もしコロンブス以外の人物が北アメリカ大陸を発見し、入植に独立していたら [247662382]

異分野の発想がものづくりを変える
2016年03月07日

　東レの有機繊維と炭素繊維によるハイブリッド型の繊維強化熱可塑性樹脂ペレットが耳目を集めている。
炭素繊維が破断するほど衝撃を受けても有機繊維が形状を保持し、衝撃を吸収する役割を担う。
従来型の繊維強化ペレットに２種類の繊維を混ぜ込む単純な仕組みながら改善効果は大きく、樹脂が展開できる世界を、さらに広げる可能性がある。
また先般、成形品内部への酸化劣化の進行を抑え、高温耐久性を飛躍的に高めたナイロン樹脂材料も開発した。表面にアルミの酸化被膜を形成し、それ以上錆びにくくする機構を樹脂の世界にも取り入れた。

　これらの開発品は「コロンブスの卵」ともいうべき発想力の賜物だ。
各社がしのぎを削る成長分野で一段上を行く技術も重要なテーマだが、視点を変えた試みによる飛躍的な性能向上も業界に新たな発展をもたらす。
東レは繊維、樹脂から医薬・医療まで幅広い事業を展開しているが、研究開発陣は事業別の括りとはなっていない。
あらゆるテーマに対し、多様な知見を持った技術者が協力して取り組めるところに強さがある。

　「コロンブスの卵」は、大企業よりもベンチャー企業が得意とするところだろう。
センチュリー・イノベーションは、樹脂を溶融させる仕組みとしてＩＨヒーターを利用した射出成形プロセスを提案する。
発泡させれば断熱材にもなる樹脂を押出で無理やり溶かす従来型プロセスは、無駄な電力を要するうえ、射出圧を高める必要があることから設備自体が巨大になる。
ＩＨヒーターを使ったプロセスなら設備も金型も圧倒的に小型化できる。さらに樹脂に負荷をかけないため、物性の向上が図れる可能性がある。
同社の川崎博明社長は「日本の射出成形機をすべて置き換えれば原発２基分の電力を削減できる」と豪語。
また極小化された射出ユニットを活用することで、新たなものづくりの仕組みを生み出せるのではないかと示唆する。

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2016/03/07-23846.html