【鳥羽殿へ五六騎急ぐ野分かな】鳥羽離宮遺構、初の文化財指定 [368289528]

鳥羽離宮遺構、初の文化財指定　京都市、平安期院政の舞台

京都市文化財保護審議会（井上満郎会長）は２１日、院政期の政治の舞台だった鳥羽離宮跡（伏見区）で出土した「鳥羽離宮金剛心院跡出土品」など６件を市文化財に指定するよう市に答申した。
新指定の内訳は建造物２件、美術工芸品３件、名勝１件。市指定・登録文化財は５１０件となる。（２８面に「答申文化財」）
出土品計３２４点は、鳥羽離宮・田中殿の御堂、金剛心院跡で、１９７７～９１年の計１８回の発掘調査で見つかった。
池とその周囲を囲むように配された建物の遺構が確認されており、鳥羽離宮で解明が最も進んでいる。
鳥羽離宮関連ではこれまで、安楽寿院（伏見区）の木造阿弥陀如来坐像などが重要文化財に指定されているが、考古遺物の文化財指定は初めて。
出土品の半数を瓦が占める。播磨産と確認できた軒瓦と類似の瓦が、兵庫県に点在する窯跡の調査で出土しており、同一の規格・紋様の瓦を計画的に製作したことを伝えている。
金属製品や玉類、卒塔婆などの多様な仏像関連遺物も出土している。
中でも向かい合った２羽のオシドリを表現した飾り金具は、須弥壇（しゅみだん）の角に用いられたと考えられる。院政期の御堂の実態や仏教美術を如実に示していることが評価された。
発掘調査に携わった京都産業大の鈴木久男教授（歴史考古学）は「細かな発掘調査の積み重ねが評価された。遺構は現在、ほとんど失われている。
今回の文化財指定を、市民が鳥羽離宮の理解を深める機会にしてほしい」と期待する。

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