新・映像の世紀の第２集を見忘れたんだが [583472408]

パリは燃えているか

2015年11月30日

　「今からちょうど百年前の一八九五年、パリで一分間の動く映像がスクリーンに映し出されました」…という語りで始まるＮＨＫのドキュメンタリー「映像の世紀」が再放送されている。

　二十年前、戦後五十年に放送されたシリーズをデジタル処理して画質、音質が鮮明になっただけでなく、語りも洗練されて、揺るぎないモノクロの映像にはあらためて心を揺さぶられる。

　動く映像として初めて記録された戦争、第一次世界大戦。日本では第二次大戦の映像に触れる機会が多いが、機関銃や毒ガス、戦車などが次々と発明され投入された最初の近代戦の悲惨さ。
日本軍に追われたベトナムを戦後、再び植民地化しようとするフランス軍がベトナム軍に包囲されたディエンビエンフーの戦い。
今の中東の混乱につながるアラビアのロレンス。非暴力と不服従運動で英国の植民地支配に立ち向かうガンジーの高貴さ－。

　夢と欲と奢（おご）りと愚かさですべて失いながら、それでも生きていかねばならない人間の悲しさ、喪失感が映像とともに押し寄せてくる加古隆さんの名曲「パリは燃えているか」は耳から離れない。

　新たなテーマの「新・映像の世紀」が来年三月まで放送されている。テロに揺れる戦後七十年の今につながる現代史を、一人でも多くの人に見てもらえたら。　（安田英昭）

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2015113002000152.html