消費税の軽減税率の対象を「外食や酒類を除く飲食料品全般」とすることで、
与党が合意した。
生鮮食品や加工食品は2017年4月以降も8％に据え置かれる一方、外食を含
むその他は10％に引き上げられる。
「その線引きがよく分からない」「仕入れと販売の税率の差はどうするのか」。
県内の業界関係者からは戸惑いの声が相次いでいる。
疑問の一つが、外食と食料品の持ち帰りの違いが曖昧な点。
洋菓子製造・販売などのシベール（山形市）は、レストランやカフェを併設してい
る店舗が多い。店舗で購入した商品を、カフェで食べた場合の消費税率はどう
なるのだろうか―。
本田政信常務管理本部長は
「同じ商品なのに結果的に料金が異なるようでは、お客さまの理解が得られない
のでは」とし、「そもそも10％からわずか2％下げた程度では、あまり軽減税率の
意味がない」と指摘する。
パン屋「プリンセス」（山形市）も店内に飲食スペースがある。
同じビル内には学習塾もあり、小中学生だけの利用も多い。
岩田諭店主は「子どもたちにどう説明したら理解してもらえるのか」と頭をひねる。
山形新聞[2015年12月15日 13:42]
http://yamagata-np.jp/news/201512/15/kj_2015121500295.php
飲食スペースもあるパン屋「プリンセス」。同じ商品でも店内で食べるか、
持ち帰るかで税率が変わってしまう可能性がある＝山形市七日町3丁目
http://yamagata-np.jp/news/201512/15/img_2015121500210.jpg
>>1つづき
山形市内のおにぎり販売店の社長も
「握りたての温かいおにぎりを食べてもらいたいとサービスで設けている場所な
のに、ここで食べると税率が高くなるなんて」と困惑。「（どちらも）8％だといいん
だけど」と続けた。
多様な商品を扱う百貨店やスーパーでは、税率の異なる商品が混在する売り場
も出てくる。
大沼（山形市）の武田仁営業企画部長は「実務的な煩わしさは避けようがない」と
警戒し、「これから会社で検討することになるが、費用負担が出る可能性もある。
何よりも適用範囲が曖昧なのが不安」
と語る。スーパーのヤマザワ（山形市）の担当者は
「スムーズな移行に向けて、しっかり検討していきたい」
とする。
仕入れと販売価格の税率差に首をかしげる経営者も。
しょうゆ・みそ醸造の丸十大屋（山形市）の佐藤知彰社長は原料の大豆などは
8％で、段ボールや容器、ラベルが10％の仕入れとなることを念頭に
「仕入れ段階で2本立ての税率になってしまう。
具体的な内容が示されていないので分からないが、煩雑には違いない」
と話している。