戦車メーカーに特需到来、ウクライナ危機で北東欧諸国が軍事費増強 [171929663]

“地上戦の要”活気づく戦車市場　ウクライナ情勢、各国が軍備見直し (1/4ページ)

2014.8.19 11:20

欧州の軍需産業に追い風が吹いている。ウクライナ情勢の泥沼化に乗じたロシアによる侵攻のリスクを受け、域内の各国政府が軍備の見直しを急いでいることが要因だ。
とりわけ地上戦の要である戦車については東西冷戦の終結以来となる需要の急拡大が予想されており、大手メーカーの合併が相次ぐ可能性も浮上するなど関連市場はにわかに活気づいている。

業界再編の可能性

３月にクリミア半島を併合したロシアのプーチン大統領がウクライナ国境での兵力増強を進める中、同じくロシアと国境を接するフィンランドやポーランドなどでは自軍の戦闘能力の再検討を余儀なくされている。
独防衛メーカー大手、クラウス＝マッファイ・ヴェクマン（ＫＭＷ）のハウン最高経営責任者（ＣＥＯ）はミュンヘンの本社で取材に応じ、
これらの国々について「すでにロシアに対する懸念から防衛費の増額に着手している。当社への問い合わせに加え、関係者の視察も増えている」と明かした。

ＫＭＷは先月、仏同業のネクスター・システムズとの事業統合を発表した。統合後の会社の持ち株比率は５０対５０で、収益は約２０億ユーロ（約２７４０億円）になる見込み。
従業員数は６０００人を超える規模となる計画だ。ロシアの脅威の高まりを引き金に、今後も業界再編が進む可能性があるとハウンＣＥＯはみている。

ＫＭＷが製造する戦車「レオパルト２」が発射する砲弾は、２キロメートル離れた厚さ５６センチメートルの鋼鉄を貫通できる。冷戦時代はこうした兵器が世界中で引っ張りだこだったが、
ロシアと西側との関係改善に伴い需要は縮小。レオパルト２は２００９年以降、新型が製造されていない。
フランス軍の主力戦車「ルクレール」を製造するネクスターとの合併は両社の有する技術力の一段の向上を実現するとＫＭＷのハウンＣＥＯは期待を寄せる。

砲弾の自動装填（そうてん）装置を備えるルクレールは、レオパルト２より１人少ない３人の乗員で操縦可能。一方のレオパルト２は、迷彩機能や走行時の砲撃の精度に優れている。

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/140819/mcb1408190500008-n1.htm