液晶付きごみ箱:スマホから情報収集 各個人向け広告計画
http://mainichi.jp/graph/2014/08/20/20140820k0000m040092000c/image/001.jpg
歩く先々で、その人行きつけの飲み屋の広告を表示するごみ箱。得意客の滞在時間を自動的に識別するコーヒーチェーン店。スマートフォン（スマホ）が出す電波を利用し、
持ち主を追跡するＳＦ映画のような仕組みが世界各地で広まっている。【林田七恵】
ロンドンの金融街シティーの路上に高さ１メートル超の液晶画面付きの変わったごみ箱が並んでいる。これに昨夏、批判が殺到した。
ごみ箱は、屋外広告を請け負う英国のベンチャー企業「リニュー・ロンドン」が２０１２年、約１．６キロ四方のシティー内１００カ所に設置した。
ロンドンでは爆弾テロがあった０５年以降、路上のごみ箱は撤去されていたが、１２年のロンドン五輪を前にシティーの行政当局がリ社と契約した。
爆弾にも耐える構造で、２枚の３２インチ画面に緊急時の避難指示やニュース、企業の広告が流れる−−という触れ込みだった。
そして、昨年５〜６月、告知をすることなく、通行人が持つ携帯端末の１２桁のＩＤ（個別のスマホやタブレットに割り当てられた固有の番号）を集める実験をした。
投資家向け資料によると、周辺の店舗にも同様のセンサーを入れ、ＩＤを追跡することで一人一人の通勤パターンや行きつけの店を識別、行く先々のごみ箱の画面にその人に合わせた広告を出す計画だった。
これが昨年８月、電子雑誌「クオーツ」の報道で表面化。１日に１０万人もが追跡されていたことが分かり、プライバシー保護団体や市民の批判が殺到し、シティー当局も無視できなくなった。
「住所や氏名と結びつけない限り合法だ」とリ社の社長はクオーツの取材に答えていたが、シティー当局は情報収集をやめるよう指導。その後、この実験は行われていない。
ロンドンの心理学者、ナタリー・ルクレジオさん（３４）は「実害を受けたわけではないけれど、ネットやスマホを使って勝手に私の情報を集めようとすること自体が気持ち悪い」と嘆く。
実はリ社は東京への進出も計画し、日本貿易振興機構（ジェトロ）に相談していた。
つづく http://mainichi.jp/select/news/20140820k0000m040092000c.html