのに。
 亜子の口元をざらざらと砂糖とパンくずが汚し、暗闇の底に乙女の願いがかけらとなって飛散していた。

 午前2時22分。
 外からは一斉にネコたちの声が「にゃー」と年に一度の夜を祝福していた。


  おしまい。

>>123
わお!

ネコの日おめです!
ttp://dl6.getuploader.com/g/sousaku_2/769/ako_amamoto_neko_no_hi.jpg

投下おしまいっす。

127 :創る名無しに見る名無し:2014/02/23(日) 00:17:43.39 ID:aZGEbmU4.net
かわいい

128 :創る名無しに見る名無し:2014/03/02(日) 15:06:15.15 ID:6iuzYNIz.net
>>123です
キャラ把握が難しいですね

129 :創る名無しに見る名無し:2014/03/04(火) 20:57:59.58 ID:AV7KFJXp.net
>>128
先輩、後輩ちゃんの二人だけでも見てください。
あとはなんとかなります。

待ってます。

130 :創る名無しに見る名無し:2014/03/09(日) 21:24:55.00 ID:LoHec8ys.net
!!!! WARNING !!!!

創発のまとめもある「atwiki」が乗っ取られ個人情報流出 ウイルスまみれに
詳細は↓で
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1790512.html

131 :創る名無しに見る名無し:2014/04/06(日) 20:08:07.76 ID:RmQnhAo9.net
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4980164.jpg

132 :創る名無しに見る名無し:2014/04/06(日) 20:23:55.37 ID:Z4XSXXf7.net
ガタッ

133 :創る名無しに見る名無し:2014/04/06(日) 20:49:32.18 ID:RmQnhAo9.net
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4980259.jpg

134 :創る名無しに見る名無し:2014/04/06(日) 21:01:51.19 ID:Z4XSXXf7.net
ビクンビクン

135 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2014/04/06(日) 22:35:39.66 ID:6TzT8AbO.net
>>131
わ、わおおお?
笑顔がこんなに似合うとは、自分でも気付かなかった!!!
あ、あざーーーっす!

>>133
シュッとされとんしゃる!

136 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2014/04/30(水) 10:25:25.51 ID:UbGoQIXB.net
 「こんな……」
 「女子の憧れじゃない?」
 「オオカミですよ」

 脚を組み替えたととろはもう一度オペラグラスを二つの瞳で覗いた。
 視線の先にはととろやあかねと同じ制服姿の女子高生。明るくも落ち着いた髪がレンズ越しに香る。やはり花も身もある
女子高生にはパステルカラーが似合う……はずだが、彼女自身が拒んでいるかのように見えた。
 相手は年上の男性だ。スーツ姿に身を包み、身なりはかなり整っている。かなり、金には不自由しない生活をしていると伺える。
ただ、そこはかとなく硝煙のような匂いがぷんとする、ぶっちゃければ堅気を感じさせない空気が彼の周りには張り付いていた。
抜き差しならない世界に生きる者に似合うのは無彩色。これは誰の目にも見えた。

 あかねとととろは二人が知らない世界をちょっと垣間見た。
 それだけで胸の高まりが止まらない。

 「ふう……」

 オペラグラスを下ろしたととろは自分たちの世界に舞い戻り、それを確認しようと口火を切った。

 「さて、オオカミさんの想いを知った赤ずきんは、どう答えるんでしょうかね!?あかねちゃん」
 「わ、わかりませんっ」
 「出し惜しみなんてずるいよっ」

 うそです。
 オオウソです。
 黒咲あかねはウソツキです。

 これ以上顔を赤らめたくないから、あかねはそっとウソをついた。


   おしまい。

ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/3274/1297603322/261
避難所・タロット企画。11【正義】カップルウォッチャーととろ
去年の夏の企画だけど、できたよー。

ttp://dl6.getuploader.com/g/sousaku_2/794/totoro_justice_.jpg

おしまいです。

137 :創る名無しに見る名無し:2014/04/30(水) 14:09:34.25 ID:eMPTdXhm.net
巨乳だ!

138 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2014/05/01(木) 21:40:09.94 ID:sTIf036P.net
かわいすぎる。登場させちゃった。

烏丸アリサ
>黒髪、碧色の目を持ったハーフの少女。
>肩まで伸ばした髪をポニーテールにしている。
>高校一年、普通科。習字を勉強しているようだ.

http://www15.atwiki.jp/nisina/pages/240.html

イキます。

     『アリサとわんわんおー』


 「わんっ」
 「がぶっ」
 「きゃんっ」
 「わおっ」

 高等部一年の体育はまるでドッグランにいるようだ。ゲージに囲まれた広場で所狭しと駆け巡る一匹の仔犬がいるからだ。
バレーコートに響き渡る鳴き声に生徒一同目を見張る。寒い外とは違って暖かな体育館の中、久遠荵は雪降る庭の仔犬に負けじと
ボール追いかけ走り回っていた。

 買ったばかりのスーパーボールさながら荵は跳ぶ。 
 自分の守備範囲から大きく逸脱していても、隕石かと見紛うスパイクも、右手左手体全体で跳ね返す。

 「荵ちゃん。無理しないで」

 目の前に飛び出した荵には、額に汗を垂らしてしまうこと請け合い。
 いつも大人しい烏丸アリサでさえもだ。

 「烏丸りんが利き手痛めちゃいけないっ」
 「これ、授業なんですけど〜」
 「この後、お昼休みに書いてもらうんだからねっ」

 目を輝かせた荵は、くんくんとアリサの体操着に鼻を近づけた。微かに香る墨汁のにおいで不思議と落ち着くからだ。
 一方、微かに膨らんだ胸に当たりそうなぐらいな荵の髪がアリサの鼻孔をくすぐった。

 「烏丸りんの書道はごちそうだっ」
 「恥ずかしいです〜」
 「恥ずかしいのもごちそうのうちっ」

 とにかく他の生徒の目が気にかかる。アリサとしては、いち早くゲームを続けてほしいとやきもきしていたが、
再開したら再開したでアリサのレシーブを荵が奪ってしまうのだ。業を煮やした体育教師がホイッスルを鳴らした。

 「始めるぞ。久遠!」
 「わおっ」

139 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2014/05/01(木) 21:41:41.67 ID:sTIf036P.net
 ゲーム再開、サービスを迎え撃つはアリサと荵のチーム。
 アリサは右後方、荵はセンター後方を守る。掛け声と共にボールが宙を舞い、放物線を描いてコートすれすれのラインに飛び込む。
 アリサが利き手伸ばしてグーでボールを受け止めようとしたときのこと。荵の脚では間に合わず、水泳のスタートよろしくダイブして、
顔面でボールをレシーブという偉業を成し遂げた。そのままコートに沈んだ荵の周りには人だかりが築き上がっていた。

 落胆と唖然の意味を込めてアリサもまた両膝ついてへたりこんでいた。

 「もう〜」


      #


 程なくして保健室のベッドの中、荵はアリサが制服姿で頭をもたれているのを発見した。
 もじもじと荵と目を合わせることが恥ずべきことかと言わんばかり。

 「べ、別に体育ぐらいで筆持てなくならないし〜」

 表情の読めないセリフは何だか不安を掻き立てるもの。荵がくうぅと鼻を鳴らしていると、アリサは後ろ手で荵に
一通の書簡を差し出した。きれいに折り畳まれた便箋がアリサの性格を良く表し、お世辞にも上手いとは言えない文面と文字が
アリサの不器用さを良く表していた。わざわざ文面にしてアリサの思いを伝えなくても……上のように考えるだろう。
しかし、荵はアリサの手紙を読んで安心をしていたのだから結果オーライだ。

 「ふふっ」

 荵のくすくす笑いにアリサは目を合わせる勇気を持った。

 「メールじゃなくて、筆で手紙なんて烏丸りんらしいっ」
 「あの、あの……メールは……苦手です〜」

 荵はアリサの制服から墨のにおいがしていたことに尻尾を振った。


     おしまい。


ラノベのお試し版っぽく。
ttp://dl6.getuploader.com/g/sousaku_2/797/alisa_shinobu.jpg

ではでは。

140 :創る名無しに見る名無し:2014/05/19(月) 21:29:08.46 ID:4blKa7HF.net
からすまりん

141 :創る名無しに見る名無し:2014/07/23(水) 13:19:15.15 ID:ckO+2sr7.net
先輩!夏休みですよー

142 :創る名無しに見る名無し:2014/08/11(月) 21:01:12.09 ID:caWm4dDc.net
お題ください

143 :創る名無しに見る名無し:2014/08/12(火) 01:30:59.17 ID:1k7b+l52.net
体 操 着

144 :創る名無しに見る名無し:2014/08/12(火) 23:21:32.31 ID:syqgv2uL.net
わう!

145 :創る名無しに見る名無し:2014/10/21(火) 21:42:44.49 ID:q/01qOub.net
先輩!いますか!?

146 :創る名無しに見る名無し:2014/10/24(金) 21:33:59.79 ID:hXkKMfSs.net
わん

147 :創る名無しに見る名無し:2014/10/24(金) 21:42:42.65 ID:sDWfZLh9.net
???「先輩がワンちゃんの鳴きまねをしてると聞いて!」

148 :創る名無しに見る名無し:2014/10/26(日) 18:41:32.63 ID:wjjINfKV.net
http://download1.getuploader.com/g/sousaku_2/869/akane_shinobu01.jpg

荵  「先輩がワンちゃんの鳴きまねをしてると聞いて!」
あかね「ちゃんと座るっ」

149 :創る名無しに見る名無し:2014/10/26(日) 21:14:05.95 ID:4wcA549O.net
おいスカートww

150 :創る名無しに見る名無し:2014/10/26(日) 23:49:25.01 ID:RdCUxHos.net
乙です。
やわらかい雰囲気が良い

151 :創る名無しに見る名無し:2014/12/25(木) 21:13:56.57 ID:aqwjsUGc.net
みんな覚えてる?

http://download1.getuploader.com/g/sousaku_2/891/riccyann_sennsei03.jpg

152 :創る名無しに見る名無し:2014/12/26(金) 02:01:26.51 ID:kzexousL.net
ツッコミに困るwww

153 :創る名無しに見る名無し:2014/12/29(月) 20:14:56.36 ID:ao4Sl2PO.net
ととろのお姉さまー。

ギャルっぽいけど、ひたむきな姿はかわいいやん。

http://download1.getuploader.com/g/sousaku_2/905/totoro_02.jpg

154 :創る名無しに見る名無し:2014/12/29(月) 21:21:25.69 ID:DSxt2CTL.net
むちむち

155 :創る名無しに見る名無し:2015/01/14(水) 18:30:09.32 ID:3Z2PUlbd.net
わんわん!

156 :創る名無しに見る名無し:2015/01/15(木) 23:40:54.54 ID:hhKlJdww.net
この学園に正統派はいませんか?
正統派は!

157 :創る名無しに見る名無し:2015/01/16(金) 00:19:36.34 ID:QzLB9yZZ.net
水玉パンツ先輩ほど正統派はいないと思うんだ

158 :創る名無しに見る名無し:2015/01/16(金) 15:41:24.97 ID:1ousJ0MI3
セミロングもいいと思います。
河内静奈ちゃんもいいと思います。

159 :創る名無しに見る名無し:2015/01/23(金) 13:34:12.56 ID:Z28A5y9e.net
荵「わたしも水玉おぱんつ履けば、水玉おぱんつ先輩みたいな正統派になれるかな」

160 :創る名無しに見る名無し:2015/01/23(金) 13:36:49.76 ID:lllSr6C0.net
某バカ「よし! 俺はブーメランを!」

161 :創る名無しに見る名無し:2015/01/23(金) 21:46:30.87 ID:aUDuUzjE.net
葎っちゃん先生「〇〇くんにぴったりなブーメラン出来たよ!」

→投げる
ぶった斬る
えぐる

162 :創る名無しに見る名無し:2015/01/24(土) 00:38:51.32 ID:eIVSHslz.net
何故水玉パンツが広がったのか

163 :創る名無しに見る名無し:2015/01/25(日) 18:15:44.47 ID:KckmM4un.net
水玉○○○!

http://dl1.getuploader.com/g/sousaku_2/914/suzue_shinobu_sguzuka.jpg

164 :創る名無しに見る名無し:2015/01/27(火) 21:27:59.01 ID:4FwaSygC.net
わんわん!

165 :創る名無しに見る名無し:2015/01/28(水) 01:14:46.85 ID:Sryibmtn.net
でかい(確信)

166 :創る名無しに見る名無し:2015/01/28(水) 14:01:45.97 ID:X+NxwT6k.net
く、俺の純情を裏切った……だと?

167 :創る名無しに見る名無し:2015/01/28(水) 20:27:52.14 ID:AzDi1J+8.net
かわいいは正義じゃよ…
しかし、仁科女子は仔犬系が多いこと…

168 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2015/02/11(水) 18:10:22.75 ID:KLJzf105.net
バレンタインまで早いけど、イキます。


 『先輩!バレンタインまで一週間です!』



 「日曜日は夜這いに出かけー、先輩の寝床に忍び込むー、テュラテュラてゅーらーらー」

 学園の廊下で気持ち良さそうな歌声をあげいたのは恋する乙女・後鬼閑花だった。

 黒髪おかっぱ、一見清楚の魔法に惑わされるスタイルの閑花だが、幻想を木っ端微塵に打ち破る肉食……いや、偏食女子だ。
 閑花が恋い焦がれる『先輩』に対する片想い、一方通行は嵐吹き荒れる御堂筋のよう。恋愛センター試験が実施されたのならば、
『先輩』の教科だけは満点、あとは見るも無残にズタボロだろう。

 「月曜日は一緒にお風呂ー、火曜日は一緒に……きゃはっ」
 
 廊下に浮かれ気分の閑花を無視する方が難しい。教室の窓越しに黒咲あかねが閑花にちょっかいを出した。
 黒髪ロングからオトナのような落ち着いた香りがほんのりと閑花を包んだ。

 「続きは?」
 「ここでは歌えません!テュラテュラてゅーらーらー!先輩!延長しますか?名刺はいりますか?」
 「おことわりしますっ」

 あかねは頬を赤らめて自分の髪を弄っていた。
 如月のなかばはいつも女子たちが浮き足立つ。毎年恒例の風物詩だし、男子もちょっとは気にかかる。

 そう。
 バレンタイン。

 年中無休の発情期の二つ名を頂戴しても違和感ない閑花でも、二月のこの週は箸が転がろうが突き刺さろうが笑っていつづける。

 閑花のいう先輩について、あかねはちょっとばかり知っていた。以前、閑花から写メを見せてもらったからだ。
武将のような名前の割りには乙女らしいシーンを切り取った先輩の写メ。ティーセットを前に洋菓子を口にする先輩の姿を
あかねはよく覚えていた。誠実、勤勉、無味無臭のお手本である先輩はある意味印象に残る。

 「先輩の家でお茶会してたときのですね!食べたことのないお菓子がいっぱいで夢のようでした!」

 ここぞとばかりに閑花は鼻を高くしていた。
 もちろん根拠はない。
 お茶会のときチョコレートで手をべたべたにしてしまった先輩をちょっとかわいいと思った。
 ただ、こんな先輩に惚れた閑花ちゃんはしあわせものです!と表情に薄っすらと表れていた。

169 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2015/02/11(水) 18:10:48.32 ID:KLJzf105.net
 「十四日まであと一週間!」
 「そっか。バレンタインデーだったんだ」
 「準備した?」
 「……」
 「先輩、閑花ちゃん特製のスイートスマイルピュアショコラがお待ちかねですよ!」

 遠くの教室までこの声はきっと届くだろう。
 黒咲あかねがとなりで恥ずかしがろうとも、学園の片隅で先輩と叫んでやる。

 ワクテカ一杯の閑花に対し、あかねは部活のことでバレンタインのことまで構うことができずに頭がお留守になっていた。
 演劇部に籍を置くあかねは今春の公演が近付くことに、閑花の歌が柱に正の字を刻んでいるように聞こえていた。
いや、公演以前の問題、公演のお題についての問題があかねを苛めていたのだ。

 「後鬼さあ。やっぱりシンデレラは女子の憧れじゃない?」
 「……。演劇のはなし?そうですよ!一度は憧れるドレス、舞踏会、そして王子さま!まっ、先輩の魅力にはほど遠いですけどね!」

 いかにも。
 演劇のはなし。
 
 「だよねぇ」

 拳を突き上げた閑花をあかねは「やっぱり」と言いたげに見つめていた。

 「あかねちゃん、女子たちの底力を見せてあげましょう!」

 公演のお題のことを考えると、閑花の叫びをすぐには賛同出来なかった。


    #


 帰り道、閑花の脚は羽根が生えたようだった。途中で寄った公園の木々に一足二足早い桜が咲いているような気分で
池に掛かる橋を渡った。池の上は風が良く通るから寒さが倍増する。制服の上から羽織ったダウンジャケットが仕事をしてくれて頼もしい。
 もうすぐ先輩の笑顔を見られる日が来る。きっと笑ってくれるはずだと閑花は歌う。池の周囲を走るランナーや
自転車の集団に聞こえようとも構わないぐらいの上機嫌だった。

 「水曜日は股ドンされてー、木曜日は股ドンがえしー、テュラテュラてゅーら……ら?」

 風が止まった。 

 「……先輩!」

 閑花の足が加速。全ては先輩にたどり着くためだけに。
 橋詰に立つ先輩こと先崎俊輔目掛けて閑花はローファーの底を踏み鳴らす。

170 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2015/02/11(水) 18:11:14.46 ID:KLJzf105.net
 すべては、先輩のために。
 すとっと先輩の目前で足を揃えて立ち止まる閑花の開口一番。

 「先輩!今度の土曜はバレ……」
 「あー。忙しいんだよな、土曜は」

 土曜は学校が休日だ。さらに今年のバレンタインは土曜ときたもんだ。
 閑花が先輩と出会うには無理にでも自ら行動すべし。攻撃は最大の攻撃だ。

 「今度の土曜日は閑花ちゃんと如月フェヴラリーですね!早い話がおデートです!」
 「ちょっと、ムリだな。演劇部がな、おれを必要としているらしい」
 「え?舞台デビューですか!閑花ちゃん、砂被りでガン見しちゃいますよ!」
 「バッカスもミスキャストはしねーだろ」
 「ところでところでところで先輩!土曜はわたしと一緒にチョコレイトを……」
 「ごめん。お前に会ってる暇はねーだろな」
 「ならば靴箱に……、閑花ちゃんの靴箱でもいいですよ!チョコを入れておきますから、ついでに閑花ちゃんの上靴、くんかして」」
 「一年のヤツと約束してるんだ」
 「え?」

 閑花は過る不安を抱えつつ、一年のヤツの名を尋ねると、思った通り先輩はあっさりと「黒咲あかね」と答えた。

 「せ、せんぱい!?」
 「じゃな。ちょっと準備しないといけねーから」

 先輩の脚は早く、閑花との間が離れてゆき、断絶の宣誓と言わんばかりに学校帰りの自転車の集団が横切り二人を阻んだ。

 「据え膳食わぬはなんとやらー!!」


     #


 自宅のベッドにうつ伏せでふて寝する閑花は制服のままだった。
 大きく息を飲み込むとそこまで大きくない胸が張り裂けそうになる。

 「木曜日はチョコを溶かしてー、金曜日はふとももに……テュラテュラてゅーらーらー」

 消えそうな声で『一週間』を歌うもの、気分は晴れることはない。
 土曜は忙しい。すれ違うことが出来るかも微妙。チョコを渡して、あれやこれや。演劇部の手伝いだと申していた。
演劇部のあかねのために先輩がぶんどられてしまうと思うと、あかねの黒タイツにすら嫉妬してしまう。

 「……よしっ。こんなことで負けるような閑花ちゃんじゃありません」

 ベッドから跳ね起きると、閑花は土曜日のチョコレートを作るために台所へ向かった。



     #


 休みの日なのにも関わらず、閑花は学園へと向かった。勿論、先輩にチョコレートを渡すため。
 ライフル片手に戦場へと単身立ち向かう気持ちにも似ている。先輩の靴箱に隠しておこうかとも考えたが、
直接手渡す手段を選んだ。隙あらば抱き付いたり、口で食べさせたてあげたりできます!と、桃色のオオカミが舌舐めずりをしている。

 今頃先輩がいるであろう演劇部の部室へと足を運んでいると、聞き覚えのある足音が響いた。

 「先輩!」

171 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2015/02/11(水) 18:11:51.51 ID:KLJzf105.net
 廊下に先輩はいる。
 小走りを全力にギアチェンジすると、先輩こと先崎俊輔が演劇部の黒咲あかねと並んでいるところに遭遇した。
あかねは箱を抱えて先輩に深々と頭を下げているようにも見えた。

 「わたしの力不足でしたっ」

 ぶんと揺れる長いみどりの黒髪からはクローバーが舞い散るようにも見えて、あかねの悔しい思いが閑花にも伝わってきた。

 「結局、じに子先輩の案に決まりました」
 「そっか。チョコレートフォンデュの機械を持ち込んでまで勧めたのに、残念だったな」
 「はいっ。本当はチョコをパンに浸す実演を見せたかったんですけどね……」

 今春の公演のプレゼン会議が演劇部の部室で行われていた。
 王道なあかねの案の『シンデレラ』を通すためにはプラスαが必要だ。劇中でチョコレートフォンデュを嗜むシーンを描き、
そしてそのシーンをここで再現する。食べ物が嫌いなヤツはいない。創造を具現化させることによって他の案より一歩
アドバンテージを得る作戦だった。だが、その機会を得ることなく、あかねの案は却下された。

 「確かに、じに子先輩の案は面白かったですし」
 「黒咲。まだまだ勉強だな」

 あかねに声をかける先輩に嫉妬しつつ、閑花はあかねが持つ箱に目が止まった。

 「先輩!その機械……」
 「ああ。黒咲がな、おれとお前の写メを見てこの機械を使いたいってな。お茶会で食べたことのない菓子を並べたときの」

 そうだった。
 閑花は自分があかねに先輩とのティータイムのときの写メを見せたことを思い出した。
 チョコレートで手をべたべたにしてしまった先輩をちょっとかわいいと思った。

 先輩はあかねに「じゃ、気を落とすなよ」と声をかけてチョコレートフォンデュの機械を受け取ると、振り向きもせずにこの場を去った。

 「先輩!」

 閑花が叫ぶ。
 背中を向けた先輩に恋の嵐が吹きすさぶ。
 オオカミの遠吠えかと聞き間違う。

 「せ、せ、先輩!一緒にチョコレートフォンデュを食べましょう!今日は……バレ」
 「ああ。暇になってしまったからな」

 後姿でも分かる。先輩の顔が。
 閑花は頬を真っ赤にして先輩の背中に飛びついて歌った。

 「土曜日ははバレンタイデー、テュラテュラてゅーらーらー」

 バージンロードのような廊下で二人を見送っていたあかねはポケットから小箱を出してくんくんとにおいをかいでみた。
 クローバーの飾りの付いた小箱からは閑花と先輩にも負けないぐらいなチョコレートの甘い香りが漂ってきた。


   おしまい。


http://dl1.getuploader.com/g/sousaku_2/917/shizuka_05.jpg

わお!

172 :創る名無しに見る名無し:2015/02/12(木) 14:35:14.01 ID:FrxZFrDq.net
あなたもネットで告発しませんか?

ビッ苦カメラ札幌店 佐藤伸弦 暴行事件

173 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2015/02/13(金) 23:31:34.18 ID:if2WLHFA.net
http://download1.getuploader.com/g/sousaku_2/920/akane_ako.jpg

亜子「お兄ちゃん!捕まえて!」

174 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2015/02/22(日) 19:36:03.20 ID:bEPiFsev.net
ねこの日ですね。
イキます。


 「用件は手短にな」
 「子猫を探してほしいんです」
 「ほう。特徴は?」
 「雪のように真っ白な子猫です。翡翠のような目をして……」
 「用件は手短に」
 「昨日から居ないんです。お金はいくらでも支払いますから」



 演劇部の部室にて。ノートパソコンの動画を見ながら、机の前で迫先輩は手に顎をのせてうなった。
 この間撮影した練習での本読みの出来が気に食わないからだ。部長である迫は何度も繰り返し再生し、問題点と追究していた。
 シチュエーションは古びた探偵事務所。工場群を臨む窓の景観が殺風景だ。そこに迫が青年探偵、そして依頼者の少女が久遠荵。
そこまで描きこまれた上での次回演劇部公演の練習だった。使い古された設定の舞台だが、迫は敢えてそれにチャレンジをした。
王道こそ良さがある。古典こそ自分たちを受け入れてくれる器があるし、それだけに手厳しさをじわりと感じる。

 ノートパソコンの画面は動画が停止状態のまま、迫と荵がフルサイズで固まっていた。
 男子としては背の低い迫と、女子としても小柄な荵。そんな二人が演じる『青年探偵と少女』という素敵な設定にキャラがついてこない
ことに迫は頭をひねっていた。画面を覗き込んできた荵も迫と同じ思いで、そして同じ格好で首をひねる。

 「どうしてかな」
 「おれのせいか?くたびれた感が出せてないのか?」
 「迫先輩は迫先輩で堂に入る演技だなっ?」

 脚本は最高だが、それに演者がついてこないルートをたどる。
 あとちょっと。あとちょっとなのだが、なかなか正解が見えてこない。

 「そうだ。思い切ってキャラを変更しよう。久遠が少年役だ」
 「わおっ。すごいなっ」
 「逆を考えることは大事だしな」

 元々の脚本は少女が子猫探しを依頼する。
 それを少年にキャラを変更した上での再演だ。芝居がしっくりこないのはキャラと役が合ってないことが原因だと仮説を立てた。
 ぴょこんと跳ねてスカートを翻したた荵は役に入るため目をつぶった。荵の記憶や経験の中での少年とは……。
引き出しをそっと一つ一つ開けてゆく。深呼吸で調子を整えるとゆっくり荵のそこまでない胸が揺れる。

175 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2015/02/22(日) 19:36:29.08 ID:bEPiFsev.net
 「用件は手短に」
 「子猫を探してほしいんです!」
 「特徴は?」
 「雪のように真っ白な子猫です。翡翠のような目をして……」
 「用件は手短に」
 「昨日から居ないんです。お金はいくらでも支払いますから!」



 がらっと部室の扉が開くと、そこから黒咲あかねが迫と荵の演技を凝視していた。
 勿論、あかねも演劇部。二人のやり取りを眺めつつ、くんくんと漂う空気を嗅いでいた。

 「んー」

 あかねの一言で演技は止まった。
 あかねの嗅覚は敏感だ。
 あかねの感性は自然だ。
 この一言に荵は振り返る。

 「あかねちゃん!わたしの演技がおかしいのっ?」
 「いや。迫先輩ですっ」

 あかねのみどりの黒髪がふわり……と、深く椅子に腰掛けた迫に向かって指差した。
 迫はメガネのつるを指で摘み、すっくと立ち上がった。一抹の不安がよぎる証拠だ。

 「一部の女子にとってはご褒美的なカップリングですけど、逆に言うと新鮮味がないですね」
 「何だそれは」
 「せっかくわたしたちの舞台を作るんだから、何か彩り豊かな、見たことのないような……」
 「そうだっ。迫先輩とあかねちゃんが入れ替わったら?」

 ナイスアイデア頂きました。ぴょこんとあかねは頷いて、素早く迫の座っていた椅子に深く腰かけた。

 「わたしはとある女探偵。両親を失い、兄にも裏切られた天涯孤独の身。あるきっかけで探偵業を営むところに
  少年の依頼者が舞い込んだ。『子猫を探して欲しい』と」

 ひらりと短いスカートをなびかせて、黒タイツに包まれた長い脚を組む。ほんの数秒間、何気ない仕草でも、
演劇一筋の迫にはどきりと心臓を突き刺すみのだった。迫のメガネにはしっかりと焼きついたであろう。

 女探偵にあかね、依頼者の少年は荵。それを見守るのは迫。
 そんなよこしまな気持ちを振り払い、迫の合図で女子二人は芝居を始めた。

176 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2015/02/22(日) 19:36:55.53 ID:bEPiFsev.net
 「用件は手短にね」
 「子猫を探してほしいんです」
 「ふーん。特徴は?」
 「雪のように真っ白な子猫です。翡翠のような目をして……」
 「用件は手短に」
 「昨日から居ないんです。お金はいくらでも支払いますから」



 迫は名匠の視線でワンシーンを見守っていた。
 いかに感情に訴えるか。
 瞬きする間も惜しいほどだ。

 「うん」
 「どうですかっ」
 「悪くはないな」

 黒タイツの脚を組み直しながらあかねは迫の批評を受け止めていた。
 悪くはない。完成ではないというこか。点数ならば94点。100点満点ならば、せめて126点は欲しい。
 あかねは指を頬っぺたにくっつけてしばし思案を巡らせていた。

 「悪くはないんですねっ」
 「ああ」
 「じゃあ、どうすれば『悪くはないことではなくなる』んですかっ」

 迫の些細な表現に少し納得がいかないあかねは立ち上がり抗議した。

 「それじゃ……迫先輩と久遠を入れ換えてみたらどうですかっ」
 「あまり変わらないじゃないのか?」
 「迫先輩。チャレンジなくして物は生まれませんっ」
 「逆を考えることは大事だなっ」

 荵の頭上に白熱灯が点る。
 わんっ、と尻尾フルスロットル。
 敏感なドッグ犬耳も跳ね起きる。

 「おれが依頼者の少年役、久遠が少年探偵か」
 「ではなく……」と後姿で返事をしたあかねは部室のクロークを漁っていた。 


      #

177 :わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2015/02/22(日) 19:37:29.84 ID:bEPiFsev.net
 「だからと言って、おれが制服を着る理由は何だ」
 「かわいいは作れますっ」
 「必要か?この舞台に」
 「メガネっ娘はそんな言葉使いしませんよっ」
 「わおー。こんなにニーハイが似合うとは思わなかったなっ」

 あかねと同じぐらい短いスカート履いて、荵と同じぐらいの胸をカーディガンで覆う。
 ウィッグのセミロングの髪が奇跡的に迫の地毛と溶け込んでいた。
 元々小柄な迫は無難に女子の制服を着こなしてしまう。あかねは僅かながらに嫉妬を感じつつ、手のひらで動かせる枷を
迫にはめたことで優越感に浸っていた。
 今の迫を名付けるとすれば、どんな名前がふさわしいだろう。とりあえず「文彦」という名は捨てておいて。

 男の娘は無敵だった。

 「自然過ぎますね……」
 「いや。十分異質なんだが」

 しばらく迫を見つめ舐めしていたあかねは「そうだっ。萌えプラスですねっ」とクロークを再び漁った。
 
 「えっと、ネコミミカチューシャは……」 
 「おい!久遠、黒咲を止めろ!」
 「逆を考えることは大事だからとめないぞっ」

 あわてる迫を遮って「わたしからあまがみを奪うとこうなるぞっ」と荵はニーハイに包まれた迫の脚をあまがみした。


      #

178 :わんこ ◇TC02kfS2Q(代理):2015/02/22(日) 19:54:00.09 ID:V5wFGu+2.net
 高校の演劇部に萌えが必要かどうかはさておき、迫はネコミミを生やしていた。
 ついでというか、当然か、尻尾も立派に生やしていたことにも異論はない。
 迫先輩に萌えを添加した結果、舞台に彩りが添えられた。
 男の娘にヒーハーするもよし。
 恥じらう迫先輩をなぶるもよし。

 「じゃあ、撮影しますから、シーン01『探偵事務所にて』はじめっ」

 少年探偵に荵。そして子猫探しの依頼者は……男の娘・迫。
 携帯を二人に向けてあかねは合図を出す。やはり、演劇一筋の迫はパブロフの犬だった。



 「用件は手短に」
 「子猫を探してほしいんです」
 「特徴は?」
 「雪のように真っ白な子猫です。翡翠のような目をして……」
 「用件は手短に!」
 「昨日から居ないんです。お金はいくらでも支払いますから」



 動画撮影停止の電子音だけが響く。
 SDカードに迫の女装姿が納められた証拠だ。
 迫はスカートを抑えて太ももに感じる空気に遮ろうと恥らいつつも、演劇部部長として出来を気にしていた。

 長い沈黙が迫を羞恥プレイへと誘う。
 打ち破ったのはあかねだった。

 「やっぱり、前のパターンがいいですっ」
 「おい」


    おしまい。


アニメ化進行中です。うそです。
http://download1.getuploader.com/g/sousaku_2/923/nisina2015222.jpg

179 :わんこ ◇TC02kfS2Q:2015/02/22(日) 19:54:54.07 ID:8BPNVBLa.net
 高校の演劇部に萌えが必要かどうかはさておき、迫はネコミミを生やしていた。
 ついでというか、当然か、尻尾も立派に生やしていたことにも異論はない。
 迫先輩に萌えを添加した結果、舞台に彩りが添えられた。
 男の娘にヒーハーするもよし。
 恥じらう迫先輩をなぶるもよし。

 「じゃあ、撮影しますから、シーン01『探偵事務所にて』はじめっ」

 少年探偵に荵。そして子猫探しの依頼者は……男の娘・迫。
 携帯を二人に向けてあかねは合図を出す。やはり、演劇一筋の迫はパブロフの犬だった。



 「用件は手短に」
 「子猫を探してほしいんです」
 「特徴は?」
 「雪のように真っ白な子猫です。翡翠のような目をして……」
 「用件は手短に!」
 「昨日から居ないんです。お金はいくらでも支払いますから」



 動画撮影停止の電子音だけが響く。
 SDカードに迫の女装姿が納められた証拠だ。
 迫はスカートを抑えて太ももに感じる空気に遮ろうと恥らいつつも、演劇部部長として出来を気にしていた。

 長い沈黙が迫を羞恥プレイへと誘う。
 打ち破ったのはあかねだった。

 「やっぱり、前のパターンがいいですっ」
 「おい」


    おしまい。


アニメ化進行中です。うそです。
http://download1.getuploader.com/g/sousaku_2/923/nisina2015222.jpg

180 :創る名無しに見る名無し:2015/03/07(土) 06:50:38.09 ID:DHS0nX/h.net
にしにゃんペロペロ…

なんでもない。

181 :創る名無しに見る名無し:2015/03/15(日) 10:14:42.70 ID:IZ3zzLXz.net
http://download1.getuploader.com/g/sousaku_2/928/pantu.jpg

182 :創る名無しに見る名無し:2015/04/03(金) 07:12:45.62 ID:naYGUfE7.net
お題ください

183 :創る名無しに見る名無し:2015/04/03(金) 08:07:04.67 ID:jp9gyxzQ.net
怪我

184 :創る名無しに見る名無し:2015/04/04(土) 02:08:21.53 ID:0aEjBNLb.net
教師!

185 :創る名無しに見る名無し:2015/04/11(土) 22:54:40.76 ID:VzELJtGW.net
教師陣とのからみ、あんまり見てないね。そういえば

186 :創る名無しに見る名無し:2015/04/26(日) 11:09:58.85 ID:iFaxtVgZ.net
ゴールデンウィーク、みなさん何すんの?

187 :創る名無しに見る名無し:2015/05/05(火) 00:10:37.29 ID:xrqqJ3pn.net
わん!

188 :創る名無しに見る名無し:2015/08/02(日) 08:38:44.23 ID:shMjtjgW.net
ぬこっぽ

189 :創る名無しに見る名無し:2015/08/28(金) 07:14:06.55 ID:u9lSQczO.net
わんわん

190 :創る名無しに見る名無し:2016/03/30(水) 14:12:15.09 ID:wWopkfYe.net
.

191 :創る名無しに見る名無し:2016/06/11(土) 00:35:31.56 ID:D1CfULuh.net
支援

192 :創る名無しに見る名無し:2016/08/31(水) 04:41:08.29 ID:cOHXDcjI.net
a

193 :創る名無しに見る名無し:2017/12/27(水) 10:41:45.53 ID:C1Z7QFDy.net
家で不労所得的に稼げる方法など
参考までに、
⇒ 『武藤のムロイエウレ』 というHPで見ることができるらしいです。

グーグル検索⇒『武藤のムロイエウレ』"

CCBFESKBER

194 :創る名無しに見る名無し:2018/03/03(土) 18:23:18.41 ID:+Q3erOLd.net
男の娘いますかー

195 :創る名無しに見る名無し:2018/05/21(月) 06:19:02.41 ID:tRZnwP6O.net
知り合いから教えてもらったパソコン一台でお金持ちになれるやり方
参考までに書いておきます
グーグルで検索するといいかも『ネットで稼ぐ方法 モニアレフヌノ』

KW3OJ

196 :創る名無しに見る名無し:2018/07/03(火) 21:27:13.95 ID:f1dClnnX.net
8DJ

197 :創る名無しに見る名無し:2018/10/17(水) 15:54:27.54 ID:ZU7x6aHX.net
中学生でもできるネットで稼げる情報とか
暇な人は見てみるといいかもしれません
いいことありますよーに『金持ちになる方法 羽山のサユレイザ』とはなんですかね

ZG5

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