アメリカ映画界最高の栄誉とされるアカデミー賞の授賞式が現地時間の２月２２日、ハリウッドで行われます。
日本の作品では、長編アニメーション賞に高畑勲監督の作品「かぐや姫の物語」が、
短編アニメーション賞に堤大介が共同監督を務めた作品「ダム・キーパー」が、それぞれノミネートされています。
このうちアメリカ西海岸を拠点に製作活動を行っている堤監督は、初の監督作品でのノミネートだけに注目を集めています。
「ダム・キーパー」の主人公は、町を守るために設けられた大きなダムの上に１人で暮らしているブタの少年です。
少年は１日３回、ダムの上にある巨大な風車を回します。
ダムを超えて押し寄せてくる汚染された黒い霧を吹き払うためです。しかし少年は学校でいじめられ、心の中に闇が黒い霧と同じように広がっています。
監督を務めた堤大介さん（４０）は「大気汚染の黒い霧が町に入ってこないように押さえているダムを動かしているのが主人公のブタで、
主人公自身に心の中に闇やそれを抑えるダムがある。大気汚染から町を守っているっていう設定と彼が心の中で闘っているっていうその２つを見てほしい」と話しています。
堤さんが作品作りで特にこだわっているのが光と影の表現です。
「ダム・キーパー」ではいじめを受ける主人公の心の葛藤が明るさや暗さで表現されています。
それを可能にしたのは、絵の一枚一枚を筆で丁寧に描いたかのような繊細なタッチで、陰影を豊かに用いた絵にすることで少年の心の変化も描き出されています。
堤さんは観る人の生き方にも影響を与えるような作品を作り続けていきたいと考えていて、
「何を作るかではなくて、なぜ作るかということにこだわっていきたい」と話していました。
アカデミー賞の授賞式は現地時間の２月２２日、ハリウッドで行われます。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150221/t10015631631000.html