アフガン大統領選:アブドラ元外相が「我々が勝利した」
【ニューデリー金子淳】アフガニスタン大統領選で決選投票の暫定結果に不正疑惑が出ている問題で、アブドラ・アブドラ元外相（５３）は８日、数千人の支持者を前に、「我々の側が勝利した」と述べた。
支持者から「独自政権の樹立を」との声が出ているといい、アブドラ氏は数日以内に今後の方針を明らかにする考えを示した。
アブドラ氏が「勝利」を宣言したことで混乱が広がる可能性がある。一方、ケリー米国務長官は７日、カブールの米国大使館を通じて出した声明で、「不正疑惑の完全な調査」を求めた。
また、「違法な手段で権力を掌握すれば、米国も国際社会も支援を停止する」と述べ、アブドラ陣営の「独自政権」の動きを強くけん制した。
http://mainichi.jp/select/news/20140709k0000m030128000c.html
４月の１回目投票では、アブドラ氏の得票率４５％に対し、ガニ氏は３１．６％だった。
１１．４％で３位だったザルマイ・ラスール前外相が決選投票でアブドラ氏支持を表明したため、決選投票でもアブドラ氏が優勢とみられていた。
アブドラ氏が指摘するのは、ガニ氏の得票水増し疑惑だ。選管は有権者約１２００万人の約６割が投票したとしているが、
アブドラ氏はうち約１００万票分が「水増し」され、ガニ氏の得票数に上乗せされたと指摘。
６月下旬には支持者が首都カブールの大統領宮殿などで抗議デモを行う事態に発展した。
カルザイ大統領などは、「ガニ政権」の中枢にアブドラ氏が加わることで両者の妥協を図ろうとしたとみられている。
だが、ガニ氏は５日、「連立」の可能性を拒否。暫定結果の発表についても「これ以上の延期は受け入れられない」と述べた。
一連の混乱は、民族対立に飛び火する可能性がある。ガニ氏は最大民族パシュトゥン人やウズベク人の支持を集めているのに対し、アブドラ氏は２番目に多いタジク人が支持基盤のためだ。
アフガンでは年内に駐留外国軍の撤退期限を迎えるが、国家が二分されれば再び内戦状態に陥り、「テロリストの聖域」となる可能性も否定できない。
http://mainichi.jp/select/news/20140708k0000m030087000c.html