東燃ゼネラル石油（東京）と日揮（神奈川）は２７日、室蘭市港北町の東燃子会社の土地を活用し、
ヤシ殻を燃料にしたバイオマス発電事業の実施を決めたと発表した。
木質バイオマス専焼発電所としては国内最大級の出力７万４千キロワット。
来年８月着工、２０２０年５月の運転開始を目指す。総投資額は２５０〜３００億円規模となる見通し。
両社は共同で新会社の室蘭バイオマス発電合同会社を１０月１１日に設立する。資本金１億円。
出資比率は東燃ゼネラル９０％、日揮１０％。
来年８月の工事着工時に室蘭を本店とし、雇用は３０人程度で地元採用も見込まれている。
建設地は中卯埠頭（なかうふとう）がある港北町に東燃子会社が所有する４万平方メートル。
１９９０年代前半までモービル石油の油槽所だったが遊休地となっていた。
発電設備は高効率のボイラーとタービンを備えるという。
燃料は、パームヤシの果実から油を搾り取った後のヤシ殻。無臭で飛散もしにくい。
再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度のバイオマス燃料に該当し、燃やして得た電力を
売電する。売電先は未定。
ヤシ殻はインドネシアやマレーシアから商社を通じて輸入。
隣接する本輪西埠頭に保管するヤードを整備し、発電所まで運搬装置で運ぶ方向で検討している。
東燃ゼネラル石油は、大分のイーレックスニューエナジー佐伯の発電所に出資するなど発電事業
に力を入れており、本格的な事業展開は今回が初。
同社広報は
「室蘭はバイオ燃料の輸送に地の利を生かせる」
と言い、石油需要が低迷する中で
「電力事業は成長戦略の重要な柱の一つ。電力の安定供給と地域活性化に役立ちたい」
としている。
室蘭市は、低炭素社会の実現に向けてグリーンエネルギータウン構想を推進。
バイオマス発電分野では今年５月、月島機械が下水汚泥由来のバイオガス発電を開始しており、
今回もこの構想に合致する事業で、市税収入増や燃料搬入による港の活用など経済効果も期待
されている。
http://www.muromin.co.jp/murominn-web/back/2016/09/28/20160928m_01.html
◆―― 雇用、活性化に弾み
東燃ゼネラル石油（本社東京）と日揮（本社神奈川県横浜市）によるバイオマス発電所の室蘭市
港北町への建設計画が明らかになり、経済界や地元からは雇用、にぎわい創出などへの期待の
声が相次いだ。
室蘭商工会議所の栗林和徳会頭は
「環境産業都市を掲げ、室蘭グリーンエネルギータウン構想を推進する本市にとって非常に明る
いニュースであり、官民一体で企業誘致に取り組んできた成果」
と評価。
「発電所の建設・稼動や燃料となるパームヤシ殻の輸入などにより、室蘭市における税収・入港料
などの増加や港湾活用が図られるほか、新規雇用や関連企業・業界などにも大きな波及効果が
期待される。安全かつ、地域振興につながるよう地域に密着した事業の推進をお願いしたい」
と述べた。
青山剛市長は
「道内最大級のバイオマス発電であり、室蘭港を生かした進出を歓迎したい。
環境面や税収面でも期待される。市民理解を得ながら事業展開を図ってほしい」
とコメントした。
地元の港北、本輪西両町の経営者らでつくる蘭北商店会の土田善一会長は
「地元からの雇用増のほか、工事期間中も地元商店会に訪れる人が多くなるだろう。
来年の工事着工から、地域が明るくなりそうだ」
と歓迎。
「発電などエネルギー産業はこれからの時代に必要な取り組み。
ヤシ殻燃料は道内でも珍しい取り組みと聞く。注目度も高まるのではないか」
と話す。
本輪西町会の長谷川清敏会長は
「ウインズ室蘭の閉鎖以降、明るい話題が少なかったこの地域にとってはプラスの面が多いのでは」
とにぎわい創出に期待。
「ただ、工事などで交通量が多くなるなど影響もあるだろう。
今後説明を聞くことも想定されるので、対応を煮詰めていかなければいけない」
と見通す。
自然エネルギー活用を訴えているＮＰＯ法人室蘭地域再生工場の藤当満理事長は
「化石燃料に限界がある中で、バイオマス燃料を用いた発電所整備は非常に素晴らしい。
燃料を船で運ぶので、室蘭港の有効活用にもつながる」
と話す。
東燃ゼネラルと日揮が共同で新会社を設立し整備するバイオマス発電所のイメージ図
http://www.muromin.co.jp/murominn-web/back/2016/09/28/20160928m01.jpg
プレスリリース
http://www.tonengeneral.co.jp/news/press/uploadfile/docs/20160927_1_J.pdf