【産経】戦争の真実を子供に教え、国家の尊厳と民族の誇りを覚醒させる！ [323988998]

渡辺利夫・拓殖大総長が読む『子供たちに伝えたい日本の戦争　あのときなぜ戦ったのか』（皿木喜久著）
国家の尊厳と民族の誇りを

　深い共感をもって読了した。どんな人間にも譲ることのできない一線がある。自分や家族の生命・財産が他人から侵され平然としている人間はおるまい。
殴られれば殴り返すのは、自然生命体の「自然権」である。

　国家とて同様である。国家には国益がある。国民の生命・財産の守護である。国益が侵されれば反撃に出ることは国際法で認められている「自衛権」である。

　他国の侵略を許し搾取に甘んじ支配を諾々と受け入れる国家は、国家ではない。戦争はできれば避けたい。
しかし戦争を回避するために、話し合い（外交）をいくら重ねてもどうにも解決できないことがこの世界にはある。
戦争は最後の最後の手段である。侵略には武力をもって抗するという選択肢まで放棄するのであれば、そもそも外交が成り立たない。

　日本が明治維新以来の近代において戦った戦争の多くは侵略ではない。「自存自衛」の戦いであった。
日清戦争や日露戦争とは、中国やロシアというユーラシアの巨大帝国が朝鮮半島を支配下におき、やがて日本を危機に貶（おとし）めることを防ぐための、国運を賭（と）した自衛戦争であった。

　第二次世界大戦での敗北といえば、日本のアジア侵略にその原因を求め、これに対抗する連合国軍側によって余儀なくされたものであるかのような記述が、
いまなお中学校や高等学校の歴史教科書には蔓延（はびこ）っている。戦争には必ず相手がある。
相手国の意図がどこにあったのかを解き明かし、これをも記述するのでなければ公正な教科書とはいえない。

　真珠湾攻撃とは何であったか。「日本に米国を攻撃させ、これに反撃する形で日本の同盟国であるドイツに宣戦するという“裏口からの参戦”を（米国は）狙っていた」と著者はいう。
米国の意図をも同時に伝えねば第二次大戦の真実は語りえない。

　戦争の真実を書き記し、日本の子供たちに「肯定的自我」を甦（よみがえ）らせて国家の尊厳と民族の誇りを彼らに覚醒させよう。
本書に寄せた著者の鮮やかな意図である。（産経新聞出版・本体１３００円＋税）
http://sankei.jp.msn.com/life/news/140817/bks14081708550001-n2.htm