記者「自衛隊員はＩＳの子ども兵士に銃を向けられたらどうすんの？ねえ！ねえ！」 [311660226]

http://www.tokyo-np.co.jp/article/metropolitan/20150729/CK2015072902000187.html
過激派組織「イスラム国」（ＩＳ）の支配地域拡大で混迷を深めるイラク、シリア情勢について
考えるシンポジウムが、東京都千代田区の上智大学で開かれ、研究者やジャーナリストらが
意見を交わした。国会で審議中の安全保障関連法案との関係も論議され、「自衛隊を派遣しても
できることは何もない」「非軍事の人道支援に悪影響が出る」と否定的な声が相次いだ。　（柏崎智子）
　シンポは二十二日、同大グローバル・コンサーン研究所とＮＰＯ法人ヒューマンライツ・ナウ（ＨＲＮ）の
共催で行われた。今年に入って両国の治安は急速に悪化。難民が激増し、女性や子どもへのあらゆる
人権侵害が横行している状況が報告された。
　元在イラク日本大使館専門調査員の酒井啓子千葉大教授は、ＩＳの勢力拡大を支える要因に、
米軍との戦争やその駐留を見てきた中東の若者や、多文化共生の社会づくりに失敗した欧米で差別
される若者らの閉塞（へいそく）感や疎外感があると分析。「国際社会全体のひずみがこの地域に表れている」と語った。
　欧米や中東各国の思惑も絡んで情勢は複雑を極め、「日本が自衛隊でできることは何もない。
思い上がらない方がいい」と警告。できることは「国際社会に強い不信感を抱く中東の若者たちに、
軍事力や経済力で押さえ込むのとは違う世界もある、と地道に見せていくこと」と提案した。
　映像ジャーナリストの綿井健陽さんは、自衛隊派遣が非軍事の地道な取り組みに悪影響を
及ぼすことを懸念。「自衛隊と関係があると見なされ、攻撃の対象になる」と話した。アジアプレスの
玉本英子記者は、ＩＳ側の戦士として訓練されている子どもたちの存在に触れ「自衛隊はそういう
子どもたちに出会ったらどうするのか。銃を向けるのか」と疑問を投げかけた。
　ＨＲＮ理事長の阿部浩己神奈川大法科大学院教授は「国際法の世界では、暴力を使う機会を
減らして共存する道を探っているが、なかなかうまくいっていない。平和憲法の理念を世界に
広げていくことが、長期的にみると大きな意味のあることだ」と語った。