「奇跡の一枚」よ再び カメラ小僧とアイドル、共存の今
アイドルを撮影するカメラ小僧は８０年代に話題を集めた。イベント会場に詰めかけ、撮影したアイドルのきわどい写真を
雑誌に投稿して謝礼を受け取るケースが問題に。
芸能事務所が出版社に肖像権を主張し、イベントでの撮影禁止が浸透すると、カメラ小僧は現場から姿を消した。
ここ数年、アイドルの数が爆発的に増え、事情が変わった。
事務所の許可のもと、アイドルの知名度を上げるために、ＳＮＳに写真を投稿する新しいタイプのカメラ小僧が現れた。
アイドル研究家の北川昌弘さんは言う。「親近感を売る現在のアイドルにとって、撮影はファンとのコミュニケーションツール。
昔のカメラ小僧はセミプロで、現場で問題を起こす場合もありましたが、現在は純粋にアイドルに貢献する存在。共存共栄の関係です」
有名アイドルは現在も公式のチェキ会などを除くと撮影禁止が主流で、橋本環奈もブレーク後は撮影が厳しくなったが、
売り出し中のアイドルはむしろ歓迎される。
ｕｓａ☆ｕｓａ少女倶楽部など複数のアイドルグループが所属する「エアリーズエンタテインメント」の渡辺和晃社長は、
主催ライブでの撮影を認めている。当初はカメラ小僧と応援したい一般客との間でトラブルになるケースもあったが、
次第に落ち着き、携帯で撮影する客も増えた。カメラを意識したメンバーも表情を工夫するようになった。
「写真が好きなファンはかわいく撮ってくれますし、ＳＮＳでの拡散はＰＲにもつながっています」と渡辺社長。
同社のライブでは、飛んだりはねたり応援しながら、撮影するファンの姿が。ＧＩＲＬＳ４ＥＶＥＲを撮影していた馬車道さんは
「メンバーからＳＮＳで写真を見たよと言われると、うれしくてますます力が入ります」と話す。
東京・秋葉原ではアイドルらが出演する「撮影会」が人気だ。
休日の会場はアマチュアカメラマンであふれる。許可を得て、撮影した写真をブログに掲載する人も少なくない。
アイドルの町田有沙（１９）は髪をかき上げたり、ひざ立ちしたり、カメラマンのリクエストに応える。
リピーターのファンもいるという。出演して約３年。「大人になったね、と言われるとうれしい」。
http://www.asahi.com/articles/ASH4X64JMH4XUCVL01Z.html