大北森林組合（大町市）の補助金不正受給事件で、同組合が架空申請した
大町市内の森林作業道の整備について、県北安曇地方事務所（同）林務課
の当時の担当者が、県警の調べに
「（補助対象外の）不適切な申請の恐れがあると感じ、上司に相談したが、
上司の指示もあり申請を認めた」
と供述していたことが２６日、関係者への取材で分かった。
組合の申請書類で道は既設だった上、一帯が国立研究開発法人森林総合
研究所（茨城県）の造林地で、そもそも作業道の整備はできない恐れに気付
いたという。
この担当者から事件発覚後に聞き取り調査をした県職員も、県警の調べに
「担当者は不適切な申請と感じ、上司に相談していた」
と述べていたことも判明。
県側は従来、全くの架空工事を容認した職員はおらず、補助対象外の場所
で申請されていた認識もなかった―と説明してきた。
供述によると、担当者や上司が架空の申請と認識していた可能性があり、
県には改めて説明が求められそうだ。
担当者の供述などによると、相談された上司は
「（研究所の）造林地内だが、周囲にはほかの所有者の山林もあり、整備が可能。
既に道があっても改良工事とすればいい」
などと指示。
申請しない場合は埋め合わせ分を担当者自身で見つけるよう言ったという。
作業道は２区間に分けて２０１３年１２月下旬から１４年１月上旬までに申請
され、同月下旬に２５３万円の国補助金交付が決まった。
この担当者は、この作業道について現地調査をせずに報告書にうその記載を
したとして、県警が３月に虚偽有印公文書作成・同行使の疑いで書類送検し、
長野地検は起訴猶予処分とした。
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20160727/KT160726FTI090011000.php
県人事課コンプライアンス推進室は、担当者の供述を把握していないとし、
「県警の調べを受けた全職員に確認したところ、県と県警への説明に齟齬（そご）
はないと認識している」
と説明。
担当者は、同室を通して「取材に答えられない」とした。
上司への取材についても同室は、組合前専務理事の中村年計（としかず）被告
の公判中などを理由に応じていない。
一方、聞き取り調査をした県職員は取材に
「聞き取った内容は全て県側に報告している。
捜査にも本当のことを答えたが、具体的なことは覚えていない」
としている。