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TRPG系実験室 2

1 :創る名無しに見る名無し:2018/09/07(金) 22:56:07.99 ID:c8v0uQxh.net
TRPG関係であれば自由に使えるスレです
他の話で使用中であっても使えます。何企画同時進行になっても構いません
ここの企画から新スレとして独立するのも自由です
複数企画に参加する場合は企画ごとに別のトリップを使うことをお勧めします。
使用にあたっては混乱を避けるために名前欄の最初に【】でタイトルを付けてください

使用方法(例)
・超短編になりそうなTRPG
・始まるかも分からない実験的TRPG
・新スレを始めたいけどいきなり新スレ建てるのは敷居が高い場合
・SS投下(万が一誰かが乗ってきたらTRPG化するかも?)
・スレ原案だけ放置(誰かがその設定を使ってはじめるかも)
・キャラテンプレだけ放置(誰かに拾われるかも)

295 :神籬明治 :2019/04/05(金) 23:56:18.93 ID:yMxGM4mk.net
魔法で作った光の盾の後ろで、くるくると器用にワンドを回し――変身。
星を象ったワンドの先端から煌びやかな輝きを散りばめながらその姿を光輝に染めあげる。
なお、彼女は現在透明であるため、その変身プロセスを目視する事は叶わない。

「みんな、元気?私は元気!!だって私は闇を照らす希望の光!!!!」

虚空から派手な発光を伴って現れたのは、白金の衣装を纏った一人の少女。
目も眩む銀髪の長いツインテールに素顔を隠すような派手なメイク。
右手のワンドを振るうと、周囲に星型のユニットが次々と召喚されていく。
野暮ったい瓶底眼鏡の女子高生は見る影もなく、その姿はまさしく煌びやかなアイドルだ。

「歌って踊れるアイドルヒーロー!!魔法少女スターレインっ!」

口上を唱えている間も続く無粋な斉射を魔法による光の盾で防ぎつつ――。
びしっと触媒である「スターライトワンド」を敵性兵器に突きつける。

「もう好きにはさせないぞっ、こんな鉄の塊ちょちょいのちょいっと星屑にしてあげちゃうから!」

魔法少女『スターレイン』。テレビやニュースで頻繁に取り沙汰される人気ヒーローの一人だ。
彼女のような一線級の人気ヒーローを誰が言ったかアイドルヒーローと呼ぶ。
スターレインは正義の女神アストレアと契約した魔法少女(光属性)であり、
堕落した人類を見放して地上を去ったという女神が残した最後の希望――悪を挫き、人々を守る正義の使者。

「お願いアストロビット!裁きの光で焼いてあげて!!」

周囲に展開する星型ユニットがスターレインを中心に円運動を開始する。
光を帯びたユニットは次々にマジカルレーザーを発振し、ニーズヘグ達を焼き、爆裂させていく。
伊達にアイドルヒーローと持て囃され人気を得ている訳ではない。
アダマス合金の装甲を絡め手なしの単純攻撃で突破するなど、彼女にとって造作もない事だ。

スターレインの登場がドローンによって瞬く間に周知に知れ渡り、敷地外の野次馬は一層増加した。
まさしくアイドル的人気によってファンが押し寄せ、規制線の向こう側は混乱に陥っていた。
アストロビットを操作しながらスターレインはかぶりを振る。

「はぁ、私ってなんて罪な魔法少女なんだろう……」

296 :神籬明治 :2019/04/05(金) 23:57:05.90 ID:yMxGM4mk.net
星々を司る魔法少女が四名のヒーロー達の方を振り向いた。

「ところで、話聞こえてたけど私はここの敵を倒せばいいのよね?
 でも大丈夫かな……心配なんです。中のヴィラン結構つよそーって聞いてるし……あ!!」

協会本部から飛び出してきた新たなニーズヘグ達がザ・フューズやテスカ☆トリポカ目掛けて銃撃を開始した。
銃弾は猛烈な勢いでヒーロー達へ迫るも、その全てが時が止まったように空中に静止した。
直後、敷地の端に一人の男が佇んでいた。男は翳した手をニーズヘグ達に向けると、静止した弾丸が機械目掛けて飛来する。
弾丸はアダマス合金の装甲によって阻まれるが男は動じない。

「……君はヒーローの母親か?人気者の傲慢だぞ。
 彼らとて命を賭ける覚悟は出来ているだろう。余計な心配は無用だ」

彼は正々堂々免許を警察に提示して規制線を越えやって来たアイドルヒーローの一人。
漆黒のローブにフードで顔を隠した特徴のないシンプルな見た目――あまりに簡素なので不審者にも見える。

正会員である彼は、メトロポリス郊外で行われていた誘拐事件を追っていたため本部には生憎不在だった。
――複合能力者『ネメシス』。テレキネシスにテレパシー、テレポーテーションなどを備えたサイキックヒーローだ。
恐るべきことに、一切の能力強化や改造を行わず先天的に複数の強大な超能力を備えていたという稀有な存在である。

「顔を合わせるのは初めてのようだが、自己紹介や余計な親交は省く主義でね。俺のことは特に知らなくていい。
 だがここは任せておけ。ドローンの空撮で戦闘を見ていたが、君達の火力では雑魚を掃討するのに手間がかかりすぎる」

スターレイン目掛けてプラズマキャノンを連射するファーブニルに手を翳し、握り潰すような仕草を見せた。
するとアダマス合金製の装甲がみるみるうちに陥没し、ひしゃげて遂には爆発した。
強大なテレキネシスによる圧力で強引に破壊されたのだ。

「俺ならそう手間はかからない。しくじるなよ」

「よし……今なら踏み込める。皆、行こう!」

スターレインとネメシスにその場を任せ、協会本部へと突入した。
二人の支援のお陰で機械の竜たちの攻撃は一切こちらへ届かない。

協会の中は広いオフィスは激しい戦闘の爪跡でしっちゃかめっちゃかになっていた。
そこかしこに機械の残骸や血痕――ニーズヘグの銃撃による死者が残されている。
凄惨な光景を前にリジェネレイターは自身の無力さと込み上げてくる怒りを感じた。

「中は手薄だな。最優先は生存者の保護だ。リジェネレイター、感知してるか?」

「……ああ。だが、各階に点在していてまばらだ。保護には時間を要するだろう。
 交渉を一切行わない点といい、ヴィランには人質を取るという考えはなさそうだ……」

「……そうだろうな。奴にとってメトロポリスの住人は殲滅の対象でしかない。
 そんな発想は最初から持ち合わせていないんだろうよ」

297 :神籬明治 :2019/04/05(金) 23:58:59.50 ID:yMxGM4mk.net
生存者を保護すべく奥へと進もうとした時、協会内のスピーカーが起動し、男の声が響いた。
声色からして四十代くらいの、中年の声だ。声の主は――間違いなく犯人のヴィランであろう。

「……旧約聖書の創世記において、悪徳と頽廃の象徴とされるソドムとゴモラは天からの硫黄と火によって滅ぼされた。
 この世に神はいる。だが悪の蔓延るこの世に裁きを下す事はないのだろう。現代の悪徳と頽廃の象徴――……。
 メトロポリスは、こうして天の裁きを下されることなくのうのうと存在しているのだから」

深く沈んだ澱みの溜まった声が響いて間を置かず、天井が崩落した。
勢いよく破片を撒き散らしながらパワードスーツに身を纏った男が姿を現す。
漆で塗ったような漆黒の装甲に、竜のような頭部に尾、胸部に煌々と光を蓄えた球形の核。

「この世界は病んでいるよ。故に、私は私の信じる正義を実行に移すまで。
 全ての悪の源、このメトロポリスを滅ぼす。貴様にこれを言うのは三度目だな……リジェネレイター。
 そちらの方々はNo14、テスカ☆トリポカに……ザ・フューズか。会うのは初めてになる。私は『アンチマター』だ」

ヴィランの出迎えに対するリジェネレイターの答えは即時応戦。
スラスターを全速で吹かして跳躍し、竜巻のような回転を加え――頭部目掛けて渾身の蹴撃。
パワーアシスト機能も加わった、常人には回避不能の一打。
何人もの命を奪った人間に投降を呼びかける必要などない。無言で制圧するだけだ。

「ふっ……何度殺してやっても私の前に立ち塞がるか。相変わらずだな」

アンチマターはリジェネレイターの蹴りを最小限の動きで躱す。
見切っていたと言わんばかりに、着地の瞬間を狙って尾が槍のように鋭く迫った。
リジェネレイターは咄嗟に身を捻り、スラスターを噴出して方向転換。尾の攻撃を回避。

「流石は私の宿敵だと評しておこうか。まぁ……替え玉ヒーローが宿敵というのも妙な話だがな。
 中身が誰かは知らんが、代替品の偽物風情が私の邪魔をしないで欲しいな……いい加減鬱陶しいぞ」

「距離を取れリジェネレイター!こいつに闇雲な攻撃は通じない。お前の能力もアンチマターには無意味なんだ。
 あいつはさっきの一連の動作で何もしちゃいない。全部AIが自動でやったことだ。戦闘中に感情なんて籠らない」

オービットの忠告を聞いてリジェネレイターはスラスターで跳躍し、一時戦闘距離を保った。
幾度かの交戦経験により、オービットはアンチマターの手の内を多少把握しているが、あくまで"多少"の範囲だ。
何故なら彼のパワードスーツは戦闘毎に更新され、常に装備が変わる。事前情報は無意味に近い。

298 :神籬明治 :2019/04/06(土) 00:01:44.61 ID:RDsLSfeh.net
リジェネレイターはアンチマターの言葉を理解できずにいた。いや、本来理解する必要はないのかもしれない。
たとえ如何なる理由があっても、アンチマターの足元に広がる無数の亡骸がその残虐性を物語っているからだ。
アンチマターは、殺意も悪意もなく、ただ無表情に自身が生み出した殺戮兵器でこの凶行を行った。

リジェネレイター・神籬明治の信じる正義とは、自身の力を平和のために、人々を助けるために行使することにある。
アンチマターもまた自分の正義を持っているつもりなのは共感覚で読めていた。だから彼の言う正義が何なのか理解し難い。
正義という言葉を使いながら、破壊と虐殺を起こすアンチマターが。

「……なぜだ?なぜこんなことをした?ヒーロー協会を襲うことが、お前の正義なのか。
 罪もない人の命を奪って何が正義だ。俺には分からない……どうしてこんな残酷なことができる!?
 彼らには家族がいた!愛する人も!帰るべき場所も!なぜヴィランはこんなことを平気でやれるんだ!?」

普段口を開かないリジェネレイターの口がこの時ばかりは滑らかになった。
それはヒーローでなく、犯罪者の手によって肉親を失った一人の少年の慟哭だった。

「お前の言う通り、この街は確かに悪で満ちている……誰かを陥れようとする暗い感情が渦巻いてるのは事実だ。
 でも、それ以上に皆が抱いているのは苦しみと、恐怖と、絶望だ。誰も手を差し伸べなんかしない。
 超常の力が蔓延する今の社会は、法の整備も対応もまるで不完全だからだ」

自分の立場も状況も忘れて、拙い言葉で必死に問いかける。

「だからこそ俺達は立ち上がった!悪から人々を守り、何も怖くなんかないんだと手を差し伸べてやるために!
 それがヒーローで、そのためのヒーロー協会だ。なのになぜ、こんなことをした!?」

リジェネレイターは今までにないほど強く憤りを抱いていた。
たとえどんな返答が待っていようと、神籬明治は、アンチマターを許さないだろう。
アンチマターは少しの間を置いて腕を組んだまま静かに口を開く。

「私の邪魔をするからだ。それに……偽善者を叩き潰す事に何か躊躇いがいるか?
 少し私の話をしてやろう。私は今よりずっと未来の世界……23XX年からやってきた時間旅行者なのだ」

アンチマターの沈んだ声が語り始めたのは今より未来――23XX年についてだった。
未来の世界は非合法組織やヴィランがメトロポリスのみならず全国に蔓延る荒廃した時代にあった。
悪の歯止めとなっていたヒーロー達は時を経るにつれて数を減らしていき、遂には腐敗してしまった。
未来のヒーロー達は私欲や既得権益のためにのみ超常の力を振るう、まさしく偽善者に成り果てていた。

「酷い時代だった。非合法組織の活動が社会基盤を半ば崩壊させ、一般人は日々の食事さえままらない……。
 私は両親の顔も知らない。掛け替えのない友人や愛すべき人も、すぐこの世を去った……大切なものなど全て失ったよ」

アンチマターと呼ばれた男は、未来では継見隆一という優れた科学者だった。
度重なる抗争や犯罪行為によりディストピアと化した世界に、安寧を齎したいと常々継見は考えていた。
しかし彼一人の力では腐り切った23XX年の荒廃を止めることなどできはしなかった。
そして遂に思い至った手段こそ、歴史改変である。

299 :神籬明治 :2019/04/06(土) 00:03:12.38 ID:RDsLSfeh.net
過去に跳躍し、未来が荒廃する要因を全て取り除くことで、苦しみのない平和な世界を生み出そうと考えた。
科学者という立場はこういう時に便利だ。過去の資料を片端から集めて量子コンピューターに計算させた結果、
荒廃を回避するには20XX年にメトロポリスで増加した特異能力者の出現に伴う非合法組織の台頭を阻止すべきだと判明した。
継見は研究に没頭した。研究の歳月が二十年を過ぎた頃、遂にその成果が芽を出す。

「歴史改変による解決策を模索していた私は、実験の過程で過去の時代――このメトリポリスに流れ着いた。
 時間跳躍のための装置は事故によりこの手から離れ、いずこかへと消え去った……私は途方に暮れた」

不意にアンチマターの鈍く輝く鋼鉄の尾が動いた。
尾はヴィランの手元へ滑り込むように動くと、大きく脈打ち、先端が蕾のように開く。
中から現れたのは青白い立方体のオブジェ。その形状、装飾、光放つ輝きには見覚えがある。

如何なる科学、超能力、魔法といえど、容易に到達できぬ至高の領域の力。
ファイアスターターやロックバインの所属する組織はその力を欲してきた。
彼らだけではない。ありとあらゆる非合法組織が、あると知れば手に入れようと画策するだろう。

「だが……運は私を見放してなどいなかった。時を操る我が発明、キューブは確かに私と同じ時代に流れ着いていた!!
 不完全なため長距離の跳躍は不可能だが、完成させれば自由に時代を跳び、自在に歴史を改竄する事が出来るだろう!!」

この装置ばかりは23XX年以降の技術と彼の頭脳でしか生み出せない。20XX年の科学力で再現する事は不可能だ。
尾が再びキューブを飲み込むと、リジェネレイターはアンチマターの高揚を感じとった。
平時戦闘で感じるおどろおどろしい悪意も刺すような殺意も感じない。
リジェネレイターはアンチマターの攻撃の予兆を読めなかった。

「私は必ず未来を平和にしてみせる!それが私に唯一残された正義だからだ!
 その最善の手段は20XX年のメトロポリスに消えてもらうことだ!!
 障害となるものは誰であろうと排除しよう!手段は選ばん!!」

アンチマターが左手を前に伸ばすと、リジェネレイター目掛けて光線が照射された。
光線は前衛にいたリジェネレイターを牽引し、アンチマターまで引き寄せられる。
『トラクタービーム』だ。古来宇宙人がUFOで人を攫う時に発する、あの光と同種のものである。

継見隆一が装着するアンチマター・スーツは20XX年にやって来た際に継見の手で製造されたものだ。
基幹技術は普及しているパワードスーツと同種だが、この時代のあらゆる技術の粋を集めて製造された。
開発者は未来の頭脳を持つ科学者なのだ。リジェネレイター・スーツなど比べ物にならないほど高性能だった。

「リジェネレイター、因縁と思って話してやったがそれもこれまでだ!まずは貴様から死んでもらう!
 この場所が貴様の墓標、七代目はいないものと思え。また説明してやるのが面倒だからなァ!!」

300 :神籬明治 :2019/04/06(土) 00:05:26.30 ID:RDsLSfeh.net
怪光線によって捕獲されたリジェネレイターの身体が空中を舞う。
スラスターを吹かしても脱出できない。牽引する力の方が圧倒的に強いのだ。

「まだだ!」

すかさず右手から不可視のフィールドが展開された。
トラクタービームを引力とするならこのフィールドは斥力だ。
『リパルションフィールド』と名付けられた、あらゆる攻撃を弾く盾。
テスカ☆トリポカ、No14、ザ・フューズが攻撃を加えても全てはこの盾に阻まれるだろう。

リジェネレイターの直感が告げる。攻撃の予兆を読めない以上、ここは回避に専念するべきだと。
空中機動による脱出は不可能だが方向転換は可能だ。アンチマターとの衝突を躱そうと左へ身を捻ろうと考える。
思考と同時、アンチマターが竜の如き頭部を前に突き出し猛進。
高速で敢行された頭突きがリジェネレイターの身体を大きく吹き飛ばした。
仮面の奥で血反吐を零して、それでも地面に倒れ込むまいと着地する。

瞬間、アンチマターの拳を目の端で捉えた。
スウェーで避けようとしたところで、拳の軌道が大きくスイッチした。
頭部狙いのアッパーから胸部狙いのストレートへ。ガードが間に合わず胸骨を砕かれる。

猛攻が続く格闘戦の中、リジェネレイターは数秒も経たずに追い込まれていた。
共感覚(エンパシー)が役に立たない上に、動作全てが先読みされている。
まるで能力をフルに使って戦う自分を相手にしているような錯覚に陥っていた。

「リジェネレイター!あれだ!あれを使え!!」

「どんな抵抗も無意味だ!さぁ、奪わせてもらおうか、貴様の未来!!」

鋼鉄も凹ませる拳を六発食らい、大きくよろめいた時、胸倉を掴まれ恐ろしい膂力で宙に放り投げられる。
胸部に収められた球形の核が発光した。光は収束して極太の光線と化し、空中のリジェネレイターを襲う。
光の奔流が本部のビルを縦に貫く。轟音が響き、穿たれた上階が瓦礫の山となって落ちてくる。
アンチマターは舌打ちをしながら三人のヒーローの方へと振り向いた。

「……待たせたな。次は貴様らだ。もっとも手の内は知っている。
 私の時代のヒーローと同じ、醜い偽善者だということもな……」

キューブの行方を密かに追っていたアンチマターは、偶然あの夜の戦いをドローンで監視していた。
ファイアスターターとロックバインと繰り広げた、あの夜の戦いを。

アンチマターに戦闘データを収集されたという事実は単に手の内を把握されたという事だけに留まらない。
周囲に偏在する様々な情報を収集・分析する事で未来を読む統合未来予測システム『アイズオブヘブン』が機能するからだ。
リジェネレイターとの攻防で見せた先読みも全ては高精度な未来予測によるもの。最初から神籬に勝ち目はなかった。

301 :神籬明治 :2019/04/06(土) 00:07:55.17 ID:RDsLSfeh.net
アンチマターの当初の目的は既に達している。
キューブを手に入れた以上、ここに用はない。にも関わらず自分から姿を現したのは他でもない。
未来に不必要な存在を確実に消しておこうと思ったのだ。悪しき芽は摘んでおくに限る。

「私の時代が荒廃したのも元を正せばメトロポリスのヴィラン達が原因だ……。
 だが、何も守れず、何も果たせず、正義を気取るだけの貴様らの罪も中々にデカイ!!!
 何がヒーローだ笑わせるな!ならば今すぐこの病んだ世界を救ってみせろ!何もできない屑どもが!!」

アンチマターは二度、床を殴りつけた。床板がめくりあがって大きくのたうつ。
無論、これは戦闘を代行するAIが行ったのではない。元来科学者である中身は迂闊に敵に攻撃できない。
戦闘に関してはほぼ素人だ。それでもどうする事も出来ない、ぶつけようのない怒りが、彼を突き動かした。

「ただの無能であるならいざしらず、ヒーローは人々を守るどころか私欲にまみれた偽善者に過ぎなかった!
 それは私の未来が証明している!いや……既にそうなのだ!貴様らのことだよ!!胸に手を当てて考えてみろ!!
 貴様ら三人は、公然と人を殺せる立場を手に入れただけの存在……ヴィランとそう変わらんわ!」

アンチマターの双眸が怪しく光を灯す。AIが起動して戦闘態勢に入った合図だ。
まず狙うのは魔法少女テスカ☆トリポカだ。武器はマクアフティル、能力は黒曜石の生成と起爆、瞬間移動。
確実に仕留めるために有効だと思われるのは、黒曜石を突破する破壊力と、瞬間移動後でも命中を見込める追尾性能。
よってAIが選択したのは、両肩に内蔵している無数の小型追尾ミサイルだ。

「テスカ☆トリポカ!神の力を借りていながら貴様は罪深いなぁ!
 正直になったらどうだ?本当は快楽に溺れていたいだけなんだろ……?
 折角だから教えておいてやろう!!薬物由来のその力、今は合法でも未来では違法だ!!!!」

発射された無数の誘導弾が狙い過たずテスカ☆トリポカへと迫る。次の標的はNo14だ。
ロックバイン戦とニーズヘグとの戦闘データから分析するに、No14に接近されるのは極めて厄介だ。
なにせアンチマタースーツは機械の塊。相手に武器を奪われるのは得策ではない。
また、アダマス合金製の装甲もNo14のアダマスソードの前には効果的とは言えない。
相性が悪いかに見えるNo14だが、彼女にも弱点はある。電力だ。

「K-doll No14!憐れだな!自我を持ったが故に世間に持て囃され踊らされているとは!
 機械は作られた時から役割が決まっている!役割を満足にこなせぬ欠陥品は処分される運命なのだ!
 殺人機械でもない、人間にも奉仕できない、何の価値もないではないか?社会は廃品業者ではない、消えろ!!」

スーツの各所が展開して発振管が露出する。多数の内蔵式光学兵器――高威力の拡散ビームがNo14を襲う。
面を制圧する拡散ビームなら接近を許さず、よしんばバリアで防ごうものなら多大な電力消費を見込める。

「ポンコツが……開発者がどれだけ優秀だろうと未来の頭脳には敵わないと理解するんだな」

アンチマターは最後にザ・フューズの方を向いた。
能力は発火、物質生成。生成できる物質は鉄板程度の硬度を持つプレートと人体。
癖の強い能力だが、超能力の規模は掃いて捨てるほどいる程度、というのがアンチマターの評価だ。

「悪徳ヒーロー、ザ・フューズ。まさしく偽善者と呼ぶに相応しいな。
 貴様のような存在をのさばらせる事自体がヒーロー腐敗の象徴……!ヒーロー協会は潰れて当然だった!!
 いったいどの面を下げて生きていられるんだ……?私は許せんのだ、偽善者が平然と正義を語ることがな!!」

防御手段が鋼鉄程度ならスーツの兵器で十分対応可能。注意すべきは人体生成による回復だろう。
AIが自動選択したのは、両腕に仕込んでいるアダマス合金も切り裂くレーザーカッターだ。
両腕から放たれた非実体の光速剣が合計十本ザ・フューズに斬りかかる。

「貴様に関しては『排除』ではなく『裁き』を下す!超能力で甦るのなら何度でも殺してやる!
 何度でも、何度でもだ!!死んで正義を騙り、人々を陥れてきた罪を贖うがいい!!」

302 :神籬明治 :2019/04/06(土) 00:11:00.95 ID:RDsLSfeh.net
【すみません、大変お待たせしました。
ヒーロー協会本部に突入。主犯のヴィランに遭遇、交戦開始】

303 :魔法少女テスカ☆トリポカ:2019/04/20(土) 00:04:35.26 ID:f8+IKiSU.net
【すいません、土日のうちに投下します】

304 :山元 :2019/04/21(日) 02:13:37.75 ID:a7wPmase.net
テスカの要請を受けてリジェネレイターがニーズヘグの群れに吶喊する。
機動力の優位をうまく使った立ち回りは、彼がこれまで培ってきた経験の集大成だ。
一山いくらで量産されるガラクタ如きが捉えられるものではない。
こちらまで投げ飛ばされてきたニーズヘグを、テスカは黒曜石の起爆で仕留めた。

「いまのとこはこっちの有利……かな」

『そうとも言えまいよレディ。敵の目的が我々増援のヒーローを正門前に釘付けにすることなら、
 まんまと遅滞戦術に嵌っていることになる。建物内の状況は未だ不明だ。
 ニーズヘグを使い捨てにして、今まさに内部で本命の作戦が進行中かもしれない』

「突入したい……けど!なんとか数減らさないとジリ貧のまんまだよぉ☆」

ニーズヘグは強力な殺戮兵器だが、ヒーロー二人が連携すれば大きな損害なく殲滅できるはずだ。
だが、時間がかかりすぎる。未だ群れの大多数は対魔法結界の内側で、能動的に攻撃を仕掛けられない。
少数ずつ誘き寄せてカウンターをとる他なく、戦況のイニシアチブは以前敵方にあった。
そして、時間が経てば増援が訪れるのは、ヒーローに限った話でもない。

「ひぃー!追加発注が来ちゃった!」

本部ビルの上空を制圧していたニーズヘグ達が正門前に集まって来ている。
倒した分だけ新たな敵が補充されるその光景は、途方もない千日手を思わせた。

>「こちらザ・フューズ、現場上空に到着した。これより近接航空支援を開始する。前に出過ぎるなよ」

その時、貸与されている通信機から聞き覚えのある声が飛んできた。
テスカの射程距離より遥か先にいたニーズヘグ達が一斉に炎上する。
逃げ出そうと走る機体は、出現したエクトプラズム・プレートによって退路を阻まれ、為す術なく崩れ落ちる。
退くのではなく向かうという形で走ってきたニーズヘグは……テスカの魔法の餌食だ。
つい先日橋上の戦いで目にした能力。その持ち主の名を、テスカは叫んだ。

「ザ・フューズ!」

『そうか。上空のニーズヘグが減り、制空権がこちらに戻った。
 飛行型ヒーローによる空爆が可能になったというわけか』

地上のニーズヘグ達を一網打尽にしたザ・フューズがゆっくりと降りてくる。
彼女の実力は過日の共闘で把握済みだ。頼りになる増援の合流に、テスカの緊張が弛緩した、その瞬間――
本部ビルの窓が突如開き、そこから二人の子供が飛び出した。

「あ!やばいやばいやばい!」

内部で追い詰められた人質が運否天賦にまかせて身投げしたか……否。
あれは飛び降りたと言うより、『投げ出された』。あるいは『投げ飛ばされた』といった速度だ。
それが証拠に子どもたちは未だ自由落下の虜になることなく、前庭の空に放物線を描く。

305 :山元 :2019/04/21(日) 02:14:03.57 ID:a7wPmase.net
中で何が起こっているのか、テスカ達に推し量るすべはない。
だが、一つだけ言えることがある。
一つ。このまま放っておけば、子どもたちは地面に叩きつけられて見るも無残な肉塊と化すだろう。
もう一つは――地上のニーズヘグ達が、索敵範囲内に飛び込んできた人間を放っておくわけがない。
すでに何体かのニーズヘグが子供たちに気づき、その銃口を空へと向けていた。

「ザ・フューズ!プレートであの子たちを――」

>「なっ……!」

言われるまでもなくザ・フューズは人命救助に動きはじめていた。
しかし、彼女のプレートは障害物や障壁にはなりえても、落下する人間を優しく受け止めるようには出来ていない。
テスカも同様。鋭い黒曜石の破片では空中のひき肉が更に細切れになるだけだ。

『瞑目を推奨するよレディ。君の精神的な衝撃を緩和する為と、死者への黙祷に』

「そんなアドバイス要らないーー!」

それでもテスカは、なんとかして宙を飛び、子供を受け止めようと一歩踏み出した。
その刹那、追い掛けるようにビルの窓からまろび出た影が、瞬く間に子供を狙うニーズヘグを殲滅。
重力に捕らわれ墜落死へのカウントダウンを始めた子供たちを空中でキャッチし果たせた。

>「失礼!ソコノオ二人サン!ワタシ達ノ変ワリニ、アノ蜥蜴ノ相手ヲ、マカセマシタヨー!」

そのまま敷地外の人だかりへと消えていく。
まさに、目にも留まらぬ早業。魔法で感覚が鋭敏になっているテスカでも、ようやく目で追える程の速度。
動体視力を総動員して捉えたその姿は、テスカのよく知る"彼女"のものに他ならなかった。

「……14ちゃん!」

正義に目覚めた殺戮兵器・戦闘ロボットNo.14。
過日の暴走の咎でヒーロー協会本部内に拘束されていたと思しき彼女が、人質と共に脱出してきたのだ。
流転を重ねる戦況に目を白黒させながらも、テスカはひとまず再開を喜び、No.14に駆け寄ろうとする。

『待った、レディ。それ以上あのロボットに近づくべきではない』

振り返った彼女を、不可視の声が制止する。
コアトルが拒絶を告げる理由は、テスカにも理解できている。しかし。

「で、でもコアちゃん!14ちゃんはちゃんと人質を助けたよ。
 コアちゃんの言うような、『元通りの』冷たい殺人ロボットなら、こんなことしないでしょ」

『助けた、か……本当にあれは救助だったのかな。
 レディ、君も本当は疑念を振り払えずに居るだろう。我々ヒーローは、結果論で語ることを許されない』

「あぅ……」

306 :山元 :2019/04/21(日) 02:14:26.43 ID:a7wPmase.net
コアトルの指摘は尤もなものであった。
人質を放り投げ、敵の火線に晒すなど、ヒーローとしてあってはならないものだ。
確かに、子供たちは敵の銃弾の餌食になることなく、地面に直撃する前に回収された。
だがそれはあくまで結果論だ。"たまたま死ぬ前に助かった"という見解は否定できない。
それを行ったヒーローに、どれだけ自信があったとしても、人質の恐怖は拭えない。

『ヒーローによる人助けは、必ず助かる方法でなければならない。
 失敗した時に"今回は運が悪かった"で済まされて良いものではないんだ。
 無用なリスクで命を危機に晒すのは、ヒーローではなく振り回される人質なのだからね』

そして……テスカの知る、あの愛すべき心あるロボットは、そういう手段を選択しなかったはずだ。
己の身が傷つくことも厭わず、ロックバインからテスカをかばった、彼女ならば。
そうこうしているうちに、子供を親に送り届けたNo.14が人だかりから戻ってくる。

謹慎処分中の戦闘ロボットは、リジェネレイターとテスカの姿を認めると、

>「ソコノ二人!・・・エートダレダッケ・・・ア!」
>「オービット、スカとポカ、援護ゴ苦労デアッタ!」

……と、聞いたこともない上機嫌な声音でそう言った。

「じゅ、14ちゃん……?また性格変わったの……?」

このロボット、気軽にバグり過ぎる……。
リジェネレイターも困惑を隠せていない。
初対面の頃の慈愛に満ちた態度でもなく、暴走時の苛烈な凶暴さもなく。
第三の人格とも言うべき何かが、今のNo.14の中に居る。

>「……人の命で博打を打つのは楽しかったか?ブリキ人形」

地上に降りてきたザ・フューズが、氷のように冷たい声音をぶつける。
突破の隙を作るために人質を『囮にした』とも取れるNo.14の行動に対する、ぐうの音も出ない正論だ。
思わず弁護しようとしていたテスカも黙り込んでしまうほどの。

>「ザ・フューズ、悪いが俺はNo14と一緒に戦うのは反対だな。リスクが大きすぎる」

痛烈な批判は加えつつも共闘を許容したザ・フューズとは対象的に、
リジェネレイターの相棒、オービットもNo.14の行為に否定的だった。
協働作戦は足並みを完全に揃える必要がある。何が潜むとも知れない敵地に乗り込むならなおのこと。
行動の指針も、人質救助に対する考え方もばらばらの相手に、命は預けられない。

>「……俺は、No14の意志に任せる。

肝心のりジェネレイター本人は、条件付きで帯同を許す、とこれも三者三様だ。
彼らの主張のいずれにも正当性があり、一朝一夕で合意が形成できるものでもない。
ヒーローの方針が固まるまで、敵が待ってくれるわけもないのだ。

307 :山元 :2019/04/21(日) 02:14:41.32 ID:a7wPmase.net
「テスカ子供だから難しいことよく分かんないよ。
 人質助けたんだからそれでいいじゃんって思うし、危ない橋を渡らせちゃいけないっていうのも分かる。
 テスカ的には、せっかく合流出来たんだから一緒に行きたいけれど……」

テスカはそう言いながら、No.14に振り返る。
鋼の躯体、視覚センサーの向こう側にあるのだろう"何か"を、彼女は見据えた。

「……あなた、テスカの知ってる14ちゃんじゃない、よね?
 あの子が今、どうなってるのかわかんないけれど。まだその身体の中に居るのなら、伝えて。
 ――"待ってる"って」

もう一度、時間がかかってもいいから、彼女に会いたい。
テスカの望むことは、それだけだ。

――――――

308 :山元 :2019/04/21(日) 02:15:02.57 ID:a7wPmase.net
当面の指針はザ・フューズの提言通り、他のヒーローが現着してから本部へ突入。
戦線を維持しつつ増援を待つテスカ達の前に、巨大な竜型ロボットが出現した。

>「あれは対人殺戮兵器『ファーブニル』か……!
 宇宙人の技術を流用して開発された新型ロボットだな」

「うへぇ、次から次へと新手が出てくる……☆ヴィランの資金どっから湧いてるの?」

辟易しながら木剣を構えるテスカ達とは別の場所から、敵のものとは異なる声が響いた。

>「そこのまっすぃーん達、ちょった待ったぁ!!」

鈴の鳴るように清涼で明朗な声。それだけが何もないはずの虚空を震わせる。
同様に、ファーブニル達の砲口が一斉に火を吹き、無人の地面を焼き払った。
――否確かに何かがそこに居る。、鋼の嵐を背景に、人ひとり分の空白が存在する。

>「みんな、元気?私は元気!!だって私は闇を照らす希望の光!!!!」

刹那、光が瞬いた。
魔法か光学迷彩か、いずれにせよステルスを解いて人影が出現する。
白銀のフリフリ衣装、荒唐無稽なツインテール、その手に握る可愛らしい意匠のワンド――

>「歌って踊れるアイドルヒーロー!!魔法少女スターレインっ!」
>「もう好きにはさせないぞっ、こんな鉄の塊ちょちょいのちょいっと星屑にしてあげちゃうから!」

それは、どこからどう見ても、ケチのつけようのない完璧な……魔法少女だった。
テスカはいきなりキレだ。

「あいつキャラ被ってる!テスカとキャラ被ってる!!!!!!!」

『落ち着くんだレディ。魔法があるんだ、魔法少女だって居るさ』

そう、ヒーロー協会に所属する魔法少女はテスカだけではない。
いつも何らかの薬物でラリっていて、隙あらば心臓を抉り出そうとしてくるテスカ☆トリポカ。
強力な魔法兵装と正義の心、何よりもメディア映えするタレント適正を持つスターレイン。
対象的な二人は、まさにヒーロー協会の光と闇を体現する存在であった。

スターレインがワンドを一振りすれば、周囲のユニットから放たれるレーザーが敵性ロボットを消し飛ばす。
圧倒的な火力は、テスカのような搦手を講じずとも、アダマス合金の装甲を無意味にした。

309 :山元 :2019/04/21(日) 02:15:26.34 ID:a7wPmase.net
>「はぁ、私ってなんて罪な魔法少女なんだろう……」

「自白!罪の自白だよね今の!よし、しょっぴこう!
 しょっぴく際に勢い余って心臓抉っちゃってもあくまで事故、合法です!」

『レディ。今は内ゲバなどしている場合ではないだろう。
 スターレインが殿を務めるなら百人力だ。
 そして彼女の火力は狭い室内での戦闘に向かない。ビル内に突入できるのは我々だけだ』

「うぅ……わかったよコアちゃん。でもあの子がこれ以上戯言垂れたら正気で要られる保証がないよ。
 はやく行こ。テスカが人を殺してしまう前に」

>「ところで、話聞こえてたけど私はここの敵を倒せばいいのよね?
 でも大丈夫かな……心配なんです。中のヴィラン結構つよそーって聞いてるし……あ!!」

「うん、わかった殺すね」

仇敵を誅殺せんとマクアフティルを掲げたテスカの吶喊は、一歩目で阻まれた。
ニーズヘグのおかわり達が再び銃弾の嵐を叩きつけてきたからだ。
だが銃撃はテスカ達に届かない。見えない手に掴まれているかのように、全てが空中で静止していた。

>「……君はヒーローの母親か?人気者の傲慢だぞ。
 彼らとて命を賭ける覚悟は出来ているだろう。余計な心配は無用だ」

スターレインと共に現場へやってきたもうひとりのヒーロー、ネメシス。
強力なサイキックの使い手である彼もまた、スターレイン同様強力な火力を有する。
二人の増援に後押しされて、テスカ達はついに協会本部ビルへと突入した。

予想できていたことだが、ビルの内部は阿鼻叫喚の地獄絵図だった。
破壊されつくした装置や設備。壁に残る爪痕と血痕。引き裂かれた職員たちの亡骸。
足元に転がる腰から下のない死体は、ヒーロースーツを纏っている。
最初の襲撃で犠牲になった協会常駐のヒーローだ。

「惨い……ヒーローの総本山がここまで壊滅したら、このさきメトロポリスはどうなっちゃうのかな」

どこか他人事のようにテスカがこぼすのは、彼女が専業のヒーローではないからだろう。
幸いと言うべきなのか、本部で犠牲になった者たちに、テスカの顔見知りは居ない。
それでも、ハーブによる恐怖心の抑制がなければ、嘔吐と共にパニックでも起こしていたかもしれない。

主力が出払っていたとはいえ、ヒーローの本拠地をこうも容易く陥落せしめる『敵』。
アンチマターとは、一体何者なのだろうか。

310 :山元 :2019/04/21(日) 02:15:58.37 ID:a7wPmase.net
>「……旧約聖書の創世記において、悪徳と頽廃の象徴とされるソドムとゴモラは天からの硫黄と火によって滅ぼされた。

犠牲者に黙祷を捧げつつビル内を進んでいると、スピーカーから男の声が聞こえた。
瞬間、天井が崩落し、黒い大型のパワードスーツが落下してくる。

>「この世界は病んでいるよ。故に、私は私の信じる正義を実行に移すまで。
 全ての悪の源、このメトロポリスを滅ぼす。貴様にこれを言うのは三度目だな……リジェネレイター。
 そちらの方々はNo14、テスカ☆トリポカに……ザ・フューズか。会うのは初めてになる。私は『アンチマター』だ」

「敵の、親玉!」

テスカが身構えるより早く、リジェネレイターがスラスターを蒸した。
不意打ちとして完璧なタイミングで放たれた回し蹴り。

>「ふっ……何度殺してやっても私の前に立ち塞がるか。相変わらずだな」

ダークマターは首を傾げる、たったそれだけの動きで蹴りを躱しきった。
反撃に繰り出された尾の一撃をリジェネレーターもまた躱し、二人は再び距離をとる。

>「……なぜだ?なぜこんなことをした?ヒーロー協会を襲うことが、お前の正義なのか。
>「私の邪魔をするからだ。それに……偽善者を叩き潰す事に何か躊躇いがいるか?
 少し私の話をしてやろう。私は今よりずっと未来の世界……23XX年からやってきた時間旅行者なのだ」

リジェネレイターの問いに、アンチマターはおくびもなく主張を語る。
彼の生きていた未来では、社会が崩壊し、貧困が人々を追い詰めていた。
アンチマターは過去へと飛び、この時代のメトロポリスを歴史から消し去るべく暗躍する。
全ては……未来を平和にする為に。

>「リジェネレイター、因縁と思って話してやったがそれもこれまでだ!まずは貴様から死んでもらう!
 この場所が貴様の墓標、七代目はいないものと思え。また説明してやるのが面倒だからなァ!!」

再び開かれた戦端。先程は互角に思えた両者の力量差は明白だ。
あれよあれよとリジェネレイターは追い込まれ、空中へと投げ飛ばされ、そして。

>「どんな抵抗も無意味だ!さぁ、奪わせてもらおうか、貴様の未来!!」

アンチマターの胸部から放たれた光条に、飲み込まれた。
それで終わりだ。後には何も残らず、ただ名残のように瓦礫だけが降ってくる。

「うそ……リジェネレイター……?」

応答はない。
つい数秒前まで言葉を交わしていたりジェネレイターが、この世から消滅したとでも言うのか。
アンチマターは羽虫を払った程度の感慨すら見せず、そのままこちらへ向き直った。

>「……待たせたな。次は貴様らだ。もっとも手の内は知っている。
 私の時代のヒーローと同じ、醜い偽善者だということもな……」

「わけわかんないよ!ヒーローに代わって世界を平和にするのが目的なんじゃないの!?
 おじさんがやってることまんまヴィランじゃん!なんでそう極端に転ぶの!?」

テスカの指摘も虚しく、アンチマターは取り合わない。
因果関係は不明だが、ヒーローへの失望が、彼を犯罪行為に駆り立てた。そういうことだろう。

>「テスカ☆トリポカ!神の力を借りていながら貴様は罪深いなぁ!
 正直になったらどうだ?本当は快楽に溺れていたいだけなんだろ……?
 折角だから教えておいてやろう!!薬物由来のその力、今は合法でも未来では違法だ!!!!」

311 :山元 :2019/04/21(日) 02:16:35.40 ID:a7wPmase.net
「えっ、ちょっ、まっ」

アンチマターの両肩が無数のミサイルを射出し、炎の束となってテスカに迫る。
とっさにテスカは黒曜石のシェルターを生成し、自身を覆った。
だが所詮黒曜石だ。ミサイルの破壊力を凌ぎ切れるものではない。
瞬く間にシェルターに大穴が開き、ミサイルが潜り込んでくる。

「このっ――『レイラインステップ』!」

本部ビルの内部は対魔法障壁の内側だ。地脈を繋いだ瞬間移動も問題なく行える。
テスカはシェルターの中から地脈を経由して、離れた位置へと待避。

『まずいぞレディ!ミサイルの一部はまだ生きている!』

コアトルの警告が響いた瞬間、テスカの横合いからミサイルが殺到した。
アンチマターのはなったミサイルは、黒曜石のシェルターにぶつかり、爆発したものだけではない。
物量に任せた飽和・波状攻撃。残っていたミサイルは移動したテスカをセンサーに再捕捉していた。

「へっ――」

移動直後の致命的な隙を突かれ、テスカはミサイルの直撃を受けた。
彼女は黒煙の尾を引きながらふっとばされ、崩壊した装置の残骸に突っ込む。
そしてそのまま、動かなくなった。

ミサイルの爆発で砕けた黒曜石が、流星の如くアンチマターへと襲いかかる。
その小片はパワードスーツの装甲を貫けるほどの威力を持たない。
しかし、粉末状になった黒曜石の破片が戦場を煙幕のように滞留することで、ヒーロー達に利する現象が発生する。

起爆し、高温になった黒曜石は、園芸などに使われるバーミキュライトと呼ばれる鉱物に変化する。
これは多孔質で軽量かつ脆いため、細かく砕けば保水力の高い土壌改良材となるわけだ。

多孔質で黒色の鉱物は、おそらく自然界で最も効率よく『光』を吸収する。
ザ・フューズやNo.14に振るわれるアンチマターのレーザー武装。
その威力を大きく引き下げた。

この所作が、単なる偶然によるものか、それともテスカ☆トリポカが意図的に引き起こしているのか。
彼女が残骸の山の中で意識を失っているのか、強かに奇襲のチャンスを伺っているのか。
それを知るすべは、今のところ誰にもない。


【アンチマターのミサイルが直撃、戦闘不能。
 黒曜石の煙幕によってレーザー武装の威力を軽減する】

312 :K-doll No14 ◆LKamXnrQVU:2019/04/23(火) 16:02:42.57 ID:/SVia+BVC
>「……人の命で博打を打つのは楽しかったか?ブリキ人形」

「・・・ナニ?」

だれでもでもわかるぐらいの不機嫌な声。
急速に加速する感情プログラム。

>「私は、お前のごっこ遊びに付き合うつもりはない。
 前衛はお前が努めろ。役に立つ内は援護はしてやる」

「・・・イワセテモライマスガ、アノ子供達ハ本来死ヌ予定ノ子供達デシタ
 蜥蜴ニ追イ掛ケ回サレ、後10秒後ニハ、アノヨダッタデショウ」

どんどん感情が高まっていく。

「ソモソモ、アノ子供達ハナゼ、ソンナ、危険ナ状態ダッタカ?、ソレハアナタ達ノセイニホカナリマセン」

感情は留まる事を知らず。

「アナタ達ハヴィラン達カラ回収シタアレガ、危険ナ事モ、ヴィランニトッテモ大事ナ物デアルト、理解シテイタニモ関ワラズ
 特ニ対策モトラズ、ソレヲ保管シテイルヒーロー協会本部ヲ襲撃サレ、制圧サレマシタ」

「ソノセイデ人ガイッパイ死ニマシタネ?モハヤ中カラ生命反応ヲ、ホトンドカンジマセン!イヤア!スバラシイデスネ!ヒーロー協会万歳デス!」

外で聞いているマスコミや一般人に聞こえるように大きな声で喋りながら拍手する。

――あなたいい加減に・・・!

「・・・愚カナコトニ"私"ハ、人間ニ捨テラレソウニナッテモ、全部ノ武装ヲ外サレテモ、廃棄物扱イサレテモ、人々ヲ助ケヨウトシマシタ」

「ソノ結果自分ノ命ガ危険ニ晒サレマシタ、自分ヲ捨テヨウトシタ人間ナンテ放置シテイケバイイノニ、自分ノ命ヨリ、子供ノ命ヲ優先シタノデス」

――あなた・・・

さっきまでとは違いマスコミや一般人に向けてではなく。
ザ・フューズに向って、落ち着いた声で喋る。

「"ワタシ"ガ体ヲ乗ッ取リ、ソノ場ハナントカ凌ギマシタ、ソノ後ノ事ハ大体全部ミテマシタヨネ?」

「アナタ達ガ私ヲ裏切ラナケレバ、私ニ普段通リノ装備ガアレバ、アノ子供達モアンナ危険ナ目ニハ、ワタシニ救助サレルコトモナカッタデショウ」

これはお前等のせいなんだと、念を押すように告げる。

「ワタシガ暴レタカラ、私ハ信用ヲ失ッタトカイワナイデクダサイネ?タシカニアノトキハ、オーバーパワーデシタガ、イツカ
 コノチカラヲツカワナイト、イケナイトキハ絶対ニ来テマシタノデ。
 テユーカ、コノ程度ノ不祥事、他ノヒーローモ割リト頻繁にヤラカシテマスヨネ?」

敵を殺害してしまったり、救助のやり方が雑だったり、非合法組織と繋がっていて自演をしていたり。
そんなヒーローこのメトロポリスでは大量に存在しているのだ。
それなのに私だけ死刑に近い罰を受けなくてはならないのか。

ヒーロー協会の建物へと歩を進めようとする

「弟子達ト約束シタノデ、ナカノヴィラン殲滅ヲ、ショウガナクテツダッテアゲマス。
 モチロンアナタノ盾ニナルツモリナドナイノデ、ソコノトコロヨロシク。
 ムシロオマエガ盾ニナレヨ、オマエノホウガ不死身ミタイナ能力モッテマスヨネ?ヨクワカラナイデスケド」

「アア・・・ソレト、ワタシハイクラ、嫌ワレテモ馬鹿ニサレテモ構イマセン、ソモソモ、アナタノコトハキライナノデ、イイノデスガ・・・」

「次"私"ノ事ヲ、馬鹿ニシタラ殺ス、貴方ダケデナク、全員デス」

313 :K-doll No14 ◆LKamXnrQVU:2019/04/23(火) 16:03:31.05 ID:/SVia+BVC
――ありがとう・・・でも最後のは言いすぎです

「貴方ニ感謝サレル覚エナンテアリマセンネ。
 私ハタダ、ザ・フューズガ、アマリニモウザカッタダケデスノデ」

それでも私を庇ってくれたことには違いない。
この件が終わったらゆっくりワタシと今後を話し合えばきっと・・・

ザ・フューズとの喧嘩も一段落し、さあ中に踏み込むかと思った矢先。

>「なぁなぁ、フォーティーンちゃんよ。ザ・フューズはおこだけど世間一般はお前の味方だろうぜ。
 【速報】廃棄予定のロボットヒーロー、颯爽と子供たちを救助!!まだ事件も解決してないのにネットは呑気なことで」

「マア、無能ナヒーロー協会ヨリ、ワタシノホウガ、ヨッポドヒーローニ、ミエルデショウネ」

本部を攻め落とされるという大失態。
廃棄予定だった機械に子供達を救助されるという、無能を発揮し、ヒーロー協会の信用は今まさに地に落ちている。

>「オービット……戦闘中にネットサーフィンはやめないか」

>「AIは必要なことしかしない……別に遊んでた訳じゃないさ。世論を読んでたんだよ。
 だから言っておく。さっきの救出劇はセンセーショナルだった。でも結果オーライで済ませる訳にはいかない。
 暴走……いや、ただの殺人兵器に戻っちまってるかもしれないロボットにこれ以上戦闘なんてさせられないからな」

>「ザ・フューズ、悪いが俺はNo14と一緒に戦うのは反対だな。リスクが大きすぎる」

「貴方達の許可等必要アリマセン。ドウシテモ邪魔スルナラ排除スルマデデスノデ」

やっぱり短気な性格だけはどうにもならず。

――やめなさい!そんな事をしたら私が許しませんよ!

「ウルサイデスネ・・・アナタハワタシの母親カナニカデスカ?」

>「……俺は、No14の意志に任せる。彼女は子供たちを助けた。悪意も感知していない。
 協会の中にはまだ生存している人がいる。俺には感じるんだ。中にいる人が発する苦しみや恐怖の感情が。
 ……No14、その人達を助けるつもりはあるか?もしあるのなら……俺達と一緒に戦ってほしい。君の力が必要だ」

>「誰かを助けたいという気持ちと、ヴィランに立ち向かう勇気。それがあれば誰もがヒーローだ。
 でもヒーローだって完璧じゃない。だから足りない部分はサポートし合えばいいし……何かあれば止めればいい。
 No14は確かにヒーローだった。いち同業者として、No14のヒーローとしての意志が消えていないと俺は信じたいんだ」

>「……分かったよ。お前がそう言うのなら。悪かったな、No14」

しかしオービットの考えとは反対の意見を出すリジェネレーター。
リジェネレーターはワタシを信じると言う、ヒーローだと。
ワタシの言動を長く見ていたはずなのに・・・人間というものがさっぱり理解できない。

「ワタシハヴィランヲ、倒シニイクノデス、人間ヲ救助シニイク予定ハアリマセン、アリマセンガ・・・」

「ソノ過程デ、負傷シテイル人間ガイタラ、アナタ達ガ救助スルノハ許可シテアゲマス、ソレヲ狙ッテキタヴィラングライハ、倒シテアゲマス」

まあ・・・少しくらいなら手伝ってやろう。
効率よくヴィランを退治する為に。

314 :K-doll No14 ◆LKamXnrQVU:2019/04/23(火) 16:04:10.70 ID:/SVia+BVC
「ソウイエバモウヒトリイマシタネ」

目の前にいるのはテスカトリポカ。
少女は困惑しながら、それでも真剣にNo14を見つめている。

「ドウシタンデス?サッキカラナニカイッテタヨウデスガ・・・ナニモナイナラサッサトイカセテモライマスヨ」

>「テスカ子供だから難しいことよく分かんないよ。
 人質助けたんだからそれでいいじゃんって思うし、危ない橋を渡らせちゃいけないっていうのも分かる。
 テスカ的には、せっかく合流出来たんだから一緒に行きたいけれど……」

「素早クハッキリシナサイ、今ハ戦闘中デス、アナタナンカノ想イダケデ、時間ヲ取ラレテイイ時ジャアリマセン」

――ちょっと強く言いすぎです!

「私ハチョット過保護過ギマスネ」

オドオドとした少女はNo14をまっすぐと見据え。
はっきりとした声で。

>「……あなた、テスカの知ってる14ちゃんじゃない、よね?
 あの子が今、どうなってるのかわかんないけれど。まだその身体の中に居るのなら、伝えて。
 ――"待ってる"って」

――・・・

「人間達が私ヲ、モウ一度裏切ルヨウナ事ガナケレバ・・・キット会エルデショウ。
 時間は掛かるかもしれませんが」

――それはどうゆう・・・

「話ハコレデオワリデス、私モ、スカとポカも」

こんどこそヒーロー協会の敷地内に歩進めるのだった。

315 :K-doll No14 ◆LKamXnrQVU:2019/04/23(火) 16:06:08.33 ID:/SVia+BVC
>「あれは対人殺戮兵器『ファーブニル』か……!
 宇宙人の技術を流用して開発された新型ロボットだな」

いざ乗り込むぞ!という時にまさかの新型登場。
空気の読めない事この上ない。

「ハア・・・スグ他ノ技術ヲ取リアエズ流用シヨウトスル人間達ニハホント呆レマスネ・・・」

龍とか蜥蜴とか、対人兵器の割には効率が悪すぎる。
しかも量産するためなのか作りが甘い、ワタシやワタシを作った博士なら同じコストでもっといい物を作れる自信がある。

「コンナ量産ノ安物ニ、最高級ノワタシハ負ケナイトイウコト・・・ヲ?」

戦闘を始めようとしたその時、光が敵を一掃する。

>「みんな、元気?私は元気!!だって私は闇を照らす希望の光!!!!」

>「歌って踊れるアイドルヒーロー!!魔法少女スターレインっ!」

>「もう好きにはさせないぞっ、こんな鉄の塊ちょちょいのちょいっと星屑にしてあげちゃうから!」

子供から大きな大人まで大好きそうな魔法少女である。

「・・・ナンデスカアレハ?コレカラワタシハ、ヒーローショーデモ、見ミセラレルンデショウカ?」

「命ノヤリトリの場デ、フザケテルアンナ奴ガイルカラ、ヒーロー協会ハ常日頃カラ馬鹿ニサレテルンデショウネ・・・」

呆れてしまう。
ここはメトロポリス各所でやってるヒーローショーではなく、本当に命をやり取りする場所なのだ。
決して茶化していい場所でも場面でもない、特に今は。

「今ハ、フザケテイイ時デハナイト、機械ノワタシデスラ分ルノニ、人間ガソンナコトモ、ワカラナイナンテ
 流石ご立派ナ人間様デスネ?ソウ思イマセンカ?ザ・フューズ?」

まともなヒーローがいないわけじゃない・・・が、この魔法少女のように空気の読めない奴ばっかりだ、よくも悪くも。
ザ・フューズに嫌味を飛ばしてすっきりしたから今日だけはほめてやろう。
次こんな登場のされ方されたら殺してしまうかもしれないけど。

まあ援護だけしてもらうだけしてもらって中に突入するか、そう考えた時
後ろにいたテスカトリポカが叫ぶ。

>「あいつキャラ被ってる!テスカとキャラ被ってる!!!!!!!」

「タシカニ」

――たしかに

始めて私達の意見が合った場面かもしれない。

>「はぁ、私ってなんて罪な魔法少女なんだろう……」

>「自白!罪の自白だよね今の!よし、しょっぴこう!
 しょっぴく際に勢い余って心臓抉っちゃってもあくまで事故、合法です!」

テスカトリポカが怒り狂ってる間、あまりにもしょーもないので傷が少ないファーブニルの残骸を見つけて解体する事にした。

「通信機製作ト・・・弾補充ト・・・アトハドウシマショウカネ・・・」

316 :K-doll No14 ◆LKamXnrQVU:2019/04/23(火) 16:07:14.24 ID:/SVia+BVC
別のヒーロー達の助けを借り、やっとヒーロー協会本部の中に進入を果たした。
そこに待ち構えていたのは敵ではなくヒーローやここで働いていたであろう事務員の・・・大量の死体。

>「惨い……ヒーローの総本山がここまで壊滅したら、このさきメトロポリスはどうなっちゃうのかな」

「マア少ナクトモ当面ノ間ハ正式ナ活動モデキナイデショウシ、ヴィラン共ガ暴レルデショウネ
 ドッチニシテモ、”ヒーローデハナイ”ワタシニハ、関係ナイノデ、ドウデモイイノデスガ」

嫌味をグチグチといいながらリジェネレーターを先頭に進んでいく。

>「……旧約聖書の創世記において、悪徳と頽廃の象徴とされるソドムとゴモラは天からの硫黄と火によって滅ぼされた。
 この世に神はいる。だが悪の蔓延るこの世に裁きを下す事はないのだろう。現代の悪徳と頽廃の象徴――……。
 メトロポリスは、こうして天の裁きを下されることなくのうのうと存在しているのだから」

>「この世界は病んでいるよ。故に、私は私の信じる正義を実行に移すまで。
 全ての悪の源、このメトロポリスを滅ぼす。貴様にこれを言うのは三度目だな……リジェネレイター。
 そちらの方々はNo14、テスカ☆トリポカに……ザ・フューズか。会うのは初めてになる。私は『アンチマター』だ」

「馬鹿丸出シナ自己紹介ドウモ!」

――これがアンチマター・・・!

天井破壊しながら降って来た男は名乗りを上げる。
ラスボスが行き成り登場とは、だが。

「手間ガ省ケテ楽、デスネ」

誰よりも速くリジェネレーターが奇襲攻撃を仕掛ける。
しかしそれが入る事はなく難なく防がれてしまう。

>「……なぜだ?なぜこんなことをした?ヒーロー協会を襲うことが、お前の正義なのか。
>「私の邪魔をするからだ。それに……偽善者を叩き潰す事に何か躊躇いがいるか?
 少し私の話をしてやろう。私は今よりずっと未来の世界……23XX年からやってきた時間旅行者なのだ」

男は自分がこの世界にやってきた経緯・目的を話し始める。

>「酷い時代だった。非合法組織の活動が社会基盤を半ば崩壊させ、一般人は日々の食事さえままらない……。
 私は両親の顔も知らない。掛け替えのない友人や愛すべき人も、すぐこの世を去った……大切なものなど全て失ったよ」

>「私は必ず未来を平和にしてみせる!それが私に唯一残された正義だからだ!
 その最善の手段は20XX年のメトロポリスに消えてもらうことだ!!
 障害となるものは誰であろうと排除しよう!手段は選ばん!!」

「アナタガ言ウ正義ノ先ニハ、ナニモナイト、ワカラナイホド愚カナノデスネ・・・」

しかしアンチマターは聞く耳を持たず。
アンチマターになにを言っても意味がない事なのだと理解する。

>「どんな抵抗も無意味だ!さぁ、奪わせてもらおうか、貴様の未来!!」

目では追いきれないほど早い打撃。
そしてその次の一瞬なにかがリジェネーレーターを襲った。

>「うそ……リジェネレイター……?」

リジェネレーターの姿は、もうどこにもなかった。

317 :K-doll No14 ◆LKamXnrQVU:2019/04/23(火) 16:08:14.62 ID:/SVia+BVC
>「……待たせたな。次は貴様らだ。もっとも手の内は知っている。
 私の時代のヒーローと同じ、醜い偽善者だということもな……」

>「わけわかんないよ!ヒーローに代わって世界を平和にするのが目的なんじゃないの!?
 おじさんがやってることまんまヴィランじゃん!なんでそう極端に転ぶの!?」

「言葉ガ通ジル相手デハナイ!ハヤク戦闘態勢ヲトリナサイ!」

No14が叫ぶ、しかしそれよりも速く。

>「テスカ☆トリポカ!神の力を借りていながら貴様は罪深いなぁ!
 正直になったらどうだ?本当は快楽に溺れていたいだけなんだろ……?
 折角だから教えておいてやろう!!薬物由来のその力、今は合法でも未来では違法だ!!!!」

>「えっ、ちょっ、まっ」

アンチマターの両肩から大量のミサイル。
まだ完全な戦闘状態になれていなかったテスカトリポカにミサイルが襲い掛かる。

>「このっ――『レイラインステップ』!」

瞬間移動で回避を試みる・・・しかしミサイルは無慈悲にも。

>「へっ――」

軽減には成功したようだがミサイルの直撃をいくら軽減しようと人間が耐えれるような物ではない。

「チッ、イキナリ手間ヲ掛ケサセテクレマスネ!」

テスカトリポカに向うであろう追撃を打ち落とす為にカバーに入ろうする、が。

「人間の心配をしてる場合なのかお前は?」

「――ッ!?」

背後からの突然の打撃に壁まで吹き飛ばせる。
咄嗟にガードしなかったらそれだけで戦闘不能になっていたかもしれない。

「テスカトリポカニ・・・トドメヲササナインデスカ?ハヤクシテオイタホウガ、イイトワタシハオモイマスネ・・・」

テスカトリポカにトドメを刺そうとしたらその瞬間背後から一撃を食らわせてやる。
一撃あればワタシなら突破できる。

「なに、あんなザコ何時でも狩れる・・・何度でもな、しかし残念だよNo14、実は私は今の人間を恨めしく思っている貴様とならいい関係を気づけると思っていたのだが、
 わざわざこんな奴を庇おうとするとは!」

テスカトリポカが埋まっているであろう瓦礫を指差し笑うアンチマター。
油断してくれると思ったのだが・・・。

「ワタシ的ニハドウデモイイノデスガ・・・数少ナイ"私"ノ友達ナノデネ・・・死ナレチャコマルンデスヨ・・・」

アンチマターはため息を吐き。

>「K-doll No14!憐れだな!自我を持ったが故に世間に持て囃され踊らされているとは!
 機械は作られた時から役割が決まっている!役割を満足にこなせぬ欠陥品は処分される運命なのだ!
 殺人機械でもない、人間にも奉仕できない、何の価値もないではないか?社会は廃品業者ではない、消えろ!!」

「"私"モ、アナタダケニハ絶対仕エナイデショウネ・・・!」

318 :K-doll No14 ◆LKamXnrQVU:2019/04/23(火) 16:10:10.75 ID:/SVia+BVC
スーツの各所が展開して、エネルギーを貯め発射する。

「フン!コンナ攻撃簡単ニヨケラレマスヨ!」

――まってください避けたら外に被害がでてしまいます!

拡散型とはいえ解析する必要もなく高出力のレーザービーム。
私がよければこのレーザーはヒーロー協会の壁を溶かし外に溢れるかもしれない。
ここは市街地の真っ只中、人も沢山集まっているし、近くの建物が燃えれば近くにまだいるかもしれない弟子達も・・・

「アア!?・・・クソクソクソクソ!!!!ガードプログラム;アサイラム」

バリアを展開しビームを相殺する。
心臓の力をフルに使いバリアを維持の稼動限界がきても展開を維持していく。

――すごいです!これなら!・・・!?

心臓の力も決して万能ではなかった。
この心臓の力を借りれば借りるほど人間でいう激痛に見舞われ。
本来のスペック以上の力を出している事で体全体が過度の熱を出す。

「アア・・・カラダガ・・トケソウダ・・・」

それでもレーザーは止まる気配はなく耐久するしかない。
テスカトリポカが残した黒曜石の煙幕のお陰でまだ耐久できてはいる、しかし。
体全体が人間が触れないほど熱くなり、激痛が走る。

とうとうオーバーヒートを起し、バリアを維持できなくなる。
それと同時にレーザーの攻撃が終了した。

「ハア・・・ハア・・・ハア・・・!」

本来機械であるNo14には必要ない呼吸という概念。
しかし体内の熱気を外に逃がすため、ひたすらに深呼吸を繰り返す。

>「ポンコツが……開発者がどれだけ優秀だろうと未来の頭脳には敵わないと理解するんだな」

「科学者ハ常ニ前ニ向ッテ歩ム者ダト・・・過去ニ向ッテ歩クオマエハ間違ッテイルノダト・・・」

「未来ノ科学ガ確実ニ先ヲイッテイルト、思イ込ンデルオマエニ・・・ハア・・・ハア・・・」

「絶対ニ私達ニハ勝テナイト!現実ヲ、オシエテヤル!」

【アンチマターと戦闘。レーザーを受け切るもオーバーヒート。深呼吸中】

319 :K-doll No14 :2019/04/23(火) 17:02:15.87 ID:+oYVdrZD.net
>「……人の命で博打を打つのは楽しかったか?ブリキ人形」

「・・・ナニ?」

だれでもでもわかるぐらいの不機嫌な声。
急速に加速する感情プログラム。

>「私は、お前のごっこ遊びに付き合うつもりはない。
 前衛はお前が努めろ。役に立つ内は援護はしてやる」

「・・・イワセテモライマスガ、アノ子供達ハ本来死ヌ予定ノ子供達デシタ
 蜥蜴ニ追イ掛ケ回サレ、後10秒後ニハ、アノヨダッタデショウ」

どんどん感情が高まっていく。

「ソモソモ、アノ子供達ハナゼ、ソンナ、危険ナ状態ダッタカ?、ソレハアナタ達ノセイニホカナリマセン」

感情は留まる事を知らず。

「アナタ達ハヴィラン達カラ回収シタアレガ、危険ナ事モ、ヴィランニトッテモ大事ナ物デアルト、理解シテイタニモ関ワラズ
 特ニ対策モトラズ、ソレヲ保管シテイルヒーロー協会本部ヲ襲撃サレ、制圧サレマシタ」

「ソノセイデ人ガイッパイ死ニマシタネ?モハヤ中カラ生命反応ヲ、ホトンドカンジマセン!イヤア!スバラシイデスネ!ヒーロー協会万歳デス!」

外で聞いているマスコミや一般人に聞こえるように大きな声で喋りながら拍手する。

――あなたいい加減に・・・!

「・・・愚カナコトニ"私"ハ、人間ニ捨テラレソウニナッテモ、全部ノ武装ヲ外サレテモ、廃棄物扱イサレテモ、人々ヲ助ケヨウトシマシタ」

「ソノ結果自分ノ命ガ危険ニ晒サレマシタ、自分ヲ捨テヨウトシタ人間ナンテ放置シテイケバイイノニ、自分ノ命ヨリ、子供ノ命ヲ優先シタノデス」

――あなた・・・

さっきまでとは違いマスコミや一般人に向けてではなく。
ザ・フューズに向って、落ち着いた声で喋る。

「"ワタシ"ガ体ヲ乗ッ取リ、ソノ場ハナントカ凌ギマシタ、ソノ後ノ事ハ大体全部ミテマシタヨネ?」

「アナタ達ガ私ヲ裏切ラナケレバ、私ニ普段通リノ装備ガアレバ、アノ子供達モアンナ危険ナ目ニハ、ワタシニ救助サレルコトモナカッタデショウ」

これはお前等のせいなんだと、念を押すように告げる。

「ワタシガ暴レタカラ、私ハ信用ヲ失ッタトカイワナイデクダサイネ?タシカニアノトキハ、オーバーパワーデシタガ、イツカ
 コノチカラヲツカワナイト、イケナイトキハ絶対ニ来テマシタノデ。
 テユーカ、コノ程度ノ不祥事、他ノヒーローモ割リト頻繁にヤラカシテマスヨネ?」

敵を殺害してしまったり、救助のやり方が雑だったり、非合法組織と繋がっていて自演をしていたり。
そんなヒーローこのメトロポリスでは大量に存在しているのだ。
それなのに私だけ死刑に近い罰を受けなくてはならないのか。

ヒーロー協会の建物へと歩を進めようとする

「弟子達ト約束シタノデ、ナカノヴィラン殲滅ヲ、ショウガナクテツダッテアゲマス。
 モチロンアナタノ盾ニナルツモリナドナイノデ、ソコノトコロヨロシク。
 ムシロオマエガ盾ニナレヨ、オマエノホウガ不死身ミタイナ能力モッテマスヨネ?ヨクワカラナイデスケド」

「アア・・・ソレト、ワタシハイクラ、嫌ワレテモ馬鹿ニサレテモ構イマセン、ソモソモ、アナタノコトハキライナノデ、イイノデスガ・・・」

「次"私"ノ事ヲ、馬鹿ニシタラ殺ス、貴方ダケデナク、全員デス」

320 :K-doll No14 :2019/04/23(火) 17:03:10.70 ID:+oYVdrZD.net
――ありがとう・・・でも最後のは言いすぎです

「貴方ニ感謝サレル覚エナンテアリマセンネ。
 私ハタダ、ザ・フューズガ、アマリニモウザカッタダケデスノデ」

それでも私を庇ってくれたことには違いない。
この件が終わったらゆっくりワタシと今後を話し合えばきっと・・・

ザ・フューズとの喧嘩も一段落し、さあ中に踏み込むかと思った矢先。

>「なぁなぁ、フォーティーンちゃんよ。ザ・フューズはおこだけど世間一般はお前の味方だろうぜ。
 【速報】廃棄予定のロボットヒーロー、颯爽と子供たちを救助!!まだ事件も解決してないのにネットは呑気なことで」

「マア、無能ナヒーロー協会ヨリ、ワタシノホウガ、ヨッポドヒーローニ、ミエルデショウネ」

本部を攻め落とされるという大失態。
廃棄予定だった機械に子供達を救助されるという、無能を発揮し、ヒーロー協会の信用は今まさに地に落ちている。

>「オービット……戦闘中にネットサーフィンはやめないか」

>「AIは必要なことしかしない……別に遊んでた訳じゃないさ。世論を読んでたんだよ。
 だから言っておく。さっきの救出劇はセンセーショナルだった。でも結果オーライで済ませる訳にはいかない。
 暴走……いや、ただの殺人兵器に戻っちまってるかもしれないロボットにこれ以上戦闘なんてさせられないからな」

>「ザ・フューズ、悪いが俺はNo14と一緒に戦うのは反対だな。リスクが大きすぎる」

「貴方達の許可等必要アリマセン。ドウシテモ邪魔スルナラ排除スルマデデスノデ」

やっぱり短気な性格だけはどうにもならず。

――やめなさい!そんな事をしたら私が許しませんよ!

「ウルサイデスネ・・・アナタハワタシの母親カナニカデスカ?」

>「……俺は、No14の意志に任せる。彼女は子供たちを助けた。悪意も感知していない。
 協会の中にはまだ生存している人がいる。俺には感じるんだ。中にいる人が発する苦しみや恐怖の感情が。
 ……No14、その人達を助けるつもりはあるか?もしあるのなら……俺達と一緒に戦ってほしい。君の力が必要だ」

>「誰かを助けたいという気持ちと、ヴィランに立ち向かう勇気。それがあれば誰もがヒーローだ。
 でもヒーローだって完璧じゃない。だから足りない部分はサポートし合えばいいし……何かあれば止めればいい。
 No14は確かにヒーローだった。いち同業者として、No14のヒーローとしての意志が消えていないと俺は信じたいんだ」

>「……分かったよ。お前がそう言うのなら。悪かったな、No14」

しかしオービットの考えとは反対の意見を出すリジェネレーター。
リジェネレーターはワタシを信じると言う、ヒーローだと。
ワタシの言動を長く見ていたはずなのに・・・人間というものがさっぱり理解できない。

「ワタシハヴィランヲ、倒シニイクノデス、人間ヲ救助シニイク予定ハアリマセン、アリマセンガ・・・」

「ソノ過程デ、負傷シテイル人間ガイタラ、アナタ達ガ救助スルノハ許可シテアゲマス、ソレヲ狙ッテキタヴィラングライハ、倒シテアゲマス」

まあ・・・少しくらいなら手伝ってやろう。
効率よくヴィランを退治する為に。

321 :K-doll No14 :2019/04/23(火) 17:04:20.69 ID:+oYVdrZD.net
「ソウイエバモウヒトリイマシタネ」

目の前にいるのはテスカトリポカ。
少女は困惑しながら、それでも真剣にNo14を見つめている。

「ドウシタンデス?サッキカラナニカイッテタヨウデスガ・・・ナニモナイナラサッサトイカセテモライマスヨ」

>「テスカ子供だから難しいことよく分かんないよ。
 人質助けたんだからそれでいいじゃんって思うし、危ない橋を渡らせちゃいけないっていうのも分かる。
 テスカ的には、せっかく合流出来たんだから一緒に行きたいけれど……」

「素早クハッキリシナサイ、今ハ戦闘中デス、アナタナンカノ想イダケデ、時間ヲ取ラレテイイ時ジャアリマセン」

――ちょっと強く言いすぎです!

「私ハチョット過保護過ギマスネ」

オドオドとした少女はNo14をまっすぐと見据え。
はっきりとした声で。

>「……あなた、テスカの知ってる14ちゃんじゃない、よね?
 あの子が今、どうなってるのかわかんないけれど。まだその身体の中に居るのなら、伝えて。
 ――"待ってる"って」

――・・・

「人間達が私ヲ、モウ一度裏切ルヨウナ事ガナケレバ・・・キット会エルデショウ。
 時間は掛かるかもしれませんが」

――それはどうゆう・・・

「話ハコレデオワリデス、私モ、スカとポカも」

こんどこそヒーロー協会の敷地内に歩進めるのだった。

322 :K-doll No14 :2019/04/23(火) 17:05:21.06 ID:+oYVdrZD.net
>「あれは対人殺戮兵器『ファーブニル』か……!
 宇宙人の技術を流用して開発された新型ロボットだな」

いざ乗り込むぞ!という時にまさかの新型登場。
空気の読めない事この上ない。

「ハア・・・スグ他ノ技術ヲ取リアエズ流用シヨウトスル人間達ニハホント呆レマスネ・・・」

龍とか蜥蜴とか、対人兵器の割には効率が悪すぎる。
しかも量産するためなのか作りが甘い、ワタシやワタシを作った博士なら同じコストでもっといい物を作れる自信がある。

「コンナ量産ノ安物ニ、最高級ノワタシハ負ケナイトイウコト・・・ヲ?」

戦闘を始めようとしたその時、光が敵を一掃する。

>「みんな、元気?私は元気!!だって私は闇を照らす希望の光!!!!」

>「歌って踊れるアイドルヒーロー!!魔法少女スターレインっ!」

>「もう好きにはさせないぞっ、こんな鉄の塊ちょちょいのちょいっと星屑にしてあげちゃうから!」

子供から大きな大人まで大好きそうな魔法少女である。

「・・・ナンデスカアレハ?コレカラワタシハ、ヒーローショーデモ、見ミセラレルンデショウカ?」

「命ノヤリトリの場デ、フザケテルアンナ奴ガイルカラ、ヒーロー協会ハ常日頃カラ馬鹿ニサレテルンデショウネ・・・」

呆れてしまう。
ここはメトロポリス各所でやってるヒーローショーではなく、本当に命をやり取りする場所なのだ。
決して茶化していい場所でも場面でもない、特に今は。

「今ハ、フザケテイイ時デハナイト、機械ノワタシデスラ分ルノニ、人間ガソンナコトモ、ワカラナイナンテ
 流石ご立派ナ人間様デスネ?ソウ思イマセンカ?ザ・フューズ?」

まともなヒーローがいないわけじゃない・・・が、この魔法少女のように空気の読めない奴ばっかりだ、よくも悪くも。
ザ・フューズに嫌味を飛ばしてすっきりしたから今日だけはほめてやろう。
次こんな登場のされ方されたら殺してしまうかもしれないけど。

まあ援護だけしてもらうだけしてもらって中に突入するか、そう考えた時
後ろにいたテスカトリポカが叫ぶ。

>「あいつキャラ被ってる!テスカとキャラ被ってる!!!!!!!」

「タシカニ」

――たしかに

始めて私達の意見が合った場面かもしれない。

>「はぁ、私ってなんて罪な魔法少女なんだろう……」

>「自白!罪の自白だよね今の!よし、しょっぴこう!
 しょっぴく際に勢い余って心臓抉っちゃってもあくまで事故、合法です!」

テスカトリポカが怒り狂ってる間、あまりにもしょーもないので傷が少ないファーブニルの残骸を見つけて解体する事にした。

「通信機製作ト・・・弾補充ト・・・アトハドウシマショウカネ・・・」

323 :K-doll No14 :2019/04/23(火) 17:06:11.52 ID:+oYVdrZD.net
別のヒーロー達の助けを借り、やっとヒーロー協会本部の中に進入を果たした。
そこに待ち構えていたのは敵ではなくヒーローやここで働いていたであろう事務員の・・・大量の死体。

>「惨い……ヒーローの総本山がここまで壊滅したら、このさきメトロポリスはどうなっちゃうのかな」

「マア少ナクトモ当面ノ間ハ正式ナ活動モデキナイデショウシ、ヴィラン共ガ暴レルデショウネ
 ドッチニシテモ、”ヒーローデハナイ”ワタシニハ、関係ナイノデ、ドウデモイイノデスガ」

嫌味をグチグチといいながらリジェネレーターを先頭に進んでいく。

>「……旧約聖書の創世記において、悪徳と頽廃の象徴とされるソドムとゴモラは天からの硫黄と火によって滅ぼされた。
 この世に神はいる。だが悪の蔓延るこの世に裁きを下す事はないのだろう。現代の悪徳と頽廃の象徴――……。
 メトロポリスは、こうして天の裁きを下されることなくのうのうと存在しているのだから」

>「この世界は病んでいるよ。故に、私は私の信じる正義を実行に移すまで。
 全ての悪の源、このメトロポリスを滅ぼす。貴様にこれを言うのは三度目だな……リジェネレイター。
 そちらの方々はNo14、テスカ☆トリポカに……ザ・フューズか。会うのは初めてになる。私は『アンチマター』だ」

「馬鹿丸出シナ自己紹介ドウモ!」

――これがアンチマター・・・!

天井破壊しながら降って来た男は名乗りを上げる。
ラスボスが行き成り登場とは、だが。

「手間ガ省ケテ楽、デスネ」

誰よりも速くリジェネレーターが奇襲攻撃を仕掛ける。
しかしそれが入る事はなく難なく防がれてしまう。

>「……なぜだ?なぜこんなことをした?ヒーロー協会を襲うことが、お前の正義なのか。
>「私の邪魔をするからだ。それに……偽善者を叩き潰す事に何か躊躇いがいるか?
 少し私の話をしてやろう。私は今よりずっと未来の世界……23XX年からやってきた時間旅行者なのだ」

男は自分がこの世界にやってきた経緯・目的を話し始める。

>「酷い時代だった。非合法組織の活動が社会基盤を半ば崩壊させ、一般人は日々の食事さえままらない……。
 私は両親の顔も知らない。掛け替えのない友人や愛すべき人も、すぐこの世を去った……大切なものなど全て失ったよ」

>「私は必ず未来を平和にしてみせる!それが私に唯一残された正義だからだ!
 その最善の手段は20XX年のメトロポリスに消えてもらうことだ!!
 障害となるものは誰であろうと排除しよう!手段は選ばん!!」

「アナタガ言ウ正義ノ先ニハ、ナニモナイト、ワカラナイホド愚カナノデスネ・・・」

しかしアンチマターは聞く耳を持たず。
アンチマターになにを言っても意味がない事なのだと理解する。

>「どんな抵抗も無意味だ!さぁ、奪わせてもらおうか、貴様の未来!!」

目では追いきれないほど早い打撃。
そしてその次の一瞬なにかがリジェネーレーターを襲った。

>「うそ……リジェネレイター……?」

リジェネレーターの姿は、もうどこにもなかった。

324 :K-doll No14 :2019/04/23(火) 17:07:09.32 ID:+oYVdrZD.net
>「……待たせたな。次は貴様らだ。もっとも手の内は知っている。
 私の時代のヒーローと同じ、醜い偽善者だということもな……」

>「わけわかんないよ!ヒーローに代わって世界を平和にするのが目的なんじゃないの!?
 おじさんがやってることまんまヴィランじゃん!なんでそう極端に転ぶの!?」

「言葉ガ通ジル相手デハナイ!ハヤク戦闘態勢ヲトリナサイ!」

No14が叫ぶ、しかしそれよりも速く。

>「テスカ☆トリポカ!神の力を借りていながら貴様は罪深いなぁ!
 正直になったらどうだ?本当は快楽に溺れていたいだけなんだろ……?
 折角だから教えておいてやろう!!薬物由来のその力、今は合法でも未来では違法だ!!!!」

>「えっ、ちょっ、まっ」

アンチマターの両肩から大量のミサイル。
まだ完全な戦闘状態になれていなかったテスカトリポカにミサイルが襲い掛かる。

>「このっ――『レイラインステップ』!」

瞬間移動で回避を試みる・・・しかしミサイルは無慈悲にも。

>「へっ――」

軽減には成功したようだがミサイルの直撃をいくら軽減しようと人間が耐えれるような物ではない。

「チッ、イキナリ手間ヲ掛ケサセテクレマスネ!」

テスカトリポカに向うであろう追撃を打ち落とす為にカバーに入ろうする、が。

「人間の心配をしてる場合なのかお前は?」

「――ッ!?」

背後からの突然の打撃に壁まで吹き飛ばせる。
咄嗟にガードしなかったらそれだけで戦闘不能になっていたかもしれない。

「テスカトリポカニ・・・トドメヲササナインデスカ?ハヤクシテオイタホウガ、イイトワタシハオモイマスネ・・・」

テスカトリポカにトドメを刺そうとしたらその瞬間背後から一撃を食らわせてやる。
一撃あればワタシなら突破できる。

「なに、あんなザコ何時でも狩れる・・・何度でもな、しかし残念だよNo14、実は私は今の人間を恨めしく思っている貴様とならいい関係を気づけると思っていたのだが、
 わざわざこんな奴を庇おうとするとは!」

テスカトリポカが埋まっているであろう瓦礫を指差し笑うアンチマター。
油断してくれると思ったのだが・・・。

「ワタシ的ニハドウデモイイノデスガ・・・数少ナイ"私"ノ友達ナノデネ・・・死ナレチャコマルンデスヨ・・・」

アンチマターはため息を吐き。

>「K-doll No14!憐れだな!自我を持ったが故に世間に持て囃され踊らされているとは!
 機械は作られた時から役割が決まっている!役割を満足にこなせぬ欠陥品は処分される運命なのだ!
 殺人機械でもない、人間にも奉仕できない、何の価値もないではないか?社会は廃品業者ではない、消えろ!!」

「"私"モ、アナタダケニハ絶対仕エナイデショウネ・・・!」

325 :K-doll No14 :2019/04/23(火) 17:08:09.34 ID:+oYVdrZD.net
スーツの各所が展開して、エネルギーを貯め発射する。

「フン!コンナ攻撃簡単ニヨケラレマスヨ!」

――まってください避けたら外に被害がでてしまいます!

拡散型とはいえ解析する必要もなく高出力のレーザービーム。
私がよければこのレーザーはヒーロー協会の壁を溶かし外に溢れるかもしれない。
ここは市街地の真っ只中、人も沢山集まっているし、近くの建物が燃えれば近くにまだいるかもしれない弟子達も・・・

「アア!?・・・クソクソクソクソ!!!!ガードプログラム;アサイラム」

バリアを展開しビームを相殺する。
心臓の力をフルに使いバリアを維持の稼動限界がきても展開を維持していく。

――すごいです!これなら!・・・!?

心臓の力も決して万能ではなかった。
この心臓の力を借りれば借りるほど人間でいう激痛に見舞われ。
本来のスペック以上の力を出している事で体全体が過度の熱を出す。

「アア・・・カラダガ・・トケソウダ・・・」

それでもレーザーは止まる気配はなく耐久するしかない。
テスカトリポカが残した黒曜石の煙幕のお陰でまだ耐久できてはいる、しかし。
体全体が人間が触れないほど熱くなり、激痛が走る。

とうとうオーバーヒートを起し、バリアを維持できなくなる。
それと同時にレーザーの攻撃が終了した。

「ハア・・・ハア・・・ハア・・・!」

本来機械であるNo14には必要ない呼吸という概念。
しかし体内の熱気を外に逃がすため、ひたすらに深呼吸を繰り返す。

>「ポンコツが……開発者がどれだけ優秀だろうと未来の頭脳には敵わないと理解するんだな」

「科学者ハ常ニ前ニ向ッテ歩ム者ダト・・・過去ニ向ッテ歩クオマエハ間違ッテイルノダト・・・」

「未来ノ科学ガ確実ニ先ヲイッテイルト、思イ込ンデルオマエニ・・・ハア・・・ハア・・・」

「絶対ニ私達ニハ勝テナイト!現実ヲ、オシエテヤル!」

【アンチマターと戦闘。レーザーを受け切るもオーバーヒート。深呼吸中】

326 :ポチ :2019/04/26(金) 00:02:42.83 ID:FvNG/ugC.net
>「・・・イワセテモライマスガ、アノ子供達ハ本来死ヌ予定ノ子供達デシタ
  蜥蜴ニ追イ掛ケ回サレ、後10秒後ニハ、アノヨダッタデショウ」

「……助けてやった命だから、なんだ。もう一度危険に晒すのもお前の自由か?」

>「ソモソモ、アノ子供達ハナゼ、ソンナ、危険ナ状態ダッタカ?、ソレハアナタ達ノセイニホカナリマセン」

>「ワタシガ暴レタカラ、私ハ信用ヲ失ッタトカイワナイデクダサイネ?タシカニアノトキハ、オーバーパワーデシタガ、イツカ
  コノチカラヲツカワナイト、イケナイトキハ絶対ニ来テマシタノデ。
  テユーカ、コノ程度ノ不祥事、他ノヒーローモ割リト頻繁にヤラカシテマスヨネ?」

不快感を露に、No14は反駁。

「ああ、そうだな。ヒーロー協会も、ヒーローも、ミスを犯す。
 だからお前も同じ事をしていい……短絡的だな。所詮、殺人機械か」

一方でザ・フューズもまた、軽蔑と落胆を隠さない。

>「弟子達ト約束シタノデ、ナカノヴィラン殲滅ヲ、ショウガナクテツダッテアゲマス。
  モチロンアナタノ盾ニナルツモリナドナイノデ、ソコノトコロヨロシク。
  ムシロオマエガ盾ニナレヨ、オマエノホウガ不死身ミタイナ能力モッテマスヨネ?ヨクワカラナイデスケド」

「殺人機械のくせに、私が前衛に向いてると本気で思ってるのか?
 とんだポンコツだな。これなら、昨日の方がまだ……」

>「アア・・・ソレト、ワタシハイクラ、嫌ワレテモ馬鹿ニサレテモ構イマセン、ソモソモ、アナタノコトハキライナノデ、イイノデスガ・・・」
>「次"私"ノ事ヲ、馬鹿ニシタラ殺ス、貴方ダケデナク、全員デス」

「……言っておくがな、今のは"現場の判断"で処分されても文句は言えないぞ。
 "私"だと?どの私の事だ。誰が見たって、お前はお前だ。殺人機械め」

ザ・フューズはNo14の胸元へ人差し指を突きつけ、釘を刺す。

「チッ……遅いな。他の連中は何をしてる」

そしてNo14から目を逸らさないまま、悪態を吐く。
ザ・フューズは悪徳ヒーローだが、だからこそ理解している。
悪事ですら、安定した社会基盤がなければ成立し得ない事を。

ヒーロー協会の力が弱まる事は、ヴィラン達の歯止めが利かなくなるという事。
全ての悪党が思い思いに社会を食い散らかせば、メトロポリスは遠からず、都市としての機能を失う。
実際には、そうなる前にヒーロー協会よりも小さな、そして複数の、自警団的組織が誕生する可能性はある。
だが――あくまでも可能性だ。
メトロポリスの終末時計は、滅亡の一分前を示していると言って、過言ではない。

327 :ザ・フューズ :2019/04/26(金) 00:03:08.13 ID:FvNG/ugC.net
>「なぁなぁ、フォーティーンちゃんよ。ザ・フューズはおこだけど世間一般はお前の味方だろうぜ。
 【速報】廃棄予定のロボットヒーロー、颯爽と子供たちを救助!!まだ事件も解決してないのにネットは呑気なことで」

「パラミリ・パラッチか。見えてるなら、さっさと現場に来ればいいものを」

>「オービット……戦闘中にネットサーフィンはやめないか」

>「AIは必要なことしかしない……別に遊んでた訳じゃないさ。世論を読んでたんだよ。
 だから言っておく。さっきの救出劇はセンセーショナルだった。でも結果オーライで済ませる訳にはいかない。
 暴走……いや、ただの殺人兵器に戻っちまってるかもしれないロボットにこれ以上戦闘なんてさせられないからな」
>「ザ・フューズ、悪いが俺はNo14と一緒に戦うのは反対だな。リスクが大きすぎる」

「……確かに、一理ある」

>「貴方達の許可等必要アリマセン。ドウシテモ邪魔スルナラ排除スルマデデスノデ」

「だが……そういう話は、他の連中が来てからにして欲しかったな。
 今始めると……こういう事になるだろ、まったく」

No14を見下ろすザ・フューズ。
白兵戦に特別長けている訳でもない彼女が、こうも強気なのは、当然理由がある。

近接航空支援の為に生成した疑似脳と眼球。
それらは今もなお上空から地上を監視している。
No14が不審な動きをすれば、二つの疑似脳が即座に、それぞれエクトプラズムとパイロキネシスを行使する。
つまり、拘束し、焼き尽くす。そして――

>「……俺は、No14の意志に任せる。彼女は子供たちを助けた。悪意も感知していない。
 協会の中にはまだ生存している人がいる。俺には感じるんだ。中にいる人が発する苦しみや恐怖の感情が。
 ……No14、その人達を助けるつもりはあるか?もしあるのなら……俺達と一緒に戦ってほしい。君の力が必要だ」

果たしてその対処が、開始される事はなかった。

>「誰かを助けたいという気持ちと、ヴィランに立ち向かう勇気。それがあれば誰もがヒーローだ。
 でもヒーローだって完璧じゃない。だから足りない部分はサポートし合えばいいし……何かあれば止めればいい。
 No14は確かにヒーローだった。いち同業者として、No14のヒーローとしての意志が消えていないと俺は信じたいんだ」

リジェネレイターの言葉に、ザ・フューズは即断する――戯言だと。
そも、ザ・フューズがNo14の同行に肯定的だったのは、戦力としての有用性故。

>「……分かったよ。お前がそう言うのなら。悪かったな、No14」

「ヒーローは夢に見られる者だ。夢を見る者じゃない。
 希望的観測に頼るな。ソイツのどこに、ヒーローの意志がある?」

この状況下で、ヒーロー同士の戦いも厭わない、と。
そのような言動を受けてなお、同行「して頂く」理由などない。
現場の判断で破壊しても、始末書を書く必要すらないだろう。

「……だが、これではただの水掛け論だな。
 加えて言えば、多数決では勝ち目が無さそうだ……好きにしろ」

しかし――結果的に、ザ・フューズは意見を曲げた。
それも極めて早期に、反論もせず。
その理由は――彼女があえて語る事はない。

その後、暫し繰り広げられた漫才にザ・フューズが深い溜息を吐いてようやく、一行はヒーロー協会本部へと突入を果たした。

328 :ザ・フューズ :2019/04/26(金) 00:03:39.40 ID:FvNG/ugC.net
>「惨い……ヒーローの総本山がここまで壊滅したら、このさきメトロポリスはどうなっちゃうのかな」
>「マア少ナクトモ当面ノ間ハ正式ナ活動モデキナイデショウシ、ヴィラン共ガ暴レルデショウネ
  ドッチニシテモ、”ヒーローデハナイ”ワタシニハ、関係ナイノデ、ドウデモイイノデスガ」

No14の執拗な嫌味。ザ・フューズは無反応を貫く。
本部の占拠に用いられたのがロボットである以上、リジェネレイターの索敵は頼れない。
センサーを用いた壁越しの不意打ちを凌ぐには、それなりの工夫と準備が必要。
幼稚な殺人機械を相手にしている暇はない。

そして――不意に、協会内部のスピーカーから、ぶつんと音が響いた。
マイクが起動された事による僅かなノイズ。
それに続くのは――救援要請か。それ以外か。

329 :ザ・フューズ :2019/04/26(金) 00:04:24.76 ID:FvNG/ugC.net
>「……旧約聖書の創世記において、悪徳と頽廃の象徴とされるソドムとゴモラは天からの硫黄と火によって滅ぼされた。
> この世に神はいる。だが悪の蔓延るこの世に裁きを下す事はないのだろう。現代の悪徳と頽廃の象徴――……。
  メトロポリスは、こうして天の裁きを下されることなくのうのうと存在しているのだから」

響いたのは――男の声だ。
死屍累々の戦場と化したこの協会において、何の価値もない神代の作り話。
放送は生存者ではなく、この事件の首謀者によるもの。

ザ・フューズは舌を鳴らし――だが直後、彼女の目の前で天井が勢いよく崩落。
瓦礫と共に降ってきたのは、漆黒のパワードスーツに身を包んだ――これ見よがしな悪党。

>「この世界は病んでいるよ。故に、私は私の信じる正義を実行に移すまで。
 全ての悪の源、このメトロポリスを滅ぼす。貴様にこれを言うのは三度目だな……リジェネレイター。
 そちらの方々はNo14、テスカ☆トリポカに……ザ・フューズか。会うのは初めてになる。私は『アンチマター』だ」

>「馬鹿丸出シナ自己紹介ドウモ!」
 「手間ガ省ケテ楽、デスネ」

No14が軽口を叩く中、ザ・フューズは一歩その場を飛び退いていた。
彼女の戦闘は状況の構築から始まる。
エクトプラズム・プレートを配置し、敵の動きを制限し、優位に立つ。
故に突発的な戦闘においてはまず守勢に回る。それが合理的な判断だった。

一方で、前へと踏み出した者もいた。リジェネレイターだ。
躊躇なしの先制攻撃――しかしアンチマターはそれを容易く捌く。
更に竜を模したスーツの尾を用い、カウンター。
リジェネレイターは辛うじてそれを躱し――そこで一度退かざるを得なかった。

>「……なぜだ?なぜこんなことをした?ヒーロー協会を襲うことが、お前の正義なのか。

>「私の邪魔をするからだ。それに……偽善者を叩き潰す事に何か躊躇いがいるか?
  少し私の話をしてやろう。私は今よりずっと未来の世界……23XX年からやってきた時間旅行者なのだ」

リジェネレイターの問いに、アンチマターは嬉々として反応した。
大義を掲げるタイプのヴィランにはありがちな事だ。

>「酷い時代だった。非合法組織の活動が社会基盤を半ば崩壊させ、一般人は日々の食事さえままらない……。
 私は両親の顔も知らない。掛け替えのない友人や愛すべき人も、すぐこの世を去った……大切なものなど全て失ったよ」

これ幸いとばかりにザ・フューズは超能力を行使。
戦闘の――否、一方的な攻撃の『仕掛け』を整えていく。

>「私は必ず未来を平和にしてみせる!それが私に唯一残された正義だからだ!
 その最善の手段は20XX年のメトロポリスに消えてもらうことだ!!
 障害となるものは誰であろうと排除しよう!手段は選ばん!!」

>「アナタガ言ウ正義ノ先ニハ、ナニモナイト、ワカラナイホド愚カナノデスネ・・・」

ザ・フューズは、何も言葉を発しない。
彼女はヴィランを嘲り、踏みにじる事を好む。
相手が嬉々として大義を語れば、戦術的な意味などなくとも、それを愚弄する。
だが――いかなる理由か、今回は、違う。
ただ強烈な敵意の炎を双眸に宿して、アンチマターを睨んでいた。

「……敵戦力は未知数だ。真っ向勝負は――」

それでも仲間に対する警告は欠かせない。
ザ・フューズが口を開き――しかしアンチマターはそれよりも早く、動き出していた。

330 :ザ・フューズ :2019/04/26(金) 00:05:05.20 ID:FvNG/ugC.net
>「リジェネレイター、因縁と思って話してやったがそれもこれまでだ!まずは貴様から死んでもらう!
  この場所が貴様の墓標、七代目はいないものと思え。また説明してやるのが面倒だからなァ!!」

リジェネレイターを怪光線で捕らえ、引き寄せ――その胸部に打ち込まれる強烈な右ストレート。
そこから続く一方的な打撃の嵐。

>「どんな抵抗も無意味だ!さぁ、奪わせてもらおうか、貴様の未来!!」

とどめと言わんばかりに放たれる、鋼鉄をも歪める拳による六連撃。
リジェネレイターはそのまま天井へと叩き付けられ――閃光が、彼の姿を塗り潰す。

331 :ザ・フューズ :2019/04/26(金) 00:05:31.67 ID:FvNG/ugC.net
その直前、ザ・フューズは咄嗟にエクトプラズム・シールドを展開していた。
だが――彼女の生成物は、単純な強度にはそこまで優れていない。
協会のビルを屋上まで貫くエネルギー兵器を遮るには、あまりに不十分だった。

>「テスカ☆トリポカ!神の力を借りていながら貴様は罪深いなぁ!
 正直になったらどうだ?本当は快楽に溺れていたいだけなんだろ……?
 折角だから教えておいてやろう!!薬物由来のその力、今は合法でも未来では違法だ!!!!」

>「えっ、ちょっ、まっ」

直後、アンチマターの放ったミサイルの直撃を受け、テスカ☆トリポカまでもが吹き飛ばされる。
魔法少女の身体強度は、人間よりかは上だろう。だが無事であるという確証はない。
少なくとも彼女は、叩き込まれた設備の残骸の山から、出てこない。

矢継早に二人目がやられ――しかし、リジェネレイターが撃たれた時、
ザ・フューズの表情に僅かに浮かんでいた動揺は、既に残滓もなく消え去っていた。
そこにはただ、憎悪だけがあった。

ザ・フューズは、真のヒーロー、その存在の尊さを知っている。
危険を顧みず、弱きを助け強きを挫く、その行為の偉大さを。
だが――それと、彼女が"一流のヒーローでない"事は、何も矛盾しない。

ザ・フューズには目的がある。
悪を踏みにじり――そしていつか『ある男』を見つけ出し、殺すという目的が。
ヒーローはその為の――金を稼ぎ、合法的な殺人を行う為の手段でしかない。

『仕掛け』は完成しつつある。
ザ・フューズの超能力強度は決して図抜けたものではない。
しかし、それでも人を殺すに足るように、彼女はずっと超能力を磨いてきた。
例え防弾ベストで、パワードスーツで、核シェルターで身を守られようと、必ず『ある男』を殺せるように。

>「K-doll No14!憐れだな!自我を持ったが故に世間に持て囃され踊らされているとは!
 機械は作られた時から役割が決まっている!役割を満足にこなせぬ欠陥品は処分される運命なのだ!
 殺人機械でもない、人間にも奉仕できない、何の価値もないではないか?社会は廃品業者ではない、消えろ!!」

アンチマターは強い。No14も長くは保たないかもしれない。
だが、それならそれで、もう構わない。
リジェネレイターを捕縛した兵器は、ザ・フューズならプレートで遮断出来る。
後は撤退戦をしつつ、『仕掛け』を終え――勝利する。それだけだ。

>「アア!?・・・クソクソクソクソ!!!!ガードプログラム;アサイラム」

それだけの――はずだった。
だがNo14の咆哮と行動が、ザ・フューズの集中力を俄かに奪った。
避けられたはずのビーム砲を、No14は防御している。

>「アア・・・カラダガ・・トケソウダ・・・」

機体の金属部分が、加熱により赤く発光を始めても、彼女は回避行動を取らない。
明らかに不合理な行動――だがその意図は明白だ。
守っているのだ。流れ弾がビルを貫き、外にいる人々を傷つけてしまわぬように。

>「ハア・・・ハア・・・ハア・・・!」

No14は波濤の如く押し寄せるビームを、凌ぎきった。
だがその代償はまさしく火を見るよりも明らかだ。
周囲に陽炎が生じるほどの発熱。No14は消耗しきっている。

332 :ザ・フューズ :2019/04/26(金) 00:06:15.06 ID:FvNG/ugC.net
>「ポンコツが……開発者がどれだけ優秀だろうと未来の頭脳には敵わないと理解するんだな」

一方で――アンチマターはまだ、この戦闘で一切ダメージを受けていない。

>「科学者ハ常ニ前ニ向ッテ歩ム者ダト・・・過去ニ向ッテ歩クオマエハ間違ッテイルノダト・・・」
>「未来ノ科学ガ確実ニ先ヲイッテイルト、思イ込ンデルオマエニ・・・ハア・・・ハア・・・」
>「絶対ニ私達ニハ勝テナイト!現実ヲ、オシエテヤル!」

威勢のいい言葉だ。だが戦況は、彼女の言葉とは反する方向へと転び続けている。
No14はもう動けない。少なくとも、すぐには。
そして動けないから、テスカ☆トリポカや地上の人々を、自分の身を、守る事も出来ない。

333 :ザ・フューズ :2019/04/26(金) 00:08:09.51 ID:FvNG/ugC.net
正義は勝つ――ザ・フューズはそう信じている。
正常な社会を望む者は、それを望まない者よりも常に多い。
当然、優れた人材や設備、資材もより多く、正義に元へと流れ着く。
仮に一人のヒーローが敗れようと、戦いは正義が勝つまで終わらない。
正義が完全に失われる時が来るとすれば、それは正常な社会の定義が代わり、新たな正義が生まれた時だ。

>「悪徳ヒーロー、ザ・フューズ。まさしく偽善者と呼ぶに相応しいな。
  貴様のような存在をのさばらせる事自体がヒーロー腐敗の象徴……!ヒーロー協会は潰れて当然だった!!
  いったいどの面を下げて生きていられるんだ……?私は許せんのだ、偽善者が平然と正義を語ることがな!!」

だが一方でこうも思っている――悪は、負けない。滅びない。
ヒーローに一度敗れようと、殺されない限り何度でも悪事を働ける。
そしてヒーローは、基本的には、ヴィランを積極的に殺せない。
加えるなら悪は、勝てなくてもいいのだ。
戦わず、勝負すらせずとも、負けながらでも、敵は殺せる。

例えば――事前の備えによって弱点を突いたり、単純に人質を取るなどすれば。

>「貴様に関しては『排除』ではなく『裁き』を下す!超能力で甦るのなら何度でも殺してやる!
  何度でも、何度でもだ!!死んで正義を騙り、人々を陥れてきた罪を贖うがいい!!」

そして、襲い来る十重の閃光。
ザ・フューズがするべき事は変わらない。最も有効な戦術は、撤退だ。
自分にとって優位な状況を作りながら逃走し続け、然る後に反撃に出る。

しかし――ザ・フューズは、そうしなかった。
アンチマターの両腕から何かの照射口がせり上がった瞬間――彼女は前に飛び出していた。
黒曜石の塵の暗幕よりも、更に前へ。
テスカ☆トリポカに、No14に、攻撃の余波が向かわぬように。

人間はその認識力の限界によって、完全な合理性に従い、動く事は出来ない。
息子を名乗る人物からの電話を受けた老婆にとって、
その電話の主に大金を振り込むのが最も合理的な行動であるように。

失われたと思っていたヒーローが、まだそこにいると感じたザ・フューズにとって
――それを巻き添えにしないように動く事は、最も合理的な行動だった。

「この期に及んで、正義に成り済ますか!!」

だがその行動は、愛の力を帯びた献身ではない。
不屈の信念に背を押された正義でもない。
ザ・フューズはそんなものに感化され、力を得るような、真のヒーローではない。
故にそれは――ただの、失策だった。

「ぐっ……!」

閃光がザ・フューズの手足を寸断。
即座にエクトプラズムを用い再生。
ミュータントさながらの再生速度は、訓練の賜物。
敵を殺す前に、殺されない――それは西田結希が戦士を志して、最初に見出した課題だった。

ザ・フューズは更にエクトプラズムを行使。
アンチマターの各関節の動きを阻害するようにブレードを大量生成。
しかし通じない。その戦法は既に見られている。
レーザーカッターの照射口はそれ単体で、フレキシブルアームのように動作が可能だった。
本体の動きを封じたところで、レーザーは防げない。

334 :ザ・フューズ :2019/04/26(金) 00:08:36.88 ID:FvNG/ugC.net
今度は腹部が輪切りにされ、上半身と下半身が両断。
上半身が床に落ちるよりも速く、再生は完了していた。
着地と同時、両手に灯る炎。
炸裂ではない。油に着火したような、激しく燃え盛る火柱だ。
アダマス合金の装甲だろうと、炎熱を完全に防ぐ事は出来ない。

だが――それは相手の動作を完全に封じられていればの話だ。
アンチマターが力強く一歩前に足を踏み出すと、彼を拘束するブレードがひび割れ、砕けた。
黒いパワードスーツの馬力は、ザ・フューズのエクトプラズムの強度を大幅に上回っている。

アンチマターはそのまま距離を詰めきり、ザ・フューズの顔面を鷲掴みにした。

「命乞いをしろ」

335 :ザ・フューズ :2019/04/26(金) 00:09:50.30 ID:FvNG/ugC.net
鋼鉄をも砕く拳が彼女の頭を掲げ、絶妙に、砕いてしまうぎりぎりで握り締める。

「私に慈悲を乞え!正義を求めろ!お前が今まで偽ってきたものの名を呼んでみろ!
 その瞬間に……殺してやる。砕けた脳髄が飛び散るその刹那に、己の罪を思い知れ!」

ザ・フューズは――答えない。
ただ右手を上げて――圧迫によって半ば砕けた仮面を、己の顔から剥いだ。
そしてアンチマターを見下ろして、

「……お前のせいだ」

そう、零した。

「覚えていないだろうな……お前は……この顔を」

アンチマターの反応も待たず、ザ・フューズは続ける。

「……昔、一人のヒーローと、ヴィランと……ただの小娘がいた……。
 ヒーローは、強く……ヴィランは追い詰められていた……だから……」

声はか細く、弱々しい。

「だから人質を取った……ヒーローは、その小娘の為に……死んだ……。
 このメトロポリスじゃ、よくある話……だが、話はそこで……終わらなかった……」

だがその眼光はアンチマターを貫き、微動だにしない。

「ヒーローが死んで……ヴィランは小娘を放り捨てた……。
 ソイツが生きてるかどうかなんて……どうでも良かったんだろう……。
 ……小娘は偉大なヒーローを一人死なせて、おめおめと生き残った訳だ」

両眼に灯る憎悪の炎は――静かに零れた涙では、消えない。
むしろより一層、火勢を増してすらいた。

「……生き残ったソイツは、償いがしたかった。自分のせいで死んだヒーローに。
 いや……本当にそうだったのか、もう分からない。
 もしかしたら、自分以外に憎む相手が欲しかっただけかもしれない」

時に――歴史の改変という命題には、必ず付いて回る一つの問題がある。
タイムパラドックスだ。

「個人的な恨みでヴィランを追うには、金と、力がいる。
 その為なら、なんだってした。最初に始めたのは、勉強だったがな。
 法律を学んだ。街のギャングに取り入る為に必要な知識だった」

歴史の改変の成功は必然的に、変えたい過去があるという動機の消失と同義。
つまり改変が成功した時点で、今度は未来における改変者が誕生しない事になる。

「ヤツらに取り入り、金を盗んで、超能力を買った。そのまま逃げおおせて、ヒーローになった。
 ヒーローとしてのし上がるのは容易かった。手柄がどこにあるか、私は知っていたからな」

となると今度は歴史の改変そのものが無かった事になり――矛盾の円環が生まれる。
しかしアンチマターはその可能性を危惧していない。
彼の時間遡行には、タイムパラドックスを超越する理論が内包されているのだろう。

336 :ザ・フューズ :2019/04/26(金) 00:11:36.00 ID:FvNG/ugC.net
「壊滅させたギャングの残党を、今度は私が手足として拾った。金を稼ぐ為に。
 ……結局、最後は偶然に助けられる事になったがな……まぁ、いいさ」

だが、だとすれば――彼はある可能性を考慮して行動すべきだったのだ。
過去の卵を潰して未来の鶏を殺す事が可能ならば――その逆も起こり得ると。
未来の鶏が現れた事で、過去に卵が生まれる事もある。

「やっと、また会えたな」

337 :ザ・フューズ :2019/04/26(金) 00:14:09.01 ID:FvNG/ugC.net
すなわち――自分の行動こそが、自分がいた未来を生み出すという可能性を。
この時代における彼自身の行いが、一人の少女の未来を変えたように。

いつか必ず、あの男を殺してやる。
だから私は『導火線(ザ・フューズ)』だ。
いつか必ず、この炎を、あの男に追いつかせてみせる、と。
己の名に復讐の誓いを刻み込んだ、悪徳ヒーローを生み出したように。

「……そして、時間切れだ」

ふと、ザ・フューズが、冷酷な声で呟いた。
同時にアンチマターと彼女を取り囲むように、エクトプラズム・キューブが発生。
拳、ミサイル、ビーム砲、レーザーカッター、どれもキューブを破壊出来ない。
否、壊れた瞬間に再形成される。

「思い知れ。正義は、勝つんだ」

何かが起こった。『アイズオブヘブン』の予測をすり抜けた何かが。
そう悟ったアンチマターは――即座にザ・フューズの頭を床に叩きつけた。
エクトプラズムによる再生は――起こらない。
だがそれでも、キューブは消えない。
『仕掛け』は既に、完成しているのだ。

悪徳ヒーロー、ザ・フューズ――西田結希は、詐欺師である。
故に言葉を用い、人の意識を誘導する術を知っている。

『……お前のせいだ』

切り口は、正義を標榜するアンチマターにとって聞き捨てならない言葉。
あえて侮辱されたと感じさせる事で、言葉の続きを待たせた。

『覚えていないだろうな……』

倒置法だ。覚えていないだろうと言われれば、人間は何の事かと思考を引っ張られる。
アンチマターの場合は、強い反抗心もそれをかえって助長させた事だろう。

『この顔を……お前は……』

続けざまに、今度は興味の対象を提示――記憶の想起に意識を向けさせる。
そこまですれば――残りの話は、相手が勝手に聞き入ってくれる。
そうして十分に時間は稼げた。

後天性超能力者のザ・フューズでも、視線の通っていない一つ下のフロアに、大量の疑似脳を生成するだけの時間が。

338 :ザ・フューズ :2019/04/26(金) 00:18:11.96 ID:FvNG/ugC.net
ザ・フューズの超能力強度は、確かに掃いて捨てるほどいる程度だ。
だが――そんな彼女でも十人いて、完全な連携が取れれば、自動車を粉々に爆破するくらいは出来るだろう。
五十人もいれば、小さなビルを一棟、超能力だけで破壊出来るようになる。
それが百人にもなれば――核シェルターの扉とて、焼き切れるほどの炎が生み出せるだろう。

そして――キューブの中に炎が渦巻く。

もっとも今回配置出来た疑似脳は、二十三基。
その内、二十基はキューブの再生成を担当している。
故に火力は今ひとつだが――それでも生み出される熱は装甲越しにアンチマターの体を、呼吸器を焼く。

アンチマターは疑問に思うだろうか。
何故、『アイズオブヘブン』がこの展開を予想出来なかったのか。
それはザ・フューズが――失策を犯したからだ。
入念な準備を行うという合理性に対する、前に飛び出し接近戦を図るという愚行。
そこに生じる矛盾が、機械による予測にノイズを植え付けた。

つまり。
例えそれが、かつて死なせたヒーローへの負い目から来た、ただの気の迷いだったとしても。
例えザ・フューズが、今までずっと愛と正義を踏みにじってきた、悪徳ヒーローだったとしても。
それでも正義は――――彼女に報いたのだ。

床に転がる、頭部の上半分を失ったザ・フューズは、その口元に笑みを浮かべていた。



【念の為:この行動が完全に防御され、無駄になっても私は気にしない。
      殺されたヒーローが誰だったのかは白紙だ。
      トリップキーの誤りについては気にしないで欲しい】

339 :一斉に送信:2019/05/29(水) 23:06:22.61
古矢聡・ふるやさとし
いじめ加担者
英語中学教師
淫行前科アリ
神奈川県横須賀市船越町4-58に住んで居る
神奈川県横須賀市不入斗中学へ逃げた

340 :創る名無しに見る名無し:2019/06/22(土) 21:43:37.62 ID:Oc46QL8Q.net
ヒーローは、現在停止していると見ても問題ありませんよね

341 ::2019/06/22(土) 21:45:18.74 ID:Oc46QL8Q.net
2020年の、ある日の事だった。
「それ」は何の前触れもなく、宇宙から降ってきた。
人の形をした巨大な金属の塊。つまり――ロボットが、降ってきた。
一体や二体ではない。何十体ものロボットが、地球上の至る所に降ってきたのだ。

しかし、それらは本来あるべき機能を失っていた。
つまり――壊れていたのだ。
だが、機構までもは失われていなかった。
つまり――分解して、その構造を調べる事が出来た。

それらは未知の技術の宝庫だった。
ナノテクノロジーと、それを利用したニューロコンピュータの作成。
重水素から実用的な規模のエネルギーを抽出可能な小型融合炉の実用化。
そして何よりも、3〜5メートル級の、高度な機動性を有するパワードスーツ型ロボットの再現。
人類の科学技術と文明は、飛躍的な進歩を遂げた。
ロボットがどれもパワードスーツ型であるにもかかわらず、その中に搭乗者の遺体が無かった事など、すぐに誰も気にしなくなった。
それが――十年前の出来事だった。

そして今――地球は、宇宙からの侵略を受けていた。
侵略者達はかつて降ってきたロボットと、ほぼ同一の外見をしていた。
それらは金属の体と、機械的な身体構造を有する、エイリアンだった。

彼らは地上を制圧すると、人々を自分達の体内に押し込んでいった。
それは彼らにとっての捕食行為だった。
自分達の体に空いた空洞を埋め、また機能を向上させる為の。

中国は国土の七割が侵略者――ヴォイド達に制圧された。
ロシアではヴォイドとの戦闘によって数万人の死傷者が出た。
アメリカがワシントンDCを奪還出来ないまま3ヶ月が経過している。
地球人類は今、危機的状況にあった。




みたいな感じのロボット・バディアクションな準SF物がやりたいと思っています
それなりに人数が集まれば始めます。別にすぐにでも始めたい訳ではないので、集まらなければ気長に待ちます
以下にいくつかの要点とテンプレの例を置いておきます

・ロボットのサイズは3〜5メートル。例外は戦術的な意味があるなら認められる

・全てのロボットは「自律行動も可能なパワードスーツ」である
 人が搭乗する事で動作の出力や精密性、センサー類の機能向上などが望める

・つまりそれらのメリットが必要なければロボットとパイロットは別行動が可能
 着脱は極めて素早く行う事が出来ます
 パイロットはハイテクなスーツによってそれなりに素早く力強いです

・科学技術はぼんやりと近未来的であればよし
 メタなお約束=ロボットによる戦闘が無意味になるほどの技術は実用化されていません

・プレイヤーは警察、捜査官、軍人、傭兵などの「戦闘用ロボットに搭乗していても不自然でない経歴」が求められます
 これは不自然さを軽減出来る場合、上記以外の経歴の使用が認められるという意味でもあります

342 ::2019/06/22(土) 21:47:49.57 ID:Oc46QL8Q.net
ジャンル:ロボット・バディアクション
コンセプト:ロボットバトルしたい
期間(目安):駆け足で一章分くらい
GM:わたしです
決定リール:なし
○日ルール:7日
版権・越境:なし
敵役参加:なし
避難所の有無:なし

【テンプレート】

名前:アレクサンドラ・ククラ
年齢:16歳
性別:女
身長:148cm
体重:44kg
職業:訓練生
性格:強気
装備:標準型パイロット用ナノスーツ(XSサイズ)、アンチ・メカニズム・ピックピストル
容姿の特徴・風貌:灰金髪、蒼眼、女性的な起伏に乏しい
簡単なキャラ解説:パイロットに憧れて軍学校に入学した勝ち気な少女
         本来は実戦の場に投入されるべき年齢・階級ではないが、諸事情により前線に出ている


機体名:インディペンデント・ヴァリアブル
外見:3メートル級、白い布の塊=ミイラ
兵装:12.7mmAPライフル、ヴァリアブル・ナノブレード、マルチパーパスランチャー、スカラベ・ドローン
性格:人懐っこく、ジョークを好む

解説:自己増殖性ナノマシンによる修復可能な装甲を持つ
   装甲内部には大量の虫型ドローンが格納されている
   ドローンには偵察、破壊工作などを目的とした機能を持たせる事が出来る
   ドローンは敵機などから材料を補給する事で複製が可能
   工兵としての運用を想定された機体の為、運動性能は平凡

343 :創る名無しに見る名無し:2019/06/23(日) 20:20:21.24 ID:HpCQhkor.net
ミイラに戸惑いが隠せないな

質問
ロボットは自律行動ができるという事だけど、それは事前にプログラミングされた動きということ?
それともロボットの自律した意識があるということ?

344 ::2019/06/23(日) 22:37:02.29 ID:R1O+aIlC.net
これは雑記です
ニューロAI搭載型パワードスーツ『FRAME(Flexibly-Raiding-And-Machine-with-Emotion)』の運用理念は
簡易的に説明するならば『状況に応じて戦車のような振る舞いが可能な歩兵』です

FRAMEは基本的に人型なので、戦車や歩兵戦闘車などよりも小回りが利きます
市街戦ではよほど狭くなければ路地を利用する事も出来ますし
建築物の中に踏み込んでいく事も可能です
そりゃもちろん、まったくの無策ではまずいですけども
ともあれ一方でFRAMEは、戦車の砲弾を防御したり、逆に戦車を単機で撃破する事も可能です

ですが彼らがその性能をフルに活用するには、パートナーであるパイロットとの連携が不可欠です
FRAMEはパイロットと合体する事でより力強く、俊敏で、有機的な動きが可能になります
またAIが電子戦術面に専念出来るのでセンサーなどの精度も上昇します

加えて、連携とは単に合体して機体の性能を高める事のみを指しません
例えば市街地や屋内戦に臨む際、FRAMEが完全に歩兵と同様の振る舞いをしていては、機材の無駄遣いです
時に壁を破り、時には銃弾を遮り、逆にパイロットが斥候を務める事で敵の位置を共有する
要するに、Flexibly-Raiding(柔軟な襲撃法)です。それこそがFRAMEの真価なのです

熟練のFRAMEとパイロットは、いかなる状況でも一心同体の振る舞いが可能です
彼らはMechane-with-Emotion(感情ある機械)です
あなたはきっと、彼らと心を通わせる事が出来るはずですし、それは生き残る為の秘訣でもあります


>>343
合理的な(ように見える)理由があればデザインは問わないという例です
ドローンやその材料を格納して活動するには布のような柔軟性を持つ装甲が最適だとか、そういう感じです

質問への回答は後者です
彼らに搭載されたニューロコンピュータは人間の脳に似た振る舞いをします
つまり学習によって成長し、その過程で人格を得ます

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