子豚下痢 飼料で防ぐ 富士通の特許使い川崎の商社が開発
川崎市麻生区の畜産機材商社「フロンティアインターナショナル」が、子豚の下痢を抑える混合飼料「フジロン」を開発した。
離乳前の子豚の死亡率は約１割といわれ、中でも下痢によるものが大半を占めており、全国、海外からも新製品に熱い視線が送られている。 （平木友見子）
川崎市では、市の仲介で大手企業の特許を中小企業が活用する知的財産交流会を展開中で、今回の製品開発もその一環。
同社は、富士通研究所（中原区）が特許を持つ細菌などを分解する光触媒「チタンアパタイト」に着目した。
大貫勝彦社長（７０）によると、これまでは子豚の下痢を抑えるためにワクチンを投与していたが、菌には耐性ができる。
抗生物質は豚の体内に残留するため、食べた人間に影響が出る可能性があり、畜産農家から対策が求められていた。
大貫社長が着目したのは、チタンアパタイトの菌を不活性化させる作用と余分な水分を吸い取る吸着性。東京農業大の研究室で調べてもらうと、豚が食べても体内に残らないことが判明。
宮崎県日南市の牧場で、消毒効果がある珪藻頁岩（けいそうけつがん）と混ぜて与えてもらったところ、下痢を抑える効果が高く、排せつされたフンからの飛沫（ひまつ）感染が減ることも分かった。
配合比率の実験を重ね、今年四月に販売を始めた。
一箱十袋（一袋百グラム）入りで税別一万円。大貫社長は「今のところウイルスへの効果は実証できていないが、菌への効果は期待できる。
日本の豚の生産コストは世界で一番高い。抗生物質を使わずに死亡率を減らしてコストを下げ、日本の畜産業に貢献できれば」と話している。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/metropolitan/20140730/CK2014073002000178.html