習近平「中国は世界で一番隣国が多い。それは貴重な財産だ」 [171929663]

中国主席、近隣国との融和強調　モンゴル国会で演説

【ウランバートル＝中沢克二】中国の習近平国家主席は22日、訪問先のモンゴルの国会で演説し、近隣諸国と関係を改善し、共に発展する道を探る考えを強調した。
中国の発展の前提条件としては「良好な周辺環境と門前の平和が不可欠で、それがあってはじめて安心して自らの仕事をこなせる」とも指摘した。

習氏が中国のトップに就いて以来、同国は経済・軍事面の実力向上を背景に強硬姿勢が目立ち、５月には南シナ海を巡ってベトナムと衝突した。
だが、今回の演説は領土・領海の主張より、融和に力点を置いた。11月に北京で開くアジア太平洋経済協力会議（ＡＰＥＣ）を控え、周辺国外交の方向を微修正した形だ。

中国が中長期的に米国中心の世界秩序の再編を狙っているのは明らかだが、当面は周辺国との摩擦緩和の演出に動くとみられる。
尖閣諸島の問題を巡って首脳交流が滞っている対日関係も変化する可能性が出てきた。

習氏は演説で「中国は世界で一番、隣国が多く、それは貴重な財産だ。隣国との友好協力、共同発展に向けて親（親和）、誠（誠意）、恵（互恵）、容（寛容）の理念を引き続き大切にする」と語った。

同時に隣国との摩擦処理に関し、互いの違いを認める東アジアの文化を指す「東方の知恵」を活用した解決を主張した。
これにより、域外国である米国による南シナ海、東シナ海問題への介入をけん制するとともに、中国独特の制度への配慮も求めたと考えられる。
習氏は「今後、中国が積極的に国際的な責任を負う」と強調する一方で、オバマ米大統領への皮肉も盛り込んだ。
大統領は先に、イラク問題にからむ世界秩序への貢献に関し「中国は過去30年間、『ただ乗り』だった」と発言し、中国が反発した経緯がある。
習氏は演説で「中国発展という列車に周辺国家が共に乗り込むのを歓迎するし、もちろん『ただ乗り』でもかまわない」と語った。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM22H17_S4A820C1FF1000/