理化学研究所脳科学総合研究センターの村山正宜チームリーダーらは、物に触れた際の皮
膚の知覚に関する神経回路の仕組みをマウスを使った実験で解明した。
皮膚の感覚情報が低次脳領域から高次脳領域に送られた後、再び低次脳領域にフィードバッ
クされる新しい知覚の仕組みを明らかにした。
埼玉大学、群馬大学、名古屋大学、ドイツ・フンボルト大学との共同研究。
物に触れた際に得られる皮膚の感覚情報は大脳新皮質のＳ１という領域に達した後、より高次
な脳領域に伝わる。このように脳の低次領域から高次領域に向かう入力を「ボトムアップ入力」、
高次から低次に向かう入力を「トップダウン入力」と呼ぶ。
マウスの足を刺激した際、脳内で起きる神経活動を測定し解析。皮膚感覚の情報がボトムアッ
プ入力としてＳ１から高次脳領域に送られた後、再びＳ１へトップダウン入力として自動的に
フィードバックされることを見いだした。
脳は今回発見した回路と従来型回路の２種類を状況に応じて使い分けている可能性を示した。
このような脳の仕組みに関して、村山チームリーダーは
「例えば少し変わったものを見た際に、振り返ってもう一度見るようなことがある。
知覚の早い 反応と遅い反応で大切な情報を逃さないように働いているのではないか」
と話している。
日刊工業新聞[2015年05月25日]
http://www.nikkan.co.jp/news/nkx1020150525eaam.html