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【なりきりリレー小説】ローファンタジー世界で冒険!4

1 :伝説を謳う者 ◆uVQKW6f//c :2014/02/21(金) 23:28:46.62 ID:Egjk7Vkt.net
有り得ないけどどこかにあるかもしれないもう一つの地球――

これは、科学と魔法の混在する不思議な世界で紡がれる、脚本無き冒険活劇。

可能性は無限大! 主人公は君自身!

物語の世界を駆け抜け、誰も見た事のない伝説を紡ごう!

詳しくはこちら
いやはての書庫〜ローファンタジー世界で冒険!まとめwiki
http://www48.atwiki.jp/lowfantasy/pages/1.html

避難所
時空の狭間―多元円環世界掲示板―
http://www1.atchs.jp/lightfantasy/

2 :アルテナ ◇yG7czCnxXA:2014/02/21(金) 23:34:59.34 ID:Egjk7Vkt.net
>「うーん……そりゃあ多分無理だな。
アイン・ソフ・オウルっていうのはある日突然よく分からんクッソ汚い淫獣に与えられる便利能力じゃない。
その人が持つ世界のこと、つまり存在そのものなんだ。
繋がってるんじゃなくてそれ自身ってわけ 」

「ふーん。ってことは魔力の類いではないってことなのね。
じゃあアイン・ソフ・オウルの力って
(私は超常的な印象を受けたのだけど)
実際は肉体から生み出されている解析不能の不思議な力ってことでいいの?」
フォルテの言う人のもつ世界。
それは一見、魂などに分類されるようなオカルト的な分野にもみえる。
でもフォルテは分割出来ない人の存在そのものだと言う。

「っていうかフォルテ。
あんたやたらアイン・ソフ・オウルのことに詳しいのねぇ」
今ごろになってフォルテのことを不思議に思う。
童話の妖精のように現れた少年。
彼と会ったときからアルテナの人生は変わった。(良くも悪くも…)

>「そんな訳で便利に付けたり外したりはできないんだけど、
途中で性質が変わる事は無くは無いみたいなんだ。
見て。脳が都市管制システムに接続されてるみたいだ。
彼女の精神を通して都市管制システムへのアクセスを試してみて欲しい。
何か分かるかもしれない」

「へぇ…。なるほどねぇ。私、危うく間違うとこだったわ。
なぜって怠惰のアイン・ソフ・オウルの力って恐ろしく強いじゃない?神様的にすごいの。
だから余計な心なんてほとんどないのかもって思ってた。
生まれてすぐに生体コンピューターに接続されたと思ってたし……。
でもそれは間違いだったのね」
フォルテに聞いたアイン・ソフ・オウルの仕組み。それは人のもつ世界。
としたら最強の怠惰が元からそれのみの純粋な怠惰のはずもない。
過去に人としての人格、怠惰を生み出した過程もあるはずなのだ。

「えっと、どうしよ。
都市管理システムにアクセスするだけでいいのかな?
少女が呼びかけに答えてくれたらいいんだけどね……。
もしダメならコレクターで少女の夢のなかにクラッキング(侵入)することも可よ。(精神のみ)」
アルテナはコレクターを一同に
手渡すと、
自身も髪飾りのように身に付ける。
そしてサイコハンマーで静かに装置を叩いた。

「できたらゲッツ君にも手伝ってほしいんだけど……。
マーくんだけでファイアウォールを破れるかしら…」
アルテナは作業をはじめた。

3 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2014/02/22(土) 01:54:24.76 ID:xjVUdKi0.net
>「ふーん。ってことは魔力の類いではないってことなのね。
じゃあアイン・ソフ・オウルの力って
(私は超常的な印象を受けたのだけど)
実際は肉体から生み出されている解析不能の不思議な力ってことでいいの?」

そう聞かれて少し考える。
ゲッツを見ていたら確かに肉体から生み出されている、と見えなくもないけど
上位のアイン・ソフ・オウルはむしろ人間みたいな肉体を持ってない奴が大多数だ。
大昔のよく分からん神々とか母さんとか母さんとか。

「どこから生み出されているかは分からないけど存在の本質は肉体じゃないんだなあ、きっと。
少なくとも悪い物に取り付かれてる、なんて都合のいいもんじゃないから
憑き物を取るように怠惰だけを祓うのは不可能ってこと。
魔力の類いかもしれないけど”ただの”魔力ではないのは確かだな」

そう、アインソフオウルは魔法とか異能とか、そんなチャチなもんじゃねえ!
もっと恐ろしい物の片鱗が見えるぜ……!

>「っていうかフォルテ。
あんたやたらアイン・ソフ・オウルのことに詳しいのねぇ」

「この世界は人の心で出来ているんだ――って言ったら信じる?
オレもバニブルの地下にいる凄い人に教えてもらっただけなんだけど。
信じるなら後で教えてあげる。
あ、バニブルっていっても国家司書じゃないぞ、もっとすごい人」

元国家司書ヴェルザンディ、現――傲慢のアイン・ソフ・オウルの事を少し思い出す。
あの人の場合は国を想う鋼の意思が皮肉にも厄災の種の恰好の苗床となった。
厄災の種はその人が持つ性質を極限まで悪の方向へ暴走させる。
ヴェルザンディだけじゃない、ミヒャエルもそうだ。あれ? という事は……?

4 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2014/02/22(土) 01:55:20.00 ID:xjVUdKi0.net
「コイツも厄災の種のせいか……!?」

>「へぇ…。なるほどねぇ。私、危うく間違うとこだったわ。
なぜって怠惰のアイン・ソフ・オウルの力って恐ろしく強いじゃない?神様的にすごいの。
だから余計な心なんてほとんどないのかもって思ってた。
生まれてすぐに生体コンピューターに接続されたと思ってたし……。
でもそれは間違いだったのね」

「確かに枢要罪には最初っから神様的にすごい奴もいる。でもコイツは多分違う方の部類だな……」

>「えっと、どうしよ。
都市管理システムにアクセスするだけでいいのかな?
少女が呼びかけに答えてくれたらいいんだけどね……。
もしダメならコレクターで少女の夢のなかにクラッキング(侵入)することも可よ。(精神のみ)」

コレクターを身に付け、浄子さんに声をかける。

「浄子さん、本人が聞いてほしいと思っている心の声は聞こえるんだよな?
コイツが今の状態から脱する事を望んでいるのが本当なら、いけるかもしれない。
オレも手伝う」

さっきの顕現戦と同じ要領で、相手の領域を乱さないように静かに入っていく作戦。
そうだな、コイツはまさに”眠り姫”。
この曲は人間として生きた時代が無けりゃ話にならないのだが、駄目で元々だ。

「永遠に続くような 木々の道はまるで深海
一度だけくれたキスに  よく似た風が吹く森

永遠に続くような 木々の間で辿る星屑
連れて行って欲しかった 私とあなただけの場所

恋した胸が痛くて この体横たえても 蘇る言葉 
息吹 求めた愛は儚く 思い出を抱いて眠る 私は眠り姫」

5 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/02/24(月) 23:44:08.72 ID:j7Ccg0Ot.net
>「――私は怠惰の世界の具現。アイン・ソフ・オウル、バアル・ペオルの代弁者。
…………私は怠惰を得ぬ代わりに怠惰以外を得ている。
故に、死という怠惰を持たぬ故に私は生きている。――――私を殺すことはかなわない」

「バアル・ペオル?」

私は怠惰の世界の具現と名乗りし者はバアル・ペオルという人名おそらくは名前と
その代弁者であると語る。
そんな最中、アルテナがホバークラフトを操って自分達回収するつもりらしい。
同時に攻撃を続けるがフォルテによって強化された彼女自身の持つハンマーによる攻撃も
機銃による攻撃も耐え凌ぎ、難なく顕在している。
だがその事自体には脅威を感じつつあるがそんな事が重要では無い
幸いにも簡単に身体を動かせるほどになってきたがそれよりも続く言葉に真剣に耳を傾ける。

>「……揺らがんな。……それでは、私の妹を起こすことは叶わん。
マモンは貴様らならば奴を起こせると語っていたが――期待はずれだったようだな」
「…………私は、上がりたいのだ。この世界から、このシステムからの開放を。
朽ちているのに朽ちることを許されず、眠りたいのに眠ることを許されぬ。
それを貴様らが終わらせてくれると聞いた故に――ここに居る。…………まだだ、まだ足りん」

>「私は怠惰を許されない。死しても、眠りたくとも、座したくとも」

「何を言っているのだ…?先ほどからお前達はいやお前は――」

この世界のシステムから解放されたい、確かにそう言っている
アインソフオウルとはこの世界の主導権を狙う存在ではないのか
いや偶々目前に居る存在はそれに当て嵌まらない例外なのか。
そんな事を思い悩んでいるうちに機銃による攻撃によって代弁者と名乗った奴に当たると
その姿―まさしくミイラというべき容貌をしているのである。

「これは!?」

死んでいるのも同然としか言えないのにも関らず怠惰の力でこのような姿になっても
生き続ける事を強いられている、そうとしか思えないほど酷い物である。
だがそんな事も所構わず、ゲッツは今だ全快とは言わない状態でも
ゲラゲラ笑いながら、首を締め上げられると頭蓋骨のみを残して消えてしまうのであった。

>「あ、私……」

「こういった事は初めて故戸惑うのは当然だろう。慣れろとは僕は言わないよ
助かった、ありがとう」
こういった直接戦闘には余りやったことは無いのだろうその事に関しては
その反応は当たり前だと出来る限り優しい諭し、今は精一杯の笑顔でありがとうと礼を言うる
しかしすぐに元の戦闘時の様子に戻る。
相手もこの程度では死ぬような存在では無いだろう。

6 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/02/25(火) 00:42:37.45 ID:77LWD9+K.net
>「私を滅ぼすには、怠惰を滅ぼさねばならん。
……会わせてやろう、待っていたんだ。僕は――僕と妹を終わらせてくれる人を」

案の定想像通り、未だに声を上げ今度は待ち望んでいたようにそのような言葉の後に
突如都市管制システム、アシュラ・ クロックの座する原子力タワーが変わっていく。
正確には上階を除き、全ての外壁が朽ちゆき骨組みを残して消えていく
そして雷と共に砕かれ、地下へと一気に落ちていった。

「此処は…」

ゲッツ達が壁を砕き入っていく中、此方も身動きする分は問題なくその先に入る。
だがその先に居たのは一人の少女だった。

>「――――そうだ。彼女が僕の妹。怠惰のアイン・ソフ・オウル。バアル・ペオルだ」

正確には死んでいるに等しいというべきだろう。
それを機械によって無理矢理延命している
いや延命しているというのは正しくない、生かされているのが正しい。
そんな彼女も怠惰のアインソフオウルの力でもその生命維持を朽ちさせる事はできないらしく
それだけは健在でそれ以外は朽ち果てていくという異常な状態であった。
だが目の前の彼女とて好き好んでやっている訳では無いだろう、既に他にもこの力による犠牲者は
今も出続けているがこれは――

>「なーんか妙な話だな……。
コイツが本当に怠け者で何もしないのなら最初に彼女を機械に繋いでこの状態にした誰かがいたはずだ。
まさか年金受給の引き伸ばし目的じゃあるまいし。一体誰が何のために……?
それにゲッツ、前来た時はこんな事にはなってなかったんだろ?」

奇しくもフォルテと同じ意見であり、このような事をする存在がいなければ
こんな事にはならないだろう、それ故にこの少女への哀れみや同情ではない
このようにした者に対する烈火の怒りが湧き上がる。

「何だこれは…!?人の尊厳など踏み躙られ、ただ辱められているだけではないか!!」

なんという事だろう、この少女も被害者に変わらない
自分であれば今すぐ此処で楽にしてやったほうがずっといいとさえ思う
此処までされて生きてきたのだ、彼女の気持ちを察すればそうした方が良い。
そして外の者達もこうしている間に死んでいる者もいれば早い手段がそうなるが

だがそれは独善という物だ、そういう考えが頭に過ぎる
もっとも普通に殺すことが出来るかも分からないし
その手段以外にも何か無いかアルテナやフォルテ達も模索を始めている。

「仕方あるまい、都市管理システムのアクセスコードを渡せば
世界守護者委員会の電子戦部門に何処までか判らんか手伝わせる事もできるが?」

渡されたコレクターを受け取りながら電子戦部門に応援要請をしようかと言った後
持っているPADA型COMPから全身から電撃を発する小さな妖精らしき者を召喚する。

「グレムリン、お前なら機械類に関して得意分野だろ手伝ってやれ」

「しょうがねぇなオイラも力貸してやるよ」

仲魔の中で唯一機械類に関しての逸話があり詳しいだろう
グレムリンを呼び出して何かの手伝いにならないかと遣わせるのであった。

7 :ゲッツ ◆Sin.5EUo9A :2014/03/06(木) 23:54:25.49 ID:iplx030q.net
>「輪廻からハズレしものか」
>「で、その子とあなたを怠惰から解放しろっていうの?
>散々やっといて随分とむしのいい話じゃない。まあ、本人たちに悪気はないのかもだけど……」

「私達には、何も変えることが出来ない。私達にできる事は、何も出来ないという事だけなのだから。
――それこそが、怠惰のアイン・ソフ・オウル。そして、彼女が静を司り、私が動を司っている」

怠惰のアイン・ソフ・オウル。それは究極の安寧にも繋がる力。
無限の停滞。死もなく、生もなく。ただそこに或るという、その無機質さ。
数百年の停滞。この土地が科学の都市となる遥か昔からこの土地を穏やかに維持し続けてきた意志。
それこそが、平穏のアイン・ソフ・オウル。そう、今此処にある怠惰のアイン・ソフ・オウルの前身だ。

>「なーんか妙な話だな……。
>コイツが本当に怠け者で何もしないのなら最初に彼女を機械に繋いでこの状態にした誰かがいたはずだ。
>まさか年金受給の引き伸ばし目的じゃあるまいし。一体誰が何のために……?
>それにゲッツ、前来た時はこんな事にはなってなかったんだろ?」

「ああ。……確か、アレだったっけか――割りと最近だぜ?
神魔大帝の野郎がなんか可笑しくなった――ああそうだ、ローファンタジアのあの時の数ヶ月前からか。
そんぐらいから色々もっと変になってきていたぜ?」

「――マモン。それが、平穏のアイン・ソフ・オウル。地位の位の僕の妹を、天位に至らせ、歪ませた存在だ。
……ああそうだ。永久の夢を見続けていたあの子の夢を歪ませた。歪み、歪んだ結果――狂っていった。
安穏の夢は、悪夢に変わったんだ。……僕には、なにもできない=Bだから、待つしか無かった。こうして」

顕現の語る名。それは、この場の6人の中の4人は知る名だった。
暗躍する枢要罪。――強欲のアイン・ソフ・オウル、マモン。
彼の振る舞いによって起こった災厄。それが、この地を死地に変える事だったのだろう。

>「そんな訳で便利に付けたり外したりはできないんだけど、途中で性質が変わる事は無くは無いみたいなんだ。
>見て。脳が都市管制システムに接続されてるみたいだ。
>彼女の精神を通して都市管制システムへのアクセスを試してみて欲しい。何か分かるかもしれない」
>「できたらゲッツ君にも手伝ってほしいんだけど……。マーくんだけでファイアウォールを破れるかしら…」
>「仕方あるまい、都市管理システムのアクセスコードを渡せば
>世界守護者委員会の電子戦部門に何処までか判らんか手伝わせる事もできるが?」

「……すまん。僕は、何も出来ない。僕の持つ権限は、彼女を守ることだけ。
この都市の全ては、奪われている=Bそう、かの強欲によって、ね」

皆が前向きに対策を考えていく中、髑髏は何もすることは無かった。否、何も出来ないのだ。
――何も出来ない。何も出来なくすること以外の何も出来ない、それが怠惰のアイン・ソフ・オウルという存在。
それ故に、ただ彼らは待ち続けることしか出来なかった。何の力にもなれない事に、骸骨はカタカタと顎を鳴らして歯噛みする。
そして、竜人はと言えば、己の特技である破壊行動――と言っても物理ではないが――が回ってきた事に破顔する。
未だに鋼の義手はその形を歪ませながら、新たに成長を続けている不安定な状況だが、図太い竜人はもはや微塵として気にしている様子はなかった。
ゆっくりと歩みだし、拳の骨を鳴らしながら、竜人はコンピュータの前に仁王立ちをし、豪放な笑い声を響かせて。

8 :ゲッツ ◆Sin.5EUo9A :2014/03/06(木) 23:56:03.35 ID:iplx030q.net
「――……よーするにその、アレだろ?
なんだ、そのよくわかんない機械の中に入ってる壁的なのぶっ壊しゃいいんだろ?
うっし、任せろ。そういうんのが俺の仕事よ――なあ、当然だろうが。任せな。
とりあえず俺がこのシステムに無理やり繋がって、中までぶん殴りに行く。
だからお前さんそのハンマーで他の連中と俺の精神つないでくれや。……一人だと流石にキツいしな。
浄子。アルテナ。お前さん達はアイン・ソフ・オウルっての知らねーだろうが、一つ覚えておきなァ。
――常識は通用しないぜ? アイン・ソフ・オウルにとっては、俺ルールが世界の真理≠セ。ま、それだけ覚えときゃ後は俺とか、俺よかよっぽど強いエス平とかが何とかする。
うっし……ッ!! おら、往くぞォァ!!」

凶暴な笑み。煌々と漏れ出す混濁とした赤黒色の不気味な発光。怠惰の影響を受けずに居られるのは、その発光の影響か。
また、その光の周囲に居る限りは、激しい倦怠感や疲労感を感じるものの致命とはならないレベルに抑えられる事となる。
そして、竜人はアイン・ソフ・オウルに対する知識を持たぬ二人にシンプルな説明をしつつ、作戦とも言えない適当な発言をして、拳を振りぬいた。
ディスプレイを突き抜ける拳。そして、生体金属製のその義手が、回路に接続しその精神を無理矢理にシステム内に送り込んだ。

――アルテナが繋げば、皆の感覚には朽ちた世界≠ェ映る。
無数の花々が咲き誇る、広大な草原。そこには、しかしながら命が無い。命の輝きが微塵もない。
生きる歓びも、朽ちる哀しみも。そこには存在していない、枯れる事も萌ゆる事も出来ずに、ただそこに或るだけ。
輪廻転生すらを拒絶する怠惰の世界。そこを歩む、竜人。一歩を踏み出す度に、足元の草が枯れ果て腐り落ちていく。

「――コイツが」

9 :ゲッツ ◆Sin.5EUo9A :2014/03/06(木) 23:56:34.60 ID:iplx030q.net
「ああ、そうだ。彼女が怠惰のアイン・ソフ・オウル。お前たちが倒さなければならない俺達の同類だ――――」

唐突に空間は白に埋め尽くされていく。凍えていく世界、絶対零度に埋め尽くされる凍結した草原の光景。
その凍結の中心地に座するのは、安楽椅子に座す――一人の少女。バアル=ベオル。
そして、竜人の呟きに呼応して、白い世界に青の色彩が割り込み、怠惰の世界から居場所を略奪し降臨した。

「――――なぁ? さあ、倒すが良い。悪だ、そこに居るだけでそこに或るだけで否応がなしに世界を侵す。
望むも望まざるも関係ない。それこそが、アイン・ソフ・オウル。俺も、貴様らも、彼女も同じ――そう、同じ災厄だ」

立つのは、蒼い髪の男。――強欲<}モン。
いつも通りに整いきった顔を皮肉げに歪ませて、男は少女を指し示す。
演劇のように大げさな動作と抑揚を含ませて紡がれる声。そして、その言葉はむしろ倒す事を望んでいるような言葉。
そして、間違いなくこの状況に置いて、この少女を倒さないことにはこの地もこの世界も救われない。
かつての交響都市艦フェネクスの様な、仕組みを感じさせる予定調和のこの気配。
嫌な笑顔を浮かべながら、蒼い男は凍結する少女の傍らに侍り、ゆるやかにその頬をなぞりあげた。

>「永遠に続くような 木々の道はまるで深海
>一度だけくれたキスに  よく似た風が吹く森
>永遠に続くような 木々の間で辿る星屑
>連れて行って欲しかった 私とあなただけの場所
>恋した胸が痛くて この体横たえても 蘇る言葉 
>息吹 求めた愛は儚く 思い出を抱いて眠る 私は眠り姫」

フォルテの歌が響く。それは、空間を飛翔し、アイン・ソフ・オウルとしての干渉力を持って世界を芽吹かせる。
永久を望んだ少女の心の琴線を揺れ動かすそれは、しかしながら余りにも強い凍結の意志によって阻まれる。
凍っているどころか、停止している彼女の心を再起動させるのは、至難の業といえるだろう。
この少女を守る凍結の檻こそが、この都市のシステム最大防壁。アシュラ・クロックの防衛システムだ。

「ああ、欲しかったがあまりに醜悪でな。どれ、貴様らにくれてやろう。
どうせ、なにも出来ないんだ。俺が代わりに使ってやった方が有意義だろうし――なぁ?」

「ッッ!!何を行ってやがる――いいぜ、テメェもそいつも纏めてぶん殴ってやらァ――――ッ!!」

地面を蹴り、駆ける竜人。音と共鳴するように力が増し、振りぬかれる拳は熱を持って少女を解き放とうとする、が。
――6つの腕にて阻まれ、轟音を持って竜人は数百mを吹き飛ばされた。
天空を飛翔し、頭から地面に叩きつけられ、膨大なる鮮血をまき散らす竜人。
仮想世界とは言えど、もはやここは常識の埒外の世界。ここでの死は、現実でも適用されるものと成る。

「……ッ、ごは――ァ。……おい、――流石に、デカくね? ……殴り放題じゃねぇかァ!! なァ!! オイィ!!」

吐血しながら、立ち上がる竜人。己を吹き飛ばし、己を瀕死に貶めた下手人を視界に収め、目を見開く。
歓喜。いくら殴ろうとも砕けようのない、その異様な威容。

身長200m程の鉄くずを寄せ集めた三面六臂の巨躯。阿修羅を思わせるが、神聖性など欠片も見せぬその異形。
3面は全て人のそれでは無く、停止した時計が顔の部分にはあしらわれている。
巨大な手。そして、いつの間にか天には強欲のアイン・ソフ・オウルのアヴァターである、人手の蜘蛛が顕現していて。
蜘蛛の8つの脚の先の手の五指から伸びる糸がその阿修羅に絡みつき、支配を行っているのだった。

「――コレは俺の仲間だが俺のモノ≠セ。だから貴様らにそうそう呉れてやる気は無い。
掛かってくるなら来い。コレは――強いぞ?」

6つの腕を振りかぶり、歯車が軋みを揚げる悲鳴の如き音が吟遊詩人の歌を塗り替えた。
敵対するは、強欲に操られる怠惰の力。――ここからは、常識外れの世界の始まりだ。

10 :アサキム◇JryQG.Os1Y:2014/03/08(土) 12:11:07.78 ID:4pba1vDA.net
「また…厄介なのが…」
状況はアサキムにとって最悪…マモンがいる…
しかし…
「まぁ…いいか…対策は一応ある…」
(龍王五行烈破!)
大地が流動し上手い工合にマモンへと襲いかかる。
「簡単なはなしだ…奪うというのは…他人から無理やり取り上げるということだ」
「では、もともと俺の物ではなく自然なものつまりは誰のものではないならどうだ?」
「それはむしろ頂くに近いんじゃないか?」
ちょっとこどもだましでしかも屁理屈に近い…
「龍王の牙は強欲を欲する…意味はわかるな?」
その流突はマモンのみを襲う
アサキムの指揮下ではなく既に暴走に入っている
(もともと俺のものじゃないし…)
(まぁ…気休め程度にはなるか…)
(いい加減アイン・ソフ・オウルの生成に入らないと…)
アサキムは強く念ずる…今欲しいものを

11 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2014/03/09(日) 00:34:54.37 ID:futRwt6A.net
>「――マモン。それが、平穏のアイン・ソフ・オウル。地位の位の僕の妹を、天位に至らせ、歪ませた存在だ。
……ああそうだ。永久の夢を見続けていたあの子の夢を歪ませた。歪み、歪んだ結果――狂っていった。
安穏の夢は、悪夢に変わったんだ。……僕には、なにもできない=Bだから、待つしか無かった。こうして」
>「……すまん。僕は、何も出来ない。僕の持つ権限は、彼女を守ることだけ。
この都市の全ては、奪われている=Bそう、かの強欲によって、ね」

「またあのヤローか!」

しかし強欲と怠惰って常識的に考えてあまり仲良くないと思うんだけど、そんな物を奪って何がしたいのだろうか。
ゲッツとアルテナさんによって精神が、少女の精神と連結した都市管制システム内に送り込まれる。

「ここは……」

気付けば一面の花畑。それは決して朽ちる事のない、時の止まった草原。
しかしゲッツが歩いたところの草だけが枯れ果てていく。これも厄災の力?
ついに姿を現したバアル=ベオルは安楽椅子に座し、動く様子は無い。
精神世界でまで寝てるのかよ……! こいつは厄介だぜ!

>「――コイツが」

>「ああ、そうだ。彼女が怠惰のアイン・ソフ・オウル。お前たちが倒さなければならない俺達の同類だ――――」

何故か当然のごとく現れるマモン。

「こんな所にまで出てきてんじゃねえ!
お前の顔は見飽きたぜーっ! よく言うだろ? 美形は三日で飽きるってな!」

>「――――なぁ? さあ、倒すが良い。悪だ、そこに居るだけでそこに或るだけで否応がなしに世界を侵す。
望むも望まざるも関係ない。それこそが、アイン・ソフ・オウル。俺も、貴様らも、彼女も同じ――そう、同じ災厄だ」

「同じじゃねーしお前がこうした癖によく言うよ!
まさか付き合って下さいって言って断られた腹いせにやったんじゃないだろうな!?
強欲と平穏が仲良く出来る訳ないだろアホか!」

少女を倒すように促すマモンを煽ってみるがこんなんで動じるはずはなく。
明らかにこれは罠だ――でも、だからといってどうすればいい?

12 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2014/03/09(日) 00:35:52.66 ID:futRwt6A.net
>「ッッ!!何を行ってやがる――いいぜ、テメェもそいつも纏めてぶん殴ってやらァ――――ッ!!」

いつも通り、細かい事は置いといてとりあえずぶん殴るという方法で硬直した状況を動かすゲッツ。
しかし異形の鋼鉄で出来た化け物に阻まれ、盛大に鮮血を撒き散らしながら吹き飛ばされる。
バーチャル世界にしては妙にリアルじゃね!?

>「――コレは俺の仲間だが俺のモノ≠セ。だから貴様らにそうそう呉れてやる気は無い。
掛かってくるなら来い。コレは――強いぞ?」

その心は蜘蛛の糸に絡め取られ停止した時計……ってところ。
コレをどうにかしない限りどんな歌も届かないって事か!

「気を付けろ、此処で受けたダメージは現実にも適用されるってやつかもしれない……!」

アサキム導師が龍を召喚しマモンに攻撃を始める。
今あんまり強い技は使えないんじゃなかったっけ? まあいっか、精神世界だし深く考えたら負けだ。
でも今このマモンに攻撃しても意味は無い気がするんだよな……。
これはバアル・ベオルの記憶、もしくはアシュラクロックの機構の中に刻まれたプログラムであって本体じゃない気がする。
龍はアサキム導師の支配下というわけではなく、暴走状態にあるようだ。

「導師様、あの龍ちょいと借りるぜ!
おいアシュラ・クロック! 最強の防衛システムならしょーもないチャラ男一匹に乗っ取られてんじゃねえ!
バアル・ベオル、お前の世界はこれじゃないだろ? だって毎日いい天気ばっかじゃあ干からびちまうだろ?
たまには雨も降らないとな! 行くぜモナー!」

目の前の異形や少女に向かってでは無く、彼らの精神世界であるフィールド全体に向かってそう宣言して。
モナーをギターに変化させ、フィールドの波長にチューニングする。

「Lulala li lalilula lulala li lalila Lulala li lalilula la la li lalia…」

それは天翔ける龍神に恵みの雨を乞う歌。”乞うは、雨”――

13 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2014/03/09(日) 00:37:42.60 ID:futRwt6A.net
「陽炎揺らめく 神は怒りに燃え立つ  朽ちゆくは人ばかり 祈り届かぬ
ひび割れた大地 往く者の命削り 耐えざる渇きに 涙も落ちぬ
雲よ 渡れ 我等の上に 鈍く染まれ 雨を連れて いざや!
雨を乞い謳え 言の葉に祈り乗せ 天を恋う詩で 水を呼び 地を満たせ
祈り謳 奉らん」

パーティーの他のメンバー達はアシュラ・クロックとの激闘の真っ最中。
後ろに控えるマモンと二人っきりのような形になる。
間奏に入った時に、マモンに独り言のように語りかける。

「お前の当面の目的は全ての枢要罪を掌握すること……だろ? その先はまだ分かんないけどさ。
お前に一つだけ感謝したい事がある。
今まで半信半疑だったけどアイン・ソフ・オウルの性質が変化する事があるって本当に本当なんだな。
お蔭でなんとかこの世界も捨てたもんじゃないかなって思えた。本当はお前だって……いや、何でもない」

――待ってるんじゃないか? 変えてくれる誰かを。
最強にして最凶の罪として生を受けた呪われた運命を終わらせてくれる誰かを。
そんな訳――無いか。一瞬頭に浮かんだその考えを振り払い、すんでのところで口をつぐむ。
万が一そうだとしても、その先にあるのは絶望だけだ。
枢要罪の性質を変えられる程のアイン・ソフ・オウルなんて存在するわけがない。

「砂混じる井戸の底 水は僅かばかり 絶えざる日差しに 涙涸れ果つ
声よ 届け 遥かな空に 遠く響け 神の国へ いざや!
天翔ける龍よ 今こそ目覚めの時 雨を乞う詩で 干天の慈雨を呼べ
神楽歌 奉らん」

雲一つ無かった空には暗雲がたちこめ、雷鳴が鳴り響く。
そしてついに雨が降り始めた。

「でもな、変えられるからって悪い方に変えちまうのは頂けないな。
殴り合いは出来ないけど……これがオレの戦いだ! お前の世界には負けねー!」

雨が瞬く間に豪雨へとなる中、最後のフレーズを歌い上げる。
この雨が凍てついた世界を融かし、戦況に何らかの変化を及ぼしてくれる事を願いながら。

「いざや! 雨を乞い謳え 言の葉に祈り乗せ
天を恋う詩で 水を呼び 地を満たせ 祈り謳 奉らん 」

14 :ゲッツ ◆Sin.5EUo9A :2014/03/09(日) 02:54:25.57 ID:pdPSz7Nf.net
ローファン避難所
http://jbbs.shitaraba.net/internet/20237/

/*避難所に貼るのもアレなので、こっちに用意しておきます*/

15 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/03/20(木) 01:19:06.17 ID:yGqp2jQP.net
>「……すまん。僕は、何も出来ない。僕の持つ権限は、彼女を守ることだけ。
この都市の全ては、奪われている=Bそう、かの強欲によって、ね」

だが怠惰の顕現―彼女の兄にはそれは出来ないという事らしい。
守るという行動以外の自由は与えられていない
その事に関して強烈な感情が湧き上がる
自分と所詮は同じ存在ではないかと―
歯を強く噛み締めて、

「ッ!ならば直接強欲のアイン・ソフ・オウルを倒すしか
方法はないようだな、彼女の為にもそして君の為にも」

何処かでシンパシーのような良い様の無い感覚についてようやく自覚する。
やはり似ている、彼女はかつて己が言葉では語り尽くせず今でもとても大切な災厄の聖女と呼ばれた最愛の人と
役目こそは正反対だが様々な者達を守る存在となった己との境遇が似すぎていた。
だからこそこの二人を強く責める事は自分には出来ないのだ。

そう理解した時、呼び出したグレムリンをCOMPに呼び戻して
静かに少女の精神と連結した都市管制システム内に入る前に

「彼女を救い出す、もうあの時と同じ選択をするのは二度とゴメンだ…」

そう呟いた後、確かに強い決心を秘めて固く誓うとそのまま都市管制システム内に入っていった。

16 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/03/20(木) 01:49:03.05 ID:yGqp2jQP.net
まるで場面が切り替わるよう次に視界に広がった光景は
朽ちた世界だった。
正確に言えばそれはある一定を除いた部分を除いて
広大な草原で全てに置いて全てが止まっているような
喜びも無く悲しみも無く永遠の停滞、その一言で済んでしまう様な無感動そのもの。

しかし除いたある一部分とは空間事まるで凍らせた
完全に冷たい心の底からいやそれ以上に冷え切るような空間の中心に居るのは
一人の少女―バアル=ベオル。
それは完全にその凍結による停滞に囚われているのか或いは篭ってしまっているのか
そんな最中に彼女とは別の色彩である青が差し込んだ世界が移り込んでくる。

>「ああ、そうだ。彼女が怠惰のアイン・ソフ・オウル。お前たちが倒さなければならない俺達の同類だ――――」
>「――――なぁ? さあ、倒すが良い。悪だ、そこに居るだけでそこに或るだけで否応がなしに世界を侵す。
望むも望まざるも関係ない。それこそが、アイン・ソフ・オウル。俺も、貴様らも、彼女も同じ――そう、同じ災厄だ」

「貴様ぁ!!ぬけぬけとほざくなぁ!!!」

フォルテが歌を歌いそれによる歌は少女の心に届いたが
支配する静寂の凍結はそれを許さなかったようですぐに元に戻ると同時に
無命剣フツノミタマを召喚すると同時に一気に飛び掛ろうと掛け抜け始める。

>「ああ、欲しかったがあまりに醜悪でな。どれ、貴様らにくれてやろう。
どうせ、なにも出来ないんだ。俺が代わりに使ってやった方が有意義だろうし――なぁ?」

更にその言葉と共に三面六臂の巨躯でありながら所詮は阿修羅とは似ても似つかぬ異形が
遮るように立ち塞がり、ゲッツの攻撃を物ともせずフォルテの歌すらも書き換えようとしていた。

17 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/03/20(木) 02:47:35.06 ID:yGqp2jQP.net
>「――コレは俺の仲間だが俺のモノ≠セ。だから貴様らにそうそう呉れてやる気は無い。
掛かってくるなら来い。コレは――強いぞ?」

「同じ災厄だと!?」

阿修羅のような異形に対して黒い魔力の十字剣―無想剣を大量に出現させた後
それをぶつけるかと思いきや陣形を取るように並び変わり

「同類だと!?自分の物だと!?」

防御陣形態である封・無想剣を取りただひたすら勢いを付けて
異形に向け駆け抜けると、一気に飛翔し叫ぶ。

「ふざけるな!!!」

そして攻撃を掻い潜りながらフツノミタマを槌に変えるとその重さで落下速度が更に加速
振り下ろすと同時にその巨躯に着地し思いっきり叩きつける。

「目覚めた力と本質は確か同じかもしれない、けれど心の在り様がそれを望まない以上
貴様のような奪う事しか出来ぬ者とは断じて違う!!!」

叩き付けた直後に瞬間的に槌からハルバートに変えた後刃の全体を今度はその巨躯に向けて
引き摺って傷つける様にかつての自分が救えなかった最愛の彼女を最後まで救おうとした
その時の心情とまったく同じ心境の中全速力で走ることを再開しながら

「彼女が生きてその心を持ち続けているのなら!少しでも揺らす心があるのなら!
彼女は意志を持った人間だ!!だから!」

巨大な身体の異形の上を全速力で駆け抜けながら只ひたすら真っ直ぐに駆け抜ける。
全てが凍る白の世界に向けてたたただひたすら長い道程を全力で駆け抜ける。

「物言わぬ物でもない!!誰の物でもない!!」

そして最後の道から勢い良く駆け下りる。

「彼女は物じゃない!!」

駆け下りた先に落ちて行く最中にわざと引き摺って傷を異形につけていた
ハルバートをまた無命剣フツノミタマに変えて振り下ろしながら向かうのは
白の世界に閉ざされた安楽椅子に座る平穏のアイン・ソフ・オウル――いやバアル=ベオル
というたまたま災厄の力を持ってしまったただ一人の少女。

「貴様が望んだとおりに物や力を奪う事が出来るのであっても、
誰かの心までは決して奪わせたりしない―彼女の心は僕が守る!!!!」

18 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/03/20(木) 03:28:53.35 ID:yGqp2jQP.net
とっくに脱ぎ捨てた仮面を纏っていては分からなかった表情は彼女を守りたいと全力で
そして真剣に見つめる瞳がバアル=ベオルを捉える。
だがフォルテの歌すらも掻き消す凍結の檻が襲い掛かる。
しかしそんなアシュラクロックの防衛システムなんてものに負けるつもりは毛頭無い
唱えるのは

「無命剣よ!!!!!我が命の輝きで!!!」

エスペラント―ビャクの全身を凍結しようとする勢いが素早く覆う中で
それでも体温や熱は失われる処か更に内側から燃え上がる。
その程度の凍結などでは凍らせる事が出来ないと証明するように

「道を!!」

己と彼女が歩くあるいは歩こうとしている道を
その言葉の通りに照らし活路を開く為

「照らせぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」

己の心にあるのは太陽―いやそれ以上の滾るマグマのような熱情、何人たりとも止められない
絶対零度さえも融解させる熱き魂が己を奮い立たせ立ち向かう事とそれを体現する炎を現すように
無命剣フツノミタマに自身の持つ全ての力を捧げ
己を覆おうとし、彼女を囲っている凍結の意志ごと全てを燃やし尽くし溶解させるが如く
今の持てる全身全霊を賭けた金色の炎の嵐が巻き起こり、エスペラントを覆っていた
凍結はすぐに蒸発し、勢い良く暴風のように激しくそして劫火のように燃え盛り
凍結の檻に向かってフォルテの歌と共に激しくそして盛大にぶつかる。

19 :ゲッツ ◆Sin.5EUo9A :2014/03/31(月) 16:49:37.40 ID:hrZC76j+.net
>「同じじゃねーしお前がこうした癖によく言うよ!
>まさか付き合って下さいって言って断られた腹いせにやったんじゃないだろうな!?
>強欲と平穏が仲良く出来る訳ないだろアホか!」

「――ックハハハ!! ああそうだ、仲良く出来ないさ。
出来ないからこそ、奪ったのさ。そして、俺は与えてやった。
平穏すら超える、究極の安息を、なぁ? ――いやはや、ここまで怠惰との相性が良いとは思わなかったがな」

鋼の化け物を、マモンはアバターのその巧みな手指で操作し、支配する。
自在に操られるそれは、文字通りマモンの支配下にあるようで、その巨体であるにも関わらず、速く正確。
この、あらゆるものを奪いとった上で本来の実力かそれ以上を引き出す技能こそが、強欲の強欲たる所以。
極めて厄介な世界≠ナあると同時に、戦いにおいてはこれほど卑怯な力もそうあるまい。

「てンめェ……ッ!! 喧嘩売ってきたやつぶち殺すのは良いがちょいとゆるせねェぞ!!
ああそうさ――俺も、テメェも!! クズだ! カスだ! テメェも俺も大差ない悪性だ!!
だがなァ!! だからって他の連中を引きずり込むのは――ッ、違ェだろうがァアァァアァッ!!」

6つの腕の隙間を縫いながら、あさっての方向を向いた腕を無理やり筋肉で戻し、走り抜けるゲッツ。
駆け抜ける軌跡には、血液が赤いラインを引く。現実においても恐らく、この傷は反映されただろう。
そして、表情に有るのは、怒り。それは、他の者達の善意からくる怒りではない。
悪意を良く知るが故の、マモンと同類≠ニして理解できる、悪であることからの怒り。
悪性の波動が、かなり不利ながらも、青い世界とぶつかり合い、僅かに赤黒の世界を主張していた。

>「簡単なはなしだ…奪うというのは…他人から無理やり取り上げるということだ」
>「では、もともと俺の物ではなく自然なものつまりは誰のものではないならどうだ?」
>「それはむしろ頂くに近いんじゃないか?」
>「龍王の牙は強欲を欲する…意味はわかるな?」

「――自然なものは自然のもの≠セろう? 確固とした所有の意思が無い分、より奪いやすい。
要するに、だ――貴様はやはり、世界≠理解できていない。猿にも劣るなァ――詰まらん。
……あァ――そうだ。呉れてやろうか、珍しく。なあ? ……厄災の種をッ!!」

眼前に襲い来る、大地の流れの群れ。
それ単体が自然そのものならば、世界そのものならば。奪うまでもない。
無色の力ほど、アイン・ソフ・オウルに染め上げられやすいものはないのだから。
侮蔑するような瞳でアサキムを睨めつけるマモンの手には、黒色の宝玉、厄災の種が握られている。
それは、これまでのそれよりも濃度の高いもの。どう転ぶかわからない、悪性の世界に、意思に満ちたもの。
――力を失い、純粋な無色の存在と化したアサキムにそれが押し付けられれば、どうなるかは容易く理解できるだろう。
黒の絵の具を水に垂らす様に――透明な水は、黒く濁る。そう、アサキムが――闇に、悪に染め上げられる。
無垢だからこそどこまでも進化できる、可能性を与えられたアサキム。だがしかし、それはまた弱点でも有るのだ。
手に握る種をこれみよがしに見せびらかし、口元には下卑た笑みを浮かべる青髪の男。
掲げた種が中に浮かび上がり、黒い波動となってアサキムを襲う。掠りでもすれば、それはアサキムの無垢な世界を汚染するだろう。
それは、ある意味ではこれまで持ち得なかっただろう、悪を知ることとなる。
正義しか、義務しか、任務しか知らないシステム$みたアサキムに、今後何らかの変化を――良いか悪いかは分からないが――与える事となるだろう。

20 :ゲッツ ◆Sin.5EUo9A :2014/03/31(月) 16:50:11.05 ID:hrZC76j+.net
>「導師様、あの龍ちょいと借りるぜ!
>おいアシュラ・クロック! 最強の防衛システムならしょーもないチャラ男一匹に乗っ取られてんじゃねえ!
>バアル・ベオル、お前の世界はこれじゃないだろ? だって毎日いい天気ばっかじゃあ干からびちまうだろ?
>たまには雨も降らないとな! 行くぜモナー!」

響き渡る歌。次第に天候が変わり、そしてその音響にしたがってゲッツの世界に変化が現れる。
厄災の世界に次第に美麗な世界観が加わっていき、赤黒の世界は徐々に中和されていく。
膨れ上がる力。迫り来るアシュラ・クロックの拳を前に――ゲッツの拳は、水気を帯びた。
幾度も鮮血を散らす内に、アシュラ・クロックに変化が起こりゆく。――即ち、錆つきだ。
唯の雨ならば、水気ならば通用しない。だが、フォルテもゲッツもアイン・ソフ・オウルである。
フォルテの紡いだ世界観を、ゲッツの厄災が相手の加護を貫いて届かせる。その組み合わせは、魂の経絡が繋がるゆえに可能だったものだろう。
それを理解するマモンは、己の支配力を増し、ゲッツの拳からの干渉を防いでいくも、それでも極わずかづつアシュラ・クロックの挙動は鈍っていく。

>「お前の当面の目的は全ての枢要罪を掌握すること……だろ? その先はまだ分かんないけどさ。
>お前に一つだけ感謝したい事がある。
>今まで半信半疑だったけどアイン・ソフ・オウルの性質が変化する事があるって本当に本当なんだな。
>お蔭でなんとかこの世界も捨てたもんじゃないかなって思えた。本当はお前だって……いや、何でもない」

「――理解できるかよ、お前如きが」

一言。血を吐くような言葉。珍しく饒舌に語らぬマモンの碧の瞳は、異様な威圧を含んでいて。
降り注ぐ雨の群れには、ゲッツの世界が混入する。それは、次第にマモンの力の隙間を縫い始めて。

>「貴様が望んだとおりに物や力を奪う事が出来るのであっても、
>誰かの心までは決して奪わせたりしない―彼女の心は僕が守る!!!!」

>「無命剣よ!!!!!我が命の輝きで!!!」
>「道を!!」
>「照らせぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」

「――ッハハハハハ――――――ッ!!
良いなァ!! ああ、そうだ。それで良い、それが良いッ!!
それだけの輝きでなければ奪う価値が無いッ!! ――さあ来い、来いッ!!」

アシュラクロックの防衛システムとぶつかり合う、無名剣。氷の群れと衝突する、その熱量の群れ。
それでも、ゲッツとフォルテの力によって、アシュラ・クロックは防護も強度も失いつつ有り。
凍りついた世界もまた、優しい雨と苛烈な力によって溶かされつつ有る。そして、そこに命の熱が駆け抜ける。
炎は凍結の世界を溶かしていく。エスペラントの力は、アイン・ソフ・オウルではない。故に、通常であれば届かない。

21 :ゲッツ ◆Sin.5EUo9A :2014/03/31(月) 16:50:45.88 ID:hrZC76j+.net
だが、今は別だ。妖幻、厄災という二つのアイン・ソフ・オウル。それぞれでは地位に届くかどうかと言えるその力。
しかしながら、フォルテのそれは音律という形で解き放たれるゆえに範囲性に優れる。
そして、ゲッツのそれは範囲に劣るが出力に勝る。それらが複合する事で、互いに相乗効果が生み出されていた。
フォルテが楽器で、ゲッツがアンプのような関係といえばよいだろうか。フォルテの放った力とゲッツの放った力が重なることで、一時的にアイン・ソフ・オウルの干渉力が増していたのだ。
フォルテの力は、調和にも通じるもの。音律によって調律され、仲間と共鳴する事でアイン・ソフ・オウルではないものも極僅かながらもアイン・ソフ・オウルの干渉力を分け与えられる。

世界交錯/クロスオーバー=B複数世界の混合という、通常ではありえない現象。
我を主張する事でこの世に力を発露する中で、互いの我を主張しながらも混ざり合うその異質。
絆の力≠ェ、最終的にエスペラントの力を前へと通させた。

――ひときわ強い閃光。

閃光が晴れたその先には。
朽ち果て、ミイラと化したバアル=ベオルと、それを冷たく見下ろすマモンが居た。
バアル=ベオルは、朽ち果てた顔で穏やかに笑み、マモンの頬に手を伸ばし。マモンは、それを静かに払う。

「サびしイ……人。逝きマしょう。……やっと、終われた。やっと、始まル」

目線だけが動き、怠惰の顕現を視界に映し。一瞬だけ、少女の時を彷彿とさせる幻覚を残して。
顕現と、バアル=ベオルはこの世からその存在を消失させた。
だが、怠惰の世界は失われていない。今この瞬間、強欲のアイン・ソフ・オウル≠ヘ、怠惰を手に入れた≠フだ。

「――ハ。誰よりも富む俺が寂しいとは。やはり俺は、お前が嫌いだったよ。バアル=ベオル」

一言そう言い残して。仮想の世界は、次第に崩れていく。
芽吹きを止められた花々が咲き誇り、アシュラ・クロックは朽ち、崩れていく。
仮想の世界からパーティは放逐され……現実世界へと立ち戻り。

「……ッてめェ逃げんじゃねぇぶちころすぞゴルァ!!」

現実の、原子力タワー最上階へと、立ち戻っていた。
バアル=ベオルの座っていた生命維持装置には、一輪の、霜の着いた青い花。
そして、ありがとうという血の書き置きだけが、そこには残って。
また、都市の停滞は、戻りつつ有った。機能を停止していた機械達が、一斉にエラーメッセージを響かせ始める。
非常用システムが未知に転がる人々を次々と病院や診療所に収容していく。止まった時が動き始めたように。否、本当に止まっていた時が動き始めたのだ。
そして、原子力タワーになだれ込んでくる非常用ロボット。裸のゲッツに対して、機械の群れは真っ先に襲いかかってきて。

「じゃ、まだ――ッ!!」

蹴りによってその非常用ロボは外へと追いだされて、直後にゲッツは吐血して地面へと倒れこむこととなった。
他の負傷も有るし、一旦情報収集も兼ねて診療所に行っても良いかもしれない。

22 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2014/04/03(木) 22:58:24.68 ID:zaCmhv/V.net
>「――理解できるかよ、お前如きが」

いつもの余裕綽々な芝居がかった口上が影を潜めている。
こいつがマジになっているのを初めて見た。
下手な鉄砲数うちゃ当たるで何かしら真相に掠る部分があったのだろうか。
探りを入れようにも、状況がそれを許さない。
エスさんの猛攻を受けるマモンは、すぐに何時もの調子に戻ってしまった。

>「――ッハハハハハ――――――ッ!!
良いなァ!! ああ、そうだ。それで良い、それが良いッ!!
それだけの輝きでなければ奪う価値が無いッ!! ――さあ来い、来いッ!!」

今こんな事を考えては不謹慎だが、エスさんはマモンにとってきっと恰好の対峙しやすい相手なのだ。
熱い正義の心を持って真っ直ぐに悪に立ち向かう正統派ヒーローは、マモンの劇場型犯罪には欠かせない存在なのだろう。
正統派ヒーローとはちょっと違うけど、ごちゃごちゃ考えずに素直に殴りに行くゲッツもそう。
でもそれは、罠だと疑いながらも結局マモンの劇場型犯罪に乗るしかないオレだって一緒である。
雨の中ゲッツの拳を叩き込まれ、完全防水加工のはずのアシュラ・クロックは運悪くぶっ壊れた。
ゲッツの厄災の世界観が、オレの世界を相手に届かせてくれている、完璧な連携。
アイン・ソフ・オウルの力同士が連携するということは、その瞬間は世界が重なりあっているという事だ。
片方が無我の境地に至る事で完璧なシンクロを実現する例なら以前見た事があるが、普通は我の強い世界同士は喧嘩するはず。
そこにエスさんがトドメを刺しに行く。
普通ならエスさんはこの世界の住人ではないからアイン・ソフ・オウルの力は持たないはずなんだけど…
オレ達の力がエスさんにまで影響を及ぼしてる!?
そして閃光が炸裂し――哀れ、少女は運悪くミイラになってしまいましたとさ。
――いや、運よく、かな。
たとえマモンの思う壺だったとしても、これが少女にとっては唯一の救いだったのだ。

>「サびしイ……人。逝きマしょう。……やっと、終われた。やっと、始まル」
>「――ハ。誰よりも富む俺が寂しいとは。やはり俺は、お前が嫌いだったよ。バアル=ベオル」

現実世界に戻るとそこには、ありがとうという書置きと一輪の花だけが残っていた。
これで……よかったんだよね?

「ゲッツ、終わりを望んでいる相手を終わらせてやるのは厄災とは別の何かだと思うな。
ま、まあ生きた美少女にお礼してもらえないのは残念かもしれないけどさ……って何で裸!?」

精神世界のダメージが服にまで反映されたというのか、何たるハイテク。
裸の変質者を排除すべく警備ロボットが集まってくる。

>「じゃ、まだ――ッ!!」

ゲッツは警備ロボットを蹴散らすと、そのまま吐血して倒れた。可愛そうに、そんなにショックだったのか。
無理もない、最後に一瞬見えた生前の姿、かなりの美少女だったもんねえ……。
出来る事なら、あのヤローに歪められる前に戻してあげたかった。
霜のついた花の上に水滴が落ちる。あ、れ……? オレ泣いてる?

「いけない、目にゴミが入ったみたいだ。そうだ診療所に行こう。
エスさん、導師様、その裸芸人の運搬お願い!」

と、いつも通り超人達に雑用を押し付けて歩き出す。
診療所へは、道に寝ている人を運ぶロボットに付いて行けばすぐに辿り着きそうだ。

23 :◇JryQG.Os1Y代行のゲッツ ◆Sin.5EUo9A :2014/04/06(日) 21:41:38.35 ID:f2GYGQg4.net
))「いけない、目にゴミが入ったみたいだ。そうだ診療所に行こう。
エスさん、導師様、その裸芸人の運搬お願い!」

(無責任なやつだ)
「引き受けたよ」
その裸芸人の首根っこをつかみながら引きずる

(発現は無理だったか…)
自身に新たなる力とも息吹とも思える感じ…これは天のアインソフオウルを授かった時に似ていた
「ある程度イメージができたということか?」
勝手な独り言を吐きながら進む
(…しかしまったくてが出せんししかも技を持ってかれるとは
俺も老いたか)
…悔しい今はその念しかなかった
(必ず完成させ彼奴を!)
アサキムの決意は硬かった

24 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/04/15(火) 00:07:45.84 ID:wNrVKt78.net
それを見て何故か視界が歪んで見える
このような時になぜ仮面を纏わなかったのか、と少し悔いながらも

「僕には本当に正しかったのか断定は出来ないししちゃいけない。
間違っても命が宿った者はその宿った者の物だから所詮は生命を守る存在に過ぎない者が
不自然とはいえ生かされた命を停止させてもいいのかそんな権利があるのか分からない、けれど」

間違っていなかった―かつて花環《リース》を巡る戦いで再会した尊敬する漢<漢気の超人>
その時の言葉と認められた嬉しさ、それと同じようにバアル=ベオルの言葉は
所詮自分の救えなかった最愛の人間と重ねているだけかも知れない。
けれどそれは言葉では言い表せないほどの塞き止められない感情と同じように頬を伝う。
流れる物を隠そうとした際、近くに居た何を思ったのかフォルテが流した涙が落ちた場所が
視界に入り、見つめると其処にあるのは霜の着いた青い花。
そっと手を伸ばし、フォルテの涙が落ちた一輪の花を手に取り

「天に召する魂よ―汝の来世に祝福が在らん事を」

完全に消え逝った命と青い花に向けて
かつての純粋で優しかったそのままで在り続けたのであれば
今でも同じように言うであろう人の子としてバアル=ベオルにを祝福し死者を見送る言葉を送り
その言葉共に当時と同じか出来るかは分からない
けれど可能な限り慈しみと優しさに溢れる笑顔を向けた。

>「――ハ。誰よりも富む俺が寂しいとは。やはり俺は、お前が嫌いだったよ。バアル=ベオル」
>「……ッてめェ逃げんじゃねぇぶちころすぞゴルァ!!」

だがそれも束の間、目を向けねばならない現実に引き戻され
マモンは消えそしてゲッツも共に元に戻りいつの間にか裸になっているゲッツは
倒れてアサキムに引き摺られている。
ならば運ぶのは奴に任せておこう、そう考えフォルテやこの場に居る全員に向けて
あることをお願いいや懇願する。

25 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/04/15(火) 00:08:39.24 ID:wNrVKt78.net
「この花は…僕が持っていても良いかな?どうしても持っておきたいんだ
彼女を忘れない為にも…そして僕の決意を見た時に思い出す為に」

そしてこの言葉と共にある事を決意する。
今回は偶々運が良かった故に彼女を助けられた
しかしそれは逆にいつ何時一つでも嚙み合わないあるいは欠ければ成立しない
儚く脆い物だ、何時でも起こせるという訳でもない
だからこそこのような事に頼らず解決できる手段と方法の確保をしなくてはならない。

「(アインソフオウルに対抗する手段――その最も最短手段はアインソフオウルその物になる事)」

方法に限れば恐らく二択しかないその内の一つが、世界守護者委員会の回収した厄災の種を利用した
武器あるいは兵器を作るという物もあるが不安要素が大きすぎるのと信頼性については
何が起こるか分からない以上安易に運用するのは危険で不安定なな吊り橋を渡っているような物―
それを考えればおのずと答え最後の一つに限られ、アイン・ソフ・オウルになるという物しか無くなるだろう。
しかしそれになるのか何時どうやってなるのか、そして自分ではなれるのかどうか
調べなくてはならない事やしなくてはならない事は山済みだろうが。

>「いけない、目にゴミが入ったみたいだ。そうだ診療所に行こう。
エスさん、導師様、その裸芸人の運搬お願い!」
>「引き受けたよ」

「仕方ない手伝うよ」

先に持ち上げていたアサキムの引き摺っていたゲッツの身体を持ち上げる。

「しかし分かっているのかゲッツは?仮にもそれぞれ世界では
相応に高い立場の人間に運ばれて居る事は」

こちらとしてはそんな事で如何こう言うつもりは無いが
仙界や世界守護者委員会に居る自分達の部下や見知る人間が居れば
なんと言われるのやら、そんな事を囁きながら診療所へ向かう。

26 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2014/04/24(木) 00:01:43.65 ID:EDxRGTpo.net
>「引き受けたよ」

導師様がゲッツを引きずっていく。

>「この花は…僕が持っていても良いかな?どうしても持っておきたいんだ
彼女を忘れない為にも…そして僕の決意を見た時に思い出す為に」

何かを決意した様子のエスさんが花を持っておきたいと申し出る。
無言で頷き、賛同の意を示す。彼の言う決意とは一体何だろうか。

>「ある程度イメージができたということか?」

アサキム導師が独り言をつぶやく。
自身に与えられた新たなアイン・ソフ・オウルの力の事を言っているのだろう。
そういえば、エスさんはあれだけ強いのにアイン・ソフ・オウルではないらしい。

>「仕方ない手伝うよ」

>「しかし分かっているのかゲッツは?仮にもそれぞれ世界では
相応に高い立場の人間に運ばれて居る事は」

「多分分かってないんじゃないかな? ごめんよ、オレではそのデカブツをどうしようもないから」

と、返しながら考える。
それぞれの世界――つまり、エスさんもアサキム導師も別の世界の人。
アサキム導師はアイン・ソフ・オウルの力を持っているから
この世界の人ではないからアイン・ソフ・オウルにはなれない、とは限らないということか。
というかガイア出身の母さんもバリバリのアイン・ソフ・オウルだしむしろ何でエスさんだけアイン・ソフ・オウルではないんだ!?

そんな事を考えているうちに診療所にたどりつく。
中は道で寝ていた大量の浮浪者で満員状態。医療用ロボット達が慌ただしく治療にあたっている。
ゲッツは適当に寝かされて点滴とかぶっ刺された。
次第に意識を取り戻した浮浪者達が騒ぎ始める。

「私は何をしていたんだ? 早く持ち場に戻らなければ」

「そんなに慌てなくてもいいぜ。アシュラ・クロックならぶっ倒しといたし」

「何ィ!? 全知全能の神たるアシュラ・クロック様をぶっ倒しただと!? 世界はお終いじゃぁああああああ!!」

「えー、こちらインペリア、アシュラ・クロックはぶっ倒された模様です!」

「そうですか……。やっとバアル・ベオル様は本当の平穏を手に入れたのですね……」

「そうだよ……って何でその名前を知ってんだ!?」

アシュラ・クロックの正体は多分最高機密事項だったはず。
振り向いた場所にいたのは、寝間着の少女のような外見の人物だった。

27 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2014/04/24(木) 00:03:09.41 ID:EDxRGTpo.net
「アシュラ・クロック――永遠の平和を望んだ人々の叡智の結晶。
それ最後の仕上げに、バアル・ベオル様は自ら望んでパーツの一部となったのです。
しかし人間の精神では永遠の平穏に耐えられるはずはなかったのです。
やがて時を経て、バアル・ベオル様は心の奥底で終わりを望むようになった……。
そんな心の隙に付けこんだのが、あの男、マモンです。
自分なら終わらせてやる事が出来ると……。
でも終わらせてくれたのはあなた達でした。本当にありがとうございました」

「あ、どうも……」

それを聞いて、複雑な気分で曖昧な返答をするしかなかった。
完璧にマモンのシナリオ通りだが、同時に終わりを望んだ一人の少女を救ったのは確かなのだ。

「ところで……君、誰?」

「もし遅れました。わたくしはピロウ、一応ここインペリアの最高幹部でバアル・ベオル様のお言葉を受ける侍女をやっておりました。
侍女といっても実際にはサイバー世界にダイブしてのコンタクトなので寝て夢を見るだけの簡単なお仕事なんですけどね〜」

「アイツを止めなきゃ! この都市ってすごい最先端いってるんでしょ!? マモンがどこに行ったか分かる?」

「そいつピンポイントでは流石に……。
でも飛びぬけて大きい《セカイ》――例えば枢要罪の反応なら分かるかもしれません。
都庁に一緒に来ていただけますか?」

とりあえずアシュラ・クロックがぶっ壊れたからといって都市機能全部が停止したわけではなさそうで一安心だ。
よく考えると警備ロボットや医療用ロボットは普通に動いてるからそりゃそうなんだけど。

28 :創る名無しに見る名無し:2014/04/27(日) 20:35:24.28 ID:Yvu/2CjQ.net
この手のスレを見るたびに、TRPG関連スレが増えるべきなのだとつくづく思う

29 :リーフ:2014/05/01(木) 21:42:23.65 ID:/Rxh0htU.net
 リーフ・ウィステリア。
かつて星の巫女の側近を勤め、今はフォルテの一行に同行する女。
危険な場所に赴いた時や、戦闘時には姿を眩ませることが多いのだが、安全になったと判断するや唐突に現れる事が多い。
今もまた、どこからともなく診療所に現れてフォルテの傍で佇み、ピロウの会話を静かに聞いている。

「今は古代や中世ではありません。
ここは、現代勇者らしくネットや文明の利器を駆使しましょう。
どうも戦ってばかりで、情報を収集して分析する作業が欠落しているような気がしますしね。
この機械都市で各地の情報収集が出来れば、今後の方針を定めることも出来ます。
枢要罪が力を行使すれば、影響も一国規模のはずですから、大規模な異変が現れているでしょう」

 リーフはピロウの提案を聞くと間髪を入れずに同意して、都庁へ行くよう促す。

「それと、闇雲にマモンや他の枢要罪を追うより、対抗手段を得る事の方が重要ではないでしょうか。
戦力バランスを考えて、敵がほどほどに勝てる戦力しか出して来ないのはゲームやアニメや特撮の中だけです。
僥倖あって一角が欠けたとは言え、それこそラスボス級の戦力はまだ七体も残ってるんですよ。
運よく生き残れる状況を何度も続けられる保障なんて、何処にもありません」

 リーフはそう告げると、診療所の扉を開けて外に向かった。
目と首を忙しなく動かして、周囲に輸送機が無いかを探す。
インペリアの基幹道路にはオートウォーク、動く歩道が設置されていた。
今は機能を停止して、ただの歩道になっているようだったが。
対して、自動車やバイクのようなスタンドアローンの機械は問題なく動いているようだ。

30 :◇JryQG.Os1Y代行のゲッツ ◆Sin.5EUo9A :2014/05/06(火) 23:07:41.09 ID:eSmyJVIZ.net
引きずられるゲッツの肉体には、もはや数えることが不可能なほどの傷が刻まれていた。
アイン・ソフ・オウルとしての覚醒により、通常の生物から隔絶した存在となったゲッツ。
並の傷ならば死には至らないものの、枢要罪との戦いであれば、その限りではない。
今回も、この前も、幾度も。奇跡に奇跡が重なったが故に、ゲッツを含むパーティは生き残り続けてきた。
が、そのどれもが辛勝。どれもが綱渡りのような、ぎりぎりの攻防の上での勝利のようなものだった。

なぜ、彼ら枢要罪とこちらのパーティはこれほどまでに違うのか。
それを理解する事無しには、きっとこの先の戦いを生き抜くことは困難だったのかもしれない。
浅い息を漏らし、全身から血液をまき散らしながら引きずられる竜人は、思考を巡らせた。
このままでは、いけない。――それだけを、思う。
ゲッツは、戦いを好む、殺し合いを愛する、滅びを許容する。
だが、簡単な死は望まない。圧倒的な敵と、死闘を果たし、自分の可能性の全てを使い切った末に死するならば良い。
だが、思う。まだまだこんなもんじゃない≠ニ。
だから、こんなもんで終わらないために、まだ死ぬ訳にはいかない。そう思って。

超人と仙人に引きずられる竜人の、朦朧とした意識は――またゆっくりと闇の中に沈み込んでいった。
血の海に揺蕩う、悪竜と聖人の夢を脳裏に描きながら。


診療所において、アシュラクロック、その他についての話を繰り広げる一行。
そして、細心の技術によって、ゲッツの肉体は修繕されていく。
と言っても、鋼の心臓とアイン・ソフ・オウルによって、その肉体は容易く再生していくのだが。
数分もすれば、肉体の持つポテンシャルと都市の技術によって、ゲッツは致命の域から脱し始めた。
規格外の体躯を寝せるためにストレッチャーを複数つないで、拘束されてゲッツは眠りについていた。

>「アイツを止めなきゃ! この都市ってすごい最先端いってるんでしょ!? マモンがどこに行ったか分かる?」
>「そいつピンポイントでは流石に……。
>でも飛びぬけて大きい《セカイ》――例えば枢要罪の反応なら分かるかもしれません。
>都庁に一緒に来ていただけますか?」

「――ッ、マモンッ! ああそうだ、あいつブチ殴り殺してやんねぇとよォ……!!」

そして、マモン。枢要罪の筆頭たる力の持ち主の名を聴いた瞬間、ゲッツの寝こむストレッチャーが軋みを上げた。
ぶちりと拘束を引きちぎりながら立ち上がるゲッツ。
これまで積み重なり続けてきたダメージもあり、その姿は普段ではありえないほどにふらついている。

「……行こうぜ。」

濃色の肌から僅か以上に血色を失わせつつ、ゲッツはゆっくりと歩んでいく。
そして、機能停止していた輸送機を見つけて、ゲッツは鋼の義手をそれに叩き込み、無理やり起動させる。
ふらつきながら中の椅子に座り込むと、ゲッツはぐったりと己の背中を輸送機に預けた。

31 :ゲッツ ◆Sin.5EUo9A :2014/05/06(火) 23:08:19.29 ID:eSmyJVIZ.net
>「それと、闇雲にマモンや他の枢要罪を追うより、対抗手段を得る事の方が重要ではないでしょうか。
>戦力バランスを考えて、敵がほどほどに勝てる戦力しか出して来ないのはゲームやアニメや特撮の中だけです。
>僥倖あって一角が欠けたとは言え、それこそラスボス級の戦力はまだ七体も残ってるんですよ。
>運よく生き残れる状況を何度も続けられる保障なんて、何処にもありません」

「……たしかにそうだわなァ」

輸送機に揺られる中、ゲッツはリーフの言葉を聞いて、同意を示す。
ゲッツは戦闘狂で馬鹿ではあるが、一方的にやられるのを良しとはしない。
軋む身体で全体を見回して、己の中の漠然とした感覚を言葉に表していく。

「アサキムもエスペラントも……、まアアレだわな。俺よか遥かに強えよ。
だけどよ、……その強さは、この世界じゃァ通用しねえんだろうさ。
……アイン・ソフ・オウル、要するに連中も俺らも自分ルールの塊なんだしさ。
それに勝てるのって、結局アイン・ソフ・オウルじゃねェの?」

単純な言葉を垂れ流していくゲッツ。だが、それは本質である。
己の理で世界を染め上げるアイン・ソフ・オウル。
それに、通常の世界の力で対応しきれないのは、至極当然のことなのだから。
そうしている内に輸送機は都庁へと辿り着き――彼らは都庁の世界観測室へと辿り着く。
重厚な扉の奥に存在する、無数のモニターが繋がるそれは、観測のみを目的とした部屋。
怠惰の力によって機能を一時的に停止していたものの、それらは怠惰が滅された事で再起動を開始していた。
メインモニターが再帰動し、全世界の地図が表示される。
中央大陸、そして東西南北に別れる4つの大陸と、無数の小島の群れ。
それが、この星だった。

「――ほォ……すげェなこれ。木の一つ一つまで見えるぜ?」

異様な解像度は、20m×10mのサイズで木々から人の顔までを表示させて見せていたのである。
そして、ピロウの操作によって、世界の歪みを観測するモードへと移り行き――。

3つの大きな歪みが、画面には表示されていた。
リューキューに2つ。恐らくこれは、虚飾と傲慢。
そして、ミストロード。その地に座するのは紛れも無く、色欲だったろう。
歪みが解消されつつ有る地は、ここ――インペリア。
行方の分からぬ者は、暴食、憂鬱、憤怒――そして、強欲。
強欲以外の3人は、そもそも姿を見せていない。あの蜘蛛の手の上にも、3名は現れていない。
あの3体は、もしかすると――まだ封印が溶けていないのかもしれない。そう考えることも可能だったかもしれない。

此処から先どうするかは、話し合いによって決めるしか無い。
アイン・ソフ・オウルと対向する術を身につけても良いし、虚飾と傲慢、色欲を追うのも良いだろう。

32 :アサキム ◇JryQG.Os1Y:2014/05/08(木) 20:51:39.47 ID:5O9bSbTO.net
))「アサキムもエスペラントも……、まアアレだわな。俺よか遥かに強えよ。
だけどよ、……その強さは、この世界じゃァ通用しねえんだろうさ。
……アイン・ソフ・オウル、要するに連中も俺らも自分ルールの塊なんだしさ。
それに勝てるのって、結局アイン・ソフ・オウルじゃねェの?」

「いかにもそうだ…」
アサキムは天のアインソフオウルをもっていたが
あくまでもそれは自世界で形成されたもの
純粋にここで作ったのとは違う。
「まぁ…こちらの世界に愛され始めているから…もう大丈夫なはずだ」
…ゆっくりといきを吸い
「…必ず叩き潰そう」

))3つの大きな歪みが、画面には表示されていた。
リューキューに2つ。恐らくこれは、虚飾と傲慢。
そして、ミストロード。その地に座するのは紛れも無く、色欲だったろう。
歪みが解消されつつ有る地は、ここ――インペリア。
行方の分からぬ者は、暴食、憂鬱、憤怒――そして、強欲。
強欲以外の3人は、そもそも姿を見せていない。あの蜘蛛の手の上にも、3名は現れていない。
あの3体は、もしかすると――まだ封印が溶けていないのかもしれない。そう考えることも可能だったかもしれない。

「なるほどな…3つの根源有りか…」
…今回の戦も荒れるなとか思いつつ
「ミストロードへの道は俺が開こう…必ずとは言えないが当てがある」

33 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/05/08(木) 23:14:51.30 ID:N947gxI2.net
>「多分分かってないんじゃないかな? ごめんよ、オレではそのデカブツをどうしようもないから」

だろうな、言うまでも無いではないか。
思わず微苦笑してしまうと

「別に構わんさ」

その一言のみ返し後は閉口したまま診療所まで向かう。
診療所周囲は浮浪者等が多数居たが、掻き分けて中に入る
そしてゲッツを医療ロボットに任せた後、周囲の浮浪者たちが
バアル・ペオルのことを揃って口にしていたのである。
その存在は最初から知られていた訳でもなく、極秘中の極秘だったらしいが
理由はある一人の少女―ピロウの口によりすぐに分かった。

>「アシュラ・クロック――永遠の平和を望んだ人々の叡智の結晶。
それ最後の仕上げに、バアル・ベオル様は自ら望んでパーツの一部となったのです。
しかし人間の精神では永遠の平穏に耐えられるはずはなかったのです。
やがて時を経て、バアル・ベオル様は心の奥底で終わりを望むようになった……。
そんな心の隙に付けこんだのが、あの男、マモンです。
自分なら終わらせてやる事が出来ると……。
でも終わらせてくれたのはあなた達でした。本当にありがとうございました」

「………」

その話を聞いてゆっくりと懐に仕舞ってある青い花に手にやり
そのまま彼等の会話を聞き続ける。

>「アイツを止めなきゃ! この都市ってすごい最先端いってるんでしょ!? マモンがどこに行ったか分かる?」

「そいつピンポイントでは流石に……。
でも飛びぬけて大きい《セカイ》――例えば枢要罪の反応なら分かるかもしれません。
都庁に一緒に来ていただけますか?」

>「今は古代や中世ではありません。
ここは、現代勇者らしくネットや文明の利器を駆使しましょう。
どうも戦ってばかりで、情報を収集して分析する作業が欠落しているような気がしますしね。
この機械都市で各地の情報収集が出来れば、今後の方針を定めることも出来ます。
枢要罪が力を行使すれば、影響も一国規模のはずですから、大規模な異変が現れているでしょう」

「一理あるし特に拒む理由など何処にも無い、行こうか」

そんな事を言った後、いつの間にか起きていたゲッツもその言葉に従う

>「……行こうぜ。」

そしてリーフは輸送機を発見し、それを無理矢理ゲッツが動かす。
全員が乗り込んだ後、周囲を確認し何も問題ないと判断した際に最後
輸送機に乗り込んだ。

34 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/05/09(金) 00:19:39.86 ID:mkE8J3YY.net
その輸送機の中での会話でリーフからそしてゲッツからは耳が痛い事を
今回の出来事でよく理解して居る考えを改めてこの場で言われる。

>「それと、闇雲にマモンや他の枢要罪を追うより、対抗手段を得る事の方が重要ではないでしょうか。
戦力バランスを考えて、敵がほどほどに勝てる戦力しか出して来ないのはゲームやアニメや特撮の中だけです。
僥倖あって一角が欠けたとは言え、それこそラスボス級の戦力はまだ七体も残ってるんですよ。
運よく生き残れる状況を何度も続けられる保障なんて、何処にもありません」

>「……たしかにそうだわなァ」
>「アサキムもエスペラントも……、まアアレだわな。俺よか遥かに強えよ。
だけどよ、……その強さは、この世界じゃァ通用しねえんだろうさ。
……アイン・ソフ・オウル、要するに連中も俺らも自分ルールの塊なんだしさ。
それに勝てるのって、結局アイン・ソフ・オウルじゃねェの?」

「否が応でも今回のいやアシュラクロックや他のアインソフオウルとの戦いで元々分かっていたことだ。
それが今後の戦いでは僕達の命運を決める決定的選択の時が今此処で来たという事他ならない
故にその対抗手段についてはいろいろ考えているさ」

彼と彼女の言葉はまったく持って正しい。
だが既にその事については此方としても調べ、そして作製する計画も
考えられる全てを実行しなければ何時どうなるか分かった物ではない。
だから可能な限り手を打っておくのがこの場で唯一アイン・ソフ・オウルではない
自分が出来る事に違いないのだから。
そうして都庁に辿り着きそのまま世界観測室呼ばれる部屋に向かうと
怠惰に力により何らかの影響は間違いなくあっただろうが、現在は問題なく稼動しているようだ。
メインモニターには恐らくこの惑星、この世界全体の物と思われる地図が表示されている。

>「――ほォ……すげェなこれ。木の一つ一つまで見えるぜ?」

「これで世界の動向を監視していた、とすれば末恐ろしいものだ」

自分の見知る世界でも恐らくこれに該当する機能や媒体はあったが
これは更に技術的に発達したこの都市のテクノロジーの粋なのだから比べ物にならないだろう。
もっとも世界守護者機関にもこれに少なくても劣らない情報機器技術を要しているが、良い勝負と言ったところだ。
その状態から世界の歪みを観測する場面に切り替われば、大まかに三つのみが表示されていた。
内訳はリューキュー二人、ミストロードに一人。

「リューキューに二人か、近くには帝都トキオがあるがライドウ達が必死に防いでいるから
リューキューに一人立ち止まっているのか、それとも其処に二人居なければならない理由があるのか…」

なぜ二人のアイン・ソフ・オウルがリューキューに居るのかそれが単純に疑問が浮かんだ。
帝都トキオに向かうつもりだったのだが、帝都全体が風水や陰陽道を駆使し余りにも強力な邪悪な存在にさえ
容易に大規模な襲撃は出来ないように外部に対して本格的な結界が張り巡らされている。
そして国家所属の実力の高い悪魔召喚師達や彼が客分として連ねている葛葉一族が守護の任について
この出来事を既に予知しているはず。
いかにアイン・ソフ・オウルとて彼等に勝てずにリューキューで立ち往生しているのか
それともアイン・ソフ・オウルの力で制圧も出来るのに敢えてせず、リューキュー自体に目的があり
わざと立ち止まっているのか。
そんな考えを抱きながら、次に注目したのはそれは何処の国家群でもなければ
都市でも無い、ポツンと表示されているそれは不可思議に感じられた。

35 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/05/09(金) 00:44:21.85 ID:mkE8J3YY.net
「ミストロード、か。やはりどこかで聞いた事がある―」

だがどこでだ?そう思った矢先、すぐ傍に一人の現代戦用の彼女専用に作られた
忍装束を纏った彼女が出現する。

「主様、その事について情報収集に一段落付いたのでご報告に参りました」

静葉であった。彼女はエスペラントの前で何かの書籍を抱え、至近距離までやってくるが
アサキムの言葉に反応する。

>「ミストロードへの道は俺が開こう…必ずとは言えないが当てがある」

「いえ失礼ですが、さすがにアサキム導師様や関係者様でも
そして私たちでも<資格>が無ければ
入る事は愚か見る事は不可能かと思われます」

そして取り出した書籍はある研究家がこの世界の伝承や民族から
この世界の外側からも同じような話を収集した本であり
ミストロードについて書かれた項目を開いた。

「以前主様に調査を命じられ、その為に調べていたのですが
そして無作為による出現場所変化、資格が無ければ入る事も見て触ることも出来ない
と此処に書いてあります、そしてその資格も他の文献を調べられる限り広域補助機関
との協力であっても見つかりませんでした」

なるほど、つまりは入る方法は誰にも分からないらしい
それをアサキムはどうやってクリアするのか?

「確かに軽く読み返しても資格が無ければ見て触ることも出来ない徹底振りだな
この文献が正しければ、其処までの芸当が出来る以上我々が強引に侵入しても
何も問題なく行動が出来るのかは怪しい物だな」

それが視覚面だけなら幻覚やらその類なら分かるが資格がなければ触れられない
という部分に関してはいわく物体に対する干渉は不可能である、これは
資格無き者には概念やそれ以上の力が働いていると見た方が良いらしい。

「で、その資格というのは分かったのか?」

「いえこの場所はあくまでも知名度は低い民俗や都市伝説に属するらしく
目撃者に関して話を聞こうにも情報網には一向に引っ掛かりません。
どの文献にも記されていませんし」

相当厄介な場所にアイン・ソフ・オウルは偶々資格を持っていたのか
或いはその力で強引にねじ伏せたのか分からないが
潜伏されてしまった物だと、考えていた。

36 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2014/05/10(土) 01:36:16.67 ID:MRb7haPi.net
>「――ッ、マモンッ! ああそうだ、あいつブチ殴り殺してやんねぇとよォ……!!」

「うぇえ!? もうちょっと寝てなよ! 明日の朝のワイドショーの時間ぐらいまで!」

と言ったところで言っても聞かない事は分かり切っていた。
いつになくフラフラしてるんだけど……戦ってぶっ倒れるのはもはやお約束だからそんなに心配してなかったけど大丈夫かよ!?

>「……行こうぜ。」

「……ですよねー!」

輸送機での移動中、リーフやゲッツが戦力増強の必要性を語る。
それを聞いて超人のアサキム導師やエスさんが神妙な面持ちで思案している。
こいつらがそれならオレは論外じゃね!?
偉い人達が言うにはオレもアイン・ソフ・オウルらしいんだけど一体何の能力があるというんだ。
たまたま運よく条件にはまって呪歌の効果が増幅される事があるのは分かるのだが……。
今までに出会った巷のアイン・ソフ・オウル達は当然自分の能力を分かりきってるようだ。
そりゃそうだ、アイン・ソフ・オウルは自分ルールの極致なんだから当たり前。
彼らに見られるような自分ルールを貫き通す狂気的なまでに純粋な強い意思や根性、オレにはそんなものはない。
ま、いっか! 考えても仕方ないし。
そうしているうちに、都庁に到着し、世界観側室に案内される。

>「――ほォ……すげェなこれ。木の一つ一つまで見えるぜ?」

>「これで世界の動向を監視していた、とすれば末恐ろしいものだ」

要するにグーグルアース……じゃなかった、グーグルネバーアースを超凄くしたような感じ。
東の大陸から西の大陸へのルート検索をすると真ん中の海をカヤックで渡る羽目になるのはお約束。

「げぇ!? 誰も見てないと思って超スタイリッシュなV系吟遊詩人にあるまじき変顔とかできねーじゃん!」

「ツッコミどころそこぉ!?」

37 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2014/05/10(土) 01:36:56.23 ID:MRb7haPi.net
おふざけはそこそこに画面は世界の歪みを観測するモードに切り替わり、いよいよ本題へ。
観測できる枢要罪らしきものは全部で三体、リューキューに二体、ミストロードに一体。
エスさんによると、ミストロードに入るのはかなり難しそうだ。
となるとすぐ行けるのはリューキューの方だが、一体でも勝てる保証はないのに二体同時に相手取るのは自殺行為。
リューキューに二体もいるのは帝都トキオに行こうとして足止めをくらっている可能性もあるとのこと。

「ならさ……帝都トキオに行ってみない? 枢要罪二匹の狙いはそこかもしれないんだろ?
それにあそこってパワースポットとかたくさんあるしいかにも新たな能力に目覚めそうじゃん!」

「それがいいかもしれなせんね。最近は厄災の種を研究しているとかいう話も聞きましたし。
知り合いの天皇直属のデビルサマナーに紹介状を書いておきましょうか」

「国家所属のデビルサマナーの存在自体都市伝説レベルの眉唾ものらしいのに天皇直属って……」

「はい、表向きは国の名を冠した歌手グループとして活動しているそうですよ」

「マジかよ!」

ピロウはテキトーにもとい流暢に紹介状をしたためる。

「よろしければ転移ゲートにご案内しますので準備が出来たら声をかけて下さい」

38 :リーフ:2014/05/10(土) 18:23:27.37 ID:kJTFoTxA.net
リーフは諸問題を検討中の周囲を他所にスマートフォンを弄り、華麗な指捌きで収集した情報をメモしている。

「厄災の種を研究……ですか。
おそらく、今までに見た中では教皇ミヒャエル・リントヴルムX世の三主召喚。
ヴェルザンディ国家司書の禁呪『天使と悪魔の墳墓』が、厄災の種の力を限界まで使った術でしょうね。
三主召喚は、かつて勇者と謳われたボルツ氏を葬り去りましたが、天使と悪魔の墳墓はアサキム導師の前に無力も同然でした。
個体差が無ければ、厄災の種一つから得られる力はどれほどなのか、大体の目安となりそうですね……」

 などと呟きつつ、リーフはスマートフォンから目を離す。
そして、ピロウが紹介状を書き終わったのを確かめると、そっと彼女に近づいて質問を発した。

「そうだ、ピロウさんにお伺いしたい事があるのですが宜しいでしょうか?
情報は聞くべき時に聞いておかないと、後で聞く機会を逃した事にモヤモヤしてしまいますからね。
それで……聞きたい事と言うのは、バアル=ペオルを妹と呼んでいた存在の事です。
どうも普通の存在ではないようでしたが、あれは何者だったのでしょうか?」

 問い掛けの内容はバアル=ペオルの顕現について。
そして、リーフはしばらくピロウと話し合い、その会話が終わると今度はエスペラントにも声を掛けた。

「ところで、星の巫女にお聞きになった事があるのですがビャ……。
じゃなくて、エスペラントさんは世界から力を供給してもらう技術を使われているとか。
それは、どこからどうやって行われてるのか、教えて頂くことは出来ないでしょうか?
私はこの世界自体から力を供給されていると思ったのですが、そうなると一つの疑念が出てきます。
供給の実体は収奪ではないのかという疑念が、です」

 声量を潜めるリーフ。

「まず、ネバーアースは個々の知的生命の持つ世界が、一つに群れ集まって出来たものという話はご存知ですよね?
となると、力の供給元も世界を構成する一部、意志ある生命たちということになります。
アイン・ソフ・オウルもネバーアースを構成する一部と言えますが、彼らが他者へ力を供給するとは考え難いです。
となると、力の供給は世界を構成する大部分の一般人の力を消費して行われている可能性があります。
多くの想いが一つに纏まれば、一般人でも世界を作り変える現象『奇跡』を起こすとフラター・エメトは断定していました。
だから、原理的には普通の人の微細な小世界でも、大量に掻き集めれば強い干渉力を持っておかしくないとは思います。
ですが、枢要罪に対抗できる量の世界をネバーアースの人々から収奪してしまうと果たしてどうなるのか……。
……と、つまりそういう懸念を抱いている訳です」

 エスペラントからの返答を聞き終わると、リーフは急に背景へ溶け込むかのように存在感が薄くなっていく。
もちろん、今までと同様に会話相手や荷物持ちとして支障が出る訳ではないのだが。

39 : ◆JryQG.Os1Y :2014/05/11(日) 00:51:42.54 ID:GKj9dull.net
))「いえ失礼ですが、さすがにアサキム導師様や関係者様でも
そして私たちでも<資格>が無ければ
入る事は愚か見る事は不可能かと思われます」

「問題ない、入る方法は外からだけじゃない」
そういうと、デバイスをとりだしあるものを出す
「こいつは、仙界の創生時に書かれたとされているものだ」
「それによると、【強き念を持ちしもの霧の道の扉を開き閉めん】と書いてあるんだ」
「これから推測するに強き念を持ちしものは(サイコドライバー)の事を指していると思われる。
サイコドライバー
「汎超能力者」と呼ばれる念動力、精神感応能力、透視能力、予知能力など様々な超能力を持つ者を指し、
その力は神にも喩えられる。なお、「汎超能力者」自体は元から存在するESP関連用語だが、その別称である
「そして、サイコドライバーでありさらミスキーロードに出這入りしている者を知っている」
…そして一呼吸おき
「まぁ…正規方法と言えるかどうかもわからない方法で入るのはリスクがあるがな」
ちゃんとした入り方じゃない…そういうのには大抵負荷がかかるものだ。
「まぁ…まともな方法が俺からはこれしか推奨できんすまんな」

40 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/05/18(日) 20:08:21.03 ID:o49H08th.net
そしてミストロードに関する行動に対して選択肢は二つ
現状提示されている物がある。

>「問題ない、入る方法は外からだけじゃない」
「こいつは、仙界の創生時に書かれたとされているものだ」
「これから推測するに強き念を持ちしものは(サイコドライバー)の事を指していると思われる」
「それによると、【強き念を持ちしもの霧の道の扉を開き閉めん】と書いてあるんだ」

アサキム自身が言うにはミストロードに出入りしている者を知っているらしく
その者に協力を頼み、内部からその道を明けて貰おうという事だ。
だがその方法にもリスクが伴うらしいが

「仮に其処までして入ったとしても今の我々にはアイン・ソフ・オウル一柱を倒せるほどの力は無い。
最終手段として取っておくべきことではないのか?」

今から何の準備もなし突入する、これは考えてみれば今の自分達からすれば自殺行為となんら変わらないのでは無いか?
そう思ったので率直に口に出してあくまでも入る手段は何も無い時の最後の一手とすべきだと思った。

>「ならさ……帝都トキオに行ってみない? 枢要罪二匹の狙いはそこかもしれないんだろ?
それにあそこってパワースポットとかたくさんあるしいかにも新たな能力に目覚めそうじゃん!」

そして提示された第二の選択肢はアイン・ソフ・オウルが居るリューキュー近くに存在している
帝都トキオに向かわないかというフォルテからの新しい能力を開花させる為のきっかけになるかも知れないというもの。
そして続けてピロウからは厄災の種を研究している、という事を伝わる。

「強ちその選択は間違いでは無いな、トキオには僕が客分としてだが連ねている者達も居るし
世界守護者委員会のこの世界での拠点もあるしそして私自身の伝手で協力してくれている研究者達から
成果を確認する為一度見に行こうかと思っていた」

元々世界守護者委員会の関連機関及び活動拠点が帝都トキオに存在しており、また厄災の種に関して
様々な方面からの研究や実験を行うように命じていた者の一人であるエスペラントは
その成果を確認と頼んでいた兵器及び武器の製造についての経過を見に行く予定だったので
フォルテの提案は渡りに船であり、非常に都合が良かったと言える為賛成の意を告げる。
そしてなにやらピロウは天皇直属のサマナーに知り合いが居るらしく紹介状を書いてくれるとの事だったが

>「はい、表向きは国の名を冠した歌手グループとして活動しているそうですよ」

「確かに本当だが、それは一部だけだ。さすがに全員ではないぞ?
だがよくサマナーだと分かったな、思った以上に彼等は天皇直属だから
尚更守秘義務は厳しいと聞いていたが」

国家所属のデビルサマナーの存在は眉唾扱いはされている為、存在しないという事になっている。
しかしそれでも秘密裏の公務員のような物と質を可能な限り重視した育成と輩出により年々それなりの数が居たはずであり
それを含めても相応の数がいる以上、云十人単位のグループでは収まりきれないほどに人数は存在している以上
ほんの一部が表の世界の立場としてそれを取ったというに過ぎない。
仮にも統治者を守る者達である以上、素性がバレるのは非常に気を使っている為家族ですら知られてはならない
天皇直属の彼等の素性を知っているこの少女は何者なのか、という疑問が湧き上がるものの
考える合間も無くすかさずリーフが疑問を尋ねてくる。

41 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/05/18(日) 20:43:59.65 ID:o49H08th.net
>「ところで、星の巫女にお聞きになった事があるのですがビャ……。
じゃなくて、エスペラントさんは世界から力を供給してもらう技術を使われているとか。
それは、どこからどうやって行われてるのか、教えて頂くことは出来ないでしょうか?
私はこの世界自体から力を供給されていると思ったのですが、そうなると一つの疑念が出てきます。
供給の実体は収奪ではないのかという疑念が、です」

「ふむ…というと?」

自らに対する世界から力を供給する技術に関して詳しく聞きたいと尋ねられたので
その意図を先ずは最後まで聞いてみようと思い耳を傾ける。

>「まず、ネバーアースは個々の知的生命の持つ世界が、一つに群れ集まって出来たものという話はご存知ですよね?
となると、力の供給元も世界を構成する一部、意志ある生命たちということになります。
アイン・ソフ・オウルもネバーアースを構成する一部と言えますが、彼らが他者へ力を供給するとは考え難いです。
となると、力の供給は世界を構成する大部分の一般人の力を消費して行われている可能性があります。
多くの想いが一つに纏まれば、一般人でも世界を作り変える現象『奇跡』を起こすとフラター・エメトは断定していました。
だから、原理的には普通の人の微細な小世界でも、大量に掻き集めれば強い干渉力を持っておかしくないとは思います。
ですが、枢要罪に対抗できる量の世界をネバーアースの人々から収奪してしまうと果たしてどうなるのか……。
……と、つまりそういう懸念を抱いている訳です」

リーフが上げている疑問は要するにこの世界自体は多数の意思で作られた単一の意志ではない為
力を貸すとは考えにくく、そしてこの世界を構成している一般人からの力を奪っている故
アイン・ソフ・オウル達と対抗出来るまでの力を得ているのではないかという懸念というべき考えだった。
しかしこれに対してどう答えるべきかとも思ったが、少し困ったように

「なるほど。この世界の人達から力を奪って枢要罪と大差ない方法で力を得ていると考えたのか
…はっきり言って僕はどうやって力が供給されているのかは分からないいや知らないと言った方がいい。
僕はあくまでもこの世界の外側の多元世界に関する運営システムそのもの―自然の摂理というべき存在に取り込まれた存在だ、
しかも自ら望んでそうなった訳では無いからね。本当の詳しい原理は分からない
流れ込む時には自我を保とうとするので精一杯だから」

基本的にはその流れ込む力の源ははっきり言えば何処から流れてきているのかについて
正確な意味ではエスペラント自身でも理解していない。
それは自らの意思ではなく、世界に反逆した咎人としての罰として組み込まれた
多元世界を運営するシステムとそしてその多元世界にある世界自体一つ一つの意思による
直属の傀儡に過ぎないのだ、主に武力行使と多くの世界に影響を齎す前の異変感知防衛装置としてだが。

「だがなんとなく分かるつもりだし、それが正しいかは分からないが。
恐らくこの世界が力を貸さないのなら、この世界に関っていない正しく外側に存在している枠外
あるいは極めて遠く限りなく近いそれに連ねる大きな多元世界にある運営システムが直接僕に与えているのかもしれない」

この世界が自身に力を与えないのなら、この世界の外側つまりネバーアース外宇宙多元世界からの
直接の供給以外他ならないのだろう。元々この世界が助けて欲しいと言わないのならば此方に属する
多世界と自然の摂理というべきシステムが何らかの異変を感知して大きく此方に波及する前に阻止しろと、直接送られてきた
のならばそうやって力を与えたのだろう。そうでなければ頂天魔とのローファンタジアでの戦いの際に
多世界の世界侵略を企てた奴との戦いでの永久闘争存在化はありえないのだ同時に奴が
同じように世界からの力を不正な手段とは言え奪って糧にしていた事も。

「実際にその影響で多数の人間が死んだのかは僕には分からない。
それならば頂天魔の戦いでの事でローファンタジア以外にも大量の死亡者は出ていただろうと思うが
そんなニュースや知らせは出ていないしな。だからその方法で世界から力が供給されていたと僕は思う」

そんな自らの見解を話した後

>「よろしければ転移ゲートにご案内しますので準備が出来たら声をかけて下さい」

「ああとりあえず僕自身の用事はとりあえず終ったから付いていこう」

話すべきことは終ったのでピロウの案内に対して何時でも付いていけるようにしていた。

42 :ゲッツ ◆Sin.5EUo9A :2014/05/24(土) 16:24:41.23 ID:LZQiu3e7.net
>「ミストロードへの道は俺が開こう…必ずとは言えないが当てがある」
>>「問題ない、入る方法は外からだけじゃない」

「待てや」

そう言ったアサキムの言葉を遮った一つの声が有った。
頭脳派とは程遠い、巨大な背丈を誇る竜人である。
しかし、その瞳はいつになく激しくギラついている。先ほどまでの戦いで気が高ぶっているのだろう。
厄災のアイン・ソフ・オウルに目覚めてから、次第にゲッツの暴力性は増しているのかもしれない。

「――ミストロードって、確かあれだろ。
フォルテのかーちゃんの宿敵居るんだろ? あのエロい熟女。
だがよ、エス平も言ってる通り入るのはなかなか難しいんじゃねーの。
あの土地一回喧嘩売りに言ったけど喧嘩買ってすらもらえなかったことあんだけどさ。
今思えば、あの土地を封じてる力も、アイン・ソフ・オウルかもしんねえ。
……で、だ。今日の俺は殺し合いだから珍しく冴えてる訳だがよ。
色欲のアレ見たろ? 魅了して支配するってー反則染みた力をよ。
間違い無えよ。ミストロードは、あのエロい熟女に魅了≠ウれていると思うぜ?
要するに、あの土地全部がエロい熟女の味方で俺たちの敵って訳だ。
アサキムが入る術を持ってたとしても、今までと同じように入れるとは限らねェ」

ゲッツに常識はない、ゲッツに知識はない、ゲッツに知能はない。
だがしかし、こと戦闘ともなればゲッツの頭の冴えは別人のようなレベルとなる。
ハイランダーとしての本能と傭兵としての経験が生み出す、戦闘以外には役立たぬ、戦闘のための思考回路が弾き出す結果だ。
そして、その結論はミストロードは明らかにヤバイ、明らかに不味いという事。
それを裏付けるような言葉が、ゲッツから更にゆっくりと吐き出されていく。

「で、もう一つ。エロい熟女はフォルテのかーちゃんと同じ世代だろ?
んで、だ。なりたての俺らとアイツらじゃあ、アイン・ソフ・オウルとしての年季が桁違いな訳よ。
――そんでもって、逆にリューキュー。ヴェルザンディとミヒャエルの居る場所。
ミストロードにアイン・ソフ・オウル1人。リューキューにアイン・ソフ・オウル2人。
数の上じゃあリューキューが強そうに見えるが良く考えてみろ。
アイツら二人と俺達じゃあ、アイン・ソフ・オウルとしての年季は大して変わんねえ。
違いが有るのは年季ぐらいだ。――さて、ひよっこの枢要罪が2体と、超年季入った枢要罪が1体。
どっちがヤバイかってのは、俺ですら分かると思うぜ?」

ゲッツが提唱するのは、年季がありアイン・ソフ・オウルの扱いを身につけている色欲のグリムよりは
まだ目覚めてまもなく、扱いに慣れていないだろう虚飾のミヒャエルと傲慢のヴェルザンディの方が与し易いという理論。
だが、理由としては間違ってはいない。
そして、入る術を見つけ難いミストロードよりはリューキューの方が向かいやすいという事もあった。

43 :ゲッツ ◆Sin.5EUo9A :2014/05/24(土) 16:25:18.25 ID:LZQiu3e7.net
>「ならさ……帝都トキオに行ってみない? 枢要罪二匹の狙いはそこかもしれないんだろ?
>それにあそこってパワースポットとかたくさんあるしいかにも新たな能力に目覚めそうじゃん!」

「――それで良いぜ。トキオはアレか……、確か――なんだったか。
とにかく飯が美味いって評判だよな! もうこれ行くしかねェだろ、行くしかよォ!
とりあえずついたら飯な、飯よ! 正直ふらふらでヤバイから飯食わねーと戦えねぇしあとこの街飯不味そうだし!」

フォルテの提案にゲッツは考えるまでもなく即座に乗っかってくる。
傷だらけの竜人は、未だにコンディションは完璧ではなく、常よりも覇気や闘気も弱まった姿。
他の皆も食事や休息を挟まなければ、枢要罪との戦いに挑むなど夢のまた夢であるだろう。

>「ああとりあえず僕自身の用事はとりあえず終ったから付いていこう」

リーフとエスペラントの会話を小耳に挟みつつ、ゲッツは己の力のあり方にも意識を向けて。
意識を向けた所で結局理解できないのだから、己の中にある災厄の力について考える意思は食欲によって彼方に放り投げられたのだった。
そして、パーティはずらずら転移ゲートへとピロウの先導に従ってついていき、遂にゲートの前に立ち。

「さて、と。んじゃ腹減ったからちゃっちゃと向かおうぜ、ちゃっちゃとよォ」

一番乗り、とばかりに水泳のような綺麗なフォームで転移ゲートへと飛び込んでいったゲッツ。
そして、皆がその後にしたがって付いて行けば、その先で一悶着を起こしている竜人の姿が先ず目に入った事だろう。

「おうおうおう、なんだテメーら! ちょいと喧嘩売ってきた奴が居るからぶちのめしただけじゃァねえかよ!
あ? 邪悪な者でなければ襲いかからない? 邪悪じゃねーって邪悪じゃ! 見ろよこのキラキラした目! あとイケメン面!
俺様のどォこが悪人で邪悪なんだよアァン!?」

複数人のデビルサマナーに囲まれた竜人。
彼らは抜刀しており、生身のゲッツ相手に緊張した雰囲気が向けられていた。
そして、ゲッツの目の前の壁には昏倒した土蜘蛛が一匹。ゲッツの頬に一筋の傷が有った。
話を聞けば分かるだろう。どうもゲッツが邪悪な怪異か何かだとサマナーの使役する人外に誤認……誤認ではないかもしれないが
誤認された結果として、このような結果となっているようだ
サマナーの中に一人雰囲気の違う、練度の高い者が居る、それが恐らくこのサマナー達の総締めのようなものだろう。

44 :アサキム◇JryQG.Os1Yの代理 ◆Sin.5EUo9A :2014/05/25(日) 06:17:10.77 ID:aI1kgFt/.net
「まぁそうか…言ってることは正論だな」
確かに魅了されているとしたら自分たちを拒み拒絶する可能性がある
「下手したら連絡が取れないかもな」
絶望視しかできない…だが…0じゃないはずだ。
そういう風に考えてたら
>「ならさ……帝都トキオに行ってみない? 枢要罪二匹の狙いはそこかもしれないんだろ?
>それにあそこってパワースポットとかたくさんあるしいかにも新たな能力に目覚めそうじゃん!」
「そういやあそこ、応龍やら神獣が眠ってて霊気が充満しているな」
「アマちゃんを、仕留める用意をするには持って来いすぎる場所だな」
アサキムは珍しくたのしそうな顔をしていた
とてもじゃないが仙人とは思えない顔を…
「向こうに着いたら悪いが別行動を取らせてもらおう」
そう告げると転移ゲートをくぐり
何も見なかったようにゲッツをスルーして行く

45 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2014/05/27(火) 01:05:41.39 ID:6JOETkuf.net
ベテラン一匹より新米二匹の方がまだましと主張するゲッツ。
皆単純な数で考えていたが、言われてみればそれもそうだ。
オレの提案にゲッツやエスさんも同意を示し、トキオに向かう流れとなる。
そんな中、リーフが一つの懸念を口にする。
それは、エスさんの力供給の原理は「みんなの元気をオラに分けてくれ!」方式なのではないかということ。
そうだとしたら一般ピープルから力を吸い取りすぎておっ死ぬ人が出るのではないかということだ。
それに対し、エスさんはおそらく世界の外側から力が供給されているのだろうと答える。

「オレもそう思うな。何処の世界に行っても同じように力が使えるんだろ?
なら個々の世界よりも上の次元から供給されてるんじゃねーの」

>「よろしければ転移ゲートにご案内しますので準備が出来たら声をかけて下さい」

>「ああとりあえず僕自身の用事はとりあえず終ったから付いていこう」

建物の奥の厳重に鍵がかけられた一室に、例によって旅の扉のような転移ゲートはあった。

>「さて、と。んじゃ腹減ったからちゃっちゃと向かおうぜ、ちゃっちゃとよォ」

真っ先に旅の扉にダイブするゲッツ。こいつが一番乗りとか嫌な予感しかしない。

「人外魔境が跋扈する地ですからくれぐれもお気をつけて」

ピロウに見送られ、転移ゲートに飛び込む。

♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪

46 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2014/05/27(火) 01:06:39.43 ID:6JOETkuf.net
>「おうおうおう、なんだテメーら! ちょいと喧嘩売ってきた奴が居るからぶちのめしただけじゃァねえかよ!
あ? 邪悪な者でなければ襲いかからない? 邪悪じゃねーって邪悪じゃ! 見ろよこのキラキラした目! あとイケメン面!
俺様のどォこが悪人で邪悪なんだよアァン!?」

転移してまず最初に聞こえてきたのはゲッツの怒声だった。言わんこっちゃない!

「何っ!? 仲間がいたのか!」

こちらにも攻撃して来そうな勢いである。

「わーーーっ! 六階です……じゃなくて誤解です!
そりゃあ確かにいかにも悪役レスラーっぽく筋肉ムキムキで悪そうな顔してるけど
たまたま悪性のアインソフオウルってだけでいい奴なんです!
ほら、導師様も何か言ってやって! うぇええええ!? スルー!? っていうか何で君達もスルー!?」

何も見なかったように平然と出ていく導師様。
デビルサマナー達も何故か取り押さえようとせずにスルー。これが仙人オーラか……!

「むぅ、邪悪な竜人の仲間にしてはあまりに小物っぽい……!」

デビルサマナー達は反応に悩んでいる。
その隙によく訓練された雰囲気の人に近づき、紹介状を渡す。
その人からはストイックな僧兵のような風格さえ感じられる。

「ほら、インペリアの偉い人からの紹介状!」

紹介状を受け取り、神妙な面持ちで眺めるリーダーっぽい人。
数秒間の沈黙の後、ゲッツの方を見据え、一言。

「お主……裸芸人なのか」

「はぁ!?」

間違っては無いけどさあ! ピロウさん一体どんな紹介状書いちゃったの!?
まさか文字通りキャラクター紹介書いちゃったなんてことは……。
いや、それにしても裸芸人とは書かないだろ普通!

47 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2014/05/27(火) 01:07:41.42 ID:6JOETkuf.net
「これは大変失礼した。裸芸人に邪悪な者はいない。裸で何が悪い!」

あまりの展開に唖然とするオレ達を余所に、デビルサマナー達はああまたかといった雰囲気である。

「あーあ、また始まった……」

「脱ぎ癖さえ無ければ完璧なのに……」

「申し遅れた、私はこのチームのリーダー、クシャーナ・ギトゥーシ。
本当はあの者がリーダーだったような気がするのだが歌が下手なので降格させておいた」

「余計な事言わないでください!」

よく訓練された雰囲気は気のせいではなかったようだ。
彼はあらゆる意味でよく訓練された紳士であった。

「裸芸人は冗談として……ここに描かれているインペリアを解放したというのは真なのだな?」

「いやいや、今超マジだったよね!?」

「ところで紹介状にまずご飯でもおごってやってくださいと書かれているな……。
正確には我々の後輩グループへの紹介状のようだがまあいい、お詫びにザギンでシースーでも御馳走しよう」

ザギンは多分この国の地名なのだろう。シースーって何だ? 食べ物か?

48 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/05/31(土) 02:11:49.44 ID:h+T2IUli.net
>「オレもそう思うな。何処の世界に行っても同じように力が使えるんだろ?
なら個々の世界よりも上の次元から供給されてるんじゃねーの」

どうやらフォルテも自分とリーフの話のやり取りを聞いてそう思ったらしい。
この世界が力を貸さないならそう考えるのが妥当、とは違うのかもしれないが
似たような事を思う者はいるようだ。

>「さて、と。んじゃ腹減ったからちゃっちゃと向かおうぜ、ちゃっちゃとよォ」
>「人外魔境が跋扈する地ですからくれぐれもお気をつけて」

「ああ、私としては得意分野には近い方だが油断は出来ないのは重々承知している。
君達の行動次第でまたインペリアは変わるも元のように機械が支配する場所に変わってしまう
その事を肝に銘じ決して忘れてはならないようにな」

かつて機械に支配されていた狂気の都市に対してこれで最後になるのかそれともまた来るかは
まったく分からないが、それでもこの場所に十年、百年と言った年代が経った後同じ事を繰り返さないように
そんな余計なお節介とも忠告とも取れる言葉をこの場に居る全員に呟き
かつて機械に繋がれた一人の少女と彼女の兄が存在していたインペリアから立ち去る。

そして感慨に耽る間も無く転移ゲートから世界守護者委員会関連施設及び協力関係に当たる組織と集団が
存在している島国にして城砦である帝都トキオにやってくるのであった。

「アイン・ソフ・オウルがすぐ隣に居るから故に急がねばならんか…」

己自身がアイン・ソフ・オウルとなりて奴等に対抗するべきなのか
それともそれ以外の打ち破る方法があるのか、それをこのトキオで決めねばならない
何せすぐ隣には二柱のアイン・ソフ・オウルに存在しているような物なのだから。
そう考えてトキオ内に入ろうとしていた矢先だった。

49 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/05/31(土) 03:20:52.58 ID:h+T2IUli.net
>「おうおうおう、なんだテメーら! ちょいと喧嘩売ってきた奴が居るからぶちのめしただけじゃァねえかよ!
あ? 邪悪な者でなければ襲いかからない? 邪悪じゃねーって邪悪じゃ! 見ろよこのキラキラした目! あとイケメン面!
俺様のどォこが悪人で邪悪なんだよアァン!?」

目前では取り囲まれたゲッツとデビルサマナーが召喚したと思しき土蜘蛛が倒れている。
なにやらアイン・ソフ・オウルと察知したのかは分からないが少なくても敵と判断したからゆえ
このような事態となりサマナー達に囲まれたのだろう。

>「何っ!? 仲間がいたのか!」

>「わーーーっ! 六階です……じゃなくて誤解です!
そりゃあ確かにいかにも悪役レスラーっぽく筋肉ムキムキで悪そうな顔してるけど
たまたま悪性のアインソフオウルってだけでいい奴なんです!
ほら、導師様も何か言ってやって! うぇええええ!? スルー!? っていうか何で君達もスルー!?」

だが無責任にもアサキムは無視して干渉無用として先に何処か行ってしまう。
元より奴自身は仙人という所詮俗世に進んで関らん者達だからだろうか
必要な場合以外は余り人と関わらないのが基本なのかもしれない。

>「むぅ、邪悪な竜人の仲間にしてはあまりに小物っぽい……!」

そしてサマナーはゲッツに対してそのような事を言いつつもどうするか決めあぐねていた。
しかしフォルテはピロウからの紹介状を取り出すと此方からも更に念を押すべく鶴の一声を加えた。

「待て、彼等は私の仲間だ。その証拠として菅野白が、いや客分召喚師名無白が来たと
葛葉雷堂、猊琳、水明、火煉辺りの誰かかそして葛葉一族もしくはヤタガラス
に名前を出せば分かる」

そういうと紹介状を見ている者以外はざわめき始める。
受け取った方は何を書いたかは知らないが裸芸人とのことだが
他の連中はその言っている意味が理解できているようだ。
そんな最中にクシャーナ・ギトゥーシと名乗るこのサマナー達を束ねる者が
自分達を認めたらしい。明らかに裸だの何だのという言葉が聞こえたが
この際能力を買われているのなら自分としては何もいう事はあるまい。

50 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/05/31(土) 03:21:46.52 ID:h+T2IUli.net
>「裸芸人は冗談として……ここに描かれているインペリアを解放したというのは真なのだな?」

「そういう事になるな、私の名を聞いて嘘だと思うか?」

とりあえず仮にも葛葉一族か超国家機関ヤタガラスを知っている者達ならば
数多ある名前の一つとは言え知らない者は居ないはずであり、ただ淡々とありのままに述べる。

>「ところで紹介状にまずご飯でもおごってやってくださいと書かれているな……。
正確には我々の後輩グループへの紹介状のようだがまあいい、お詫びにザギンでシースーでも御馳走しよう」

「すまんが、とりあえず今は顔合わせだの済ませたい要件が幾つかあるのでな
私もそれに同行したいがこの二人を待たせる訳にもいかん。
だからもしも待たないようなら二人だけで行ってもらっても構わない」

わざわざ自分の要件に最初から最後まで付き合わせることもないだろうと考えて
敢えてそのようなことを言って待つようであれば断りを入れておく。

「悪いが此処からは恐らく別行動を取らせて貰う。
困った事や何かやりたい事があれば此処にいる彼等が助けてくれるだろう
それではな、出来ればザギンとやらでまた会おう」

そして先ほど出した名前で此処にいたクシャーナ・ギトゥーシ班のサマナーが連絡したようで
彼等とは明らかに雰囲気と服装が違う者達が数人現れる。

「ようこそ参られました、私達はヤタガラス及び葛葉一族から派遣された者です。
トキオ内のご案内もさせていただきます」

「では行こうか」

その言葉と共に足早というかあっという間にゲッツとフォルテ達の前から消えていなくなった。

51 :阿由羅城 左宗:2014/05/31(土) 20:31:54.99 ID:GNooKpwu.net
 アサキムとエスペラントが去った後、クシャーナは自動車を用意してインペリアからの来訪者を目的地に運ぶ。
車内に妙麗寺浄子とアルテナ・ポレターナの姿は無い。
彼女たちはインペリアに留まったままか、さもなくば転送ゲートで別の地へ向かったのだろう。

 路面電車や乗合バスと擦れ違いつつ、送迎車がアールデコ風に整備された区画を走ること十五分。
古風な趣の旅館に辿り着くと、クシャーナは車を止め、二人の客人を中へ案内する。
建物の内部は障子や畳や掛け軸の内装が施されており、廊下の先には幾つかの個室と、宴会場の座敷が設えてあった。

「この朱雀亭は旅館なのだが、各地のデビルサマナーが集う社交場の一つでもあってね。
カフェー・パイフーや、帝都ホテルの黄龍閣と比べれば格式も落ちるが、それだけに雑多な階層のものが集まる」

 旅館の紹介がクシャーナの口から為されていると、薄暗い廊下を擦れ違う男が鋭い視線を送ってきた。
黄色人種の人間で黒髪黒目、身なりは糊の利いた黒いフロックコート、年は成人を少し過ぎた程度。
彼は微かに鼻を鳴らすと立ち止まり、傷だらけのゲッツの身体をじろりと見遣って、クシャーナに向き直る。

「クシャーナ氏、いくら朱雀亭と云えど、連れの格好はあまりに酷い。
これを放置しては、仁徳にも礼徳に悖ろうというもの。
小生が少しばかり見映えを良くして差し上げよう」

 男の口から発されたのは東大陸や近隣群島の固有言語でなく、どの大陸でも広く使われる共通語。
低く落ち着いた声で言いながら、彼はフロックコートの胸ポケットから筆ほどの大きさの金属棒を取り出す。
そして、視線を竜人から外さぬまま軽く一振り。
瞬間、銀色の光沢を持った棒の先端部から薄紫に光る靄が湧く。
靄は床に落ちると色と質量を備え、たちまち猿頭虎胴に蛇尾を備えた妖獣の姿を取って、御影石の廊下に佇んだ。
この金属の棒――封魔管と呼ばれる道具を用いた悪魔召喚こそが、デビルサマナーの一般的な召喚技法である。

「鵺よ、この者に治癒を……此処で強い血と瘴気の匂いを漂わされては悪魔どもが騒めく」

「滅痍[Media]」

 召喚士に命じられた異界の獣は、細く気味の悪い声で呪(カシリ)を飛ばす。
鵺、と呼ばれた妖獣が用いたのは、傷を呪う事で傷の存在を滅し、結果として肉体の毀損を修復する術。
この呪詛に分類される治癒術は、召喚士の魔力で干渉力を強化されている。
たとえ拒まれようとも傷を塞ぎ、全身の裂傷を埋めるべく、厄災の世界を持つ竜人に影響を及ぼす。
クシャーナはゲッツの頬傷が消えたのを確認すると、軽く顎を引いて同業者に目礼した。

「手を煩わせた、阿由羅城君。
後で治療するつもりだったが」

「八大竜王の示した八徳の体現は琉球志士の規範、礼には及びません。
それではクシャーナ氏、外つ国の方、小生はこれにて。
当節は霊的磁場の歪みで新たに発生した気場の類も珍しくなく、鎮域に私まで駆り出される始末。
そのような役儀がありますれば……戻れ、鵺」

 呼び掛けられた妖獣は形を崩して紫の靄となり、金属棒の先端に吸い込まれてゆく。
フロックコートのデビルサマナーが朱雀亭を出て行くと、代わって廊下には夕餉の香りが漂い始めてきた。
クシャーナは阿由羅城と呼んだ男の背を見送ると、客人に軽く紹介を行う。

「今のもデビルサマナーの一人で阿由羅城左宗。リューキュー出身だとか。
まぁ、座敷の支度も整ったようなので、まずは食事だ。
君たちが会うべき陛下直属の人物には連絡を入れておいたので、明朝にも此処を訪れることだろう。
それまでは我が国の郷土料理と温泉を堪能して、遠来の疲れを癒すといい」

52 :阿由羅城 左宗:2014/05/31(土) 20:33:07.32 ID:GNooKpwu.net


名前:阿由羅城 左宗(アユラギ・サシュウ)
種族:人間
性別:男
年齢:22才
技能:悪魔召喚、剣術
外見:長身の黄色人種、耳が隠れる程度の黒髪、黒い瞳で目つきは鋭い
装備:呪的防護を施した黒いフロックコートにズボン、金毘羅景光(コトヒラカゲミツ)の銘を持つ刀、拳銃
出身:東大陸周辺の島、琉球(リューキュー)
身分:琉球志士、現在はフリーのデビルサマナー
目的:トキオで琉球王朝と幕府を解体するだけの武力を得て、開国派を中心とした新政府を琉球に樹立する
世界観:流転(万物が鬩ぎ合う動的状態の中からこそ、新たなものが生成される)
操作許可指定:NPC(条件無しで可能・解説役、進行役、なんでも可)
設定許可指定:NPC(条件無しで可能)

※悪魔召喚
魔的な存在を異界から呼ぶ技法。
儀式で呼んだ悪魔を携帯用の特殊金属管に封じることで、場所や時間に囚われず、彼らを使役する。
基本は三主神やマアトのようなネバーアース固有の神話体系ではなく、異界の伝承に基づく存在が呼ばれる。
阿由羅城は雷獣、土蜘蛛、野槌、鵺など、国津神系の妖獣を使役。

53 : ◆JryQG.Os1Y :2014/05/31(土) 23:54:39.44 ID:H76QLjDX.net
ここは、トキオのどこか
「ついたな…」
「ええ…」
アサキムと空気になりかけてたアヤカは扉を開く
そこには
「…おぉ!これは!」
「久しいなギリアム」
こちらはギリアム・エーガー
罪にとらわれた者
この者は今ここで全時空の次元干渉などの監視をしてる
「ミスキーろーどについて情報がほしい」
「…ミスキーろーどか…それについて一つ気になるものがある」
ギリアムは夫婦にコーヒーを差し出し
「…ミスキーロードはもともと定期的な空間湾曲によって発生する」
「だろうな…それは知ってるぞ」
「その断続的なパターンが消えた」
「…なんだと!」
…アサキムは戦慄した
「既に手遅れか…」
「残念ながらな…」
ギリアムはコーヒーを啜り
「まぁ…お前が考えていた方法は悪くないなサイコドライバーによって空間湾曲を仕掛ける」
「…盗聴とはお前最低だな」
「まぁいいじゃないか…で誰に依頼するつもりだ?」
「イルイ・ガンエデン」
「…まぁ可能性はあるな」
「掴めるか?」
「当然だ任せてもらおうか」
「感謝する…さて」
「おい、もう行くのか?」
「まぁな、時間が惜しい」
そういい、アサキムはアヤカとともに去る

54 :創る名無しに見る名無し:2014/06/01(日) 03:14:15.21 ID:iDq0nHL/.net
天然パーマ男死ね。バケモン。気色悪すぎ。天然パーマ男死ね。バケモン。気色悪すぎ。
天然パーマ男死ね。バケモン。気色悪すぎ。天然パーマ男死ね。バケモン。気色悪すぎ。
天然パーマ男死ね。バケモン。気色悪すぎ。天然パーマ男死ね。バケモン。気色悪すぎ。
天然パーマ男死ね。バケモン。気色悪すぎ。天然パーマ男死ね。バケモン。気色悪すぎ。
天然パーマ男死ね。バケモン。気色悪すぎ。天然パーマ男死ね。バケモン。気色悪すぎ。
天然パーマ男死ね。バケモン。気色悪すぎ。天然パーマ男死ね。バケモン。気色悪すぎ。

55 :ゲッツ ◆Sin.5EUo9A :2014/06/01(日) 23:19:41.75 ID:R9MzcSAP.net
>「わーーーっ! 六階です……じゃなくて誤解です!
>そりゃあ確かにいかにも悪役レスラーっぽく筋肉ムキムキで悪そうな顔してるけど
>たまたま悪性のアインソフオウルってだけでいい奴なんです!
>ほら、導師様も何か言ってやって! うぇええええ!? スルー!? っていうか何で君達もスルー!?」
>「むぅ、邪悪な竜人の仲間にしてはあまりに小物っぽい……!」

そも、アインソフオウルというものの存在は公には知られていない、または都市伝説か伝承の類の存在。
そんなものを聞いてもよく分からない彼らの判断基準は、目の前の竜人の悪そうぶりと、目の前の吟遊詩人の小物ぶりだけで。
そして、いつもいつもゲッツの巻き起こす面倒事の度に収拾に当たるフォルテの人徳なのか、事態は次第に落ち着いていき。

「あァ!? 俺が小物ォ!? 喧嘩か、喧嘩売ってんのかァ!!」

またそこに面倒事をぶっこんでくる竜人。
しかしながら、こちらのキレ方も良く考えれば単なるチンピラと大差ない。
舐められたから舐められないようにメンチ切っているだけであり、田舎のヤンキーと同じ思考回路だ。
ただ、そのヤンキーにアイン・ソフ・オウルの力と巨体と戦闘技能と戦闘狂の気を加えただけだ。

切れつつも、フォルテにたしなめられ、腕を組んで他のサマナーを藪睨み。
全身から不機嫌オーラと殺気と戦意をまき散らしながらフォルテとのやりとりを眺めて。
直後。

>「お主……裸芸人なのか」

「やっぱりてめェ殺されてェかあああああああああああああああああああああ!!?」

胸ぐらを鷲掴みにしてそのまま殺そうとする勢いでブチ切れるゲッツ。
イラつきからのこれだ、どうしようもない状況。
発露するアイン・ソフ・オウルのオーラで服が破けていく。段々脱げていく。肝心な所は隠れているが、9割全裸だ。
9割全裸とは、服を着ていないのに謎の光や謎の煙やなにかで都合よく[ピ----]や[ピ----]が見えない状況を言う。

脱ぎ芸人VS脱げ芸人。この一触即発の状況を収めようと動いたのは、超人エスペラント。
なんともカオスな状況に、いつも通りの冷静さを持って干渉。いつも通りの顔の広さを使って場を收めてみせる。

>「待て、彼等は私の仲間だ。その証拠として菅野白が、いや客分召喚師名無白が来たと
>葛葉雷堂、猊琳、水明、火煉辺りの誰かかそして葛葉一族もしくはヤタガラス
>に名前を出せば分かる」

「……へ。てめェにャあとで絶対全裸土下座させてやんよォ。わかったか、あァん!?」

>「ところで紹介状にまずご飯でもおごってやってくださいと書かれているな……。
>正確には我々の後輩グループへの紹介状のようだがまあいい、お詫びにザギンでシースーでも御馳走しよう」

胸ぐらを掴んだ状態から、相手を置いて。
はん、と鼻を鳴らして一歩引いた。そして、食事の話が出た瞬間に、ゲッツは相好を崩した。
山の出身で、川魚は生で食べないのが基本のゲッツ――いや、何でも生だろうがなんだろうが食べるが。
兎に角、生魚を主とする食文化の生まれでも育ちでもないゲッツにとってシースーとは知らない食物。
だが、元よりマンドラゴラのつけものやらホムンクルスの活造りやらを食べてきた悪食ぶり。
大抵の食べ物は食べられる。食べ物でなくても食べようと思えば食べられる。大丈夫で、問題はなかった。

>「ようこそ参られました、私達はヤタガラス及び葛葉一族から派遣された者です。
>トキオ内のご案内もさせていただきます」

「へェ――出来るなァアンタ。
良いぜ、案内してもらおうじゃねえか。あと旨いものも食わせてくれよ?
んじゃ行こーぜ、あとあちーから窓開けてくれよ、エアコン嫌いなんでな」

現れた迎え。それに対して、いつも通りの傲岸不遜な態度を取ってみせる。
そして、車に乗り込むも、その巨体は高級車であってもぎゅうぎゅう詰め。
致し方ない部分はあり、ゲッツは窮屈な身体の上半身部分を窓から外に飛び出させていた。所謂箱乗りという奴だ。
ぶつかったらどうすると言う問題はあるが、大抵の車よりゲッツの方が強い為問題はない。

56 :ゲッツ ◆Sin.5EUo9A :2014/06/01(日) 23:20:17.80 ID:R9MzcSAP.net
そして、十数分走れば一つの旅館にたどり着く。
ほー、と関心した様子のゲッツ。にかりと笑みを浮かべて、フォルテの方を向けて。

「これボロいな! ブレス吐きゃ2秒で消し炭になりそうだぜ!!」

と、身も蓋もない言葉。それでも古い建造物に少し好奇心を覚えている様子。
正しくは、その建造物に染みこむ、妖気や魔力の類に――だが。
すんすんと鼻を鳴らして、楽しそうな様子のゲッツ。そして、そのまま歩いていく。
廊下を我が物顔で闊歩する。そして、すれ違いざまの男に、ゲッツの意識が惹かれた。強い、と。

>「クシャーナ氏、いくら朱雀亭と云えど、連れの格好はあまりに酷い。
>これを放置しては、仁徳にも礼徳に悖ろうというもの。
>小生が少しばかり見映えを良くして差し上げよう」

「あー、コレか。別に肉食って一晩寝ときゃ治るし服も生えるけどなァ。
ま、してくれるっつーならしてもらおうじゃねーの。頼むわ、おう」

>「鵺よ、この者に治癒を……此処で強い血と瘴気の匂いを漂わされては悪魔どもが騒めく」
>「滅痍[Media]」

悪魔どもがざわめくとの事だったが、ゲッツの存在は人よりも竜寄りであって。
むしろ悪魔などの同類に近い、人外と言えたかもしれない。
やる気になれば封魔管にゲッツを封じて使役する事も可能なのだ。魔なのだから。

「おーおー、俺の世界≠抜いてくるたァ――器用じゃねェか。
今度闘ろうぜ。きっと楽しいからよォ」

己の世界の防護を貫いて、回復を行うその男の技量に素直に感心するゲッツ。
そして、そんなものを見せられれば戦闘狂の気が疼くのは当然で。
いつも通りの苛烈の笑みで、ゲッツは喧嘩の誘いをするのであった。

57 :ゲッツ ◆Sin.5EUo9A :2014/06/01(日) 23:20:50.99 ID:R9MzcSAP.net
>「八大竜王の示した八徳の体現は琉球志士の規範、礼には及びません。
>それではクシャーナ氏、外つ国の方、小生はこれにて。
>当節は霊的磁場の歪みで新たに発生した気場の類も珍しくなく、鎮域に私まで駆り出される始末。
>そのような役儀がありますれば……戻れ、鵺」
>「今のもデビルサマナーの一人で阿由羅城左宗。リューキュー出身だとか。
>まぁ、座敷の支度も整ったようなので、まずは食事だ。
>君たちが会うべき陛下直属の人物には連絡を入れておいたので、明朝にも此処を訪れることだろう。
>それまでは我が国の郷土料理と温泉を堪能して、遠来の疲れを癒すといい」

「――へェ。……おい阿由羅城ィ! 俺ァゲッツだ! 覚えときなァ!!」

去っていく男の背に、暴力的な声量で己の名前を名乗り、満足気に鼻を鳴らし。
鼻が捉えた食事の匂い、それに対してゲッツの腹部は素直な反応を見せて地響きのような轟音を響かせた。
クシャーナの勧めに素直に従い、ゲッツはフォルテを方に担ぎ、小走りで個室に向かうのであった。
そして、個室に向かえばそこには懐石料理と幾つかのトキオ料理が用意されていた。
見栄えを重視し、淡い色彩、薄い匂いが特徴のその料理の群れを見て、ゲッツは両手を合わせていただきますと宣言。

「むぐ。あぐ。……おぉー、薄いけどうめーなコレ。ウチの寺院の修行中の飯もこんなんだな。
もっとしょぼいけどよ。ただ、アレだな。量すくねーな。
おう、うなじがエロいそこのねーちゃん! このおこわ? とかいうのその入れ物ごとくれね?」

わっしわっしと料理を口に放り込んでいくゲッツ。作法も何も有ったものではない。
そして、用意された食事のあらかたを食べ終えたが、まだまだ物足りない様子。
目をつけたのは、おひつに入ったおこわだった。中居さんから受け取ったそのおひつの中身は急ピッチで減っていき。
数分後には用意された汁物もご飯物も何もかもが、この竜人の胃の中に飲み込まれていた。

「――げふぅー……。あー……久々に和む。
ってかこの床いいな――草の匂いして外で寝てる気分になるし」

腹をぽんぽんと叩きながら、ゲッツは大の字で地面に寝っ転がる。
食欲にも睡眠欲にも忠実な、身長2mの巨大な子供のような男が、そこにはいた。

58 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2014/06/04(水) 01:05:35.39 ID:ya59D4m+.net
>「やっぱりてめェ殺されてェかあああああああああああああああああああああ!!?」

「この世界脱いだら強くなるとかいう設定無いんだからキャストオフすんなよ!?」

本人は裸芸人は不本意らしい。
そりゃあ考えてみれば好き好んで脱いでるわけじゃなくて勝手に脱げてるだけだもんねえ。
ちなみに公然わいせつ罪の成立は故意性が要件になっているらしいが
わざとじゃないんです!と全裸で主張して信じてもらえるかどうかは……甚だ疑問である。
結局エスさんが超人の交友関係か何かで場をおさめる。
彼は色々やる事があるらしく、別行動をするらしい。

>「悪いが此処からは恐らく別行動を取らせて貰う。
困った事や何かやりたい事があれば此処にいる彼等が助けてくれるだろう
それではな、出来ればザギンとやらでまた会おう」

裸芸人ユニットではない案内役も駆けつけ、高級車に乗せられて移動する。
なんだか大事になってきた。
でかすぎて車内に入りきれてない約一名はそんな事に気付いてないみたいだけど……。
付いた先はいかにも高級そうな旅館。いつのも調子で暴れたらシャレにならんぞ。
大丈夫かな……と見てみると意外に感心している様子。と思いきや。

>「これボロいな! ブレス吐きゃ2秒で消し炭になりそうだぜ!!」

「おぉい! 文化財消し炭にしましたー!とか言ったら流石にテヘペロでは済まんぞ!」

そこでクシャーナの解説が入る。

>「この朱雀亭は旅館なのだが、各地のデビルサマナーが集う社交場の一つでもあってね。
カフェー・パイフーや、帝都ホテルの黄龍閣と比べれば格式も落ちるが、それだけに雑多な階層のものが集まる」

なるほど、ここはどっちかというと気軽な方の部類なのね。
それにしてもこのボロい恰好は流石に浮いてないかい?
早速眼光鋭いお兄さんに睨まれてるよ!

>「クシャーナ氏、いくら朱雀亭と云えど、連れの格好はあまりに酷い。
これを放置しては、仁徳にも礼徳に悖ろうというもの。
小生が少しばかり見映えを良くして差し上げよう」

そう言って魔法のステッキのようなものを取り出すお兄さん。
舞踏会用にドレスアップしちゃう?
そう思ったがコイツの場合どう考えても舞踏会じゃなくて武闘会だな、うん。
そんな冗談は置いといてオレ達はデビルサマナーの召喚術を目の当たりにする事になる。

59 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2014/06/04(水) 01:06:34.03 ID:ya59D4m+.net
>「鵺よ、この者に治癒を……此処で強い血と瘴気の匂いを漂わされては悪魔どもが騒めく」

「あっ、そいつに回復魔法は……」

効かないどころか下手すりゃ逆効果になる事もあるドM仕様。
慌てて止めようとするが、発動してしまった。

>「滅痍[Media]」

オレの心配を余所に、ゲッツの傷が綺麗に治る。

>「おーおー、俺の世界≠抜いてくるたァ――器用じゃねェか。
今度闘ろうぜ。きっと楽しいからよォ」

厄災の世界を突破する事が出来る程の練度。そこはまあ超凄いけど理解は出来るとして。
逆効果にならずに回復の効果をそのまま及ぼせるのはどういうことだ?
西方では回復魔法は聖に属するというのが常識だけど、こちらではまた違うのかもしれない。
考えてみれば某有名RPGで言うところの白魔法や僧侶魔法には例外的に攻撃魔法もあるのに
その逆が無い方がむしろ不思議なのかもしれない。

>「八大竜王の示した八徳の体現は琉球志士の規範、礼には及びません。
>それではクシャーナ氏、外つ国の方、小生はこれにて。
>当節は霊的磁場の歪みで新たに発生した気場の類も珍しくなく、鎮域に私まで駆り出される始末。
>そのような役儀がありますれば……戻れ、鵺」

「新たに発生した騎馬……」

牛型の馬やキリン型の馬やハリボテの馬が駆け抜けるカオスな競馬ゲームの映像が脳内で繰り広げられる。
漢字変換間違いしている事にはほんの少し後になってから気付くのだが
なんだかよく分からないが大変だと言う事は分かった。
どうやら気場≒パワースポットだそうだよ。

60 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2014/06/04(水) 01:07:28.40 ID:ya59D4m+.net
>「今のもデビルサマナーの一人で阿由羅城左宗。リューキュー出身だとか。
>まぁ、座敷の支度も整ったようなので、まずは食事だ。
>君たちが会うべき陛下直属の人物には連絡を入れておいたので、明朝にも此処を訪れることだろう。
>それまでは我が国の郷土料理と温泉を堪能して、遠来の疲れを癒すといい」

ここにはあんなレベルのが他にもごろごろいるのか……。やべーぞこりゃ!
そんな心配を余所にゲッツの肩に担がれて個室へ。
そこに用意されていたのは、華美になりすぎないながらも落ち着いた華やかさのある料理の数々。

「すごいなコレ! 芸術作品みたいだ……! 戴きます!」

超スタイリッシュな吟遊詩人たるもの東方のテーブルマナーも完璧である。
まず箸を持って決めポーズするんだろ?
え、それは”西方の人の間違ったトキオのイメージ”的なガセネタだって!? 知らんがな。
ずらりと並んだ美しい料理を見渡して一言。

「寿司が回ってない……だと!?」

なるほどね、回ってない寿司の事をシースーと言うのね。
ゲッツも肉が足りん!とか言ってちゃぶ台をひっくり返す事もなく(ゲッツにしては)行儀よく食べている。

>「むぐ。あぐ。……おぉー、薄いけどうめーなコレ。ウチの寺院の修行中の飯もこんなんだな。
もっとしょぼいけどよ。ただ、アレだな。量すくねーな。
おう、うなじがエロいそこのねーちゃん! このおこわ? とかいうのその入れ物ごとくれね?」

唖然としているお姉さんの代わりに様式美的に突っ込んでおく。

「大食い番組のロケじゃねーよ!?
というのは重々承知なのですが何分燃費が悪い物で……恵んでやってくれると大変嬉しいです」

結局用意された食べ物を食いつくし、今度は寝始めた。
マジで大食い大会にでも出れば賞金稼げるのに。

>「――げふぅー……。あー……久々に和む。
ってかこの床いいな――草の匂いして外で寝てる気分になるし」

この流れでいくとこんな所で寝てんじゃねーよ! と言うところなんだけど
確かに寝っころがって下さいと言わんばかりの床だよなあ。ま、そういう事でいっか!

61 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2014/06/04(水) 23:47:36.56 ID:8DxgHKwK.net
「少しお休みになられますか? こちらの部屋に用意しておりますのでどうぞ」

すでに手際よく宿泊する部屋まで用意してあるらしく、案内されるままに付いていく。
ベッドは無く、草を編んだような床(タタミというらしい)に布団が直接置いてあるトキオ式。
部屋の両縁が厚紙みたいな素材の横開きの扉みたいなんだけど……これ向こう側どうなってんの?
スライドさせてみるとあっさりと開いた。そこでは……

「今日の議題は他でもない、我々の世界征服についてだ」

「先輩枕デカすぎィ!」

「ああ、特別に頼んで大きいの用意して貰ったんだ」

「そこ、私語は慎め!」

淫夢ファミリーが作戦会議を行っていた。何も見なかった事にしてピシャッと扉を閉めた。
つーか何でお前らがここにいるんだよ!

「何だコレ!?」

「この国では隣の部屋と襖一枚で隔てられているだけの事が珍しくありません。
とはいえ襖の向こうから何が聞こえてきても何も聞こえなかった事にするのがこの国の美学らしいので心配ありません」

「つまりこっちも聞こえなかった事にしないといけないって事!?」

……うん、無理! というわけで襖に耳をくっ付けて情報収集である。
野獣先輩の先輩の司会で会議は進む。

「八大竜王は聞いた事はあるな?
「仁」「義」「礼」「智」「忠」「信」「孝」「悌」を司る原初の戦いの時に枢要罪と戦いそれを滅した存在だ」

何でそんな事知ってんの!?
毎回思うけど情報収集力だけは凄いよねこいつら! それを全く生かせて無いのが残念すぎるけど。

「この国のお偉いさんは最近この国で発生している新たな気場は何らかの形で復活したそれらの仕業かもしれないと踏んで
手練れのデビルサマナーを調査に行かせているのかもしれないという噂だ」

ホモ達にざわめきが広がる。
普通に考えたらトンデモ学説以外の何物でもないが
確かに悪性の枢要罪の方だけ復活しまくって善性の方が現れたらいけない理由はない。
自分ワールドの展開はアイン・ソフ・オウルの力そのものだしなあ。
それにそうだとしたら枢要罪がトキオに入ってこない説明も付いてしまう。
もしも味方に付ける事が出来れば枢要罪と戦うに当たってこれ程心強い存在はないだろう。

「……だってさ。明日天皇直属の人達が来たらそれとなく聞いてみよう」

丁度情報収集に行っていたらしいリーフが返ってくる。

「ここに来ている温泉の源泉あたりも最近気場が発生したらしくてその頃から温泉の評判が急によくなったそうですよ。
HPとMPが全回復したような気がするとか微妙に能力値が上がったような気がするとか。
明日までやる事もありませんし偵察に行ってみますか?」

62 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/06/05(木) 22:14:25.19 ID:vKuuVqJS.net
帝都トキオ 座標位置不明 とある集落・名称葛葉

エスペラントが居る場所は闇が支配していた。
蝋燭で照らされる通路を出た先は正に一寸先は闇というその物
感覚が失われるほどだが、そのまま歩いた所で壁も手すりも無い永遠の闇の中を歩き続けるかと思った。
しかし手馴れた足取りである一定の場所を歩いて立ち止まるとエスペラントの位置のみに彼のみを照らし出す
一筋の光が照らされると何処からとも無く彼に話しかける者が数人、いやそれ以上かも知れない気配を感じる。

『情報のやり取りや現場での戦いでは我が葛葉と会うこともあるだろうが』
『私達の前で顔を見せるのは随分と久しいな、そなた』

声も性別もバラバラ、威厳があったり好奇心や温かみもあるなど
エスペラントを見る眼差しも同じように様々であった。

「中々機会がありません故にお許しを。此方で会うのは初めて、になるのは間違いないですが」

『確かにそういう事になるな…挨拶はこれくらいにして本題に入ろう』

『アイン・ソフ・オウルについての情報についてだな』

「はい」

『それについては今此処で聞くよりも纏めた書籍がある、それを君に渡そう』

「ありがとうございます」

『だが君が一番知りたがっていた事は他にある聞いたが?』

「………はい」

それはアイン・ソフ・オウルについて一番聞きたい事だった。
率直にそれを敢えて尋ねる。

「アイン・ソフ・オウルになる方法についてです」

63 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/06/05(木) 23:08:47.63 ID:vKuuVqJS.net
その後、エスペラントは全て終わり歩きながら
再び蝋燭で照らされた通路を歩きながら思い悩んでいた。

―――なるほど、ならば今この場で言っておこう。
―――それは確かに可能だ、しかし
―――君は多くの世界に繋がり、そして其処から力を得ている存在と化している。
―――だが恐らくアイン・ソフ・オウルは隔絶した一つの世界に匹敵する
―――それ故に一切の外部からの力を受け付けず
―――受け付けるとしても本来のアイン・ソフ・オウルとしてはその力は
―――世界の力の支援や供給を得た本来の状態よりも下がるだろう。

しかし攻撃が通じるようになり、己の枷から解き放たれるというメリットも存在する以上
力が下がったとしてもとても魅力的な面にさえ考えられてしまう。

「………クッ!」

立ち止まり通路の壁を思わず殴る。
それは完全に解放される事を意味している、言うまでも無く嬉しい事ではないか
何を迷う事がある、今すぐ研究室に向かい兵器開発と並行している
アイン・ソフ・オウル化の研究に身を差し出せば良い。
しかしそれでは自分の中で命よりも大切な宝物を捨てる事と同義。
それは枷にして自らの守る意義を助け救う為の力の源でもある以上
だからこそ悩み苦しむ、人々の願いと祈りを自らが背負った為に。

「(どうすればいい、僕は)」

そして再び歩き、外へ出るための出口を目指すがその足取りは只管重い
一時間以上歩いていたかのような感覚に囚われながら、集落の中に出ると
外は既に日は落ちて周囲は街燈に照らされている。

「もう既に夜になっております主様」

そう言って背後を守るように立つ静葉が現れる。

「もうフォルテやゲッツの所に行っても遅いだろうな」

「はい、残念ながら。しかし葛葉の里の方々は私達の為に歓迎の宴を為さって下さるようです。
わざわざ高級寿司職人の方が何人も出張で来られているようで」

「其処まで歓迎してくれるなら無碍にもする訳にもいかん、お誘いを受けよう。
そこまでしてもらった以上はな」

二人はその歓迎の宴へとそのまま足を運ぶ、今はその選択に関して悩むのはやめよう
今は宴を楽しむ事にしようと考えを切り替えてその後は酒を飲み、高級寿司を満足するまで食べて
そのまま静葉と共に一日を終えた。

64 :阿由羅城 左宗:2014/06/06(金) 08:07:39.00 ID:XkglQJFZ.net
 国立書籍院の一室で紙を捲る音だけが静かに響き、その度に紙魚の浮いた一葉一葉が洋灯の光に照らされる。
古びた紙に書かれているのは、トキオ周辺の地形や水脈、土地の伝承や歴史。
卓上に並べられた文献の読者は、阿由羅城左宗だった。
彼は椅子に座り、小卓に古びた書を幾つも並べ、近隣の霊域について調べている。
とりわけ、地図と竜の伝承が入念に調べられた。
微に入り細を穿って、端から端まで隅々に目が通される。

 全ての書物は漢字で綴られていた。
漢字とは東大陸、央漢国で発祥した象形文字だ。
トキオやリューキューでも一般的に使われる文字であり、阿由羅城も漢字の読解を苦としない。
そもそも、阿由羅城の姓と名も漢字なので、これは当然といった所か。

「一里四方で大百足が出没……。
叡寧寺の気場は、紅沢の気脈が噴出孔を変えただけならば、さして強い魔が現れなかったのも道理。
海瀬親王邸も、所詮は建材の霊木に惹かれて小さき妖が集ったに過ぎない」

 文献の閲覧者は、頁を繰りながら細い呟きを漏らす。
阿由羅城の目的はトキオの治安維持ではなく、新政府を樹立することにある。
それも幕府、反旗を翻した領主、開国派の志士、どの勢力にも超越者の位階に属する者が犇くリューキューに。
流動しているかのような停滞を動かし、新たな秩序を確立するには、大きな武力が必要だった。
妖を操り、神獣を使役し、魔軍を従える悪魔召喚師としての力が。

「容易に従属する程度の小悪魔など無用。
必要なのは鬼神にも届き、魔王にも比肩する力だ」

 洋灯が発する橙の光を顔に浴びた阿由羅城は、脳裏に描いた未知なる悪魔に向かって囁く。
人界の存在ではないが故に悪魔と呼ばれる異形の種族たちは、異界の接点となれるような地にしか棲息しない。
必然、霊格の高い土地は悪魔召喚師の猟場。
しかし、誰も及ばない程の高みに立つ妖異を掌とするのは至難の業。
自らを凌駕する力を従えるのならば、策を弄さねばならない。
そう考えた彼は、先ほど己が通う社交場の悪魔召喚師たちに、日中の調査で得たばかりの情報を流していた。

「八乙女(やおとめ)山が、大きな魔の出現で界を歪ませつつある」と。
「霧の外側からは何も気配を感じ取れないにも拘らず、内側は無数の竜蛇の眷属が蔓延る魔境と化していた」と。

 八乙女山は市内に運ばれる温泉の源泉が湧き、常に山全体を湯霧が覆う山地だ。
市内から遠くない位置にあり、気場が確認されてからまだ二日も経っていない。
阿由羅城の警告が流布されれば、深度の高い調査をする為、明日にでも能力の高いデビルサマナーが向かうだろう。
先行者を生ける盾とし、戦いで疲弊した悪魔を狙って、成果を攫おうとする情報源の意図を知らず。

 出立すべき刻限を明朝と定めると、阿由羅城は洋灯の火を消して書籍院を出て行った。

65 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2014/06/19(木) 00:02:21.47 ID:SwBHsN14.net
――次の日。
……え? 温泉イベントはどうしただって? そんなもんカットだカット。
胸筋やら虚乳しか無いのに描写したところで誰得である。
巨乳美少女やロリBBAや美人人妻の温泉イベントが見たい人は創発避難所で連載中の番外編へGOだ。(メタ発言自重)
というわけでとにかく次の日。朝ごはんを食べ終わるのを見計らったかのように、クシャーナが現れる。

「件の陛下直属のチームが到着した。君達に折り入って話したい事があるらしい」

いかにも密談に使いそうな厳重に鍵がかかる部屋に通され、向かい合って座る。
5人組のうちの真ん中のリーダーっぽい人が口を開く。

「私はジョージ・マシゲル。この陛下直属のデビルサマナーチームのリーダーを務めている。
君達の活躍は聞き及んでいるよ。
我が国の優秀なデビルサマナー達が何度も調査に行っても全く歯がたたなかったあのインペリアを解放するとは恐れ入る」

「いやあそれほどでも。……で、依頼は気場の調査だよね? 行き先は温泉の原泉かな?」

大体話の展開の予測が付いたので単刀直入に切り込む。
回りくどい会話なんてしていたら本題に入る前にゲッツが寝てしまう。

「あ、ああ。いかにも、依頼はそのとおりだ。ただし行き先はそこではない」

ジョージさんは少し面喰いながらも続ける。

「君達にはリューキューに行って情報収集をしてほしい」

「ああ、リューキューね。……リューキュー!?」

66 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2014/06/19(木) 00:02:53.52 ID:SwBHsN14.net
そもそもリューキューは枢要罪が二匹もいるからレベル上げしてからにしようってこっちに来たんじゃん!
それなのに何が悲しゅうて今すぐ行かにゃあならんのか。
必死に抵抗を試みるオレ。

「嫌だよ枢要罪が二匹もいるし自分達で行けよ!」

「行きたいのは山々なのだが世を忍ぶ仮の姿のはずのアイドル稼業が人気が出てしまい収録で農作業をしなければならない。
街中をうろついてファンに囲まれても身動きが取れなくなるしな……」

「何でアイドルが農作業するんだよ意味分からん!
オレだってV系吟遊詩人だから街中をうろついたらファンに囲まれるし!」

と、依頼の受理不受理を巡って不毛な攻防戦をしていたところ、ゲッツが口を開いた。

「ごちゃごちゃうるせーな。ならまだ売れてないチームに行かせればいいじゃねえか。
似たようなデビルサマナーのチームがどうせたくさんあるんだろ? よく知らねーけど」

そうだビシッと断ってやってくれ!

「それは残念だ、リューキューには水着美女がたくさんいて料理も絶品だと聞くが……」

「そこまで言うなら行ってやろうじゃねぇか、なあフォルテ」

「おぉい!?」

こうして、リューキュー行きツアーが決定してしまった。

67 :リーフ:2014/06/19(木) 07:37:25.79 ID:6/5uZI/Q.net
 ジョージから話を聞いたリーフが思案し、彼に問いを投げた。

「リューキューへの入国は、どうすれば良いのでしょうか?
あの国は鎖国をしてますから、空間転送装置の類も置いてないですよね」

 問いに頷きが返される。

「リューキューと国交のあるツガル(東日流)国の船が、トキオ最南西のヒムカ(譬武伽)港を経由する。
そこならば、密航も不可能ではない。
ヒムカ港までは葛葉一族から派遣された者に案内してもらうと良いだろう」

「向かう先の情報については、教えてもらえますか」

 リーフからさらなる問いを受けると、ジョージは机の上に一枚の地図を置いた。
描かれているのは、周辺海域に幾つかの群島を従えた縦長の島。
地図の余白には漢字で琉球と書かれ、その下に共通文字でリューキューと補足されていた。

「リューキューは北部の北山(ほくざん)、中央の中山(ちゅうざん)、南部の南山(なんざん)の三地域から成り。
それゆえに三山統一王国との称を持つ島国の国家。
これら三地域の統一を為した王家が、行政機関である幕府を使って国内を治めているというわけだ。
まあ、この辺りはネットで調べれば充分に分かることだがな」

 リューキュー国の由来を簡便に語ったジョージは、しかし――と続ける。

「現在、王家の支配は揺らいでいる。
鎖国解除を求める勢力が開国派の志士を率いて、北山の一部を占拠。
志士の内乱に乗じて、大名(だいみょう)と呼ばれる地方行政官たちも中央政府に不服従の態度を示し始めた。
この諸勢力はいずれも異様に巨大な力を持つ者を多数抱えている」

「アイン・ソフ・オウルですか?」

「おそらくは。
東方諸国でも古来から後光の如き燐光を発して戦うものがいて、彼らを覚者や神人などと呼んでいる。
それらが数多生まれてくるリューキューには、人の力を開花させる何らかの秘密があるのだろう。
枢要罪と名乗るものたちが向かった理由も、その辺りにあるはずだ。
彼らに先んじて力の源泉を突き止められれば、君たちにとっても有益。
だが、遅れを取ればフェネクスやインペリア以上のジェノサイドが行われる可能性も高い」

 リーフの表情が曇った。

「……リューキューの調査には、トキオの方々も力を貸していただけるんですよね?」

「無論だが、帝都の意向としては島の混乱を此方まで波及させないことが第一。
正面切って大量のデビルサマナーを派兵すれば、リューキューそのものと交戦することになりかねない。
今は国内にも幾つかの異変を抱えていることもあって、申し訳ないが影ながらという形になる」

「そこをなんとか」

「少数の精鋭を派遣することは、陛下にも進言しておく。
人選を終えれば向かわせることを検討するが、我々だけではなく現地での協力者も欠かせないだろう。
大名の中には勢力を増すため、他国と取引することも厭わないものもいる。
幕府側にも外国と接触して情報を売り渡すような奸佞の鼠賊が紛れていて、彼らも状況次第で利用できるだろう。
開国を求める志士たちも、思想からして協力が期待できるかもしれない。
いずれの勢力と接触するかで、リューキューの調査難度も変わってくるだろう。
ああ……それと支度金として琉球通宝を五十枚と、檜の棒を用意したので持っていって欲しい」

 机の上に金貨を収めた袋が置かれ、重い音を立てた。
リューキューは両・分・朱・文の四種の通貨単位を持ち、それぞれの価値は(1両=4分=16朱=10000文)となる。
この琉球通宝はリューキューのみで通用する貨幣で、一枚が百文に相当し、おおよそ鰻丼一杯の貨幣価値。
巾着袋の隣に置かれた檜の棒は、小さな菊の紋章が刻印されており、こちらは身分証明に使えとのことだった。

68 :リーフ:2014/06/19(木) 07:39:57.99 ID:6/5uZI/Q.net
 続いて始められたのは、厄災の種についての会話。
机の上に幾つかの資料が広げられると、リーフは思い出したように口を開く。

「あっ、そういえばトキオで厄災の種の性質について研究していると聞きましたが、そっちは進んでますか?」

 1.周囲の知的生命の感情を増大させる作用を持ち、感情の抑制を難しくして、衝動的な行動を取らせる
 2.所持者に莫大な力を与える
 3.付近一帯に浮遊する魂を引き寄せて吸収してしまう
 4.封印を施そうとも、掛けられた封印の魔力を吸収するので封印不可
 5.一度に力を引き出し過ぎると破損する

「現在判明している厄災の種の特性は、このようなものだ。
周囲の存在の精神に影響を与える点が難しく、魔力を吸収するので特定の作用だけ封じるのも至難。
魔力を与えれば力も増すようだが、どこまで力を溜められるのかも、力を与え過ぎるとどうなるかも不明。
兵器として転用するなら、その辺りを割り切って使う他ないだろう」

「なかなか危険物ですね」

「それとフェネクスの虐殺だが、星霊教団主催の祭事中に死傷した者たち。
当然、星霊教団も蘇生術を試みたようだが、ただの一件とて成功例はなかったとか。
降霊術師に拠れば、厄災の種は周囲に漂う死者の魂魄を引き寄せ、魔力同様に吸収してしまうらしい。
それが作用したのなら、厄災の種を持つ者に殺されて魂を奪われれば、蘇生が不可能になるとも考えられる。
……現状で私から教えられる事はこの程度だな」

 ジョージとの会談を終えると、葛葉一族から派遣されたものたちがトキオ南西の港まで案内する。
蒸気機関車で島を横断すること数日の旅程。
案内者はエスペラントにも行き先を伝えていることだろう。

「アサキム導師の行方は分かりませんので、アヤカさんに連絡を入れておきますね。
空気になりかけてたもの同士、皆さんの知らないうちに彼女とメル友になっといたので」

 リーフはスマートフォンを使って、アヤカに現在地を伝えた。
今、我々はトキオ最南西の港にいます、と。

69 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/06/19(木) 18:03:58.16 ID:dmiBbakA.net
翌日、朝食後二人は葛葉の里を離れて蒸気機関車に乗りある場所に向かいながら
エスペラントは渡されたアイン・ソフ・オウルに関する書籍に関して
昨夜から読み始めた途中から最後まで項目に目を通し続ける。

内容はアイン・ソフ・オウルについての調べられる限りの詳細や
葛葉の英霊達が過去に関った者達やあるいは起こった事件・事故・事象についても
それと思しき物は事細かくその書籍の中には書かれていた。

「………」

パタン、と書籍を閉じると蒸気機関車から外の風景を覗き込む
目的地のある幾つ物の極秘研究施設や技術開発工廠等、およそ機密や世界の裏側を扱っているといえる
存在しない第三帝都府と呼ばれる場所に着くのもそうは掛からないだろう。
しかし、エスペラント自身は書籍に目を通してもやはり自分がどうしたいか
考えれば考えるほど悩み、答えは出ない。

「悩むのは当然です、これは簡単には決められないこと。
全てを決めるのは貴方なのですから、私はその選択に付き合います」

空いている片手に静葉は両手で持って抱えるようにしながらエスペラントを見つめる。
余計な事を言って不必要に惑わせてはいけないと考え、最後まで黙って信じようという
彼女はそうしようとしていた。その瞬間、エスペラントは一瞬だけ彼女をアイン・ソフ・オウルにしたらどうなるかとも
考えたが、それは悪魔の発想であり自分個人の為に彼女をそんな危険な賭けに出そうとした自体大間違いなのであると己の考えを恥じた。
イリューシャの二の舞にするような事を進んでするかも知れない選択等論外だ。

「ああ、済まない…いつも静葉には迷惑を掛けてばかりだな僕は」

「もう慣れましたというより、主様の進む道は普通の人とは比べ物にならないほど数奇でそして険しい茨の道
それを共に進むと決めた以上は、その覚悟はしなくてはなりません。私はとっくの昔に受け入れましたので
問題はまったくありません」

静葉が包んだ両手に対してエスペラントも書籍を置いて空いた片手で彼女の片手を
同じように掴んで見つめ合う姿勢になりながら、この手を絶対に離してはいけない一人なんだなと自然に再認識をする。
そんな当たり前の考えが今思い返すような自分を戒めながら、目的地までしばらくそのままでい続けた。

70 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/06/19(木) 19:05:44.40 ID:dmiBbakA.net
目的地―天皇が住むキョウト、第二帝都府と公式で呼ばれる場所ではない
機密書類上での秘密第三帝都府都市オオサカへ蒸気機関車が到着する。
事実上、大々的に公表されていないが近くに軍事機密の工廠と衛戍地=駐屯地がある地域だと
大陸外から来た人間は殆ど知らないし、オオサカの人間も混沌とした人種の坩堝の中心地である為
此処が表向きにされない施設の集合地・中継地点である事は知っている人間は知っているし
知らない人間は知らないまま一生死んでいく、その程度の噂話でしか話されない真相を知る政府の人間以外は。

その後、此処に来るまでに研究員達と協力者に向けた名産品を手土産に持ち
やってきたのは立派な総合商社―ではなく目立つ訳でもなく特に面白味のない地味な区画ににある
それほど高くは無くそこそこな大きさの社屋に辿り着く。
株式会社東亜商会―それがこの会社の名前である。地味な部類であるが表向きは社屋などに外見に金を回すなら
中身を充実させて力を入れろというのが創設者の理念である為、施設内全てが福利厚生やらが非常に充実しており
商売も大企業のランクを上から数えた方が早いくらい、手広く広げて成功している企業である。
だが、エスペラントが居る場所は本社では無く東亜商会では閑職や左遷先としている陸の孤島、という扱いである。

「(なるほど、想像以上に徹底した偽装だな)」

もちろん本当の姿は世界守護者機関及び超国家機関ヤタガラスの関連施設である。
トキオ政府の高級高官や天皇ですら手が出せない、触れられない触れてはいけない場所。
だからこそそんな場所がリストラ候補者や自主退職を願う者を送り込む場所だと誰が想像できるだろうか?
ただどうでもいい事だと認識しているエスペラントと静葉は中に入り、受付までやってくると
その時点で自分達の要件は既に伝わっているのでスムーズに進む。

「済まないが静葉、別室で渡された書籍の詳細について確認をしておいてくれ」

「了解しました、気を付けて下さい主様何かあればすぐに飛んで行きます」

厄災の種を扱う以上それは大げさとはとても言い切れず、分かったと
エスペラントが返事をすると渡された書籍を手渡し、手土産をもう一人の受付の人物に渡して
静葉とは分かれて案内する受付嬢の後を付いて行く。

71 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/06/21(土) 02:35:22.37 ID:i4mtFmGR.net
受付嬢の案内で向かうは階層が降りて行く内に自然と地下と地上の完全な分かれ目である
扉の向こうは完全なる地下階層―本来の目的を行う重要区画へとガラリと変わる。
地下階層に向かうまでの階層は表向きは文字通り内部に力を入れている企業というだけで
割と華やかな部類ではあるが、地下階層ではそれを感じさせないより一層殺風景な場面が
続き、完全に占めているのだろう。
そんな事は今は些細な事であり、一旦受付嬢ではなく別の案内人―地下階層の研究者と思しき人物達と交代し地下階層を進み続ける
その際に周囲を自然と見ることになるが、全員何かしら特殊な防護服を着ている人間が
万が一を考えて伝達やら入力命令通りにしか動かない自我や感情の無いアンドロイドなどの機械で作業している光景が多く見られ
扱っている物が余りにも未知数なのと危険性が極めて高すぎる故に慎重に慎重を重ねた極限までの厳重の取り扱いをしていると思しき
厄災の種の保管、あるいは保管方法の実験や模索をしている光景がよく見受けられた。

「この階層はやはり厄災の種の保管方法についての研究をしているのか?」

「はい、物が物ですので尚更保管する事に関しても念には念を押さないと
それだけでもローファンタジアやフェネクスの二の舞になるでしょう。
危険な代物に対して幾ら配慮しても足りないですから」

それほどの危険性のある物なのだ、その考えは当然だろうと頷きながら
また別区画の所まで階層を降りて通り抜けする中間ゲートまでやってくると
其処まで案内したその階層の案内人が歩きながら

「此処から先はまた別の方が案内しますが、我々研究員ではありませんので」

「ああ、分かった此処までの案内ご苦労だった」

そして中間ゲートの間近まで案内すると、研究員達は自分の職場へと戻っていた。
直後に中間ゲートがゆっくり開くと同時に二人の姿が現れる
一人はチャイナドレスに身を包んだジト目の女性とシルクハットに紳士服を身を包んだダンディな紳士が居た。

「わざわざこんな所まで呼び出した上で研究やら
僕の頼み事を聞いてくれてすまないな菅野博士、サンジェルマン」

「面白い研究が出来るっていうのなら何処でも構わないけどね。
……死ぬほど興味ある大事な研究対象の現状観察をするのも必要だから(ボソ」

途中までそっけなく言っていたのが
最後の部分に関しては恥ずかしそうに言っているのは菅野史
ジプス―気象庁・指定地磁気調査部と呼ばれるある世界で
嘆かわしい限りだか弱者を救わず強者のみが生き残るべきという人物が局長であり
発端が自分達に都合良く世界を書き換えようとした者達を発端とした葛葉の末裔には違いない組織に所属しているが
事態解決後に置いて平穏となった世界での研究をしていたが、更なる知識の探求を理由に
世界守護者委員会にて出向と同時に事実上の席を置いている状態に近い。
ある平行世界に置ける世界の管理人を自称する者や唯一神を名乗る者達など
所詮多世界の敵、侵略者に過ぎない者との戦いを通じてエスペラントと知り合い共に戦い抜いたその世界に置いての公私共にパートナーだった人物でもある。

「何、君と私の仲だろう?王道に進む者に協力するのは私の最上の喜びだ。
それに面白い物を見せてもらったよ、今後装備や武器、道具を作る際に参考にさせてもらおう」

実に楽しそうにしている紳士の名はサンジェルマン伯爵―かつて
エスペラントが元々所属していた始まりの世界での先行調査隊での仲間である。
魔術魔法と言った超常的な技能を極めている為、その知識と能力は底知れず
この手の危険な物に関しての機微や扱いについても心得て任せられる人物だろう。

「早速だが此処に来た用件を済ませたい、案内してもらえるか?」

「此処でいつまでも立っているのも時間の無駄だからね、ならさっさとしようか」

「そうだね、じゃあ行こうか」

72 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/06/21(土) 04:00:45.61 ID:i4mtFmGR.net
そのまま現状分かった事を纏めた発表室のような場所で菅野博士やサンジェルマン伯爵
そしてサポートをする学者や研究員が居る中で厄災の種についての性質からモルモットやらラット
実験動物を使った生物実験の成果についてなど委細を事細かく報告を受ける。
そして菅野博士、サンジェルマン伯爵は見解を述べる。

「はっきり言って、アイン・ソフ・オウル化についてはリスクが大きいと思う。
リスクの無い実験なんてものは無いけどそれでも生物の影響を考えた実験動物での事でも
ほんの一端を与えても下手すれば考えられないくらいの膨大な力が与えられていた訳だし」

「隔絶した個の世界、それの極致が正にアイン・ソフ・オウルというのは間違いない。
君がそれを望むとしたら、多くの世界を維持する為の防衛機構というシステムに取り込まれている以上
相性は良くない、其処から離れる独立した存在になれはするだろうが少なくてもそれ以上に強くはなれない
此処まで私なりに見た限りそう思うがね」

「エスペラント―だっけ?この世界の名前は?まぁそれは兎も角、なるとしたらそういう存在ならまず今までの力を
発揮出来なくなるのを覚悟をした方がいいけどね。そもそも永久闘争存在に関しても
アレは天災だから、人知の及ばない災害だから私でも調べようがないしどうしようも出来ない
そんな神の摂理のようなものより今回の厄災の種によるアイン・ソフ・オウルについて分かったのは
凄い事だし、これを技術で再現できれば生活処か文明が変わるんじゃない?」

「これは選択だ、リスクも大きく未知と危険が満ちているアイン・ソフ・オウル化を選択すれば
それこそ君は防衛機構から解放されるだろうがね。自由を望むなら選ぶがいい
今までの力を使えなくなるというのが代償になるが、世界レベルの呪縛から解放されるのなら
そこまでしなければならんのは君なら分かるだろう?」

「………アイン・ソフ・オウル化についてはもう少し慎重に検討したい
次は厄災の種の技術利用による兵装について見せてもらいたい」

これを直接突き付けられれば尚更後戻り出来ない決断だった。
後回しにして居る事は自分でも良く分かっているがやはり今すぐに決めて良い事ではない
自分の自由と引き換えに命よりも大切な者を守る力を失うかもしれないのだから
結局は枷とは言えその力を頼っている事に内心嫌悪し自嘲気味に笑みを浮かべていた。

「それはそれで正解なんじゃない?不安要素が大きい危険すぎる代物には変わらないんだし
まだ研究や実験途中だから、もうちょい時間掛けて確実に制御やら安定する方法やら
更に情報を得て調査を続けた後でも問題ないだろうし」

「今すぐその役目から解放されたいのなら話は別かもしれないが、君がそれを望むならそれでいいだろう。
さて次は兵装についてだが安全を期して安置している部屋に向かおうか」

その後再び場所を移動、もう一階層を降りて至る所に警告と危険物がある事を表示されている
隔離用の大型ゲートを潜り周囲には機器が氾濫しながらも真ん中にてたった一つだけ置いてある物があった。
サンジェルマン伯爵は近づいてなにやらコードを入力すると、置いてある封印装置らしきものから出てきたのは
ガントレット――籠手の形状をしている物であった。

73 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/06/22(日) 02:43:31.64 ID:OSxGZwd9.net
「これは?」

「君の頼みである注文の品だよ、厄災の種の兵器技術に流用した
記念すべきその試作第一号さ」

エスペラントは籠手の形状の物にしている物に間近まで近づいて
直接触れられる距離まで来るとそれを更に近くで見つめるが
それは変哲も無いガントレット―ではなく異様な圧力というか重圧と言うべきか
言いようの無い途轍もない大きな力がその籠手から発せられているという事だ。

「――《悪なる右手》それがその兵装のコードネーム。一応機能が完全に使えるくらいには完成してるけど
まだ未完成なの、というよりはずっと未完成ってのが正しいと思うけど?」

「どういう意味だそれは?」

「そのままの意味さエスペラント君、それについてはこれから説明しよう」

菅野博士の言葉の意味を問うた時、サンジェルマンとフミの二人の説明が改めて聞かされることによれば
厄災の種は魔力を吸収する為、一定の封印が出来ないという事は何れも一定の制御法を駆使していれば何れは
その制御方法すらも受け付けなくなる可能性が存在する、それも確実でありそうなる時間も予想以上に早い事も
ならば、制御や機能を完全に完成させれば何れ限界が来るのであれば永遠に完成しない兵器にすれば良い
即ちそれは兵装と機能、制御、システムが厄災の種がそれ自体を乗っ取ろうとする以前に追い付かないほど驚異的速度で
超高速自己学習、自己進化、そして学習した事象への『探求』、兵器で言えば『技術』の、武術であれば『練度』の研磨
武装であれば、より軽く、より強く、より殺傷性等に様々な用途に長けた物に
技術であればより疾く、より正確に、より効率的な物に厄災の種への的確制御や力の抽出・蓄積・活用・流用等を行う
自己探求を行う機能の搭載をすれば、厄災の種の性質すらも利用した途轍もなく強力な兵器・兵装を可能にする
その目的を追求し、エスペラントの要望を加えた上での出来た物は《悪なる右手》という事。

「《悪なる右手》は私達は一切妥協せず手を抜かない最高の出来と自負してるつもりだけど
それでもやっぱり厄災の種としての性質を知った以上は何が起こらないから一切油断は出来ないから
逆に言えば出来る限りのことをやったつもり。ビャクの事だからそんな事お構いなしに使わざるを得ないっていうのなら
喜んで使うだろうけど」

エスペラントというこの世界での名前をまたすぐに忘れたのかように真の名を呼びながら
彼の性格を分かっているようにそんな事を言うフミ。

「分かっては居るがこの危険な種を利用した兵装を一番最初に使うという事は
君は自分自身を実験台・モルモットを買って出るということだ。
予想もしない出来ない様な事態になる事もありうるそれでも君はその《悪なる右手》を使うかね?」

サンジェルマン伯爵は彼を値踏み―いや見定めるようにその危険な道を行く若者に対して
その命運と行く末を決めると言っても過言でもなく、口調は次第に厳かな物に自然と変わり
半端な回答は一切認めないという雰囲気を纏った上でエスペラントに問う。

問われたエスペラントは少しの間目を瞑り、迷うことなくその答えを決める。

74 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/06/22(日) 04:30:04.93 ID:OSxGZwd9.net
「ああ、そうしなければ勝てない戦えない奴等が居る。
そしてこの世界にもいやこの世界の外にも下手をすれば何れ手を伸ばすかもしれない
僕が命よりも大事な守りたい人達の笑顔を奪うというのならば、実験体でも何でもなってやる。
大切な物を沢山くれたあの人達だけは絶対に守りたいんだ」

ガントレット、《悪なる右手》を手に取り右手に装着する。
エスペラントに向かって音声が聞こえる

<対極致固有世界者兵器用多目的兵装《悪なる右手》起動確認>
<対極致固有世界者兵器用多目的兵装《悪なる右手》起動確認>
<装着者の専用認識コード初期登録を行います>

それからほんの数秒で使用者の特徴と象徴の脈動パターン
DNAやらエスペラントしか持ち得ない特徴を全て記録し
それ以外の装着者は使用できない用に強固なロックを掛けられる。
装着するだけではそのままで何も起きないが、あらゆる不正手段を用いて
ある最終プロテクトの一歩手前を破った時点で破壊―核爆発以上の爆破を用いて
《悪なる右手》を完全に破壊する、奪われる或いは乗っ取られた時でも最終手段として
登録者以外はそれぐらいしなければ大変危険な代物であった。

<装着者の専用認識コード初期登録を完了しました>
<専用認識コード初期登録を終えます>
<共に戦いましょう、貴方の大切な人々を守る為に>
<貴方の行く道に幸運が在らん事を>

その音声の後、静かになるとサンジェルマン伯爵は実に満足そうにいや
変わらないその姿勢と魂を見て感嘆の念と例えようのない喜びに包まれた満面の笑みを見せる。

「素晴らしい、その言葉が聞ければ大いに満足!充分だ!君は王道を歩む天性の逸材らしい。
やはり君は私がいや万人が好む王道を歩む者、そうだそうでなくてはならない!!
真なる英雄は!!!ヒロイックでなくては!」

目を剥いて途轍もない喜びようを見せており、これで絵本やファンタジー小説の最新作を
続編や新作を書かせる事が出来るぞ!リースや他の世界の出回るようにしないとな!など
いつもの悪い癖である王道英雄大好き病が出たらしい。
これでエスペラントがまた否定すれば更に自覚がないのは正しく天性の証、
私だけが知るのがもったいない多くの人に知らしめねばと言って尚更に大喜びするのだから
始末に負えないと言うかなんというか。

「これが無ければなぁ…いや悪くはないのだが」

「この人こういう事になるといつもこんな感じ?」

エスペラントも嘆息をしながら、フミも認めざるを得ない傑物である為
そんな人物がこんな状態になるのだから面白そうにフミは眺めていた。
しばらくこのままなので放っておくことにしてサンジェルマン伯爵から
菅野博士が取り次ぐように話を続ける。

「話は戻すけどサンジェルマン伯爵が言った事はその通りだから
まずは少しずつの試験やら実験をして安全性やら問題を見る物だけど
それをすっ飛ばしてるんだから、本気で何が起きてもおかしくないと覚悟しておいて
でもまぁある意味命の危険なんて問題じゃない代物に志願して装着してくれる人なんて
これから先もそうそう居ないだろうから、データを取れるという意味でも助かるけど」

あくまでも菅野史は科学者としての考えとしては自分の作った製作物のデータやらが取っておきたいと思うのであろう
知識欲の塊であるが故に尚更その部分は正直で貪欲な人物であるから、科学者らしいと言える。
しかしそれはあくまでも科学者としての彼女であり、一人の女性としてのフミは当然違う。
彼女の居た世界でのエスペラントの名前の苗字―婿養子であり戸籍上の夫菅野白の書類だけの関係ではない
幾多の戦いの中で育んだ絆と本当の愛情で本気で惹かれて今も愛する彼の妻としては違った。

75 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/06/22(日) 05:10:17.40 ID:OSxGZwd9.net
「でもこ、交配実験の対象(二人の子供)だって生態観察を死ぬまで続けていかないといけないし
まだまだ別の交配実験の観察対象がほ、欲しいから。それに貴方は私の人生を賭けて生態とその過程・結果を記録と
研究をしていくと決めた最大の研究対象なんだから、簡単に死んでもらっても居なくなっては困る
死ぬまでずっと傍で見ていくと決めてるその設計と計画を壊さないで欲しい」

潤んだ目でやっぱり赤くなりとても恥ずかしそうにでも目は逸らさず言葉こそ上手く誤魔化しているつもりだが
それでもはっきりと自分の意思を伝えるフミに此処は一人の少年として男して真剣に答える。

「やっぱり僕みたいな不誠実で最低な人間にそう言ってくれるなんてね
……ありがとう、君の前にも必ず生きて姿を見せられるように努力してみせるよ。
でも子供達の事をモルモットのような言い方は止めて欲しい」

そんな彼女に対して笑顔を向けて、自分も正直な気持ちを告げた後
子供を実験動物のような言い方はかわいそうというより自らの子供達だけは
自由に生きて欲しいと考えている為、実験動物のような扱いは聞き捨てならなかったため
そこだけは真剣に願うとご、ごめんそんなつもりは無かったと正直に謝るフミ。

「英雄色を好むというのはやはり通例のようだね、本人にそのつもりはあろうが無かろうが
多数の異性が寄ってくること自体に例外が無い故にそれは必然かも知れないが」

「……そうだな、こういう事を言って尚更彼女達を貶める事をしてしまう一人の女性を愛せない僕は屑だ。
そして好意を持ってくれる相手に甘えてしまうのもやっぱり最低だな…」


サンジェルマンの指摘に対して自分は所詮恋愛を通した上で相手に話し
納得してもらった上で最後まで責任と誠実さを持ち尽くすと心底から決めていたが
やはりやっている事は身勝手で最低である事にはまったく変わらない。
そんな自分を愛してくれる彼女達に対して尚更自分の選択の結果とは言え
申し訳なく思うというジレンマを繰り返してきたが、フミは見ていられなくする何かが
そうさせ優しく彼を抱きしめてサンジェルマンを睨む

「本人同士が納得ずくならいいじゃん、私もその一人だし
他所や他人から文句を言われる筋合いはないんだけど?」

「別に責めてはいないさ、お互いの純粋な意志で合意と納得しているのなら
あるのならそれ以上は言わないよ。さてとりあえずは私は頼まれた仕事はしたが
作ってハイさよならは幾らなんでも無責任すぎる、アフターフォローとかもする為に
暫くはこの世界に残っているつもりだからね」

サンジェルマンが今後の事を考えて此処に残るべきだと判断しその事を告げると
フミも抱きしめたエスペラントをゆっくりと離れて

「私も興味深いし、此処にまだ残って研究や実験を続けてるつもりだから
データ収集したらとりあえず此処に来て。出来うる限りサポートはするから」

彼女も此処に残りアイン・ソフ・オウルや厄災の種の研究を続けるらしい。
ならば自分は目的を果たした以上長居する事も無いなと考え

「分かった、僕の要望を此処に来るまでに叶えてくれて非常に助かった。
そうでもしなければ戦いにすらならない強敵だからこれが必要だった
だからありがとう、君達の思いと努力は決して無碍にはしないよ」

素直に頭を下げて感謝をするとそれじゃこれでと
そのまま静葉の居る元へと戻り、其処には既に
案内者がフォルテ達の行き先を知らされることとなる。

76 :アサキム:2014/06/22(日) 23:02:36.61 ID:hztbObGl.net
))今、我々はトキオ最南西の港にいます、と。
そういうメールを受け取ったアヤカ

「で、どうすんの?」
「このままリューキューへ行く…」
アサキムは別ルートでリューキューに向かっていた
「まったく…あの馬鹿は」

と言うのもアサキムは空間観測後
いきなり仙界に飛ばされた。
そこで復活していた素戔嗚と話した
「あの男が禁忌に手を出したそうだな」
「……………」
「お前はどう思う…」
「知るか…俺のしったことじゃない」
「だが貴様は仙界の者だ」
「だがあいつは俺の管轄外だ」
「世の理をみだすのものを裁くのも我らの役目じゃろうて…」
アサキムはため息を尽きながら
「わかった…とりあえず試してくる……その禁忌判断は俺に決めさせろ」
「……いいだろう」

「あの馬鹿は……何を考えているエスペランドは……アヤカ」
「何?」
「………変更だ。エスペランドと合流する。」
「…御身が仰せのままに」

最悪殺すしかない。
アサキムは覚悟を決める用意をしながら…大きく深呼吸をした
アヤカは。
「悪いけど静葉ちゃんと合流してから行くね」
と返信した

77 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2014/06/25(水) 22:24:44.55 ID:CDOAldCN.net
数日の列車の旅を経て、トキオ最南西の港に到着する。
案内の者によると、ここでエスさん達と合流する手はずになっているようだ。
港の待合所併設の喫茶店で待つ事とする。
アサキム導師組にはリーフが連絡を入れてくれたようだ。

「お二人ともトキオに着くなりそそくさと消えてどこに行ってたんでしょうねえ」

「さあ。超人の世界にはいろいろあるんでしょ」

と呑気な会話をしていると、リーフのスマホの着信音が鳴った。
リーフはすぐに内容を確認する。

「アヤカさんからの返信に気になる内容が……。
エスペラントさんが厄災の種を利用した兵器に手を出したそうです」

「えぇっ!?」

自分だけアイン・ソフ・オウルではない事に悩んでいる様子だったけどそこまで思い詰めていたとは。
厄災の種の危険性についてはジョージさんから詳しく聞いたばかりだ。
要するに物騒でとても兵器には出来ないという内容だったと思うんだけど……。

「しかもアサキムさんがそれを危険視して場合によってはコ○ス(はあと)ぐらいの勢いだから二人の動向に注意だそうです」

「そんな……」

厄災の種を兵器として使っていた人物として思い出されるのは、元バニブルの国家司書ヴェルザンディ。
彼女は国を守りたいという純粋な想い故に厄災の種に手を出し、その結果今や傲慢の枢要罪となってしまった。
それを考えれば、仙界の者であるアサキム導師の反応も至極当然といえる。
無論、流石にあの時のようにそのまま使用ではなく何らかの制御を施してはいるのだろうが。
とりあえず道中で喧嘩をおっぱじめていない事を願いつつ二人(二組?)が来るのを待つ。

78 :阿由羅城左宗:2014/06/29(日) 17:09:22.59 ID:PMAnauOX.net
【八乙女山】

 阿由羅城左宗は、彼我の力量差を見誤っていたと自覚する。
自分に先行したデビルサマナーたちは歴戦の術者で、戦力に於いて不足など無かったのは間違いない。
彼らは岩肌から地霊を呼び、魔界の妖魔と風の化身たる妖鳥を従え、自らも剣光を宙に描いて魔物の群を切り裂いた。
半人半蝮の魔物を雷火の矢で突き刺し、双頭の蛇魔を念動波で撃ち、瞬く間に調伏していく。
同業者たちは、阿由羅城の露払いとしての役目を十全に果たすはずであった。

 目算の狂いは、標的の力が予測を遥かに超えていたことにある。
八乙女山に現界した悪魔の正体は応龍。
天より堕ちたる龍の一派で、長大な黄土色の胴体と四足、鷹の翼を備え、数十もの眷属を率いる禍物。
古の時代に数多の悪鬼と戦って傷つき、零落した身体を各地の気脈で癒し続けていた存在だ。
名は伏契と言い、変幻のアイン・ソフ・オウルとして位階は地位級に属する。

 伏契は破滅の驟雨を降らせ、濁流の氾濫を起こして、自らの領域を侵すデビルサマナーたちを迎え撃った。
山をも削りかねない桁違いの魔力を受けて、力の劣る半数が即座に姿を消す。
そして、障壁を張って攻撃を凌いだ残り半分は、龍の唱える呪文を聞いて泥土に呑まれる以上の衝撃で戦慄した。

――我、地上に天を築かん――大地に墜ちる炎界の環[Megidora]――。

 応龍が太陽フレアを地上に顕現させる高位古代語呪文[Elder Ancient spell]を唱えたのだ。
魔術に長ける一人が異変に気付いた瞬間、蒼白い閃光が炸裂して視界を塗り潰す。
輝きの中で無数の樹木は瞬く間に燃え尽き、地面にも幾筋もの蒼炎が走った。
充分な距離を取っていたはずの阿由羅城も、熱風で全身の皮膚を惨たらしく焼かれ、焼けた岩盤へ無様に倒れ伏す。
身を守るべく作り出した障壁と、召喚した妖獣の群れは、青い灼熱の前に焼き払われていた。

 アイン・ソフ・オウルは想いで奇跡を起こす存在で、阿由羅城左宗もアイン・ソフ・オウルである。
ならば、彼も強靭な想いさえあれば奇跡を起こして、望み通りに応龍を降せるのだろうか……?
いいや――応龍もアイン・ソフ・オウルであり、その位階は阿由羅城よりも高い。
即ち、より質が高く、より干渉力が強く、より規模の大きい、より上位の奇跡を起こす存在。
勝てる道理は無い。ましてや自分の器より大きなものを従えることなど。
小さな池に大湖の水は収まらない。

「これほど力量差とは、己の見通しの甘さを……呪う他な、ない……」

 中空に浮遊する応龍を睨みつけ、阿由羅城は擦れる息を吐く。
眼前の悪魔は、今までに相対したことのない程の脅威だった。
致命傷を負った身では相手に手傷を与えるどころか、残る全ての仲魔を盾にした所で逃走は不可能だろう。
伏契が己の領土とした八乙女山は外界と隔絶しており、今や幾筋かの細い経路のみが出入口。
地位級以上のアイン・ソフ・オウルが持つ空間支配の影響で、空を飛んでも地を掘っても逃れることは叶わない。

 勝敗は決した。
帝都の異変を鎮圧すべきデビルサマナーの第一陣は敗れ去った。
勝者たる応龍が咆哮で告げると、眷属の龍蛇たちが一斉に骸へ群がっていく。
その光景を最後に阿由羅城は意識を途絶させ、同時に精神もあらゆる認識活動を止めた。


■-■-■-■-■-■-■-■-■-■-■-■-■-■-■-■-■-■-■-■


「全身に浴びた死の穢れで天へと戻れず、地に堕ちた邪龍か。
浅ましくも、今では流賊のように各地を渡り歩いて、気脈の力を喰らっては惰眠を貪る。
道を外れ、矜持を失った者というのは、見るに堪えないものだ」

「悪魔を使役するデビルサマナーとやらも不甲斐の無いことです。
ジャック、まさか貴方は彼らの二の舞を演じはしませんよね?
ええ、演じることなど決して許しません……無様な敗北の再演など」

79 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/07/03(木) 18:48:12.46 ID:ufZSY9Cb.net
そのままトキオ最南西の港に向かおうとも考えたが
間髪入れずにやってきたヤタガラス使者の一人からある情報を聞かされることになる。
それは八乙女山と呼ばれる場所で大きな魔―それこそアイン・ソフ・オウルと思しき
強大な悪魔が出現したことである。
しかしこの情報源も少しキナ臭い物を感じているらしく
確認と万が一の為に先遣隊のサマナーを送り出したらしい。
しかし、これは良い機会だと思った。

「その討伐、私も行こう」

天の配剤か、あるいは神の気紛れか
何れに在るにしろ無いにしろ《悪なる右手》の丁度良い
運用テストになると考えていた。

「ではフォルテ様達はどうされますか?」

「済まないが先にリューキューに入ってもらっても構わないと
伝えてもらえないか」

「了解致しました、主様」

そのまま放置しておくのも後々何か問題が起きる事も考えて
災いの芽を摘んで置いたほうが良い。
そう考えて静葉はまたもやフォルテ達とあるいはアサキム・アヤカ夫妻に
連絡をすると共に事態が事態なので悠長に蒸気機関車に乗ってはいられない。
適度に身体を動かすという意味で、直接そのままの足で八乙女山に全力で向かうことになる。

80 :ディミヌエンド:2014/07/04(金) 18:11:15.27 ID:nVvl0CSf.net
【八乙女山】

 二つの人影が山道を歩き、焼けた朽葉を踏み締め、白霧の中に乾いた音を響かせる。
足音の主は人妖の黒き精霊楽師、ディミヌエンド・レガート。
今一人の足音を立てたのは碧鱗を持つ竜人の僧武師、ジャック・カンヘル・チャーチル。
フェネクスドームで行われた星誕祭の決勝で、フォルテ・スタッカートの組と競い合った二人だ。
華麗なゴシックドレスを纏う精霊楽師は、山道半ばで不意に立ち止まると、冷たさを宿す妖眼を背後へ向けた。

「ああ……施術具ですか」

 ディミヌエンドは霧の中から現れたエスペラントの姿を認めて、そう囁く。
まるで、霧が囁いたかのように密やかな声で。

 エスペラントが八乙女山に到着するのは、阿由羅城を含む先遣の討伐隊が全滅して数日後となる。
帝都の中枢が第二陣の悪魔討伐隊を編成し、山麓へ向かわせようとする最中のことだ。
この精霊楽師と竜人の二人組もまた、エスペラントと時を同じくして、何らかの目的を持って此処に現れたのであろう。

「私はこの世界を一つの人体と看做しています。
塵芥の如き無数の小さき生命が一片の細胞で、数多の精霊は血液。
私たちのようなアイン・ソフ・オウルは人体の中の人体、さながら胎児といった所でしょうか。
だから、貴方のように人体として馴染まない存在は、器具に例えるのが適切というものです」

 主たる神魔コンツェルンの総帥に聞いたのか、或いは他の誰かに聞いたものか。
美貌の半人半妖は濡れる笑みを唇に浮かべて、エスペラントの在りようについてを仄めかす。

「一応、名乗っておきましょう。
私は万物を奏する楽師、ディミヌエンド。
……貴方が此処に来たのは、その玩具でお遊戯をするつもりで、ですか。
詩を作るには良い機会ですから、ぜひとも観賞させて貰いましょう。
玩具作りの苦心が無駄にならないと良いです、ねえ?」

 エスペラントが右腕に嵌める籠手を一瞥し、ディミヌエンドは微笑した。
隣に立つジャックは微かに首を動かしただけで、さして関心も無さそうに前方を見据えている。
霧の合間に覗く魔術の残り火と、大地を這う竜蛇の群れと、王者の佇まいで眷属の上に浮かぶ応龍の影を。

「……死の穢れで天に至れぬならば、地上に王道楽土を築いて余の物とするまで。
選別する生類は竜蛇の眷属のみ。余人余族は無用のもの。滅びよ」

 変幻の世界領域を律する専制者は、己が領土へ踏み込んだ異物に告げた。
伏契に眷属ならざるものを生かす理由は無い。
いずれ巨大な厄災が訪れ、数多の生命を淘汰すると予見した古き龍ゆえに。
造次顛沛、巨大な魔龍は闖入者に灼熱の洗礼を浴びせかけるべく、呪文の詠唱を始めた。
同時にディミヌエンドも歌い始め、ジャックというキャンバスが歌の色で塗り潰されていく。

「――天に散らばる無数の星。そして鏡のような月。けれど夜の闇は衰えることを知らない……」
「――反転、諸法無我」

――大地に墜ちる炎界の環[Megidora]――。

 応龍の呪文が完遂して、濃霧を揮発させる閃光が奔った。
爆裂する蒼炎の奔流がディミヌエンドにジャック、その背後にいるエスペラントをも呑み込む。
この蒼白い灼熱は他者の肉体のみならず、存在を削り、侵略していく、巨大な干渉力そのものだ。
高位古代語呪文は、投じられた魔力次第では常人が用いてすらアイン・ソフ・オウルを傷つけうる。
ましてや、導師アサキム・タグラスと同等の位階にある伏契が使ったならば、その威力は押して知るべしであろう。

81 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/07/04(金) 22:33:54.10 ID:QiICRec6.net
八乙女山へと辿り付くまでの道中、その先遣隊が全滅したという知らせが届く。
第二の編成部隊が八乙女山に向かうのはそうえ遠くは無いだろうが
送り込んだ第一陣とて精鋭達も多く居ただろう。
ならばそれと同じ編成であれば二の舞になる事を考えれば、更に編成を考えねばならない
それを考えれば今までと同じように行かないなら、それ相応に時間が掛かる。
だからこそ自分達二人を送り込んで更なる様子見をするという事は当然のように受け入れられた。

「(だがそれでも我等は客人扱いだから、無碍にも出来んという事か)」

現在エスペラント&静葉は八乙女山に入るが、それと共に偵察役の機動力重視のサマナー数人が付いてきており
一定位置に着かせており彼等を経由して逐次現状の状況や情報が何があっても届くような形態を取っていた。
だからこそ援軍はしばらく後になる事を考えれば、安易に頼りにするのは危険だろうと考える。
それを理解し、報告のあった場所までやってくると気を引き締めたその際に二人の人物が現れる。

>「ああ……施術具ですか」

>「私はこの世界を一つの人体と看做しています。
塵芥の如き無数の小さき生命が一片の細胞で、数多の精霊は血液。
私たちのようなアイン・ソフ・オウルは人体の中の人体、さながら胎児といった所でしょうか。
だから、貴方のように人体として馴染まない存在は、器具に例えるのが適切というものです」

「………言いたい事はそれだけか?
生憎とお喋りをしている暇はない、失礼する」

突然現れた女の言葉に対してただ黙いた後、下らぬ話と判断し意にも返さず先に進もうとした際に

>「一応、名乗っておきましょう。
私は万物を奏する楽師、ディミヌエンド。
……貴方が此処に来たのは、その玩具でお遊戯をするつもりで、ですか。
詩を作るには良い機会ですから、ぜひとも観賞させて貰いましょう。
玩具作りの苦心が無駄にならないと良いです、ねえ?」

女は名乗る―ディミヌエンドと。
そうか、フェネクスに居た奴等だという事を思い出した。
どうも既に《悪なる右手》について勘付いたらしい
元々彼等に関する物を技術利用しているのならそれから発する波動かあるい何かしらの感知出来るのかもしれない。

「そんな下らん戯言を言いに来たのか貴様等は?だとしたらご苦労な事だな。
貴様等の期待通りになると良いが」

そんな皮肉で返すとどうやら眷属の群れを引き連れてお目当てのアイン・ソフ・オウルが来たらしい。

>「……死の穢れで天に至れぬならば、地上に王道楽土を築いて余の物とするまで。
選別する生類は竜蛇の眷属のみ。余人余族は無用のもの。滅びよ」

「悪いが死人を出さねばならぬ理想など貴様がどれほど高尚だろうと何を作ろうが知ったことでは無いし興味もない。
今は散っていた者達の魂と残された者達の為にその命で贖って貰おうか」

第一陣の先遣隊にも家族や待っている者達は居たのかも知れない
《悪なる右手》の性能調査というのもあるが死んでいった者達の敵も誰かが取らねばならない
それが自己満足であったとしても、自分が為さなければならないと考えた。

82 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/07/04(金) 23:03:12.42 ID:QiICRec6.net
>「――天に散らばる無数の星。そして鏡のような月。けれど夜の闇は衰えることを知らない……」
>「――反転、諸法無我」

そしてその言葉を皮切りに伏契は爆裂する蒼炎―メギドラが放たれる。
しかしそれはエスペラントの知る従来のそれではない
アイン・ソフ・オウルが加わり更に強化された物だ

『全てには創造から開拓に始まり終焉ならば灰燼に終わる
 死と生は同一なりゆえに相克する
 死は生を求め生は死を求める
 無限と虚無に囚われる者よ求める物はと問えば
 解答せし言葉それは―――』

<攻撃魔法を感知、戦闘モード本格始動学習開始>

蒼炎の奔流が自らの身体とこの者達を包み込んだ
しかし、其処からエスペラントの全身からも眩い光を発する。

与えられし枷を放つその言葉は創られた意義を持つ超人にとっては与えられた特性にして方向
解放者達にその力とあり方の膨大な奔流の内ほんの一部を扱う鍵を与えられる
与えられた先からはその者個人に問われる
それが―――超人刻印(ツァラトゥストラコード)

蒼白い灼熱の跡に立っていたのは肌が赤く染まり、髪は白髪に変わる
オッドアイだったその瞳は黄金の瞳に統一されていた異様な雰囲気を発する
一人の超人。

「超人刻印――解放(ブースト)、固有名『』(無銘)構築完了」

<対極致固有世界者用吸収防御障壁発動情報登録対象伏契、記録開始>

何事も無かったかのようにその場に立っているその理由単純―
その攻撃がエネルギーであったからこそ『学習対象』として吸収し学習した。
だがそんな事は所詮机上の空論である、実戦でやったところでそれが出来るとも限らず
下手をすれば死ぬのがオチである。そんな馬鹿げた愚行すらも厄災の種という無茶苦茶な代物と
希代の天才傑物達が惜しみなく協力した技術の結晶の代物だからこそ信頼し
そんな死と大差ない馬鹿げた行為が出来た。

83 :『』(無銘)の超人エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/07/05(土) 02:11:34.70 ID:75DMkjMO.net
<最大出力展開により保有内蔵厄災種が二つ消滅しました>
<厄災種残数38、次元転送にて補充及び放出エネルギーで再生産をを行いますか?>

だがそれとて決して何の代償も無しに発動出来る物では無い
防ぐ為には場合によっては元々内蔵している厄災の種の力を最大限引き出す必要がある
それによってこうして厄災の種が破損し、使い潰すも同然になる事もある。
安全策上それも暴走する可能性があれば意図的にされた物なのだがデータさえ取れてしまえば最小限あるいはまったくのノーリスクで対策が取れてしまう
そんな事も可能となり、そしてそのエネルギーを元に厄災の種を作り出すことも出来るようになる。

「いや補充はしなくて良い、再生産と敵の力の解析によるデータと対策を最優先しろ」
<了解です、厄災種の使用により感情値が規定よりも上昇しています。抑制剤を使用しますか?>

その通り現在エスペラント自身殺意や暴力衝動、それぞれ合わさったような複雑ではあるが
気の済むまま暴れたいとすら思う感情が渦巻き始める為
非常時の為に感情を強制的に抑える特殊な抑制剤すらも《悪なる右手》には積み込んでいた。
それほどまでに例え薬漬けなろうともこの兵器を使う覚悟を―決意をしていた。

「この程度ならばまだ抑えられる、必要ない」
<正常な判断が出来る範囲内の命令は正当な物と判断します>
<それを逸脱した場合強制的に抑制剤の投入を行います>

安易にアイン・ソフ・オウルと化すという選択肢があればこのような事にはならなかっただろう
しかしそんな物は今更だ、此処までしなければ勝てないという敵は重々承知済みのはずだ。
だからその事に関しては何も言うまでもなかったそれが彼自身の「人間としての意地」

「そんな事今はどうでも良い、それよりも奴を何とかしなければならない
これから反撃と行こう、行けるか?」
<高速学習作業との平行はまったく問題ありません>

そうか、と呟いた際左手には召喚した禍々しい和弓が現れ
自らの右手には《悪なる右手》が弦を手に持つとそれを素早く引き
黒い膨大なエネルギーが収束していき、一瞬で矢の形状へと変わる。
そして形成にもまったく問題が無いのならば

<今現在の感情値の全てを上乗せした上で対極致固有世界者用矢形状弾、形成完了>
「ならば受け取れ!!この<偽悪なる一撃>を!!!!」

撃つのを躊躇う必要はまったく無いと言わんばかりに弦から放った瞬間
増大される感情をも放たれる武器に込めて威力を上乗せする―それも内に込められる
膨大な感情を発散させるにはどうすればよいのか?その解決法は武器としての威力向上と
ずっと貯め続ける事も無く発散できるという使用者の安全も考えた一石二鳥の機能として
組み込まれたそれによって放たれた黒い矢――<偽悪なる一撃>はとても太い黒き閃光として
存在を削り、アイン・ソフ・オウルに匹敵する限定的な「己の領域」とそれに対する「干渉力」を得る。
それはエスペラント自身が抱く膨大な感情であればそれは力を増していく
攻撃手段という一方向あるいはごく極めたアイン・ソフ・オウル一つの側面に過ぎなくても
彼には十分である、なぜなら

「これを持って貴様等アイン・ソフ・オウルに対して人間のままで人間の作った兵器で
戦えることを持って証明し!人間の力を持ってして最初の反撃する者として
貴様等に宣戦布告をする!」

野太い閃光を背後から発しながら凄まじい速さで伏契の元へと向かって
伏契の前に立ち塞がる幾多の眷属を全て吹き飛ばしながら差し迫る。

「世界守護者委員会の尖兵として!!!世界を守護する者として!!!
そして一人の人間として!!!」

「さぁ!!最初の反撃の始まりだ!!!!」

84 :アサキム ◇JryQG.Os1Y:2014/07/05(土) 15:04:32.06 ID:rspWqrvl.net
「…やはりね、対象確認した」
「まったく…仙界も面倒なことをおしつけてくれたもんだ…」
…応龍の生気が消えたから確かめてきてくれという命を受け
八乙女山に向かった二人

「…あれは、エスペランドさん?」
「じゃあ…あの右手の物が」
…異物を吸収せし小手…
「アサキム?」
「なんでもない…応龍の始末の許可は頂いているさっさと倒す!」
術式とともに…新たなアインソフオウルを解放する。
「神とて堕ちる時があるのか…ならさ」
アサキムは、黒銃(ジャッカル)を構え
「せめて…安らかに眠れ」
(ぶつかり合う衝撃)-Impact clash-
前方に術式を展開しうち放つ
銃の弾の貫通を手っ取り早く、強くする方法にスピードを上げるのがある
だが、それでは人が耐えられない
仙人であるアサキムでさえも限界がある
それを解消する方法が新たなアインソフオウルの「反転」
アサキムは自身の領域の総ての事象を反転させられることができるようになった
故に弾を自身の領域内で反射させることで弾の速度を上げに行っている
「…そろそろいいかな?穿て!」
その勢いが有り余っている銃弾を解き放つように応龍に放つ。

85 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2014/07/05(土) 15:38:26.12 ID:rspWqrvl.net
「あのー、フォルテさん」

リーフがスマホの画面を見ながらおずおずと言う。

「八乙女山に応龍を倒しに行くから先に行っててほしい、だそうです」

「はあ!? どっちから?」

「それが……両方」

「っざけんなぁあああああああああ!!」

何を考えてんだあの超人達は。
オレ達だけで行って枢要罪に会ったらどうしてくれる気だろうか、問い詰めたい、小一時間問い詰めたい。
あっちはあっちでまさか応龍の前で内輪もめする気じゃないだろうな。
これはオレ達も八乙女山に行った方がいいのではないか。
とはいっても、依頼受けちゃったし行くしかないんだろうなあ。
そうこうしているうちに案内の者がリューキュー行きの船が到着した事を知らせる。

「どうする? 行く?」

86 :伏契:2014/07/06(日) 00:44:34.53 ID:NLyTmqOd.net
【八乙女山】

 天より降り注ぐ驟雨、驟雨が集まった濁流、濁流から立ち上る白霧、それが揮発した不可視の大気。
この常に変幻する粒子群こそが伏契の描く世界観の発露であり、同時に自己を防御する結界そのものだ。
それゆえにエスペラントの放った黒箭の一射も、霧の中を進む毎に威力を相殺されていく。
攻撃に反応して重さを増した霧が、轟音で歌う破滅の矢に絡みつき、推進力や破壊力を奪うのだ。
黄土の鱗で覆われた応龍の肉体に届く頃には、矢も世界への干渉力を奪い尽くされ、鋭い迎撃の鉤爪で打ち砕かれる。

「人間の力の証明だと? 世迷言を。
人であろうと龍であろうと鬼であろうと、万物生類は貴賎の別なく魂の奥に界を持つ。
強さの差を分かつのは、どちらの界が宏闊にして精緻であるかだ」

 応龍はエスペラントをせせら笑った。
互いの理解の違いは、生きる世界と言葉に持たせた意味の違いゆえだろう。
人ならざる龍は人間という単語に思い入れなど無く、数多い知的種族の一つを意味するに過ぎない。

 歌いながら両者の戦いを観覧するディミヌエンドも、エスペラントと同じく傷は無かった。
変化といえば、長い髪が流れる砂金の煌きを備えたことくらいか。
これは精霊楽師の体内に宿り、髪を闇の色に染めていた詩精たちが、ディミヌエンドの防御に伴って抜け出た結果だ。
黒髪の女の姿を持つ無数の詩精は、亡霊めいた半透明の体を多重に重ねつつ、今は主の盾となっている。
随伴していたはずのジャックの姿は、近くにいないのか確認できない。

「余の術を受けて無傷とは賞賛に値する者どもだが、宣戦を布告し、紛い物の黒墨で眷属を屠ったのは愚劣極まる。
このような愚行を許したのは、余が未だ失われた力を取り戻す途上だからであろう」

 八乙女山に燦々と差す朝陽の光と、赤貌白髪のエスペラントを瞳に写して、応龍は自答する。
一切の樹木が消えた周囲を見渡せば、眷属たる竜蛇は過半が失われており、己と外界を隔てる霧も滅されていた。
そう、山域全体を覆って異界と化していた霧の結界は破れている。
結界が除かれれば、後は一個の生命体としての耐久力が己の身を守る力だ。

「……ッグ、ヌ」

 それは濃霧が晴れ、浮揚する応龍の姿が現れた一瞬のこと。
超音速にまで加速した弾丸が硬い龍鱗を割り、胴と臓器を貫き、衝撃波で弾創から鮮血と肉を撒き散らす。
アサキム・タグラスが行った銃撃は、奇襲すべき絶好の機会を逃さず、再び結界が展開される前に伏契を穿っていた。
胴体を抉られた龍は口から血の涎を垂らしつつ、爛々と輝く双眸でアサキムを捉える。
負傷で昂る怒りが、応龍の周囲にまたも霧を生じさせた。
ただし、その範囲は先程より狭まり、もはや山域全体を濃霧の結界で閉ざす規模には至っていない。

「この複雑な陰陽の気の動きは仙者。
蒙に囚われた走狗どもが、挙って余を討たんとするか。
招来せよ、雨師」

 不快げに唸ると、応龍は風雨を司る龍としての権能を発揮した。
霧中から数千数万の驟雨を創り、その全てに槍のような鋭さを持たせ、旋回させつつ中心のアサキム一点に集約させる。
無論、この雨は単なる水の動きではない。
無数の雨は変幻の性質を持ち、突き刺したものを変質させ、腐食を加速させる性質を持つ。

「招来せよ、雷公」

 続いて応龍が放った呪願で、中空に生じた黒雲から一条の雷が応龍自身へ降り注ぐ。
全身に雷を帯びた黄土色の龍は、白濁した霧の虚空を翔けて、電光石火の速度でエスペラントに攻め来たった。
掠っただけで雷火の走る爪を振るわんとし、龍族の強靭な牙で喰らいつかんとして。

87 :ゲッツ ◆Sin.5EUo9A :2014/07/06(日) 23:12:34.77 ID:bSASn+Ks.net
>「どうする? 行く?」

「――いや、ある意味じゃあよ。
あいつらと俺らだと、枢要罪相手だと俺らのほうがイケると思うぜ? ぶっちゃけよォ。
あいつらが応龍倒しに行ったのって、よーするにアイン・ソフ・オウルと戦う方法見つけるためなんじゃねーの。
……だったら、俺らは先に進んでおくべきだろ。あいつらだって修行したい時も有るだろうしなァ」

ゲッツは。フォルテの言葉に対して、否を返す。アイン・ソフ・オウルを倒すのは、アイン・ソフ・オウルの力のみ。
質と量の差はあるが、そもそもアイン・ソフ・オウルであるのと無いのとでは大きな差があるのだ。
そして、あの超人二人が戦いに赴いた。個の利よりも多の利を優先する彼らから考えれば、それはそうする意義が有る故の行動だろう。
そういう細かい事情を理解せぬまま、戦士の勘であの二人の戦いに意義を感じ、八乙女山に向かうのは辞めることとした。

「だからよ――ちょーっと先にリューキュー行って来ようぜ。
どーせ奴らだから瞬間移動とかで付いてくるだろうし。
……それに、ヴェルザンディに関しちゃ、ヴァルンとの約束もある。
俺ァイケメンだかんな。約束は守らなきゃなんねェだろ。なァ?
それに、てめェもあのえらそーな教皇に一言申したいんじゃねぇのか? あ?」

ごきりと首や全身から骨を鳴らす音を響かせ、口の端から瘴気を漏らして。
竜人は、にやり、といつも通りの適当な笑みを浮かべて、フォルテの頭を軽く小突く。
そして、ゲッツはフォルテをいつも通り肩に担ぐと、ひょいと船に飛び乗り、船を出すことにするのであった。

「――では、リューキューへ向かわせて頂きます」

そう船頭の女が言えば、リューキューに向かう船は、さほど長くない距離を進む。
そして、そのさなか、唐突に濃密な霧が当たりには現れた。
――強大な存在感が有るというのに、その本質が何かに覆い隠されているかのようにおぼろげであるという矛盾した感覚。
この空間は、既に二人のアイン・ソフ・オウルの領域である。そう、認識することが出来ただろう。

船が、止まる。この霧の中では、不用意に船を動かすことは困難と言えた。
そして――、船頭が二人の方へと歩んでいき、霧が俄に晴れる。
そこに居たのは、黒色の宝玉の収まる杖を持った、白髪の女であった。

「――久しぶりね。妖幻。そして厄災。
あの二人も色ボケ女も居ないようだけれど――ちょっと話でもしていかないかしら。
話題は、そうね。……私達の目的の一部、とか。……気になるんじゃない?」

白髪の女の傲慢の世界観は本来であれば全てを圧倒する程の力を誇るはず。
だがしかし、ここではその力の全容が見えはしない。それは恐らく、ミヒャエルの虚飾により虚ろに隠された結果。
そも、このヴェルザンディが、ヴェルザンディであるという証明すら無い。
だがしかし、此処にいて話をしようとしている意志は、間違いなくヴェルザンディであったと言えただろう。

88 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2014/07/07(月) 22:54:08.13 ID:hBU8jIxQ.net
>「――いや、ある意味じゃあよ。
あいつらと俺らだと、枢要罪相手だと俺らのほうがイケると思うぜ? ぶっちゃけよォ。
あいつらが応龍倒しに行ったのって、よーするにアイン・ソフ・オウルと戦う方法見つけるためなんじゃねーの。
……だったら、俺らは先に進んでおくべきだろ。あいつらだって修行したい時も有るだろうしなァ」

相変わらずの自信家である。だが。
ンなわけねーだろ!と少し前ならツッコんでいたところだが、ゲッツの戦いに関する判断は信用していい。
それにアイン・ソフ・オウルについてもオレより身を持ってよく分かっている。

>「だからよ――ちょーっと先にリューキュー行って来ようぜ。
どーせ奴らだから瞬間移動とかで付いてくるだろうし。
……それに、ヴェルザンディに関しちゃ、ヴァルンとの約束もある。
俺ァイケメンだかんな。約束は守らなきゃなんねェだろ。なァ? 」

「……ってか出くわすの前提!? オレああいうタイプは苦手なんだよな〜。
調子が狂っちまう」

ああいう奴らと対峙するのは、魂を映す鏡を突きつけられる感覚に似ている。
グリムみたいな完全にラリってる奴の方がまだ分かりやすくて組しやすい。
(能力面抜きで飽くまでも性格だけで言えばだが)
大体正気を保ったまま厄災の種を使うなんてそれ自体特大の狂気だ。

>「それに、てめェもあのえらそーな教皇に一言申したいんじゃねぇのか? あ?」

ゲッツに小突かれて思い出す。
そう言えば……前回あの教皇野郎に完璧に一本取られたんだよな。
しかもその後のエヴァンジェルの経緯が気に食わないからどうのって……。
だんだん腹が立ってきた。

「言ってやる。枢要罪、出るなら出て来いやぁああああ!!」

>「――では、リューキューへ向かわせて頂きます」

出発して間もなく、唐突に辺りは濃霧に包まれた。
ヤバい、ヤバいぞ! ここはすでに奴らのセカイだ!

「え? え!? もう出るの? マジで出るの!? あれ本気じゃなかったの、しーましぇーん!
ちょっと船頭さん、どこ行くの、そっちは危ないよ!」

と小物全開で騒いでいる間に霧は晴れ、枢要罪が姿を現す。
でも姿が見えるのはヴェルザンディ一人。おそらくミヒャエルは虚飾の力で姿を消しているのだろう。
あの傲慢暴走女ヴェルザンディにしてはちょっと気配がボケた感じだけど……
彼女はそんな事よりもオレ達の興味を引くのに十分な言葉を吐いた。

>「――久しぶりね。妖幻。そして厄災。
あの二人も色ボケ女も居ないようだけれど――ちょっと話でもしていかないかしら。
話題は、そうね。……私達の目的の一部、とか。……気になるんじゃない?」

お目付け役の超人連中も母さんもいなくて今はぺーぺーのアインソフオウルが二人だけ。
向こうからしてみたら潰すには格好のチャンスのはずだ。
とりあえず今は戦うつもりではない……ということか。話に乗ってみてもいいだろう。
私”達”……という事は共通した目的を持っているということか。
枢要罪の共通点なんて枢要罪である事ただ一点である。
どれもこれも原初にして最強の罪である故に、他の罪と相容れる事は難しいはずだ。

「そりゃあ気になるさ。この世で最恐の自己中どもが団結できるほどのすげー目的なんてあるのかよ」

89 :『』(無銘)の超人エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/07/18(金) 21:51:51.74 ID:1FVc2pfl.net
自らの放ったその一撃は確かにこの山を支配していた霧―
この伏契の領域、世界と言っていい
だからこそ自ら放った一撃は応龍に当たる前に消滅した。
しかしその代わりにこの山を支配していた霧は大方消え失せた。

「貴様の言う事は確かに正しい、同じ土台であり真っ向勝負をするのであれば
だが、あくまでも同じ土台という部分だけだこの世界で重要なのは」

伏契を肯定しつつも、同じ環境下であり同じ戦いであればそれは正しい
しかし同時に戦いはどんな事でも起こりうるバーリトゥード(なんでもあり)
それに従ってやる理由などはない、ましてやエスペラントのような余所者(多世界を守る恒久戦士)には。
山を覆っていた霧が殆ど消え失せるまでは正しく予定通り

「さて、思い込みは後々に取り返しがつかない事がある。その最もな物は死――
果たしてそれに気づけるだろうか?」

自らの力が不完全だという言葉にニヤリと笑い、としながら
今説明してやる義理も無し、今種明かしするのは面白くは無い。
そう考えている内に次の手を打とうとした時、それはどこからとも無くやってきた
一発の銃弾が応龍の胴体を貫く、その主を見据えるとアサキムとアヤカ達がそこに居た
という事は――

「(一撃で一気に仕留めるつもりだったがアサキムめ、余計な事をしてくれたが…
同時に結界の有無も確認出来た、やはり間違ってはいないようだな)」

応龍の土手っ腹に穴を空けたアサキムにはそれぞれのプラスマイナスが重なって一切のゼロとなったので
一切感謝の気が無い物の観察して分かった事はそこまでの過程は間違っていないという事だ。
それを考えると《悪なる右手》を見つめ、開発してくれた者達は決して間違っていなかった
後は倒すまで自分の問題、ただそれだけを思うと
今度は応龍が起こって再び霧が発生する。

「やはり奴は余計な事をしてくれたな」

折角消したものがやはり元に戻り、折角消えたものを再度展開させたアサキムに対して
そう呟くが先ほどとは規模が小さくなり応龍の周囲のみに展開されたことは
まだ唯一の救いだろう。

90 :『』(無銘)の超人エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/07/18(金) 22:58:37.49 ID:1FVc2pfl.net
先ほどの攻撃に対して応龍は更に霧から無数の雨が発生
雨粒一つ一つがおそらく強力な物であろうと看破し、
その間にも此方は待つほど少なくとも戦場ではお人好しでもなく
再び弦を握り、黒い矢を形成する。

「的が自ら飛び込むか―面白い、その決闘受けて立とう」

雷を纏い、そのまま電光石火の如く突撃してくる応龍をまずは遠距離から
<偽悪なる一撃>を発射し、計算した上で避ければ確実にエスペラントがずれる位置になる距離で
ぶつかり威力重視ではない為応龍周囲の霧が完全に晴れる。

「まずは一発目だ」

だがそう言いながらも既に後少しでその牙と爪が差し迫っている最中
一切焦りも見せずただ淡々と冷静にギリギリまで引き付けもはや目と鼻先に差し迫った瞬間

「ならば人間の力を思い知ると良い、存分にな」

そして<偽悪なる一撃>の二撃目が放たれた瞬間、真っ直ぐに応龍の元に差し迫り
それを弾こうと爪が襲い掛かるが一撃目を放った際に加算された感情+ギリギリまで力を貯めていたことでの
通常の一撃より向上したチャージショットが片腕の爪からど真ん中の手を貫通、応龍の爪が幾つか落下
そしてそのまま応龍の片目に突き刺さる。

『ギャァァおのれぇぇぇぇ!!』

応龍が痛み故に地面に墜落するまえにエスペラントは凄まじい距離の跳躍をし
それに関心を向けていられる状態ではなく、電光石火の速さで
激しく地面に激突する応龍・伏契。

「杭は打ち込んだ、此処からは互いの自力の戦いのみ」

そのまま応龍の身体に着地し、涼しげにそして挑発する。
第二撃として目に突立てた黒い矢は正しく霧いや結界を発生出来ない様に干渉する楔
直接突立てた事により結界発生をさせる能力に干渉(一時的な発生能力の収奪をしている)を行っている
もう一度霧を張りたければ黒い矢本体を引き抜くしかない。

「さて、隔絶した個の能力に胡坐を搔いていたようだが
本来の力のみで何処まで戦えるんだろうな?」

直接応龍の顔が見れる口元までやってくる。
見つめる目は憐憫でも蔑みでもない、一人の戦士として
一切の油断や隙を見せずただ見つめながら
エスペラントの周囲には黒い十字の剣が大量に出現させる。

「チェックメイト――」

仮に今エスペラントを食べようとしてもその瞬間口の中は剣山が突き刺さり
残った爪で切り払おうにもその瞬間手に突き刺さり切り刻まれ、炸裂させることも出来る。
文字通り一切の不審な動きを見せればその瞬間は死である、文字通り死ぬ気で後先考えるつもりでもなければ
詰んでいると言ってもいいだろうが。

91 :伏契:2014/07/20(日) 04:06:08.77 ID:pq5LfSO6.net
 周囲に無数の剣を浮かべ、王手を告げるエスペラント。
彼に対する応龍の返答は一言。鷲のような猛禽類の翼を広げて曰く。

「――天地往来[Torapoto]」

 巨大な龍の口腔が開かれた瞬間、待機を続ける黒剣が一斉に伏契へと飛来した。
初撃の数本が迎撃として振るわれた腕に激突して炸裂し、応龍の爪と血肉を散らす。
残る十字の剣は、伏契の鋭い躱して懐に入り込み、鋭い牙や長い角、鼻面に同様の酸鼻を見せた。
しかし、さらなる追撃の刃は空気を裂いたのみ。
龍の巨体は霞の如く掻き消えていた。
忽然と消失した気配は、やはり忽然と八乙女山の中空に現れ出でる。
伏契は縮地の術を用って、己が肉体を一瞬にして山肌から空の高みへ移したのだ。
隻眼でもアサキムとエスペラントの両方が視界に入るよう、距離は充分に取られていた。

「……人間人間と煩きことよ。
霊力で妖精妖魔に、膂力や機敏さで獣人種に、強靭さでは魔獣や竜種に及ばぬことが、それほど口惜しいか。
さして、人であるとも見えぬ身で。
汝が余に意趣を返した所で、汝という一個の怪異の力を証明するに過ぎぬ」

 無傷の左眼でエスペラントを見下ろし、冷たき嘲りを吐く龍。
中空で浮揚する黄土色の蛇体は、白霧に霞むことなく明瞭であった。
力の掠奪を行う矢の影響で、今の伏契には自他の世界を隔てる霧の境界は無い。
アイン・ソフ・オウルを一個の国に例えるならば、偽悪なる一撃は、さながら国境壁を崩したようなものか。
とは言え、伏契という存在から変幻の世界を奪った訳ではなく、習得した術や応龍としての力を失わせた訳でもない。

「戦の趨勢とは常に変幻するもの。
王手と見えたものが窮地に変じることあらば、逆もまた真。
本来の力のみで何処まで戦えるか、だと?
千年の長きを過ごせば、数多の術策を得ると知れ――陽天の気は我が玉体を埋めん[Diarahan]」

 応龍が呪を唱えると、銃弾で貫かれた胴体が瞬く間に肉を盛り上げて傷痕を塞ぐ。
砕けた四肢と打ち砕かれた爪牙も、まるで蜥蜴の尻尾や鮫の歯のように新しき部位が生じて、欠損を癒した。
黒き矢が突き刺さったのままの眼球を除き、完治の魔術で拭ったように深傷が消え失せていく。
同時に応龍から力を掠奪する矢も、変異を見せ始めていた。
矢柄から枝のような又を幾重も伸ばし、矢羽から厚い葉を茂らせ、長く伸びた蔓の合間に白い妖花を咲かせて。
突き刺す相手から力を奪った分だけ、矢もまた己の力を増すということなのだろう。

「我が眷属よ、退け」

伏契が雷鳴の声で告げると、龍蛇の眷属が飛燕の勢いで散って行く。
投擲を警戒してか、蒼穹を背にした龍は眷属の離散に眼を遣らず、敵から視線を離すことはない。

「……さて、龍の力を見たくば存分に見るが良い。
雷雲を呼んで水雨を操り、地に水を溢れさせ、四海に波を起こす術を」

 応龍の咆哮で山の水脈が即座に崩れて決壊し、周囲は荒れ狂う濁流で満ちた。
無論、水流で押し流した程度では、相対する敵を倒せないと伏契も悟っている。
伏契の狙いは息吹。体内の気を炎に変えて地上へ向けて吐く。

「五行の理は歪め。水は火を扶けん」

 空の高みより一筋の火柱が墜ちると、水脈から溢れ出た温水は赫灼と輝く猛火に一変した。
紅蓮の色彩が広がって、八乙女山は界滅の炎で沈む。
水に属する龍が吐く炎は自然の火と違い、湿気を帯びて燃え上がる特性を持つのだ。
今や荒れ狂う濁流は赤熱の溶岩で、大気に漂う水飛沫すら灼熱の嵐。
エスペラント、アサキム、ディミヌエンドと姿無きジャックも、山域に残る者は誰一人逃れること適わず。
力の発露で一都市を壊滅させ得る存在。これが地位級のアイン・ソフ・オウルなのだ。

 そして、伏契が眷属に撤退令を出した理由も、これであった。
人とは思考形態も倫理も異なる生物なれど、庇護下の同族を殺さぬ程度の方針は持っている、ということだ。

92 :『』(無銘)の超人エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/07/21(月) 01:00:33.55 ID:DtPE9Bb7.net
さすがは腐っても地位級のアイン・ソフ・オウルいや応龍と言うべきか
チェックメイトと決めていた一手は容易くも打ち破られる。

「全てが貴重な素材(サンプル)として原型を可能な限り残しておこうと
考えていたが両目を潰しておくべきだったか、抜かった」

頭部をズタズタに切り裂いて置くべきだったかと悔やんで居たが
既に転移してしまった以上後の祭りという物。

>「……人間人間と煩きことよ。
霊力で妖精妖魔に、膂力や機敏さで獣人種に、強靭さでは魔獣や竜種に及ばぬことが、それほど口惜しいか。
さして、人であるとも見えぬ身で。
汝が余に意趣を返した所で、汝という一個の怪異の力を証明するに過ぎぬ」

「純粋なる能力だけを見れば確かにその通りだ、だが貴様等には勝っている物があるぞ」

自らの心臓を力強く指して高らかに叫ぶ

「他人を思いやり、自己を犠牲にしてでも助けようとする心の力だ!そんな素晴らしい力
だからこそ、普通の人間とは到底呼べない力を持っている僕が僕で居る為の
誇り!矜持だ!!」」

其処に恥ずかしいという気持ちも一切存在せず冷たき嘲りを受けても決して譲らぬ
信念と言っても良いその矜持を熱き魂と咆哮を持って向ける。

>「戦の趨勢とは常に変幻するもの。
王手と見えたものが窮地に変じることあらば、逆もまた真。
本来の力のみで何処まで戦えるか、だと?
千年の長きを過ごせば、数多の術策を得ると知れ――陽天の気は我が玉体を埋めん[Diarahan]」

「なるほど、年月を掛ければそれこそ幾多の術を得ていても不思議では無いな。
だが1000年程度歳月を迎えているとしても年数は僕に意味はないぞ?
そんな物は無意味だからな」

それこそいろいろな世界を駆け巡るという事は時間軸が当然異なる様々な平行世界や異世界が存在する。
エスペラント自身が赴いた世界によっては100億年以上経過をしている為
場合によっては彼を100億歳の年齢とも言える訳で、少なくても時が止まっているからこそ
常人や並大抵の者処では比にならぬ年を得ているとも言える為、その程度の年数を言われても
エスペラント自身には意味は無い、しかしその間に得た能力は脅威である事には違いないが。

ディアラハンによる回復により負わせた手傷を全快にまで回復―いや正確には
片目に打ち込んだ楔は回復までは出来なかったようだが、それでも効果を発揮している反面
力を吸収している為なのか、災厄の種を咲かせる花が発生しつつあった。

(不味いな、場合によっては早く決着をつけねばならないか)

此処には自分と応龍だけならまだしも他のアインソフオウルも居る以上
それが新たに出来てしまったり、回収されるリスクは極力さけたい。
その危険性は今この場で知れたことも幸運と言うべきなのだろう。

>「我が眷属よ、退け」

「何かを仕出かすつもりか、アサキム分かってるとは思うが」

突然眷属の撤退を命じたので、何か途轍もない事を仕出かす前兆として
それを感じ取り、ダグラス夫妻には警告をすると
此方も身構えて何が起きても良い様に細心の注意を払いながら
予め此方も距離を取り始める。

93 :『』(無銘)の超人エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/07/21(月) 02:52:30.81 ID:DtPE9Bb7.net
>「……さて、龍の力を見たくば存分に見るが良い。
雷雲を呼んで水雨を操り、地に水を溢れさせ、四海に波を起こす術を」

そして奴は水脈が一気に荒れ狂い始める。
何をするかと思えばこの程度では自分達は死ぬタマではない
そんな事は百も承知であろうと此処で笑う奴は居るだろう
だが今この戦場に置いて意味の無い事決して無い、慢心は即死を招く。

(何かあるな―このままで居ると不味い気がする)

水面の表面に浮いていたが、一時的に宙に浮かび上がったその時

>「五行の理は歪め。水は火を扶けん」

応龍の起こした火柱は荒れ狂った水脈と合わさり
もといその本来の能力を遺憾なく発揮し
水脈は赤熱の溶岩、灼熱の嵐が巻き起こり八乙女山を包み込む。

「そういうことか――」

逃れられぬ暴力そのもの、そしてそれがエスペラントを完全に飲み込んだ
しかし―――

<対極致固有世界者用吸収防御障壁発動>

吸収障壁を発動、此方に向かってきた全ての灼熱の嵐を吸収しながら

『サモン』

その文字が起動した時、一気にエスペラントは空中へと上昇―
そして応龍の攻撃が完全に届かない範囲まで移動完了すると

<最大出力展開により保有内蔵厄災種が五つ消滅しました>
<厄災種残数33、エネルギー利用による再生産により4つを付加します>

やはり逃れるまでに相応の数を使うとは思っていたが
凄まじいまでの殺意や怒りが沸き上がるものの
それを必死で押さえながら、血管が出ている事も気にせず

「アイン・ソフ・オウルの中でも強いらしいなぁ、今までと戦った
連中とは比べ物にならんなだから―――」

再び伏契の眼前に現れた際に現れたのは
魔人――神でも魔でも人でもない者達を全て引き連れた
超人であった。

94 :『』(無銘)の超人エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/07/21(月) 03:33:51.77 ID:DtPE9Bb7.net
「僕の出し惜しみの無い全力で遠慮なく迎え撃とう」

だいそうじょう、ヘルズエンジェル、ホワイト、レッド、ブラックペイルライダー
トランペッター、そしてマザーハーロットの乗る赤き龍の頭部にそれぞれ乗るアリスと
エスペラントが今その場に存在していた。
だがあともう一人、魔人がこの場に居た。

『開店休業中の最中に呼び出されたと思いきや面白いことになっているな』

赤が印象のその人ならざる姿で飛んでいるのは魔人ダンテ、人類を救った
魔界の剣士スパーダの息子、デビルハンターにして悪魔が泣く存在(デビルメイクライ)

「すまんね、此方は一切余裕が無い物でね最初から全力でいくよ」

『しかたねぇ、だが悪くは無いこの波に乗ってやるよ』

口振り的にはそういうものの明らかに楽しんでいるダンテに対して
何時もの事なので気にするまでも無い。

「あの応龍には全力で戦うんだ、さぁいくぞ
ランダマイザ!!」

『此処から先はR指定ライブだ!』

この瞬間、エスペラントが攻撃力・命中率(回避率)・防御力・魔法威力を
強制的に下げる技を掛けた後彼の魔人軍団の総攻撃が始まる。
それを見過ごす訳も無く散らばせる為に応龍は口から巨大な火柱を放ち
同時に散開、其処からメギドラオンや各持ち技である固有技のオンパレードであり
激しい弾幕とおぞましく同時に神々しい一撃の応酬が繰り広げられる。
だがそれを目晦ましとしてエスペラントを載せたマザーハーロットは伏契の元へ一気に近づく。

95 :『』(無銘)の超人エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/07/21(月) 04:07:47.60 ID:DtPE9Bb7.net
「貴様は言ったな、龍の力を見たくば存分に見るが良いと
だがそれは同時に龍としての弱点を持つ事を意味する」

エスペラントは禍々しい和弓では今度は無命剣フツノミタマを召喚すると
ある技の不思議であってどこかで見たようなあるいは見た事が無いような
そんな構えをし始める。

「悪しき龍(ドラゴン)はどの物語でも英雄に必ず殺される」

メギドラが飛んでこようともマザーハーロットを信じて気にせず
避けるか或いは吸収防壁を使って防ぎながらも
それが合図として距離を取っていた魔人達は一斉に
逃げようとあるいは距離を取ろうとする伏契に近づいて近距離で
同じように自身の持つ奥義を放ち始め、まるで足止めや拘束をするが如く
近づけば近づくほどマザーハーロットと乗っているアリスもその攻撃に同じように奥義と死力を尽くして
魔人達の猛攻は激しくなっていき、エスペラントもギリギリまで放出した厄災の種の副作用の力を
《悪なる右手》を介して全て込める。

振り払おうとする応龍の爪や牙を目の当たりにしながらも
絶妙にそして紙一重に避け続け、その一撃を確実に決める位置に着いた時同時にアリスとマザーハーロットが
応龍の一撃に吹き飛ばされ、その余波で自身も顔や身体が切り裂かれて全身から出血しようとも
ながらも迷い無く飛び出して首筋に迷い無く斬り込み振り払おうとする腕ごと一撃で
それはまるでバターを切る様にとても滑らかに断ち切り、首元にフツノミタマの刃が
当たると同様に凄まじい勢いで簡単に切り裂いていき

なぜこうも簡単に切り裂くのかそれはこの技がある者が長い年月と万金を費やして
開眼した竜をも屠るという技だから

「屠竜之技――生み出した者が開眼した時には竜がいなかった故
無用の長物として実用の役に立たないとされた物だ、修得するのには苦労したよ
しかしこれで決して役に立たない技ではなかったし、分かった事がある」

それは当然龍を殺す為に作り出された技、龍という属性を持つ者には致命的に相性が悪く
どんな龍に置いても必ず治癒する事も難しい命に関る傷を与え、それは必ず龍であれば
死に追いやる人が生み出した秘奥絶技。

「それは竜であり続ける限りどんな存在、形の竜殺し(ドラゴンスレイヤー)には決して勝てない
ということだ、これで証明した」

皮肉にもその人が生み出した一撃が起死回生を図ることとなり
首の皮一枚という所まで差し迫っていた。

96 :アサキム:2014/07/21(月) 19:28:40.02 ID:qK5HLAaB.net
))「この複雑な陰陽の気の動きは仙者。
蒙に囚われた走狗どもが、挙って余を討たんとするか。
将来せよ、雨師」

「ご名答…だが貴様にやられる気もないし…」
その毒まみれの雨を受けながら
「ましてや、技を受ける気もない!」
(弾け…我が体!)
全神経を集中させ自身の領域内の雨を弾き続ける。
「リディエイト!」
そしてその集めし雨を今度は収束させて行く…
その間に…
))「五行の理は歪め。水は火を扶けん」
周りが一度に劫火につつまれる
「甘いな…五行転換!」
再び…意識を集中し、地面に震脚する。
するともとあった火たちが一気に水に変わる。
周りの自然状態も問答無用で変えてしまうのもアサキムの持つアインソフオウルだ…
「…消えな、過去の亡霊…」
その集めた毒水と今の戻した水を合わせ一気に放出する!

97 :伏契:2014/07/22(火) 08:38:42.54 ID:iT3FXILl.net
 エスペラントは己に随身する八体の魔人を呼び寄せ、伏契と対峙した。
異界の魔を統御して師団を作り上げる技量は、デビルサマナーとして一流以上と言えよう。
戦端を開く号砲として赤、緑、紫のランダマイザの三つの光球が撃たれ、伏契の六感全てを鈍らせた。
自己と外界を隔絶する境界壁さえ無ければ、原理を違えた異界の術とて有効なのだ。
そして、散開して戦陣を築く魔軍と、猛禽の翼で宙天を舞う応龍は戦う。
魔人たちの炎熱と雷撃の術が黄色の鱗を焼けば、伏契も龍爪と息吹で応戦。
変幻の世界観を黙示録の四騎士に刻み、意志を混乱させ、感情を狂乱させて互いに相打たせる。
治癒魔術の習得と精神を変調させる術が周知となると、残る魔人も攻撃の苛烈さを増して伏契に詠唱の暇を与えない。

 神秘の玄妙と秘奥を尽くす戦は、エスペラントの接近で佳境を迎えた。
魔軍の総帥は霊剣フツノミタマを振るって伏契の腕を斬り飛ばし、強靭な鱗で覆われた首元をも飴のように裂く。
そのまま鱗を割り、筋肉を断ち、頚椎まで寸断するかと思われた刹那。
龍の首を半ばまで裂いた刃が衝撃で止まる。
竜殺しの秘剣を止めたのは、強靭な意志が篭められた陽の気だ。
応龍の体内に流れる気が物理的な圧力として斬撃を止め、刃と気で力の拮抗を作り出す。

「竜は竜殺しに決して勝てない……それは汝の成心に過ぎぬ。
壺中から蓋を見て、天と確信するが如き蒙昧。
山河に生態、言語に伝承、心体、律法、善悪、常識、森羅万象あらゆるものは変幻せり」

 傷痕から体内の気を白い燐光として溢れさせつつも、伏契は己の世界観を揺らがせない。

「悪しき龍はどの物語でも英雄に必ず殺される、か。
水域の王たる龍をドラゴン風情と同視するなど笑止。
悪しき烙印を押されるのは、敗者として破れ去ったがゆえのこと」

 圧倒的な暴力と暴力がぶつかり合う。
しかし、一瞬が永遠にも感じられるような拮抗は、導師アサキム・タグラスの方術で崩れた。
山域を紅蓮に塗り潰す火炎流は、忽ち激流の氾濫に変貌し、渦巻く激水が一筋の矢と化して中空の伏契を射る。

「龍を水で攻めるとは……愚かッ」

 伏契は思念で水気を操って襲い来る攻撃を止めんとするが、波涛の疾駆は止まらない。
導師アサキムは伏契と同格の地位級アイン・ソフ・オウル。
さらにマモンに埋め込まれた厄災の種で、力と感情が増幅した状態。
水域の王たる龍の神通力とて容易く干渉を受けない。激流の矢は龍の胴を穿つ。
気の均衡が揺らいだ瞬間、屠竜之技を繰り出すエスペラントの剣が伏契の首を刎ねた。
残されし龍の首は胴体と共に山頂へ落ち、悄然とした有様で黄濁する水面に浮かぶ。

「こ、此処で命数、尽きるか……。
栄枯盛衰して万物は一新するが定め。
余の怨嗟と無念を今は勝者の慶福として味わうが良い……次の勝者に己が苦悶を献上するまで。
……我が眷属に遺詔を残す……地の底と湖沼の淵に潜みて殄滅の大禍に備え、此れを越えよ……」

 末期の呟きが水面を幽かに揺らす。
伏契が絶命すると龍の首は急速に朽ち、眼球に刺さった漆黒の矢は実のような珠を八つ実らせた。
変幻のアイン・ソフ・オウルの力が物質化した代物を。
色は伏契の霧と同じで、時に透明であり、時に白みを帯びて濁る。
厄災の種と同様に力の触媒として使え、ただ存在するだけでも周囲の存在に変化を促す性質を持つ。
厄災の種≠フような気の利いた呼称を誰かが付けない限りは変幻の欠片≠ニでも呼ぶべきか。

98 :ディミヌエンド:2014/07/22(火) 08:42:29.65 ID:iT3FXILl.net
 八乙女山を見れば全ての樹木は焼き払われ、激流に引き裂かれた山肌は裾野に至るまで土砂崩れを起こしていた。
水に浸された山頂に立つアサキム夫妻の他に人影は無く、鳥や虫の声すら聞こえない。
遥か上に視線を転じれば、中天の陽とエスペラント。
離れた位置には両翼を広げる青き竜人がディミヌエンドを抱え、宙空に静止していた。
先の伏契が為した攻撃から救い出す意図で、掴み上げたものであろう。
精霊楽師の冷ややかな表情を見るに、感謝の念などは微塵も抱いていないようだったが。
アイン・ソフ・オウルゆえの事なのか、両者とも傷らしい傷は無い。

「英雄症候群を発症した餓鬼の御遊戯、実に楽しめました。
だいぶ拗らせているようで、数え切れないリプレイで擦り切れきったレコードの赴きです。
何故、異界人が必要も無いのに他所の庭へ入り込んで、ウロチョロとするのか疑問でしたが、得心も行きました」

 繊麗な声で微笑する黒の楽師。

「無用な挑発は止せ。今は奴等と敵対するような理由も無い。
此処が空振りだったのを見届けた以上は、もはや用も無いはずだ。戻るぞ」

 竜人は抑制の効いた声で言った。

「怖気づきましたか、ジャック。
それに、いつまで私に抱きついていると言うんです。さっさと離しなさい、この駄竜。
貴方の手を借りずとも、風の精霊を従僕とすれば浮揚など造作もありません」

 ディミヌエンドの喉からバレー音楽、レ・シルフィードの旋律が漏れ、それを無数の風精が唱和。
ふわりと浮き上がった黒の楽師は、応龍の骸と眼窩の小樹を一瞥するが、さして関心も無さそうに目を切った。
随行者をヒールで蹴り飛ばすと空の騎行を始め、西の彼方へ消えて行く。

99 :『』(無銘)の超人エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/07/24(木) 02:14:43.55 ID:lCN+yrry.net
>「竜は竜殺しに決して勝てない……それは汝の成心に過ぎぬ。
壺中から蓋を見て、天と確信するが如き蒙昧。
山河に生態、言語に伝承、心体、律法、善悪、常識、森羅万象あらゆるものは変幻せり」
>「悪しき龍はどの物語でも英雄に必ず殺される、か。
水域の王たる龍をドラゴン風情と同視するなど笑止。
悪しき烙印を押されるのは、敗者として破れ去ったがゆえのこと」

「ならばそれが正しいかどうか、貴様を打ち倒して証明すれば良い
それだけの話だ!!」

屠竜之技により確実に竜を殺す一太刀が首元に入った最中
やはりアイン・ソフ・オウル故の己の世界の力故か土壇場だからこそ本来の死力を尽くした結果か
その一撃を食い止める気―防ぐべく働く強固な圧力と竜を確実に殺す一撃が拮抗し
それ以上の展開と追従を一切許さない。

「ギリッ!!!!」

あと一歩という所で遮られたのだ、それは絶対なる力でもしやそのまま押し返されてもおかしくは無い
そして長時間になればなるだけ自分にとってはその一秒一秒が自分の命が磨り減らされている
そんな錯覚に陥りながら全身全霊を掛けてその刃を押し進めようと必死でもがく最中

>「…消えな、過去の亡霊…」
>「龍を水で攻めるとは……愚かッ」

地上からはアサキムの放った水気を操る渦巻く激水と伏契はなにやらその一撃の流れを操作しようとしたらしい
しかし力は同格のようでありその一撃は防ぎ切れず直撃、その瞬間竜殺しの一撃とそれを阻む意志が現れた強固な気との
拮抗は揺らぎ、僅かな優勢な力がエスペラントに巡った時拮抗の崩壊を意味する。
屠竜之技の一閃が終えた瞬間、既に応龍伏契の首と胴は既に分断されていた。
そして分断された瞬間、切断された首元から大量の出血が噴出し間近に居たエスペラントはそれを直に浴びながら
断ち切られた首は真っ先に地面へと落下し、共にエスペラントが踏みしめている胴体もそれに遅れて落ちてゆく。

>「こ、此処で命数、尽きるか……。
栄枯盛衰して万物は一新するが定め。
余の怨嗟と無念を今は勝者の慶福として味わうが良い……次の勝者に己が苦悶を献上するまで。
……我が眷属に遺詔を残す……地の底と湖沼の淵に潜みて殄滅の大禍に備え、此れを越えよ……」

「何にでも繁栄と衰退が付き物ということか…そしてこの世界も
ならば抗おう僕の出来る限界までね――自ら断ち切った命だ、忘れもしないしその恨みと無念も同時に背負って僕は前へと進んで生きていく。
死にたくても死ねない命だけど、死ぬ時は潔く逝こうもしもあの世で会えるのならまた会おう」

伏契のいう事は世界でもそして人間でも在り得る栄える事も衰えることも誰にでもあること
自分は既に時間が止まっている存在であり、衰えもしなければ栄えることも無い
そんな自分でもいつかはこの応龍がいう通りになるのかもしれない。
更に自分達も何れは敗れ同じことになることと同族に対する最後の命令を残してその命を灯火が消え失せる。

「殄滅の大禍か、これも阻止しなくてはならないな必ず――」

重い胴体部分ゆえ、首よりも早く落ちていき
止めなくてはならないだろうこの現象について決意をしようと最中
盛大に落下し激突した。

100 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/07/24(木) 02:58:58.59 ID:lCN+yrry.net
激突と同時に起きた巨大な落下音ととても大きな水飛沫が巻き起こる
山頂と水面に落ちてきたのは巨大な龍の亡骸の胴体から一つの人影が起き上がる。
全身伏契の流血塗れであり、全身真っ赤に染まり上がった一人の男。

「これがジークフリートが倒したファフニールならば僕は完全な不死身になっていただろうね」

それは間違いなく生きていたエスペラントその人である。
しかし今の心情はとても言葉の通りに穏やかじゃなかった
異様に血が騒ぎ、暴れまわりたくてしょうがない
いや正確には他者をもっと傷つけ殺し、そして戦いたいのだ
そんな衝動に駆られて仕方が無い。

「くっそ―副作用が本格的に出てきたのか」

今までの力の行使の代償が今この場に纏めて出てきたのだろう
もう抑えては居られない

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

そして手に持っていた無命剣フツノミタマを振り下ろしひたすら
応龍の躯に突き刺し、それでも足らず振り下ろし其処から連続で切り刻む
其処から先はただただ目の前の死肉を損壊することしか考えられなかった。

「クソクソクソクソクソクソクソ!!!」

そして再度振り下ろした際に右手から何かが突き刺さると頭の中が一瞬真っ白に
全身から力が抜けて膝を付いて倒れる。
それにより《悪なる右手》が通告する。

<感情値が異常測定値を大幅に超えた事を感知、それにより抑制剤を使用しました>

エスペラントはそれにより少し頭がぼうっとするも冷静な思考を取り戻していき

「――フゥ、助かったよこれで冷静に考えられる」

真っ先にその対応に対して素直に感謝を述べた後
たまたま倒れた方向を見ると其処には切断した伏契の首が視界に入る。
そしてその先には目に突き刺した黒い矢からは八つの実が現れていた

「なぜだ…なぜあんな物が生えているんだ?」

<推測ですが、厄災の種が伏契の力を吸収しそれを物質化したと思われます>

「回収しないと不味いな―抑制剤のおかげか思うように立てないや」

<ならばお任せ下さい、私が引き寄せて回収しますので出来るだけ近くに向けて下さい>

《悪なる右手》にそう言われたのでなんとか身体の向きを直して装備している右腕を向けると
《悪なる右手》自体が光り出し、同時に黒き矢に宿りし八つの変幻の欠片も光り始め
一つ一つが突然浮かび、エスペラントの方向に向かい八つ揃うと目前で宙に浮いたまま止まる。

101 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/07/24(木) 03:32:24.15 ID:lCN+yrry.net
<変幻のアイン・ソフ・オウル、伏契>
<力の発現をした具現化物質>
<名称、変幻の欠片回収・登録します>

《悪なる右手》はそう告げた後、八つの変幻の欠片を吸収・格納を行い完了する。

<変幻の欠片を回収・登録完了しました>
<以上を持って伏契の記録を終了、解析収集作業を行う為転送します>

右手に装着した《悪なる右手》はデータ収集と学習の為と
アイン・ソフ・オウルとの戦闘を終了したため、本来の収納している異空間の保管ベースに転送され
篭手はエスペラントの腕から一瞬で消えていった。

「ふう、お疲れ様。また頼むよ」

胴体に自分の身体を寄りかかったあと、安全の為に再度収納している異空間に戻った
《悪なる右手》に対して礼を述べた。

「さて今回の戦いはビギナーズラックという奴で勝てたのか
それともアサキムが居たからこそ戦えたのか…」

そして改めて頭を切り替えまずは肝心である一番最初のアインソフオウルとの戦い。
これは果たして自分の力だけで勝てたのか、と言われればそれには疑問符を付ける
現状は一対一とは程遠く、現にアサキムというアインソフオウルの加勢があったと言える状況。
あのまま拮抗状態が続いていたらどうなっていたのか。

「長期戦は続けていられたのだろうか、この様なら無理だろうな」

ならば今回もまた勝てたのはまぐれだったのか?
だとしたらそれは今自分が《悪なる右手》を用いた戦いは無駄ではないだろうか?
この兵器を用いて自分の力で倒せなければ存在その物が意味が無いフォルテやゲッツ達が居た時と同じ状況と決して変らない。
しかし逆にアサキムというアインソフオウルが居たからこそ運が付いていた所詮運も実力の内という事と見られるのか。

「分からない――自分以外に客観的に第三者的視点で見てもらえばどうなるのか…」

結局アイン・ソフ・オウルが居なければそれ以外の存在には対抗できないのか
ならばたった一人でも倒せるようになるにはもっと力が必要なのか?
何れにしろアイン・ソフ・オウルが居なくてもアイン・ソフ・オウルを倒せる術を手に入れなくてはならない
これは自分だけの問題ではない、アイン・ソフ・オウルに苦しめられる者達に同じ土台に立たせるために
必要で重大な物であるのだから。

「必ずあるはずだアイン・ソフ・オウルにならずともアイン・ソフ・オウルに対抗できる術が…
そして見つけ出してみせる」

それが禁忌と言われようとも、その手段は何れ必ず必要となる時までの礎となる覚悟は出来ているのだから。

102 :フォルテ:2014/07/26(土) 02:48:01.29 ID:8Kxqrgr6.net
「枢要罪が一致団結できる目的? 相変わらずの幸せな頭だこと。
そんな物あるわけないでしょう」

ヴェルザンディ――《傲慢》は意外にもオレの問いをあっさり一蹴した。

「じゃあどうして……!?」

「答えは一つしかないじゃない。少なくとも現時点では利害関係が一致している。ただそれだけよ。
勘違いしないでね。私は《強欲》の傘下に入るという形で彼を利用しているだけ。
《強欲》の力がどうしても必要なの、私の目的を達成するためにはね」

「ならやめといた方がいいと思うぞ?
同じ枢要罪でもアイツの方が年季が桁違いに上――
そう簡単に手玉に取れるような相手じゃない、利用されるだけされてポイ捨てされるのがオチだ。
アイツ、全ての枢要罪の力を手中に収めようとしてるんだろ?」

「御忠告ありがとう。それに幸せな頭のくせに勘は鋭いのね、なかなかいい線行ってるわよ。
でもただ手中に収めるだけじゃない、枢要罪を倒させることで枢要罪の力を己の手に集めようとしているの。
その先に何を目指しているのかは……私にも分からないけどね。
現にインペリアであなた達が倒した怠惰――あの力を彼は取り込んでいる」

それを聞いた感想はなんてこった半分、ああやっぱりが半分。
あの態度からそんなところだろうとは思っていたけど……一人で二つ以上の枢要罪の力を持つなんてアリかよ!?
それに枢要罪が死んだらその力を取り込めるのなら、何で自分で倒さずにわざわざオレ達に倒させるんだろう。
あんな手の込んだ事をせずにさっさと自分で倒した方が楽で早いと思うんだけど。
疑問は後を尽きないが、《傲慢》も《強欲》の目的の全てを知っているわけではないようだし、これ以上追及しても無駄だろう。
次は彼女自身の目的についてだ。

103 :フォルテ:2014/07/26(土) 02:48:46.10 ID:8Kxqrgr6.net
「あっさり言ってるけどさ……それ、お前自身も《強欲》の胸先三寸でいつ倒されるように据え膳されるか分かんないって事じゃん。
そんな危険を犯してまで果たしたい目的って何だ?」

《傲慢》は自嘲とも不敵な笑みとも取れる表情で微笑んだ。
複雑な、いかにも人間らしい表情。

「ふふ、そうね。その通り。大丈夫、うまくやる自信はあるわ。何故なら私は《傲慢》だもの。
私の目的は……人であった時からの信念が嘘ではないことを確かめたい――と言っておこうかしら。
人では無い身に成り果てているのにおかしいかもしれないけど、ね」

「ヴェルザンディ……」

「ゲッツ、私の人だった部分はあの時決着が付けられなかった事を残念に思っているの。
あのまま貴方に殺されて人間として死んでいた方がよかったのかもしれない。
でも……私はもう人間ではない。貴方たちにこれを話した意味は人間だった自分との決別よ。
次に会った時は……容赦はしないから覚悟しておく事ね」

その台詞を言い終わらないうちに、ヴェルザンディの姿が霧の中に消えていく。
そして、さっきまでが嘘のように霧が晴れる。
もちろん枢要罪の姿はおろか気配も跡形もなく消えており、代わりに今まで蚊帳の外だった船頭さんが再登場。

「いやー、すごい霧でしたねー」とか言いながら何事も無かったかのように目的地に向けて再出発。
枢要罪が登場していたことを全く認識していないらしい。
そんなこんなでその後は特筆すべき事も起こらず、無事にリューキューに到着したのであります。

104 :フォルテ:2014/08/01(金) 00:20:28.27 ID:t4sy+T8y.net
「めんそーれ! ようこそいらっしゃいましたツガルの皆様!
あれ、何か人数少なくね? まあいいさあ、なんくるないさー!」

カラフルなブラウス(かりゆしウェアと言うらしい)を着た人が出迎える。
ツガルからの観光客だと思われているらしいのでそういう事にしておく。
道端でコントのような寸劇が行われている。

「アイエエエエエ! ニンジャ? ニンジャナンデ!?」

「ニンジャは実在しない。いいね?」

「アバーッ!!」

「ああ、あれですか? 現在のリューキューの情勢を揶揄したちょっとしたブラックユーモアですよ。
現在のリューキューは様々なカラテとジツを操り、人智を超えた驚異的な戦闘能力を持つニンジャが跋扈するマッポーの世と化しているのである!
観光の際はくれぐれもカラダニキヲツケテネ!」

「勝手に死亡フラグ立てんなよ!?」

彼の言うニンジャというのはアイン・ソフ・オウルの事なのか。

「そろそろ超人組が到着する頃合いです。
情報収集も兼ねて冒険者の店で待ちましょう」

とリーフ。

「オタッシャデー!」

相変わらず死亡フラグを投げかけてくるニンジャ被れの人は放っておいて、冒険者の店らしき観光案内所に入る。
店内には、店内太った裸の男(スモウレスラー)、チョンマゲ帯刀の男性(サムライ)
ド派手な着物を着て髪を結いあげた女性(ゲイシャ)、無駄にセクシーな衣装の暗殺者っぽい女性(クノイチ)等等の濃い面々。

「めんそーれ! ようこそ神秘の国リューキューへ!
見ての通りマッポーだけどすぐに慣れるからなんくるないさあ!」

陽気な店主に促され、カウンター席に座り、早速情報収集を始める。

「うん、もう少々のマッポーでは驚かないから大丈夫。
最近流行のニンジャパワーが開花しそうなパワースポット巡りなんてしたいなーって思って……どっかいいところ知らない?」

105 :ゲッツ ◆Sin.5EUo9A :2014/08/03(日) 23:32:37.79 ID:HAUWBm4c.net
>「ゲッツ、私の人だった部分はあの時決着が付けられなかった事を残念に思っているの。
>あのまま貴方に殺されて人間として死んでいた方がよかったのかもしれない。
>でも……私はもう人間ではない。貴方たちにこれを話した意味は人間だった自分との決別よ。
>次に会った時は……容赦はしないから覚悟しておく事ね」

「約束したんでな。ブチ殺さずにブチ倒してブチ潰すさ。
……おうそうかい。人辞めるってもヤルことぁ変わんねぇ。
顔ぶん殴って引きずってバニブルの連中に頭下げさせてやらァよ――それが約束なんでなァ」

「――っふ。馬鹿ね、と言っておくわ。
ああそうだ。フォルテ。あの馬鹿教皇もこの先にいる。あれはもう、覚悟を決めていたから。
だから次顔を合わせた時は覚悟しておきなさい。殺すから。決して蘇ららないように、徹底的にね。
私にはそれが出来る自信があるわ。そして、絶対に成して見せる。なぜなら私は――傲慢≠ネんだから」

傲慢のアイン・ソフ・オウルであるヴェルザンディ。
これまでに接してきた色欲や怠惰――そして強欲と違って人間らしさを多分に残しているのはなぜか。
それは、彼女が人から成ってまだごく僅かであるということ。そして、素質はあっても、元来の世界ではないということ。
そして、虚飾と傲慢は、他の枢要罪に比べて――はるかに弱い罪の世界だ。

枢要罪が七つの大罪に組み替えられた歳に、虚飾は傲慢に取り込まれ、怠惰と憂鬱は一つになった。
そして、8つの罪は6つとなり。枢要罪が持つことのなかった新たなる罪、嫉妬が組み入れられることで7つの大罪が生まれる。
七つの大罪よりもなお古く、なお原初に近いそれ。人の現在たる枢要罪でも、怠惰、嫉妬、虚飾、傲慢は僅かに階位が落ちるのだ。
即ち、真の脅威となるのは――強欲、暴食、色欲、憤怒の4柱と言えよう。

ヴェルザンディは学者だ。そして、ミヒャエルは賢者だ。彼らが己が弱いことを理解していないはずはない。
理解した上で、ヴェルザンディは傲慢にも他の枢要罪を利用すると決め。
ミヒャエルもまた、己の姿を虚飾で覆い隠すことで他の枢要罪と対等に立とうとしているのだろう。
また、この霧の気配が消えると同時にアイン・ソフ・オウルの気配もまた薄まっていった。
全てを覆い隠すような、圧倒的なまでの濃霧。理解できただろう――虚飾の力の一端である、と。

「……殴り合い、出来るかねェ。ヴェルザンディは行けそうだが――。
ま、なんだ。あのスカした教皇野郎はお前さんに任せた。ああいう手合はお前に任せたほーがいいだろ」

ゲッツの勘。
強いのは恐らくヴェルザンディ。だが、厄介なのは間違いなくミヒャエルだと。
そう、歴戦の勘。そして、先ほどの霧から嗅ぎとった臭い≠ゥら予測してみせるのであった。
そして、船に座り込むと、瞑目。ビリビリとした空気を、全身から発し始めた。

そうして、なんのかんので、リューキューに辿り着いたゲッツとフォルテ。
歓迎する人々を見つつ、ゲッツははァと溜息をついて。
忍者、か、と思考を巡らせた。

「――忍者はあぶりやきにしてポン酢で食うと上手いらしいな!
なんだったか、あの中に入ってるニンジャソウルだっけか? 爆発四散する食感がたまらないとかだったか!
おらニンジャいねーか! 来いよニンジャどこまでもクレバーに抱きしめてやるよォ!!」

ぐぎゅるると鳴るゲッツの腹。そして、どこかで聞いた身も蓋もないどうでもよい話。
この竜人、ニンジャを見つけ次第物理的にニンジャソウルひっぺがして炙り焼きにしてポン酢でちゅるっと行きそうである。
嫌、恐らくニンジャに会えば迷わずする。この竜人は、そういうタイプのド馬鹿だからだ。

「おーッス。んじゃまーなんだ。
とりあえずポーク卵定食とヒージャー汁(山羊汁)とゴーヤチャンプルとリューキューソバとなんだステーキも有るのかステーキ2キロな!!
あと、酒は――んじゃ、そこのアワモリって奴とりあえず瓶な! あと適当に頼むわ!
ついでに、そこのねーちゃん良いオッパイじゃねーか! グッジョブ!」

どっか、と冒険者の店に入り込むなりカウンターに座り込む。
そして、メニューを見つつ気になったものを片っ端から頼んでいくのが、この男のスタイルだった。

106 :ゲッツ ◆Sin.5EUo9A :2014/08/03(日) 23:33:33.89 ID:HAUWBm4c.net
ゲッツとフォルテが飯を食べながら、パワースポットの話を聞こうとした。
その直後、店のステージから、おどろおどろしい演奏と共に、ツガル訛りのある鬼気迫る歌声が聞こえてくる。

「最果ての土地に 粉雪が舞えば
 因習の村は 祝祭の季節
 伝説の時を 幾年(いくとせ)も越えて
 戒めのために 客人(まれびと)は来たる
 
 山より重い 人の罪
 海より深い 人の業

 なまげものは いねが
 泣いでるわらしは いねが」

まるで昭和の文豪かなにかのようなギターボーカル。
如何にも怪しい、邪悪な僧侶のようなベースボーカル。
そして、リーゼントにアロハシャツ、グラサンのドラム。
あまりにも濃い彼らは、皆そこそこ良い都市をしており、そして陰鬱な雰囲気は――常冬の国ツガルの風土を感じさせるもの。

「厳しさ それが愛じゃ
 激しさ それが慈悲じゃ
 手心 それが毒じゃ

 なまげものは いねが
 泣いでるわらしは いねが」

歌を終え、人々からはしかし拍手はない。この陰鬱さ、ヘヴィさはここの風土には会わないのだろう。
ではなぜ、ここにツガルのロックミュージシャンが居るのか。
演奏を終えた彼らは、二人の元へとやってきた。

「霧が出てからの事です。……山の方が雪に覆われたんですね。
間違いなくこれは、災の証。そう、なんでも――そこには、なまはげが出るだとか。
他にも南方の妖怪と北方の妖怪が入り混じり、地獄絵図を生み出しているようです」

「おらはんどは神ば鎮まなぐらたまなぐサ来たんだが。
どすべものぐてずっどライブしてたんだし!なも出来ねし。わ、ガンでねべか」

「まーまー、そういうわけで。
もしヤバイスポット探してるなら、そこ行くといいんじゃないですかね。
んじゃ、俺達はそろそろ事務所に帰って来いって言われてるんで、帰るんでー」

訛りの残る2人と、恐らく別地方だろう標準語の一人。
彼らから語られる言葉からは、この土地もまたアイン・ソフ・オウルによって変質させられていることがわかるだろう。

107 :ゲッツ ◆Sin.5EUo9A :2014/08/03(日) 23:34:04.65 ID:HAUWBm4c.net
去っていく三人。そして、妙な薄ら寒さが空間に満ち――街は、霧に包まれ始めた。
この重い気配は。――先の船の時に、近いものであるとわかったかもしれない。

「――ッ、雨戸を閉めろォ――!!」

店主が叫ぶ。それに対して、即座にサムライ、スモウレスラー、ゲイシャ、クノイチが戸を閉め始める。
静寂。そして、ゲッツは眉間にしわを寄せる。先ほど出て行った三人はどうなるのか。
――聞こえる絶叫。肉を裂く音。そして――水音と、足音は、次第に店の方へと近づいていき。

響いたのは、轟音。見えたのは、銀刃。
戸を抑えていたゲイシャの脳漿が溢れだした。即死だった。
雨戸を突き抜けて、つきだしていたのは――鉈。引き抜かれる刃。そしてその隙間から。

隙間からは――鬼が竜人と妖精を見据えていた。

「なまげものは――いねが――!
泣いでるわたしは――いねが――!
悪党は――いねが――! 悪党は――殺ず!!」

轟音を響かせながら、めちゃくちゃに鉈を雨戸にたたきつけ続ける、鬼。
次第に分厚い雨戸は崩れ、吹き飛んでいった。悲鳴を上げて逃げ出す客達。
鴨居を粉砕しながら入り込む鬼は、ゲッツを越す巨躯だ。
こちらを見下ろし。鉈を振り上げる鬼――それに対して、ゲッツは。

「怠け者で悪党っちゃそーだけど。悪ィが泣き虫はここのこいつくらいだァ。
――ってなわけでよォ。俺とこいつがてめーの相手だ。
なァフォルテ。超人連中来るまでの、良いアップになるってもんだ――なァ? そう思うだろォ!!
っしゃッラァ!!」

生身の左腕に災いの力を纏わせて。振り下ろされる鉈に拳を打合せた。
轟音を立てて拮抗する拳と鉈。そう――拮抗≠オた。
それどころか、ゲッツの拳に僅かに傷を残す。反動で互いに吹き飛び、鬼は店の外まで追い出されて。

「はァ――なるほど。なァオイ。フォルテ。
――これ、雪山にアイン・ソフ・オウル居るわ。枢要罪かは――分からねェけど……なァ!!
ま、死んどけやぁああああああああああァッ!!」

背から翼状に赤黒い光を吹き出し飛翔。鬼の顔面に蹴りを叩き込み頭蓋を粉砕。
客達が声援を送り、勝利に歓喜の声を上げた直後。

「か――は……ッ!?」

ゲッツの背に、深々と鉈が突き刺さっていた。
吹き上がる鮮血。それは、ゲッツの世界によって抑えこまれ、世界の修正で回復されていく。
振り返るゲッツ。そこには――霧から突如現れた、先ほどと変わらない鬼の姿が。
そして、ゲッツが屠った鬼の姿は、影も形も見当たらなくなっていた。

「悪党は――罪人は――殺ず!!」

咆哮を上げる鬼。にたりと狂笑を浮かべるゲッツ。
拳をごきりとならし、首を回してまた音を鳴らす。

「いいねェ――。殴り放題ってわけだ……!
フォルテェ! 考えるのはてめェに任せた! あと霧臭いから何とかしてくれやァ!!」

迷わず鬼との真っ向からの殴り合いを始めるゲッツ。
ゲッツが殴りあっている限りは、鬼の被害が外に来ることはないはずだ。
だが、ゲッツにも疲労は有る。ゲッツにダメージが通ることからも、時間稼ぎはそうそう長くは出来ないだろう。

108 :フォルテ:2014/08/08(金) 22:20:35.94 ID:dVAGgHQ4.net
強烈な個性を放つツガルのロックバンドの人達がヤバそうなスポットを教えてくれた。
一人を除いてツガル独特の訛りがあり、二番目の人に至っては「共通語でおk」状態だったが
最初の人と最後の人を繋げると要旨は分かったのでよしとする。
三人が出て行った直後、辺りが霧に包まれ始める。

>「――ッ、雨戸を閉めろォ――!!」

「え、何? 最近しょっちゅうこうなるの!?」

閃く刃! 飛び散る脳漿! 弾ける青春!(違
雨戸の隙間からそそがれるトキメキ熱視線!

「アバーッ! こっち見んな!」

>「なまげものは――いねが――!
泣いでるわたしは――いねが――!
悪党は――いねが――! 悪党は――殺ず!!」

雨戸をぶっ壊す勢いで鉈を雨戸にガンガン叩きつける鬼。
んもう、そこまでして入って来たいだなんて鬼さんったら ヤ・ン・デ・レv
ついに雨戸がぶっ壊れ、ふざけて現実逃避している場合では無くなった。
顔から色んな液体を垂れ流しながら善良な小市民アピールを敢行する。

「め、めめめ滅相もございません! 働き者の善良な小市民です!」

>「怠け者で悪党っちゃそーだけど。悪ィが泣き虫はここのこいつくらいだァ。
――ってなわけでよォ。俺とこいつがてめーの相手だ。
なァフォルテ。超人連中来るまでの、良いアップになるってもんだ――なァ? そう思うだろォ!!
っしゃッラァ!!」

「受けて立っちゃった――!」

まあこうなるよね! どうでもいいけど悪党と泣き虫って選考基準が微妙に謎なんだけど!

>「いいねェ――。殴り放題ってわけだ……!
フォルテェ! 考えるのはてめェに任せた! あと霧臭いから何とかしてくれやァ!!」

「何とかしてくれって言われても!」

霧が出てきた途端に鬼が沸いてきたわけだし、霧を何とかしてくれというのは本人は謀らずも多分正解だろう。
この霧はやはり《虚飾》の力が関係しているのか?

109 :フォルテ:2014/08/08(金) 22:21:41.03 ID:dVAGgHQ4.net
――ま、なんだ。あのスカした教皇野郎はお前さんに任せた。ああいう手合はお前に任せたほーがいいだろ

……やっぱそうなるよね。
虚構の現出といいフィールドメイクといい能力の方向性が微妙に被ってるんだよな……。
そういう場合、ライバル関係になるのが世の常であるが、オレとアイツでは決定的に違うところがある。
ミヒャエル教皇様は世界のために自らを犠牲にしてわざと発狂した振りをして
ただの傍迷惑な困ったちゃんとして自らを演出した、実に深遠な御思想の持ち主であらせられますが
オレはどうせ虚構を演出するならいかに格好つけていい奴に見せるかに全力を注ぐ。間違いない!
という訳で霧を払う曲は、一見場にそぐわない程ポップな、本土の某アイドルグループのデビュー曲。
鎖国してる国で歌っていいものか分からないけどまあいいや!

「はじけりゃYea!素直にGood!だからちょいと重いのはBoo!
That’s all right!それでも時代を極めるそうさボクらはSuper Boy!
We are “COOL” やなことあってもどっかでカッコつける
やるだけやるけどいいでしょ? 夢だけ持ったっていいでしょ?」

軽い曲調の中に秘められた激情、題名は”A・RA・SHI”。
歌に呼応して風が渦を巻き始める。

「You are my SOUL! SOUL! いつもすぐそばにある
ゆずれないよ誰もじゃまできない 体中に風を集めて巻き起こせ
A・RA・SHI A・RA・SHI for dream」

ゲッツの拳が風を纏う。
それが鬼に叩きこまれると同時に、突風が吹き抜けた。
霧が吹き散らされていく――

110 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/08/10(日) 18:55:25.18 ID:ecYiKzKW.net
八乙女山でのその後――

変幻のアインソフオウル応龍伏契との死闘後
間も無く偵察役と第二編成隊と帝都本部へと報告・連絡係の同行していた
サマナー達がそのまま第二編成隊へと征伐完了の伝言が届いた際には
既に八乙女山の麓で待機していたらしく、そのまま後処理を兼ねた回収部隊や
ヤタガラス関連機関が共に入山し、その後の調査を行い始めた。
それに伴い応龍伏契の躯は一片残らず回収され、手厚く葬るべきか
今後のアインソフオウル研究の為の貴重なサンプルとして扱われるか
相手は未知数の強大な存在ゆえに祟りやら災いを恐れた上層部の一部から出てきた話し合いで
頭部は貴重な部分や一部を採取したものの、後に八乙女山にて慰霊碑と祀る祠が作られて丁重に葬られ
身体は全て今後のアインソフオウル研究の為に厳重保管され、研究施設やらの場所で更に秘匿段階の高い調査と研究が行われている。
八乙女山も伏契によって燃やし尽くされた事や激闘により最早生き物が絶えた状態であるのと
今後の影響と眷属の動向の観察と把握、更に細かい調査をする為に完全封鎖、関係者以外立ち入り禁止の
第一級危険力場発生地域として暫し間認定されるそうだ。

【東亜商会・最重要研究開発区画最下層アインソフオウル対策室】

其処には既に世界守護者委員会の技術スタッフも加え以前とは比べて
研究員や技術スタッフが増えた最下層のフロアと研究室にて
再びエスペラントはやってくるとサンジェルマンと世界守護者委員会の技術者や研究者
そして自分個人の伝手と言うべきか世界の意志の顕現と言うべき武器製作の鍛治神と言った
大凡武器作りややら兵器作りに関する知る人ぞ知る名立たる玄人や名人クラスの者が其処に居た。

「無命剣フツノミタマ―君の愛剣に対しての依頼に関して完了したよ」

サンジェルマンは手に持っていたフツノミタマをゆっくりとエスペラントに対して
丁寧に手渡しするとそのまま説明を続ける。

「注文通り変幻のアイン・ソフ・オウルである応龍伏契の一番硬い鱗と逆鱗
非常に高い力を持つ霊核の良い部分の一部等を使って改めて強化と付与の鍛造を行ったよ
私たちでも妥協と一切文句なしの逸品に仕上げられたと自負しているつもりだ」

手に持ったエスペラントは外見上は殆ど変わらないが以前とは比べ物にならない
力のような物を纏っているように感じるのは気のせいではないだろう。

「とても良い出来だ、皆協力感謝する。
これでアインソフオウルを通常の状態でも切ることは出来るか?」

この場に居る全員に対して協力に対して心からの感謝を述べて頭を下げた後
各々様々な態度を見せる中でサンジェルマンに対して率直に自分のした依頼の目的そのままをぶつけてみる。

「元々が神創(装)兵器という比べ物にならない一級品を元にしているゆえ
品質を下げる並大抵のランク素材では釣り合わないからね、この応龍伏契の持っている部位全てが
凄まじい力を持った呪物であり物質の素材でもあるから恐らくは同一の存在に対して干渉できる効力も発揮するはずだ」

だがそれも実際に試してみないと分からないが、とサンジェルマンは付け加える。
その言葉がいい加減だとはエスペラント自体思わず、相手はアインソフオウル
既にこの世界では無敵に等しい存在である、其処に慢心や油断絶対の過信は命取りに繋がる
加えて今まで出会った事のない対処法が未確定の者達なのだから、慎重すぎるくらいが良いのである。

「それならば良い、また迷惑を掛けるだろうが
その時はよろしく頼む」

「迷惑などとは思わないさ、何時でも力になろう君も無茶をしすぎるなよ。
それと強化したフツノミタマに対してもう一つ…」

その後サンジェルマンから更に強化した無命剣フツノミタマに付与・追加された機能について説明された後
アインソフオウル対策室から一旦離れて、フォルテやゲッツ達の居るリューキューに向かう事となる。

111 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/08/10(日) 20:30:07.62 ID:ecYiKzKW.net
蒸気機関車では到底間に合わない為、帝都軍の保有する海軍軍艦を使い
直接リューキューへと向かうこととなる。
それは鎖国しているリューキューが何らかの攻撃を受けるのではという危惧あるかもしれないが
トキオとリューキューはある程度の交流は存在している、言わば長崎のような出島のような一定区画でのやり取りがあるので
軍艦もとい軍からの払い下げ品やら商品にならない規格落ちしたような物を取引に来たり
あるいは本土との何かしらの連絡を取ることのある通信使だのの交流をするため等の理由があり
帝都トキオの海軍の軍艦や補給船がリューキューに駐留されることが限定的に許されている。
もっともとは言え開国派志士に対して勢い付かせたり、余計な事をされて庶民たちが暴動を起こされないように
凄く厳しい検査と監視、そして移動制限を現地で行われるのは言われるまでもない。

「申し訳ありませんね、空軍の戦闘機で向かった方が早かったかも知れませんが
リューキューの連中は今現在全てが統一されている訳じゃないので一定の場所によっては
領空侵犯扱いで撃墜される事もあります、それくらいが出来る連中が居る所もありまして
此方としては大事なお客として扱っている以上安全も考慮しなくてはならないので…」

「わかっています、少し遅れるかも知れないとはツレには連絡しておきました
その事に関しても重々承知していますのでお気遣いありがとうございます」

自分に対する世話係に値する軍艦の乗員がそうですか、言っていただけるとありがたいですと
言った後では仕事があるので何かあればお呼び下さいと足早に職務へと戻っていった。
フォルテ達の居る所は幕府の管轄権が微妙な感じらしく空軍の戦闘機で直に行っても問題ないのか定かでは無いらしい
ならば軍艦で行った方が早いのかもしれないなとエスペラントも納得していた。
それにしても――

「傷の治りが極端に遅いな、昨日とまったく変わらない…」

伏契との戦いで全身切り刻まれた傷が一向に直る気配が無い
ディアラハンを使っても全快はしている為傷は塞がってはいるが
全身の傷跡が消えず、殆ど身体中の傷は昨日のままと変わらない。

「これは治るのにどれくらい掛かるか、奴の残した呪いかあるいは奴の本来の力故か…
何れにしろ治癒には時間が掛かりそうだな…」

さすがはアイン・ソフ・オウルであり、そんな恐るべき力を持った存在だと
軍艦の甲板から周囲を見渡しながら再認識する。

「だがいざ戦いの際には問題は無いのならそれでいいさ」

さて目的地のリューキューというのはどういう出来事が待っているのか
そしてアインソフオウル共は何を企んでそんな所に居るのか
何が待ち受けていても、乗り越えるしかないのならそうするのみであると考えて
新造に近い軍艦で向かうリューキューまでの短い道程を楽しんだ。

112 :アサキム:2014/08/11(月) 17:13:22.62 ID:R1MaL/22.net
「ったく!面白くねぇ…」
…今回の件応龍の死骸などは全て八咫烏とかいうのに全部とられるという始末…
「これじゃ…元いた場所に行けないわね…叔父様たちにも怒られちゃう」
「まぁいいさ…いずれにしよ…エスペランドの事はさらに警戒しなきゃならなくなった…」
世界守護委員会。
あの組織とは合間見えたり決別したりしている所だ
最近では倒してしまえという軍団も集まって来ている
「あの武装の事はどうするつもり?」
神に逆らった結果のあの武器、危険にもほどがある…下手して暴走されたら困る
「調べたんだろ?なら良いさ…仙界にはあるがままを報告しておけ…」
「あるがままね…了解よ」
「利用するだけ利用してみる…とりあえずはな」
うーん…と伸びをし
「さて…どうする?ガキどもだけにやらせる?それとも?」
「当たり前だ…いくぞ俺らも…」
…転送護符を展開し急ぎリューキューへ向かう…
転送されたところは
まさかの闇のなか…しかも鬼がいる
「なるほど…出て来て早々の相手か…面白い」
黒い拳銃ジャッカルを構え
「来な…程よい相手がいなくて困ってたんだ」
すぐさまに銃を乱射する

113 :ゲッツ ◆Sin.5EUo9A :2014/08/24(日) 22:17:37.38 ID:OSew5hp4.net
>「め、めめめ滅相もございません! 働き者の善良な小市民です!」

「――世界を侵す者が、悪でないか――!? 悪党は――殺ず!!」

鬼と妖精の問答。この鬼は、世界を侵す者とフォルテを呼んだ。
そして、睨めつける視線はゲッツにも向けられている。彼らは、アイン・ソフ・オウルの存在を知っていた。

>「受けて立っちゃった――!」

「おうともよ……ッ! 知るかよ、知ったもんじゃねーよ……!
悪が何だ、悪党が何だ、世界を侵すのが何だ――俺は、ゲッツ=ディザスター=<xーレンドルフだっての……!!
きっちりかっちり、名前で呼んで名前覚えて死んでけ鬼野郎がァ!! 騙されてんだよてめェ!!」

「アイン・ソフ・オウルは――悪ッ!! 悪党は――殺ず……!
あの男も、そう教えてくれただ……!! だから悪党は――殺ずッ!!」

ただ、鬼はアイン・ソフ・オウルではない。世界を侵食するだけの圧倒的な存在感は無い、単なるアヤカシでしかない。
では、なぜ鬼の攻撃がゲッツに通るのか。存在としての格の異なるアイン・ソフ・オウルには、通常の攻撃は届かないはずだ。
ではなぜか。ゲッツの腕が、振り下ろされた鉈が、ゲッツの胴を真っ二つに引き裂いた。
吹き飛ばされて上半身と下半身で分かれる肉体。――鉈には霧が絡みついていた=Bその鬼の全身にも、だ。
上半身と下半身を生き別れさせた竜人の上半身に乗る顔が、にたりと笑みを浮かべた。

「捕まえた――ッ。霧は無理だが、てめェの世界くらいならよォ――――!!」

上半身だけの竜人が、鬼の鉈を鷲掴みにする。掴み、握りしめた鉈の刀身が錆び、腐っていく。
ゲッツを振り払おうとする鬼。その鬼の右腕の関節が運悪く♀Oれ、絶叫とともに鬼が崩れ落ちる。
崩れた足元には、尖った木やガラスの破片がある。その木やガラスの破片が、運悪く下肢に突き刺さった。
霧に干渉するのではなく、鬼の存在を構成する小世界を一時的にゲッツの力で塗りつぶした結果だった。

「がァ……ッ。災厄……おまえだけは、間違いなく悪だば……!!」

>「You are my SOUL! SOUL! いつもすぐそばにある
>ゆずれないよ誰もじゃまできない 体中に風を集めて巻き起こせ
>A・RA・SHI A・RA・SHI for dream」

「――――ああそうだよ!!」

霧の支援でゲッツが塗りつぶした世界を、更に霧の世界で上書きしようとする。
しかしながら、そこにフォルテの支援。振りぬくゲッツの拳。
風とともに、霧と鬼の胴体が消し飛んだ。上半身だけの竜人と、胴体に大穴を開けた鬼。
そして、一陣の風が抜けた後には、呆然とする鬼が、ただそこにあった。

114 :ゲッツ ◆Sin.5EUo9A :2014/08/24(日) 22:18:11.29 ID:OSew5hp4.net
「おまえ。……なんで、奴らの敵する。おまえ、アッチ≠セろ。
おれ、アレに騙された。綺麗な心をした、邪悪な奴に。……おまえも、同じだ。
悪党は、殺ず。山の上の、あの男と女も。だ――――」

「……あ? 喧嘩するなら強いやつが敵の方が燃えるだろ。
あと。俺はおまえでも悪党でもない。ゲッツだ。覚えときな、鬼野郎」

金属義手を伸ばして己の下半身を手元に引きずり、上半身に押し付けるゲッツ。
赤黒い光が断面から漏れ、数分もすれば傷は消えていく。支援を受けたとはいえ、アイン・ソフ・オウルで無いものの攻撃は、この程度でしかない。これが非常識な現実だった。
そして、その光景を見ながら鬼は朴訥と問いかけ。そして、上におそらく枢要罪が二人いる事を語り、事切れる。ついぞ、竜の名前を呼ぶことはなく。

「――おうフォルテどーするよ。どっちも、俺らの因縁だろ。
……なんとなくだけど、戦うだけで終わる気もしねえ。――山、行くか?」

むくりと立ち上がり、ぐるりと振り返ってゲッツはフォルテに提案する。
もう間違いなく、この先に遥か格上のアイン・ソフ・オウルが居ることを知った上で。
パーティの中では下から数えたほうが早い戦力の二人で先行し、アイン・ソフ・オウルと接触を図る事を。
竜の勘は、戦いだけで終わらないと感じさせていた。力は足りない、力で解決しか出来ない己だというのに。
だが、この戦いを力以外で解決できたのならば、それは破壊だけの己の世界に対する叛逆になるのかもしれない。
ゲッツは、己の災厄を否定しない。だが、好いとも思っていない。だからこそ、自己を変えたいと思っていた。
感じるのだ。これが、己を僅かにでも変える、契機になるのではないか――と。

鉄色の瞳で、巨体の竜人は真っ直ぐ妖精を見据える。
下手すれば死にかねない選択だ。だからこそ、問う。ここで妖精が引いても竜は否定しない。
だが、それでも恐らく竜は行くだろう。逃げる道は、竜には無い。ガンガン行くしか、無いのだから。

115 :フォルテ:2014/08/27(水) 01:52:52.06 ID:oC+h0KJB.net
>「……あ? 喧嘩するなら強いやつが敵の方が燃えるだろ。
あと。俺はおまえでも悪党でもない。ゲッツだ。覚えときな、鬼野郎」

さようならした上半身と下半身がJENOVA細胞のごとくリユニオン☆
と、あまりの光景に分かる人にしか分からない表現も飛び出すという物である。
もはやジャンルが屁理屈異能バトルをマッハで突き破って不条理ギャグか宇宙的ホラーかよく分からない気がするが
どっちにしろ突っ込んだら負けという点では一緒なので「お、おう」という感じでそこはスルーしておく事にした。
今重要なのは鬼の発言内容である。
鬼にとってはアイン・ソフ・オウルは全て悪で、同じアイン・ソフ・オウル同志なのに何で敵対しているのか、という意味だろう。
ということはミヒャエルやヴェルザンディは自分達がアイン・ソフ・オウルだという事は伏せてオレ達の討伐に向かわせたという事か?
そしてたった今彼らもアインソフオウルだった事に気付いたということだろうか。

「ミヒャエル達にオレ達を倒すように言われたんだな!? 騙されたってどういう風にだ!?」

鬼はその問いに答える事無く事切れて風の塵と消えた。
ひとまず一件落着だが、油断はできない。
おそらくミヒャエル達にはオレ達の動向はバレバレで、その辺の妖怪変化を掌で転がしてけしかける事なんて朝飯前なのだろう。
この調子で次々と刺客を送り込んで来られたらたまったもんではない。
大掛かりに送り出された手前今すぐ帰るわけにもいかないし……。
しかしそう思う一方で攻撃は最大の防御、という前向きすぎる素敵ワードが思い浮かんだ。
自宅に大型トラックがしばらく突っ込んで来なかったので
いつ突っ込んでくるかという恐怖のあまり自ら突っ込んだという話もあるぐらいだ(※それはちょっと違う)

>「――おうフォルテどーするよ。どっちも、俺らの因縁だろ。
……なんとなくだけど、戦うだけで終わる気もしねえ。――山、行くか?」

ピュアピュアな瞳で冗談言わないでね!?戦うだけで終わる気もしねえ」と「行くか」が繋がってないんですけど!
戦うだけで終わる気がする→行くか なら100歩譲ってまだ分かるよ!?
と言いたいところだけど……

「ゲッツ、気付いた? 今君は枢要罪の力を持ってなされた欺瞞をただの一喝で解いたんだよ。
何の理路整然とした説明も感動的な演出も無しにね。
こりゃあ大船に乗った気分で山に登れるぜ! 敵に回したら滅茶苦茶厄介だけどな! おお怖っ!」

と、ド真面目なゲッツをからかっておいた。船が山に登っちゃいかんだろというツッコミは禁止。
確かゲッツのご先祖様のアインソフオウルとしての属性は峻厳――。
その中には一切の欺瞞を許さず真実を暴く、という性質が含まれていても不思議はない。
そして、今から相対する傲慢と虚飾はどちらも己を嘘で塗り固めた罪。それを確かめるには格好の相手だ。
ゲッツの瞳を真っ直ぐに見上げて微笑んだ。

「いいよ、確かめに行こう? 君はもう変わったのかもしれない」

116 :創る名無しに見る名無し:2014/08/27(水) 13:37:09.04 ID:c5r0NghX.net
「小うるさい人間どもめ!」とある大陸にある地下帝国が、ついに地上侵略を開始したのだ!

117 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/09/01(月) 02:19:08.30 ID:bEHzgcy+.net
トキオ海軍の軍艦がリューキューの外部交流区画にある港に入港する
そして実際に街に入る前にリューキュー幕府の門番と確認を行う係りの者達による
厳重な検査と調査を行い、念には念を入れた故にそれなりの時間が掛かりながらも
外部交流区画に入る全員のトキオ海軍の関係者達の許可が降りてようやく区画内部に入る事が出来た。

「ほう、これがリューキューの出島と呼ばれる場所か」

足を踏み入れ、その目に映ったことから思った印象は鎖国しているとは思えない
その光景は賑わい活気が溢れる市場や商店街と言った様相を見せていた。

「お待ちしていました、エスペラント・ゲシュペンストイェーガー様ですね?」

声を掛けられ振り向いた時にそこに軍艦での世話係の兵士ではなく
一人の身に覚えのある制服を着たまだ若い十代後半の日本人女性が其処に居た。

「世界守護者委員会より現場での最終研修を兼ねて広域補助機関に出向という形で
貴方をこれから支援させて頂く内の一人でミナセ・ハヅキと言いますよろしくお願いします」

丁寧にお辞儀をして自己紹介をする彼女について、思い出す。
確かPADA型COMPに連絡が来ていたはずだ

「ああ、例のペルソナ使いの少女か話は聞いているよこれからよろしく頼む。
ところでもう一人広域補助機関の構成員が居ると聞いたが?」

「そちらの方はこれからご案内しようかと思ったのですが事態は少々進んだようで
リューキューにやってきたアインソフオウルがなにやら行動を起こしたらしく
そちらの偵察と情報収集を行うべく現場周辺にて合流をするようにと言われました」

その合流予定の者も周りの目を欺く為実質ダミーの会社であるが内部は同じように世界守護者委員会の情報収集の為の拠点の
表向きは遊郭兼酒場ではあるが其処に居る花魁姿で居ると聞いている構成員は此処にいるアインソフオウルの二人に何らかの動きがあったようで
そちらに向かって先に調査を開始したらしい。

「ふむ、それならばすぐにそちらに向かった方が良さそうだな
是非とも案内してもらいたい」

「了解ですではこちらに」

そしてもう一人の広域補助機関の構成員が先に調査を開始した
山周辺に向かうこととなる。

118 :アサキム:2014/09/01(月) 18:57:53.36 ID:Cqc545JC.net
「…霧が晴れた」
…どうやら自分の見ていたものは全て幻だったようだ
「真に誠を見出せないからか…」
…自分の心に焦りが見えているのはわかっていた
だが…
「…アサキム?」
「大丈夫だ…それより多分もう」
そう告げた途端空がいきなり暗くなり月が照らし始める
「…あいもかわらず…変な召喚方法だな」
その月からか長い箱と短い箱が射出される
その長い箱には
「…………」
「まぁしゃあないなハルコンネンなんて見る機会も使う機会ないしな」
対化物用戦術砲ハルコンネン
使用弾薬が
劣化ウラン弾・爆裂徹鋼焼夷弾
という化け物が使う化け物退治道具
というかなんで仙界が持ってるんだこんなの
「私化け物じゃない」
…完全涙目のアヤカ
「諦めろ…」
そういいアサキムは小さい箱を開く
「これは…対魔用の…」
これは一時的に無限結界 神楽を造った箱
「内容は理解した…行くぞ」
アサキムは急ぐように歩き始める
「ちょっちょっと?!」
アヤカはハルコンネンをしまい急ぐように追いかける
「……フォルテ達を追いかける」
本当はあの兵器の可能性を全て潰てから行きたかったな
という言葉をこころに押し込み
風の様にかけて行く

119 :フォルテ:2014/09/22(月) 05:44:58.63 ID:rKnb5YgS.net
人で埋め尽くされた大ホール。
オレはその中心のステージでスポットライトに照らされて、歓声を一身に受けている。

「みんな、ありがとーっ!」

客席にダイブ――
しようとして襟首を後ろに引っ張られて尻餅をついた。

「あいてっ! 何すんだよー!」

「何すんだよーじゃないでしょ!」

ナンシーに言われて気づく。冷たい雪の感触。そして少し前方は断崖絶壁。
もう少しで崖からI can flyするところだったのだ。(いや実際に飛べるっちゃ飛べるけど)
それに気づいて今さらながらに寒さからではない戦慄が走る。
ようやく思い出した、オレ達は怪異の発生源の噂を追って雪山にやってきたのだ。

「きっとこれも虚飾の力よ……気を付けて」

「馬鹿にしやがって。そもそもオレは何百万人のファンなんかより……」

たった一人の最高のファンを、歴史に名を刻む伝説の勇者に――
そう思ってゲッツの方に目をやるとそこでは……。
ゲッツは放送禁止な顔でシロクマに抱き着いて幸せそうに往復ビンタされていた!
おそらくシロクマが絶世の美女かなんかに見えているのだろう。

「これアカンやつや! ちょっと手におえない! 誰か助けてー!」

まだアインソフオウルはおろか強敵に会ったわけでもないというのに早々に助けを求めるオレがいた。

120 :フォルテ:2014/10/13(月) 19:24:21.17 ID:uaJanr4v.net
助けを呼んで都合よく助けが現れるのは漫画ぐらいである。
でも実は常に付いてきてる影の薄い人とかいなかったっけ。
そう思ったとき、状況に思わぬ変化が現れた。

「どっこいしょ。駄目ですねえ、敵の術中にはまりまくりですよ」

シロクマが自らの頭を両手で持ったかと思うと取り外し……中からリーフの顔が現れた。

「いつの間に何の目的で何やってんの!」

「呼ばれた気がしたので登場しました」

ツッコミどころしかないが、リーフの登場方法については考えたら負けである。
シロクマの着ぐるみから抜け出しながら、スマホを取り出すリーフ。

「おかしいですねえ、あの二人から少し前にこちらに向かうと連絡があったんですが……」

「虚飾の霧が合流を阻んでいるのかもしれない……」

「閃光弾でもあげながら先に進んでおきましょう。
あの二人ならそのうち追いついてくるでしょう」

ふくろから何かを取り出し、導火線に火を付けるリーフ。
子気味良い音とともに上空に光が炸裂し、少し後……
淫夢君らしきぬいぐるみがパラシュートでふわふわと降りてくるのが見えた。

「それって閃光弾っつーか……ぶっちゃけ夏によく売ってる花火だよね」

「うん」

こうして、幻覚から脱出したのか脱出してないのかよく分からないゲッツを引っ張って先に進む。

121 :アサキム:2014/10/19(日) 05:09:12.07 ID:VGBY7Rzr.net
 リューキュー北部、異変に見舞われた大岳の一つ。
 此処は亜熱帯に聳える山のはずなのだが、今は銀雪に覆われ、白霧で煙っていた。
 妖の声なのか、山中では時折、怪鳥や獣のような咆哮が霧の彼方から響く。

「呼んだか?」

 魔境的な空間に聞き慣れた声。
 不意に濃霧が僅かに開け、十メートル程の視界がぽっかりと開いた。
 霧の幻影を脱するフォルテたちの前に現れたのは、二人の仙人。
 合図の花火に気付いてやって来た、アサキムとアヤカだ。
 どうやって此処まで来たものか、雪上に彼らの足跡は無い。

「で……お前らは何してんだ?」

 白熊擬きと変態、一般人の三人組に向けて、呆れ顔で言うアサキム。
 もう意味不明としか言いようの無い様子である。

「行くんなら行くんでいいが……とりあえず説明しろ」

 各地の妖が数多に集い、環境を変異させ、枢要罪が潜むと思しき山脈地帯。
 此処を訪れ、先へ進む理由をアサキムは問う。

122 :フォルテ:2014/10/23(木) 19:18:53.45 ID:i+y9xQun.net
>「呼んだか?」

花火もとい閃光弾が功を奏し、アサキム導師との合流に成功。
やはり近くまで来て迷っていたようだ。

>「で…お前らは何してんだ?」

「そりゃあ……見ての通り枢要罪の元に向かってまふ」

見て分かんねーよ!というツッコミが聞こえてきそうである。
特にシロクマのあたり。

>「行くんなら行くんでいいが…、とりあえず説明しろ」

導師様の反応は尤もだ。
枢要罪が二人もいる場所にぺーぺーのアインソフオウル二人だけで向かう……常識的に考えて無茶苦茶である。

「ひとつ、オレのカンではアインソフオウルは進化する。
ふたつ、オレのカンでは実はアインソフオウル同士の戦いにおいては相性がかなり重要。
時には位階の差を逆転するぐらいに。
以上をもってオレはこいつがあいつらに対抗できる力を得たと読んだ。だから行く事を承諾したんだ」

要は根拠はなんとなくどうにかなるんじゃないかなという根拠のない確信である。
しかもその張本人がシロクマにビンタされていたのでは全く説得力がないのであった。

「いや、ほら、さっきはたまたまあんなだったけどやるときはやるし!
さっきだって鬼さんの誤解を解いたし!」

123 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/10/23(木) 21:46:11.05 ID:4+gCl1bm.net
その後、ペルソナ使いの少女と共にもう一人の広域補助機関の構成員と合流するまで
しばらく歩き幾つ物関所やらを抜け、ミナセ・ハヅキの言う現場はある山であり
其処までの麓向かうと合流予定のもう一人と見事合流する事になる。
その後の話によると、このリューキューに生息している妖怪たちが異常な反応を示しており
アイン・ソフ・オウルを意図的に攻撃あるいは狩りを始め、そして今この山では謎の霧が発生し
この山から何らかのそういった異常の発生に関わりがあると見て、調査を開始するもその霧に遮られて
調査が現在難航しているのだと言う。もっとも山のそれぞれのポイントに待機や調査拠点を置いているらしく
ターミナルで繋がっているので行き来には特に問題ないらしいが。

「ふむ…とは言っても山の中腹までは何かによって往く事は物理的に出来ないのだろう?」

「はい、その一歩手前が我々が行ける限界と言った所ですね」

霧によって視界は幻覚を見せられると同時に遮られ、中腹からは何かの物理的なあるいは結界のような物で封じられ
通常の手段では往く事が出来ないと来たらしいがエスペラントからすればそうは言ってられない。

「とりあえず実際は私自身が自らその先は行けるか行けないかを試してみよう」

「了解しました」

麓の繋がっているターミナルからギリギリまで行ける中腹一歩手前近くの調査拠点まで転送される。
次に視界に入ってきたのはそれなりに本格的な基地と言えるベース地であり
周囲には様々な機械とそれを動かす構成員や調査拠点を防衛する戦闘員と言った者達が動いていた。

「よしこのまま進めない場所にまで行こうか」

それ以上進む事のできない場所まで行こうとした時

「ヤダヤダ、オイラもいくんだい!」
「駄目だよボク、こんなとても寒くて危険な場所を行かせる訳にはいかないよ」

和風の綺麗な服とこの時代に置ける防寒具に身を包んだ子供を
こんな危険な場所に飛び出そうとしている事に気づいた構成員の一人が止めている光景が目に入る。
さすがにエスペラントは放っておく事が出来ず、その子供に近づいて宥めようとした時
その顔はエスペラント自身が良く知っておりとても大切な人に似ている事に驚く。

「しんのすけくん……?」

居ないであろう人物に

124 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2014/10/24(金) 00:00:34.17 ID:+tzL9glY.net
「どうしてお兄さんはオラの名前を知っているの?」
「この少年のお知り合いですか?」

瓜二つと言ってもいい少年はきょとんとした顔で
そして少年に対して止めに入っていた構成員の一人が尋ねてくる。
どうやら自分の知っている少年と同じ名前である事は確からしく
これで更に困った事にどう説明すべきなのか少し迷ったが

「お兄さん誰?オラ知らないぞ」

「すまない僕の知ってる子と似ていたから…名前も同じだったのか驚いたな
君はどうして此処に来たんだい?」

子供はエスペラントを知らないと言った為此処で素直に話したほうが良いと判断し
決して嘘ではなく名前も顔も似ているある少年の事について話した後、目線を合わせるためにしゃがんで
笑って此処に来た理由を聞こうとした際、少年を止めていた構成員の話しによると
自分達がこの最後の拠点を築く前に遭難している所を運良く見つけて保護したらしい。
こんな冬山の中でかつこのような幻覚を見せる霧の中で見つけることなど奇跡に近いだからこそ目の前の少年は余程の強運だったと言える。
拠点を築いた構成員達が見つけなければ間違いなく死んでいたのだから。

「どうしてまた」

「病気の母様を治す為の薬草があるって聞いたから…母様に元気になってもらいたいんだ」

少年の身なりを見る限りかなり上等な反物や素材を使った着物を着ているので
それなりに裕福な家庭の生まれであるだろうとは見て取れるものの、そのような階級の者達でも治せない病気の特効薬が
この山にはあるらしいだからこそこんな危険な場所に少年は足を踏み入れたのであろう。

「………」

「どうされますか?理由はどうあれ今は危険すぎます親元に無理にでも帰すべき思います」

構成員の言う事はもっともであり、此処でこの少年を行かせればみすみす死なせに行くような物である。
そしてエスペラント自身少年が守るべき意義である少年に似ている事と病気で苦しんでいる母親の為に危険を顧みず
此処まで来た優しい少年を死なせたくはなかった。この状況で子供一人だというのは不自然と言われるのももっともである
しかし少年の目を見ていればそれは決して嘘ではないことが分かる。
だからこそ考え出した結論は

「連れて行く」

「そんな、枢要罪が潜んでいる危険度が極めて高い場所なんですよ?
そんな場所に進んで無関係の子供を行かせるなんて」

「いざという時は私が責任を持つし、ミナセ構成員に此処まで連れ帰るようにしてもらう」

それだけを言うと少年の方に改めて向き直り

「僕はエスペラント、君の名前は?」
「春日真之介だよ」
「じゃあしんの―春日のしんのすけくん、君をその薬草がある所まで連れて行ってあげよう」
「本当!?」
「ああ、だから僕やあそこにいるお姉さんの言う事は必ず聞くんだよ?いいね?」
「うん、わかった!!」

よしと春日のしんのすけくんの頭を撫でて
改めて防寒具や必要な道具や機器を装備あるいはハヅキ・ミナセに持たせると
侵入できる手前最後の拠点ベースから出発する。
もちろん薬草を取らせたら春日のしんのすけはミナセに命じて連れ帰させる
そこまで危険な場所に同席させるつもりは毛頭無かった。

125 : ◆JryQG.Os1Y :2014/11/13(木) 21:39:12.37 ID:qKIz9aDM.net
))「ひとつ、オレのカンではアインソフオウルは進化する。
ふたつ、オレのカンでは実はアインソフオウル同士の戦いにおいては相性がかなり重要。
時には位階の差を逆転するぐらいに。
以上をもってオレはこいつがあいつらに対抗できる力を得たと読んだ。だから行く事を承諾したんだ」

「なるほどな…」
確かに言ってることは確かだ
この戦力なら行けるかもしれない
(しかし問題は…エスペランドか)
あいつが一人歩きするのは個人的にも仙人的にも美味しくない
「…エスペランドを待つ、なんて暇は無いか」
どうやら今の任務を優先するらしい
その先の道に進んでいく

126 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2014/11/24(月) 22:36:43.23 ID:BT7lRmIy.net
>「…エスペランドを待つ、なんて暇は無いか」

意味深に呟いて歩き出すアサキム導師の後を追う。
しばらく無言で、何事もなく行程は進む。

「ねえ、エスさんが厄災の種に手を出したって本当……?」

まず真実なのは分かっているのだが、確認せずにはいられなかった。
エスさんのことだ、ラリパッパになる可能性は低いだろう。
エスさんの場合最も危惧すべきはヴェルザンディやミヒャエルのように”正気を保ったまま”狂気に堕ちる事……!
彼にアイン・ソフ・オウルになる素質がないと仮定すれば厄災の種も根付くことができないと考えることもできるが……希望的観測の域を出ない。
どれぐらい歩いただろうか、足元に目新しい足跡が現れた。それも複数人分。

「あれ、先客がいたのかな……?」

とはいえ、オレ達以外に枢要罪に突撃するような酔狂な人がいるとは考えにくい。
リーフが足跡を観察しながら言った。

「いえ、よく見てください。これは私達自身の足跡……」

「つまり同じ場所を歩かされている……。結界……!?」

127 : ◆JryQG.Os1Y :2014/11/26(水) 20:39:41.75 ID:l0NA50Vn.net
>>「ねえ、エスさんが厄災の種に手を出したって本当……?」

「…今、話す必要はない」
これは仙界での話だ…彼奴らの手は借りない
そして手を出させない
そうすれば生かせられる
>>「いえ、よく見てください。これは私達自身の足跡……」

「あーあ、やっちゃったかしょうがないなこれ…」
自分のスキルは当てにならない
ならやることは一つだ
「アヤカ…魔眼を」
「御意」
アヤカは、ゆっくりと目を閉じ目を開ける
その目は禍々しくもあり神々しくもある目
「私の魔眼は直死…見たもの全てを殺す」
ナイフを持ちある点を斬る
「アインソフオウルを捨てたのよ…この刃ぐらいとおって貰わないと!」
直死の魔眼は見たもの全てを殺す
例え、結界であろうと術者だろうと

128 :創る名無しに見る名無し:2014/12/10(水) 18:40:48.77 ID:sXCPdnZG.net
ナンシー「保守!」

リーフ「急にどうしました? 転んで頭でも打ったんですか?」

ナンシー「なんだか、このまま霧の中を彷徨ってる間に世界が滅ぶような気がして……」

リーフ「不吉な冗談は止めて下さいよ」

ナンシー「それに、もうかれこれ三ヶ月くらい山の中にいる気がするわ」

リーフ「何を言ってるんですか? まだ三日も経ってないですよ」

ナンシー「そう……なの?」

リーフ「ええ、それに今、アヤカさんがこの状況を打破するために直死の魔眼を使ったようです」

ナンシー「直死の魔眼?」

リーフ「存在の寿命を線や点として視覚で捉え、それを斬ることで対象に死を与えられる異能らしいです」

ナンシー「アヤカはアイン・ソフ・オウルを捨てたらしいけど、通常の異能で枢要罪の敷いた秩序を破れるの?」

リーフ「破滅の属性が喪失しただけで、アイン・ソフ・オウルのままだと思いますから、おそらく大丈夫でしょう」

ナンシー「本当?」

リーフ「インペリアでも、ゲッツさんがバアル=ペオルの力の一部を咆哮で払ってましたから、おそらく」

ナンシー「と言うことは、この霧も一部しか消えなさそうね」

リーフ「……あっ、霧の合間に何かが見えてきましたよ」

ナンシー「あれは、街? なんか麓の街より古めかしい感じの街が広がってるわね」

リーフ「確かに平安京にも似た街が、山頂辺りにあるようです」

ナンシー「平安京って何?」

リーフ「あ、いえ……それは私の出身地の話ですが、山奥にあんな大規模な街があるとは思えません」

ナンシー「じゃあ、また幻覚なのかしら」

リーフ「だと良いんですが」

ナンシー「どうして?」

リーフ「望遠鏡で数百メートル先を覗いてみた所、妖の姿が見えましたから」

ナンシー「そういえば、東西の妖が大量に集まって阿鼻叫喚って話があったわね……」

リーフ「どうしましょうか? あれが枢要罪の本拠でなければ立ち寄っても……」

ナンシー「立ち寄っても?」

リーフ「アニメが原作に追いついたので、オリジナルエピソードで引き伸ばし展開、という結果に終わるかも」

ナンシー「分かり辛いわ、その例え」

129 :創る名無しに見る名無し:2014/12/28(日) 03:48:07.02 ID:SLbfNWj8.net
リーフ「……(ポチポチ)」

ナンシー「ところで、リューキューってネットの通信設備なんか無いわよね? どうしてスマホが使えるの?」

リーフ「秘密です」

130 :ゲッツ ◆Sin.5EUo9A :2015/01/02(金) 23:16:39.93 ID:6TykVheQ.net
>そう思ってゲッツの方に目をやるとそこでは……。
>ゲッツは放送禁止な顔でシロクマに抱き着いて幸せそうに往復ビンタされていた!

「っはハハ――なぁんだ、可愛いなァてめおぶっ。可愛いなぁてめェよー!!おぶっ。
そんなぐっ。にビンタしちまって、あぶッ、俺様それっぽぐっちじゃ痛くも痒くもねえぞーウリウリィ―いだだだだ―」

ヨダレやらなにやら垂らしながら全身氷に包まれながら男はシロクマにびんたされ続けているゲッツ。
絶世の美女がツンツンしながらも恥ずかしそうに己をびんたしているこの現状、だが美女だからと我慢を続けていた。
が、ここはゲッツ。色欲でも強欲でも暴食でもなく、災厄のゲッツだ。
ぶちり、と頭の中の何かが切れた。そして、全身から吹き出す赤黒いオーラ。――全身から解き放つそれが、吹雪を一瞬で散らしていく。
僅かに吹き飛ばされた幻惑のカーテン。そして、拳をゲッツは地面に叩きつけ。

「俺がヘラヘラしてりゃー良い気になりやがってよォ!!
心優しい俺だって切れる時にゃ、切れるんだ――って、ア? リーフかよオイ。
……いや、まてよ。待て? ……いや、良し。結果的に女の子に抱きつけたならそれで良いぜ!!」

口の端から火をちらちらと覗かせつつブチ切れるゲッツだったが、眼前の美女だったのが実はシロクマで実はリーフだったことに気がつく。
そして、静かにため息を着く。どこが心優しいのかは分からないが、ゲッツなりに己の納得をした。
美女かどうかは置いておいて、女の子と接触できたから良し。本能に素直かつ単純ゆえの、単純な結論。
そして、無駄に白い歯を見せながらの笑顔サムズアップをするのだった。

「ッシャーオラ行くぞフォルテ! あとアイン・ソフ・オウルの力は出しとけよー!
多分それで幻覚は多少なんとかなるだろ!!」

全身から災厄を解き放ちつつ、ゲッツは己の手を引っ張るフォルテをいつも通り肩に担ぎ。
恵まれた体躯を生かして、道なき雪道を吐息やら蹴りで吹き飛ばしながら、ずんずんと進んでいくのだった。

>「行くんなら行くんでいいが……とりあえず説明しろ」

「あ? 喧嘩売ってきたから今から買いに行く所だァ!!
くっそ、あいつあんな美女出してくるんならもうちょい俺にいい目見せてくれても良かったのによォ……!
畜生、枢要罪ゆるさねえ!!」

全身から怒気を発散するゲッツの言い分は、夢を見せるならもう少し良い目を見せろという事だった。
というか、多分良い目を見せられていたならばそのまま雪山に埋まっていたことだろう。

>「なるほどな…」

「ま、アレだ。あいつらと俺らの違いは、天位か人位かって事位だ。俺もあいつらもアイン・ソフ・オウルの経験は大して変わりゃしない。
それにヨ、奴ら対して騒ぎ起こしてねえだろ。……って事は、アイン・ソフ・オウルを戦いに使った事もそんなにねえって事だろォ?
だったら、実力差は地力だけ、経験だけなら俺らがちょいと上回ってるかもしれねえ。――だったらよ、勝てるだろうよ」

こと戦いだけにはよく回るゲッツの思考は、勝ち目を見出していた。
結論は、異なっているのは地力だけ。経験だけはわずかに上回る可能性あり。
ならば、力を引っ繰り返す奇跡を望む。アイン・ソフ・オウルは奇跡を個で起こす力。その結果に大小あれど、奇跡は奇跡。
その奇跡を、針の穴に通すことができれば。きっと――勝利は存在する筈だ。と――。

131 :ゲッツ ◆Sin.5EUo9A :2015/01/02(金) 23:17:12.38 ID:6TykVheQ.net
アヤカの振るった直視の魔眼。それが、結界に突き立った。
世界を区切る一つのライン。点、線、面。線によって面を区切り面を作るそれに、新たな線が裂として刻まれる。
裂は開いていく。無数に、無数の拒絶が区切られ、そしてその区切りは分離と死を体現し、結界を引き裂いていく。

「――お、やるじゃ――。っておいおい、即効復活するぞ」

死んだのならばすぐに作りなおせば良い。そう言わんばかりの現象が起こる。
切り裂かれた結界に、結界が上書きされていくのだ――。だが、その結界の展開までは僅かな隙。
展開の隙を狙うように、ゲッツが咆哮。赤黒い閃光が結界にぶつかると同時、ゲッツが腕を振り回し仲間を結界の奥に放り込み、ゲッツも転がり込んだ。
こちらにとっては幸い、相手にとっては不幸ながら、運悪く′糾Eの再展開が間に合わなかったようだ。
いくらゲッツの災厄でも上位のアイン・ソフ・オウルが展開した完成後の結界に咆哮の効果を発揮させるのは困難。
だが、アヤカが再展開の隙を作ってくれたおかげで、こうして向こう側にたどり着くことが出来た。

『――ポイント・オブ・ノー・リターンを超えたのね。
そこを超えたのは、果たして蛮勇か勇気か。見せてもらいたいもの。……ねェ?』

『……私は待とう。この世に、虚ろでないものが有る事を教えてくれると信じて。
――容赦はしない。来ると良い。――巫女の子、竜の子、無垢の神仙、世界の異物』

響く声。そして、それと同時に――吹雪は止んだ。
不思議なくらいに澄み渡る空。山頂までは、後僅か。敵の気配は2つだけ。――山頂には、1つの神殿。
そここそが――、嘗て戦い、そして今から戦おうとするモノの座す地だ。向かう他にない。後ろには、再度展開された結界。
触れればきっとろくなことにはならないだろうそれ。前を向く他には許されない。だからゲッツは。

「イィ――じゃねえかよォ。なあオイ。
ここまで誂えてもらったんだ。あいつらに顔面ストレートぶち込んでやらねえと。なあ――ッ!!」

口元に笑みを浮かべながら、強者に対する最大限の礼儀、己の武を振るう事を決める。
気炎を上げるゲッツは、そのままずんずんと前に進んでいく。晴れた雪山と、コンディションの良いゲッツ。
これまでの道のりが不思議なほど山への道は容易く、そして即座に死へと近づいて。
神殿の扉の前へと――ゲッツ達は辿り着いたのだった。

「――よし。どうせあいつら気がついてる。
正面から討ち入って、挨拶に一発ぶちかまして始めてやろうぜ!?」

ごきりごきりと石造りの扉の前で拳を鳴らし、柔軟をしながら。
とても良い顔を浮かべて、ゲッツはフォルテ、リーフ、ナンシー、アサキム、アヤカに作戦ですらない作戦を提案するのだった。
誰も止めなければ、このままボス戦に入りかねない勢いだったろう。

132 :フォルテ:2015/01/09(金) 06:28:00.35 ID:Cgnj1Lua.net
>「ッシャーオラ行くぞフォルテ! あとアイン・ソフ・オウルの力は出しとけよー!
多分それで幻覚は多少なんとかなるだろ!!」

「アイン・ソフ・オウルの力って自分の意思で出したり引っ込めたりできるもんなの!?
何それすげー!」

「駄目だこの人!」

「ってか自分のアイン・ソフ・オウルとしての能力が何かも未だに分からないんだけど。
世のアイン・ソフ・オウル達はみんな分かってるのがすげー!」

「命に代えても貫き通す信念がそのまま能力になるんだから普通分かりますよ!
むしろ分からないって意味分からないですよ!」

「そう、そこ。そもそもオレがアイン・ソフ・オウルだって事自体が変なんだよな。
案外間違いなんじゃね? 最初にうっかり間違えて引っ込みがつかなくなっちゃった的なやつ」

「そんなお粗末な!」

リーフと半分冗談半分本気の漫才を繰り広げていると、ゲッツが割と真面目に戦力分析を始めた。

>「ま、アレだ。あいつらと俺らの違いは、天位か人位かって事位だ。俺もあいつらもアイン・ソフ・オウルの経験は大して変わりゃしない。
それにヨ、奴ら対して騒ぎ起こしてねえだろ。……って事は、アイン・ソフ・オウルを戦いに使った事もそんなにねえって事だろォ?
だったら、実力差は地力だけ、経験だけなら俺らがちょいと上回ってるかもしれねえ。――だったらよ、勝てるだろうよ」

バカはバカでも戦闘バカのゲッツがそう言うからには勝てるのだろう、多分きっと。
結界を抜けて現れたのは荘厳な神殿。
こりゃまた大層なところに招待されちまったな!

>「――よし。どうせあいつら気がついてる。
正面から討ち入って、挨拶に一発ぶちかまして始めてやろうぜ!?」

「待った……は無いみたいだな」

133 :フォルテ:2015/01/09(金) 06:28:32.66 ID:Cgnj1Lua.net
止める理由もないが止める間もなく、重々しい音を立てながら扉が開いた。
殴りこもうと足を踏み入れ……あまりの美しさに呆気にとられた。
そこは、色鮮やかな光の羽根が舞う空間。
その源泉は、背景一面を覆い尽くす極彩色の扇を広げる巨大な孔雀――

「虚飾の顕現《アヴァター》か……!」

「ご名答。どこからでもかかってくるがよい。この空間で戦えるなら、な」

「何訳の分かんねーこと言ってやが……くぅっ」

極彩色の羽根が体に触れた瞬間、膝から崩れ落ちる。
辛うじて手を床について上体を支え、顕現の前に陣取ったミヒャエルを睨みつける。
苦痛ではない、むしろ真逆の甘美な幻覚に翻弄されそうになるのに必死に抗いながら。
恐れる事はない、どうせ実体の伴わない《虚飾》だ……

「ふふ、苦痛に耐えているかのようなその表情、実に良い《虚飾》だ。
飾らぬなら身を委ねてしまえばいいものを」

「っ……ふざけんな! 誰がこんな……」

具体的にどんな幻覚を見せられたかは置いといて
今重要なのはとりあえずこの羽はどーにかしないとヤバイということだ!
モナーが変化したギターを支えにして立ちあがる。
よだかの星――美しき魔鳥に対抗するのは、醜さから異端だと弾かれた鳥の物語だ。

「悲しみに追いつかれぬよう 真っ直ぐに空を目指すよ
昨日なんて振り切る《速度(スピード)》で
何の為に歌ってるの? 何の為に走ってきた?
《命を燃やした証(ほし)》を残そう」

歌の力が渦を巻き、孔雀の羽根が吹き散らされる。さあ、戦闘開始だ!

134 :創る名無しに見る名無し:2015/01/17(土) 19:46:56.08 ID:yU6X8kP3.net
「概して新米の乗った高性能の戦闘機は、ベテランの乗る旧型戦闘機より遥かに強いものです。
モビルスーツの性能の違いは戦力の決定的差だ、と偉い人も言っていました。
果たして、地力の差を覆えせるものでしょうか?」

「あなたは戦わないの?」

と、ナンシーが観戦モードのリーフに問う。
一応、彼女はフォルテに加勢するつもりなのだ。
詩精は愛を受け入れた男の精を奪い、代わりに詩才と美しい歌声を与える精霊。
そして、愛を受け入れぬ男には彼が振り向くまで奴隷のように尽くす。
フォルテを見出した以上、ナンシーもまた同じつもりだろう。

「わたしは にもつがかりリーフ。     
たたかいはできませんが アイテムをたくさんもてます。 
よろしければ かんせんさせてください」   

「…………そう。
フォルテ、微力に過ぎないけれど私も力を貸すわ」

ナンシーの姿がすっと消え、代わって爪弾く楽器の弦に夜闇の漆黒が宿る。
精霊を操る精霊楽師の楽器に、詩の精霊が己自身を力として付与したのだ。
当然ながら、今までよりも呪歌の威力は増すことだろう。

135 :アサキム:2015/01/20(火) 23:06:21.23 ID:jCvmIT3L.net
「あのバカ…」
ゲッツを見送り仕方がなくこちらも戦闘体制になる

「アヤカの攻撃は効かんだろう…」
ならさ…
(時即反転……虚を実に!)
アサキムが固有フィールドを広げていく
相手が虚であるなら実に変えて破壊する
それが確実な方法だと考えた
「アヤカ…でかぶつあるなら使えよ!」
「はいはい!」
ハルコンネンを構えたアヤカが待ちくたびれたように弾丸を入れる
そして…直視の魔眼発動
死が見えない物など無い…
それは二人の共通認識だった

136 :創る名無しに見る名無し:2015/04/13(月) 01:59:48.68 ID:sxmUukN9.net
見てるよ。だからはよ

137 :創る名無しに見る名無し:2015/04/19(日) 08:40:19.92 ID:VNmhCAgZ.net
さて、きょうものんびりですね。映画熱も一日で終わりましたがw
やはり日々決まったルーティンで生活するのが楽ですね。。まあ、それなりに日も流れていきますからね。。
尤もその中でトレー二ングと語学学習をしていかねばなりませんが、。
語学学習もいい感じですね。基本今までのやり方でいいでしょう。中国語は3冊のテキストをします。。
英語は2冊ですね。シンプルです。。トレーニングはまずまずでしょうか、。2,3ヶ月すると飽きてくるのが
困りますが(苦笑)。今年は@デッドリフトの継続とA有酸素運動の継続が2大テーマですね。。やはり、
基本トレーニングメニューも増えてきますがシンプル思考は大切です。。これは語学学習にもいえますね。。

138 :エスペラント ◆4ydJ8hprs. :2015/05/10(日) 19:35:50.40 ID:zkqa70Z+.net
春日のしんのすけくんと共にこの少年の母親を直す薬草がある場所まで共に探すべく
何かあった時の為に彼を連れ帰る役目を与えたミナセ・ハヅキと同行するエスペラント。
目下の所、目的の薬草がある場所は幸いと言うべきか世界守護者委員会の山全体の調査結果により
やや難所ではあるが、子供でも連れて行ける洞窟を潜ったその先にある高台の花畑に生えているらしい。
今、それが目前にまで近づいている所だ。

「寒くないか、春日のしんのすけくん?」

春日のしんのすけ「うん大丈夫だぞ」

ミナセ「もうじき目的地だね、よかったねしんのすけくん」

データ端末に登録された情報を頼りになんとか目的の洞窟まで辿り着いたエスペラントは
此処に来るまで襲い掛かる吹雪と幻覚そして遭遇した立ち塞がる者達との戦いの連続であった。
しかしその道中は同時にこの少年との交流があり、様々な話を聞くことが出来た。
春日城というお城のお姫様廉姫と仕える侍の井尻又兵衛由俊の間に生まれた子供、つまり次代の藩主である
この少年はいろいろな人に頼んで遥々海を越えてやってきたのだと。

辛い事も苦しい事も沢山あったに違いないが、今この場所は計り知れない危険がある場所にまで飛び込む
その勇気と優しさはやはり自分の知る平穏の象徴にして守るべき意義というべきもう一人の少年と同じなんだと思うと
自然と胸に込み上げる物があった。
そんな事を考えていると薬草のある高台の花畑がすぐの洞窟の出口が見えてくる。
三人が出口を抜けた時、吹雪が吹き荒れている花畑に足を踏み入れた

ミナセ「データによるとこの先にあるとの事です」

「なら先に行こう、何があるか分からないからな春日のしんのすけくんは
おねぇさんと一緒に来てくれ」

春日のしんのすけ「えーお兄さんと一緒に先に行きたいぞ」

「駄目だ、何があるか分からないからね。それに僕との約束が守れ無いなら
連れて行くわけにはいかない」

春日のしんのすけ「わ、わかったよエスのお兄さん」

そう言って先に進みながら周囲の安全確認をしながら目的の薬草のある場所まで
更に警戒しつつ歩いたが場所が場所なのか危険な生物や人の類が見つからず
何事も無く無事に辿り着いた。

139 :エスペラント ◆4ydJ8hprs. :2015/05/13(水) 17:30:57.82 ID:QADDD7zr.net
ミナセ「登録データによると全体的に光り輝く青い薬草とのことですが」

春日のしんのすけ「それだったら分かりやすいね」

二人と共に花畑全体を探していたが暫くして

春日のしんのすけ「あった!あった!」

ミナセ「ありました、データと同じ物です」

春日のしんのすけくんがこの猛吹雪の中花が咲き誇る花畑の一つで
光り輝く青い薬草を発見して大喜びしており
ミナセ・ハヅキも端末の情報と同じ物を発見し安堵している。

「ならばすぐに調査拠点に戻ろうか、此処にこれ以上居る理由は無い」

目的の物を入手できたのであればこの花畑には用は無いので
急いで引き上げ、調査拠点に春日のしんのすけくんを送り届けた後
両親の元に戻して自らもこの山の調査に加わるつもりだったが

春日のしんのすけ「雪が止んだねぇ、エスのお兄さんミナセのお兄さん」

ミナセ「本当だ雪が止んでる…」

春日のしんのすけくんが突然雪が止んだという言葉にミナセも周囲を見ると
いつの間にか雪が止み、空が澄み渡り先ほどまでの猛吹雪が嘘だったように消えていた。
いやエスペラントはさすがにこの不自然すぎる状況に違和感を感じていた。

春日のしんのすけ「ねぇねぇ、あのお山に何かあるよ?」

ミナセ「えっ、どこに?」

少年が指差す方向をミナセが見ると同時にエスペラントも振り向くと
その方向には1つの神殿が見えた瞬間、この吹雪の原因や
こんな出来すぎた状況を作り出していた元凶アインソフオウルの二人に
関る何らかの場所以外ありえないと思えた。

140 :エスペラント ◆4ydJ8hprs. :2015/05/13(水) 17:32:58.87 ID:QADDD7zr.net
「……ミナセ構成員、春日のしんのすけくんを連れて拠点に戻れ。
僕はあの神殿に向かう、いや行かなければならない」

ミナセ「分かりました、先に戻り調査隊及び部隊を編成次第私達も向かいます」

「可能な限り迅速に開始しろ、とはいえ相手も何を仕掛けてくるか判らん以上は慎重に行動せよ」

春日のしんのすけ「エスのお兄さん、あそこに行くの?」

ミナセへの指示を完了したあと、きょとんとした表情で春日のしんのすけくんはエスペラントを見つめる。
目線を合わせてしゃがみ優しく微笑みながら

「そう、どうしても行かなくちゃいけないんだ」

春日のしんのすけ「また会える?」

「会えるさ、君に春日のしんのすけ君に会いに必ず帰ってくる」

その瞳を見据えて春日のしんのすけくんを抱きしめる。
震えて泣きそうな小さな身体をやさしく。

春日のしんのすけ「絶対だよ?」

「絶対だ」

手を離し立ち上がると高台である花畑の崖の方に向けて歩き始めるエスペラントは
ミナセに手を引かれる春日のしんのすけくんの姿が見えなくなるまで見つめ続けた。
崖の間近までやってくると春日のしんのすけくんは大声を上げた。

「じゃあ、またね!!」

「ああまた会おう!」

エスペラントは崖から飛び降り、COMPからケツァルコァトルを召喚して
突然出現した神殿に向けて飛び立つ。
最後に見た少年に幸運があるようにと胸の内で願いながら。

141 :フォルテ:2015/06/04(木) 05:25:01.65 ID:dA4oaiVK.net
>「アヤカ…でかぶつあるなら使えよ!」
>「はいはい!」

直死の魔眼を発動するアヤカ。確かにそれは見えた。
むしろ見えすぎる――見えすぎてどれが本物か皆目見当がつかない!
何しろ相手は虚飾。虚像で相手を惑わすのはお手の物だ。

「無駄だ――それとも片っ端から当ててみるかね?
こちらは一向に構わないが君達が生きている間に当たりが引けたらとんでもない幸運だ。
敵は私だけではないのだからね」

♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪

「やっと出る許可が降りたようね――」

一瞬空間がゆらめき、まるでずっとそこにいたかのようにヴェルザンディの姿が現れた。
ゲッツに向かって厄災の種があしらわれた魔法の杖を突きつけ、宣言する。

「最初に言っておくわ。あなたは私に勝つ事はできない――」

「はあ!? やってみなけりゃ分かんねえだろ―――ッ!?」

ヴェルザンディの言葉が終わるのも待たずに、弾丸のように飛び出し殴りかかるゲッツ。
――ギィイイン!! 金属音にも似た音が響き渡る。
見ると、ゲッツの拳とそれを受け止めたヴェルザンディの杖がかち合って拮抗していた。
……って、ヴェルザンディってこんなに武闘派だったっけ!?
アインソフオウルになったとはいっても得意な魔法で戦いそうなもんだけど。

「はっ!」

更にヴェルザンディは杖を払い、ゲッツを飛び退らせる。
ゲッツが魔術師に力で競り負けるなんて常識的に考えてあり得ない。
だとすれば……常識の枠を超えたアインソフオウルの力しかあり得ない!
ヴェルザンディをびしっと指差して宣言する。

「分かったぞ! お前のアインソフオウルの能力は超強力自分ドーピング能力だ!!」

肯定も否定もせずにこちらを見返すヴェルザンディ。リアクションに困ったらしい。
そこに入るリーフの的確なツッコミ。

「そりゃ”傲慢”なんだから普通に何の捻りもなく考えたらそうなるでしょ。
ドヤ顔で言う程のことでもないですよ、それ」

「お遊びは終わりだ、そろそろ本気で行くぞ――タイダルウェーブ!!」

「お話にならないわね、さっさと終わらせてしまいましょう――ファイアストーム!!」

ミヒャエルの方から迫るはフィールド条件無視の大津波。
方やヴェルザンディの杖から放たれる地獄の業火。
えーと、あれ、これって前門の虎、後門の狼いうやつちゃうの?

「うわああああああああああああ!! ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい!!
神様仏さま導師さまエスペラント様助けてーーーーーーーーーーー!!」

142 :アサキム:2015/06/04(木) 19:14:03.36 ID:dA4oaiVK.net
))「お遊びは終わりだ、そろそろ本気で行くぞ――タイダルウェーブ!!」

「お話にならないわね、さっさと終わらせてしまいましょう――ファイアストーム!!」
「はっ!お前舐めてるのか!」
そのいかにも回避不能な物の中央にアサキムは立つ
…「その魔力がお前から離れた時点でお前らの負けだ」
二つの衝撃がアサキムに触れた瞬間
…持ち主に向かっていった…
いや、正確には
「事象反転…貴様らの魔法の向きを反転させた」
その名の通りなのだ、フィールド無限の攻撃がフォルテには当たらずヴェルサンディに向かっていく
「チェック…?アヤカ」
「はいはいしてますよ!」
視えるものは虚偽
しかし直死の魔眼は死を見せる
なら、
「自分で出したものがあるはずよね!」
凄まじいスピードできっていく
当たるまで斬る
それがこの戦での正しい戦い方
ゴリ押しではない

143 :フォルテ:2015/06/23(火) 00:25:20.72 ID:cERBFgNt.net
>「はっ!お前舐めてるのか!」

あろうことか二人の極大攻撃魔法の真ん中に立つアサキム導師。
そんなことをしたら半分黒焦げで半分氷漬けという面白い状態になってしまうのではないか!?
だがしかし、容赦無しの攻撃はアサキム導師に当たる直前に向きを変え。
放った張本人へ向かっていくとはこれいかに。
二人は自らが放った魔力の激流の中へ飲み込まれたように見えた――が、当然そんなはずはないだろう。

>「事象反転…貴様らの魔法の向きを反転させた」

「マ○カンタもしくはリ○レクですね分かります!」

自分でも自分が何を言っているのかはよく分からないがとりあえず助かった。
魔力の奔流が引くと、案の定、無数に分裂したミヒャエルの姿が現れる。
アヤカさんが凄まじいスピードでミヒャエルに切りかかっていく。

>「自分で出したものがあるはずよね!」

彼女が持つ直視の魔眼――生きとし生ける者の生命を断ち切る事が出来る恐ろしい瞳。
向かうところ敵なし、相手が生きている者ならば、だ。
一つ引っかかるのは、ミヒャエルは以前の戦いで一度確かに死んだ、ということ。

144 :エスペラント ◆1LbV.WkN1I :2015/06/27(土) 02:44:15.24 ID:R/xBnogA.net
<神殿内部では途轍もなく膨大なエネルギー反応及び複数のアインソフオウルの存在が感知されています>

「そういうことか…このまま突っ切る!」

その一言と共に神殿の天井を周囲に展開した無数の無想剣と共に破壊し空から着地した。
幸いにも周囲には誰もいなかった。

「そのアインソフオウル共が複数の存在を感知した所まで案内してくれ」

<了解致しました、このまま真っ直ぐに進めばすぐ近くです>

《悪なる右手》が感知した場所まで言われるままに進み
其処では既にアサキムやフォルテ、ゲッツ
そして枢要罪のミヒャエルとヴェルザンディが戦っていた。

「やはり奴等だったか、見る限り潰し合いにもならんか」

得て来た年数で言えばほぼ同じと言えるが、存外に苦戦しているようである。じゃなければ善戦しているわけで、
ミヒャエルとヴェルザンディとの相性が悪い故の今の結果なのかアインソフオウルの身ではない自分からすれば計りかねるが
はっきり言えばこの戦況は自分からすれば余り喜ばしい物とは言えない。

「ならば仕方あるまい」

不本意であるし、フォルテ達を倒される事はこの世界では戦う者は居なくなるということ。
それは自分にとっても都合が悪いし今の状態からすれば保険の一つとして残しておくべきだろう
彼らが人類の敵に回ると言うのであればその時はその時だ。

「大体使い方は分かった。今度は応用と行こうか」

<了解致しました>

禍々しい和弓の弦をガントレットを装備している手で引き、黒き矢が出現する。
その矢先を誰に向けるのかと思いきや、天井に向ける。

「面倒だ、一気に削る。試射だが当たるなよ?」

そうして弦を離し、天に向かった極太の矢は途中で分裂
無数の矢へと変化をすると無数に分裂したミヒャエルとヴェルザンディに降り注ぎ
彼らへと向かう攻撃を妨げる領域を降り注ぐ弾幕の如き黒き矢<偽悪なる一撃>が削っていく。
二人は向かう一発、二発、と矢に対してなんら関心を抱かなかった様子を見せていたが
三発目になると間近まで迫り、四発目で領域を削り切る。
削り切った時、無数に分裂しているミヒャエルの全ての身体に突き刺さり始め
この様子を見たヴェルザンディはさすがに不味いと思ったのか強化された超身体能力にて回避し
避けきれ無い矢は魔法で相殺し始めた。

145 :エスペラント ◆1LbV.WkN1I :2015/06/27(土) 03:30:41.78 ID:R/xBnogA.net
予想以上に降り注ぐこの黒き矢のの集中砲火を偽悪なる豪雨と名付けてみるのも
悪くないと思った矢先

<対象目標に着弾確認、それ以外の誤射撃ち漏らしは確認出来ません>

放たれた矢のすべては敵に向かい、フォルテやゲッツアサキム達には向かわなかったようだ。
多少の誤射はあるのではと思っていたが予想に反してやはり自分の知る最高の技術者が作り出した業物だと言えよう。

(同時に危険な代物ではあるが、これが無ければ奴等と戦う事すら出来んからな)

作る側としても使う側としても妥協と油断は決して無いようにいつも心掛けている。
この偽悪なる右手は奴等に対抗する道具に過ぎず後は自分での実力が全てとなる
同じ場所に引き摺り出すだけでも大変なのは伏契との戦いで良く分かったのだから。

「まだ死んで無い様で何よりだな、と言っても一矢も報いていないなら死んでも死に切れんか」

そんな事を呟きつつも

「ついでだ、アインソフオウルを一人でも多くを潰す為に今はお前達も必要だ。
そしてお前達も奴を倒す為に僕が必要ならこれから反撃開始といこうか」

146 :モブ:2015/10/07(水) 20:51:04.45 ID:yXKdbB2n.net
「…うわぁ、これやりにくいタイプのリレーじゃん・・・」

147 :モブB:2015/10/08(木) 12:47:51.76 ID:2qnytBkP.net
再開するのかな……

148 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2015/11/01(日) 21:15:31.50 ID:3/D/MNSk.net
何らかの手ごたえがあったのか、アヤカさんが戻ってくる。
果たしてミヒャエルは−−

「直視の魔眼−−か。大したものだな。人間だったときなら死んでいるところだった」

余裕綽々で立っていた。

「ちぃっ、もう一回いくよ!」

「いや待て」

追撃をかけようとするアヤカさんをアサキム導師が制す。
その刹那、無数の漆黒の矢がヴェルザンディとミヒャエルに降り注ぐのであった。

>「まだ死んで無い様で何よりだな、と言っても一矢も報いていないなら死んでも死に切れんか」>「ついでだ、アインソフオウルを一人でも多くを潰す為に今はお前達も必要だ。そしてお前達も奴を倒す為に僕が必要ならこれから反撃開始といこうか」

「エスさん……!」

そこから、戦況は思いのほか持ち直し始めた。
エスさんの"偽悪なる右手"は厄災の種から作られた兵器。それでも今はこれに頼るしかない。
そういえば、ミヒャエルもヴェルザンディも元はといえば厄災の種によって強大な力を得た者達だ。
彼の攻撃が効いているのはそのことが関係しているのだろうか……。

「らぁああああああああああああああ!!」

ついにゲッツの変形した右手がヴェルザンディに一撃を与え、鮮血が飛び散る。
傷は深く流血は相当なものだ、それでも尚ヴェルザンディは不敵な笑みを浮かべていた。

「ふん、全くお話にならなかったらどうしようかとおもったけど少しはやるじゃない。
これでようやく真打を披露できるわ!」

その瞬間、ヴェルザンディの纏うオーラが変わった。
荘厳に呪文を唱え始める。

−−其は万物の創世 其は原初の理−−

−−汝が瞳は審判の宝石−−

滴り降ちる血が地面に不思議な紋様−−魔法陣を形作っていく。

「これは……自らの血を媒介にした召還術−−!
いかにも物騒なイメージとたがわず、異界の魔王とか邪神とかトンデモないものを呼び出す時に使う術式です!」

リーフが血相を変えながら物騒な解説をする。

「え、ちょ! ヤバイじゃん! 誰か止めて止めて止めて!」

時すでに遅く、というか止める術などなかったのだが、非情にもヴェルザンディの召還術はまさに完成しようとしていた。

−−霜星の時を経 汝が世を今こそ取り戻さん−−
−−いでよ、《混沌のサーペント》!!−−

空が割れた。
というかここ屋内だったような気がするのだが、とにかく頭上の空間が割れたとしか言いようがない。
そこから出てきたのは、灼熱の獄炎と極寒のブリザードと裁きの雷のごときスパークをまとった巨大な−−蛇、でいいのだろうか。
どれぐらい巨大かは分からないがとにかく巨大。
そこからの展開といったらもう負けイベントとしかいいようがない。
こちらが放った攻撃は全て跳ね返ってくるわ、謎の破壊ブレスを吐きまくってくるわ。
大混乱のもみくちゃの中でオレは死んだ。スイーツ。

149 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2015/11/01(日) 21:16:36.55 ID:3/D/MNSk.net
「いやいやいや、スイーツってなんだよスイーツって!
死ぬにしてももっとドラマチックにさあ!!」

がばっと起き上がる。そこは見慣れたローファンタジアの自分の部屋。
"ローファンタジア"? 随分だか少し前だかに崩壊して跡形もなくなったはずじゃあ……。

「……夢?」

−−ですよねー!
常識的に考えてオレが超人バトルに参加とか無い無い!
それにしてもあのオチは手抜きすぎだろwww

「全くだよ、天界勢総出であんな奥の手やこんな奥の手を使ってなんとか捕獲できたから良かったようなものの……」

「んあ!?」

振り向いてみるとそこに星の巫女−−
精霊教団のトップにして女神フェアリーテイル=アマテラスガイア、つまり母さんがいた。

「訳が分からないって顔してるね。つまりこういうことだ。
奴との攻防の間に混沌の力が撒き散らされていろいろと因果律が混乱した。
んで一般人はそのことにすら気づいてなくて最初からこうだったとナチュラルに思ってる。
ボク達力がある者は元の世界での記憶が残ってるけど、それも完璧じゃあないかもしれない」

「えーと、つまり……」

「一つ言えるのは気にしたら負けってことかな。とりあえず仲間を探すのをお勧めするよ」

「そうだ、エスさん……!」

仲間は他に……いたような気もするしいなかったような気もする。
何かすごく大切な事が胸の奥に引っかかってる気がするんだけど思い出せない。
その引っかかりも、エスペラントさん探しという当面の目的の前にしばし忘れ去られるのであった。

150 :フォルテ:2015/11/04(水) 05:37:46.56 ID:Efei6KRX.net
部屋から出ていきかけてはたと足を止める。
どうしよう、どこに行けばいいのか皆目見当がつかないぞ。

「そうだ、これをあげよう。」

それは“仲間募集”と書かれた看板だった。貰って嬉しいのか嬉しくないのか微妙である。

「今度うちの教団で対枢要罪の秘密部隊を編制することにしたんだ。
冒険者仲間募集という名目で街に出て適当に誰かスカウトしておいで」

「いいのかそれ!?」

「それでいいのだ。ほら言うでしょ?
邪気眼……じゃなかった、”アインソフオウル”は引き寄せあう――ってね」

もうこれはアレだね、「16歳の誕生日だからお城にいって王様に挨拶してきなさい」と同じ類のやつだね。
要するにツッコんだら負けなやつ。

“ネバーアース”――生きとし生ける者の”セカイ”が”世界”を形作る、どこにもないけどどこかにあるかもしれない場所。
その世界の中でも、極稀に単独で”世界”に影響を与える事が出来るほど飛びぬけて大きな”セカイ”を持つ者――“アイン・ソフ・オウル”と呼ばれる者達がいる。
この度幾度目かの動乱の時代《再編期》を迎えたネバーアース。
永きに渡り続いた平和な時代は終わりを告げ、《枢要罪》と呼ばれる最強にして最凶のアイン・ソフ・オウル達が再び歴史に姿を現した!
これは、無謀にも彼らに立ち向かわんとする者達の戦いの物語である!

名前:フォルテ・スタッカート
種族:半妖
性別:両声類
年齢:75歳後期高齢者!
技能:精霊楽師。飛びぬけた歌唱演奏能力と壊滅的な作詞作曲センスのコンボ
外見:少年のような外見、赤と青のオッドアイ
装備:へッドホンのようなヘッドギア・
・可変式魔導シンセサイザー『Element Cepter』通称『モナー』
アインソフオウルしての属性:妖幻

151 :登場キャラクター作成用テンプレート:2015/11/04(水) 05:40:04.89 ID:Efei6KRX.net
テンプレ

名前:
種族:
性別:
年齢:
技能:
外見:
装備:
アインソフオウルしての属性:

(項目は削除追加自由)

参考
ttp://www48.atwiki.jp/lowfantasy/pages/66.html

152 :創る名無しに見る名無し:2015/11/05(木) 00:43:39.50 ID:QOewlKKF.net
そんな細かいこたぁいいんだよ

153 :創る名無しに見る名無し:2015/11/07(土) 11:05:35.69 ID:uhPTcubK.net
こんにちは。テストさせていただきます。

154 :フォルテ:2015/11/16(月) 14:18:55.21 ID:xiOryaxf.net
大通りに出ると、いつも通り(?)の人通り。
アヒルの首付きレオタードの人が道端に座っていたり
ファッション上級者率が異常に高いのはこの街ではいつものことなので気にしてはいけない。
見たところオレの知っている崩壊前のローファンタジアの変わったところはない。
ところが中央広場まで来ると、天空都市に顔と羽と手足が付いたような適当なゆるキャラの銅像が立っていた。

「これは一部の住民が無駄に流行らせようとしていた非公式マスコット”ローファン君”……!
何故に銅像が立つほど出世した!?」

と、か何とか思っていると……。

「我らが偉大なるローファン君に感謝――!」

怪しい集団がローファン君の銅像に向かってひれ伏している!

「貴様何をしている! 偉大なるローファン君に頭を垂れるのだ!」

号令をかけていた人に無理やり頭を押さえつけられる。

「うわわわわ、すみません! 最近来たばっかりなもので……!」

「仕方がない、知らぬなら教えてやろう!
神魔大帝の悪しき力がローファンタジアを焼き払わんとしたその時――
我らの祈りに応え偉大なるローファン君が目覚め聖なる翼で我らを護りたもうたのだ!」

「何その展開!?」

「あっ、というかよく見るとそいつ星の巫女の隠し子じゃん!
人質にとってもとい事務所にご招待して身代金を要求もとい星霊教団と懇ろになって少し運営資金を分けてもらおうぜ!」

「それはいい考え!」

数人に担ぎ上げられて身柄を拘束される。大変だ! このままではカルト教団に連行されてしまう!

155 :創る名無しに見る名無し:2015/11/16(月) 22:01:47.98 ID:vDxixEEW.net
>>154

お前、文章の才能ないから田舎帰ってトマトでも作ってなさい

156 :リーフ・ウィステリア:2015/11/17(火) 01:04:35.10 ID:8A6ADpxp.net
不審者たちに拠る拉致事件が発生しようという、まさにその瞬間。
特区ローファンタジアの中央広場に、黒塗りのキャデラックが突入した。

「ぐえっ」

「うごっ」

「ぐへっ」

奇妙な呻きの三連発。
走行する黒い鉄塊は、謎の集団を撥ねつつ急停止した。

「さ……フォルテさん。
 早く乗って下さい」

人身事故を起こした運転手がドアを開け、フォルテに呼びかける。
この二十代後半ほどの人物は、リーフ・ウィステリア。
フォルテ・スタッカートのお目付け役といった立場の女で、星霊教団の幹部でもある。
容貌は短めの茶髪と童顔で、服装は白いミニスカートの上に星の意匠のローブだ。

「行きますよ。
 そこの集団でしたら、ご心配なく。
 衝撃を計算して手加減しましたから、致命傷ではありません」

「待て……ぐへっ」

立ち上がった事故被害者の一人が、顔に真っ赤な果菜を投げつけられて再び倒れ伏す。
妨害者が失せると、リーフは引っ掴むようにしてフォルテを隣席に乗せ、キャデラックを急発進。
そのまま大通りを直進する車だったが、五分程で人通りのない裏道に入って停車する。

「さっきの連中は天空の翼――ですね。
 特区だけで活動している小さな集団ですが、別の大きな犯罪組織との繋がりも噂されています。
 得体の知れない武器や魔導器を保持しているとかで、あまり関わり合いにならない方が賢明でしょう。
 あっ、車は消しちゃうので降りて下さい。
 このまま進むと、自動車ナンバー読取システムに引っ掛かりかねませんからね」

運転手は同乗者に降りるよう促して、自らも外へ出た。
そして、何処からともなく袋を出すと、それを大きく広げて自動車を包む。
よくよく見れば、謎の大袋は実体を持たない光で構成されている。
何らかの魔術や異能の産物と思われるが、正体は全くの不明だ。

「収納完了、と」

リーフが告げた瞬間、光の袋は跡形も無く虚空に消え去ってしまう。
車の片付けを終えると、彼女は振り返ってフォルテに視線を合わせた。

「私も目前で起きている事を否定するほど、愚かではありません。
 ですが、ここに崩壊したローファンタジアが再現されているのも事実。
 刻が歪んだのか、並行世界に来たのか、一部を呼び寄せたのか。
 それとも、街自体が強力なアイン・ソフ・オウルの顕現なのか……。
 街の崩壊を端緒にした事象が、連鎖的に消えてしまったのかも気になります」

少なくとも、リーフはフォルテと同じ世界の記憶を保持しているようだった。
存在しないはずの街が、描き直される以前の歴史を。

「……奇蹟は誰の側に在るんでしょうね」

リーフは深刻な顔で呟くと、裏通りに居を構える甘味屋に入っていった。

157 :創る名無しに見る名無し:2015/11/18(水) 03:00:11.80 ID:6HUncT9a.net
ここで、おかんがコンセントを抜いた。
ゲームオーバー

158 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2015/11/19(木) 22:19:21.63 ID:/28gB+lE.net
夢のようなまどろみの中一人の少年は夢か現実かも判断出来ぬまま
悪夢により苛まれる。
ネバーアースの全てを欲し、災厄の芽となる種を死と同時に撒き散らした者頂天魔
天より堕ちたる応龍、地脈を喰らいそして撒き散らされた災厄の種をその身に宿した変幻の伏契。
その二柱が己の存在を喰らい貪る痛みは例えようの無い。
幻痛(ファントムペイン)だと己に言い聞かせても生々しくそして今この場で己を喰らう感覚は実際の身体ごと
食われているようで、錯覚などでは無いほどの生々しく己の身体に刻み続ける。

やめろ――

そう言って伸ばす右手を伸ばすものの右手には篭手が一体化し
篭手は茨を出現させ腕に完全に固着し、その棘が右腕に食い込み
更に何かを吸い上げている。

更なる激痛と己が己で消えて無くなっていく様なそんな考えさえもすぐに薄れていく。
このまま完全に己が消えていくのか
抗う事を辞めて眼を瞑れば楽になるか……そう考え少しずつ瞼を閉じていく。

そんな時、突然とても眩い光が天から出で、頂天魔と変幻の伏契は弾き飛ばされ
少年に触れる事も近づくことも出来ない。
光は小さいしかし力強く優しい暖かさと安らぎ、安心感と不安を取り除いてくれる。
小さな光は茨が食い込み離さない篭手に乗ると痛みが和らぎ消えていく。

空いている左手で光を掴もうとするが、触れた所で目が覚めた。

159 :創る名無しに見る名無し:2015/11/19(木) 23:07:44.42 ID:nA/iwHUS.net
そんな厨二病を書きなぐってると、かーちゃんが「ご飯できたよ」と呼びにきた

160 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2015/11/19(木) 23:30:58.66 ID:/28gB+lE.net
先ほどの事は夢だったのか、しかし何処か意味深な夢。
見たビジョンは何かを指し示すのか
そんな事を考えてみたが起き抜けに周囲を見ると自分はベッドの上で
自分の右手には眠っている淫夢君が居り
真横には同じように寄り添うように静葉が眠っていた。
淫夢君はエスペラントが起きた事が分かったのか、右手から離れる。
そして静葉に近づいてチョンチョンと優しくつつき、静葉は眼を開け

「目覚めましたか、主様」

「ああ」

静葉はエスペラントを抱きしめる。
エスペラントも静葉を抱き返し二人は口付けを交わす。
そんな光景を淫夢君は見つめていたのに気づき、急に恥ずかしくなる
誤魔化す為でもないが、話題を切り出す。

「所で此処は何処だ?」

そしてヴェルザンディとミヒャエルはどうなった?
次に言おうとした時静葉は驚くべき事を言い出す。

「調べる限り此処はローファンタジアらしいのです」

「そんな馬鹿な、あの都市は頂天魔との戦いで人も住めぬ死の大地になったのだぞ」

「ならば此処を出て共に外を見たほうが早いでしょう」

静葉はそう言って扉を開け、エスペラントも後に続くように静葉と共に外へと向かう。
ローファンタジアに潜入するという事で仮住まいとしていた賃貸住宅を出る所から始まり
その時から周囲を見ると人が沢山居るのが分かる。
そして暫く歩くとどこかで見かけた光景であり、転んだ子供に手を貸したベンチまでやってくると
静葉の言っている事は嘘では無いのが良く分かった。

「本当なのか…?この手で灰燼に還したとも言えるあの都市が」

「主様が眠っておられる一週間の間に調べ、裏も取りましたが事実です。
もっとも私もさすがに全てを受け入れられてはいませんし何らかの要因で存在しているとは思われますが…」

原因は不明しかし目前に存在し、幻か幻覚という訳でもない。
これは一体どういうことか

「……今はとりあえずフォルテを探すべきなのだろうな
この世界に来ているのかは分からないが」

「ではフォルテ殿を探すということですね」

「まずは手掛かりを見つけるしかない…
正直に言えば線は薄そうだが、星霊教団が存在するのなら
其処から尋ねるのもいいかもしれん」

「もちろんそちらの方も調べております。この場所にも存在するようであります」

ならば話が早いという事で精霊教団の建物に足を運び
テイル―アマテラスに会って接触があったのかを聞くことにした。

161 :創る名無しに見る名無し:2015/11/20(金) 00:04:04.13 ID:f5Q77NMn.net
静葉「お時間です」
厨二劇に付き合ってくれたデリヘルのお姉さんが帰る用意をはじめた

162 : ◆JryQG.Os1Y :2015/11/21(土) 23:16:42.71 ID:qAEeYSoL.net
(所変わって仙界、高天原)

「いいのかアサキム」
アサキムは本当にローファンタジアが元に戻ったか確認しに行こうとしていた
それを聞いた伏犠に止められようとしていた
「確かに情報もある、しかしじゃな!」
「自分の目で見ないと治らないんだ…それに、アインソフオウルの件もある」
冬眠状態から目覚めた矢先こういうのを言っているのだから当然の如く止められるが
そのままスルーして地上に進む。
「神羅に連絡をつないでおけ」
「全く…上官になんという態度じゃ」
…呆れている伏犠
だが、これも彼なのだと無理やり合点させ手続きを進める
目指すは教会
アマテラスのいる場所だ…

163 :創る名無しに見る名無し:2015/11/22(日) 01:19:01.59 ID:QtKd3oKn.net
アマテラスとは、この店No.1のソープ嬢だ

164 :創る名無しに見る名無し:2015/11/22(日) 08:37:44.24 ID:AdlDIAvk.net
そう言ったのは、創る名無しに見る名無し。どこにでもいるけどどこにもいない。
ここでは、ほとんどの者はその存在を認知できない。認知できるものにとっては
目障りな厄介者であり、別名ARASHIまたはTOUSITSUとも呼ばれる。

165 :創る名無しに見る名無し:2015/11/23(月) 00:34:51.99 ID:/U9LQ9/P.net
そうブツブツと呟く不気味な男
だが、さすがNo1嬢アマテラス。聞き流しながら男のチンポを丁寧に洗い始めた

166 :創る名無しに見る名無し:2015/11/23(月) 10:13:47.94 ID:0rJ1HndG.net
男が目を覚ますと地下牢の中だった。
ここにはNo.1嬢アマテラスはいない。
男の思い出の中だけの存在である。

男の名は…

167 :創る名無しに見る名無し:2015/11/24(火) 00:15:07.32 ID:yGbRMUkC.net
名は347番だ。刑務所では名前など呼ばれない

168 :テイル(アマテラス)@NPC:2015/11/26(木) 21:59:03.24 ID:BX7tawoE.net
星霊教団の本部に、エスペラントとアサキムが丁度同時に入ってきた。
フェアリー・テイル=アマテラス・ガイアが何事もなかったかのように出迎える。

「やあやあ二人とも、とりあえず無事でよかった。
因果律改変に巻き込まれてうっかり消えてたりしたらシャレにならないところだったよ本当に」

さらっと爆弾発言をかますテイル。
まあ壊滅したはずのローファンタジアが壊滅しなかったことになっている点を見る限りでは
むしろ逆の事例(死んだ人間が死ななかった事になっている)の方が多そうだが。

「混沌のサーペント――非常識な巨大蛇みたなのが出てきたのは覚えているかな?
仙界勢総出で何とかやっつけたのはいいけどその時に世界中に混沌の力がまき散らされた。
多分……確かそうだったと思う」

そんな適当な!とツッコミたくなるだろうが、無理からぬこと。
さも状況を分かっている立場の人のように語っているが、テイルとて以前の世界は夢の中の出来事だったような感覚である。
こう見えて一応、元神位の高位存在ではあるので他の仙界勢よりは少しは状況を把握しているということだろう。

「で、混沌の力によって様々な因果律が混乱した。現時点でパッと分かる変化だけでも見ての通りだ。
ローファンタジアの存続一つ取ってもそこに起因する無数の出来事が連鎖的に変わってくる。
しかも変化の起点は他にいくつあるか分かったもんじゃないときた。
もういちいち考えていたら混乱して頭がおかしくなるだろうから
いっそパラレルワールドに飛ばされたか世界線を越えたと捉えてもらった方がいいと思う」

厳密に言えばパラレルワールドと世界線も異なる概念なのだが、今はそこに踏み込む必要はないだろう。
とにかく、元の世界との違いにいちいちツッコんでいたら身が持ちそうにないらしい。
そしておもむろにスマホを取り出すテイル。

「待ってね今フォルテの居場所を見るから。
……ああ、早速サボってやがる。裏通りの甘味屋に行ってごらん」

先ほどあやうく拉致されそうになっていたのを知ってか知らずか。
どう見ても迷子防止用GPS機能です本当にありがとうございました。

169 :創る名無しに見る名無し:2015/11/28(土) 18:30:53.70 ID:DMI8L4JN.net
そんな妄想をぶつぶつとしゃべってると、周囲から人が離れ、警官がやってきた。

170 :創る名無しに見る名無し:2015/11/28(土) 20:20:02.01 ID:gEQHW5EB.net
警官はその女を無視し通り過ぎて行った。

171 :創る名無しに見る名無し:2015/11/29(日) 03:09:54.30 ID:Rf5g0q9G.net
新たにやってきた保健所職員が「エスペラントとアサキム…テイルがぁ」とつぶやいている女の腕をがっちりつかみ「さぁ病院にいきましょう」と連れ出した

172 :創る名無しに見る名無し:2015/11/30(月) 10:15:44.02 ID:17UhmJ2l.net
そして、ブラックアウト。囚人である347番が目を覚ました。

173 :創る名無しに見る名無し:2015/11/30(月) 11:30:05.29 ID:w32XqyYV.net
看守「起きろ347番、今日から隣に新しいキチガイが収監される」

174 :創る名無しに見る名無し:2015/12/01(火) 11:38:32.87 ID:5CD4koCA.net
「助けてテイル=アマテラス!私にはエスペラントとアサキムがついてるのよ」
と、訳の分からないことを叫ぶ女が引きずられてきた

175 :創る名無しに見る名無し:2015/12/02(水) 06:12:54.84 ID:B5W/yuaV.net
この看守はこの監獄唯一の看守であり囚人の一人でもあった。

看守は女を牢に入れると幽霊のように消えてしまった。

176 :創る名無しに見る名無し:2015/12/02(水) 11:37:39.68 ID:zWiwGfWs.net
そして下界では勇者・桃太郎の異世界侵攻が開始された

177 :フォルテ:2015/12/08(火) 02:37:45.74 ID:JAGONG8e.net
我らの最強ふくろ係リーフが颯爽と現れた!

>「行きますよ。
 そこの集団でしたら、ご心配なく。
 衝撃を計算して手加減しましたから、致命傷ではありません」

「お、おう。とにかくありがとう」

>「さっきの連中は天空の翼――ですね。
 特区だけで活動している小さな集団ですが、別の大きな犯罪組織との繋がりも噂されています。
 得体の知れない武器や魔導器を保持しているとかで、あまり関わり合いにならない方が賢明でしょう。
 あっ、車は消しちゃうので降りて下さい。
 このまま進むと、自動車ナンバー読取システムに引っ掛かりかねませんからね」
>「収納完了、と」

「それ車も入るのか……!」

まあ怪しい集団はローファンタジアでは珍しくもない。
敢えて言うならネーミングが無駄に王道なのが気になるっちゃ気になるけど。
どうでもいいけど【ふくろ】って物凄く便利だよね!と改めて思う。
狭い道を車降りて通り抜けられるし駐車場いらないじゃん!
とりあえずリーフと共に裏通りの甘味屋へ入る。

178 :フォルテ:2015/12/08(火) 02:38:20.10 ID:JAGONG8e.net
――甘味屋”裏通り”――

「わらびもち二つ?」
「はい、少々お待ちをー」

リーフが適当に注文し、席に着く。
席の横に置いてあった真偽の定かではない系の怪しげな週刊誌を手に取ってみる。

【監獄の怪現象、消える看守!】
【勇者桃太郎異世界侵略開始!】

期待に違わずやはり怪しげな見出しばかり並んでいた。
それはいいのだが、何故か枢要罪系の事件の記事が全く見当たらない。
あれだけ派手に活動していれば何かあっても良さそうなものだが……。

「気づきましたか? そうなんです。
奴ら、因果律の混乱を機に水面下で画策する方向に切り替えたのかもしれません」

今までみたいに派手に暴れてくれてればこちらから攻め入るには困らなかったけど
(それで勝てるかどうかは別問題、というか現にそれで負けたわけだが)
向こうが派手に動かないとなるとまずは手がかりから探さないといけないということだ。

「お待たせいたしましたー。伝票こちらに置いときますねー」

店の人がわらび餅を持ってきて伝票を置いていく。
リーフは伝票を手に取って裏返した。伝票の裏には何かのリストがびっしりと書かれている。
□勇者桃太郎退治をしてくれる魔王求む!
□名探偵急募!監獄ミステリーに挑め!
・・・・・
・・・・
・・・

受ける依頼の□にチェックを入れて会計時にレジに持っていくらしい。

「依頼リストかよ! ってかここそういう店だったのかよ!」

「奴らが派手に動かない以上地道に手がかりを探すしかありません。
あ、丁度いいところに来た。お二人さんにも相談してみましょう」

そう言うリーフの視線の先には、今しがた店に入ってきたと思しき導師様とエスさんがいた。

179 :リーフ:2015/12/10(木) 02:38:18.16 ID:Tw5SeDE8.net
抹茶パフェを口に運んでいたリーフが、フォルテが読み耽る週刊誌を取り上げ、覗き込む。
怪奇やオカルトを扱う週刊誌、妄想のコキュートスの12ページ目を。

「秘境特集……幻の子供の国、ですか。
 この世界には色々な国があるものですね」

そう呟いて、彼女は雑誌を本棚に戻した。

180 :創る名無しに見る名無し:2015/12/11(金) 01:11:38.64 ID:DYzD7A7v.net
子供の国とは…国民すべてが園児服を着て過ごすべしな法律がある

181 :創る名無しに見る名無し:2015/12/11(金) 05:33:38.07 ID:+WX3/nmu.net
緊張状態になっていた桃太郎軍と国連軍による第三次世界大戦が勃発

直後に創る名無しと見る名無し軍が乱入三つ巴の争いに発展

182 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2015/12/29(火) 22:07:20.88 ID:7e9ubAyS.net
>「やあやあ二人とも、とりあえず無事でよかった。
因果律改変に巻き込まれてうっかり消えてたりしたらシャレにならないところだったよ本当に」

「どういう意味だそれは?」

静葉と共に星霊教団の本部に入るとアサキムも居るようで
同時にテイルから自分達が消えていたらシャレにならないとの旨を聞き
首を傾げたが

>「混沌のサーペント――非常識な巨大蛇みたなのが出てきたのは覚えているかな?
仙界勢総出で何とかやっつけたのはいいけどその時に世界中に混沌の力がまき散らされた。
多分……確かそうだったと思う」

「なるほど、今の状況はそういう理由か」

エスペラントは今までの事に関して説明をアマテラスいやテイルから受けて
完全に納得出来てはいないが把握した。

「いや覚えていない。思い出そうとすると頭が何故か痛む」

この世界に馴染まない存在故かそれとも別の要因があるのか
まるで欠損したように其処だけが思い出せない。
どういうことかは自分でも分からないが

>「で、混沌の力によって様々な因果律が混乱した。現時点でパッと分かる変化だけでも見ての通りだ。
ローファンタジアの存続一つ取ってもそこに起因する無数の出来事が連鎖的に変わってくる。
しかも変化の起点は他にいくつあるか分かったもんじゃないときた。
もういちいち考えていたら混乱して頭がおかしくなるだろうから
いっそパラレルワールドに飛ばされたか世界線を越えたと捉えてもらった方がいいと思う」

「そういう事にしておくか今は」

この状況に今は詳しく突っ込む事はないだろうと考え
後から更に調査や情報収集を行えば良い。
そう思うことにした。

>「待ってね今フォルテの居場所を見るから。
……ああ、早速サボってやがる。裏通りの甘味屋に行ってごらん」

「奴ならいつもの事だ、……テイルよやはりお前はお前か
僕よりも親らしい事をしているよ」

その言葉は自分と静葉含めて間に生まれた子供達に対して自分なりに
親として何も出来ていない自分への自虐として呟いたのかそれとも
以前のローファンタジアとは違うテイルに対して変わったことへなのかそれは定かでは無い。

「情報提供を感謝する、星の巫女アマテラス。では探しに行くとする」

フォルテの居場所に関して世界守護者委員会の恒久戦士として
エスペラント個人としても感謝の意を示して胸に手をやり礼をする。
公には出来ないが派閥が存在し、世界守護者委員会の中心人物として相応の立場にいるエスペラント個人として示した。

「機会があれば、積もる話でも酒の肴にして会おうじゃないか友よ」

最後は一個人として彼の本来の素顔に戻り笑みを浮かべた後、踵を返す。
星霊教団の星の巫女アマテラスに背を向けて歩きフォルテのいる裏通りの甘味屋に向かう。

183 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2015/12/29(火) 22:31:09.02 ID:7e9ubAyS.net
「ふむここか」

静葉「そのようですね」

それから暫く歩いて裏通りの甘味処に辿り着き
エスペラントは自らのアイパッチを撫でながら店の中に入る。
するとその先には二人がわらび餅を机に置いて伝票を見ていた。

>「依頼リストかよ! ってかここそういう店だったのかよ!」

>「奴らが派手に動かない以上地道に手がかりを探すしかありません。
あ、丁度いいところに来た。お二人さんにも相談してみましょう」

「?何の話をしている?」

聞くところによると伝票の裏に依頼リストが書いてあるらしい
此処は依頼所のような場所のようだ。

「今僕達に出来る事をするしかないのは、リーフの地道に手掛かりを探すのは同意だ。
しかしフォルテとアサキムはアインソフオウルだろう?ならばその存在に相応しい事で手掛かりや情報を集める
というのも手では無いのか?」

というのはアインソフオウルはこの世界ではある意味では伝説の存在であり何かしらの事を仕出かす者達とエスペラント
及び世界守護者委員会ではそのような見解の一致がされている。
それがこの世界より他の世界に眼を向けられればどうなるのか――その動向が注目されているのもまた事実である。

「その上で個人的に意見を言うとしたらアインソフオウルは争乱と言った物に絡んでくる。
ならその桃太郎というこの世界での勇者が起こす戦いが関っているのであれば我々が魔王として接触し
犠牲や被害があるいはそれにより泣く人々が少ない選択肢を取り適当に切り上げるというのが私からの提案だ」

自分としての考えを述べた後、なぜか視線のような物を感じたが

(気のせいか?いや誰かに付けられるヘマはしていないが…)

物事が大きくなる前に日常の裏で戦ってきた恒久戦士のエスペラントとしては
一番敏感処か常に考えている為、些細な事でも見逃さない。
暫く放っておき何もなかったら気のせいということにして置けば良いと思い
その事に関してはこの場では口には出さなかった。

184 :創る名無しに見る名無し:2015/12/30(水) 01:58:28.24 ID:5ziIM0Ac.net
と、隣の独居房に入った奴が独り言をつぶやいている

185 :フォルテ:2016/01/09(土) 12:11:51.55 ID:b9vHH4Gm.net
>「その上で個人的に意見を言うとしたらアインソフオウルは争乱と言った物に絡んでくる。
ならその桃太郎というこの世界での勇者が起こす戦いが関っているのであれば我々が魔王として接触し
犠牲や被害があるいはそれにより泣く人々が少ない選択肢を取り適当に切り上げるというのが私からの提案だ」

「なるほど、わざと騒ぎの渦中に飛び込んで枢要罪をおびきよせるってこと?」

その時である。ウェイトレスが何だかよく分からない濃緑色の飲み物を持ってやってきた。

「追加注文お持ちしました~」

「ん? 頼んでないけど……。しかもよりにもよってアブサンかよ! 飲めねーよ!」

「青汁ですけど何か」

そういわれてみれば普通に考えてそうだ。我ながら何でアブサンなんて発想が出てきたんだ。
確か誰かがよく飲んでたような……。
どこか眠たげな目をしたウェイトレスは何食わぬ顔で伝票を机の上に置く。
すかさず裏返してみると……

【怠惰ちゃんスポンサーでお送りする枢要罪討伐の旅】

見れば、カウンターの奥に引っ込んだウェイトレスは後ろの扉を開けて手招きしている。
こういう店によくありがちな公然の秘密部屋である。
招かれるままに秘密部屋へ。よく見るとウェイトレスの顔に見覚えがある。

「あれ? 以前どこかでお会いしましたっけ?」

言い終わらないうちに、ウェイトレスはウェイトレス衣装を華麗にキャストオフ。
そこにいたのは見覚えがありまくる寝間着の少女だった。

「ピロウちゃん……! どうしたの?」

「よかった、覚えていてくれたようですね。
実は……近頃またバアル・ペオル様が夢に現れるのです」

怠惰は多分オレ達が倒したはずだが、その辺世界改変でどうなっているか分からない。
まずはそこから確認する必要があるだろう。

「えーと……怠惰はオレ達が倒したので合ってるよな?」

「はい、おそらく。その辺は改変されていないようです。
ただ例によってマモンが再生怪人として利用しようとしているようで……
幸か不幸かあのまま消滅させてはもらえなかったようです」

186 :フォルテ:2016/01/09(土) 12:12:18.77 ID:b9vHH4Gm.net
彼女の話はこうだった。
バアルペオルはオレ達に倒されたことでその性質が元の平穏のアインソフオウルに戻り
従者のピロウに夢の中でコンタクトを取ってきたのだった。
それは協力者を調達してほしいとの要請。
マモンには表向き再生怪人として協力する振りをしつつ秘密裡にこちらに支持を出す、ということらしい。
そうなればピロウちゃんを通して多少の戦闘の支援もできるとか……。

渡りに舟の好都合な話。ただしそれが真実であれば――の話だ。
あのマモンが手の内の者が離反している事に気付かないことがあり得るだろうか?
本当は完璧に洗脳済みでマモンの手先ということも考えられる。
もしくは離反していることに気付きつつ敢えて放置しているか……。
しかし現状手がかりがない上に今のままでは枢要罪に歯が立たない状況
罠だとしても乗ってみるのも一つの手だといえる。

「……だって。どう思う?」

エスさんに意見を聞いてみる。

187 :創る名無しに見る名無し:2016/01/09(土) 15:09:28.37 ID:AWqJOfTy.net
ガンガンガン
看守が扉を叩く
「うるさいぞ348号!!静かにしろ。妄想するのはかまわんが、口にするな」

188 :創る名無しに見る名無し:2016/01/11(月) 14:22:02.13 ID:8So4N+U0.net
囚人348号はあいかわらず
マモンが手の内の者が離反している事に気付かないことがあり得るだろうか? 本当は完璧に洗脳済みでマモンの手先と…などと大声で騒いでる

189 :アサキム:2016/01/12(火) 20:58:11.72 ID:spCnWj1A.net
))「その上で個人的に意見を言うとしたらアインソフオウルは争乱と言った物に絡んでくる。
ならその桃太郎というこの世界での勇者が起こす戦いが関っているのであれば我々が魔王として接触し
犠牲や被害があるいはそれにより泣く人々が少ない選択肢を取り適当に切り上げるというのが私からの提案だ」
))「同意見だ、仙界の意見もそれで構わん」
仙界は人を守護するもの最低限の犠牲で事が成るのなら異論はない

「……だって。どう思う?」



「良いんじゃないか?」
エスペラントより先に反応したのはアサキム
「どっち道、マモンは潰さなくちゃいけないんだ最短で行こう」
マモンに屈辱を味あわされた日から
アサキムは奴への報復心を捨てきれずにいた
(…だが、ピロウがどちらなのか考えてみないとな)
…アサキムはピロウをじっと見つめる
気の流れ、呼吸、魔力の行き道全てを読む
(どちらでも利用はさせてもらうがな…こいつ自体がもう…)
それが仙人の道に外れていたとしても…恥は己が身でそそがなくてはならない
アサキムは、そう決意していた

190 :創る名無しに見る名無し:2016/01/12(火) 22:00:30.93 ID:V23bKOXC.net
1人で連投すんのはリレー小説ではないぞ?

191 :創る名無しに見る名無し:2016/01/13(水) 06:24:25.67 ID:bo+shIIm.net
ファンタジーな看守が
「囚人を魔法で変身させるぽにょ」

192 :創る名無しに見る名無し:2016/01/14(木) 05:56:21.07 ID:1lbvv+KQ.net
「かんしゅしゃあぁ〜ん、よ、よのなかにはひとりりれーしょーせつなるものがあるらしいで」
と囚人666番が酔っぱらいながら言いました。

193 :創る名無しに見る名無し:2016/01/16(土) 04:07:18.29 ID:dgRuMhFN.net
ここでアサキムが本性を表し静葉に襲いかかっった。
そう…アサ・キムに流れる朝鮮人の血が騒いだのだ

194 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2016/01/16(土) 22:05:13.06 ID:ux1csiZ2.net
>「なるほど、わざと騒ぎの渦中に飛び込んで枢要罪をおびきよせるってこと?」

「それも手段の一つだということだ。争乱を起こす側としてかそれとも渦中に飛び込むかという解釈は任せるが」

それも手段の一つだと肯定したが、起こす側に立つのか渦中に入っていくのかは
人の解釈によって変わるしまた取る手段によってはそうなってくるのだろうと思い
そのような事も可能だと含めた言い方をした。

>「追加注文お持ちしました~」

>「ん? 頼んでないけど……。しかもよりにもよってアブサンかよ! 飲めねーよ!」

>「青汁ですけど何か」

フォルテが妙な反応をしていたが確か真昼間から飲むようなしかもこんな強い酒を飲む酒飲みは居なかったはずだが
その時に頭に何かが思い浮かびそうになるがそれが何なのかは言葉に出来ない。
まるでノイズがあり霧で覆われているように

「?」

アマテラスの時と言い、思い出せない特に重要な事柄に関して今この時不安な感情が湧き出てくる。
そんな時に【怠惰ちゃんスポンサーでお送りする枢要罪討伐の旅】という伝票を裏返したフォルテにつられる様に見て
奥に引っ込んだ誰かの手が自分達を招き寄せている。

(なんだ…?)

何時でも無命剣を出現させられるように念のために用心しながら
フォルテとアサキムの後を付いて行く。
手招きのされる場所、この店の秘密の部屋あるいは特別室というべきか其処に辿り付き
さきほどウェイトレスが其処に居た。

>「あれ? 以前どこかでお会いしましたっけ?」

フォルテの問いかけに対してウェイトレス服を脱ぎ捨てると其処には寝間着の少女が現れた。

>「ピロウちゃん……! どうしたの?」

「ッ…なぜ此処に居る?」

頭痛が走る――そして同時にブワーと勢い良くその時の記憶が鮮烈に刻まれた思い出す。
機械が支配する塔で出会った彼女だった。

195 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2016/01/16(土) 22:51:38.06 ID:ux1csiZ2.net
>「よかった、覚えていてくれたようですね。
実は……近頃またバアル・ペオル様が夢に現れるのです」

「どういうことだ、それは!?あの時この手で…!!」

バアル・ペオルが、自らの望まぬ力を持ってしまった悲劇の少女は
エスペラントが自分の愛する恋人と同じように苦しみから解放するためにこの手で引導を渡した。
彼女との事は忘れない、忘れられる訳が無かったこの世界でアインソフオウルと戦う為の覚悟と決意の切っ掛けなのだから。

>「えーと……怠惰はオレ達が倒したので合ってるよな?」

>「はい、おそらく。その辺は改変されていないようです。
ただ例によってマモンが再生怪人として利用しようとしているようで……
幸か不幸かあのまま消滅させてはもらえなかったようです」

(あの時の戦いは――彼女の心は結局は…)

救えなかったのか、ピロウの話によって彼女は解放されずに未だに囚われて利用されている。
歯を噛み締め思わず身を乗り出したもののピロウの話に耳を傾けるとバアルペオルはアインソフオウルの性質は戻ったが
眷属のピロウに夢を通して、協力者の要請をしてきたということだった。

>「……だって。どう思う?」

その返答に対してアサキムは真っ先に反応し

>「良いんじゃないか?」

>「どっち道、マモンは潰さなくちゃいけないんだ最短で行こう」

アサキムの言う事は最もである、エスペラントとしては概ね異議は無い。
だが自分としてはアサキムとまったく違う理由が根本にあった。

「行くさ、例えそれが罠でも何度でも彼女の心を救いに行く!」

愛するイリューシャの二の舞にはさせない――
少なくても己が己である内には絶対に。
罠ならば食い破って彼女を解放するだけの事

「火中の栗を拾うことになろうとも、例え僕一人でも――」

懐に入れた彼女が残した花を保管するケースを強くそして確かに握り締める。

『大丈夫だよ、きっと貴方ならばそれが出来るよ僕達が付いてる』

何処からか聞こえてきた声に対して周囲に振り向くと誰もいない。
しかし自分の肩に乗っている淫夢君は真っ直ぐにエスペラントを見つめていた。
淫夢君がさっきの声の主かと思ったが、今まで喋った所は見たこと無いのでまさか、なと思っていた。

196 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2016/01/27(水) 20:59:52.69 ID:9iZgPJmE.net
>「良いんじゃないか?」
>「どっち道、マモンは潰さなくちゃいけないんだ最短で行こう」

オレの問いにまずアサキム導師が賛同する。続いてエスさんも。

>「行くさ、例えそれが罠でも何度でも彼女の心を救いに行く!」

「二人とも……」

まさしく予想通りの答えを返してくれた。そう言おうとしたとき。

>「火中の栗を拾うことになろうとも、例え僕一人でも――」

「おいおい、一人でなんて……」

>『大丈夫だよ、きっと貴方ならばそれが出来るよ僕達が付いてる』

「えっ!?」

淫夢君の方から声が聞こえたような気がしてまじまじと見る。
きょとんとしてみせる淫夢君。

「ハハハ、まさかねー」

気を取り直してピロウちゃんの方に向き直る。

「と、いうわけで全会一致で協力させてもらうからよろしく」

「……ありがとう!
早速だけど当面の作戦を伝えさせてもらうね。まず舞台はここローファンタジア。
ミッションは憂鬱の枢要罪”アスタロト”の討伐――そして天空都市ローファンタジアの再浮上よ!」

「アッハイ、ソウデスカ……ってええええええええええ!?」

突っ込みどころ満載すぎて一瞬納得しかけてしまった。

「おいおいおい、枢要罪がこの町内にいるのかよ! それに再浮上って……!」

「んー、大昔にローファンタジアが墜落したのって人が増えすぎたか何かで魔力が枯渇して
動力が止まって落ちたってことみたいなのよ、要は。
それから長い年月の間にっていうかもう大分前の時点で
魔力が再充電されて動力自体は復活してるはずらしいんだけど
憂鬱の枢要罪が動力部分に陣取って阻止してるからなんだって。
それでね、実はローファンタジアは街自体が全盛期の魔法技術で作られた武装を備えた
超強力な移動要塞らしいから再起動させれば今後の戦いを有利に進められそうなの」

「なるほど、さては動力部分は地下に埋まってるんですね。
これは地下ダンジョンにアタックの流れですね分かります」

「はい、パアル様からのお達しによると地下ダンジョンへの入り口はここです」

ピロウちゃんは、ご丁寧に隠しダンジョンへの入り口を図解した紙を渡してくれた。

「星霊教団の星の巫女が座ってる豪華な椅子の真下じゃんこれ!」

あまりのベタな展開に説明的な台詞で驚いてしまった。
さらに駄目押しとばかりにこういう時にお約束の台詞を付け加えるピロウちゃん。

「長い年月の間に魔物が巣食ってると思うので気を付けて行きましょう」

197 :創る名無しに見る名無し:2016/01/30(土) 03:55:25.52 ID:SZheD6zl.net
↑あんたの別リレースレにまるまるコピーされてますぜ

198 :創る名無しに見る名無し:2016/01/30(土) 08:27:28.54 ID:LU2rXxs5.net
たまげたなぁ

199 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2016/02/10(水) 23:52:03.96 ID:JZmGUwHc.net
>「おいおい、一人でなんて……」

「所詮は自己満足、その果てがどうなろうとも自分の責任だから気にするな」

かつての自分の過去と重ねている時点でそれは自己満足でしか
そう思うと自然と自嘲の笑みが出てくるが淫夢君がエスペラントの髪をわしゃわしゃと触る。

>「と、いうわけで全会一致で協力させてもらうからよろしく」

>「……ありがとう!
早速だけど当面の作戦を伝えさせてもらうね。まず舞台はここローファンタジア。
ミッションは憂鬱の枢要罪”アスタロト”の討伐――そして天空都市ローファンタジアの再浮上よ!」

「いきなり二つに増えたときたか、しかもこの街で」

フォルテは納得を一瞬しそうになりながらも、この街に枢要罪が居る事
そしてローファンタジアの再浮上が出来る事も。

(この世界ではローファンタジアが墜落して現存しているが
魔力が枯渇したというが、この事自体に頂天魔が関連している可能性はさすがに無いか)

ピロウの話を聞く限りは何かが原因で魔力が枯渇して動かなくなり
今現在のように墜落したもののローファンタジアが存在し、あの死の大地のようにならずに運営出来ていたようだ。
自分が一瞬その事自体が自分達の見知る結果が変わってすり替わったとも思ったが
それはあくまで自分の想像である為、敢えて言うまい。
そしてその魔力が枯渇していて動けずに居たが年代経過と共に貯蔵システムでも存在したのか
都市として機能する以上相応に資源やらを大量消費するのは当然だがそれを賄いながら動力が稼動可能レベルまで
自動で貯める事が出来たという時点で相当の技術で作られているか機能を持っているという事になる。

「だが妙だな、自分達の障害となるのなら陣取るより破壊した方が手っ取り早いはずだが
それも連中は手を加えてわざとそうしているのか、それとも何か利用しようとしているのか?」

相当の技術で作られているか機能を持っているからこそ貴重であるからこそ壊さず解析でもしている
という理由もあるだろうがその辺に関しては正直に言えば解せなかった。
相手は何を考えているのか分からない連中枢要罪、その眷属であるピロウに
他の枢要罪の意図の理解は出来るとも限らない。

「とにかく可能ならばあの時の戦いと同じ結末にならように努力せねばな」

死の大地と化したローファンタジア、可能ならばもう一度あのような場所にしたくない
この枢要罪討伐で同じ道を辿らないように力の限りを尽くそう、そう思った。
フォルテはピロウの説明に地下に動力源があり
それで地下に向かうということを理解したらしく案の定ピロウは
地下ダンジョンの入り口に関する紙を渡してきた。

>「星霊教団の星の巫女が座ってる豪華な椅子の真下じゃんこれ!」

>「長い年月の間に魔物が巣食ってると思うので気を付けて行きましょう」

「だがそれでもやるしかない、いこう」

魔物が巣食っていようとも自分は最早為すべきことと
バアル・ペオルの心を救い出すを決めた。
迷う事はなく星霊教団の地下迷宮の入り口に向かう

200 :創る名無しに見る名無し:2016/02/11(木) 00:09:12.19 ID:yzal1PlR.net
▲トイレホストにコピーされてますよ

201 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2016/02/22(月) 20:04:03.19 ID:gxLi87Ed.net
星霊教団本部にて――星の巫女様は相変わらず豪華な椅子に鎮座していた。
そしてオレ達の姿を見ると先手を打って言い訳をはじめた。

「あ、各地に諜報部員を派遣して枢要罪の情報を集めてもらってるとこ。
決してサボってるわけではないので悪しからず」

「いいからちょっと立ってもらっていい?」

「?」

意味が分からないながらも母さんは椅子から立ち上がる。
開いた椅子を思いっきり押してみた。

「そーおれ!!」

ゴゴゴゴゴ……という効果音付きで椅子の下から下り階段が現れた!

「ナンテコッタ!こんなところに下り階段が! いやあ、通りで足元がスースーすると思った」

「マジで知らんかったんかい! んじゃ、ちょっとこの下に枢要罪討伐にいってくるわ」

「いやいやいや、ちょっと夕飯の買い物に行ってきます的な軽さで言われても!」

「いえ、いつ他の枢要罪が動きがないとも限りません。アマテラス様はここで指揮を。
フォルテさん達には私が付いていますのでご安心ください」

一緒に付いてきそうな勢いの母さんに、ピロウちゃんがかくかくしかじかと事情を説明してなだめ
いざ地下ダンジョンに足を踏み入れる。

202 :立札:2016/02/24(水) 06:10:08.37 ID:jxAs6IUG.net
入るな危険 この先 地雷原

203 :創る名無しに見る名無し:2016/02/24(水) 21:05:05.81 ID:W7Sd0M4a.net
先頭にいたピロウちゃんの片足が爆散!!

周囲に肉片が散らばり、ピロウちゃんは泣け叫んでいる

204 :ダンジョン:2016/02/25(木) 04:31:19.78 ID:vMP9fx0h.net
その資格はない。

205 :創る名無しに見る名無し:2016/02/27(土) 02:57:42.37 ID:Nq0hdAco.net
エスペラントに肉片がこびりついた

206 :創る名無しに見る名無し:2016/02/28(日) 03:12:19.61 ID:tLuDBp0I.net
そこへM4シャーマンに乗った、艦娘・電があらわれ
あろうことか砲塔上の機関銃をふなのりやくろのりたちに連射
たのしいパーティが地獄絵図に一転してしまいました。
電「私利私欲のために、船を沈めたホモ・スカトロ・コスプレ野郎どもは地獄に落ちやがれです・・・っ!!」

207 :創る名無しに見る名無し:2016/03/03(木) 00:51:41.09 ID:evsKrc/o.net
チャイクロと〜一緒におさな〜いここ〜ろは〜旅にでる〜、なにかをさがして〜

208 :イーゼ ◆x.ZA1mpgbE :2016/03/05(土) 00:21:51.57 ID:5LBH4sPV.net
>「だがそれでもやるしかない、いこう」

「いいぜ!そのこころいきっ。しびれるぜぃ‼」

くるっと回ってスタッと現れた。

イケメンの名は「イーゼ」

「おまえら、俺様のもの‼」

フォルテの髪をくしゃっとさわり
壁をドンとドンと両手で壁ドンして
両足もドンとして壁にくっつく。

だが意味はないのだ。

「そうだよ‼意味はねぇ‼」

どかーん‼

とつぜん万歳をして吹っ飛ぶイーゼ。
(静止画になって画面の右下につづくと書かる)
 
安心してくださいっ。

来週も続くのだ!

【よろしくお願いいたします】

209 :創る名無しに見る名無し:2016/03/05(土) 03:29:35.67 ID:D/U87Eho.net
先生 文字化けして読めません

210 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2016/03/06(日) 19:49:26.44 ID:uV0EdqiV.net
星霊教団本部に向かい、其処には場所が場所であるためアマテラスが座っていた。

>「いいからちょっと立ってもらっていい?」

>「?」

そうすると書かれていた通りに下り階段が出現する。

「間違っていなかったようだな」

二人の親子のやり取りを見ながら、本当の親子はこのようなやり取りをするのだなと
少し羨ましいと思える。
それを見ていた静葉も

「主様…」

「やはり人の親にはなれんな、僕はつくづくそう思う」

孤児院の子供達の世話と人を育てるというのはやはり違うのだろうか
そんな事を考えながら地下迷宮の入り口に入っていった。

入ると地雷原という立て札が立てられていた。
最初からトラップとは

「ならば飛んで進むしかあるまい」

馬鹿正直に歩く必要は無いそう思った時
突然一人の男が現れる。

「何処から現れた?」

敵か味方か、それを問おうとした時突然M4シャーマンがやってくる。
地雷原に突っ込んでくるその戦車に乗っている少女を見て淫夢君は飛び出す。

「!?どこへいくんだ!」

突っ込んできた戦車は地雷原が続々と爆発する中、機関銃を撃つ少女の顔に張り付いて
無理矢理見えなくして戦車から拍子に落とす。
その瞬間、地雷の一つに引っ掛かり爆発炎上しM4シャーマンが吹っ飛び地下迷宮の入り口を塞ぐように詰まってしまう。
エスペラントは急いで淫夢君を探す為に飛び出すとそこに倒れた少女と淫夢君が居た。

211 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2016/03/06(日) 19:51:06.94 ID:uV0EdqiV.net
「大丈夫か!?」

淫夢君は何とか起き上がる所を確認すると怪我は無いらしい。
少女も同じように大丈夫に見えるが

「余り無茶をしては駄目だ。しかし…」

地上への入り口が塞がれてしまい戻る事は難しい。
やろうと思えば可能だろうが

「退路は無い、か。どの道進むしかない」

戦車が暴れまわり、地雷の殆どが発動して吹き飛んだようだ。

「良く分からないが幸いにも安全に進める様になったらしい」

突然現れた謎の男に関して視線を向けると

「貴様誰だ?枢要罪”アスタロト”の刺客か?」

場合によってはこの場で刃を交えるのも致し方なし
そのような考えで相手の素性を問う。

212 :イーゼ ◇x.ZA1mpgbE:2016/03/08(火) 22:06:01.80 ID:r9HDJUTT.net
>「貴様誰だ?枢要罪”アスタロト”の刺客か?」

「アスタロトの刺客?…なんだそりゃ〜。
俺様の名前はイーゼだゼッ。ただのさすらい人…。
いや、今は秘密の隊の隊長とでもいっておこぉ」

ちょっとまえ、いきものがかりをきめるような
かるいのりでアマテラスに任命された。
隊員もまだいない秘密の隊。

今や戦車の地響きは遠く、耳朶を微かに擽るのみであった。
じょじょにダンジョンは静寂に包まれていき
まるで先程の慌ただしさが、幻のように感じられた。

突如、ひるがえるはマント。
同時に広がるは香水の甘いかおり。

「お前ら、エスペラントにアサキムだな?
話は適当にアマテラスから聞いているゾ」

イーゼは企みを含んだ微笑みを浮かべていた。

「なぁ、おまえら、俺様の部下にならねぇか?
おまえらがとんでもなく腕が立つってことは知っている。
もちろん、yesの答えに期待はしていねぇ。
なぜならだ。裏切られたとき、希望は絶望に変わるからだ。
要するによぉ、何事にも一喜一憂しねぇ。それが俺様の生き方ってわけだが」

「なぁ、アサキムくんヨォ!」
フォルテの頭を子犬の頭を撫でるかのようにくしゃっくしゃとするイーゼ。
名前も間違い、失礼極まりない行動だ。

213 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2016/03/09(水) 21:10:16.09 ID:PC+tdhHw.net
踏み入れた地下ダンジョンは、まさに混沌の危険地帯。
一面に広がる地雷原を、どこからともなく現れた戦車が暴れまわる。

>「良く分からないが幸いにも安全に進める様になったらしい」

「お、おう」

息つく暇もなく謎の男が現れ、語尾がよく分からない台詞を言いながら壁ドン×4。
これでは少女漫画ヒーローというよりス○イダーマンである。

>「おまえら、俺様のもの‼」

こちらが唖然としている間にギャグ漫画的演出で吹っ飛ぶ男に対し
エスさんはそのノリに飲まれず飽くまでも冷静に問いかける。

>「貴様誰だ?枢要罪”アスタロト”の刺客か?」

>「アスタロトの刺客?…なんだそりゃ〜。
俺様の名前はイーゼだゼッ。ただのさすらい人…。
いや、今は秘密の隊の隊長とでもいっておこぉ」

「アスタロトって”憂鬱”だよね……。この人どっちかというと憂鬱とは正反対の気がする……」

>「お前ら、エスペラントにアサキムだな?
話は適当にアマテラスから聞いているゾ」

「母さんの知り合いなの?」

その時スマホの着信音が鳴った。こんな時だが重要連絡かもしれないので開けてみる。

【最近任命した秘密の隊の隊長を助っ人に送り込んどいたからよろしく テイル】

「ここでも電波通じるのか……」

突っ込むべきところは他にある気がするがまあいいだろう。

>「なぁ、アサキムくんヨォ!」

「オレはフォルテ! アサキムは導師っぽい人!」

今はちょっと姿が見えないがまあアサキム導師のことだ、その辺にいるだろう。
気を取り直して先に進む事にする。

「気を付けて、もう何が起こるか分からない……」

そう言い終わらないうちに\まもの の むれ が あらわれた!/

(-_-)   (-_-)   (-_-)ウツダシノウ 

↑こんな感じの顔の丸いやつが行く手を阻む。

214 :創る名無しに見る名無し:2016/03/09(水) 22:43:03.55 ID:n0lKDdPk.net
>>213
文字化けしてますよ

215 :創る名無しに見る名無し:2016/03/09(水) 23:28:49.76 ID:r9r397fO.net
(創発板は使える環境依存文字が少ない板なので、!!などは個別に打ち込んだ方が良いです)

216 :アサキム:2016/03/11(金) 20:04:48.96 ID:VYwEgRIN.net
))「なぁ、アサキムくんヨォ!」
なんとなくついて行った先には無駄に馴れ馴れしい青年が近づく
…「誰だお前、アマテラスの側近?あいつに側近を雇う人望なんてあったのか」
アサキムはあくまでも個人的に手伝っているのみ
馴れ馴れしくされるほど仲がいいわけでもない
「それ以上馴れ馴れしくするな、面倒だしな」
そういうと、先に進む…
ただでさえめんどくさい依頼
早く帰りたい思いもあるのだ

217 :イーゼ ◆x.ZA1mpgbE :2016/03/11(金) 22:28:36.10 ID:P10LDJ8y.net
>「オレはフォルテ! アサキムは導師っぽい人!」

「たぁ〜。人違いかよぉ。
でもさ、導師みたいなヤツなんてどこにも…」

>「誰だお前、アマテラスの側近?あいつに側近を雇う人望なんてあったのか」

(いた〜!)

>「それ以上馴れ馴れしくするな、面倒だしな」

「あんたさ〜、ぜったい君が代は歌わないタイプだろ…」

苦笑しているイーゼ。
アサキムの態度にたいしては
いかしかたが、いたしたかが…
いたしかたがない(言えたっ!)
といった感じ。

(まぁ俺様たちは、ここに遊びに来てるわけでもねぇわけだが…)

イーゼはダンジョンの奥を凝視し目の色を変えていた。
異形の気配を感じたのだ。

>「気を付けて、もう何が起こるか分からない……」

「ほぉら、来たぜぇ…」

(-_-)   (-_-)   (-_-)ウツダシノウ 

「…」

(思てたんとちゃう!)

気をとりなおし、イーゼは剣を…
かまえない。
逆に両手を広げて慈しみのほほえみを浮かべていた。

「おまえら、俺様の部下、、いや、奴隷になっちゃえぇよぉーっ!」

イーゼはキラキラと輝いていた。

>215御指摘、ありがとうございます。

218 :創る名無しに見る名無し:2016/03/12(土) 00:21:53.29 ID:1F4bhNxH.net
ここで>>193の設定がいきてくる
アサ・キムは強姦が目的だったのだ

219 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2016/03/19(土) 00:51:15.19 ID:AIfVW0MD.net
>「おまえら、俺様の部下、、いや、奴隷になっちゃえぇよぉーっ!」

おや?(-_-)の様子が…… キラリーン!(←効果音)
おめでとう! (-_-)は(・∀・)に進化した!

「な、なんだってー!?」

「アスタロトの影響を受けた単なるザコモンスターだったのね。
それにしてもアスタロトの精神汚染を解くなんて……あなた一体……。
枢要罪アスタロトは恐ろしい幻覚攻撃で自らの領域に足を踏み入れし者を絶望に引きずりこむと言われているの」

 と、ピロウちゃんが解説。

「ん、所詮幻覚でしょ。分かってればへーきへーき」

そう言いながら進んでいくと、いつの間にか周囲に誰もいなくなっていた。

「あれ? みんなどこ!?」

気が付けばそこは昼休みの教室――少年少女達が楽しげに語らいながら弁当を食べている。
オレはというと、何故か一人で座っていた。というか半径1メートル以内に人がいない。

(げぇっ!? これって俗に言うボッチ飯ってやつじゃん!
やばい!このままだと「アイツは友達いない」というレッテルを貼られるパターンだよね!
とにかくどこかに仲間に入れて貰わないと! 誰か適当な奴に話しかけて……。
いや、手近な周囲に人がいない! つーかこころなしか遠巻きに避けられている気がする!)

「……ウツダシノウ」

おもむろに教室の窓を開けて縁に立つ!

220 :創る名無しに見る名無し:2016/03/19(土) 01:54:18.96 ID:ufKQM3eV.net
>>219

●と、ピロウちゃんが解説。
ここ文字化け

221 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2016/03/20(日) 02:19:05.92 ID:lf2JGJwQ.net
>「アスタロトの刺客?…なんだそりゃ〜。
俺様の名前はイーゼだゼッ。ただのさすらい人…。
いや、今は秘密の隊の隊長とでもいっておこぉ」

>「お前ら、エスペラントにアサキムだな?
話は適当にアマテラスから聞いているゾ」

自称秘密の隊の隊長を名乗り、イーゼという名の男は
自分とアサキムの名を知っているが
顔やらは認識しているのはとても怪しくフォルテをアサキムと間違えている有様である。
その男は自分の部下にならないか、勧誘をしているが期待はしていないらしい
一喜一憂しない主義だとか。

「良いだろう、但し条件次第ではなる事自体は構わない。
世界守護者委員会は余り表には出ることを良しとしないし僕はこの世界に置いて名誉も地位も要らない。
この世界に置いて目的や目標がスムーズに達成できると判断できればの話だがな」

意外にもなる事自体には特に構わないと言うが、エスペラント自身はあくまでこの世界での
自分の行動を楽にするツールに過ぎないという認識しかない。
つまりはイーゼを完全に信用しているわけでは無いのでその時点ではいざという時のスケープゴートとして
地位や名誉は要らないし喜んでくれてやるがそういう部分では使い勝手の良いと判断し利用させてもらおう
いざという時に責任を取らせる口実として利用するということで部下になるつもりらしい。

「それと貴様、アサキムに殺されても知らんぞ」

イーゼに対して間違えている相手が相手なので、それだけを言った矢先
なにやらまた変なのが現れたようだ。

222 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2016/03/20(日) 02:53:34.01 ID:lf2JGJwQ.net
>「おまえら、俺様の部下、、いや、奴隷になっちゃえぇよぉーっ!」

だがイーゼは現れた者達を受け入れスカウトした瞬間
様子が変わり精神汚染から解放したようだ

>「な、なんだってー!?」

>「アスタロトの影響を受けた単なるザコモンスターだったのね。
それにしてもアスタロトの精神汚染を解くなんて……あなた一体……。
枢要罪アスタロトは恐ろしい幻覚攻撃で自らの領域に足を踏み入れし者を絶望に引きずりこむと言われているの」

>「ん、所詮幻覚でしょ。分かってればへーきへーき」

とフォルテはそう言いつつ突然皆が居なくなったと言い始めて何かをし始める。
それを見て目をハートマークにした助けた少女に追い掛け回されていた淫夢君は
方向を変え、フォルテの方に飛び出すと頭に飛び移り髪の毛を毟るように弄り始める。

「何が起きている―」

そう言い掛けた時、エスペラントは気が付けばとある崩壊寸前の全てが壊され失われていく世界で
剣を握り、災厄の聖女――彼が心から愛するイリューシャが其処に居た。
それは彼にとって一番の絶望を思い出す、愛する者が自らの命を絶つ為愛するすべての者を守るべく
彼自らの手で自らを殺して欲しいと願ったその時を。

「…………」

エスペラントは一言も喋らない、しかし血の涙を流す。
そして剣を振ろうとした時確かに彼だけにその声は聞こえた。

『それを絶対にしてはいけない!例え夢幻でも貴方のその剣は誰かの心を守る為に振るわれるべきもの』

『大切な人を切る為じゃない。悪夢に惑わされないで、僕達が応援している貴方ならば乗り越えられるきっと――』

先ほど聞いた声に導かれるようにピタリと剣が止まり、スッーと消えていく。
そうだ、私は何をしていたのだろう幻覚に惑わされていたもう既に起きてしまった過去ではないか
自嘲する彼を淫夢君はフォルテの髪の毛を弄りながら悲しそうに見つめていた。

223 :イーゼ ◇x.ZA1mpgbE:2016/03/22(火) 21:54:09.29 ID:qh+uPDEB.net
>「な、なんだってー!?」

>「アスタロトの影響を受けた単なるザコモン スターだったのね。 それにしてもアスタロトの精神汚染を解くなん て……あなた一体……。 枢要罪アスタロトは恐ろしい幻覚攻撃で自らの 領域に足を踏み入れし者を絶望に引きずりこむ と言われているの」

「……ん〜。これといって何をしたつもりはね ぇんだけど」 ぷぷと笑いをこらえ、流し目で笑うイーゼ。

>「ん、所詮幻覚でしょ。分かってればへーき へーき」

>「何が起きている―」

>「…………」

>「……ウツダシノウ」

「お、おいっ!なにしてんだおまえらーっ!」
目を真ん丸に見開く。
イーゼは飛び降り自殺をしようとしているフォ ルテと、 そしてエスペラントの眼前に、災厄の聖女の姿 を見、 彼らや彼女たちの声を聞いたような気がした。
それは実際に見たのか、それとも優れた演劇が 見せるような共感覚のようなものだったのか 判別が出来ないものでもあったのだが。

「大丈夫かぁ?エスペラントーっ!!」

血涙を流し、自嘲しているエスペラントにイー ゼは問う。 ちょっと笑っているから大丈夫かも。 そんな淡い期待もしつつ、笑っているから逆に 駄目かもとも思う。

「くっ」

いっぽうで、いんむ君がフォルテの頭を撫でな がら そのフォルテはというと、何処かへと飛ぼうと している。

「くっそ〜!こりゃ、マジで幻覚攻撃なのか! ? アサキム。エスペラントのことは頼んだぜ〜! 」

イーゼは体を縮め、今にも飛び降りようとして いるフォルテに飛びついた。

「まわりや自分に過度な期待をするからよ…… その期待が裏切られたとき、ぜんぶが絶望に変 わるんだ。 だからよ。そんな余計な重荷は捨てちまいなフ ォルテ。 おまえはおまえのままでいい。 おまえにはあんな立派な仲間たちがいるじゃね ぇか?」

つるん。

「うわっ。やっべぇ!」 イーゼは右手でフチをつかみ、左手でフォルテ を掴む。 彼が右手を放してしまえば皆、奈落の底へと落 ちてしまうことだろう。

「お、おもい……ぜ!こりゃ子供の重さじゃね ぇ……。 それによ。奈落の底から感じるこのプレッシャ ー、……アスタロトかっ!?」

イーゼの顔に諦念の影がほんのりと浮かぶ。

(まじかよ。これが災厄のちから……。)

ずる。

「おあ、しまったっ!」

(あ〜れ〜)

何処かへ落ちてゆく。

224 :イーゼ ◇x.ZA1mpgbE:2016/03/22(火) 23:59:33.53 ID:qh+uPDEB.net
>「良いだろう、但し条件次第ではなる事自体は構わない。 
世界守護者委員会は余り表には出ることを良しとしないし僕はこの世界に置いて名誉も地位も要らない。 
この世界に置いて目的や目標がスムーズに達成できると判断できればの話だがな」 

「ほほう。なるほどぉ。
つまりあんたは……、志を立て、万事の源となす。
そういう人間ということなのだな。
たしかに志なくして始めた物事は、進めば進むほどその弊害を大きくすることだろうぜ。 
大事に望んでは進退をあやまったりしてよ、
権力と私欲の前に屈することになるだろうよ。
……でもよ。狩るものを失ったハンターはその後どうなると思う?」

小首をほんの少しかしげ、エスペラントを見つめるイーゼは
なぜかしら妖艷な男の色気を醸し出していた。
が、次の瞬間、その顔色を変え

「まあいーぜ。兎に角そのボランティア精神、気に入ったっ!
俺様は貴様との出会いに感謝することにしたっ!
ただ働きよろしくだぜぁ!エスペラントくん!」

などと都合よく解釈し、
すたすたと大股で歩きはじめるのであった。

>「それと貴様、アサキムに殺されても知らんぞ」 

「殺される?そりゃ怖ぇなぁ。
そんなときが来ぬぇように
俺様はただただ祈るだけだぜぇ」 

225 :創る名無しに見る名無し:2016/03/23(水) 00:11:28.01 ID:oJ9ZEJwa.net
【代行失敗…。
>>223>>224は逆です。
それと文字化けらしき記号が出てますがその場所には特に何もないので気にせずに読んでください】

226 :創る名無しに見る名無し:2016/03/23(水) 05:45:17.80 ID:DkKLpJc/.net
>>225

いや…文字化けを無くす努力しろよ
お前の知人連中へのメールやら書類とか…わないだけで迷惑しとるというのも理解できんか?

227 :創る名無しに見る名無し:2016/03/23(水) 15:09:51.14 ID:Zh6lQ+8f.net
わない

228 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2016/03/27(日) 17:26:14.94 ID:rO2vioyn.net
>「まわりや自分に過度な期待をするからよ…… その期待が裏切られたとき、ぜんぶが絶望に変 わるんだ。 だからよ。そんな余計な重荷は捨てちまいなフ ォルテ。 おまえはおまえのままでいい。 おまえにはあんな立派な仲間たちがいるじゃね ぇか?」

どこからか声が聞こえてくる。

「……そうだね。
人って手の届かぬ星ばかり夢見て、自分がすでに持っている大事な物には気が付かないものなのかもしれない」

>「うわっ。やっべぇ!」

「あ……れ?」

気が付いたらイーゼに捕まれて崖のようなところにぶら下がっていた。

「ぎゃああああああ!! 何この状況!?」

>「お、おもい……ぜ!こりゃ子供の重さじゃね ぇ……。 それによ。奈落の底から感じるこのプレッシャ ー、……アスタロトかっ!?」

「いやいやいや、そんなに太ってない!
……じゃなくて! ローファンタジアが浮上しない原理って……こういうこと!?」

>「おあ、しまったっ!」

一瞬焦ったがこちとら半分妖精、羽根を出せば……飛べない!?

「あぁあああああああれぇええええええええええ!!」
奈落の底へ堕ちてゆく――

229 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2016/03/27(日) 17:29:10.99 ID:rO2vioyn.net
「ん……ここは……」

次に気が付いたとき、目の前にいたのは一人の老婆。


「やれやれ、怠惰が健在なら同盟を持ちかけようと思ったがそやつらにほだされてすっかり丸くなってからに……」

「怠惰が健在って……逆ですよ逆!
いけすかないイケメンに呪われて怠惰になってたのをこの方たちが平穏に戻してくれたんです!」

ピロウちゃんが早速食って掛かっているその老婆は、どこかで見たことがあるような無いような……。

「あなたが……憂鬱の枢要罪!?」

「いかにも。儂が枢要罪アスタロトじゃ。
放っておいてもいつかは儂のところまで来る思うてこちらから招待させてもらった。
ここを再起動しようなどと考えるのはやめときなされ、お主ら奴に利用されておるだけじゃ」

老婆だったはずの者が、気付けば幼い少女になっている。

「マモンのこと? これもアイツの想定の範囲内だというの?」

「想定の範囲内どころか……。お主らも薄々勘付いておるじゃろう、全てはあやつの掌の上――」

先ほど幼女になったと思ったら、今度は妙齢の貴婦人の姿。

「時を超越した存在……だと!?」

「まあそんなところじゃ、故に儂の予言は絶対――
否、正確には予言ではない、確固たる事実を伝えておるに過ぎぬのだから!」

「じゃあ教えてくれ。オレ達がとるべき最善の行動は?」

「……何もせぬ事じゃ。それがお主らに出来る唯一の抵抗――」

「そうやって不戦勝しようったってそうはいきませんよ! 皆さん騙されちゃ駄目です!」

本ミッションの依頼人であるピロウちゃんは当然と言えば当然だが、迷わず臨戦態勢に入った。

230 :創る名無しに見る名無し:2016/03/27(日) 21:00:39.21 ID:/jSOh9GY.net
>>228

絶望に変 わるんだ。 だからよ。そんな余計な重荷は捨てちまいなフ ォルテ。 おま

余計なスペース空いてますよ

231 :イーゼ ◇x.ZA1mpgbE:2016/04/06(水) 00:52:11.45 ID:SeCD0N7a.net
>「じゃあ教えてくれ。オレ達がとるべき最善の行動は?」

>「……何もせぬ事じゃ。それがお主らに出来る唯一の抵抗――」

>「そうやって不戦勝しようったってそうはいきませんよ! 皆さん騙されちゃ駄目です!」

「ああ、そうだぜ!
なんにもしなきゃ、話が先に進まねぇ!
だがね。俺様てきにはマモンに利用されてるって話が少々ひっかかるんだぜ。
そこんとこをよ。詳しく聞かせてもらおうじゃねぇか?」

232 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2016/04/07(木) 22:20:43.06 ID:VNaOV3w1.net
>「ほほう。なるほどぉ。
つまりあんたは……、志を立て、万事の源となす。
そういう人間ということなのだな。
たしかに志なくして始めた物事は、進めば進むほどその弊害を大きくすることだろうぜ。 
大事に望んでは進退をあやまったりしてよ、
権力と私欲の前に屈することになるだろうよ。
……でもよ。狩るものを失ったハンターはその後どうなると思う?」

「個人としての意見として聞け。
役目が終わる時、本当に争いや戦いが無くなった世界だ我々のような存在が必要ないのならばそれでも構わない。
僕はそれを望んでいる」

イーゼの妖艷な男の色気を醸し出しながら意味深な言葉の意味をエスペラント個人の意見を述べる。
自分達が役目を終えるのは多元宇宙や平行世界ではその他多くの存在や救いを求める存在が居なくなるという事。
他にも自分のような役目を持っている者達はどうかまでは知らないしかしそれは平和であるということで素晴らしいことなのだと言えよう。

「……もっともそんなものはありえないがな」

多元宇宙や平行世界が増えふるいは存在し続ける以上はそんな事はなくならない
そう皮肉を込めたつぶやきと笑みを浮かべた。

そしてエスペラントはイーゼやフォルテが共に崖に落ちていく光景を目撃し
自身もそれに急激に引かれるような感覚に陥る。
抵抗を試みるが、最後には結局エスペラントも奈落の底に落ちるように消えていった。

だが落ちていく最中、何もしなかった訳では無く
無相剣を防御形態に回して上手く着地する。
その際になにやら話し声が聞こえる。
そこに居たのはフォルテとイーゼ、そしてピロウと老婆
その老婆が自らを枢要罪アスタロトと名乗った瞬間
<悪なる右手>を召喚し、禍々しい和弓を持ち弦を引いて数発の黒い矢がアスタロトに迫る。
しかしそれは領域を削るだけで三発が消え、一発はアスタロトの頬を掠る。

「貴様、人の心の傷を抉り出すような真似をしておいて此処に呼び出した理由はそれか?
あんな物を見せて、只で済む…いや生きて帰れると思うな」

姿を変えるアスタロトには殺意のみを向ける。
エスペラントの最も辛く思い出したくない物に触れたのだ、それに触れて生きている者は居ない。

>「いかにも。儂が枢要罪アスタロトじゃ。
放っておいてもいつかは儂のところまで来る思うてこちらから招待させてもらった。
ここを再起動しようなどと考えるのはやめときなされ、お主ら奴に利用されておるだけじゃ」

>「想定の範囲内どころか……。お主らも薄々勘付いておるじゃろう、全てはあやつの掌の上――」

>「まあそんなところじゃ、故に儂の予言は絶対――
否、正確には予言ではない、確固たる事実を伝えておるに過ぎぬのだから!」

>「……何もせぬ事じゃ。それがお主らに出来る唯一の抵抗――」

「ならば貴様はその力を此処に置いて何処かに消え失せろ、掌の上を食い千切る覚悟が無い者に奴を殺すなど出来んわ!!
それすらも手の内ならば誰にも利用させず壊すというのも手だな!!!」

233 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2016/04/07(木) 22:21:20.21 ID:VNaOV3w1.net
エスペラントはアスタロトの言葉に対して何もしない、その一言に完全に異を唱える。
全てがマモンの手の内だとしてもエスペラントはその執念と意地で食い付く事を決してやめる事は無い
なにもしないのなら起動しなくても接収し、世界守護者委員会の技術班に解析させて技術を応用して反撃の一手とする事も出来るはず。
だがそれも無駄なら壊すだけだろう、マモンに利用されるくらいならそのほうがずっと良い。
それを本気だからこそこの場の誰よりも闘争心と抗う事を辞めない信念を言葉と共に露にし、黒い矢の矢先を天へと向ける。

「無いなら作り出す――それだけだ」

人の心を弄ぶ奴に一矢報いなければ死んでも死に切れないそう思った。

234 :創る名無しに見る名無し:2016/04/08(金) 02:24:54.52 ID:o0JyjHEF.net
>>232

文字 化けてますよ

235 :創る名無しに見る名無し:2016/04/09(土) 06:52:08.78 ID:75U0srP7.net
>>233

文末のほとんどが断定
読みづらいです。もう少し変化をつけましょう

236 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2016/04/12(火) 00:00:01.65 ID:Zir+ZnBN.net
>「貴様、人の心の傷を抉り出すような真似をしておいて此処に呼び出した理由はそれか?
あんな物を見せて、只で済む…いや生きて帰れると思うな」

「それはすまなんだ、あれが《憂鬱》の枢要罪たる儂の《世界》――悪く思うな。
しかし別に儂が各々に合わせた幻覚を用意して見せたわけではない。
お主ら自身の心の中から行動する気が起きぬような深層心理を引き出すだけのこと――
む? お主、思ったよりやるようじゃな……」

アスタロトはエスさんが放った矢が掠った事を認識し、関心するそぶりを見せる。

>「ああ、そうだぜ!
なんにもしなきゃ、話が先に進まねぇ!
だがね。俺様てきにはマモンに利用されてるって話が少々ひっかかるんだぜ。
そこんとこをよ。詳しく聞かせてもらおうじゃねぇか?」

「そういえばそうじゃの、他の者達はともかくお主は”この時間軸”で初めて現れた要素……
訳が分からぬのも無理はない」

空間に改変前の時間軸での出来事が順を追って映し出される。
エヴァンジェルでミヒャエル、バニブルでヴェルザンディを倒すも後にマモンに再生怪人として利用されたこと。
フェネクスの星誕祭で奴がぶちかました、オレ達をも演出に利用した全世界への宣戦布告。
完全管理都市インペリアでの、マモンに存在を歪められた少女を解放するための悲しき戦い。
でも、ピロウちゃんの言う事が本当なら、バアルペオルはもうマモンの手の内ではないはずだ。

「ピロウちゃん……信じていいんだよね?」

オレのその言葉に、ピロウちゃんは力強く頷いた。
開戦の合図を告げるように、エスさんが漆黒の矢を天に向かって放つ。
雨のようにアスタロトに降り注ぐ――かと思われたが、直前で突然失速して落下。

「あ……れ……?」

楽器を構えようとするが、何故か腕が上がらない。
それどころか手足が鉛のように重くなってその場に座り込む。
さっき崖から落ちてきた時に感じた異常な重力と同じだ。

「我がの能力の一つ――《絶望の重錘》。
あらゆる物は地に堕ち常人であれば指一本動かせぬ行動不能。これを破れるかえ?」

不敵な笑みを浮かべるアスタロト。これが彼女の主な戦法か。
そしておそらくローファンタジアの浮上を妨げている力の正体だ。
問答無用で行動不能――見た目こそ地味だが普通に考えて目茶目茶チートな能力である。しかし先ほど《憂鬱》の幻覚にかからなかったイーゼならもしかして……微かな期待を込めてイーゼの方に視線を向けてみた。

237 :創る名無しに見る名無し:2016/04/12(火) 01:33:02.86 ID:ZAdmv9DO.net
>>236
>「貴様、人の心の傷を抉り出すような真似をしておいて此処に呼び出した理由はそれか?
あんな物を見せて、只で済む…いや生きて帰れると思うな」

あなたの文章にそのままお返しします

238 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2016/04/13(水) 22:15:44.87 ID:l/WQBaIQ.net
>「それはすまなんだ、あれが《憂鬱》の枢要罪たる儂の《世界》――悪く思うな。
しかし別に儂が各々に合わせた幻覚を用意して見せたわけではない。
お主ら自身の心の中から行動する気が起きぬような深層心理を引き出すだけのこと――
む? お主、思ったよりやるようじゃな……」

「ならば逆効果だった、アレだけは尚更繰り返されてはならない…
それが今繰り返されようとしているのなら僕は全ての力を持って止めるために動く!
舐めるな貴様―!」

イーゼがマモンに関しての話に引っ掛かりアスタロトが説明の絵を見せ

>「ピロウちゃん……信じていいんだよね?」

フォルテの言葉にピロウが頷く。
そんな最中にエスペラントは確かにそれは辛く苦しく逃げ出したくなった。
しかしその悲劇はもう起こしてはならない例え他者であろうと
それが今バアル・ペオルをもう一度利用されているが故にその心の傷が彼を奮起させ
アスタロトの圧倒的強者と言える言葉に対して怒りを表す。

そんな時に突然、放たれた矢は地に落ち

>「あ……れ……?」

フォルテ達にも動きがおかしくなり、突然動かなくなる。
それはエスペラントも同じくその身体は重くなり
禍々しい和弓の構えも解けて地に片膝が付いてしまい動けなくなる。

>「我がの能力の一つ――《絶望の重錘》。
あらゆる物は地に堕ち常人であれば指一本動かせぬ行動不能。これを破れるかえ?」

「く―――そ――!」

まったく体の自由が効かない、やはり相手はアインソフオウルであり枢要罪の一人。
憂鬱の枢要罪アスタロトそう呼ばれる者の真の力の前に手が出せない。

「動いてくれ…動け…!!!」

必死に動かそうとしても言う事を聞かない。
本当に絶望的な状況でありフォルテ達ですらどうにも出来ないものが
アインソフオウルですらないエスペラントには簡単に解決できるわけが無かった。

239 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2016/04/13(水) 23:12:37.59 ID:l/WQBaIQ.net
(倒れるのか此処で僕は……)

何も出来ずもがく事も出来ず虫けらのように消えていくしか無いのか
それで胸中に湧くのは悲しみやバアル=ベオルの心を救うことの出来なかった己の無力さ
マモンに一矢報いることが出来なかった悔しさ。
無念のまま此処で朽ちる、運命だったとそう思うことに

出来なかった。

無力感と絶望が支配せず膨れ上がるのはドス黒い感情。
目の前のアスタロトを殺したいという殺意とこのような事を平然と出来る
神と相応しき力を持ちながら他者を虫けらのように扱う究極のエゴイストに対する怒りと憎悪。
それは感情の渦は決して止まらなかった。

(こいつを…)

ドクン、とまるで眼帯の内側から胎動のような鼓動が彼には聞こえ始めていた
しかし彼は気づいていない。
ドクン、ドクンと鼓動を強く彼の中でなり響かせる度にエスペラントは
アインソフオウルへの殺意と憎悪そして怒りが今の彼の中を占めて行く
最早自分ですら止められないくらいに。

(こいつ等を!!!)

殺 さ な く て は

完全に己の中で殺意と憎悪そして怒りがピークを振り切れた時
視点も感覚も何もかも全てをソレに染め上げた―――
その瞬間、<悪なる右手>から茨が右手に絡みつき完全に固着する。

「ウォォォォォォォォォォォ!!!!」

獣の方向と共に起き上がり始め、禍々しい和弓は無命剣フツノミタマへと変わるが
しかし全身を異常なまでの威圧感と殺意を現したオーラを身に纏い、目は憎悪と怒りに完全に染まっている

「ウガァァァァァァ!!!」

その動きは明らかにただ力任せであるがその赤い剣圧と剣風は長い範囲の天井を破壊しながら
悪なる右手と同じであるが伏契の核や素材を元にして強化されたその武器により
アスタロトの領域を紙の様に引き裂きながら恐ろしいスピードでその一撃を振り下ろすその姿は
正しく狂戦士と言ってもよかった。

240 :創る名無しに見る名無し:2016/04/14(木) 01:56:31.29 ID:9dJVfktm.net
「いらっしゃいませ」
カミキリ虫型怪人のコンビニ店員が挨拶してきた。あの店員の複眼が気になる

241 :イーゼ ◆x.ZA1mpgbE :2016/04/14(木) 23:24:07.44 ID:NzkKAaRV.net
>「……もっともそんなものはありえないがな」

「へぇ〜。なるほどなぁ。
それはまるで、かなわぬ恋みたいなもんだなあ。
つまりはそういうことだろ?
…だって私、あの人を追いかけてる私が好きなんだもん。みたいなよ〜」

イーゼはキラキラしていた。
ほがらかな顔で。
戦い続ける男の純情を
恋と見立てたのだ。

>「そういえばそうじゃの、他の者達はともかくお主は”この時間軸”で初めて現れた要素……
訳が分からぬのも無理はない」

続いて、走馬灯のように映し出される物語。
世界の記憶。

>「ピロウちゃん……信じていいんだよね?」

少なからず、フォルテとピロウの間には
信頼関係があるらしい。

>「我がの能力の一つ――《絶望の重錘》。
あらゆる物は地に堕ち常人であれば指一本動かせぬ行動不能。これを破れるかえ?」

イーゼはアスタロトの言葉に身構える。
それは確かに場の空気を変え、領域を支配してゆくのがわかった。

>「動いてくれ…動け…!!!」

>「ウガァァァァァァ!!!」

咆哮するエスペラント。
さすがに拮抗するまでとはいかないが
なんと彼の剣が、アスタロトの世界を破壊してゆく。

「わわわ!天井に…、領域に亀裂が!でかしたぜエスペラントぉ!
あとは俺様得意の壁ドンでこの領域を破壊する!」

イーゼは壁に向かい疾駆。
彼はフォルテの予想通り、
アスタロトの術式に嵌まるような
重い過去などなかったのだ。
(もしかしたら本人はヘビーな過去とは認識していない過去はあるのかも)

「一途上等!愛死天流!」
亀裂の入った壁に両手で思いっきりドンする!

242 :創る名無しに見る名無し:2016/04/15(金) 02:03:42.67 ID:T/K8B2sD.net
カミキリ虫型怪人の店員は女性だ。近所では後ろ羽が色っぽいと有名だ

243 :創る名無しに見る名無し:2016/04/16(土) 15:06:41.90 ID:Bcu692uD.net
カミキリ虫型怪人の良江さん(21)は、常連客からお尻をよくさわられる

244 :創る名無しに見る名無し:2016/04/17(日) 01:05:49.38 ID:QXuz/067.net
そのたびに恥ずかしげに前胸と中胸をこすり合わせギチギチと威嚇音をだす
それが人気だ

245 :創る名無しに見る名無し:2016/04/18(月) 04:30:40.79 ID:ZtFxE14t.net
良江さんはお客さんのエスペラントが、いつも気門をねっとりとした見ていることに気がついた

246 :創る名無しに見る名無し:2016/04/20(水) 00:15:19.99 ID:/z6sovVP.net
他にも会計時、アスタロトが不自然に手を接触させてくるのにも困っていた。
アサ・キムにいたっては帰宅する時、つけてきたことがあり警察に通報したことがある。

247 :創る名無しに見る名無し:2016/04/20(水) 08:46:36.50 ID:yUxhhEb+.net
(URLのnetの部分をscに変えることで、スレの確認だけなら可能です)

248 :創る名無しに見る名無し:2016/04/21(木) 00:35:09.48 ID:s0CMxvDb.net
「お客さん、困ります!」
良江さんの悲鳴が店内にひびく。
エスペラントが倒れた振りをして良江さんの胸をまさぐろうとしたのだ

249 :創る名無しに見る名無し:2016/04/21(木) 16:33:45.21 ID:J1tbmo9q.net
エスペラントの響きにはっと気づく!
これこれ、やめなさい!紳士的な振る舞い!
江戸しぐさでもゆるされないことよ

250 :フォルテ ◇uVQKW6f//c:2016/04/21(木) 18:04:35.01 ID:J9UOHa1v.net
>「ウォォォォォォォォォォォ!!!!」
>「ウガァァァァァァ!!!」

エスさんはまさしく狂戦士とも言うべき形相でアスタロトの世界を破った。
まずい、永久闘争存在化しかけている――!? 少なからぬ危惧を覚える。
とはいえ、こうならなければ絶体絶命の状況だったのも事実だ。

「そう来たか――かくなる上は、『遍在する神《ユビキタス》』――」

様々な姿をした無数のアスタロトが現れる。
その一人一人が無数にある未来の可能性の一つ、だろうか。
その無数のアスタロトが狂戦士と化したエスさんを迎え撃ち、激しい戦いが繰り広げられる。

>「わわわ!天井に…、領域に亀裂が!でかしたぜエスペラントぉ!
あとは俺様得意の壁ドンでこの領域を破壊する!」

イーゼは飽くまでも純粋に壁を破壊するつもりだったのであろうが、壁ドンされたところには偶然アスタロトの一人がいた。
しかも、幸か不幸か美少女バージョンのアスタルテであった。
壁ドンされたアスタロトは暫しイーゼを見つめる。

「まさか……胸キュンしちゃった!?」

胸キュンかどうかはともかく、彼女は他のアスタロトとは違う様相を見せる。

「……。わたしは”時読みの巫女”イシュタル。お願い、アスタロトを止めて……」

「イシュタル……まだ残っておったのか! 邪魔をするな!」

アスタロトのうちの一人がイシュタルをにらみつける。
おそらくこのイシュタルは枢要罪化する前の意識の残滓というところだろう。
彼女は自らが枢要罪なった経緯を語り始めた。

251 :フォルテ ◇uVQKW6f//c:2016/04/21(木) 18:04:59.91 ID:J9UOHa1v.net
「わたしの予言の力の正体は未来の自分と交信する力。
その予言の力をもって天空都市だったころのローファンタジアを導いていました。
その力は年月を重ねるほどに際限なく増していき、ついにはあらゆる存在するかもしれない未来……”可能世界”の自分と交信するまでに至った。
そしてどの道を選んでも最終的には絶望、それを悟ってしまったとき、わたしは憂鬱の枢要罪アスタロトと化した――
でも、わたしのいない未来の中に、もしかしたら希望はあるのかもしれない、だから……」

唐突に体が動くようになる。《絶望の重錘》が解除されたのだ。

「諦めるのは早いぜ……裏技隠しルートがあるかもしれないだろ!?」

歌うは、”可能世界のロンド”。
無限に生まれうる可能世界。どこか裏技隠しルートの存在を感じさせるような歌だ。

「コインが投げられる 現実が生まれる
世界が動き出す   暫し居場所を探す

サイコロが転がる 現実が生まれる
世界が動き出す  軈(やが)て答えを探す」

「黙れ……黙れ黙れ! どうせ絶望に至る未来など最初から断ち切ってやる!」

無数にいたアスタロトがいつの間にか一人になっていて、巨大な鋏を構えていた。
敵が一人になったからといって単純に喜べない。存在の濃度が桁違いだ。
イシュタルが警告を発した。

「気を付けて、相手は一人であって一人ではない、無数のアスタロトの集合体。
そして……あれは"世界”を断ち切る鋏アトロポス――!
やられたら跡形もなく消滅する……というより最初からいなかった事になる!」

手始めとばかりに、前衛にいるエスさんとイーゼさんに巨大な鋏で切りかかってきた!

252 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2016/04/21(木) 22:00:56.53 ID:1TyrXlSd.net
>「そう来たか――かくなる上は、『遍在する神《ユビキタス》』――」

アスタロトはエスペラントの攻撃により、今度は無数の自分を召喚し始めた。
一気に迎撃してくる複数のアスタロトに対して、地面が派手に抉れる斬撃と衝撃波で人数の多くを切り刻み吹き飛ばした。
だが何時もと明らかに様子が違うエスペラントは突然憎悪と怒りに支配されていた感情が無くなったように消えて
元の状態に戻る。

(なんだこれは…)

気が付けば剣を握っており、いつの間にか周囲の地面や壁が激しく抉れている。
自分が何をしていたのかを思い出そうとしていた最中
そしてイーゼが壁ドンとやらをしている光景を目の当たりにする。

>「……。わたしは”時読みの巫女”イシュタル。お願い、アスタロトを止めて……」

>「イシュタル……まだ残っておったのか! 邪魔をするな!」

>「わたしの予言の力の正体は未来の自分と交信する力。
その予言の力をもって天空都市だったころのローファンタジアを導いていました。
その力は年月を重ねるほどに際限なく増していき、ついにはあらゆる存在するかもしれない未来……”可能世界”の自分と交信するまでに至った。
そしてどの道を選んでも最終的には絶望、それを悟ってしまったとき、わたしは憂鬱の枢要罪アスタロトと化した――
でも、わたしのいない未来の中に、もしかしたら希望はあるのかもしれない、だから……」

「まるでパンドラの箱……と言いたい所だ。ならば君が居なくなれば希望は無くなってしまうかも知れない…
そんな物は証明しようが無い、故は人はいや僕は足掻く」

フォルテは諦めるには早いと言う。
その通りであり、エスペラントはイシュタルの話をパンドラの箱のような証明するには誰にも分からない故に
足掻き、前へと進み続ける。

253 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2016/04/21(木) 22:44:26.31 ID:1TyrXlSd.net
止まることは出来ないのだと、そう思った時
<悪なる右手>はいつの間にか巻き付いていた茨が消えており
そしてある事を思い出す。

>「コインが投げられる 現実が生まれる
世界が動き出す   暫し居場所を探す

サイコロが転がる 現実が生まれる
世界が動き出す  軈(やが)て答えを探す」

>「黙れ……黙れ黙れ! どうせ絶望に至る未来など最初から断ち切ってやる!」

フォルテが可能世界のロンドを謳い始め、アスタロトは一人に戻り巨大な鋏を出現させる。
その力は明らかに普通では無い

>「気を付けて、相手は一人であって一人ではない、無数のアスタロトの集合体。
そして……あれは"世界”を断ち切る鋏アトロポス――!
やられたら跡形もなく消滅する……というより最初からいなかった事になる!」

「なるほど、それは確かに厄介だしかし―僕はそれでも立ち向かう」

イシュタルの警告を聞いても決して怯まず、イーゼと共に差し迫る完全に己という存在を消滅させる攻撃が来るというのに
一切の焦りも無かった、そしてその一撃はそのまま切り裂いたように見えた。

「絶望に至る未来を変える、いや変 え て み せ る!」

アトロポスは引き裂かなかった、その言葉のように周囲を変幻させるように切り裂かなかった。
エスペラントの周囲には普通では見えないが良く見ると時に透明であり、時に白みになるが色が定まらない力が働き鋏を阻む。

<ローディングライズ!伏契、変幻の力>

<悪なる右手>は同じように時に透明であり、時に白みになるが色が定まらない状態を表示していた。
これは明らかに<悪なる右手>が起こしているのは明白であり、その力の正体は変幻。ただ存在するだけでも周囲の存在に変化を促す性質の力。
なぜそれを彼が使えるのかというのか
思い出して欲しい彼は八乙女山にて変幻のアインソフオウル伏契を倒し、<悪なる右手>のデフォルトである強奪の力の副作用として実を咲かせた。
そして彼は伏契の力である変幻の欠片を手に入れたのである。
だから彼は自らの周囲の存在に変化を促した…それは絶望の未来であっても諦めない事
例えそれが自分の手の届く範囲であろうと、"世界”を断ち切る力に明確に抗うエスペラントの力として阻んだ。

「絶望の未来を変幻(かえ)る力を――使わせてもらうぞ変幻のアインソフむオウル」

いつの間にかフツノミタマから禍々しい和弓に変わり、一つの巨大な矢を放つが分離し
アスタロトは鋏でなぎ払うものの、その内の数本を体に突き刺す事に成功させ
領域を発生させる機能を一時的に強奪し、使えなくすると同時に欠片の収穫が出来る下地を整えた。

「さぁ、反撃の狼煙の始まりだ!!」

254 :創る名無しに見る名無し:2016/04/22(金) 11:34:39.33 ID:8wg8wywe.net
良江さんはアスタロトへ向かって言った
「やめて下さい、私のお腹の中にはすでにあの人の子供がいるんです」

255 :イーゼ ◆x.ZA1mpgbE :2016/04/23(土) 01:36:16.99 ID:aw6DKtXq.net
>「絶望に至る未来を変える、いや変 え て み せ る!」

>「絶望の未来を変幻(かえ)る力を――使わせてもらうぞ変幻のアインソフむオウル」

>「さぁ、反撃の狼煙の始まりだ!!」

エスペラントの反撃が始まり、
続いてイーゼも剣を抜いた。

エスペラントは未来を変えられると信じている。
フォルテも輝く未来に続く隠しルートがあると信じている。
イシュタルもそうだ。
明るい未来のためには自分が消えても良いと覚悟していた。
敵でさえあるアスタロトでさえも
絶望の未来に至るくらいなら皆に消えろと言った。

キンっ!

硬質な音が鳴り響く。
イーゼの剣とアスタロトの鋏が交差する。
じわじわと押し込められるイーゼの剣。

「くっ、俺様は弱い人間だぜ。エスペラントみてぇに未来を変えてみせるとか断言なんてできやしねぇ。
だがよぉ。たとえ未来に絶望が待っているとしてもよぉ。
今を精一杯やって後悔だけはしたくねぇんだなぁ!」

イーゼに志はない。
それは人生の目的を決めても、
この世界はその通りにゆくような甘い世界ではないからだ。
ゆえにできる限りやったあと、結果に妥協する。
最後にたどり着いた場所が、夢見ていた場所と納得する。
そこが絶望の世界だとしても、積み重ねてきたことの結果ならば後悔はない。

「なあ、終わりにしようぜ。アスタロト。
もうこれ以上、お前が苦しむ必要はねぇんだからよ……」

アスタロトの体に突き刺さった矢が痛々しい。
すでに未来を変える力をエスペラントは持っている。
賢いものならそれを一瞬で悟るはずだ。

「これは仮定の話なんだけどよ。次の瞬間俺様はお前に消滅させらてもかまわねぇんだよ。
それはやるだけのことを俺様はやったからだ。
負けるのは、ただ俺さまの力が弱ぇだけだったってこと。
ようするによ。俺様みてぇな人間もいるってことだぜ。
だから、なんにも気にすんな……」

さみしく笑うイーゼだった。

256 :創る名無しに見る名無し:2016/04/23(土) 05:23:56.89 ID:JdtztyM7.net
その戦場をコンビニ店員が走り回る
「お弁当温めますか?」
アスタロトは頷いた

257 :創る名無しに見る名無し:2016/04/24(日) 01:38:53.06 ID:N2muW4pN.net
「お箸はおつけしますか?」

エスペラントも頷いた

258 :創る名無しに見る名無し:2016/04/25(月) 00:36:06.54 ID:ykoQ9Maq.net
イーゼ「トイレ貸して下さい」
店員「こちらでお召し上がりですか?お持ち帰りですか?」
イーゼ「お持ち帰りで」

259 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2016/04/26(火) 01:11:02.03 ID:EIWqhGe5.net
>「絶望の未来を変幻(かえ)る力を――使わせてもらうぞ変幻のアインソフオウル」
>「さぁ、反撃の狼煙の始まりだ!!」

「ふんっ、所詮借り物の力で儂に抗おうなどと……な、に……!?」

数本の矢が突き刺さり、アスタロトは明らかに戸惑いを見せた。
そして歌い続けるこちらに視線を向け――

「世界の狭間で僕は 終わらない夢を見ている
数えきれない 不連続の波
躱しながら  ただ記憶を巡る」

「貴様かあッ!! ”妖幻”!!」

やっば、バレたか! 物凄い勢いでこちらに切りかかってくるアスタロト。
オレの力は単体ではどうしょうもなく弱い。
が、自分で言うのも難だが味方の力を届かせるフィールドを作る事にかけてはちょっとした腕前だ。
次の瞬間金属音が鳴り響き、イーゼさんの剣がアスタロトの鋏を受け止めていた。

>「くっ、俺様は弱い人間だぜ。エスペラントみてぇに未来を変えてみせるとか断言なんてできやしねぇ。
だがよぉ。たとえ未来に絶望が待っているとしてもよぉ。
今を精一杯やって後悔だけはしたくねぇんだなぁ!」

>「これは仮定の話なんだけどよ。次の瞬間俺様はお前に消滅させらてもかまわねぇんだよ。
それはやるだけのことを俺様はやったからだ。
負けるのは、ただ俺さまの力が弱ぇだけだったってこと。
ようするによ。俺様みてぇな人間もいるってことだぜ。
だから、なんにも気にすんな……」

競り合いながらも次第に押されていく剣。
逃げて! そう叫びたくなるのを堪えて歌い続けた。

260 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2016/04/26(火) 01:13:54.33 ID:EIWqhGe5.net
「アスタリスクは道を示す 偶然は身を潜める
アスタリスクはただ答える 命題は解決する

アスタリスクは道を示す 必然は身を潜める
アスタリスクはただ哀れむ 存在は否定される」

非情にもイーゼさんは競り負け、無慈悲な刃が彼の存在を断ち切らんとする。
空虚な金属音が響き渡る――
しかしイーゼさんは依然としてそこに立っていた。
床に落ちたのは――アスタロトの鋏の方だった。

――こうなってしまっては致し方が無い。イシュタル……後は頼んだぞ

最後の瞬間、彼女が全てから解放されたような表情をしていたのは気のせいだろうか。
あらゆる可能世界を網羅していたはずの完全性故にほんの僅かな誤差から綻びが広がり存在が崩壊するに至ったのだった。
床に落ちた鋏も間もなく消え、そこにはただ黒い宝珠だけが残った。

「あ、私は……」

消えずにその場に残されたイシュタルは戸惑っていた。

「きっとアスタロトから切り離されたんだね。絶望する程の予言の力はもう無いはずだ」

真っ黒だった周囲の様子が、いつの間にか見えるようになっていた。
宙に浮かぶ巨大な宝石、その下にあるのは操縦席のような何か。

「本当に……なんとお礼を言っていいことか。
思い返してみれば……あの男の干渉を受けてからでした、わたしの予言の力が際限なく増大しはじめたのは。
思い出しました。私のすべきことは――」

イシュタルは先ほどまでが嘘のような確固たる足取りで歩みを進め、操縦席に座る。

「皆さん揺れるので気を付けてください、天空都市浮上します――」

そう言って彼女は勢いよくレバーを引いた。

261 :創る名無しに見る名無し:2016/04/26(火) 02:49:26.38 ID:WszBD8xI.net
イーゼはお持ち帰りした袋を落とした
周囲にウンコの臭いが広がる

262 :創る名無しに見る名無し:2016/04/27(水) 01:55:16.31 ID:ut/sTURP.net
アスタロトは、とっさに鋏ではなくウンコ入お持ち帰り用紙袋を拾うのであった

263 :創る名無しに見る名無し:2016/05/14(土) 01:40:15.12 ID:V41SRcXh.net
アスタロトはウンコを両手に塗りたくって相手に対峙した。

264 :イーゼ ◆x.ZA1mpgbE :2016/05/15(日) 12:38:16.70 ID:6/6SiyiQ.net
>「皆さん揺れるので気を付けてください、天空都市浮上します――」

と、イシュタルトが言う。
それにたいして

「んあ〜」
と、イーゼの今にも頓死しそうな声が響き渡るのだけど、
もちろん実際にはそんなことはなくって
でも本人の気分てきには
喜ぶべき心持ちでさえも隠蔽されてしまうような
鬱のような、ねっとりとした気持ちが
もにゃもにゃと襲いかかってきていたのだった。

「俺様は、なにが起きたって後悔はしねぇんだ」

そんなつもりでいるはずだったイーゼ。
でも今のイーゼには、イシュタルトにアスタロトの影をみて
ざわざわした気持ちが芽生えはじめている。

「……アスタロト」

最後にアスタロトは解放されたような顔をしていた。
それが唯一の救いではあるのだけど、消えたということにかわりはないのだ。

「どこいったんだよ?アスタロト」

イーゼの声は悲しみに揺れていた。

265 :創る名無しに見る名無し:2016/05/15(日) 16:37:12.36 ID:lUWscdmm.net
>>イーゼの声は悲しみに揺れていた。

それは、せっかくお持ち帰りしたアレをアスタロトが使ってしまったからだ。
イーゼ「お腹すいた」

266 :創る名無しに見る名無し:2016/05/17(火) 11:31:57.24 ID:eDgfgxhy.net
イーゼ「お腹すいたんじゃぁぁぁぁ」

イーゼたまらず獣身化。全身から体毛が生えてきた。

267 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2016/05/19(木) 21:51:34.09 ID:RbEusrUq.net
>「どこいったんだよ?アスタロト」

虚空に消えるかと思われたその問いに答えたのは、イシュタルだった。

「そうですね……この時間軸の視点から言えば消滅した、ということになるでしょうが
帰ったとも言えるかもしれません、それぞれの世界に……」

「そうだね……そうだといいね」

そんなしんみりとした会話をよそに、容赦なく天空都市は浮上。
ついでにどこをどう変形したのか知らないが、立っている床がせりあがったのだろう
もはや管制室と化した星霊教団1Fに戻ってきていた。
母さんがやたら説明的な台詞で驚いている。

「な、なんじゃこりゃあああああ! そうか、憂鬱の枢要罪を倒して天空都市が再起動したのか!
イーゼ、うまくやってくれたようだね」

「あ、やっぱ秘密の隊の隊長って本当だったんだ」

「とりあえず大きな”セカイ”を持つ者を検索してみますね」

イシュタルがコンソールを操作すると、モニターに映し出された世界地図上にいくつか光る点が現れる。

268 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2016/05/22(日) 02:57:13.10 ID:5y3OWZFx.net
アスタロトがイーゼと競り勝ったように思われたが
イシュタルに任せて消えた。

<憂鬱の力を回収しました>

悪なる右手はアスタロトの憂鬱の欠片を回収した後
全身から大量の血が噴出し、エスペラントは倒れる。
本来であれば彼の力ではないアインソフオウルの力を無理に引き出し使っている
その代償あるいは反動が起こるのは当然。

「一部を使っただけでこれか―」

いや、むしろこの程度なら安い物だろうと呟いて
意識が混濁し、完全に気を失う。
イーゼやフォルテ達の会話などまるで頭に入らず
倒れた彼は天空都市の医療ルームに運ばれることとなる。

269 :創る名無しに見る名無し:2016/05/22(日) 04:32:50.40 ID:HBe/3spM.net
医療ルームスタッフ「トンスル飲めば治るよ」

270 :イーゼ ◆x.ZA1mpgbE :2016/05/27(金) 22:39:03.61 ID:lLrnEQsV.net
>「そうですね……この時間軸の視点から言えば消滅した、ということになるでしょうが
帰ったとも言えるかもしれません、それぞれの世界に……」

>「そうだね……そうだといいね」

それは救いの言葉なのだけど
今のイーゼには届いたのだろうか。

>「な、なんじゃこりゃあああああ! そうか、憂鬱の枢要罪を倒して天空都市が再起動したのか!
イーゼ、うまくやってくれたようだね」

>「あ、やっぱ秘密の隊の隊長って本当だったんだ」

>「とりあえず大きな”セカイ”を持つ者を検索してみますね」

「あ、ああ」
イーゼの魂の入ってない返事。

イシュタルがコンソールを操作すると、モニターに映し出された世界地図上にいくつか光る点が現れる。

「…すまんが、疲れたぜぃ。風にあたりたい」

イーゼはふらふらと歩いて行くと
天空都市の城壁からしばらく遠くを見つめる。
そしてふと下を見ると医療棟が目にとびこんできた。

(そういやエスペラントには苦労をかけているな。
あとで酒でももってってやるか…)



「そういや酒ってどこで売ってんだ?つうかエスペラントって酒を飲むのかね。
無難に甘いもんでもいいかな」

イーゼはジャスコ的なところへと歩を進めた。
その時だった。
地震のような衝撃。

「な、なんだよ!?また落ちんのかよ!」

街の人たちは恐怖心で固まっている。
イーゼは都市の異変に街の境界線まで疾駆し驚愕する。

「な、なんだありゃぁ!!?」

天空都市の操作ミスか、はたまた謎の敵との遭遇か?

271 :創る名無しに見る名無し:2016/05/28(土) 00:01:30.91 ID:JRKENCoa.net
そしてイーゼはマジカル★AK47を撃ちまくるのでした。

272 :創る名無しに見る名無し:2016/05/28(土) 02:20:18.00 ID:JRKENCoa.net
さらにフォルテのケツ穴にハバネロを塗り込んだ

273 :創る名無しに見る名無し:2016/05/29(日) 10:19:09.94 ID:FySJQV7L.net
フォルテたまらず奇声をあげながら下半身全裸で廊下を走り回る

274 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2016/05/30(月) 22:35:37.17 ID:TdMSTKcA.net
><憂鬱の力を回収しました>

「やったね! ……ってちょ!?」

突然ぱったりと倒れて医療ルームに運ばれていくエスさんであった。


>「そういや酒ってどこで売ってんだ?つうかエスペラントって酒を飲むのかね。
無難に甘いもんでもいいかな」

「飲むよー、でも今はポ○ションの方がいいんじゃないかな」

等と言いながら、イーゼさんと共にちょっと前までジャ○コだったイ○ンモール的なところに向かう。
イ○ンに入ろうとした矢先、直下型地震のような衝撃。

>「な、なんだよ!?また落ちんのかよ!」
>「な、なんだありゃぁ!!?」

街の縁まで行き、目を凝らしてみる。
空間に断続的に走るノイズ――そこには何も見えないが、確かに”何か”があった。
それもこのローファンタジアに匹敵する程、否、もしかしたらもっと巨大な何か。
呆然としているうちに、巨大なクレーンのようなものが伸びてきて、イ○ンを鷲掴みにして持ち去った!

「ああっ、なんてことを!!」

これは色々な意味で由々しき事態だ。
イ○ンとは地方都市住人のテーマパークであり心のオアシスなのである!
いつの間にかピロウ&リーフのNPCコンビが出てきて解説コントを始める。

「これはもしかしてもしかすると……伝説の都市”ミストロード”……!
滅多に姿を見せない蜃気楼の街のため別名ゆめタ○ンとも呼ばれています!」

「突然のこの暴挙……! これはつまりゆめタ○ンが枢要罪に乗っ取られたということですか!?」

「その可能性はありますね。そしてイ○ンとは元々食品スーパー。
この事から推理するとゆ○タウンを乗っ取った枢要罪は……」

「暴食……ですね!」

「うーん、どこまで間に受けていいんだろう……」

途方に暮れるオレであった。

275 :イーゼ ◆x.ZA1mpgbE :2016/06/05(日) 23:14:35.04 ID:x0saEOC2.net
>「その可能性はありますね。そしてイ○ンとは元々食品スーパー。
この事から推理するとゆ○タウンを乗っ取った枢要罪は……」

>「暴食……ですね!」

>「うーん、どこまで間に受けていいんだろう……」

「いや、暴食の可能性は大だぜ。食品スーパー大人買いの度が過ぎやがる。
とりあえずは警戒体制をとりながら追跡の作戦をたてようぜ。
だがあくまでも戦闘を開始するのは、
エスペラントの回復をまってからだ」

いきなり隊長らしいことをいうイーゼ。

そして会議室。

「また暴食が食料を狙って現れることがあったらその時がチャンスかもな。
それが数時間後か数日後かはわからねぇが、
それまでにエスペラントが回復していてくれたら助かるのだが」

その時だった。

「食料庫の中に、大量の爆弾を隠して、
食料を食べようとしたら
暴食を爆死させればよいのですっ」

白い小さな顔の少女が、
小窓から首だけを出して覗いていた。
ショートヘアーの小さい子だった。

それをみたイーゼは眉根を寄せて

「それは、えげつねぇぜ。
それに爆弾じゃ死なねぇと思うし…
つか、お前だれだ?」

「ずがたかぁいっ!」

少女は目をつりあげながら
フォルテの首筋に果物ナイフを突きつけていた。

「私のゆうことを聞かないものは、殺しますっ!」

突如、カオスと化す会議室だった。

276 :創る名無しに見る名無し:2016/06/20(月) 04:18:07.82 ID:09cLqf3u.net
期待

277 :創る名無しに見る名無し:2016/06/20(月) 09:16:08.57 ID:JkAe5zG/.net
イーゼはオナホをとりだした

278 :創る名無しに見る名無し:2016/06/21(火) 01:29:23.42 ID:cqaq64u1.net
「ぬほぉぉぉぉ」
イーゼはオナホに夢中だ

279 :創る名無しに見る名無し:2016/06/27(月) 02:46:06.93 ID:dfNUJ94b.net
知事は、基本的なキノコスペースの絶対戦略、長期間で不眠不休の内周の水道管経路を計画中だが、普段より苦しい暑さならば半分は金額に合わせ、ルール変更で市街地に万能型スプリンクラーを50年体勢で設置数52,931個所確保で頑張りますと訴えたが、

280 :創る名無しに見る名無し:2016/06/28(火) 02:10:02.00 ID:3MhNrLOt.net
布団を干していたことを忘れ、気がついた時は雨でダメに

281 :創る名無しに見る名無し:2016/06/29(水) 10:09:45.32 ID:G15Q0pJi.net
スレ主さんは無事だろうか……

282 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2016/06/29(水) 20:10:49.76 ID:uH2LuvzU.net
突如乱入してきた少女に果物ナイフを突きつけられる。

「ひぃいいいいい! お助けぇええええええ!!」

>「私のゆうことを聞かないものは、殺しますっ!」

「沸点低すぎィ!」

そこに刑事っぽい格好をした人が乱入してきた。

「事件は会議室で起こっているんだ!」

刑事っぽい人は少女から華麗に果物ナイフを奪い、取り押さえる……
と思いきやその流れで二人は組体操っぽいポーズを決める。

「申し遅れました、こっちの小さいのがローファンタジアの知事、そして私が副知事です」

「この街知事いたんだ!」

巨大企業やカルト宗教が権力を握った近未来ファンタジーにおいて、すっかり影が薄くなった知事や市長が一応存在するのは割とよくある話である。

「知事、爆弾もいいですがここは我々の科学技術で開発した万能型スプリンクラーで
キノコ胞子を散布して食糧庫をキノコまみれにしてやりましょう!」

「なるほど……絶対的なキノコスペースの確保というわけだな!
赤字に白いぶち模様の美味しそうなキノコで充満した食糧庫をこれみよがしに置いておけば
必ずやおびきよせられるに違いない!」

という感じで突如現れた知事&副知事になんとなく場の空気を持っていかれ……
外から狙いやすい位置にキノコで充満した食糧庫を設置して再び襲撃があるのを待つこととなった。
ついでに食糧庫内にはトンスルとかいうお酒も配備。
口には出さないが誰もが思っているであろう、「本当にこんなんでおびきよせられるのか……!?」と!
最近どっかの知事の政治資金私的流用か何かのニュースで持ちきりだったが
どこの世でも知事に権力を集中させると碌な事がないのである。

283 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2016/06/29(水) 23:52:44.66 ID:/E7Rv/zU.net
医療ルームに運び込まれ、念のために精密検査や悪なる右手による観測・データ収集により
更なる詳細を直に調べるべきとの見解に至ったサンジェルマン伯爵や関る者達は此処にやって着ていた。
当のエスペラントは意識の混濁が見られ、依然として意識と無意識の中を彷徨い続ける
その最中に見る夢は、弱者が徹底的に淘汰される弱者必滅を掲げるそんな地獄。
しかしそれは何かの予兆か偶然か…それは突然消えて目が覚める。

「お目覚めのようだねエスペラント君」

目が覚めればサンジェルマン伯爵が第一に声を掛けられたエスペラントは
手を握ったまま眠っていた静葉を見つめた後

「どのくらいまで眠っていた?」

「約一日だね、意識不明だったが脈や心電図には異常は無かったから経過観察してたが」

サンジェルマン伯爵は眠っていた時間について答えた後

「君、体調が何かおかしくないかい?」

「…何も無いと言いたい所だが、傷の治りが余りにも遅い」

「それは<悪なる右手>による身体に負担が掛かっているのとその影響だね
だけどそれだけじゃないだろう?」

「何が言いたい?」

「君はそのせいで暫くは子供を作る事が出来ないだろう。
数百か数千年かはわからないがね、直接君を見た限りはそれほどの負担が掛かっている」

サンジェルマン伯爵はそれだけだと良いがね、と付け加え

「これからも<悪なる右手>による代償により、あらゆる影響が出続けるかもしれん。
はっきり言ってしまえば枢要罪全てを倒すまでに君は生きていられるかは断言できない」

「それでもやるさ」

「君は他の世界なら死なんて関係なく目的を遂げるまで戦わされるがこの世界ではそれは出来ない
死ねば<悪なる右手>を使う限り、それに吸収される以上一つしか命は無いのと同義なのはわかっているのかい?」

「分かっている、だが枢要罪と戦う手段はこれしかないのなら迷うまでも無い」

「君がそのつもりならば仕方あるまい、ならば今は止めない。
しかし近くで行動と観察は常にさせてもらうぞ」

「好きにしろ、制止するつもりは毛頭無い」

サンジェルマンはやれやれとしながらも
エスペラントは暫く身体を横たえたまま静かにしていた。
その一部始終は静葉ももちろん聞いていたが敢えて黙る。

284 :創る名無しに見る名無し:2016/07/06(水) 09:09:57.26 ID:TSjF1mlW.net
「本来、枢要罪は単体で一国を壊滅させる程の力を持つ。
暴食という言葉の意味を考えれば、策も無く人口密集地に誘き寄せるのは危険な相手はあるまいかな。
アスタロトがローファンタジアを滅ぼさなかったのは、ただ憂鬱という外側に向かい難い属性だったからに過ぎぬぞ」

イシュタルが食糧庫に入ってくると、婆くさい喋りでおびき寄せ大作戦に懸念を示す。
急に彼女の喋り方が変わったのは、敬語の若い女性NPCが三人もいるとキャラ被りする! 口調変えろ! 婆に戻れ!
と、リーフやピロウから足をギュウギュウ踏まれながら圧力をかけられたせいである―――――嘘だが。

「とはいえ、対抗する術がないわけでもない。
この世界にはかつて枢要罪と同格の存在もおったのだ。
遥かな太古に強大な八魔と戦い、共に滅びたと伝えられる守護者たちがのう。
もし彼ら―――八大竜王の力を現世に蘇らせることができれば、今後の戦いも有利に進めることができようて。
竜王の居場所? ネットの無い時代ならいざ知らず、今の世ならいくらでも伝承や文献を集められるはずじゃ」

285 :創る名無しに見る名無し:2016/07/07(木) 09:33:36.55 ID:81ML7Ecd.net
食料庫にはトッポギ、サムゲダン、キムチ、チゲ鍋、辛ラーメンがいっぱいだ

286 :創る名無しに見る名無し:2016/07/09(土) 01:05:56.37 ID:gdBy5g3V.net
庭でギターを燃やして、燃えかすを食べた。塀の上から侵入してきた黒い野良猫と目が合ったから、あくる日の晩御飯はカレーにしたのだけど、まだ今日であくる日ではない為、カレーは食べていなかった。喉が渇いていた。知らない男とキスをした。

287 :創る名無しに見る名無し:2016/07/14(木) 09:48:58.46 ID:oQBQkXut.net
リーフは何やら勝ち誇った顔だ。

「済みませんね、皆さん。
流れの読めない新人が適当な事を言って。
ほら、作戦の邪魔だからさっさと出てって下さい。
なんだか、お通夜みたいな雰囲気になっちゃったじゃないですか」

イシュタルはピロウに引っ張られ、食料庫から退場させられた。
今後、彼女が熾烈なNPC業界で生き抜いていけるのかは不明である。

288 :創る名無しに見る名無し:2016/07/15(金) 00:17:00.26 ID:KuQi3thm.net
「俺は、リーダーのジョン・スミス大佐。通称ハンニバル。奇襲戦法と変装の名人。俺のような天才策略家でなければ、百戦錬磨のつわものどものリーダーは務まらん」

289 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2016/07/16(土) 10:35:15.43 ID:y9hAwwbG.net
>283-288
数日後――エスさんはとっくに目覚めていたが、当然のごとく(?)キノコ作戦では枢要罪がおびきよせられる気配は無い。

「事件は会議室で起こっているんだ!」

という副知事の一声で再び作戦会議がはじまった。
机の上にはよりどりみどりな韓国料理。
庭でギターを燃やして騒いでいる人やら自称天才策略家やら知らない人が約数名混ざっているが深く考えない事にする。
BBA口調に戻ったイシュタルが、八大竜王めぐりによる戦力増強を提案し、リーフに止めらる。
それを見て、やはりアスタロトは消滅したのではなく、彼女の中に統合されたのだろうと思う。

「うん、今後もロリBBA路線でよろしく。
それはそうとオレはイシュタルの言う事は一理あると思うな。八大竜王尋訪アリかも。
このまま暴食と戦うにしてもおびき寄せるのはやめてこっちから乗り込んだ方がいいのかな……」

290 :創る名無しに見る名無し:2016/07/20(水) 00:16:02.34 ID:3gzI7I4J.net
猫語なんざ存在しない。怒り、寂しい、苦しいの3つ程度。
自然界で声を出すってのは、致命的なんですよ。そこにいるってのを教えることになるからね。
ですから、基本的に動物は鳴かない。感情は尻尾やひげなんかで表現する。
だからいわゆる猫語がどうのってのは嘘。
これ、いなりずし界の常識。

291 :創る名無しに見る名無し:2016/07/22(金) 22:23:48.34 ID:r2dKUVWe.net
そういえば、半リセットで各章ダイジェストは読むとかえって混乱するものになってしまった

292 :創る名無しに見る名無し:2016/07/26(火) 21:48:12.38 ID:qkJZFsoY.net
会議室では「ピカチュウゲットだぜ」とか「あっちにヤドランいたよ」とか、
謎の台詞を言いながらスマホを弄る人が続出していた

293 :創る名無しに見る名無し:2016/08/01(月) 01:44:15.63 ID:hLyHR1Be.net
なぜか今まで判然としなかった知事の姿かたちが、霧の晴れるように明らかとなった
どうやら女性のようだ

294 :創る名無しに見る名無し:2016/08/01(月) 02:15:18.65 ID:7B0/ph59.net
女性のヨーダはフォースを感じた

295 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2016/09/03(土) 16:32:34.21 ID:gG6bkIaV.net
「枢要罪は滅多なことが無い限り乗り込んでくることはあるまい」

作戦会議の最中にエスペラントは発言する。

「奴等は我々にわざわざ猶予を与えている以上は余程の事が無い限りは動くつもりはないと見るべきだ」

裏を返せば枢要罪はそれほどの余裕があるということであり
此方にはその時間は逆に言えば余り無い

「この際だ、こちら側が有利になるのであればそれは使わない手はあるまい?
故に八大竜王の力は確実に必要だ、枢要罪と戦ったのであれば対策も練られるほどの情報もあるかもしれない」

我々はどこまで行っても不利な状況に変わりなく、情報も足りない
余りにもこの状況はとても不味く、枢要罪との埋められる差は可能な限り埋めない限り
枢要罪を全て倒すなんて事は実質不可能に近い。

「私は出来る事をしないで全滅など御免被るからな、お前たちがしないのなら
私一人でも八大竜王を探す」

このままでは話していても埒が明かず反対多数でも一人で行動するつもりだと
自分の意見を話し、口を閉じる。

296 :創る名無しに見る名無し:2016/09/04(日) 04:59:48.71 ID:iQPj68sS.net
そんな中、今春上京してきたばかりの短大生・矢野舞花(やの まいか)がシノギゴロシのアルバイトを始めた。
彼女は全然乗り気ではないようだが、強引に前スレと繋げるための宿命には逆らえなかった。
元々居た矢野統爾は惑星メルキアのウド幕府とやらに赴くことになったため、結局新スレでも舞花が主役を張ることが決まった。

297 ::2016/09/11(日) 08:59:18.25 ID:NKQ8HofM.net
タンクローリーだッ!

298 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2016/09/16(金) 00:03:39.86 ID:OX7+WJwo.net
>「私は出来る事をしないで全滅など御免被るからな、お前たちがしないのなら
私一人でも八大竜王を探す」

エスさんは八大竜王の探索に乗り気のようだ。

「そうと決まれば早速場所の絞り込みだ。
解析班、あらゆる検索システムを駆使して八大竜王がいる可能性のある場所の候補をあげて!」

一言で言うとググれということである。
ちなみに解析班というのはリーフ、ピロウちゃん、イシュタルあたりのNPC達のことだ。

「見てください、魅惑の8大パワースポット巡りだってー」
「それは楽しそうですね」
「おお、凄まじいフォースを感じるぞ……!」

いつの間にかイメチェンしていた知事も加わり、優秀な解析班の解析は進む。

「場所は……トキオですね。現在の情勢はっと……シノギゴロシアルバイト募集中!
なんでしょう、これ」

ということで、八大竜王の手がかりを求めてトキオに降り立った。
ローファンタジアから出た瞬間……

「タンクローリーだっ!」

空からタンクローリーが落ちてきた!

299 :エスペラント ◆hfVPYZmGRI :2016/09/21(水) 21:35:20.40 ID:90yt31H7.net
>「そうと決まれば早速場所の絞り込みだ。
解析班、あらゆる検索システムを駆使して八大竜王がいる可能性のある場所の候補をあげて!」

>「場所は……トキオですね。現在の情勢はっと……シノギゴロシアルバイト募集中!
なんでしょう、これ」

「……」

八大竜王の手掛かりはトキオにあるとのことだがこの世界のトキオについては何もしない。
いや正確にはほぼ同じ可能性は高いが、この世界の世界守護者委員会の拠点や繋がりが存在しているのかさえ不明である。
此処は自分の知っていることが変わっている故にそれが確実にあるとは断言できる保証はなかった
そしてトキオに向けて天空都市は動き始めた。

だが突然タンクローリーが空から落ちてくるが
天空都市の防衛システムに阻まれ届く前に凄まじい爆発をする。
破片が向かってくるもそれもバリヤーで弾いたようだ。

「さすがに防衛システムもしっかりしているな」

そう呟いた後、天空都市はトキオに向けて移動して二日
トキオがある場所に辿り着くが其処には帝都トキオは存在していた。
だが着陸しようと近づくと其処は帝都トキオは無く突然切り取られたような真っ暗な空間に吸い込まれる。
吸い込まれた天空都市の目前には

「帝都トキオを発見。しかし周囲に多数の艦隊と飛行物体が確認されており、現在戦闘の真っ只中と思われます」

「それはどういうことだ!?」

エスペラントはその言葉を聞いて驚いている
帝都キョウトが攻撃を受けているのだしかも見た限りは

「船と飛行物体に関しては細かく見る限りまったく同じ物ではない物があるがこれは……」

まるで何処かの国が連合を組んで襲い掛かるあるいは戦争をしているみたいだと思った。
そしてこの戦いはまるで

「複数の国と戦争をしているのか…?」

艦隊の異なる国旗が建てられているのを見て彼が知る地球という場所であった多くの国と国の戦い、世界大戦というべき物が行われているように見えた。

300 :創る名無しに見る名無し:2016/09/22(木) 01:20:49.93 ID:o/Z3CvPL.net
↑長い
3行で

301 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2016/10/07(金) 01:06:41.58 ID:i63jcUQg.net
>「複数の国と戦争をしているのか…?」

「まさか、八大竜王の力を狙って様々な勢力が押し寄せているのか!?」

「……分かりません。
ググったところによるとSMAPA解散の影響で様々な勢力に攻め込まれたのかもしれません」

トキオを守護するグループのうちの表向きの頂点はその名の通りTOKIOだが
SMAPAといえばTOKIOを凌駕する裏ボス的存在、実質最強と言われていたグループである。
ただでさえたくさんのパワースポットを抱えているトキオのこと
最強の守護者が解散してしまったとなれば、こうなるのもあり得ない話ではない。

「なんの、ステルスモード起動、バリア展開……一気に突破するぞ!」

「ぐぎゃあああああああああああ!!」

イシュタルの華麗な操縦により、ローファンタジアは無事に帝都に着陸した。
着陸した一行を、トキオのリーダーが出迎える。

「よく来てくれた。帝が会いたいとおっしゃっているので皇居まで一緒に来てくれ」

案内されるがままに付いていき、行き着いた先はどう見ても雑居ビルだった。

「皇居……?」

戸惑いながらも先導されるままに、雑居ビルの中に入っていく。

302 :創る名無しに見る名無し:2016/10/07(金) 03:03:22.14 ID:xG6uyn30.net
長靴しかはいてない猫が現れた

303 :雑居ビル:2016/10/07(金) 06:58:56.61 ID:8Ccc951y.net
入り口にはいるとあらわれたのは玄関ではなく和式トイレの便座だ。

トイレのなかはかび臭いにおいが漂い、
壁や天井は黄ばみ茶色や緑色の何かがこびりついている。

目の前の便座の中には赤や黄色の塊やホースのような物体が溜まっている
臭いの原因はこれらしい。

流しますか?

304 :創る名無しに見る名無し:2016/10/09(日) 22:31:48.78 ID:xW+meTwh.net
上から納豆をかけます

305 :創る名無しに見る名無し:2016/10/13(木) 15:40:51.59 ID:3eLcymWd.net
流そうとしたその瞬間、黒服の男が俺に銃を突きつけた

306 :創る名無しに見る名無し:2016/10/14(金) 00:59:37.93 ID:jmKr3Jav.net
翌日、2人仲良く手をつないだ遺体が発見され

307 :創る名無しに見る名無し:2016/10/14(金) 01:00:24.17 ID:jmKr3Jav.net
翌日、2人仲良く手をつないだ遺体が発見され

308 :創る名無しに見る名無し:2016/10/16(日) 12:36:55.14 ID:PA5UgYpW.net
その後 スタッフがおいしくいただきました

309 :創る名無しに見る名無し:2016/11/10(木) 01:29:19.08 ID:QiWJ9aWv.net
スタッフ「ウンコ美味い美味い」

310 :創る名無しに見る名無し:2016/11/12(土) 02:21:06.67 ID:Wo0RmG2L.net
スタッフ「フォルテ、早くウンコ出して!!」

311 :創る名無しに見る名無し:2016/11/12(土) 02:58:33.16 ID:Wo0RmG2L.net
尻を力むフォルテ。勢いよく下痢ぎみのウンコが紙皿へと排出されていく

フォルテ「へいお待ち!!」

312 :創る名無しに見る名無し:2016/11/12(土) 17:22:11.84 ID:Wo0RmG2L.net
次々と下痢便をひりだしてゆくフォルテ。
フォルテ「お好み焼きも追加よ」

口から吐瀉物がこぼれだした

313 :フォルテ ◆uVQKW6f//c :2016/11/15(火) 19:51:31.99 ID:sXZ4Rz8h.net
何故か入口から入るといきなり和式トイレの便座が現れた!

「罠だと分かっていても踏み抜きにいかざるをえない! ほいやっさー!」

流そうとしたその瞬間、黒服の男が現れて銃を突きつけた!
そこに長靴しかはいていない猫が登場。

「早く、こっちにゃ!」

長靴しかはいていない猫はオレ達の手を取って便器の中に飛び込んだ!
後から聞いた話によると、便器は便器に擬態したワープホールだったのだ。
敵に侵入されないために玄関の代わりに便器ワープホールを配置という手段を取っていたのである。
ワープホールを抜けて出た場所は、豪華な建物の内部のよう。
一時はどうなる事かと思ったが、どうやら本当に皇居に来たようだ。

「危ないところだったにゃ……あの黒服の男は敵勢力の刺客。
もう少しで二人仲良く手をつないだ遺体となって発見されるところだったにゃ」

と長靴しかはいていない猫。

「あなたは……?」

「申し遅れたにゃ。珍こそが帝だにゃ」

「マジで!?」

ネコブームの波はこんなところまで押し寄せていた!

314 :創る名無しに見る名無し:2016/11/16(水) 01:56:52.28 ID:qA39sUKK.net
フォルテはいきなり下着を脱ぎ捨て排便をし始めた。
「あたしのウンコは献上品に最適なの」

315 :創る名無しに見る名無し:2016/11/27(日) 04:07:21.09 ID:W6gza09b.net
ひりだしたウンコを身体中に塗りたくりはじめたフォルテ。
「香水にもなるのよ!!」
あれはキチガイの目だ

316 :創る名無しに見る名無し:2016/12/03(土) 02:14:09.98 ID:Qn/A78Oq.net
キチガイのフォルテはついに糞尿をあたりかまわず投げ出した

317 :創る名無しに見る名無し:2016/12/03(土) 08:47:58.09 ID:UrEk1asO.net
あんまり下ネタで荒らしちゃあかんよ

318 :創る名無しに見る名無し:2016/12/04(日) 00:13:42.88 ID:wTjN91ON.net
まったくリレーをせず一人で延々長文投稿もあかんよ

319 :創る名無しに見る名無し:2016/12/06(火) 20:14:28.33 ID:rGWzwIzq.net
あげ

320 :創る名無しに見る名無し:2016/12/06(火) 20:25:01.08 ID:rGWzwIzq.net
あげ

321 :創る名無しに見る名無し:2016/12/06(火) 23:23:44.93 ID:ZlRZIYcs.net
あげ

322 :創る名無しに見る名無し:2016/12/06(火) 23:35:59.39 ID:Xq6BvCTy.net
フォルテは腹いせにウンコを全身に塗りたくって抗議活動をした

323 :創る名無しに見る名無し:2016/12/08(木) 11:19:04.77 ID:WB5UPo1J.net
あげ

324 :創る名無しに見る名無し:2016/12/08(木) 22:32:13.45 ID:bGvHiedn.net
ウンコを塗りたくったフォルテは両手にトンスルを持って警察へ向かった。撒き散らすつもりだ

325 :創る名無しに見る名無し:2016/12/10(土) 13:52:49.83 ID:J8vT5+27.net
あげ

326 :創る名無しに見る名無し:2016/12/11(日) 10:23:55.56 ID:k7AJpDAG.net
あげ

327 :創る名無しに見る名無し:2016/12/16(金) 01:46:06.54 ID:zcDjxSQS.net
それに対抗するかのようにエスペラントは身体に納豆を塗りたくり、山手線に乗車

328 :創る名無しに見る名無し:2016/12/17(土) 11:52:06.81 ID:+PFOPY/F.net
あげ

329 :創る名無しに見る名無し:2016/12/17(土) 14:21:20.05 ID:fB6/55AA.net
イーゼも全裸になりイワシを髪の毛にのせ、 ドクターペッパーを周囲に撒き散らしている

330 :創る名無しに見る名無し:2016/12/25(日) 06:06:49.86 ID:4EayXaiY.net
負けじとフォルテ、自分の陰毛に火をつけアナルにロケット花火を刺した

331 :創る名無しに見る名無し:2016/12/29(木) 03:00:06.24 ID:bWNh91SR.net
「アナルファイヤー!」
ケツに火がついた

332 :創る名無しに見る名無し:2017/01/12(木) 01:13:50.10 ID:u91JJAKd.net
フォルテは、基本的なキノコスペースの絶対戦略、長期間で不眠不休の内周の水道管経路を計画中だが、普段より苦しい暑さならば半分は金額に合わせ、ルール変更で市街地に万能型アスタロトを50年体勢で設置数52,931個所確保で頑張りますと訴えたが、

333 :創る名無しに見る名無し:2017/01/16(月) 03:25:17.33 ID:a6XMs+Y1.net
便意にまけ電車内で公開脱糞をしたフォルテ
通勤快速なため、あと15分は身動きがとれない

334 :創る名無しに見る名無し:2017/02/11(土) 20:56:39.40 ID:5YGwaXzj.net
排便まみれなフォルテの写真がネットに流出
泣きながら電車から降りていく動画も世界中に拡散

335 :創る名無しに見る名無し:2017/02/19(日) 19:46:31.24 ID:mxZBotBZ.net
今時ワッチョイがついてないなんて
自演認定されても文句いえないゾ〜?

336 :創る名無しに見る名無し:2017/02/20(月) 02:28:53.31 ID:f8O56w2U.net
リレーすらしない奴がいるからなぁ

337 :創る名無しに見る名無し:2017/02/20(月) 07:51:01.98 ID:p8BzmpWv.net
リレー小説系統は強制ip+コテハン表示の設定は必須

338 :創る名無しに見る名無し:2017/02/21(火) 10:19:45.67 ID:icBNpbFr.net
それすら無視すんのよ

339 :創る名無しに見る名無し:2017/02/22(水) 05:28:58.88 ID:PWUOGJFc.net
>>338
自演がばれるのがいやなの?

340 :創る名無しに見る名無し:2017/02/22(水) 09:52:57.75 ID:NlEMZ6wV.net
ぬるぽ

341 :創る名無しに見る名無し:2017/04/02(日) 00:56:51.90 ID:bprc+Pg0.net
排便を撒き散らしながらフォルテは駅ホーム内を駆け出した

342 :創る名無しに見る名無し:2017/04/22(土) 03:58:16.88 ID:m6omqx8+.net
駅員にはがいじめされ、説教されるフォルテ。見物客によって写真に撮られ『うんこもらし』のタイトルでネット拡散

343 :創る名無しに見る名無し:2017/05/21(日) 22:35:54.36 ID:SiM9bdaO.net
家から出られなくなるフォルテ。しかもいい歳して実家暮らし

344 :創る名無しに見る名無し:2017/05/23(火) 02:22:06.63 ID:A4aCQH1h.net
フォルテの実家に「うんこ漏らし」の貼り紙が

345 :創る名無しに見る名無し:2017/07/13(木) 05:28:36.18 ID:YHrSC4tX.net
フォルテたまらず県外引っ越し。しかし噂は次の居留地にも

346 :創る名無しに見る名無し:2017/08/06(日) 01:49:13.86 ID:WXamDod2.net
再就職したフォルテ。しかし職場に次々とウンコ漏らしのチクリ電話が

347 :創る名無しに見る名無し:2017/08/20(日) 23:36:31.68 ID:Hv8J6yNN.net
フォルテの職場にも、駅構内うんこ漏らし惨状のチラシが貼られ

348 :創る名無しに見る名無し:2017/11/20(月) 00:51:01.98 ID:K5jKfHPB.net
開き直ったフォルテは首から「私はウンコ漏らしです」看板を下げて街中を行進

349 :創る名無しに見る名無し:2017/12/27(水) 10:01:45.52 ID:C1Z7QFDy.net
家で不労所得的に稼げる方法など
参考までに、
⇒ 『武藤のムロイエウレ』 というHPで見ることができるらしいです。

グーグル検索⇒『武藤のムロイエウレ』"

7QWBTPPOSG

350 :創る名無しに見る名無し:2018/05/21(月) 09:01:50.06 ID:tRZnwP6O.net
知り合いから教えてもらったパソコン一台でお金持ちになれるやり方
参考までに書いておきます
グーグルで検索するといいかも『ネットで稼ぐ方法 モニアレフヌノ』

O9ZXS

351 :創る名無しに見る名無し:2018/07/03(火) 18:57:41.77 ID:f1dClnnX.net
7D1

352 :創る名無しに見る名無し:2018/10/17(水) 19:26:05.98 ID:ZU7x6aHX.net
中学生でもできるネットで稼げる情報とか
暇な人は見てみるといいかもしれません
いいことありますよーに『金持ちになる方法 羽山のサユレイザ』とはなんですかね

BER

353 :創る名無しに見る名無し:2022/05/18(水) 15:52:38.31 ID:U2/nV/Bm.net
https://i.imgur.com/adB4Tf7.jpg
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