ダイソン　訴求力の強い比較広告で他社を圧倒、日本メーカーは自主規制で比較広告できず [186586446]

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日本の消費者を吸引する英ダイソン　戦略の“落とし穴”
2016年05月20日
　躍進するダイソンに死角はないのか。同社の製品のデザインには多数のファンがおり、利益の大半を技術開発に投資する企業姿勢も評価が高い。
マーケティング活動の成功もあり、ブランド力としては“一人勝ち”の様相だ。しかし、あえて指摘するとしたら「比較広告」に落とし穴がある可能性を筆者は見ている。

　ダイソンは「吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機」というキャッチフレーズで、他社との比較広告・マーケティングを積極的に進めている。
比較広告では相手メーカーの名前は明示しないものの、ほぼ明らかな場合もある。製品発表会では積極的に他社製品との比較デモを行っている。

　比較広告は、国内でもかなり前から可能になっているのだが、テレビや雑誌などで見かけることはあまりない。
それは、家電製品の場合で言えば、国内の家電メーカーのほとんどが所属する日本電機工業会（ＪＥＭＡ）が自主規制しているからだ。

　ＪＥＭＡは家電製品の仕様を統一するため、掃除機であれば吸引力の測定方法などを厳密に定めている。しかし、ＪＥＭＡに所属しない海外メーカーは、同じ方法で測定していない場合があり、
日本メーカーと海外メーカーの製品を仕様一覧で比較検討できないこともあるのだ。

　ダイソンは、英国の第三者機関などを通じて独自の方法で吸引力などを測定し、そのデータを基に比較広告などを行っている。日本の家電メーカーにとっては、まさに“言われっぱなし”の状況なのだ。
だから筆者は、日本の家電メーカーは比較広告の自主規制をもう少し緩和して、ダイソンに対抗してもいいのではないかと思っている。

　日本でのダイソンの比較広告は、外国の広告にあるように、比較対象の企業名や製品名は明示してはいないものの、比較広告自体にあまりなじみのない日本の消費者には刺激的な部分もある。
ダイソンが、国内メーカーが自主規制しているのをいいことに、訴求力の強い比較広告や他社比較デモなどを行ったりすると、かえって消費者に違和感や嫌悪感を持たれる可能性もある。

　比較広告は、「他者を攻撃する」という一面があり、一歩間違えば消費者にネガティブなイメージを持たれかねない“劇薬”でもある。国内でのダイソンのブランドイメージは既にかなり向上している。
今後は、消費者にネガティブなイメージを持たれないようにしつつ、いかに現在のイメージを維持、向上させていくか。
魅力的な製品の開発のみならず、そうしたブランディング活動も、同社がさらに発展していく上で、大きなカギを握っていくことは間違いない。
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